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日本の 航空機産業の 発展に向けて
21 [ 季 刊 DB J 21号 ] 2013年 10月 発 行 No . 日本政策投資銀行 広報誌 2013.10 PPP/PFI活用拡大へ向けて ─「PPP/PFI推進センター」開設 ─ 【ネクスト・ジャパン最前線】 【Scenes of Solution】 「女性新ビジネスプランコンペティション」で 女性の起業活動を総合的に支援する ── 農業ビジネス支援で期待高まるベジプロバイダー事業 【未来人図鑑】 株式会社星野リゾート 代表取締役社長 星野 佳路 氏 日本旅館のおもてなしこそが観光産業の競争力をあげる 【旅のブックマーク】 ミッドセンチュリーのカンボジア 旅する作家 山口 由美 企 画 / 発 行 所 : 株 式 会 社 日 本 政 策 投 資 銀 行 〒 1 0 0 - 8 1 7 8 東 京 都 千 代 田 区 大 手 町 1 - 9 - 6 T E L : 03 - 3 2 7 0 - 3 2 1 1 h t tp : // www.d bj.jp 日本の 航空機産業の 発展に向けて 国 ・地方ともに財政状況が厳しさを増す中、昨今ますます深刻化する公共施設の老朽化問題等へ 対応していくためには、 PPP/PFI等による民間ノウハウや民間資金の活用が重要です。目下、 政府においても、 PPP/PF I活用拡大へ向けて総力を挙げた取り組みを推進しているところであり、 「日本 再興戦略」 では、今後10年間でPPP/PF Iの事業規模を12兆円に拡大することが目標に掲げられています。 DBJは、平成11年のPF I法公布以来、国内初のPF I事業への融資を行うなど、 これまでPF I市場拡大に尽力 してきました。近時においても、コンセッション導入等を内容とするPFI法改正等の政策企画・推進への 協力、地方公共団体の公有資産マネジメントや各種PPP/PFI事業への取り組みサポート、地域金融 機関との連携によるセミナー開催などをはじめ、川上段階から幅広い取り組みを実施しています。 さらに、平成25年6月には本店地域企画部および各支店・事務所に「PPP/PFI推進センター」を開設、 国をはじめ、今後一層増加するとみられる地方公共団体や企業からのPPP/PFIに関する相談ニーズに 対応します。 PF I法改正により平成25年10月に、独立採算型等のPF I事業に対する金融支援機能や地方公共団体等 に対する専門家派遣機能等を担う 「(株)民間資金等活用事業推進機構(以下「機構」)」も設立された ところです。DBJは、機構に対して、発起人の一者として出資を行っています。 今後もDBJでは、政府・機構・地方公共団体・企業・地域金融機関等の皆様との適切な連携のもと、 PPP/PF Iに係る各種調査・情報発信・提言や、多様なPPP/PF I事業の発掘・形成支援、 リスクマネー供給 等をはじめ、 PPP/PF Iの活用拡大へ向け、取り組んでいきます。 【PPP/PF I推進センター お問い合わせ先】 地域企画部 ☎03-3244-1750 Next Japan Finance Finance Manufacture No . P03 Manufacture Flight P16 Flight N E X T J A PAN 日本の航空機産業の 発展に向けて 第 14 回 ネクスト・ジャパン最前線 日本の航空機産業の 発展に向けて Scenes of Solution 「女性新ビジネスプランコンペティション」で 女性の起業活動を総合的に支援する ── 農業ビジネス支援で期待高まるベジプロバイダー事業 P20 未来人図鑑 株式会社星野リゾート 代表取締役社長 星野 佳路 氏 日本旅館のおもてなしこそが観光産業の競争力をあげる P23 旅のブックマーク ミッドセンチュリーのカンボジア 旅する作家 山口 由美 航空機産業は、航空機の製造(機体・部品メーカー)、運航(航空会社)、 ファイナンス (リース、銀行) という 3つの分野で構成される。そして、 この3つの組み合わせで競争が繰り広げられるビジネスフィールドだ。その 航空機産業が近年、世界的な成長産業として注目を集めるようになった。最大の要因は、今後予想されている 季刊 DBJは iPhone、iPadでもお読みいただけます。 下記 URL からダウンロードしてお楽しみください。 航空需要の伸長と、それに伴う航空機のニーズの増加である。航空機産業の成長を予感させる動きは、 日本 http:// itunes.apple.com/ jp/app / id389307222 でも確 実に表れている。航 空 機 製 造においては、 日本 企 業の部 品シェア3 5%を占めるボーイング7 8 7 が DBJ のホームページからもダウンロードできます。 本格運航を開始、 また2015年には国産初の小型ジェット旅客機MRJ( 三菱リージョナルジェット)の初飛行が 予定されている。航空業界でも、首都圏空港の発着枠拡大、 日系航空会社の新規路線開設ラッシュや相次ぐ LCCの参入など活況を呈している。 さらに、航空機ファイナンスにおいても日本のプレゼンスが高まっている。 こうした中で、 日本の航空機産業の発展を確かなものとするためには何が必要なのか。今号では、その方法 や方向性について考えるとともに、航空機産業の発展に向けたDBJの取り組み事例について紹介する。 3 21 日本政策投資銀行 広報誌 2013.10 http:// www.dbj .jp / 企画・発行 (株) 日本政策投資銀行 取 材 協 力 スカイネットアジア航空 (株) (株) 宮崎銀行 (株) エムスクエア・ラボ (株) 星野リゾート ワークス・ジャパン 制作・編集 (株) 取 材 ・ 文 河内正和 アートディレクション・デザイン HI-de-SIGN 写 真 赤坂トモヒロ 2 複 合 的 な 成 長モデルの実 現に向 けて 求められる金 融 面からの支 援 強 化 な ら 、現 在 の 日 本 に 必 要 な の は 、 7 8 7 の 日 本 企 業 の 部 品 シェア え る サ ー ビス 産 業 の 生 産 性 向 上 G D P に 占 める 割 合 が 7 割 を 超 で 大 き な 課 題 と な るの が 、日 本 の 政 策 を 展 開 している 。そ う し た 中 業の 競 争 力 強 化 を 目 指 して 各 種 生の鍵となる中、政 府は製 造 造 業の復 権 が日 本 経 済 再 客 機 と して 期 待 さ れ るボ ー イング に おいて は 、次 世 代 中 型 ジェット 旅 具 体 的 な 動 き では 、製 造 業 分 野 言 える。 見 せていることは何よりの追い風 と の存 在 感 が、近 年 、次 第に高 ま り を 実 現 で き る 産 業の1つが 航 空 機 産 こ う し た 複 合 的 な 成 長モデルを モデ ルの 実 現 ﹂で あ る か ら だ 。 し てい く よ う な﹁ 複 合 的 な 成 長 J A Lの完 全 復 活 、A N Aのアジア 空 機 を 運 航 する航空業界も、 規 参 入 が 相 次いでい る 。ま た 、航 て お り 、融 資 の 分 野 で も 邦 銀 の 新 す る な ど日 本のプレゼンスが 高 まっ 商 社 が 海 外 の リ ース 会 社 を 買 収 影 響 も あ り 、日 系 金 融 機 関や 総 合 い た 。だ が 近 年 、欧 州 危 機 等 の 航 空 機ファイナンス業︵ サービス業 ︶ は 1 割 に も 満 た ない状 況 が 続いて 業 で あ り 、日 本の 航 空 機 製 造 業 と 展 開の 加 速 、相 次 ぐ L C Cの 参 入 の 世 界 で も 日 系 金 融 機 関 のシェア ファイ ナンス業においては、 グロー が 見 ら れる 。 会 社 に とって も 大 き な プラス 材 料 こ と は 、航 空 機 メ ー カ ー や 航 空 に お け る ア ジアの 拠 点 を 目 指 す に 捉 え 、日 本 が 航 空 機ファイ ナンス いるほどだ 。こう した 追い風 を 的 確 が 市 場 に 戻って き た ︶〟と 言 わ れて 会 社 は 昨 年 ま でゼロで あ り 、融 資 〝 J ap an is b a c k︵ 日 本 バルトップ 1 0 に 入 る 日 系 リ ース と言 える。 3回も開催されることになっており、 は ゼロだった 開 催 件 数 が 、今 年 は 会 議の日 本での開 催 だ 。3 年 前 まで M R J を 2 0 1 5 年 に 初 飛 行 、 ている 。その 象 徴 と も 言 え るのが 、 機材評価額 Aircraft Values ($mm) 複合的な成長モデルの実現に向けて 求められる金融面からの支援強化 ││ 航 空 機ファイ ナンスでアジアの 拠 点へ 従 来 の 製 造 業 は 製 造 業 、サ ー ビス が 3 分 の 1 に 達 し た ほ か 、機 種 に や 国 際 競 争 力の 強 化 で あ る 。な ぜ よっては 2 割 か ら 3 割 以 上 が 日 本 と 活 況 を 呈 している 。 バリューチェーン全 体 で 国 際 競 争 力 を 高 める 業 は サ ー ビス 業 といった 個 別 に 検 製 とい う 機 材 も あ る こ とや 、三 菱 製 討 さ れ る 産 業 政 策 では な く 、製 造 こう し た 動 きには 世 界 も 注 目 し 航 空 機 ファ イ ナ ンス に 係 る 国 際 会 社 および 航 空 機 リース会 社 向 け 機の価 値 に 着 目 して 航 空 空 機ファイ ナンスとは 、航 空 航 空 機ファイナンスの 仕 組 み と 市 場 見 通し 業 と サ ー ビ ス 産 業 が 相 互 に リ ン 航 空 機 が 小 型 ジェッ ト 旅 客 機 ケ ー ジ を 深 め 、広 義 の バ リ ュー 2 0 1 7 年に市 場 投 入 する計 画 航 チェーン全 体 で 国 際 競 争 力 を 強 化 とエアバス 社 の 寡 占 状 態 に あ り 、 上のジェット 機 市 場 はボー イング 社 構 造 を 持つ航 空 会 社 を 相 手 に 、多 出所:ボーイング に 提 供 さ れ るファイ ナンスをいう 。 に 悪 化 す る か ら だ 。そ う し た 収 益 その 形 態 は 担 保 付 きコー ポレー ト 将 来の中 古 機 価 格 を 合 理 的 に 予 様 な 航 空 機ファイ ナンス が 可 能 な 正 し いア セッ ト を 対 象 に 適 切 な ローンに 近いものか ら 、純 粋 に 機 体 形 成 されているためだ 。 LTV ︵Loan to Va lue 測 しや すいのが 特 徴 だ 。そのた め 、 多 様である。 