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平成24年度司法試験予備試験 短答式問題解析講座 一般教養

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平成24年度司法試験予備試験 短答式問題解析講座 一般教養
予備試験
平成24年度司法試験予備試験
短答式問題解析講座
一般教養
0 001212 125215
LL12521
LEC・平成24年度司法試験予備試験
短答式問題解析講座(一般教養)
第
1問
様々な思想家による善悪の解釈
配点
3点
正解〔№1〕3
部分点
なし
1 ○
ニーチェは,実存主義の先駆者であり,ニヒリズムの思想家として知られている。
ニーチェは,キリスト教の説く隣人愛や博愛・平等の思想はより力強く生きようとす
る人間の足を引っぱる弱者の思想であり,強者をねたみ主人に復讐しようとする奴隷
の思想(ルサンチマン)であるとして,キリスト教道徳を批判した。このようにニー
チェは,ルサンチマンをキリスト教道徳と同視した上で,「神は死んだ」と宣言し,
無神論的実存主義を唱えた。
したがって,本肢は正しい。
親鸞は,人が煩悩から逃れることができないことを「悪人」であると表現した。そ
2 ○
して,煩悩から逃れられず絶望しながら仏にすがる悪人こそ,阿弥陀仏の救いの対象
にふさわしいとして悪人正機説を唱えた。これは,「善人なをもて往生をとぐ,いは
んや悪人をや」という言葉で表されている。
したがって,本肢は正しい。
荀子は「人の性は悪にして,その善なるものは偽なり」として,乱世が続く現状を
3 ×
前にして人が私利に走りやすいことを認める性悪説の立場に立った。ただし,礼を身
につけ,善行を積むことによって,仁が現れてくると考え,仁の実現を最終的に目指
した。荀子は,人間の本性である欲望を外側から規制し人間の性質を矯正するための
手段として礼の重要性を説き,礼によって統治する礼治主義を唱えた。
したがって,善行を偽りであり信用することができないとして人間不信の現状を明
らかにしたとする点で,本肢は明らかな誤りを含む。
ベンサムは『道徳及び立法の諸原理序説』の中で,人間の行動は「快楽」を求め「苦
4 ○
痛」を避けるという面に着目して,行為の善悪の基準をその行為がもたらす快楽に求
める功利の原理を確立した。その上で,「快楽」は量的に計算できるという立場に立
って七つの快楽計算を提唱して,「最大多数の最大幸福」を実現することが,社会の
理想,政治の目的であるとした。彼の功利主義は快楽の質的相違を不問にし,量的な
ものへ還元したことに特徴がある。
したがって,本肢は正しい。
ホッブズは,自然状態においては,各人は各人の自然権を全面的に主張することに
5 ○
なり,同一の目標を追求する人達は互いが互いを滅ぼし合わなければならなくなると
し,この状態を「万人の万人に対する闘争」と評した。その上で,この戦争状態を回
避し,自己保存の権利を守るために人間は「社会契約」により,自らの自然権を放棄
して国家をつくる必要性があると説いた。
したがって,本肢は正しい。
以上より,下線部に明らかな誤りが含まれている肢は3であり,正解は3となる。
1
LEC・平成24年度司法試験予備試験
短答式問題解析講座(一般教養)
第
2問
基本的な哲学用語
配点
3点
正解〔№2〕1
部分点
なし
1 ○
プラトンの師であるソクラテスは「勇気とは何か」「正義とは何か」を問いかけた
が,人々は解答不能に陥り自らの無知を自覚させられて終わった(無知の知)。プラ
トンはこの問いに回答を与えようとした。彼は人々のあまたある勇気ある行為のうち
には,勇気ある行為たらしめている勇気そのもの(勇気の本質)があり,これを勇気
のイデアと呼んだ。このような事物の本質であり,永遠不変の真実在をイデアと呼ん
だ。世界を二元論の立場から考察し,人の生活する現実界は変化を特質とする不完全
な現象的世界であり,イデア界は不変を特徴とする理性的世界であるとプラトンは考
えた。
したがって,本肢は正しい。
デカルトの方法的懐疑は,真理に至るための方法である。確実な学問を打ち立てる
2 ×
ために,デカルトは,疑い得ないもの=確実なものを見出そうとして,これまでに確
実とされているすべての事柄を疑いにかけた(「方法的懐疑」)。そして,すべての
事柄は疑いえるが,それでも疑いえないものとして,疑っている(考えている)「私」
の存在を取り出し,懐疑を抱いている自己については疑い得ないものとした。これは
「われ思うゆえにわれあり」と表現される。
したがって,本肢は絶対確実なことは何一つ知りえないとする点で,誤っている。
カントは,経験的世界の認識は外からの感覚的な所与を材料として,人間の自由な
3 ×
思考=主観が整理しなおすことで人間の知識が成立すると考え,この自由な思考を純
粋理性と呼んだ。ただし,客観的な認識が可能なのは自然界・経験的現象の世界にお
いてであり,背後にある超感覚的存在である事物そのもの(物自体)を認識できない
としている。その上で,人間の理性(実践理性)はそのような物自体に関連する問題
(例えば,神,霊魂,人格の問題など)を想像し想定することはできるとし,道徳的
実践の立場で取り扱うべきであるとした。このようにカントは,人間の主観が対象を
構成するという認識論上の逆転を引き起こした(「コペルニクス的転回」)。
したがって,カントによれば,物自体は認識の外にあることから,本肢は誤ってい
る。
デューイは,現実に役に立ち,人間の生活を改善する知性が真の知性(創造的知性)
4 ×
であり,環境に適応していくための手段であるとした。そして,このような人間の概
念や思想を生みだす知性は,人間の生活過程における矛盾や障害を克服するための道
具であり,生活経験の中で試行錯誤され改善されていくべきものであるとした。
したがって,絶対確実な真理を認識するために理論という道具を挙げている点で,
本肢は誤っている。
ハイデガーは人間を「現存在」という言葉で表し,「現存在」のあり方を「世界内
5 ×
存在」と呼んだ。人間は個々の現実の存在として独立している側面もあるが,一方で,
世界のうちに投げ出されており,世界の中で様々な他者や事物と関わり,交渉しなが
ら存在しているとした。
したがって,本肢は世界内存在を世界の成立以前に存在し,世界を成立させる「私」
の存在を在り方を「世界内存在」とする点で,誤っている。
以上より,正しい肢は1であり,正解は1となる。
2
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短答式問題解析講座(一般教養)
第
3問
誤文訂正
配点
3点
正解〔№3〕3
部分点
なし
ア ×
不適切な表現となっている
下線部アでは,我々の生活や行為の中に他人の関与を必要としないものが多くある
かが問われている。下線部アに続く文章は,具体例を挙げて説明する内容となってい
る。ここでは,食生活を取り上げて,今日一般では他人の行為によって初めて食生活
が可能となることが説明されている。この点からすると,下線部アは他人の関与を「必
要としない」のではなく,「必要とする」と考えるのが適切である。
したがって,下線部アは,「必要としない」とする点で,不適切な表現となってい
る。
不適切な表現となっている
イ ×
下線部イでは,思想の表現行為が必要であるか否かが問われている。下線部イの前
後では,対人的関係が成立するためには意志の伝達が必要であるとされている。また,
「我々の生活に,言語生活が重大な交渉を持」ち,「我々の言語行為は,伝達を媒介
として,自他の生活,行為に密接に連なっている」とされている。これらの点からす
ると,下線部イは思想の表現行為が「行われる必要はない」のではなく,「行われる
必要がある」と考えるのが適切である。
したがって,下線部イは,「行われる必要はない」とする点で,不適切な表現とな
っている。
適切な表現となっている
ウ ○
下線部ウでは,言語行為は全体として,あるいは等比率で我々の生活に交渉を持つ
のかどうかが問われている。下線部ウの次の行に,ある言語行為はある生活と結びつ
き,他の言語行為は,他の行為と結びつくとある。この点からすると,言語行為は常
に全体として交渉を持ったり,言語形態相互が等比率で「交渉を持つのではな」いと
考えるのが適切である。
したがって,下線部ウは適切な表現となっている。
不適切な表現となっている
エ ×
下線部エでは言語生活の諸形態が生活に等比率で組合されているかどうかが問わ
れている。この点について,下線部エより前で言語行為は等比率で交渉を持っている
わけではないことは,討論と食生活・政治の運営との関係などの具体例を挙げながら
説明されている。この点からすると,等比率において「組合わされているものである」
のではなく,「組合わされていないものである」と考えるのが適切である。
したがって,下線部エは,「組合わされているものである」とする点で,不適切な
表現となっている。
以上より,不適切な表現となっているものはア,イ,エであり,正解は3となる。
出典 時枝誠記『国語学原論 続篇』
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第
4問
小林秀雄の文学観
配点
3点
正解〔№4〕5
部分点
なし
ア
描写
アには,ヴァレリーが軽蔑した「小説形式に不可欠な」ものが入る。このアに入る
ものは,ヴァレリーが書けないとする「公爵夫人は五時になると,馬車に乗って出掛
けた」という具体例や「作者の自我から一応,切り離されたもの」という言い換えが
なされている。これらからすると,アには「描写」が入ると考えるが適切である。
したがって,アには「描写」が入る。
イ
正確に把握していた
小林秀雄の文学的出発点は,大学入学以前のフランス象徴詩との接触であった。こ
の知識があれば,正確に把握していた,が選択できる。また,ボードレールは近代象
徴主義詩の開祖である。ボードレールやヴァレリーが詩人という知識があれば,詩人
は小説を書くことが本業でないから失敗した,という推測もできる。
上記の知識がない場合でも,『かかる愚問には答える能わず』という小林の答案を
ヒントにして解答できる。もし小林が象徴派の小説について全く理解していないなら
『かかる愚問・・・』とは書けない。理解があるからこそ,愚かな出題という評価が
できたのである。したがって,全く理解していなかった,は入らない。つぎに『・・・
答える能わず』とは現代語に訳すと,答えることができない,という意味である。単
に,答えることができない,と述べるに過ぎないから,鋭く批判していた,は入らな
い。
小林は,象徴派詩人たちによる小説が「失敗した」ことを正確に把握していたので
『象徴派の小説について』言及する価値がないとして,かかる愚問に答えることがで
きない,と答案に書いたのである。
したがって,イには「正確に把握していた」が入る。
ウ
志賀直哉
ウに入る作家は,「客観的なフィクションへの同世代の作家たちの情熱を冷やす」
作家となることがわかる。そこで私小説に分類される作品を残した志賀直哉がウに入
ると考えるのが適切である。なお,谷崎潤一郎は耽美派の代表的作家であり,宮沢は
童話や詩作が中心の作家である。
したがって,ウには「志賀直哉」が入る。
以上より,正しい肢は5であり,正解は5となる。
出典 中村真一郎『戦後文学の回想』
4
LEC・平成24年度司法試験予備試験
短答式問題解析講座(一般教養)
