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パネル発表原稿(PDF:1243KB)

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パネル発表原稿(PDF:1243KB)
GISを利用した森林の機能別評価
愛媛県林業研究センター 豊田信行
H23年度
試験期間
背景と目的
「森林・林業の再生に向けた改革の姿」(H22)では,市町が地域の実情に合わせて,森林を機能区分す
ることになっています。
これを支援するため,「森林の機能別調査実施要領」(S52)に準拠して,GIS(地理情報システム)を用いて
各種の機能区分図を作成しました。
使 用 し た 地 理 情 報
現状及び
概要
機能区分図
地位級分布
土 壌型 表層
スギ(図 -2) ,ヒノキ ( 図-1) 地質
木材等生産 機
能(図-4)
土壌型分布図
林内道
尾根・ 保 安
路密度
谷
林
(図-3)
○
○
水源かん養機
能(図-5)
山地災害防 止
機能
図-1
傾斜 標高
○
○
○
○
○
図-2 現実林分の調査位置
と地位級分布図(スギ)
○
○
○
○
図-3
林内道路密度図
○ H24年4月を始
期とする地域森林
計画書と市町村
森林整備計画に
これらの成果は,
反映されています。
図-4
木材等生産機能評価図
図-5
水源かん養機能評価図
広葉樹林とスギ・ヒノキ人工林の地理的関係
愛媛県林業研究センター
背景と目的
試験期間
坪田幸徳
スギ・ヒノキ人工林を広葉樹林に誘導する場合、種子源となる広葉樹が近
くにあるほど有利と言われています。そこで、地理情報システム(GIS)を
使って、広葉樹林とスギ・ヒノキ人工林の地理的関係を調査しました。
平成19~23年度
県内3箇所に5×10kmのモデル地域を設定し(図-1)、写真から広葉樹林
とスギ・ヒノキ人工林の位置を抽出し(図-2)、区分別面積割合(図-3)と距
離別面積割合(図-4)を求めたところ、地域ごとに特徴が見られました。
城川は広葉樹林が20%以上有り、位置も散在していたため、人工林から
現状及び概要 広葉樹林までの距離が短く、広葉樹林に誘導しやすい地域と予測されまし
た。久万は広葉樹林の割合が低く、人工林からの距離も遠いため、広葉樹
林への誘導は困難と予測されました。宇和島は広葉樹林が20%以上有る
ものの、位置が偏っていることから、誘導はやや困難と予測されました。
宇和島
城川
久万
宇和島
城川
久万
100%
区分別面積割合(%)
80%
その他
スギ・ヒノキ人工林
広葉樹林
60%
40%
20%
図-2 広葉樹林(赤)とスギ・ヒノキ人工林(紺)の位置図
60
スギ・ヒノキ人工林の面積割合(%)
図-1 モデル地域の位置図
宇和島
40
城川
久万
20
0
50
0%
宇和島
城川
図-3 区分別面積割合
久万
150
250
350
広葉樹林からの距離(m)
450
図-4 スギ・ヒノキ人工林の距離別面積割合
※この研究は、農林水産技術会議の『新たな農林水産政策を推進する実用技術開発事業』で実施した『広葉樹
林化のための更新予測および誘導技術の開発』の一部の成果を取りまとめたものです。
高齢級間伐遅れ林分の健全化施業に関する調査研究
愛媛県林業研究センター 石川 実
スギ・ヒノキ人工林のうち、40~50年生の占める割合が高くなってきまし
た。間伐が進められ、間伐により木材生産量も増加している反面、適切
な時期に間伐されずに過密な状態になっている人工林も見られます。
このような人工林の取り扱いのため実態調査を行い、健全な人工林へ
導くためにはどうすればよいのか、研究中です。
背景と目的
平成22~26年度
試験期間
間伐頻度が少なく、間伐後の経過年数が長くなれば、個体のサイズが
大きくばらつき、収量比数、形状比は増加、樹冠長率は低下します。幹
材積は、中間木や劣勢木は増加しますが、優勢木は増加しません。長
伐期施業に移行するためには、優勢木を残す木とし、目標の立木密度
を決めて、優勢木の成長を妨げる中間木を中心に選木した複数回の間
伐を、比較的短い周期で繰り返し実施する方法が考えられます。現在、
スギ人工林において、試験施業を実施中です。
現状及び概要
無間伐
300
小さい方に
偏る分布
と
6B-1999年・・・スギ40年生
間伐履歴な し
300
5A- 19 99年・ ・・ スギ3 5年生
3 0年生時間伐履歴あり
100
0
0
16 18 20 22 24 26 28 30 32 34 36 38 40 42 44
DBH
11年後は?