航 空 会 社 が 使 用 す る 航 空 機の 35% 30% 25% 20% の価 値に依 拠 し たファイ ナンスまで の は 、流 動 性 の 高い中 古 機 市 場 が 実 は 、航 空 会 社 は 景 気 動 向 や 原 プ レ ー ヤ ー は 、世 界 経 済 の 構 造 変 化 とと もに変 化 してき た 。 1 9 8 0 年 代 以 前 は 米 系の金 融 機 関 が 席 巻 し ていた が 、8 0 年 代 に 入 る と日 系 金 融 機 関 が 台 頭 し 、 支 配 力 を 高 め て いった 。そ の 後 1 9 9 0 年 代 半 ば 以 降 、欧 州 の 金 融 機 関 が 主 力 プレーヤ ー と して 市 場 を リ ー ド し て き た が 、近 年 、 リ ーマンショック お よび 債 務 危 機 に よって 、欧 州 勢 は 総 じ て シェア を 低 下 さ せ て お り 、そ れ を 埋 め る 形 で 日 系 金 融 機 関 がシェア を 伸 ば している。たとえば、2012∼13 年 で 見 る と 、ボ ー イ ン グ 機 材 の コマ ー シ ャルロ ー ン で 約 2 0 % 、 エア バス機 材のローンで 8%程 度 だ ︵図表2︶ 。 (図表2) 日系金融機関のシェア推移 基本解説 ── 航空機ファイナンスでアジアの拠点へ 4 5 24% OTHERS 15% 10% 5% 0% MENA OTHER ASIA PACIFIC FRA GER UK OTHER EUR US CHINA 日本 0% 21% 2009年 2011年 2013年 13% 11% 16% 10% GER 15% 13% 日本 5% 26% 21% 17% 21% 18% CHINA 28% 16% FRA 2010年 2011年 2012年 20% : 貸 出の対 象 と な る 物 件の評 価 額 出所:ASCEND/FG Data 作成資料に日本政策投資銀行一部加筆 油 価 格 な どの 影 響 を 受 け や す く 、 中 に は 、た と え ば ボ ー イ ング 社 の LTV70%のローン残高推移(元金均等弁済ベース) と 実 際の 貸 出 金 額の 比 率 ︶で 融 資 1997 Historical Base Value Forecast 1997年以降の資産価値予測 Historical Market Value 同期間の市場価値 32% 21% 25% ボーイング社製航空機のファイナンス (コマーシャルローンのみ) における主要国シェア 出所:エアバス エアバス社製航空機のファイナンス (ECA+コマーシャルローン) における各国シェア 2012 7 3 7 シ リ ー ズ や エア バス 社 の 5 経 営 の 安 定 化 が 難 しい 。ひ と た び 10 を 行 え ば 、市 場 環 境 が 極 度 に 悪 化 15 国 際 的 な 経 済 危 機 や テ ロ 、 3 2 0 シリ ーズのよ う に、層の厚い 20 しても 損 失は回 避できる ︵図 表1 ︶。 25 中 古 機 市 場 が 形 成 さ れている もの 機材の資産価値予測 vs 市場価値 S A R S︵ 新 型 肺 炎 ︶な ど が 起 き 40 航 空 機 ファ イ ナ ンス の メ イ ン Base Value Forecast vs Market Value が 多 く あ る 。特 に 1 5 0 人 乗 り 以 (図表1) アセットベースの融資の妥当性 れ ば 旅 客 数 が 激 減 し 、業 績 が 極 度 30 2007 2002 1997 0 737-400 35 Next Japan Next Japan 航 空 機ファイ ナンスの 資 金 調 達 方 法 と し て は 、米 国 を 除いて 資 本 市 場の 活 用 は 限 定 的 で 、金 融 機 関 によ るローンが一般 的 だ 。その 種 類 は 、ファ イ ナ ンス リ ー ス 、オペレ ー D 航 空 機ファイナンスへの D B Jの取り組み B J は 、日 本 航 空︵ J A L ︶ の 経 営 破 綻 お よび その 後の 提 供 、ま た 地 銀 等 を 対 象 に し て 譲 渡 を 通 じて 新 た な 収 益 機 会 を 全 体の底 上 げに寄 与 している。 日 本 の 航 空 機 ファ イ ナ ンス 市 場 セミ ナ ー 開 催 を 企 画 す る な ど 、 航空機ファイナンス市場の拡大が期待される中で、DBJはスカイ 域の金融機関と共有することで、地元企業の成長を地域金融機関 今 回の取り組みは、D B Jが航 空 機ファイナンスのノウハウを地 2017 ティングリ ース、タックスリ ースにお 通 じて 得 ら れ た 教 訓 および 知 見 を 基 に 、航 空 業 界 に 対 して D B J が ネットアジア航 空 株 式 会 社︵ 本 社・宮 崎 県 宮 崎 市 、以 下﹁ソラシド が主 体 的に支 援することを可 能としたものであり、わが国 地 域 金 ファイナンス リース リース料 $0 けるコマーシャルローンと、 ボーイング ハンズ オン的 な J A L 再 生 支 援 を 社、 エアバス社 等の輸 出 促 進 という 観 点 か ら 、各 国 の 輸 出 信 用 機 関 2 0 1 1 年 5 月 に 航 空 機ファイ ナ ンス業 務 を 開 始 し た 。その後 、欧 州 あるものと思われる。また、既に一部の地 銀は欧 米の輸 出 信 用 機 関 を 手 がけるのは 極 めて 珍 しい。地 元 案 件から 入 ることで 、今 後 、 保 証の付されていないコマーシャル案 件で航 空 機ファイナンス案 件 │ 同 社 初 の航 空 機 自 社 保 有 化 を その他の航 空 機ファイナンス案 件にも取り組みが広がっていく可 能 エア﹂︶ に対して、株式会社宮崎銀行、株式会社宮崎太陽銀行、株式 融の活性化に資するものとなる。 性もあると思われる。 会 社 大 分 銀 行 、株 式 会 社 鹿 児 島 銀 行 、株 式 会 社 肥 後 銀 行ととも に、航空機ファイナンスの手法を用いたシンジケート・ローン ︵組成額 34億円、融 資 期 間 1 1 年 ︶を 2 0 1 3 年 7 月に実 行した。 ソラシドエアは、今年度から新しい中期経営計画のもと、〝空から 笑顔の種をまく〟 ソラシドエアらしさあふれるサービスの提供と本邦 新規航空会社トップレベルのコスト競争力の実現を図りつつ、﹁九州・ 沖 縄の翼 ﹂として路 線 ネットワークの拡 充を図っている。今 般 、 ソラ シドエアは、 こうした戦 略の一環として使 用する航 空 機︵ボーイング 出資 ︵100%︶ 6 ︵ 米 国 輸 出 入 銀 行 、英 国 E C G D コミット し 続 け る こ と を 目 的 に 、 社 等 ︶の 保 証 が 付 さ れ た E C A ︵Export Credit Agencies︶ ファイ ナンスの二つに 大 別 さ れ る 。 危 機 とい う 追い 風 を 受 け な が ら 、 2 0 1 2 年 度 は 参 入 2 年 目にして ∼$125 2016 2015 2014 た だ 、E C Aファイ ナンスは 、保 証 Export Credit Agencies 料率の上昇によって2013年以降、 8 0 0 億 円の 融 資 を 実 施 。これ は 23 % トップクラスの欧 州 金 融 機 関 と 比べ Commercial Banks 縮 減 す る 見 通 し で あ り 、そ こ を 予 定 して お り 、今 後 も 業 務 は 拡 大 28 % 資 本 市 場 やコマー シャルロ ー ン が て も 遜 色 な い 水 準 で あ り 、 の 約 1 %に 相 当 す る 。2 0 1 3 年 埋めることになるものと 思 われる。 2 0 1 2 年 航 空 機ファイナンス市 場 現 在 の 航 空 機ファイ ナンス 市 場 新 興 国の経 済 成 長にと も な う 航 空 していく 見 通 しだ 。 は 約 1 0 0 0 億 ドル ︵ 1 0 兆 円 ︶。 度 は 1 2 0 0 億 円 程 度 の 融 資 を 旅 客の増 加や 先 進 国での更 新 機 材 ま た 、D B J 自 身 の 業 容 拡 大 21 % (スカイネットアジア航空) ※航空機ファイナンス における一般的な担保 権 (航空機抵当権他) を 設定 (変動金利) 2013 2012 需 要 に よ り 、今 後 2 0 年 で 民 間 Capital Market 30 % 航 空 機 需 要︵ ス トック ︶が 現 在 の のみ な ら ず 、当 行 の 情 報 生 産 力 性 を 活 か して 、新 規 参 入 行 や 地 銀 2 万 機 か ら 2 倍の4 万 機 になる と ︵ 産 業・企 業 を 見 る 目 ︶お よび 中 立 予 測 さ れ 、総 額 4 兆 ドルの 資 金 が シンジケ ー ト・ローンの 組 成 や 債 権 14 % 5% ∼$132 ∼$128 ︵ECA︶ の保証付きローンを取得しているが、今回のように地銀が 関 す る 情 報 提 供 を 行 う と と も に、 必 要 と 言 わ れている 。そ れに 伴い、 等 に 対 し て 航 空 機 ファイ ナンスに 市 場は順 調に拡 大 する見 通 しだ ︵ 図 表 3 ︶。 10 % 7% 出所:Boeing 2013 Current Aircraft Finance Market Outlook 世界の航空機ファイナンス市場の推移及び将来予測 力が高 まっていき 、地 域 密 着 型 金 融が高 度 化していくメリットが Billions 地 域 密 着 型 金 融の高 度 化で 支 援 ││ ソラシドエアに 対 し 、 九 州 地 域 金 融 機 関 による 航 空 機ファイ ナンスをアレンジ Cash ソラシドエア の自社保有化に初めて取り組むことになった。 737 800型機︶ 今 回 のシンジ ケート・ローンは 、この 自 社 保 有 化 のための 資 金 調 達として組 成されたものであり、その意 義は、第 1に、地 域 航 空 (SPC) 購入代金 7 25 % $40 RJ ECAs Tax Equity ∼$104 ∼$95 Lessors’ Self Fund 25 % $80 ∼$116 $120 アレンジャー:DBJ ペイイング エージェント:宮崎銀行 シ・ローン 参加行:九州の地銀 (航空機リース会社) 会 社が本 格 的な航 空 機ファイナンスの手 法で地 元の金 融 機 関から 資 金 調 達 を 行 うのは初であり、 ソラシドエアは今 回のファイナンス により、 リース料の引き下げと為 替リスクの低 減を実 現することが できたこと 。