5問
第
1 ○
2 ×
3 ×
4 ×
5 ×
四字熟語
配点
3点
正解〔№5〕1
部分点
なし
リード文において,「彼」が過去のこだわりを悔いて,自分の率直な思いを伝えよ
うとしていることが書かれ,さらに,引用文でも「彼の心境」は,2行目の「何故自
然に抵抗したのか」と表現されている。「行雲流水」は,深く物事に執着せずに自然
のなりゆきに任せるという意味であり,これが「彼の心境」を表すものとして適切で
ある。
したがって,本肢は正しい。
「春風駘蕩」は,春風がのどかに吹くさまをいい,転じて性格,態度がのんびりし
ているさまをさす。
したがって,「彼の心境」を表していない点で本肢は誤っている。
「順風満帆」は,物事がすべて順調に進むことのたとえをいう。
したがって,「彼の心境」を表していない点で本肢は誤っている。
「漱石枕流」は,自分の失敗を求めず,屁理屈を並べて言い逃れをすることをいう。
したがって,「彼の心境」を表していない点で本肢は誤っている。
「色即是空」は,この世にある一切の物質的なものはそのまま空であるという仏教
用語である。
したがって,「彼の心境」を表していない点で本肢は誤っている。
以上より,正しい肢は1であり,正解は1となる。
出典 夏目漱石『それから』
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LEC・平成24年度司法試験予備試験
短答式問題解析講座(一般教養)
6問
第
描写対象の本意の問い直し
配点
3点
正解〔№6〕1
部分点
なし
本文によると,「本意」を捉え直すとは,従来,「うぐひす」が春を告げるものとして捉
えられてきたものを,新たに悲しみを表すものとして別のニュアンスを付与し,それまでの
その語句が持っていたイメージを革新させてしまうことを意味するものと考えられる。
なお,これと類似するものとして掛詞がある。これは,同音の一つの言葉で二つ以上の意
味を表す和歌の修辞法の一つで,『古今集』以降の和歌で盛んに用いられている。しかし,
掛詞と「本意」を捉え直すこととは別次元のものである。
本問の1~5では共通する語句に「蛙」があるが,それぞれの句において「蛙」がどのよ
うに捉えられているかや句における役割を解釈して検討していくことになる。
1の句は,『春の日』の中の俳句である。春ののどかな午後,蛙が静まり返った古
1 ○
池にポチャンと飛び込んだその澄んだ水音と,その後,またすぐに静寂が戻った様子
を描いたものである。伝統的に和歌の世界では,蛙は澄んだ声で鳴くものとして捉え
られ,鶯と共に声の美しい存在,「鳴く蛙」というイメージが確立されていた。とこ
ろが,1の句では,「跳ぶ蛙」の池に飛び込む音が表現されており,その音の中に新
しい美を見出している。このように鳴く蛙ではなく,飛ぶ蛙の音に着目して,新しい
詩情を持つ作品を作った点で,「本意」を捉え直した句であると評価されている。
したがって,1は「本意」を新しく捉え直している。
2の句は井出に蛙が集まって鳴いている様子を描いた句である。「井手」は田の用
2 ×
水として水をせき止めている場所を意味し,「すだく」は群がり集まること,鳴くこ
とを意味する。これは選択肢1の解説にあるように,従来の「鳴く蛙」のイメージに
従って作られたものであり,「本意」を新しく捉え直したものであるとはいえない。
したがって,2は「本意」を新しく捉え直しているとはいえない。
3の句は夕暮れの春に流れる水(川)で鳴く蛙の様子を描いた句である。これは選
3 ×
択肢1の解説にあるように,従来の「鳴く蛙」のイメージに従って作られたものであ
り,「本意」を新しく捉え直したものであるとはいえない。
したがって,3は「本意」を新しく捉え直しているとはいえない。
4の句は蛙がじっと座って鳴いている様を,貴人の前で「手をついて」かしこまっ
4 ×
て和歌を詠み上げ申している様にたとえた句である。これは選択肢1の解説にあるよ
うに,従来の「鳴く蛙」のイメージに従って作られたものであり,「本意」を新しく
捉え直したものであるとはいえない。
したがって,4は「本意」を新しく捉え直しているとはいえない。
5の句は「遠蛙」とは遠くで聞こえる蛙の声という意味である。これは選択肢1の
5 ×
解説にあるように,従来の「鳴く蛙」のイメージに従って作られたものであり,「本
意」を新しく捉え直したものであるとはいえない。
したがって,5は「本意」を新しく捉え直しているとはいえない。
以上より,正しい肢は1であり,正解は1となる。
6
LEC・平成24年度司法試験予備試験
短答式問題解析講座(一般教養)
第
7問
外国人による日本の様子
配点
3点
正解〔№7〕3
部分点
なし
ア
明治初期を描写している
アはイザベラ=バード『日本奥地紀行』(1878年)からの引用である。これは明治
初期の日本を描写した紀行文である。「江戸」との表現から少なくとも明治初期まで
の記述であることがわかる。また,品川台場は,ペリー来航に脅威を感じた幕府がペ
リーの来航直後に建設を開始した砲台である。この点からすると,少なくともペリー
来航以降のものであることもわかる。
したがって,アは明治初期を描写している。
イ
室町時代を描写している
イは宋希璟『老松堂日本行録』(1420年)からの引用である。これは,回礼使宋希
璟が朝鮮王国使として室町幕府に迎接された際の記録書であり,主として朝鮮人から
見た室町時代の日本を描いている。引用文の「寇」という文字がいわゆる(前期)倭
寇のことを指すと考えると,室町時代の描写であることがわかる。倭寇は13世紀から
16世紀に朝鮮・中国沿岸で活動した日本の海賊集団で,前期倭寇は13世紀~15世紀に
かけて対馬・壱岐を根拠地とし,朝鮮・山東半島で略奪を繰り返した。
したがって,イは室町時代を描写している。
ウ
ペリー来航当時を描写している
ウはぺルリ『ぺルリ提督の日本遠征記(上巻)』から引用である。「日本の海に現
はれた最初の汽船」という表現からペリーが来航した(1853年)当時の描写であるこ
とがわかる。この時,ペリーは4隻の軍艦を率いて浦賀,久里浜に現れたが,4隻中
2隻の外輪船が日本に現れた最初の蒸気船であった。
したがって,ウはペリー来航当時を描写している。
エ
戦国時代を描写している
エはフランシスコ=ザビエル『イエズス会への手紙』(1549年)からの引用である。
「[私たちの]修道者」という記述から,宣教師ではないかと考えることができ,そこ
から戦国時代の日本を描写していると考えることができる。ザビエルは,イエズス会
の宣教師であり,ロヨラとともにイエズス会を創立し,東方伝道を志して,1549年に
鹿児島に渡来した。
したがって,エは戦国時代を描写している。
以上より,年代順に配列した正しい順序は,イ→エ→ウ→アであり,正解は3となる。
7
LEC・平成24年度司法試験予備試験
短答式問題解析講座(一般教養)
8問
第
森と人間の歴史
配点
3点
正解〔№8〕2
部分点
なし
ア
A ①旧石器時代
火は,「弓矢が発明される前」の旧石器時代から使用されており,例えば,北京原
人が洞穴に住んで打製石器や火を使用していたことが判明している。弓矢は旧石器時
代・中石器時代以降に使用され,短期間で普及した。
したがって,Aには①旧石器時代が入る。
イ
B ③ギルガメシュ叙事詩
「人類最古の叙事詩」はギルガメシュ叙事詩である。ギルガメシュは,紀元前2600
年ごろ,シュメールの都市国家ウルクに実在したとされる王である。後に伝説化され
て物語の主人公にされたとされる。現存する最古の写本は,紀元前2000年紀初頭に作
成されたシュメール語版である。オリジナルの編纂は紀元前3000年紀に遡るともされ
る。森林破壊が結局文明の破壊をもたらすことを示す内容となっているが,友情の大
切さや,野人であったエンキドが教育により人間的成長を遂げる過程,自然と人間と
の対立構図など,寓話としての色彩も強い。なお,リグ・ヴェーダは最古の聖典,ヴ
ェーダであり,神々の賛歌集である。また,オデュッセイアはトロイア戦争の英雄オ
デュッセウスのトロイア攻略から帰国までの冒険を描いた叙事詩である。
したがって,Bには③ギルガメシュ叙事詩が入る。
ウ
C ③インド
ローマは南インドのサータヴァーハナ朝と季節風貿易を行い,胡椒,綿布,真珠な
どを輸入し,陶器,金貨,酒などを輸出した。サータヴァーハナ朝にとってモンスー
ンを利用した季節風貿易は大変重要な収入源であった。しかし,ローマにとっては金
貨のインドへの流出は経済上の大問題であった。
したがって,Cには③インドが入る。
エ
D ①ペスト
中世期における小動物を媒介とする疫病はペスト(黒死病)である。12世紀を中心
とする前後200年間,ヨーロッパの農業生産は飛躍的に増加した。しかし,大開墾時
代とも呼ばれる大規模な森林伐採を契機にねずみが増殖し,それによるペストの流行
は,ヨーロッパ全体を深刻な状態に陥れた。特に1347~1348年のペストの流行はヨー
ロッパ全土に波及し,全人口の3分の1から5分の1の命を奪ったといわれる。
したがって,Dには①ペストが入る。
オ
E ③オクラホマ
F ①『怒りの葡萄』
世界恐慌後の貧農一家の苦難を描いた小説『怒りの葡萄』の舞台はオクラホマであ
る。弱者の視点からされた資本主義社会への風刺とも取れる内容のため,保守主義陣
営からの批判が強かったものの,原作はベストセラーとなった。また,1940年に映画
化されアカデミー賞を受賞するなど高い評価を受けた。「怒りの葡萄」という表題は
旧約聖書からの引用で,理不尽で無差別な神の御業という意味の暗喩となっている。
したがって,Eには③オクラホマ,Fには①『怒りの葡萄』が入る。
以上より,正しい肢は2であり,正解は2となる。
8
LEC・平成24年度司法試験予備試験
短答式問題解析講座(一般教養)
9問
第
第一次世界大戦
配点
3点
正解〔№9〕3
部分点
なし
1 ○
表現主義やキュービズム,フォーヴィズム,未来派など20世紀初頭から第一次世界
大戦前後の芸術運動は,印象主義の否定から生まれた自由な表現による絵画革命であ
った。大戦後に生じたダダイズムは不安定な世相そのままに既存の価値観すべてを否
定することに終始したが,シュルレアリスムはダダイズムの否定の後を受けて,新し
い価値を創造しようとした。これらは順次発生したわけではなく,第一次大戦前夜に,
パリ,ミュンヘン,ミラノ,モスクワなどの前衛芸術家たちによって相互に影響を受
けながらほぼ同時発生したものである。これらの芸術運動は,第二次大戦後に生まれ
た抽象絵画の源流となった。
したがって,本肢は正しい。
オスマン帝国は,ビザンツ帝国を滅ぼしたことやレパントの海戦(1571)に代表さ
2 ○
れるようにヨーロッパ諸国に影響を与え続けていた。しかし,17世紀末頃から国の勢
いは徐々に衰え,19世紀にはヨーロッパ列強諸国からの干渉を受けるようになった。
第一次世界大戦では,敗戦国となって,セーヴル条約の締結により領土が大幅に縮小
され,その後のトルコ革命によって1922年に滅んだ。
したがって,本肢は正しい。
第一次世界大戦中,中立を維持していたアメリカはドイツによる無制限潜水艦作戦
3 ×
をきっかけに連合国側に立って参戦した。その後,アメリカは,ウィルソン米大統領
が提言した国際連盟の設立にも深く関与した。しかし,アメリカ国内では,国際的負
担に反対するモンロー主義が台頭してヴェルサイユ条約批准を上院が拒否したため,
国際連盟そのものには参加しておらず「運営」にまで関与していない。
