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【特許請求の範囲】 【請求項1】ヒアルロン酸産生能を有する

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【特許請求の範囲】 【請求項1】ヒアルロン酸産生能を有する
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【特許請求の範囲】
【請求項1】ヒアルロン酸産生能を有するストレプトコ
ッカス属の微生物を好気的に培養するにあたり、培養液
のpHを7.5以上9.0以下の範囲にコントロールすることに
より、培養液中に高分子量のヒアルロン酸を生成蓄積せ
しめることを特徴とする発酵法によるヒアルロン酸の製
造法。
【請求項2】培養液中に生成蓄積した高分子量のヒアル
ロン酸が極限粘度法による平均分子量で200万∼400万の
範囲のヒアルロン酸である特許請求の範囲第1項記載の 10
ヒアルロン酸の製造法
【請求項3】ヒアルロン酸産生能を有するストレプトコ
ッカス属の微生物がストレプトコッカス エキ(Strept
ococcus equi)である特許請求の範囲第1項記載のヒア
ルロン酸の製造法
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【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕
本発明は発酵法によるヒアルロン酸(以下HAと省略す
る)の製造法に関し、化粧品又は医薬品用として望まれ
ている天然に存在するHAに近い高分子量のHAを製造
する方法に関する。
〔従来の技術とその問題点〕
従来、HAはニワトリのトサカ、牛の眼の硝子体又は臍
帯等より抽出によって得られていた。しかし生体からの
分離精製は、夾雑タンパクやコンドロイチン硫酸等のム
コ多糖類の存在により複雑な工程を必要とする上に、生
体中のヒアルロニダーゼ等により分離・精製工程中に元
来高分子量であったHAが分解され低分子量化され、粘
度及び保温性が低くなるという欠点があった。そこでH
Aの分解を抑制してより高分子量のHAを得る方法が種
(2)
3
々考案されている(例えばファーマシア社製の商品名
“Healon”には極限粘度法により算出して分子量230
万のHAを使用)が、十分とは言い難く、また、そのた
めにコストアップの要因ともなっていた。これら欠点を
解決するものとしてHA生産能を有するストレプトコッ
カス属の微生物をグルコース、酵母エキス、ポリペプト
ン等の栄養源を含む液体培地中でpH7付近に調整しつ
つ好気的に培養し、培養液からHAを単離する方法が特
開昭58−56692号公報、特開昭60−133894号公
報、特開昭61−63294号公報等に開示されてい
る。これらの方法は抽出法に比較して単離・精製が簡単
でコストが安いという利点がある。しかしながら一般に
抽出法HAに比較し、発酵法により得られるHAは分子
量が低く(一般に150万以下)、HAの特徴である粘性
・保湿効果において劣るといわれているにもかかわら
ず、生体由来品に近い高分子量のヒアルロン酸を製造す
る方法は未だ見いだされていない。そのため、天然に近
い高分子量が要求される眼科・関節炎治療薬等の医薬用
途への利用が制限されていた。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明者らは、これらの問題点を解決すべく検討した結
果、培養液のpHをコントロールすることにより、発酵法
で高分子量のHAを取得できることを見い出し、本発明
を完成した。具体的には培養液のpHと蓄積されるヒア
ルロン酸の分子量との関連を詳細に検討した結果、培養
液pHを従来技術であるpH7の中性付近よりむしろア
ルカリ側に維持することで著しく高い分子量のヒアルロ
ン酸が蓄積されることを見いだした。
すなわち本発明は、HA産生能を有するストレプトコッ
カス属の微生物を好気的に培養するにあたり、培養液の
pHを7.5以上9.0以下の範囲にコントロールすることによ
り、培養液中に高分子量のヒアルロン酸を生成蓄積せし
めることを特徴とする発酵法によるヒアルロン酸の製造
法である。
以下本発明を詳しく説明する。
本発明に用いられるHA生産菌としては、
ストレプトコッカス エキ(Streptococcus equi)
ストレプトコッカス ズーエピデミカス
(Streptococcus zooepidemicus)
ストレプトコッカス エキシミリス
(Streptococcus equisimilis)
ストレプトコッカス ディスガラクティエ