第 2に、 ソラシドエアはく まもんジェット等の投 入に より、地 域 密 着 型のエアラインとして成 長を目 指しているが、今 回 のファイナンスにより、今 後 、就 航 地の地 銀との業 務 面の各 種 連 携 も期待できることにある。 一方 、地 銀にとっては、 こうした案 件 を 通じて金 融ソリューション ストラクチャー概要 複合的な成長モデルの実現に向けて 求められる金融面からの支援強化 1 航空機ファイナンス事例紹介 ── 航空機ファイナンスでアジアの拠点へ Case study.1 (図表3)航空機ファイナンスの市場規模 会計事務所 ソラシドエア を通じて設立 (スカイネットアジア航空) (名目的な 基金拠出) 一般社団法人 エアバンク九州 返済 (株) マンゴー ファイナンス 機材売却 GECAS - Next Japan Next Japan の 役 割 は 非 常 に 大 きいものが あ り ま す 。です から、今 後 も 県 民 を あ げ Conversation 航空産業と地域金融 九州の地銀が本格的な航空機ファイナンスに参入した初の案件として、 マスコミでも 注 目を集めた今 回のソラシドエア ︵スカイネットアジア航 空 ︶ 向けのシンジケート・ローン。参 加した地 銀 5 行の中で中心的 役 割を果た した宮 崎 銀 行の代 表 取 締 役 専 務・平 野 亘 也 氏 と 、アレンジャーを 務めた 日本 政 策 投 資 銀 行︵ D B J ︶ の常 務 執 行 役 員・門 野 秀 行が、今 回の案 件の 〝 九 州・沖 縄の翼 〟へ 1 0 年 目の節 目 という ことで 感 慨 機ファイナンスは、それからちょう ど 意義や今後の地域金融の方向性などについて語り合った。 さ らに高まる地 元の期 待 く ださい。 と の お 取 引 の 経 緯 か ら 、お 聞 か せ 門 野 宮 崎 銀 行 とソラシドエア 様 平 野 当 初 は〝 県 民 の 翼 〟と し て されているのでしょうか。 で、地 元の皆 様にはどのよ うに利 用 門 野 他のエアラインも 就 航 する中 深いものがあ り ま す 。 平野 もともとは1997年に福岡 始 ま り ま し た 。この 間 、宮 崎 県 と し た 。当 行 との 取 引 はこ れ を 機 に 9 月に本 社 を 宮 崎 市に移 転 さ れ ま へと 社 名 を 変 更 さ れ 、2 0 0 0 年 9 9 年 にスカ イ ネット ア ジア 航 空 と く に 若 者 や リ タ イア し た 高 齢 者 安いこ と か ら 、宮 崎 県 民の 間 では 、 ま し た 。大 手 2 社 に 比べて 価 格 が 今では〝 九 州・沖 縄の翼 〟 へと 飛 躍 し 沖 縄 ま で ネットワ ー ク を 拡 大 し 、 熊 本 、長 崎 、大 分 、鹿 児 島 、そ し て 市でパンアジア 航 空 と して 設 立 後 、 スター ト し た わ け で す が 、その 後 、 地 元 経 済 界 が 中 心 と な り 、待 望 その発 展 を 支 援 し ま し た 。当 行 も とって は 航 空 機 が 重 要 な 交 通 イン 新 幹 線 が 通っていない 宮 崎 県 に 久 しかった〝 県 民の翼 〟を かけ 声に、 の旅 行で利 用 度が高いようです 。 地 元 金 融 機 関 と と もに2 0 0 3 年 S A R Sや 鳥 インフルエンザ な どの 今 回の九 州の地 銀 連 携 による 航 空 ば 当 行のD N Aでも あるので、今 回 協 調 しながら 支 援 す ることは、 いわ 振 興 という 意 味でもソラシドエア様 に 初のファイ ナンスを 行いま し た 。 フラ に なっているので 、地 域 観 光 の 流 行 、地 元の場 合で言 う と新 燃 岳の はリスクが 大 き す ぎ るので す 。その あって も 当 行 が 単 独 で 支 援 す るに ているので 、 いかに〝 県 民の 翼 〟では う 。そ ういう イベントリスク を 抱 え と、人の移 動や 物 流 が 止 まってし ま を 築 き たいという 当 行のメッセージ の皆 様 と も W I N エージェント業 務 を 担 うことで、地 銀 い ま す 。ま た 、宮 崎 銀 行 と 共 同 で き た こ と は 大 変 意 義 深いと 思って ドエア 様の 事 業 基 盤 強 化 に 協 力 で 噴 火 、口 蹄 疫 の 流 行 な ど が 起 き る 〝 九 州・沖 縄の翼 〟を 標 榜 するソラシ 門 野 D B Jでは日 本の航 空 機 産 意 味で 今 回 、D B J にアレンジャー を 発 信でき たことも 非 常によかった 地 銀 との いま す 。 業の発 展 に 貢 献 すべく 2 0 1 1 年 として、当 行 をはじめ九 州の地 銀 が と思っていま す 。 て 支 援 す るこ と が 重 要 で 、当 行 も ま た 、ソラ シ ドエア 様 は 社 名 に 5 月に専 門チームを 設 けて、航 空 機 参 加 で き る 仕 組 み を 作って も ら え 平 野 実 際、D B Jでは今 回のよう W I N 構 築し かるよ うに、 アジアを 視 野に入 れ た ファイ ナンスに意 欲 的に取 り 組んで ﹁アジア﹂を 入れていることからも 分 き ま し た 。その結 果 、この2 年 間で たことは非 常にあ りがたいと感じて なファイ ナンスを 地 銀 と一緒 に 組 成 WIN 航 空 会 社 を 目 指しているのだと思い 多 くの実 績 を 得るとともに いま す 。 サ ポ ー ト も し ていき たいと 考 え て 地 域 活 性 化 を 支 援 する ま す 。宮 崎 県 を 始 め 九 州 の 観 光 1000億円を超える融資を行って 利 用 し、 ファイナンスとは違 う 形での 産 業 も 、今ではアジアからの旅 行 客 門 野 地 域 の 活 性 化 や 発 展 を 、 することは多いのでしょうか。 W I Nの関 係 を 抜 き に し て は 考 え ら れ ま せ ん 。 き ま し た 。た だ 、これ までの案 件の 当 行 単 独ではな く 地 域の皆 様 方 と 門 野 既に申し上げ たように、当 行 飛 躍 を 支 援 で き る よ う な 機 会 を い 今 回 のシンジ ケ ー ト・ ンス に 続 いて 、九 州 の 地 銀 が そ の です 。日 本では 前 例のな 意 味で D B Jには、今 回のファイ ナ ロ ー ンについて は 、ど の 航 空 機ファイナンスが 成 長 性のある 実 績 が 生 ま れ てい ま す 。加 え て 、 ること を 始 めていて 、す でに 数 件の の保 証 付 きローン︶ の債 権 を 譲 渡 す れからE C Aローン ︵輸出信用機関 機ファイナンスに関しては、昨 年の暮 では 地 銀の皆 様 との連 携 を 重 視 し 作っていただきたいと思っていま す 。 よ う な 印 象 を お 持 ちで 分 野で あ ること を 説 明 す る 機 会 と いず れ は そ の す る という 動 き も あ るので、 ソラシ こ と か ら 、 門 野 た し かに 、 ソラシドエア 様 は しょうか。 して、地 銀 を 始めとする新 規 参 入の な が らさ ま ざ ま な 業 務 に取 り 組 ん アジアへのネットワーク 展 開 を 視 野 平 野 航 空 機ファイナン 方々向 けの航 空 機ファイ ナンスセミ ノウハウを 国 内にも 還 元 も 引 き 続 き 、航 空 業 界 に 対 す る スに お け る 最 大 の 問 題 に 入 れてお ら れるよ う なので、我々 は、航 空 業 界 特 有のイベ ドエア 様 には 航 空 会 社 と して も う 知 見 を 深め、 ファイナンス手 法のノウ ナーを 今 年の2 月に開 催し、3 0 行 今 回の提 案に至ったわけ ハウを 蓄 積 して将 来への準 備 を 進め ントリスクの大きさです。 近 くの地 銀の皆 様に参 加していただ ていかなくてはならないと思っている 事 故 の 場 合 のみ な ら ず で きているので す が 、その中で 航 空 中 心 は 海 外の航 空 会 社 向 け だった - 一段の飛 躍 を 期 待 していま す 。その し たいとの 思いが あ り 、 ま た、特 産の農 作 物 をアジアに輸 出 - 対談 門野 秀行 平野 亘也 氏 ユー ザ ー と し てソラ シ ドエア 様 を ところです 。 航空産業と地域金融 日本政策投資銀行 常務執行役員 宮崎銀行 代表取締役専務 8 9 Next Japan Next Japan 航空産業と地域金融 Customer's voice 町田 修 氏 が 、や は り 、どのよ う に は 承 知 し ているので す ナンスのリスクについて あ るので 航 空 機 ファイ けることを 期 待していま す 。 状 況 を 打 開 す る 提 案 を していた だ と 思 わ れ ま すので、D B Jにはこの 化は他の地 銀にとっても 大 きな課 題 門 野 今 日の 実 績 を 築 く ま で と思いま す 。 で、取 り 組みやすかったのではないか つD B J がアレンジャー という こと 多 くの実 績 と世 界 的 な 情 報 力 を 持 として、今 回のよ うに地 域に根 ざし 今 回のよ うに県 境 を 越 えて 地 域 があると考 えていま す 。 そ れ を 地 元 で 活 用 で き る よ う に たファイナンスは希 有なので、当 行 と リスク分散し、 かつリスク アレンジしていき たいと 思っているの しても 何 とか早 く 第 2、第 3の事 例 2 年の時 間 を 要しましたが、地 元で で、今 回 経 験したようなアセットファ を 実 現できるように努めたいと 思っ の 銀 行 が一体 と なって 地 域 企 業 を イ ナンス形 態の融 資 を 航 空 機 以 外 ていま す 。本 日 は あ り が と う ご ざ ヘッジ し て い く の か が 航 空 会 社 自 体の信 用 力 の案 件でも 実 現でき ればと 思ってい いました。 集 めた 資 金 を 地 元の優 良 企 業のた は も ちろんのこと、換 金 ます。 支 援 す る というのは 新 鮮 な 取 り 組 価 値の高い優 良 な 機 種 加 え て 、地 銀 の 広 域 連 携 に は 、 課 題でしょうね。 を 慎 重 に 選 別 し 、両 者 アレンジャー 役 を 務 める 金 融 機 関へ めに使っても ら う 。ひいては、そ れが を か け 合 わ せて 考 え ていく 必 要 が の 信 頼 感・安 心 感 みだ と 思いま す 。我々も 今 後 、積 極 あると思いま す 。私 自 身、 ボーイング が 不 可 欠で す 。