したがって,アメリカが国際連盟の運営において中心的な役割を果たしたとする点
で,本肢は明らかな誤りを含む。
第一次大戦中,連合国側に立っていたロシアでは1917年にロシア革命が勃発し,社
4 ○
会主義政権が樹立された。その後,ソ連内部では,一国社会主義論を唱えるスターリ
ンと世界革命論を唱えるトロッキーの間で路線対立が生じたが,レーニンの死後にス
ターリンが勝利してトロッキーを追放して,一国社会主義の路線を歩むことになっ
た。
したがって,本肢は正しい。
ウィルソン米大統領はヴェルサイユ条約の基礎となる十四カ条の平和原則を発表
5 ○
した。これは,ヨーロッパ諸国民の民族自決,軍備縮小,植民地問題の公正な解決,
国際平和機構の設立などを内容とするものであった。しかし,ヴェルサイユ条約がま
とめられたパリ講和会議では,イギリス・フランスなどが植民地などの既得権益を手
放さずに現実主義的主張を行い,この原則は部分的にしか実現しなかった。そのため,
アジアやアフリカの人々の失望を招き,各地で民族運動が活発化した。
したがって,本肢は正しい。
以上より,明らかな誤りを含む肢は3であり,正解は3となる。
9
LEC・平成24年度司法試験予備試験
短答式問題解析講座(一般教養)
第
10 問
20 世紀の国際通貨体制や為替制度
配点
3点
正解〔№10〕5
部分点
なし
ア ○
1944年7月,アメリカのニューハンプシャー州ブレトン・ウッズにおいて,国際通
貨会議が開催され,第二次世界大戦後の国際為替金融の新ルールについて協定が結ば
れた。この協定をブレトン・ウッズ協定といい,①アメリカ・ドルを金と交換可能と
して,ドルを基軸通貨とする固定為替相場制を採用すること,②IMF(国際通貨基
金の設立)の設立,③IBRD(国際復興開発銀行)の設立が合意された。
したがって,アは正しい。
ブレトン・ウッズ協定では,アメリカ・ドルを金と交換可能として,ドルを基軸通貨
イ ○
とする固定為替相場制が採用された。ドル・円レートは,貿易の拡大を図るために当
時1ドル=360円の単一為替レートが設定された。
したがって,イは正しい。
1970年代に入り,ドルが大量発行され,アメリカの国際収支は慢性的な赤字となっ
ウ ×
た。この事態に対処するため,1971年にニクソン大統領はドルと金の交換停止に踏み
切った。これがいわゆる「ニクソン・ショック」である。なお,オイルショックは,
1973年の第四次中東戦争におけるアラブ石油輸出国機構(OAPEC)の石油戦略を
契機に起きた世界的な経済混乱である。
したがって,オイル・ショックとする点で,ウは誤っている。
ニクソン声明によって,一時的に変動相場制に移行したが,まもなく固定相場制に
エ ○
戻った(スミソニアン協定)。しかし,ドルの信頼が回復せず,この体制は14ヶ月で
崩壊し,再び変動相場制に移行し,キングストン協定(1976年)によって変動相場制
が承認されることで,ブレトン・ウッズ体制は崩壊した。
したがって,エは正しい。
1987年2月,パリにおいて,G7(先進7カ国中央銀行総裁会議)が開かれ,為替
オ ×
レートの安定を目指した合意(ルーブル合意)を行い,1985年のプラザ合意を原因と
する過度の円高ドル安を是正するため,アメリカと日本が協調介入を行った。しかし,
この合意以後も円高ドル安は進行し続け,円は1ドル=120円台にまで値を上げた。
一連の急激な円高のため,日本の輸出は深刻な影響を受けて,日本の経済は不況状態
(円高不況)となり,内需主導型経済への転換が図られた。
したがって,ドル安に歯止めをかけようとしたのがプラザ合意であるとする点で,
オは誤っている。
以上より,誤っている肢はウとオであり,正解は5となる。
10
LEC・平成24年度司法試験予備試験
短答式問題解析講座(一般教養)
第
11 問
日本の農林水産業と貿易
配点
3点
正解〔№11〕1
部分点
なし
1 ×
小麦,とうもろこし,大豆のいずれも,2010年における日本の最大の輸入相手国は
アメリカである。これに対して,中国はこれらの穀物の生産大国ではあるが,需要の
増加から,輸入が拡大しており,大豆やとうもろこしは輸入量が超過している。
したがって,2010年の最大の輸入相手国を中国としている点で,本肢は明らかに誤
っている。
日本は国土面積の7割弱を森林が占める世界有数の森林大国である。1960年には,
2 ○
木材の自給率は8割を超えていたが,木材需要の増加から木材を輸入するようになっ
た。現在は木材供給量における外材の割合が,国産材を大きく上回っており,木材自
給率は改善されたものの27.8%(2009年)に留まっている。
したがって,本肢は正しい。
日本の漁業・養殖生産量は1984年をピークに減少傾向をたどっている。とりわけ,
3 ○
遠洋漁業の落ち込みが激しく,沖合漁業も減少傾向にある。世界的に水産物消費量が
増加する中,日本の消費量・輸入量は減少傾向にあるが,それでもなお世界有数の消
費国である。水産物輸入数量は中国が抜いて1位となっているものの,輸入金額では
日本が世界1位,2位はアメリカである。
したがって,本肢は正しい。
日本はGATT・ウルグアイ・ラウンドを契機として国産米を保護する代わりに最
4 ○
低限の輸入機会(ミニマム・アクセス)を提供することとなり,その枠として毎年米
の輸入枠が設定されている。これをミニマム・アクセス米といい,主にアメリカ,タ
イなどから輸入している。
したがって,本肢は正しい。
1960年の食料自給率は79%であったが,2010年には供給熱量ベースで39%となって
5 ○
いる。米はほぼ100%の自給率を維持しているものの,小麦が8%,大豆が25%など
米以外の穀物,肉類などの自給率が低下している。自給率の低下には食生活の変化と
輸入自由化の推進の影響などが大きいとされる。
したがって,本肢は正しい。
以上より,明らかに誤っている肢は1であり,正解は1となる。
11
LEC・平成24年度司法試験予備試験
短答式問題解析講座(一般教養)
第
12 問
宗教に関する様々な考察
配点
3点
正解〔№12〕3
部分点
なし
ア ×
宗教とは,超自然的・超人間的な存在に対する信仰,神または絶対者に対する信仰
及びこれに伴う行事をいう。キリスト教,ユダヤ教,イスラム教などのように信仰の
対象とする神が1つの一神教やヒンドゥー教や仏教,神道のように複数の神々を同時
に崇拝する多神教がある。仏陀(ゴータマ=シッダールタ)が創始した仏教には,自
力本願的で修行と戒律を重視する上座部仏教(小乗仏教)と他力本願的で自らの救済
と共に他者の救済を目的とする大乗仏教がある。創始された当初は個人の悟りを重視
するものであったが,紀元前後には,このような在り方を小乗と批判し,自らを一切
衆生を救う大乗であるとする人々が登場し分裂した。
したがって,仏教が衆生の救済を希求する信仰として興ったという点で,本肢は誤
っている。
デュルケームは,宗教はその崇拝の対象は道徳的権威としての社会そのものであ
イ ×
り,葬儀は集合的沸騰の中での集団との一体化を通して聖なるものを社会の成員に再
確認させ,社会的連帯感を更新する意義を持つとした。その上で,社会的凝集力が弱
まった近代社会における宗教の意義を説いた。現代においても,アメリカの歴代大統
領はオバマ大統領も含めて,就任の宣誓時に聖書に手を置いてすることが慣例となっ
ている。なお,オバマ大統領はリンカーンが用いた聖書を用いて就任の宣誓を行って
いる。
したがって,オバマ大統領は合衆国法典に手を置いて就任の宣誓を行ったとする点
で,本肢は誤っている。
ウェーバーは,人間の支配-服従関係は,支配される側がその支配の正当性を受け
ウ ○
入れる(「正当性信念」)ことによって成り立つとし,その支配現象を3つの理念型
(合法的支配,伝統的支配,カリスマ的支配)に類型化した。カリスマ的支配は,支
配者個人の非凡な資質に対する被支配者の情緒的帰依に基づく支配であり,その具体
例として預言者や軍事的英雄が挙げられる。
したがって,本肢は最も適切である。
ベンジャミン・フランクリンはアメリカの政治家・物理学者であり,アメリカ独立
エ ×
宣言の起草委員にもなった。近代的人間像を象徴する人物として広く知られ,多くの
名言を残し,100ドル紙幣のモデルにもなっている。また,ドラッカーはアメリカの
経営学者であり,多くの著作を残した。ドラッカーはプロフェッショナルの条件とし
て,自分の強みを知ること,いつ変化すべきかを知ることなどが挙げたが,信仰の保
持は挙げていない。
したがって,プロフェッショナルの条件として信仰の保持を挙げている点で,本肢
は誤っている。
新興宗教は,明治時代と第二次世界大戦後に多く誕生したり規模を拡大したりし
オ ×
た。中には,オウム真理教のような,反社会的行為を行う新興宗教も含まれており,
これらはカルトと呼ばれることもある。文化庁の統計によると,現在日本には宗教法
人の数は約18万以上にもなる。
したがって,新興宗教の増加が第二次世界大戦後に歯止めがかかっているとする点
で,本肢は誤っている。
以上より,正しい肢は3であり,正解は3となる。
12
LEC・平成24年度司法試験予備試験
短答式問題解析講座(一般教養)
第
13 問
先端医療技術と生命倫理
配点
3点
正解〔№13〕5
部分点
なし
1 ○
ヒト・クローン個体の作成は技術的に可能であるが,倫理上の問題から,日本では
2001年施行の「ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律」によってヒト・ク
ローン胚をヒトの胎内に移植することが禁止されている。また,移植臓器などの医療
目的のクローニングについては,2004年7月に総合科学技術会議の生命倫理専門調査
会によって出された最終報告書により,基礎研究に限り治療目的のクローン胚作製が
容認され,関係各省による体制作りが進められている。もっとも,この点について潜
在的には人間になる可能性のあるヒト胚を作製し破壊することに対する批判は根強
い。
したがって,本肢は正しい。
代理出産は依頼を受けた女性が依頼者の代わりに妊娠・出産するというものであ
2 ○
る。日本では法的に禁止されてはいないが,日本産科婦人科学会は会告で禁止してい
る。他方,アメリカでは商業的に行われている。代理出産には,体外受精による夫婦
の受精卵を第三者の女性に移植する体外受精型代理母(ホストマザー)と夫の精子と
第三者の女性の卵子とを人工授精させて妊娠させる人工授精型代理母(サロゲートマ
ザー)がある。いずれの場合であっても,日本では,判例上,分娩した女性が実母と
され,ホストマザーのように遺伝上は同じ場合であっても法的な親子関係は認められ
ていない。代理母が子の引渡しを拒否する事件のように,遺伝上の母と出産した代理
母との間で親権や養育権をめぐる訴訟が起こるなどの事態も発生している。
したがって,本肢は正しい。
男女の産み分けをする方法として,体外受精の手法を用いた着床前診断の方法があ
3 ○
るが,日本では産み分け目的でこの手法を用いることは日本産婦人科学会が禁止して
いるため公然とは行われていない。もっとも男女の産み分けや男児だけに発病する遺
伝病(血友病など)への対策として女児だけを妊娠させるパーコール法が存在する。
男女の産み分けは各国によってかなり差があるが,インドなどの男児妊娠が好まれる
国では選択的中絶が社会問題となることもある。
したがって,本肢は正しい。
臓器移植については商業主義に陥る,外国からの患者への臓器移植のために自国民