300
6B-2010年 スギ51年生
間伐履歴なし
枯損木
劣勢木
中間木
優勢木
300
200
100
枯損木
劣勢木
中間木
優勢木
100
0
劣勢木を
間伐
左右対称の
一山型に
ほぼ適正な
間伐
0
10
14
18
22
26
30 34 38
DBH
42 46
50
ここでどうする?
通常なら
劣勢木を間伐
5A-2010・・・ スギ46年生
44年生時間伐履歴あり
(本/ha )
(本 /ha )
200
間伐遅れ
やや小さい方
に偏る分布
(本/ha)
100
10 14 18 22 26 30 34 38 42 46 50
DBH
双山型の
分布
比較する
200
(本/ha )
200
ほぼ適正に間伐
16 18 20 22 24 26 28 30 32 34 36 38 40 42 44
DBH
なぜか?
するところを→
間伐遅れには
中間木を間伐
ただし、一度の間伐ではなく、短い周期での
複数回間伐が必要と考えています。
優勢木と競合していないと考えられる劣勢木
を間伐しても競争緩和にならず、優勢木の
成長量増加につながらないから。
いち早く残す木(優勢木)の成長を促進させ
ることが大切だと考えるから。
高性能林業機械による搬出間伐の生産性
愛媛県林業研究センター 竹内一真
【背景と目的】
近年、ハーベスタ、プロセッサ、グラップル といった高性能林業機械の導入が進み、これら
による搬出間伐がさかんに行われるようになりました。そこで、高性能林業機械を用いた生
産性の高い搬出間伐作業システムの確立を目的とした研究を行っています。
【試験期間】
平成23~25年度
【現状及び概要】
平成23年度に調査した、搬出間伐作業の生産性をご紹介します。
「作業道の支障木伐採、作業道開設、間伐、山土場までのフォワーダー運搬」における生
産性を調査しました。
調査事例 ①
使用した機械 (各1台)
施
業
地
の
概
要
作業班員
施工面積、作業道開設延長
樹種・林齢
胸高直径
伐採前本数
本数間伐率
林内道路密度
平均搬出距離
ハーベスタ、
グラップル付きフォワーダー
調査事例 ②
ハーベスタ、グラップル、
フォワーダー
作業道開設 2人
搬出間伐
3人
2.0ha、 480m
スギ 40、50年生
平均 22cm
1500本/ha
25%
245m/ha
300m
作業道開設 2人
搬出間伐
5人
8.0ha 、2194m
スギ 55年生
平均 26cm
1200本/ha
30%
275m/ha
350m
3.7m3/人・日
3.1m3/人・日
全体作業の36%
全体作業の39%
(34.3m/人・日)
(24.7m/人・日)
全体作業の64%
全体作業の61%
作業一式
生 (出材量÷総人役数)
産
性
作 ①作業道開設作業
業
比 (作業道開設の工程)
率
②搬出間伐工程
生産性は、伐採木の大きさや間伐率、地形や搬出距離などいろいろな条件に影響を受けま
すので、単純に生産性だけを比較することは困難です。また、所有する機械や作業班員の数
は、事業体によって異なります。継続してデーターを取ることにより、それぞれの事業体・それ
ぞれの現場にあった搬出間伐作業方法が見えてくると思います。
愛媛ヒノキ材ブランド化推進事業
小課題:ヒノキ柱、梁桁材の乾燥技術の開発
愛媛県林業研究センター 田中
誠
1 背景と目的
愛媛県のヒノキ素材生産量は平成19年度以降、日本一の座をキープしています。齢級的にも成熟期を迎
えつつあり、健全な森林を育てるためにも更なる木材需要の拡大が望まれます。そこで、愛媛県産製材品
の加工技術の向上を図る為、愛媛県産柱材の乾燥技術と、大径化しつつあるヒノキ材の新商品として梁
桁材の乾燥技術の開発を本研究で行うことを目的としています。
2 試験期間
平成21年度~23年度
3 現状及び概要
乾
燥
目
標
中央付近
・充分乾燥され狂いが少ない!