そ 門 野 そ の 点 について き ました 。1 1 月には2 回 目のセミ 社やエアバス社の方々と 対 話 す る 中 の意 味で中 立 的な 地 域 の 発 展 につな が る 。そ う し た ナ ー も 予 定 していて 、ここではボ ー す る 期 待 が 非 常 に 高いという こ と に臨 場 感のあ る 話 を していただ き 、 で感 じるのは、日 本の金 融 機 関に対 イング社やエアバス社 、 メーカー 各 社 です 。地 域 金 融の新 しい形 としての 立 場のD B J が 的 に 新 しい分 野 に 出て 行って 、さ ま 具 体 的 な 案 件 組 成 につな げ たいと 今 回のよ う な 航 空 機ファイ ナンスへ アレンジ す る と 各 は 、我 々 自 身 も さ ら に 思っていま す 。 の取 り 組みを 、ぜひ両 社にも 伝 えて 県の地 銀 も 参 加 ざ ま な 貸 出 形 態 を 学 び 、最 終 的 に 〝 金 融の地 産 地 消 〟とも 言 える事 例 航空機ファイナンスに続く い き たい し 、そ う い う 中 で さ ら に しや すいと 言 え る 勉 強 を 重 ねていく 必 要 〝 金融の地産地消 〟の事例を 両 社 からの日 本への期 待 が 高 まるの イナンスに取 り 組 むにあ たって考 え で、地 元での運 用 だ けでは 賄いき れ 平 野 総 じて 地 銀 は 預 金 が 潤 沢 て も 、航 空 機 ファ の 参 加 各 行 に とっ で しょう し 、今 回 ておられることはございま すか。 イ ナ ンス について 門 野 今 後 、引 き 続いて航 空 機ファ ではないかと思っていま す 。 平 野 私 自 身 、審 査 担 当の立 場 に ていないのが 現 状で す 。運 用の多 様 完 全 更 新の予 定で 、同 下 期 以 降 は 全 8 0 0︵ 1 7 4 席 ︶に コスト競争力を強化し 1 1 機のう ち 4 ∼ 5 機 を 自 社 保 有 化 B737 新規路線開拓にも取り組む 競 し たいと 考 えていま す 。ま た 、新 路 線 争が激 化 する航 空 業 界にあって、当 社においては長 期 的 な その際 は 、採 算 性 を 第 1 に 就 航 地 を 開 拓 し てい き たいと 考 え ていま す 。 について も 、次の成 長 戦 略 を 描 く 中で コスト 競 争 力 を 強 めることが 最 大の経 営 課 題 と なってい 決 め る こ と に な る で しょ う 。当 然 、 九 州の各 県 は、農 産 物の輸 出や 生 産 拠 点 作 り 、観 光 振 興 な どで ます。今 回の、当 社 初 となる航 空 機の自 社 保 有 化のための航 空 機 そのための手 段 としてオペレーティング・リースからファイナンス・ アジアへの積 極 的 な 売 り 込みに動いているので、そ う した 活 動のお 九 州 │アジア 間 は 選 択 肢の1つで す 。 リースへの切 り 替 え を 検 討し始めたのが、今からちょう ど1 年 前 。 手 伝いができ ればと 思いま す 。これから 検 討 を 進め、実 際に就 航 ファイナンスも、第 1の目 的は単 年 度のコスト削 減でした。 ただ、当 社 としては最 初からファイナンス・リースあ り きではなく 、 魅 力 を 積 み 上 げてブランド 力のあ るエアラ インになることで す 。 する場 合は2 0 1 6 年 以 降になるでしょう 。 で、当 社にとっては願ったり 叶ったりの内 容でした。 実 際に、お 客さ まの属 性 を 調べてみると、観 光・レジャー、帰 省 目 的 各 社からご提 案 をいただ き 、その内 容が本 当に当 社の今 後の経 営 今 後の成 長 戦 略 を 描 く 中では当 然 、銀 行 借 入による で利 用 される方 が 多い。3 0 代のお 母 さんが 子 供 を 連 れて、ある 当 社 が 目 指 すのは、地 域の方にファーストチョイスしていただけ 資 金 調 達が必 要になるでしょう 。その意 味で今 回 、新 た いはリタイアした高 齢 者の方が旅 行で、 というケースが多いのです 。 にとって有 利 なのかを 見 極めてから最 終 判 断 しよう と考 えていま に九州 各 地の地 銀 との関 係が築 けたことは幸いでした。 これ も 当 社のブランドイメージが支 持されているためだと思ってい るエアライン。価 格 面 だけではな く 、機 内がき れい、客 室 乗 務 員が ま た 、地 域 に 根 ざ し た 航 空 会 社 と し てソラ シ ドエア ま す 。機 材の自 社 保 有 も そ う し た 魅 力 作 りの一環 と も 言 え るわ し た 。その中で D B Jの提 案 は、 ファイ ナンス・リースに就 航 地の ブランドを浸 透させ、当 社 機を利 用していただく 上でも、 けで、今 回 、地 銀 からお 借 り した 資 金 は、も と も とは 地 域の皆 様 親 切 でサ ービスも き め 細 かい、雰 囲 気 が 温 かいな ど 、1つ1つの 各 地 域の地 銀 との付 き 合いを 強めていくことはプラスな の預 金 。 つま り 、地 域の皆 様のお金が当 社の機 体のために使われて 地 銀 連 携 によるシンジケー ト・ローンを 組 み 合 わ せる という もの ので、まさに一石三鳥 との思いを 強 くしていま す 。 いただけると嬉しいですね。 おり 、 ﹁この飛 行 機は私の飛 行 機 ﹂という 繋がり を 感じて応 援して 4 0 0︵ 1 5 0 席 ︶か ら 新 型 の 10 11 Conversation スカイネットアジア航空株式会社 常務取締役 - 今 後 、2 0 1 4 年 度 上 期 までには運 航 機 材 を 現 在の B737 - Next Japan Next Japan 2 航空機ファイナンス事例紹介 Case study.2 トルコ航空に対し、 円建て債券転換オプションを付与した 米国輸出入銀行保証付 くことによって、米 国 債より高い利 回りとなるとともに、円 建て債 券の元 利 金の支 払いが1 0 0%保 証されるため、航 空 機ファイナン スという新たな投資分野を獲得しやすくなる。 航 空 機ファイナンス市 場で日 系 金 融 機 関への期 待が高まる中 、 〝 純 和 製ディール〟 として実 行されたこのファイナンスは、成 長 を 続け、資 金 需 要が旺 盛 な 世 界の航 空 機 市 場と日 本の金 融 市 場 を 新しいファイナンス手 法の開 発にも 取り 組んでいる 。今 春 、トルコ 日本における航空機ファイナンス市場の拡大に向けて、DBJは 世界初の円建てによる組成により、日本における航空機ファイナンス 分 野で債 券 転 換が可 能なファイナンスはドル建てに限られていた。 に資 する先 進 的 な 取り組みとなった。従 来 、航 空 機ファイナンスの ファイナンスをアレンジ 航空に対して行ったファイナンスもその一例だ。 の裾野は着実に拡大している。 結びつけることにより、航 空 業 界および日 本の金 融 市 場の活 性 化 トルコ航 空は、イスタンブールに本 拠を置 く 世 界 最 大 規 模のネッ トワークを 有 するトルコ共 和 国のナショナルフラッグキャリアだ 。 発 展に向けては、 こうした状 況 状 だ 。日 本 の 航 空 機 製 造 業 の ついて は 戦 え てい ないの が 現 管 理・操 作 するシステム部 分に い う 役 割 が 多 く 、航 空 機 を ﹁ 部 品 供 給・モジュール分 担 ﹂と 依然 、欧米プライムメーカーへの し た 。だ が 、世 界 的 に 見 れ ば 開 発 に 取 り 組 む までに 発 展 小 型 ジェット 旅 客 機︵ M R J ︶ 同 開 発の時 代を経て、今 、国 産 の挑戦 、機体・エンジンの国際共 後 、初の国 産 旅 客 機 Y S 1 1 止 さ れ た﹁ 空 白 の 7 年 間 ﹂の 敗 戦によって 航 空 機 製 造 を 禁 日 本の航 空 機 製 造 業は、 れ る 航 空 機の 整 備 ビジ ネスだ 。 が 高いの が M R O︵ 注 2 ︶と 呼 ば ま た 、装 備 品 と と も に 付 加 価 値 装 備 品 の 付 加 価 値 が 極 めて 高い。 傾 向 を た ど る と いった 悪 循 環 が 装 備 品 が 6 0 ∼ 7 0 % を 占 め 、 の 規 模 は 拡 大 し た が 、利 益 は 減 少 部 分 が そ れ ぞ れ 1 5 ∼ 2 0 % 、 企 業の共 同 開 発のシェアやビジネス が、その製 造コストは機 体 とエンジン 装 備 品︵ 注 1 ︶の3つに 分 類 さ れる 第 2は、 いびつな付 加 価 値 構 造だ。 な ど に 十 分 な 力 を 持つ 大 手 企 業 規 模であ り 、国 内 機 械工業の中でも の生 産 額は米 国の1 割にも 満たない と 言 わ れ るに も 関 わ ら ず 、航 空 機 世 界で 勝 ち 抜 け る 可 能 性 が あ る ものづく り 技 術 が 高い日 本 企 業 は 障 壁 が 生 じているのだ 。 航 空 機 の 部 位 は 機 体・エン ジ ン・ し か 参 加 で き ないという 高い参 入 1 % 程 度 に す ぎ ない。 こ う し た 特 異 性 に よって 、日 本 あ る 。そ の 結 果 、航 空 機 製 造 ビジ 投 資 回 収 を 図 る といった 商 慣 習 が 行い、M R O を 含 め た 総 合 採 算 で 新 機 種 普 及 のた めに 廉 価 販 売 を を 結 んで リスク を 分 担 し た り 、 先 端 技 術 を 集 め た 産 業 と 言 わ れ 、 契 約︵ 注 3 ︶な ど 特 殊 な 契 約 関 係 拡 大 する市 場 、周 辺 事 業 を 国 内に取り込 め 生 ま れている 。 ネスには 組 織 力 や 投 資 力 、技 術 力 から 脱 却 し 高 付 加 価 値 化 を 3 0 年 が 寿 命 と 言 われる 航 空 機 た め 、M R O ビジ ネスが 安 定 的 な 世 界 的 な 成 長 産 業 と して 大 き す る た めには 、今 後 2 0 年 で 機 体 収 益 源 と な る 。こ の 装 備 品 と れているのだ 。 ストック 数 が 現 在 の 2 万 機 か ら 4 な 注 目 を 集 める 航 空 機 産 業 。その 第 3 は 巨 額 な 投 資 ゆ え の 高い 万 機へ 倍 増 す る と 言 わ れ る 市 場 M R O とい う 2つの 高 付 加 価 値 参 入 障 壁 だ 。