4 ○
の移植医療の機会が減少するなど,渡航移植や臓器売買が国際的に問題となってい
る。このことを踏まえ,国際移植学会が2008年5月に臓器売買の禁止と,渡航移植の
自粛などを各国に求めるイスタンブール宣言を出している。
したがって,本肢は正しい。
遺伝子治療とは厚生労働省指針によれば,「疾病の治療および治療法の開発を目的
5 ×
として,遺伝子または標識となる遺伝子を導入した細胞を人の体内に投与すること」
とされている。遺伝子治療の導入対象の細胞は体細胞に限り,生殖細胞などの遺伝的
改変は禁止されている。
したがって,遺伝子治療は,体細胞だけでなく,受精卵など生殖細胞に対して行うこ
とが一般化しているとする点で,本肢は明らかに誤っている。
以上より,誤っている肢は5であり,正解は5となる。
13
LEC・平成24年度司法試験予備試験
短答式問題解析講座(一般教養)
第
14 問
日本の地方分権
配点
3点
正解〔№14〕4
部分点
なし
ア ×
リコールやイニシアティブといった直接民主主義的な制度(直接請求権)は,日本国
憲法95条及び地方自治法74~88条に規定されている。具体的には,特別法の住民投票,
条例の制定・改廃請求,事務監査請求,議会解散請求,解職請求などがある。
したがって,1990年代末以降に初めて導入されたという点で,本肢は誤っている。
1999年の地方分権改革によって,かつての機関委任事務は法定受託事務と自治事務
イ ○
に再編成され,一部の事務は国の直接執行事務とされるか,事務自体が廃止された。
法定受託事務とは,地方公共団体が処理する事務のうち,国が本来果たすべき役割に
かかわるもので,国において適正な処理を特に確保する必要があるとして,法律また
は政令に特に定めるものをいう。また,自治事務とは,地方公共団体が処理する事務
のうち,法定受託事務以外のものをいう。
したがって,本肢は正しい。
地方自治体は慢性的な財源不足のために国に財源の多くを依存し,その実態は3割
ウ ×
自治とも揶揄されていた。そこで,①国庫補助負担金の削減,②税源移譲を含む税源
配分の見直し,③地方交付税の見直しを一体で推進する三位一体の改革が2004~06年
に行われた。
したがって,地方交付税の増額を目指すという点で,本肢は誤っている。
地方公共団体の財政の健全化に関する法律(財政健全化法)では,地方公共団体は,
エ ○
実質赤字比率,連結実質赤字比率,実質公債費比率,将来負担率の4つの指標(健全
化判断比率)について毎年度の財政状況を監査委員の審査に付した上で,議会に報告
し,公表することが義務付けられている。早期健全化判断基準や財政再生基準を超え
る自治体にそれぞれ財政健全化計画と財政再生計画を策定・実施することも義務づけ
られた。
したがって,本肢は正しい。
自治体を広域化することによって行財政基盤を強化し,地方分権の推進に対応する
オ ×
ことなどを目的として,1999年以来,政府が強力に推進した地方自治体の合併を「平
成の大合併」という。平成17年(2005)前後に最も多く合併が行われたが,合併特例
法,新合併特例法などが期限切れとなり2010年3月末に終了した。現在は,新しい合
併特例法に改正され,その目的は合併の推進から合併の円滑化に改正された。「平成
の大合併」の結果,1999年3月31日現在の3232から平成22(2010年)年度末で1727に減
少し,2011年4月現在には1724へと減少した。
したがって,平成22(2010)年度末の時点で市町村の数は3232にまで減少したという
点で,本肢は誤っている。
以上より,正しい肢はイとエであり,正解は4となる。
14
LEC・平成24年度司法試験予備試験
短答式問題解析講座(一般教養)
第
15 問
世界の選挙制度
配点
3点
正解〔№15〕2
部分点
なし
1 ○
台湾総統は,従来,国民代表大会の議員の投票による間接選挙方式が採られていた
が,1988年に就任した李登輝総統のもとで民主化が進み,国民の直接選挙方式が採ら
れるようになった。総統の任期は4年で,再選は1回のみとされ,被選挙権は40歳以
上とされる。総統と副総統が統一候補となり,同時に選出される仕組みとなっている。
したがって,本肢は正しい。
従来,ロシアの大統領の任期は4年で3選ができない方式であったが,2008年の憲
2 ×
法改正により,大統領の任期は6年で,再選は一度のみ許され連続3選が禁止された。
直接選挙制を採用し,議会解散権や非常大権など強大な権限を有する。
したがって,3選(連続しない場合を含む)は禁止されるとする点で,本肢は誤っ
ている。
フランスはかつて間接選挙によって大統領が選出されていたが,1958年の第5共和
3 ○
制において1962年以降の選挙は2回投票制の直接選挙を採用することとなった。これ
は第1回投票で過半数を得た候補がいない場合に,上位2名で決選投票を行う方式で
ある。2008年の改正以来,大統領の任期は5年で,連続した場合は再選が一度のみ許
され,連続3選が禁止された。フランスの大統領は,国民議会の解散権や首相の任免
権など強大な権限を有する。
したがって,本肢は正しい。
アメリカ大統領選挙は4年に一度行われる。大統領の任期は4年で再選が一度のみ
4 ○
認められ,3選(連続しない場合を含む)は禁止されている。全米各州で予備選挙が行
われ各党ごとに行われる全国党大会で予備選挙の勝者が大統領候補となる。その後の
本選挙においては,有権者による一般投票の結果を反映する形で大統領選挙人による
選挙人投票が行われ,大統領が決定される。よって,本選挙は実質的には国民の意思
が反映されるものの,形式的には選挙人による間接選挙の形式をとる。アメリカの大
統領は,国家元首であり,行政の長であるが,法案提出権は有さない。
したがって,本肢は正しい。
韓国の大統領選挙は,直接選挙制を採用する。任期は5年で再選はできない。被選
5 ○
挙権は40歳以上と高く,国会議員の被選挙権を有する韓国市民であることが要件とさ
れている。大統領は法案および予算案の提出権を有し,議会は一院制で解散制度は存
在しない。
したがって,本肢は正しい。
以上より,誤っている肢は2であり,正解は2となる。
15
LEC・平成24年度司法試験予備試験
短答式問題解析講座(一般教養)
第
16 問
貿易と比較優位説
配点
3点
正解〔№16〕1
部分点
なし
1 ○
A,B両国において,甲の生産を一単位あきらめそれにより生じた余剰労働力を乙
の生産に振り向けたとする。この場合,生産される乙の生産量は,A国については5
/8,B国については7/10となり,B国の方が乙の生産量が多くなる。よって,B
国は乙について比較優位を持つ。一方,A,B両国において,乙の生産を一単位あき
らめ,それにより生じた余剰労働力を甲の生産に振り向けた場合に生産される甲の生
産量は,A国については8/5,B国については10/7となり,A国の方が甲の生産
量が多くなる。よって,A国は甲について比較優位を持つ。
したがって,本肢は正しい。
解説肢1のとおり,A国は甲について比較優位を持ち,B国は乙について比較優位
2 ×
を持つ。
したがって,A国は乙,B国は甲の生産に比較優位を持つとする点で,本肢は誤っ
ている。
解説肢1のとおり,A国は甲について比較優位を持ち,B国は乙について比較優位
3 ×
を持つ。
したがって,A国もB国も,甲の生産に比較優位を持つとする点で,本肢は誤って
いる。
解説肢1のとおり,A国は甲について比較優位を持ち,B国は乙について比較優位
4 ×
を持つ。
したがって,A国もB国も,乙の生産に比較優位を持つとする点で,本肢は誤って
いる。
解説肢1のとおり,A国は甲について比較優位を持ち,B国は乙について比較優位
5 ×
を持つ。
したがって,A国はB国に対して比較優位を持つとする点で,本肢は誤っている。
以上より,正しい肢は1であり,正解は1となる。
16
LEC・平成24年度司法試験予備試験
短答式問題解析講座(一般教養)
第
17 問
① ×
② ○
③ ×
④ ×
⑤ ○
⑥ ×
総費用曲線と限界費用
配点
3点
正解〔№17〕2
部分点
なし
限界費用とは,財を追加的に生産したときに生じる追加的な費用のことであり,限
界費用の大きさは総費用曲線における接線の傾きの大きさに等しい。
したがって,総費用曲線のグラフの形状より,限界費用が一定であるという点で,
本肢は誤っている。
総費用曲線のグラフの形状より,生産量の増加に伴い総費用曲線における接線の傾
きの大きさは大きくなっている。すなわち,生産量の増加に伴い限界費用が逓増して
いる。
したがって,本肢は正しい。
総費用曲線のグラフの形状より,生産量の増加に伴い総費用曲線における接線の傾
きの大きさは小さくなっている。すなわち,生産量の増加に伴い限界費用が逓減して
いる。
したがって,生産量の増加に伴い限界費用が逓減しているという点で,本肢は誤っ
ている。
限界費用が逓増する場合は,総費用曲線のグラフの形状は,生産量の増加に伴い総
費用曲線における接線の傾きの大きさは大きくなることになり,直線的な形状になら
ない。
したがって,総費用曲線のグラフの形状より,限界費用が一定であるという点で,
本肢は誤っている。
総費用曲線のグラフの形状より,生産量の増加に伴い総費用曲線における接線の傾
きの大きさは大きくなっている。すなわち,生産量の増加に伴い限界費用が逓増して
いる。
したがって,本肢は正しい。
総費用曲線のグラフの形状より,生産量の増加に伴い総費用曲線における接線の傾
きの大きさは小さくなっている。すなわち,生産量の増加に伴い限界費用が逓減して
いる。
したがって,生産量の増加に伴い限界費用が逓減しているという点で,本肢は誤っ
ている。
以上より,正しい肢は②,⑤となり,正解は2となる。
17
LEC・平成24年度司法試験予備試験
短答式問題解析講座(一般教養)
第
18 問
各種工業の特徴とその立地
配点
3点
正解〔№18〕5
部分点
なし
企業は,工場が最小の投資で最大の効果を上げられるような合理的な経営を営むために適
した立地条件を選択する。この立地条件には,用水・用地・原料・燃料などの自然的条件と
交通・労働力・消費地などの社会的条件があり,これらは相互に関係している。工場の種類
によって立地条件の組合せが異なり,さらに,同じ工場でも時代によって異なる。
原料指向型の工業には,製品コストに占める原料の輸送コストが大きく,輸送費を
① E
小さくするために原料産地に立地しやすい特徴がある。パルプ,セメント,鉄鋼のほ
か,果実加工,製糸業や陶磁器などがこれに該当する。現在では,輸入に便利で,市
場に隣接した大都市近郊の臨海部が主な立地となっている。代表的なものとして,ル
ール,伊万里,苫小牧,君津,倉敷などが挙げられる。
したがって,①とEの組合せが適切である。
市場指向型の工業には,製品の重量が大きいものや破損しやすい製品を扱ったり,
② D
市場の情報・流行を特に重視するため,製品の消費市場に立地しやすい特徴がある。
ビール,清涼飲料水,印刷,出版,高級服飾品がこれに該当する。代表的なものとし
て,東京,ニューヨーク,パリなどが挙げられる。
したがって,②とDの組合せが適切である。
労働力指向型の工業には,生産費が人件費に占める割合が高いので,労働力の得や
③ B
すい場所に立地しやすい特徴がある。未熟練でも安価で豊富な労働力を必要とする場
合と高度な技術をもつ労働力を求める場合がある。繊維,電機部品が前者に該当し,