・材面割れ、内部割れが少ない!
・乾燥後の材色変化が少ない!
中
-2
-3
-1
末口
3-① 愛媛県産ヒノキ柱材の乾燥
明るさ
乾燥条件
高温セット
(乾球120℃・湿球90℃)
18時間
乾球90℃・湿球60℃
90時間
元
元口
中央以外は
内部割れ・含水率測定
できればスキャナー
含水率・内部割れ
水分傾斜測定
一ヵ月毎に12.0 cm角
に仕上げ
30cm
2cm
赤色
黄色
90
80
70
60
色差(ΔE*ab)=5.74
50
40
30
内部割れが
少ない断面
3-② 愛媛県産ヒノキ梁桁材の乾燥
乾燥条件
高温セット
(乾球110℃・湿球80℃)
18時間
乾球80℃・湿球50℃
160時間等
20
10
0
乾燥前L* 乾燥後L* 乾燥前a*乾燥後a* 乾燥前b*乾燥後b*
L*a*b*表色系
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
※人工
乾燥前
後で色
の変化
を少なめ
に抑えら
れている
色差ΔE※ab=5.45
乾 燥前L
※
乾燥後L
※
乾燥前a
※
乾燥後a
※
乾燥前b
※
乾燥後b
※
Lab表色系
セ ット温度と各位置での内部割れ長さ
3 0. 0%
2 5. 0%
含
水
率
試験セット120℃
試験セット110℃①
試験セット110℃②
50 0
内部割れ長さ(mm)
内部割れが
少ない断面
60 0
40 0
30 0
20 0
10 0
2 0. 0%
0
1 5. 0%
1 0. 0%
内側
外側
5. 0%
外側
0. 0%
5
0.
5
2.
5
4.
5
6.
5
8.
5
.2
12
16
18
20
22
24
※木材の内と
外であまり含
水率の差が無
い乾燥
0 .1
0. 3
0 .5
1
1 .5
1 .8
木口からの距離( m)
※木口から30cm以降はセット温
度による内部割れ長さの差が明
らかとなった!!