航 空 機の研 究 開 発 に を 、ま たファイ ナンスや 整 備 な どの 中 で日 本の航 空 機 製 造 業 が 成 長 は 巨 額 の 投 資 が 必 要 な た め 、航 空 周 辺 ビジ ネスを 確 実 に 国 内 に 取 り ビジ ネスが 欧 米 企 業 にほぼ 独 占 さ モデルには 、3つの 特 異 性 が あ る 。 機 製 造 業 のアッセンブ リ メ ー カ ー 込 む こ と が 必 要 だ 。そのた めの方 日 本の 航 空 機 製 造 業のビジ ネス その 第 1 は 産 業 規 模の 小 さ さ だ 。 とサプラ イヤー 各 社 間では R S P 日本 の 航 空 機 製 造 業 の 特 異 なビジ ネスモデル 図 るこ と 、す な わ ち ビジ ネ ス リース料支払 みずほ証券/DBJ証券 は整 備 を 続 け ながら 使 用 される 発行代 わり金 モデルの転換が不可欠だ。 保証 D B Jは、みずほ証 券 株 式 会 社 とともに、トルコ航 空が取 得 する ボーイング機︵ 4 機 ︶を 対 象に、円 建て 債 券への転 換 オプションを 付 与した米 国 政 府 保 証︵ 米 国 輸 出 入 銀 行の保 証 ︶付 融 資 案 件︵ 約 1 6 0 億 円 ︶を 世 界で 初めてアレンジし 、株 式 会 社みずほコーポ レート銀行 ︵現・株式会社みずほ銀行︶ とともに融資を実施した。 その後、 本年6月にトルコ航空が同オプションを行使したことから、 みずほ 証 券による 債 券 引 受︵ 約 1 2 0 億 円 。契 約 上 、オプション 行 使の対 象は3 機 ︶ が行われ、 みずほ証 券およびD B Jグループの D B J 証 券 株 式 会 社を通じて日 本 国 内の投 資 家︵ 地 銀 、生 保 等 ︶ へ販売された。 トルコ航 空にとっては、日 本︵ 成田、関 西 ︶就 航による円の収 入を 元 利 金の返 済にあてることでナチュラルヘッジ ︵バランスシート上の 国内投資家 トルコ航空 円建て 債券 発行代 わり金 元金利 みずほ証券 円建て 債券発行 ローン返済 米国 輸出入銀行 ストラクチャー概要 (債券転換オプション行使時) SPC DBJ MHCB 資 産 と 負 債に同じリスクを 抱えることによってリスクを 回 避 する こと ︶が可 能 にな る 円 建 ての 資 金 を 調 達 したのち 、市 場 の 動 向 を 見 な がら 債 券へ転 換 す ることで 満 期 日 までの 1 2 年 間 分 の 利 払い負 担 を 軽 くできるメリットがある一方 、国 内 投 資 家にとって ──ビジネスモデルの転換期迎えた日本の航空機製造業 は、円 建て債 券としては世 界 初となる米 国 輸 出 入 銀 行の保 証がつ サプライヤー的役割を脱し、 高付加価値化の実現へ 12 13 Next Japan Next Japan し 、リターン配 分 について 当 事 者 間 関 といった 金 融 投 資 家 等 で 分 散 費 をメーカー 同 士や 商 社や 金 融 機 共 有・分 散 化 す る こ と 。研 究 開 発 研 究 開 発 費の 負 担 を 、他の 企 業 と 日 本 企 業 に 求 め ら れて き た 巨 額 の 第 1 は 、国 際 共 同 開 発 に おいて 4つだ 。 向 性 と し て 考 え ら れ るのは 次 の 第 3 は 高 付 加 価 値 品の塊 で あ 生産体制を強化することが必要だ。 を 加 速 さ せ るこ とで 、国 内 での一貫 を 開 始 し た 。今 後 も こ う し た 動 き 能 で あった 大 型 鍛 造 品の製 造 事 業 造 プレス を 導 入 し 、国 内 で は 不 可 能 力 5 万 トン 級 の 最 新 鋭 大 型 鍛 岡 山 県 倉 敷 市 ︶は 国 内 初 と な る なっており 、国 内でのM R Oビジネス 航 空 会 社 に とって 大 き な 命 題 に 費 をいかに 有 効 に 削 減 す るか が 各 す る 中 で 、毎 年 上 昇 を 続 け る 部 品 年 4 月 、日 本エアロフォージ︵ 本 社・ の 自 由 化 な ど に よ り 競 争 が 激 化 そ う し た 状 況 を 打 開 すべく 、今 の拡 大 が 求 めら れている 。 委 託 して 行っている 。し か し 、航 空 のが あ る 。 の主 な 支 援 事 例 には 次のよ う な も 込 む 取 り 組 み を 続 け ている 。近 年 な ど 、成 長 産 業の 糧 を 国 内 に 取 り 引 、機 械 加 工 等 周 辺 企 業への 支 援 ジンを 購 入 し 、リ ース 事 業 を 行 う チュー リッヒ︶が 保 有 す るスペアエン Eng ines︵IAE︶社︵拠点 Internat iona l Aero ︵ 1 ︶V リ ースの立 ち 上 げ で 合 意 す る こ と が で き れ ば 、メ ー カ ー と 投 資 家 双 方 に とってメリッ る 装 備 品 ビ ジ ネ スへの 注 力 だ 。前 べく D B Jの1 0 0 % 出 資 によ り 航 空 機 産 業の発 展に向 け た D B Jの取り組み 述 の 通 り 、航 空 機 の 装 備 品 ビジ ネ な る こ と に 加 え 、欧 米 企 業 との 交 カーの投 資 に 対 す る 規 律 付 け に も 安 全 性 や 快 適 性 を 追 求 し てい く 行 時 代の1 9 8 6 年 か ら 経 済 産 積 み 、電 子 機 械 化 しているよ う に、 だ 。D B J は 、前 身 の日 本 開 発 銀 自 動 車 が システ ム 機 器 を 多 く 業 省︵ 旧・通 商 産 業 省 ︶と一体 と ト が あ る 。し か も 、金 融 投 資 家 が V リ ース を 設 立 し た 。I A E は 、 渉で 有 利 な 条 件 を 獲 得 す る う え と、 いず れ 航 空 機 も 構 成 部 位 と し なって 、補 助・低 利 融 資 で 航 空 機の 欧 米 のエンジンメー カ ー や 日 本 航 ビ ジ ネ スに 参 入 す る こ と は 、メ ー スの付 加 価 値 は 極 めて 高い。現 在 、 航 空 機 産 業 の 発 展 に 向 け て は でも 有 効 だ 。 てシステム関 係のシェアが 高 ま る と 金 融 面 か らの サ ポ ー ト も 不 可 欠 第 2は素 材と加工の融 合だ。日 本 機 体・エンジンの共 同 開 発 を 支 え 続 る 国 内 唯一の 金 融 機 関 と し て も 、 予 想 さ れ る 。こ う し た 流 れの 中 で 多 くの問 題 意 識 を 業 界 と 共 有 し のメーカーは 機 体 やエンジンの製 造 と な る チ タ ン 、ニッケ ル 、ア ル ミ 、 第 4 は 収 益 機 会 と し て 重 視 さ ている 。 け て き た 。過 去 2 0 年 余 に わ たっ れ てい る M R O ビ ジ ネ スの 拡 大 そ して 2 0 0 8 年の 民 営 化 以 装 備 品 ビジ ネスに 注 力 す るこ と は C F R P︵ 炭 素 繊 維 複 合 材 ︶な ど だ 。国 内の 各 航 空 会 社 は 航 空 機の 降 も 、投 融 資一体 型 の 金 融 を 通 じ に おいて 、素 材 加 工 に 優 れ た 能 力 で も 優 れ た 製 品 を 開 発・生 産 して 整 備 について 、軽 度のものは 自 社 で て 産 業 を 育 成 す る 銀 行 と な るこ て 航 空 機 産 業 との 取 引 を 継 続 す 大 型のプレス機 が 国 内 にないため 、 対 応 し ている が 、4 年 に 1 回 必 要 いる 。だ が 、素 材 の 加 工 に 必 要 な と な るエンジンの 点 検 、機 体 構 造の と を 目 指 して 、国 際 共 同 プロジェク 極 めて 重 要 だ 。 日 本 で は一貫 生 産 が で き ない 部 品 検 査 、各 システ ム諸 系 統 の 点 検 な を 発 揮 し ている が 、実 は そ の 素 材 が 多 く 、付 加 価 値の 面 で 不 利 な 立 等︶ への 情 報 提 供 や 、日 本 企 業 と トへの 投 資 、欧 米 企 業 との 直 接 取 昨 年 6 月にD B J および三 菱 T E Sの協 働 可 能 性 を 探 る 等 、 ど 重 整 備 は 、海 外のM R O 企 業 に 商 事 が 共 同 で 、独 D V D M R O ビジ ネスの日 本への 取 り 込 D B J 2 5 % ︶。 T E Sは、①エンジンマネジメント、 ②エンジンリ ース 、③エンジン 部 品 エンジンの取 引 価 格 、各 航 空 会 社の ① で 機 材の 退 役スケジュール、中 古 等 の システム 部 分 と 、客 室 室 内 装 備 品 を 指 し 、油 圧・与 圧・推 進・電 源 システム 位 の う ち 、構 造 部 分 、エンジン部 分 以 外 販売の3事業をコアビジネスとする。 ︵ 注 1 ︶装 備 品 エンジンメンテ ナンス 状 況 、 エンジン とに 分 け ら れ る 。 会 社 や M R O 事 業 者 に 対 してコン Repair & Overhaul=整備・ 化 す る 。そ のデ ー タ を 元 に 、航 空 ︵注2︶MRO Maintenance, れ 、独 自 のシステムでデ ー タベース パーツの 実 勢 価 格 等の 情 報 を 仕 入 航 空 機 を 構 成 する部 取 得 し た︵ 三 菱 商 事 3 5 % 、 み を 支 援 している 。 B a n k 所 有の T E S 社 株 式 を 場 を 余 儀 な く さ れている 。 空 機エンジン協 会︵ J A E C ︶な ど の 共 同 出 資 によ り 設 立 さ れ た 合 弁 会 社で、 エアバスA 3 2 0シリーズ に 搭 載 さ れ る V 2 5 0 0エンジン の 製 造・販 売 を 手 が け て い る 。 I A E と各 航 空 会 社は長 期 整 備 契 約 を 締 結 し て お り 、こ れ に 基 づ き 、保 有 す る 航 空 機エンジンの 整 備 が 必 要 に なった と き 、I A E が 各 航 空 会 社 に 対 してスペアエンジン の短期的な貸出を行っている。 つまり、 スペアエンジンは M R O ビジ ネスを 獲 得 す る た めに 必 要 なコア 資 産 と いえ る 。 本 件 は 、I A Eのオフバランス化 サルティング サ ー ビス︵ た と え ば 、 修 理・重 整 備︵ 分 解 点 検 ︶の略 称で 、航 空 名 古 屋 市 ︶で 開 発・製 造 と M R O ビジ ネ ス 支 援 の た め 、V 航 空 会 社 に 対 し て 、ど この M R O 社︵ 本 社 リ ースがスペアエンジンを 購 入 し 、 が 進 め ら れ てい る 日 本 初 の 小 型 事 業 者 を 使 え ば もっと も 安 く 整 る D B J が 実 施 す るこ とで 、合 弁 る が 、J A E Cの 最 大 支 援 者 で あ だ 。