伝統工芸品,知識集約型産業は後者に該当する。本問の繊維,縫製品は前者に該当す
る。代表的なものとして,前者には発展途上国の輸出加工区,後者には京都,シリコ
ンバレーなどがそれぞれ挙げられる。
したがって,③とBの組合せが適切である。
交通指向型の工業には,交通の利便性を求め,原料の輸入港や高速道路のインター
④ C
チェンジ,空港などの交通の便利な場所に立地しやすい特徴がある。石油化学工業や
鉄鋼業などは,輸入港付近に立地しやすく,製品が小さく付加価値の高いエレクトロ
ニクス工業などは空港や高速道路のインターチェンジ付近に立地しやすい。代表的な
ものとして,太平洋ベルトや九州のシリコンアイランドが挙げられる。
したがって,④とCの組合せが適切である。
集積指向型の工業には,多くの関連する工場が一定場所に集積することで,技術の
⑤ A
提携や各施設の共同利用,情報の交換などで生産コストを削減して生産性を上げられ
るという特徴がある。自動車や電気機械がこれに該当し,時には企業城下町を形成す
ることがある。代表的なものとして,豊田やデトロイトが挙げられる
したがって,⑤とAの組合せが適切である。
以上より,①E②D③B④C⑤Aであり,正解は肢5である。
18
LEC・平成24年度司法試験予備試験
短答式問題解析講座(一般教養)
第
19 問
経済学的費用
配点
3点
正解〔№19〕4
部分点
なし
経済学的費用とは,会計学上の費用と機会費用の和となる。
甲が店Bを1年間経営するのにかかる会計学上の費用は,ウの 100 万円(改装費が毎年償却され
る金額)
,エの人件費 300 万円,運転資金 400 万円の合計である 800 万円である。
これに対し,機会費用は,甲がA社を退職することで失う年収 800 万円と,イの乙から物件Cの
賃料を受け取ることができなくなる分(月 20 万円であるので,年間 240 万円)
,さらに,ウの改装
のために 1000 万円の預金を使ってしまうことで失う利息(年利1%であるので,年間 10 万円)の
合計である 1050 万円である。
よって,甲が店Bを1年間経営するのかかる経済学的費用は,800(万円)+1050(万円)=1,850
(万円)となる。
以上より,正しい肢は4であり,正解は4となる。
19
LEC・平成24年度司法試験予備試験
短答式問題解析講座(一般教養)
第
20 問
剛体球の運動
配点
3点
正解〔№20〕1
部分点
なし
剛体球の運動は重心運動(並進運動,問題の表現では直線運動)と重心まわりの回転運動と
に分析して考えることができる。その際,重心運動は剛体球に働く外力のベクトル和により説
明される。一方,自転運動は重心まわりのトルク(力のモーメントの和)により説明される。
本問では,密度が一様である剛体球の中心に向かう水平方向に撃力を加えることにより,ま
ず水平面に沿った直線運動が始まる。なお,この撃力の作用線は剛体球の中心(重心)を通る
ので,自転をひき起こすトルクは与えない。その後,この剛体球が受ける外力は,重力と,水
平面からの垂直抗力および摩擦力(滑り摩擦力)である(下図)。これらのベクトル和は摩擦
力と一致し,滑りが停まるまで直線運動は減速する。一方,剛体球にかかるトルクは摩擦力の
それであり,図において時計回りの自転運動をひき起こす。
垂直抗力
直線運動の向き
摩擦力
重力
したがって,剛体球に撃力を加えた後,直線運動は単調に減速し,回転運動は単調に加速し,
いずれ水平面との間の滑りが停まる。その後は滑ることなく水平面上を転がり続けることにな
る。
現実には,転がりに対しても抵抗(転がり抵抗)が働き,いずれ剛体球は静止するが,問題
文にある「転がり摩擦は考慮しない」との記述は,そのような効果を無視するとの趣旨である。
したがって,正解は1となる。
なお,直線運動が単調に減速し,はじめは回転がないことに注目すれば,選択肢1以外を選
ぶ余地はない。
以上より,正しい肢は1であり,正解は1となる。
20
LEC・平成24年度司法試験予備試験
短答式問題解析講座(一般教養)
第
21 問
重心の移動
配点
3点
正解〔№21〕3
部分点
なし
円板は密度と厚さが一様なので,小円板を切り取る前の円板の重心は円板の中心と一致する。
小円板を切り取り三日月状になった円板は図1のような形態であるが,これは,もとの円板と,
質量が負の値をもつ小円板を合体させたものと看做すことができる。
【図1】
この負の質量を持つ小円板の重心も小円板の中心と一致する。円板の質量はその面積に比例
するので,半径の2乗に比例する。そこで,もとの円板と負の質量を持つ小円板の質量の比は
 12 
12:-  =4:(-1)
 2 
となる。
したがって,図2のように 軸を設定すれば,三日月状の円板の重心の座標Xは
 a
0×4+-  × (-1)
a
 2
=
X=
4+(-1)
6
となる。
【図2】
x
a 0
2
-
以上より,正しい肢は3であり,正解は3となる。
21
LEC・平成24年度司法試験予備試験
短答式問題解析講座(一般教養)
第
22 問
弾性衝突
配点
3点
正解〔№22〕4
部分点
なし
質量が等しい2物体の弾性衝突では,衝突の起きた方向(以下「衝突方向」という。)に速
度の交換が生じる。衝突の起きた方向とは衝突の際の接触面(問題も断ることなく「接触面」
という用語を使っているが,2物体の接触点における共通の接平面を意味する。)と垂直で,
衝突による撃力の作用が現れた方向である。特に,一方の物体が静止している場合には,衝突
した物体の,衝突後の速度の衝突方向の成分はゼロとなり,その物体は,衝突方向と垂直な方
向に運動することになる。
A,Bはともに球なので,接触面とは両球の中心を結ぶ直線を法線とする平面になる。そし
て,この平面と垂直な方向,すなわち,両球の中心を結ぶ直線の方向が衝突方向となる。よっ
て,本問では,衝突後の球Aは衝突面と平行に運動することになる。この方向が,衝突前の球
Aの運動方向と 60°の角度をなすというのである。
以上の考察からわかるように,衝突の瞬間の両球と衝突前の球Aの運動の方向の関係の状況
は下図のようになる。
衝突前のAの
衝突方向
直進方向
r
衝突後のAの
30°
60° r
B
接触面
A
運動方向
図も示すように,衝突前のAの直進方向と衝突方向のなす角は 30°となるので,衝突係数は
2rsin30°=r
であることが分かる。
以上より,正しい肢は4であり,正解は4となる。
22
LEC・平成24年度司法試験予備試験
短答式問題解析講座(一般教養)
第
23 問
様々な病気の原因
配点
3点
正解〔№23〕4
部分点
なし
ア ×
遺伝子導入作物を作るにあたっては,成長した植物体ではなく培養細胞などを用い
て導入し,その後,植物体を作成する。除草剤耐性や病害虫耐性を持たせたものや栄
養成分を高めて食品としての価値を高めたものなどがある。しかし,農作物として栽
培される場合の環境に対する影響や食品としての安全性についても問題となってい
る。
したがって,成長した植物体に遺伝子を導入した細菌を感染させるという点で,本
肢は誤っている。
胃液は強酸の塩酸を含む体液である。胃の内部は強い酸性であり,ほとんどの細菌
イ ○
は死滅する。また,胃酸にはたんぱく質を分解する消化酵素のペプシンなども含まれ
ており,これによって腸で食物が本格的に消化・吸収される前の準備的な消化を行う。
したがって,本肢は正しい。
結核はウイルスではなく結核菌という細菌によって感染する。この結核菌は,後に
ウ ×
コレラ菌を発見したコッホによって1882年に発見された。戦前は国民病であり,沖田
総司や陸奥宗光,正岡子規などの多くの著名人も結核で命を落とした。現在はストレ
プトマイシンなどの抗生物質を用いて治療がなされているが,耐性を持った結核菌が
問題となっている。
したがって,結核はウィルスによって感染するため,抗生物質による治療は効果が
ないという点で,本肢は誤っている。
ごく一部の遺伝性のがんを除き,一般的にがんは遺伝性ではない。がんの原因は,
エ ○
遺伝子の変異だが,1つの遺伝子の変異だけでがんになるのではなく,複数の遺伝子
の変異が積み重なって,正常な細胞ががん細胞となる。がん細胞が異常に増殖した結
果,がんという疾患となる。
したがって,本肢は正しい。
メタボリックシンドロームは,厚生労働省の定義によれば,内臓脂肪型肥満に加え
オ ○
て,高血糖,高血圧,脂質異常のうちいずれか2つ以上をあわせもった状態である。
そして,動脈硬化を進行させ,心臓病や脳卒中といった命にかかわる病気を急速に招
くと考えられている。エネルギー貯蔵の方向に代謝が傾いた結果として内臓脂肪型の
肥満になる。また,内臓脂肪が過剰にたまると糖尿病や高血圧症,高脂血症といった
生活習慣病を併発しやすくなる。
したがって,本肢は正しい。
以上より,正しい肢はイ,エ,オであり,正解は4となる。
23
LEC・平成24年度司法試験予備試験
短答式問題解析講座(一般教養)
第
24 問
タンパク質のアミノ酸配列
配点
3点
正解〔№24〕2
部分点
なし
1
持ち得る
選択肢1のmRNAから予想されるアミノ酸配列は,Met-Leu-Thr-Cys-Arg-
Val―Thr―Leu―Thr……である。この配列の場合,タンパク質を構成するアミノ酸を
規定したものとなっており,タンパク質の情報を持ち得る。
したがって,本肢の場合,タンパク質の情報を持ち得る。
2
持ち得ない
選択肢2のmRNAから予想されるアミノ酸配列は,Met-Thrである。3番目のコ
ドンUAGは終止コドンであるため,タンパク質の合成が始まったとしても,ここで
終わってしまう。この配列の場合,タンパク質を構成するアミノ酸を規定したものと
はなっていないため,タンパク質の情報を持ち得ない。
本肢の場合,タンパク質の情報を持ち得ない。
3
持ち得る
選択肢3のmRNAから予想されるアミノ酸配列は,Met-Val-Thr-Cys-Arg-
Lys―Thr―Cys―Arg……である。この配列の場合,タンパク質を構成するアミノ酸を
規定したものとなっており,タンパク質の情報を持ち得る。
したがって,本肢の場合,タンパク質の情報を持ち得る。
4
持ち得る
選択肢4のmRNAから予想されるアミノ酸配列は,Met-Asn-Gly-Thr-Leu-
Thr―Cys―His―Ala……である。この配列の場合,タンパク質を構成するアミノ酸を
規定したものとなっており,タンパク質の情報を持ち得る。
したがって,本肢の場合,タンパク質の情報を持ち得る。
5
持ち得る
選択肢5のmRNAから予想されるアミノ酸配列は,Met-Cys-His-Cys-Arg-
Val―Thr―Glu―Leu……である。この配列の場合,タンパク質を構成するアミノ酸を
規定したものとなっており,タンパク質の情報を持ち得る。
したがって,本肢の場合,タンパク質の情報を持ち得る。
以上より,タンパク質の情報を持ち得ないのは2である。したがって,正解は2となる。
24
LEC・平成24年度司法試験予備試験
短答式問題解析講座(一般教養)
第
25 問
PCR法とDNA鑑定
配点
3点
正解〔№25〕1
部分点
なし
1 ○
特定の領域だけを増幅させる特徴である
DNAポリメラーゼは,すでに存在する短い鎖の3’末端を伸ばす方式でDNAを
合成するので,鋳型となる一本鎖DNAだけでプライマーが存在しないとDNA合成
は始まらない。逆に,増幅したい領域の両端に相当する塩基配列をもつプライマーを