(Streptococcus dysgalactiae)
ストレプトコッカス ピオゲネス
(Streptococcus pyogenes)
などがあげられるが、なかでもストレプトコッカス エ
キが好ましい。また、これらの菌株から誘導された変異
株も使用できる。
本発明に用いる培地は通常の微生物の培養に用いるもの
で良く、グルコース、フラクトース、ガラクトース、シ
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20
30
40
50
特公平6−30604
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ュークロース等の炭素源、リン酸第1カリウム、リン酸
第2カリウム、硫酸マグネシウム、亜硫酸ソーダ、ナオ
硫酸ソーダ、リン酸アンモニウム等の無機塩類、ポリペ
プトン、カザミノ酸、酵母エキス、コーンスティープリ
カー、大豆加水分解液等の有機栄養源の他必要に応じて
各種アミノ酸、ビタミン類等が好適に用いられる。これ
らの培地成分は一括仕込又は分割添加いずれでも採用可
能である。
本発明の培養は通気撹拌培養等の公知の方法でよく、培
養温度は30∼35℃が好ましい。
培養液のpHは菌の生育と共に低下するため、カ性ソー
ダ、カ性カリ、アンモニア等のpH調整剤を添加しpH7.5
∼9.0好ましくはpH8.0∼8.7にコントロールすれば本発
明の目的を達成することができる。pHが7.5未満だと生
成HAの分子量が200万以下となり、pHが9.0を越え
るとHA生産菌の生育が著しく低下し、そのためHAの
収量が極めて低くなり好ましくない。
このようにして培養すると、HAの生成と共に培養液の
粘度が次第に上昇してくる。使用炭素源が培養液中で消
費された時点で培養を停止し、遠心分離による除菌後、
アルコール等の有機溶媒による析出、限外ろ過による脱
塩等の簡単な公知精製法により高純度・高分子量HAが
得られる。
〔実施例〕
次に実施例により本発明を詳しく説明するが本発明はこ
れに限定されるものではない。
実施例1
グルコース2%,リン酸第1カリウム0.2%,硫酸マグ
ネシウム7水塩0.05%,ナオ硫酸ソーダ0.1%,ポリペ
プトン1.0%、酵母エキス0.5%からなるpH8.5の培養液
1 に同一培地からなるストレプトコッカス エキ(AT
CC 9527)の前培養液10m を接種し、通気量1.
5vvm、撹拌200回転/分、温度33℃でカ性ソーダで
pHを8.5にコントロールしながら15時間培養した。
培養液を塩酸でpH4に調整後、蒸留水で2倍希釈し、遠
心分離により除菌した。得られた除菌液をエチルアルコ
ールを加えHAソーダを析出せしめる。これをろ別した
後水に溶解し、セチルピリジニウムクロライドを加え、
生じた沈澱をろ取し、水に再溶解後再びエチルアルコー
ルによる析出をくり返す。得られたHAソーダを室温で
減圧乾燥して培養1 あたり1.8gの白色HAソーダを
得た。
このHAソーダを0.2M塩化ナトリウム溶液として極限
粘度法により平均分子量を算出した。分子量は、日局一
般試験法28:粘度測定法により比粘度を測定し、各濃
度に対する還元粘度を次式で算出し、
(3)
5
還元粘度を縦軸に、対応する濃度(g/100m )を横
軸にとってグラフを書き、各点を結ぶ線の延長と縦軸の
交点を極限粘度〔η〕とし、次のWangの式〔R.Clel,J.
L.Wang,Biopolymer,9,799(1970)〕
1.225
分子量M=(〔η〕/0.000228)
により算出した。
この結果、平均分子量は330万であった。
比較例
培養時のpHをpH7.0とpH9.2にする以外は実施例1と同様
にした結果を比較例1、2として表1に示す。
特公平6−30604
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* 実施例2
培養時のpHをpH8.0とpH9.0にする以外は実施例1と同様
に培養を開始し、培養液中の残存グルコース濃度が0.5
∼1%濃度になる様にグルコースを分添しつつ40時間
培養を続け、これらの培養液を実施例1と同様に処理し
HAソーダを得た。その結果を表2に示す。
10
〔発明の効果〕
以上に説明したように、本発明によれば、発酵法では従
来にない高分子量のHAを得ることができる。
*
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(72)発明者 三枝 治久
東京都町田市旭町3丁目5番1号 電気化
学工業株式会社中央研究所内
審査官 谷口 博
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