直 接 的 には I A Eの 支 援 に な 議 論 に 加 わ り 、銀 行 と して 唯一、設 D B J は M R Jの構 想 段 階 か ら るエンジンの 価 格 算 定 、 エンジン 部 Y S 1 1 以 来 4 0 年 ぶ り で 、 ② お よ び ③ のビジ ネスに 必 要 と な 自の旅 客 機 を 開 発 す るのは 品 供 給のタ イ ミング 等 も ① で 得 た 必 要 と な る 航 空 機 機 体・エンジ ン 開 発 巨 額 な 研 究 開 発 資 金や販 売 支 援 金が 機の整 備・修 理に関 わる 諸 産 業の総 称 。 I A E と リ ース 契 約 を 行った も の ジェット 旅 客 機︵ 写 真 ︶。日 本 が 独 会 社 内 部 にお け る日 本 企 業の存 立 出 資 者 と して 参 画 し た 。 Limitedへの出 資 テコに 、国 内 整 備 ビ ジ ネ スの 拡 大 す る T E Sの株 主 と しての地 位 を 整 備 業 界 で 深い 知 見 と 経 験 を 有 D B J は 、航 空 機 エン ジ ン の 情 報 が その判 断の鍵 と なっている 。 入分配方式。 ジン 、スペアパーツの 販 売 収 入 を 得 る 収 分 担 し 、参 加 シェアに 応 じ て 機 体 、エン に 用いら れ る 契 約 形 態 。開 発 と 量 産 を Partner︶ 契約 TES Holdings Limited を 企 図 す る 国 内 引 先︵ T i e r 1 Sharing 備 を 行 え る か 等 ︶を 行 う 。ま た 、 ︵注3︶RSP︵Risk Revenue 在 感 が 高 ま る と と も に 、M R O ビ ジネスを 日 本 に 取 り 込 む 交 渉や 調 英 ウェールズ ︶は 、航 空 機 14 15 三菱航空機 (株) 提供 エンジンの総 合マネジメント 事 業 者 。 サプラ イヤーのみな ら ず 金 属 加 工 ︵本社 整 を D B J 自 身 が 働 き か け る こ ︵ 3 ︶T E S Hold ings と も 可 能 になった 。 ︵ 2 ︶M R Jプロジェクトへの参 画 M R J は 、三 菱 航 空 機 株 式 会 - Next Japan Next Japan 複合的な成長モデルの実現に向けて 求められる金融面からの支援強化 ── 航空機ファイナンスでアジアの拠点へ ── 農業ビジネス支援で期待高まるベジプロバイダー事業 ││ 農業ビジネス支援で期待高まるベジプロバイダー事業 ﹁ 明 後日 までにキャベツを 1 トン し た 営 業 代 行 、品 質 管 理 保 証 、 と購 買 者の間に立って、現 場に密 着 スタッフ ︵ベジプロバイダー︶ が生産者 ベジプロバイダー事 業 とは、専 門 もスムーズに進むのではないか。 れば取 引 価 格や量 も 安 定 し、需 給 出荷までのトレーサビリティを行い、 生 産 現 場 管 理 を 代 行 し 、種 か ら 購 買 者 向けでは、購 買 者に代わって 交 ぜ て 営 業 活 動 を 行 う 。ま た 、 秘 め ら れ たスト ー リ ー 等 も 織 り して 用 意 、生 産 者の思いや 商 品 に トレー サビリティを 営 業ツールと 正確な生産・ 購 買 情 報の 共有を目指して 欲 しい、人 参 1 0 0 キロ、明日 まで 生 産 者の 育 成 、 マー ケット インの 開 発 した I Tシステムも 活 に 売 り たい││ 青 果 流 通 の 現 場 で 、産 地 も 曖 昧 に なった り す る 。 用 している。フィールドサー 収 穫 予 測など成 長 分 析 結 果を これでは農 家 が 倒 れるのは当 た り バーは、 カメラや温 度、湿 度、 商 品 開 発 などを 行 う ものである。 前 。青 果 流 通 関 係 者が皆ハッピーに 日 射 な どの各 種センサー を では、 生産者︵農家︶と購買者︵小売 なる方 法はないかと考 えてたどり 搭 載 した 環 境 計 測 機 器で、 踏 ま えて購 買 者に知 らせることで 着いたのがベジプロバイ ダ ー 事 業 インター ネット 上で 農 産 物 す なわ ち 生 産 者 向 けには、要 望に でした﹂ の 生 育 状 況の 閲 覧 、 デ ータ 業 者 、食 品 加 工 業 者 な ど ︶を 結 ぶ 起業の理由をそう語る加藤氏が 分 析ができる。 エムスクエア・ 急 な 出 荷 量 不 足 、大 量の不 良 品 を 目 指 すのは、生 産 者 と 購 買 者 間の ラボでは、 取得データの蓄積・ 沿った売り先を探すと同時にリスク 情 報 共 有 を 進 め る こ とで 農 産 物 閲 覧 機 能 、グラフ 分 析 等の 情 報の不 足から、 日々こうしたリス 需 給のミスマッチを な く すことだ 。 アプリケーションを提 供して 出すリスクを抑制する。 農 家 はいつ・何 を・どれだ け・どこに いる 。畑の農 作 物の生 育 状 分 散のために最 適 化 を 行 う 。生 産 売 り たいのか。購 買 者はいつ・何 を・ 況 を 2 4 時 間 チェック す る キ ー な 取 引 が 行 わ れ てい ま す 。 ど れ だ け・ど こ か ら 欲 しいの か 。 こ と がで き るので 、最 新 の フィールドサーバーを 使って独 自 をもたらす成長事業として育成することを目的に、一昨年から 「DBJ女性新ビジネスプラン 現 場 に 通 い 、種 か ら 出 荷 ま で の コンペティション」 を開催している。募集対象となるのは、創業期にある女性経営者による事業で、 通 信 手 段 も 電 話 とファックスだ け 日本政策投資銀行(DBJ) では、女性による新しい視点でのビジネスを社会や経済に変革 その正 確な情 報を事 前に共 有でき その第1回コンペティションで「DBJ女性起業大賞」 を受賞したのが、株式会社エムスクエア・ が高く) かつ事業として大きな成長が期待できる (事業性が高い) ビジネスプランだ。昨年6月、 ラボ (本社・静岡県菊川市)代表取締役社長の加藤百合子氏だ。受賞対象となったのは、IT を活用して既存の青果流通システムが抱えるリスクを低減し、生産者と購買者を直接つないで 農産物を安定的に供給する 「ベジプロバイダー事業」である。 で 、もっと 子 供 た ちの生 活 や 将 来 2 人の 子 供の 成 長 と 向 き 合 う 中 までになったが、その間に生 まれた 7 年 間 勤めリーダー役 を 任される 用ロボットの研 究 開 発に携 わった 。 静岡県に移り、 機械メーカーで産業 2 0 0 2 年 、夫 の 勤 務 先 が あ る 仕 事 を 経 験 。その後 、結 婚 を 機 に の 大 手 メー カ ー で 半 導 体 関 連 の を 経て2 0 0 0 年に帰 国 し、東 京 航空宇宙局︶ でのプロジェクト 参 画 後 は 英 国 留 学 、米 国 N A S A︵ 米 農 業 用ロボットの研 究 だった 。卒 業 進 んだ が 、そ こで 取 り 組 んだのは 生 きていた 。大 学 は 東 大 農 学 部へ 5 月 。そ れ ま で は 工 業 の 世 界 で 志 して 起 業 し たのは 2 0 0 7 年 加 藤 氏 が 農 業 ビジ ネス 支 援 を 子 供の生 活 や 将 来 に直 結 し た 仕事で起業する ることも容易だ。 情 報 を 生 産 者・購 買 者 双 方に届 け 技術、サービス、 ビジネスモデルにおいて新規性あるいは高い付加価値が期待でき (革新性 に 直 結 し た 仕 事 が し たいとい う 16 17 Scenes of Solution ﹁女性新ビジネスプラン コンペティション﹂で 女性の起業活動を総合的に支援する 「女性新ビジネスプランコンペティション」で 女性の起業活動を総合的に支援する Scenes of Solution Scenes of Solution Scenes of Solution 「女性新ビジネスプランコンペティション」で 女性の起業活動を総合的に支援する ── 農業ビジネス支援で期待高まるベジプロバイダー事業 Scenes of Solution ﹁ 農 業は手つかずの部 分が多い。 映ったという 。 比べよ う も ないほど 遅 れた 産 業に 加 藤 氏 の 目 に 、農 業 は 工 業 と は 前の工 業の世 界 で 生 き て き た の姿に触 れた 。P D C A が 当 た り が あ り 、生 ま れて 初 めて 農 業の生 ネス人 育 成 講 座 に 参 加 す る 機 会 そんな 中 、静 岡 大 学の農 業ビジ ﹁エムスクエア・ラボ﹂を 開 業した。 分 野 で 起 業 す べく 個 人 事 務 所 気 持 ち が 募 り 、退 社 を 決 意 。農 業 イベント をやった り 、実 際の青 果 取 集 め た り 、農 家 さ ん 同 士 の 交 流 農 家の生の情 報 を き め 細 か く 管 理に携 わ り ま した 。その過 程で え る た めのプロジェクト ︶﹄の運 営 ジャパン︵ 農 業 情 報 を 国 内 外へ伝 2 0 1 0 年 か ら﹃ アグ リ グラフ・ ﹁ 静 岡 県 から 事 業 委 託 を 受 け 、 という 。 げ る う え で 大 き な 宝 物 に なった がベジプロバイダー 事 業 を 立 ち 上 化 した。そして、 ここからの2 年 間 性のあるものにすべく 組 織 を 法 人 した 事 業 を 収 益 性 と持 続 この時 、加 藤 氏 は 自 ら 興 上げ たのです ﹂ 情 報 シェア サ イ ト を 立 ち 2 0 0 9 年 1 0 月 、農 業 に し たい と 考 え て 、 に農 業 界の情 報 を オープン く らいは 見つけ ら れるよ う の問題で、 他の産業が入り口 情 報 がとれないことが 最 大 と 感 じ ま し た 。と に か く ︵ 産 業 として︶遅れるばかり て 何 も 変 革 さ れ ないか ら そ う し た 中 で D B J のコンペ だった。 を 作 り 上 げ 、運 用 を 始 め た の ができるベジプロバイダーの仕 組み 生 産 者 と 購 買 者 を 支 援 す ること 検 討 を 重 ね、情 報の仲 介 を 通 じて に す る シス テ ム が 作 れ な い か と リスクを 低 減 し、安 定 供 給 を 可 能 る こ と を 痛 感 。