加えることで,プライマーに挟まれた領域が増幅されることになる。よって,増幅の
開始にプライマーを必要とすることは特定の領域だけ増幅させるためのDNAポリ
メラーゼの特徴である。
したがって,本肢は特定の領域だけを増幅させる特徴である。
特定の領域だけを増幅させる特徴と解釈するべきではない
2 ×
DNAポリメラーゼがDNA合成を行うためには,鋳型となる一本鎖DNAが必要
である。しかし,鋳型となるDNAは増幅の対象であって,増幅する領域を特定の範
囲に限定する上では意味をもたない。ところで,PCR法で利用されるプライマーは
一般に「短い1本鎖DNA」である。よって,本肢の「増幅の開始に一本鎖DNAを
必要とする」をプライマーに相当する短い1本鎖DNAと解釈すれば,選択肢1と同
じ意味になる。しかし,本肢では「短い」とないので,「鋳型となる一本鎖DNA」
と解釈する方が適切である。そうすると「特定の領域だけ増幅させるためのDNAポ
リメラーゼの特徴」ではないことになる。
したがって,本肢は特定の領域だけ増幅させる特徴ではない。
特定の領域だけの増幅に必要な特徴ではない
3 ×
3’→5’エキソヌクレアーゼ活性とは,DNAの3’末端からDNAを分解する
作用のことであり,そもそもDNA合成によって増幅を開始する上で必要ではない。
よって,「特定の領域だけ増幅させるためのDNAポリメラーゼの特徴」ではない。
なお,DNAポリメラーゼがもつ3’→5’エキソヌクレアーゼ活性は,DNAを正
確に合成する上で役立つと考えられている。
したがって,本肢は特定の領域だけの増幅に必要な特徴ではない。
特定の領域だけの増幅に必要な特徴ではない
4 ×
5’→3’エキソヌクレアーゼ活性とは,DNAの5’末端からDNAを分解する
作用のことであり,そもそもDNA合成によって増幅を開始する上で必要ではない。
よって,「特定の領域だけ増幅させるためのDNAポリメラーゼの特徴」ではない。
なお,DNAポリメラーゼがもつ5’→3’エキソヌクレアーゼ活性は,DNAを正
確に合成する上で役立つと考えられている。
したがって,本肢は特定の領域だけの増幅に必要な特徴ではない。
特定の領域だけの増幅に必要な特徴ではない
5 ×
dATP,dCTP,dGTP,dTTPは,DNA合成の際の基質であり,いず
れか1つでも欠ければDNA合成は起こらない。しかし,これらの物質はDNA合成
そのものに必要なのであって,これらを必要とすることは「特定の領域だけ増幅させ
るためのDNAポリメラーゼの特徴」ではない。
したがって,本肢は特定の領域だけの増幅に必要な特徴ではない。
以上より,正しい肢は1であり,正解は1となる。
25
LEC・平成24年度司法試験予備試験
短答式問題解析講座(一般教養)
第
26 問
地球の形や運動
配点
3点
正解〔№26〕2
部分点
なし
ア ○
地球の自転によって生じる遠心力は赤道でもっとも大きくなる。この遠心力が地球
に長時間にわたって働いているため,地球は赤道部分で膨らんだ形をしている。その
ため,赤道半径は極半径に比べて大きくなっている。
したがって,本肢は正しい。
回帰線とは赤道の両側,共に自転軸の傾きと同じ23度26分の緯線であり,地球上で
イ ×
夏至または冬至にこの緯線は太陽の真下となる。地球の自転軸は公転面に立てた垂線
に対して23度26分傾いているので,公転する中で単位面積当たりの太陽エネルギーの
照射量と日照時間が変化し季節が生じる。高緯度ほど日照時間の差は大きくなる。な
お,回帰線が約4万年(41000年)の周期で変化しており,この点は正しい。
したがって,回帰線が低緯度側に移動すると四季がより明瞭になるとする点で,本
肢は誤っている。
日付変更線とは,太平洋上をほぼ東経・西経180度線に沿って南北に走り,その西
ウ ○
側と東側とで日付を変更するように決められた線のことである。この線を越えて西に
行くと次の日の日付になり,東に行くと一日前の日付になる。よって,日付変更線を
西から東に横切ることによって,一日前に移動することができるので,初日の出を2
回見ることができる。
したがって,本肢は正しい。
正距方位図法とは,図の中心から任意の1点までの距離を正しく表現する地図の図
エ ×
法のことである。図の中心から任意の地点までの距離と方位が正しく,両地点を結ぶ
直線は最短経路を示す特徴を持つ。これに対し,メルカトル図法によると,経線は等
間隔の平行直線,緯線はすべて赤道と同じ長さで経線と直行する。赤道付近のひずみ
は小さいが,高緯度ほど面積や距離が拡大される。このため,最短経路を直線で表現
することができない。
したがって,地球上の2地点を結ぶ最短の進路は,正距方位図法の地図上では直線
にならないとしている点で,本肢は誤っている。
以上より,正しい肢はアとウであり,正解は2となる。
26
LEC・平成24年度司法試験予備試験
短答式問題解析講座(一般教養)
第
27 問
地球における様々な現象
配点
3点
正解〔№27〕4
部分点
なし
1 ×
溶岩流は粘り気の弱いマグマが火口から流れ出したものである。比較的ゆっくり流
れ,通常は徒歩でも逃げることが可能な程度の早さである。一方,火砕流は粘り気の
強いマグマで火山灰・岩の塊・火山ガスが混ざり合って数百度の温度になったもので
ある。斜面を急速に流れ下りてくるので,徒歩で逃げるのはほぼ不可能であり,破壊
力が大きく甚大な火山被害をもたらす可能性がある。
したがって,火砕流は溶岩流に比べて移動速度が小さいとしている点で,本肢は誤
っている。
火口は,溶岩流や火砕流の発生部分であり,直径が比較的小さい。これに対して,
2 ×
カルデラは火山活動によってできた窪地であり,その多くは大量の溶岩や火山砕せき
物の噴出によって空洞化したマグマ溜まりに火口付近一帯が陥没してできる。そのた
め,カルデラの直径は比較的大きい。
したがって,カルデラの直径は比較的小さいのに対し,火口付近の直径は比較的大
きいとする点で,本肢は誤っている。
地震は,地下深くにある厚い岩盤に強い力が加わってそれが一気に破壊したときの
3 ×
振動が地面に伝わり大きなゆれになったものである。例えば,南関東地域で起こりう
る地震として,①海溝付近のプレート境界面で起きる地震(海溝型地震),②陸地浅
部で起きる地震(深さ20キロぐらいまでの浅い領域を震源とする),③陸地のやや深
いところでおきる地震(深さ20~100㎞くらいまでの地下)が考えられる。よって,
日本列島では,地下5㎞より深い領域で自身が発生する可能性がある。
したがって,日本列島においては地下5キロより深い領域では地震は発生しないと
する点で,本肢は誤っている。
地震の揺れの大きさは,震源からの距離で決定されることは肢の説明の通りであ
4 ○
る。しかし,震源からの距離がほぼ等しく,かつ隣接する場所でも表層付近の地質条
件によって揺れが大きく異なる場合がある。具体的には,台地や丘陵地は形成された
年代が古く,洪積層を中心とした団結した地盤なので,地震が起きた場合でも揺れが
増幅されにくい。逆に,沖積低地や谷底大地のように海面下の堆積物や谷底での堆積
物でできている箇所は,地盤が軟弱なため,揺れが増幅されやすく被害が発生しやす
い。
したがって,本肢は最も適切である。
帯状に地球上に分布する地震の発生地点である地震帯はプレートの境界にそって
5 ×
いる。プレートの境界面の1つである海溝は,一般に海洋プレートが大陸プレートに
もぐりこむ部分にできる。しかし,伊豆・小笠原海溝は,海洋プレートである太平洋
プレートが,同じく海洋プレートであるフィリピン海プレートと呼ばれる海洋プレー
トの下へ潜り込んでいる箇所にできた特殊なものである。しかし,プレート同士が離
れあうプレート境界ではなく,近づきつつあるプレート境界である点は,大西洋中央
海嶺と変わらない。なお,プレートの境界面のうち,プレート同士が開きつつあるも
のは海嶺である。
したがって,伊豆・小笠原海溝がプレート同士が離れあうプレート境界であるとす
る点で,本肢は誤っている。
以上より,正しい肢は4であり,正解は4となる。
27
LEC・平成24年度司法試験予備試験
短答式問題解析講座(一般教養)
第
28 問
気候変動の要因
配点
3点
正解〔№28〕1
部分点
なし
ア
小氷期
現在から数百年前,地球上は小氷期にあった。小氷期がもっとも過酷だった1560年
から1660年に地球の北半球地帯では,グローバルな低温化の影響による食糧不足や健
康状態悪化などが多発したとされる。また最近の研究では,食糧不足が原因となって
30年戦争(1618~48年)や満州族による中国征服などが起きたという評価もある。こ
の小氷期と時期を一にするのが太陽活動の極小期であることから,極小期がグローバ
ルな低温化に寄与したと考えられている。
したがって,アには小氷期が入る。
イ
極小
黒点とは,太陽の光球面に見られる黒い斑点のことである。周囲に比べて温度が低
いために暗く見える。黒点は年により増減がある。黒点の多い年を黒点極大期,少な
い年を黒点極小期という。この黒点の周期は太陽活動の周期でもある。黒点活動極大
期は太陽活動極大期であり,黒点活動極小期は太陽活動極小期である。
したがって,イには極小が入る。
ウ
11
黒点の数は年によって多いときもあれば少ないときもある。黒点数は約11年を周期
として増減している。
したがって,ウには11が入る。
エ
寒冷
太陽は2007年から2010年まで黒点の極小期が継続した。もともと2007年前後から約
11年周期の極小期に入っているが,たとえば2008年の無黒点日数は1913年以来もっと
も多く,今回の極小期における無黒点状態は非常に長く続いた。過去において,太陽
活動の低下はグローバルな低温化と平仄が合っていたことから,地球の気候が寒冷期
となり,小氷期に入ったのではないかとの懸念が報道などにより示されている。
したがって,エには寒冷が入る。
以上より,アには小氷期,イには極小,ウには 11,エには寒冷が入り,正解は1となる。
28
LEC・平成24年度司法試験予備試験
短答式問題解析講座(一般教養)
第
29 問
雲
配点
3点
正解〔№29〕5
部分点
なし
ア 誤
雲にはパラソル効果と温室効果の両作用がある。温暖化した大気の中で下層雲が増
えれば,日傘のように太陽光を地表面からさえぎり地表付近を冷やす。これをパラソ
ル効果という。逆に上層雲が増えれば,温室効果ガスのような温室効果を引き起こす
ために,温暖化が加速する。これを温室効果という。
したがって,温室効果とパラソル効果の説明が逆になっている点で,本肢は誤って
いる。
個々の積雲が水蒸気の凝結により放出する潜熱が上昇気流を誘発し,空気が膨張し
イ 正
て気温が下がり,さらに上昇して,それがまた積雲の発達を促すという正のフィード
バック効果が働いている。
したがって,本肢は正しい。
雲は空気が上昇気流によって上空に押し上げられて発生する。上昇気流が強まり雲
ウ 正
が成長を続けると,積乱雲となり雨を伴うようになる。積乱雲がさらに発生を続ける
と,狭い範囲に短時間で強い雨を降らせる。これが局地的大雨となる。最も活発に活
動している発達した積乱雲の雲頂高は150hPa(約15キロ)という研究結果がある。
したがって,本肢は正しい。
通常,空気の塊には水蒸気が含まれている。このため,上昇する空気塊の気温が下
エ 正
がると,そのうちに露点に達する。この時,空気塊が含んでいた水蒸気が凝結して細
かい水滴ができ始める。これが地表付近で発生した場合は霧となり,ある程度の高度