乾シイタケ栽培における温暖化・少雨への対応技術
-散水施設を活用した長時間散水の事例-
愛媛県林業研究センター 西原 寿明
【背景と目的】
近年、温暖化の影響と思われる異常気象が頻発しており、局地的な豪雨や少雨傾向が著
しいものとなっています。過去の試験結果から、発生直前の9月の降雨量とその年度のシイタ
ケの発生量に強い相関があることが判明しました。そのため、9月前後の異常気象を想定し、
降雨を遮断した環境を作り、少雨に対応した散水技術を検討しました。発生前の比較的水
源が確保しやすいと思われる11月に長時間散水を行うことにより、異常気象を克服すること
ができました。
11,000
2 年 目の子 実体発 生量( g/m3DW)
【試験期間】
平成23年度
【現状及び概要】
≪①≫1979年から2008年までの試
験結果から、3夏経過後のほだ木か
らのシイタケ子実体発生量は、発生
直前の9月の降雨量に強い相関があ
ることがわかりました(図-1)。
10,000
9,000
8,000
7,000
6,000
5,000
4,000
0
1 00
200
30 0
4 00
500
発生直 前の9 月の雨量( mm)
図-1 子実体発生量と発生直前の9月の降雨量の関係
≪②≫平成20年度に多孔植菌(直径の5倍植え、成型種菌)した古ほだ木を使用しました。
種菌は、菌興115号、240号、森290号を使用しました。9月、10月に人工ほだ場内のビニール
ハウスで降雨遮断を行い、その間散水も行いませんでした。11月に表-1のような散水を2週
間にわたって行い、子実体発生量(乾シイタケ)を調査しました。
表-1 散水量の概要
試
験
区
名
水
量
2011年11月の降雨量は
等
約
120mm
約
100mm
550mm
週1回 散水2時間
11月の平均降雨量
週1回 散水10時間
11月の
降雨量×5
約
週1回 散水24時間
11月の
降雨量×10
約 1250mm
7
品種C
品種B
1
2
品種A
3
≪③≫長時間散水の結果、秋子・寒子の発生はあり
ませんでした。図-2に示すとおり、春子については、
どの品種でも、連続10時間以上でシイタケの子実体
発生量が多くなりました。
9月、10月に雨が降らない場合でも、11月に長時間
散水を行なうことで、平年並みの収量が期待できます。
24時間散水
1250mm 相当
4
10時間散水
550m m相当
2時間散水
100mm 相当
6
5
4
3
2
1
0
自然降雨
月間120mm
子実体発生量(dw,kg/m3)
対象区(自然降雨)
散
図-2 長時間散水とシイタケ発生量(春子)の関係 A・・115、B・・240、C・・290
挿木によるア カマツ抵抗性苗の増殖
愛媛県林業研究センター 仲 田 幸 樹
背 景 と 目 的
マツ類の挿木は困難で、生産されている松くい虫抵抗性苗は実生
苗です。従って抵抗性には強弱の差があるため線虫の接種検定が
必要であり、大変手間がかかります。最近、クロマツでは若齢台木
を用いた挿木増殖が可能になっていますが、アカマツでは検討例
が殆どありません。そこで、クロマツと同様な手法によりアカマツの
挿木苗育成を研究しています。
試
平成22〜26年度
験
期
間
現状及び概要
2年生抵抗性アカマツ実生苗から採穂して挿木試験を行い、アカ
マツでも挿木増殖が可能であることがわかり ました。現在、植え替
えの簡易化を目的に、セルトレイへの挿し付けを検討しています。
なお、挿木苗には枝性が出る傾向があり、採穂部位の検討を今後
行う予定です。
▲ マツノマダラカミキリ
▲ 線虫の接種
100
2月
80
発根率( %)
■ 挿木による抵抗性苗の増殖
挿木による 増殖が可能になれば、
松くい虫に強い形質がそのまま受け
継がれるので、手間のかかる接種検
定が不要になります。アカマツ2年生
の実生苗から採穂して挿し付けたと
ころ、挿木は可能であること、挿木時
期は 2〜3月が好適で、挿し穂の大
部分が発根するまで4〜6ヶ月経過
することがわかりました。
■ 松くい虫抵抗性苗
松枯れは マツノマダラカ ミキ リ
が媒介する マツノザイセンチュウ
の感染によって引き起こされます。
抵抗性個体(感染しても枯れにく
い)で構成された採種園から得
た実生苗に培養した線虫を接種
して生き 残ったものが抵抗性苗
として出荷されますが、多大な手
間と時間を要します。
4月
5月
60
40
20
0
2/ 1
3 /3
4/2
5/ 2
6 /1
7 / 1 7 /3 1 8 / 30 9/ 2 9
日 付
▲ アカマツ挿木苗
(23年2月挿木)
挿し木時期と発根率( 育苗箱)
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