な ん と か 流 通 の きい反 面 、大 き なリスクを 負ってい 購 買 者の 間 に 入 る 卸 は 利 益 も 大 この1 件で 加 藤 氏 は、生 産 者 と いう 事 態に追い込 まれたのだ。 百 万 円の売 掛 金が回 収できないと 原 因 だった 。そ して 、加 藤 氏 も 数 体 力 を 超 える取 引 をしていたのが 農 家 が 突 然 倒 産 。受 注 が 伸 びて 家 に 納 入 していた が 、その 卸 役の の 農 作 物 を 卸 役の 農 産 物 加 工 農 の一環 と して 、大 手 食 品 業 者 向 け 事 件に遭 遇 したことだ 。青 果 取 引 中 で も 決 定 的 だったのが 、あ る 学ぶことができたからです ﹂ 不 可 欠 なマー ケティング について で、 ベジプロバイダー 事 業の発 想に 引 も 経 験 し ま し た 。そ う し た 中 の総 販 売 数の6 0%がわさび付 き たところ大ヒット。結 果 的に夏メシ 地 元スーパーマーケットで売 り 出し 中 部 分に乗 せた お 弁 当 を 開 発 し 、 びの茎の部 分 を 刻んでご飯の真ん があ り ました。そこで、特 産のわさ メシを 売 り 出 したいというご相 談 会 社 か ら 地 元 の 食 材 を 使った 夏 ﹁この夏、 大手食品グループの惣菜 すでに45社を超えた。 あ る 。購 買 者 とのネットワ ーク も 大 阪、長 野など県 外へも 広がりつつ 数 えるまでになった。そして、九州、 は 今 、静 岡 県 内 で 8 0 軒 近 く を ベジプロバイダー事 業の契 約 農 家 自 信 もつき ました﹂ 賞 金 獲 得 に 加 えて 事 業 に 対 す る ア ド バ イ ス を 頂 き 、結 果 的 に は を 重 ね る 中 でいろいろ な 方 か ら テム開 発 費の捻 出でし た が 、審 査 は、早 速 応 募 。 ﹁ 直 接の理 由はシス ティションの 情 報 を 知った 加 藤 氏 起業資金から起業後のノウハウ提供等まで包括的な仕組みがないの で多 くの課 題を有しており、 こうした女 性の起 業に対する支 援も、 家 庭と育 児の両立の問 題などから、情 報 、ネットワーク、資 金 面など 期 待が高まっている。 一方 、女 性の起 業 環 境は、就 業 経 験の少なさや 大震災からの復興などの諸課題のもと、意欲ある女性の起業活動に 日本では経済の低迷、少子高齢化に伴う労働人口の減少、東日本 D B J 女 性 新 ビ ジ ネ スプラ ン コンペティション と は 農業と青果流通に イノベーションを起こす 他の産 業や 社 会から 断 絶 されてい で し た 。生 産 者 、食 品 加 工 業 者 、 小 売 業 者 が 私 た ちのマッチングで つながり、最 後は地 元テレビ局 も 取 り上げてくれたほどです﹂ 加 藤 氏の次の目 標は、 フランチャ イズ方 式で4 7 都 道 府 県それぞれ に1つのベジプロバイ ダ ー 組 織 を 設けて、I Tでネットワーク化 する ことだ。さらに、東 南アジアを 皮 切 りに世 界 中へ広めることも 狙ってい る。 ﹁ベジプロバイダーは役 割・機 能 超 えなければならない壁 も 確 実に 助 走 期 から 加 速 期に差 しかかる。 ベジプロバイ ダ ー 事 業 は 今 後 、 まなフォローが行われた。 プロによるメンタリングなど、 さまざ は 、新 しい購 買 者の紹 介や 業 界の から1 1 人に増 え た 。D B Jから 確 実に増 加 している 。社 員 も 5 人 女 性 起 業 大 賞 受 賞 後、業 務 量は 具体的な準備を進めています﹂ 台 湾 、タ イ な ど を 候 補 地 と し て めに 輸 出 か ら 始 めよ う と 、香 港 、 志 を 、D B Jはこれから も 長 く 後 そ して加 藤 氏に続 く 第 2 、第 3の 公 言 す る 加 藤 氏 。その高い志 を 、 で 世 界 制 覇 す るこ と が 野 望 と も を起こす。そしてこのビジネスモデル 農 業と青 果 流 通にイノベーション と意味がないんです﹂ なので多 くの人に使ってもらわない いけない。プラットフォームビジネス 続けているので早めに固めなくては ていま せん。その間 も 仲 間 は 増 え そのベースは ま だ 十 分に確 立 さ れ 進 化 し 続 け ると 思いま す が、実 は ﹁ 女 性 起 業 大 賞 ﹂には、 ロイヤルブルーティージャパン株 式 会 社の代 表 開催し、176件の応募の中から6月に受賞者を発表した。このうち 第1回目の応募は643件。今年も第2回目のコンペティションを 資 金・ネットワーク・起 業ノウハウ等の総 合 的な支 援を実 施すること そこでDBJは、 新たなビジネスを志し、 その成長を探る女性に対し、 が実情だ。 増 え る 。当 面 の 課 題 を 見 据 え て 押ししていきたいと考えている。 開発・製造による高級ボトリング日本茶を世界に発信するものだ。 取 締 役 社 長・吉 本 桂 子 氏 を 決 定 。同 社の事 業は、自 社での一貫した 紹介等、計画実現へ向けた支援を行っていく。 知見を有する方々と連携し、起業ノウハウのアドバイスやネットワーク するとともに、 コンペティション終 了 後 も 外 部の起 業 経 験 者や各 種 性に優れた新ビジネスに対して、最大1000万円の奨励金を支給 する新ビジネスプランコンペティションを実施している。革新性や事業 11月に ﹁ 女性起業サポートセンター﹂を設置、女性経営者を対象と とし、 こうした活動を行うためのプラットフォームとして、2011年 加 藤 氏は言 う 。 ﹁この事 業はずっと なので、どの国でも 使 え ま す 。手 始 解 説 18 19 Scenes of Solution Scenes of Solution 1991年に老舗温泉旅館の経営を先代から引き継いだ現社長の星野佳路氏は、 1 9 8 7 年 のリゾート法 施 行に危 機 感を持つと同 時に、ホテル・旅 館 業 界 の 構 造 変化の流れを読み、いち早くビジネスモデルを転換した。当時のリゾート経営の基本 であった開発、所有、運営の3機能を併せ持つスタイルから運営特化に脱却し、 日本 では前例のない「リゾート運営の達人になる」ことを目指したのだ。以後、高満足度、 高収益、低環境負荷という3要素を同時に達成する運営の仕組み作りに取り組み、 次々と成 功 事 例を生み出す中 、 「 星のや 」 「界」 「リゾナーレ」のブランドを展 開 。 リゾート企 業の生き残りをかけた決 断から2 2 年 。星 野 氏は、そのビジネスモデルを その事 業は現 在 、全 国に3 1ヵ所の運 営 拠 点を持つまでに成 長した。地 方の老 舗 さらに進化させながら、 日本の観光産業をもり立てるべく挑戦を続けている。 西洋のホテルではお客さまの要 望が発 生 宿泊施設の運営、 スキー場、 ブライダル事業などを手がける総合リゾート運営会社だ。 良いサービスであ り 、それは元々、 お 客さ ま 係になっている文化から生まれてきました。 決 して 忘 れてはいけ ない要 素で あ る と 私 同 時に運 営 面では西 洋ホテル方 式 を 真 似 は考 えていま す 。 一方、 日 本のおもてなしの歴 史は、千 利 休 で、結 果 的 に 生 産 性 を 下 げていま す 。 主 客 対 等 な 関 係では、顧 客 は 宿に対 し し た こ とに 根 本 的 な 原 因 が あ る と 考 え バブル経 済 期 に 全 国 で一斉 に 新 規 参 入 が 星 野 リ ゾー ト は 、サ ービス 内 容の 進 化 て高い文 化 度 を 期 待 しま す 。 ﹁ 今日はどん ││﹁ リ ゾート 運 営の達 人にな る ﹂という あ り 、市 場 が 供 給 過 剰 状 態になることが と と も に 、運 営 効 率 を 高 め る 独 自 の 仕 な 趣 向で 楽 し ま せて く れるのだろう か ﹂、 の時 代にさかのぼり 、主 客が対 等な関 係で 予 想 さ れ ま し た 。その 中 で 施 設 も 古 く 、 組 み づ く り に 取 り 組 んで き ま し た 。手 そ う なると西 洋ホテルとは 違って、要 望 が ていま す 。西 洋 ホテルの 仕 事 は 部 署 別 に 資 本 も 小 さい 老 舗 温 泉 旅 館 が ど う やっ 待 ち 時 間 をなく すために、昔の日本 旅 館の 発 生 す る まで 待っていては 駄 目 なので す 。 企 業 ビジョンを 設 定したのは、どのよ う な て 生 き 残ってい く か を 問 わ れ た こ と が 発 想 をベースに 、最 新の 技 術 、システムを その地で 楽 しんでいた だ け る 趣 向 を 考 え あ る 文 化 か ら 始 まっている 。この始 ま りの スター トで す 。新 規 参 入 者の多 く は 施 設 活 用 し な が ら 現 代の労 働 形 態 に 合 う 企 画 す る 文 化 的 な 力 量 が 試 さ れる 。同 時 なっていて 、自 分 の 所 に 仕 事 が 流 れ て く ほど興 味 を 持っていませんでした 。そこで、 よ う に 進 化 さ せ 生 産 性 を 高 め ていった の所 有 と 開 発 に 関 心 が あ り 、運 営 にはさ わ け で す 。この 仕 組 み こ そ が 私 た ち が に そ こには 、私 た ち 旅 館 側 が 顧 客 に 伝 え 理 由からで すか。 私 た ち は 運 営 に 特 化 し 、新 規 参 入 企 業 この 2 0 年 間 取 り 組んで得た最 大の成 果 たいメッセージを 盛 り 込 むことも 大 事にな 違いとい う の が 日 本 のホスピタ リ ティの を 顧 客にすることで生 き 残 れると 考 え た で あ り 、運 営 会 社 と し て の 競 争 力 だ と る まで 手 待 ち 時 間 が 発 生 す る 。その方 法 のです。運営は地味な部分ですが、 リゾート する。茶 道 、華 道 、書 道 、地 域の情 報 、季 節 るお 客 さ まのことを 想 像 して部 屋 を 演 出 を 表 現 する、天気 を 反 映させる、宿 泊され はな く 、 ﹁ しつら える﹂と言いま す 。季 節 感 とですが、 日本 旅 館では﹁ 元 通 りにする﹂で ホテルでは部 屋 を 元 通 りにきれいにするこ た と え ばハウスキ ーピング とは 、西 洋の ります。 ││ 星 野 社 長が考 える﹁おもてなし﹂とは 文 化 度の高 さこ そ 日 本 旅 館のお も て な し 思っていま す 。 あ り 方 、ま た は あ るべき 姿 を 考 え る 時 に 対 応 す る 努 力 が 十 分 で は な かった こ と 、 とサービススタッフの関 係が完 全 な 上 下 関 サ ービス内 容 面 において 旅 行 者の変 化 に 旅 館 を 超 えていま す 。