で発生した場合は雲となる。地表気温と露点温度の差が0になった時には霧が発生す
る。
したがって,本肢は正しい。
以上より,ア誤,イ正,ウ正,エ正となり,正解は5となる。
29
LEC・平成24年度司法試験予備試験
短答式問題解析講座(一般教養)
第
30 問
酸化還元反応
配点
3点
正解〔№30〕2
部分点
なし
1 ○
酸化還元反応による変化である
酸化還元反応とは,反応物から生成物が生ずる過程において,電子がある物質から
他の物質に移動する反応である。鉄が錆びる反応は,典型的な酸化反応である。
したがって,本肢は酸化還元反応による変化である。
酸化還元反応による変化ではない
2 ×
炎色反応は,単原子内の軌道間の電子の移動によって生じる。これは,単一の原子内で,
熱によって励起して外側の軌道に移動した電子が基底状態の軌道に戻るときに,エネルギ
ーを光に換えて発する反応である。よって,酸化還元反応のように他の原子と関わりは持
たない。
したがって,本肢は酸化還元反応による変化ではない。
3 ○
酸化還元反応による変化である
リチウム電池は他の電池よりも高い電圧が得られ,モバイル機器などに幅広く用いられ
る。その一方,発火の危険性があるなどの短所もある。リチウム電池の放電反応は,下記
のようにアノードとカソードとで,電子をやりとりする酸化還元反応である。
アノード:リチウムの酸化
xLi(s)→xLi+(soln)+xeー
カソード:二酸化マンガンの還元
MnO2(s)+xLi+(soln)+xeー→LixMnO2(s)
したがって,本肢は酸化還元反応による変化である。
酸化還元反応による変化である
4 ○
水素は酸素によって容易に酸化される。水素と酸素の反応は非常に発熱的で,空気
中であっても4%以上の水素を混合した混合ガスは爆発的に燃焼反応が進行する。
2H2(g)+O2(g)=2H2O(l)
したがって,本肢は酸化還元反応による変化である。
酸化還元反応による変化である
5 ○
エタノールに酢酸菌を加え空気中の酸素を通じて発酵させると,酢酸が出来る。これは
微生物によるアルコールの酸化反応であり,ワインが酸っぱくなるのもそのためである。
C2H5OH+O2→CH3COOH+H2O
したがって,本肢は酸化還元反応による変化である。
以上より,酸化還元反応による変化ではない肢は2であり,正解は2となる。
30
LEC・平成24年度司法試験予備試験
短答式問題解析講座(一般教養)
第
31 問
ア 正
合成繊維
配点
3点
正解〔№31〕4
部分点
なし
ビニロンは環状のアセタール構造を持っている。これは,ビニロンは酸性でホルム
アルデヒドの水溶液を作用させるアセタール化によって得られるが,その際にヒドロ
キシ基の一部が環状のエーテル結合に変化するためである。
CH2
CH
CH2
CH
CH2
CH
CH2
OH
O
O
したがって,本肢は正しい。
ビニロンはヒドロキシ基を多くもつがカルボキシ基は持たない。ヒドロキシ基は,
イ 誤
親水性官能基の代表例であり,これを多く含むと水に溶けやすくなってしまうため,
アセタール化によって一部のヒドロキシ基の親水性を失わせている。
したがって,カルボキシ基を持つという点で,本肢は誤っている。
ビニロンは,日本で作られた最初の合成繊維であり,炭素が単結合でつながった主
ウ 正
鎖を持っている。適度な吸湿性を持つため,運動用の衣料に適する。また,強度も大
きく耐摩擦性,耐薬品性に優れているため,学生服やロープにも用いられた。
したがって,本肢は正しい。
ビニロンは親水性官能基のヒドロキシ基を多く持った親水性の高分子である。ビニ
エ 正
ロンでは,水に溶けない程度の状態にするためにポリビニルアルコール(PVA)の
ヒドロキシ基のうち40%はアセタール化するが,残りの60%のヒドロキシ基は残して
繊維に適度な吸湿性を持たせている。
したがって,本肢は正しい。
以上より,ア正,イ誤,ウ正,エ正となり,正解は4となる。
31
LEC・平成24年度司法試験予備試験
短答式問題解析講座(一般教養)
第
32 問
環境化学
配点
3点
正解〔№32〕2
部分点
なし
ア ×
オゾンは化学作用が強い気体であるため,生物にとって有害である。生物が住む地
表では,光化学オキシダントの主成分として光化学オゾン汚染という大気汚染の原因
となっている。光化学オキシダントは,光化学反応によって生成される酸化性物質の
1つであり,光化学スモッグの指標となっている。しかし,大気上層の成層圏では,
オゾンは太陽からの強力な紫外線を吸収し紫外線が地表に届くのを遮断する働きが
あり,生物にとって重要な役割を担っている。
したがって,オゾンは大気汚染の原因とならないとする点で,本肢は誤っている。
服用した医薬品が,代謝されず薬の活性を持ったまま排泄されて水環境を汚染する
イ ○
という問題が起きている。特に細菌などの微生物に作用する薬剤が環境中に排出さ
れ,これらに耐性を持つ細菌が出現する可能性などが問題視されている。
したがって,本肢は正しい。
水田からは,地球温暖化ガスであるメタンが発生している。水田中の有機物質が細
ウ ×
菌によって分解されることによる。メタンは温室効果ガスの全排出量の5分の1を占
め,そのうち水田から発生するものは10%だという。これに加え,窒素肥料が発生原
因と考えられる亜酸化窒素などのガスも発生することが問題を複雑にしているとい
う指摘もされている。
したがって,水田から発生するガスは,地球温暖化の原因とならないという点で,
本肢は誤っている。
酸性雨は,発電所などで硫黄を含む燃料が燃やされた結果できた二酸化硫黄や自動
エ ○
車エンジンなどの燃焼中に生じた二酸化窒素などが原因となって生じる酸性の強い
雨(おおむねpH5.6以下の雨)である。酸性雨は,河川・湖沼・土壌の酸性化や建造
物や文化遺産への悪影響などが問題となっている。また,酸性雨に含まれる窒素酸化
物は希硝酸となって湖や海に蓄積され,微生物の栄養源となり富栄養化の原因となっ
ている。
したがって,本肢は正しい。
以上より,誤っている肢はアとウであり,正解は2となる。
32
LEC・平成24年度司法試験予備試験
短答式問題解析講座(一般教養)
第
ア
33 問
電磁波
配点
3点
正解〔№33〕4
部分点
なし
光子エネルギーが大きくなる
赤外線,可視光線,紫外線は全て電磁波であるが,波長が異なる。赤外線は,波長
が0.7μから1000μmの比較的長い電磁波である。可視光線は,400nmから800nmのかな
り狭い範囲の電磁波で,人の目に見える波長のものをいう。紫外線は,可視光より短
く10nm~400nm程度の不可視光線である。電磁波のエネルギーは振動数に比例し,波
長に反比例する。波長の短いものほど光子1個あたりのエネルギーは大きい。よって,
赤外線,可視光線,紫外線の順番で波長が短くなり,あるいは光子エネルギーが大き
くなる。
E = hν =
hc
λ
したがって,アには光子エネルギーが大きくなるが入る(なお,アには波長が短く
なるも入りうるが,イウとの関係から正答とできない)。
イ
振動や回転
赤外線は,光子1個あたりのエネルギーが小さいので,分子の電子を励起するほど
のエネルギーを持っていない。比較的エネルギー順位の低い分子の振動や回転などの
運動エネルギーを与えるにとどまる。
したがって,イには振動や回転が入る。
ウ
電子状態
可視光線や紫外線は,光子1個あたりのエネルギーが大きくなり,電子に直接作用
して電子を励起状態にすることが出来る。
したがって,ウには電子状態が入る。
以上より,ア「光子エネルギーが大きくなる」,イ「振動や回転」,ウ「電子状態」となり,
正解は4となる。
33
LEC・平成24年度司法試験予備試験
短答式問題解析講座(一般教養)
第
34 問
五肢択一式の問題と確率
配点
3点
正解〔№34〕5
部分点
なし
イの場合,作成者の選択肢の置き方は全部で 510 通りある。
アの場合,作成者の選択肢の置き方は,全 510 通りであるから,余事象を引くことにより導き出
せる。
10
10
10
すなわち,まず,選択肢 1 が現れない 4 通りと 2 が現れない 4 通りと 3 が現れない 4 通りと
4 が現れない 410 通りと 5 が現れない 410 通りを引く。
次に,引きすぎた 1,2 が現れない 310 通りと 1,3 が現れない 310 通りと 1,4 が現れない 310 通りと
10
10
10
10
1,5 が現れない 3 通りと 2,3 が現れない 3 通りと 2,4 が現れない 3 通りと 2,5 が現れない 3 通
10
10
10
りと 3,4 が現れない 3 通りと 3,5 が現れない 3 通りと 4,5 が現れない 3 通りを足す。
10
10
10
さらに,
足しすぎた 1,2,3 が現れない 2 通りと 1,2,4 が現れない 2 通りと 1,2,5 が現れない 2
通りと 1,3,4 が現れない 210 通りと 1,3,5 が現れない 210 通りと 1,4,5 が現れない 210 通りと 2,3,4
が現れない 210 通りと 2,3,5 が現れない 210 通りと 2,4,5 が現れない 210 通りと 3,4,5 が現れない 210
通りを引く。
最後に,
引きすぎた 1,2,3,4 が現れない 1 通りと 1,2,3,5 が現れない 1 通りと 1,2,4,5 が現れな
い 1 通りと 1,3,4,5 が現れない 1 通りと 2,3,4,5 が現れない 1 通りを足す。
結局,
510 − 5 × 410 + 10 × 310 − 10 × 210 + 5 通りある。
よって,アの場合に全問正解する確率は
全問正解する確率は
10
10
 4
5
であり, 1 − 5 ×   = 1 −
10
10
1
なので,アの場合はイの場合の
510
510
=
5 − 5 × 4 + 10 × 310 − 10 × 210 + 5
10
1
であり,イの場合に
5 − 5 × 4 + 10 × 310 − 10 × 210 + 5
10
10
1
10
10
10
 4
 3
 2
1
1 − 5 ×   + 10 ×   − 10 ×   +  
5
5
5
 
 
 
 5
9
倍
2 29
1 10243
1
=
1
−
×
はおよそ で,
2
109
2 10003
9
 3
 2
1
10 ×   − 10 ×   +   はこれに対して十分小さい。結局,アの場合はイの場合のおよそ2
5
5
 5
倍である。
したがって,最も近い値の肢は5であり,正解は5となる。
34
LEC・平成24年度司法試験予備試験
短答式問題解析講座(一般教養)
第
35 問
人口比率の計算
配点
3点
正解〔№35〕1
部分点
なし
x '+ y '+ z ' = (0.8 x + 0.2 y + 0.2 z ) + (0.1x + 0.6 y + 0.1z ) + (0.1x + 0.2 y + 0.7 z ) = x + y + z
より,10 年経っても人口の合計は不変ということがわかる。数十年後のA,B,Cの人口の比率が
ほぼ一定であるということは,その時点でのA,B,Cの人口自体が変わらないということである。
すなわち, x ' = x, y ' = y , z ' = z となったときの x, y, z の比を求めればよい。
x = 0.8 x + 0.2 y + 0.2 z から
x = y + z …①
y = 0.1x + 0.6 y + 0.1z から
4y = x + z