この衰 退の理 由 は、 した時に、それに早 く 正 確に応 えることが 部 屋 数では2009年に西 洋ホテルが日 本 株式会社星野リゾート (本社・長野県北佐久郡軽井沢町)は、ホテル・旅館など 1 9 8 7 年 施 行のリゾー ト 法 を 含 め、 は 小 さ な 規 模の日 本 旅 館 には 合 わ ないの 運 営 に特 化 す るこ と が 生 き 残 りへの 道 日本旅館の おもてなしこそが 観光産業の 競争力をあげる 事 業の 成 否 は 運 営の 実 力 にか かっている と 思っていま し た か ら 、そ こ を 担 う 会 社 になっていこう と 考 え ま し た 。 ││ 運 営 の効 率 を 高 める とは 、具 体 的 に ど ういうことで すか。 近 年 、日 本 旅 館 は 減 少 して き て お り 、 20 21 Designship 未来人図鑑 Designship 未来人図鑑 長野県軽井沢町。周囲を森に囲まれた山あ 株式会社 星野リゾート 代表取締役社長 いに立ち並ぶ「 星のや 軽井沢 」。ゆるやかに 星野 佳路 氏 連なり、ひとつの集落を成し、懐かしくも新しい 流れる川沿いに点在する離れの客室が丘へ ‘セラピストの達人’ などが、 日本旅館の伝統を 風 景が広がっている。 ‘ おもてなしの達 人 ’ や 踏襲しながらも、現代人のライフスタイルにあわ せた滞在を提案する。 感の演 出 といった日 本 文 化のスキルや 知 識 がスタッフ一人一人に期 待されま す 。スタッフ は サ ーバントで は な く 、地 域 の 文 化 度 を イ ンバウ ン ド 増 加 の 鍵 は 多 様 な 日 本 文 化への 理 解 な 文 化 が あ るということ を 知って も らい、 一度 行ってみたいと 思っても ら う 。そ ういう 状 況 をいか に 作っていく か 。そ れ が 東 京 オ リンピック 後の減 少 を 防 止 し 、インバウ 水 準の3 0 0 0 万 人に成 長していくための 代表して伝える存在。こうした文 化 度こそ ││ 東 京 オ リ ン ピック の 開 催 を 前 に 、 試 金 石になるはずです 。 ンド 2 0 0 0 万 人 か ら 世 界の 観 光 大 国 2 0 1 6 年には﹁ 星のや 東 京 ﹂もオープン 同 時に忘 れてはいけ ないのは、国 内 需 要 観 光の成 長 という イメージがあ り ま すが、 の 重 要 性 で す 。インバウンド 増 加 = 日 本 予 定ですね。 日 本 旅 館のホスピタリティで あ り 、お もて なしの本 質であると私は考 え ま す 。 ││ この 7 月 には 、星 野 リ ゾート・リート 投 資 法 人が 東 京 証 券 取 引 所に新 規 上 場 東京オリンピックを当て込んで仕事をして インバウンド が 3 0 0 0 万 人 になって も 、 し た よ う に 、観 光 産 業 を もっと サ ポ ー ト 株を買って日本の製造業の世界進出を応援 ていま す 。 一般 投 資 家 が トヨタやソニーの ば、 日 本の観 光はもっと盛 り 上がると考 え せん。誰 も が 参 加で き る 市 場 環 境 を 作 れ 家 がいて も ま だ そんなに選 択 肢 は あ り ま 成 長 に 対 して 投 資 し たいという一般 投 資 後 押 し し ていま す 。し か し 、観 光 産 業 の 産 業の一つになっていく こと を 日 本 政 府 も あ り 、特に地 方 経 済にとっての新 しい基 幹 で す 。日 本 の 観 光 産 業 は 成 長 産 業 で 光 に 投 資 で き る 環 境 をつくっていく こ と は 観 光 立 国 を 目 指 す 上で一般 投 資 家 が 観 を 分 離 していき たいと 考 え たこと 。2つめ 運 営に特 化 す るために所 有 している 施 設 リートの目的は2つあって、1つは、 さらに 日 本 の 地 方 に た く さ ん 作っていか ないと き ま せん 。外 国 人 が 行って み たい場 所 を インバウンド は 東 京 観 光 だ け では 達 成 で 圧 倒 的 。し か し 、目 標の 2 0 0 0 万 人の 現 状のインバウンド 市 場 は 東 京 観 光 が も ら うことが 重 要です 。 で な く 、地 方の 魅 力 を 伝 え 、足 を 運 んで 狙いでしたが、2 0 2 0 年 大 会は東 京だけ 復 興 の 姿 や 東 京 を 知って も ら う こ と が 1 9 6 4 年の 東 京 開 催 時 は 日 本の 戦 後 高 み を め ざ す と し て い ま す 。前 回 で、訪 日 外 国 人 旅 行 者 数 2 0 0 0 万 人の 実 現 に 向 け たアクション・プログラム﹂の中 政 府は、6 月にとり まとめた﹁ 観 光 立 国 開催までに何をするかだと考えています。 日 本 の観 光 産 業 にとって 最 も 効 果 が 高い で に 実 施 さ れ ている この 仕 組 み は 、今 の 地 域 別 取 得 ﹂なので す 。観 光 先 進 国で す 政 策 面で 最 も 重 要 なことが﹁ 大 型 連 休の 考 え る 戦 略 的 シナ リ オで す 。そのために 実 現 す る 環 境 につな が る 。こ れ が 私 が にインバウンド 市 場の持 続 可 能 な 成 長 を サ ービスも 生 ま れて く る 。そ れ が 結 果 的 長 く 滞っている 設 備 更 新 が 行 わ れ 、良い 呼 び 込 める 、そ う す る とバブル経 済 期 後 収 益 性 で す 。生 産 性 が 上 が れ ば 投 資 を 観 光 産 業の 現 状の 課 題 は 需 要 では な く 仕 組 みに転 換 す ることが 最 も 大 切で す 。 あ り 、こ れ を 活 用 し て 収 益 を 生 み 出 す 巨 大で 安 定 し た 市 場 が あ るということで ンピック﹁後﹂ のことをしっかりと考えた上で、 せ ん 。日 本 の 観 光 産 業 の 特 徴 は 、国 内 に は、 日本が真の観 光 立 国になるために、 オリ 処 方 箋であると 考 えていま す 。 し ま した 。 いたわけではないのですが ︵笑︶、重要なこと しても らいたいというのがリートにたどり 無 理 な数 字なのです 。日本には全 国に多 様 国 内の 観 光 需 要の 2 0 % 程 度 に 過 ぎ ま 着いた 理 由です 。 アンコール遺 跡への玄 関口であるシェムリアップの 年 、フ ラ ンス 1953 独 立 闘 争の頃から民 族の象 徴 として、 アンコール である。 ミ � ド セン チ�リ � のカ ン ボ ジ ア 空 港で待っていたのは、 1965年 製の黒いメルセデス 遺 跡の重 要 性を説いていたシアヌークは、当 時、賓 客 を 決 まってシェムリアップに案 内した。その迎 賓 館 と なったのが、 アマンサラの前 身 、 ヴィラ・プリンシエール だった。モダニズムの美しい館は、その後、何 度となく ゾーツ、 アマンサラは、かつての王 族の迎 賓 館 だと記 ガイ ドブックには、シェムリアップにあ るアマンリ 車です﹂ 破 綻 。70年のロン・ノル政 権によるクーデター以後、 そのどち らにも 属 さない独 自 路 線の外 交はやがて 戦 のさ な か 、 ある。東 西 冷 カンボジアがつかの間の平 和 と豊かさを 享 受 してい アマンリゾーツの創 業 者 、 エイドリアン・ゼッカは、 時代を満身創痍で生きながらえた。 名 称を変 え、 アンコール遺 跡 と同 じように、苦 難の されていた 。よく 読めば1960年 代 と記 述があっ た頃、 ジャーナリストだった 経 歴がある。このヴィラ ラ イブラ リ ーの 書 棚 には 、若 き 日のシアヌーク カンボジアは、長 くインドシナ紛 争と、続 くポルポト である。 前 国 王 夫 妻の写 真があった。昨 年10月に亡 くなる たのに、私は勝手な思い込みで、 シェムリアップを代表 一般にアンコール・ワットの名称で知られるアンコール まで〟独 立の父 〟と慕われた国 王 。夫 人のワンピース に滞 在 したことも あったという 。2002年 、 アマン 遺 跡 群は、東 京 都23区に相 当 する広 大な面 積に、 のデザインがまた、 独 裁の悲 劇に翻 弄された。植 民 地 支 配 と戦 争の時 主 な ものだ けで26もの遺 跡 が 点 在 す る、壮 大 な カンボジアが 幸 福 するクラシックホテル、 グランドホテル・ドゥ・アンコール スケールの古 代 都 市 だ 。アンコール・ワットは 、その だった ミッド セン サラとして生 まれ変わった背 景には、若 き日の追 憶 ひとつに過 ぎない。クメール王 朝の繁 栄は、 9世 紀の チュリ ーの 時 代 を 代の狭 間 、 つかの間 、カンボジアに平 和 と 豊 かさ が 初めから15世 紀 半ばまで、 6百 年 あ ま り 続いた。 彷 彿 と さ せ るの がそ うであるように、 フランス領 インドシナ 時 代の その絶頂期、 ここは、東南アジア最大かつ最強の帝国 もあったのかもしれない。 コロニアルホテ ルを 思い描いて いた 。し か し 、 そこに建ってい たのは、円 形の 屋 根が印 象 的 な 、ミッド セン チュリーのモダニ ズムを 体 現 す だった 。 あったのが、 ミッドセンチュリーの1960年 代 なの シアヌークで か らの 独 立 第12回 だった。単にノスタルジーを 演 出 するだけのクラシッ 星野温泉の社長に就任。 をなしえた を経て91年1月、星野リゾートの前身である クカーではない、重厚な存在感。不思議に思って運転 経営大学院修士課程修了、 日本航空開発 のがノドロム・ (現JALホテルズ)入社。米シティバンク勤務 手に聞くと、誇らしげに彼は答えた。 学部卒業後、86年米国コーネル大学ホテル ﹁ かつてシアヌーク前 国 王 がお 乗 りになっていた 山口 由美 22 23 旅する作家 の、当 時 と しては 世 界で も 最 大 級の都 市 だったの 若き日のシアヌーク前国王夫妻 http://www.amanresorts.com/amansara/home.aspx 神 奈 川 県 箱 根 町 生 ま れ。 旅をテーマにエッセイ、ノ ンフィクションなどを幅広 く執筆。主な著書に『箱根 富士屋ホテル物語』 『帝国 ホテルライト館の謎』『旅 する理由』『消えた宿泊名 簿』などがある。 アマンサラ 密林の中に佇むアンコールワット 1960年長野県生まれ。慶應義塾大学経済 るホテルだった。 アマンサラのエントランスとプール Designship 未来人図鑑 Bookmark the journey