これに①を代入して
4 y = ( y + z) + z
よって,
3 y = 2z
を得る。
よって,
y : z = 2:3
なので,これと①より,
x : y : z = 5:2:3
を得る。
したがって,最も近い肢は1であり,正解は1となる。
35
LEC・平成24年度司法試験予備試験
短答式問題解析講座(一般教養)
第
36 問
論理と命題
配点
3点
正解〔№36〕1
部分点
なし
「ニューヨークかローマの少なくともどちらかの都市を訪れたことがある人だけが,パリ
とロンドンの両方を訪れたことがある。
」という条件から,パリとロンドンの両方を訪れたこ
とがある人は,①ニューヨークとローマの両方を訪れたことがある,②ニューヨークを訪れ
たがローマを訪れたことがない,③ローマを訪れたがニューヨークを訪れたことがない人の
3つの組合せが考えられる。反対に,ニューヨークとローマを訪れなかった人がパリとロン
ドン両方に訪れる組合せはありえないことになる。
1 ○
本問の条件によると,ニューヨークとローマの両方とも訪れたことがない人がパリ
とロンドンの両方を訪れたという可能性はない。他方,ニューヨークもローマも訪れ
たことがない人でも,パリかロンドンのいずれかを訪れる人,両方とも訪れたことが
ない人は存在しうる。本肢の「全員パリかロンドンの少なくともどちらかの都市は訪
れたことがない」は,パリとロンドン両方訪れなかった人とどちらか一方を訪れた人
がいる可能性があるが,両方訪れた人はいないことになり,本問の論理と合致する。
したがって,本肢は正しい。
ニューヨークとローマのどちらかを訪れた人がパリとロンドン両方を訪れる可能
2 ×
性は存在する。ニューヨークかローマの少なくともどちらかの都市を訪れたことがな
いとは,例えば,ニューヨークを訪れたことがない人でもローマを訪れた人がいる可
能性を含むからである。
したがって,ニューヨークかローマの少なくともどちらかの都市を訪れたことがな
い人は,全員パリもロンドンも両方とも訪れたことがないという点で,本肢は誤って
いる。
ニューヨークとローマの少なくともどちらかを訪れたことがある人が全員パリと
3 ×
ロンドンを訪れたとはいえず,パリとロンドンの両方を訪れなかった人やいずれか一
方の都市を訪れた人がいる可能性もある。
したがって,ニューヨークかローマの少なくともどちらかの都市を訪れたことがあ
る人は,全員パリとロンドンの両方を訪れたことがあるという点で,本肢は誤ってい
る。
パリもロンドンも両方訪れたことがない人であってもニューヨークとローマのい
4 ×
ずれか,あるいは両方訪れた人がいる可能性があり,全員ニューヨークかローマの少
なくともどちらかの都市は訪れたことがないとはいえない。
したがって,パリもロンドンも両方とも訪れたことがない人は,全員ニューヨーク
かローマの少なくともどちらかの都市は訪れたことがないという点で,本肢は誤って
いる。
パリかロンドンの少なくともどちらかの都市を訪れるということが,ニューヨーク
5 ×
とローマの両方を訪れることの条件とはなっておらず,パリとロンドンの両方を訪れ
たことのない人がニューヨークとローマを訪れる人がいる可能性はある。
したがって,パリかロンドンの少なくともどちらかの都市を訪れたことがない人
は,全員ニューヨークもローマも両方とも訪れたことがないという点で,本肢は誤っ
ている。
以上より,正しい肢は1であり,正解は1となる。
36
LEC・平成24年度司法試験予備試験
短答式問題解析講座(一般教養)
第
37 問
英語
配点
3点
正解〔№37〕3
部分点
なし
本問では,親子の年齢の差について問うものである。単に英文を読むだけではなく,与えら
れた条件を読み取り,それを使って計算した上で解答するすることが必要となる。
スミス氏(以下,「親」)は 45 歳であり,その子供(以下,「子」)は 12 歳であり,親が
子の年齢の 10 倍となるときの子の年齢が問われている。その際,親子の誕生日は同じであり,
各月の日数の差など考慮しなくてよいことが本文で指定されているので,詳細な検討をする必
要はない。
具体的な計算方法については,各肢を検討すると3歳であることには変わりはないので,月
の単位で 10 倍になるものを考える必要がある。
また,子が3歳であったのは9年前であるから,
親は 36 歳であることになる。
子
親
3歳6ヶ月=42 ヶ月
36 歳6ヶ月=438 ヶ月
3歳7ヶ月=43 ヶ月
36 歳7ヶ月=439 ヶ月
3歳8ヶ月=44 ヶ月
36 歳8ヶ月=440 ヶ月
3歳9ヶ月=45 ヶ月
36 歳9ヶ月=441 ヶ月
3歳 10 ヶ月=46 ヶ月
36 歳 10 ヶ月=442 ヶ月
上記表から,親が子のちょうど 10 倍になるのは,子が3歳8ヶ月の時であることがわかる。
以上より,正しい肢は3であり,正解は3となる。
【別解】
数字が大きくなると誤る可能性も高まる。もう少し簡易な計算方法も示しておく。
肢1の子供の年齢が3歳6ヶ月時の親(スミス氏)の年齢を計算すると,現在から 8.5 年前
なので,親の年齢は,36.5 歳=36 歳6ヶ月となる。他方,子供の年齢の 10 倍を簡易に計算す
るコツは,年の単位が 10 進法ではない点に留意して,年の単位と月の単位を分けて計算するこ
とである。すなわち,3歳を 30 歳に,6 ヶ月を 60 ヶ月と各々別個に 10 倍にする。30 歳分はい
ったん脇に置いて,60 ヶ月を 12 で割ると5という年齢がでる。脇に置いた 30 歳分と合計する
と 35 歳である。つまり,子の年齢3歳6ヶ月の 10 倍は 35 歳となる。よって,36 歳6ヶ月とい
う親の年齢は年をとりすぎていることになる。
肢5の子供の年齢が3歳 10 ヶ月時の 10 倍の年齢は,30 歳と 100 ヶ月の合計となる。100÷12
を計算して年齢に換算すると,8年4ヶ月となる。38 歳4ヶ月が子供の 10 倍の年齢である。し
かし,このときの親の年齢は 36 歳 10 ヶ月(肢1における親の年齢から4ヶ月加齢する)なの
で,今度は親の年が若すぎる。
肢3では,8ヶ月の 10 倍=80 ヶ月,これを年齢に換算すると 80÷12 で6年8ヶ月となる。
子供の年齢の 10 倍は 36 歳8ヶ月である。一方,肢3では親の年齢は肢1の場合と比較して2
ヶ月だけ加齢する。したがって,36 歳8ヶ月であり,ちょうど 10 倍になる。
したがって,正解は3となる。
37
LEC・平成24年度司法試験予備試験
短答式問題解析講座(一般教養)
第
38 問
英語
配点
3点
正解〔№.38〕1
部分点
なし
本文は,アリストテレスの正義と適性の問題,市民観について述べた文章である。
本文の内容の大意は以下のようになる。
女性には奴隷と同様,市民権がなかった。現代では不正と考えられるかもしれないが,アリス
トテレスによれば,女性と奴隷の本性は市民に適していなかったとされていた。奴隷制に関して
は,アリストテレスはそれを容認したのみならず,哲学的な大義名分まで提示した。彼の奴隷制
擁護論を検証することで,それが彼の政治理論全体に与えた影響の理解にもつながる。もっとも
彼の奴隷的擁護論には,彼の政治理論全体の否定につながるほどの欠陥はないだろう。彼は,正
義を適性の問題と考え,その人が値する地位や名誉,その人の本性に適した社会的役割を与える
ことを重視していた。
A
to see what light it sheds
与えられた語句群と前後の文脈から,Aを含む一文は「検証することで,それが彼
の政治理論全体に与えた影響も理解できるだろう」という内容になることが考えられ
る。
これを前提に与えられた語句群を検討すると,shed light on で「~を明らかにす
る,解明する」という表現になり,Aの直後のon に続くことが考えられる。また,
shedには3単現の s がついており,shed の主語は it になることがわかる。次にA
の直前を検討すると,his defense of slavery という名詞句があり,これにAの語句
群をつなげるためにto不定詞を用いてto see をつなげることが考えられる。さらに,
seeの目的語になりうるものとしてwhatを含む名詞節が考えられるが,これでは,
what が何を指すのか不明確であり,what lightとする。
したがって,正しく並び替えた場合,to see what light it sheds となり,5番目
にくる単語は it であるので,正解は1となる。
以上より,正しく並び替えると to see what light it sheds となり,正解は1となる。
【重要語句】
suit「適する,似合う」
,exclusion「除外」,abolish「廃止する」
,philosophical「哲学の,賢
明な」
,prejudice「偏見」
,flaw「傷,欠点」
,
【出典】Michael Sandel, “Justice: What’s the Right Thing to Do?”.
38
LEC・平成24年度司法試験予備試験
短答式問題解析講座(一般教養)
第
ア
イ
ウ
39 問
英語
配点
3点
正解〔№39〕1
部分点
なし
accepting
アの単語はそれぞれ,accpet「受け取る,容認する」,reject「拒絶する」の意味
であり,それぞれ活用された形になっている。
アを含む一文はアリストテレスが責めを免れるわけではない,ということが書か
れ,アにはその責められるべき理由となる語句が入る。アの目的語となる指示語の
themは,女性と奴隷に対する市民権についての差別を指すと考えられる。アリスト
テレスがこれについて,第1パラグラフでは女性と奴隷の本性は市民に適していない
と述べ,第2パラグラフ冒頭においても奴隷制を容認したことが書かれていることか
ら,アリストテレスはthem(=市民権の差別)を「accept=容認」したと考えるのが
適切である。
したがって,アにはacceptingが入る。
condemns
イの単語はそれぞれ,condemn「非難する,有罪を宣告する」,demonstrate「論
証する,説明する」,neglect「無視する,怠る」,oppose「反対する」,support「支
える,援助する」の意味であり,それぞれ活用された形になっている。
イには,アリストテレスが奴隷制を容認したことが,彼の政治理論全体とどのよう
な関係に立つのかを示す語句が入る。イの前のパラグラフでは,アリストテレスの目
的論的思考そのものを批判するなど,アリストテレスの政治理論全体に向けられた批
判が取り上げられ,さらに,イを含む一文では,それについての筆者の立場が書かれ
ている。イの後では,アリストテレスのの論理が徹底的な強さを有していることが書
かれ,続くパラグラフではその具体的な内容を正義と適性の問題の観点から論じてお
り,なおかつ,それを筆者が否定的に述べているわけではない。そこで,アリストテ
レスの奴隷制擁護論には,彼の政治理論全体を「condemn=非難する」ほどの否定に
つながる欠陥はないと筆者が考えているとするのが適切である。
したがって,イにはcondemnsが入る。
realize
ウの単語は,realize「悟る,実現する」,preserve「保つ,保存する」,change
「変える,取り替える」,control「支配する,抑える」,follow「続く,理解する,
従事する」の意味である。
ウには,役割と各人の本性についての関係を表すものが入る。ウを含むパラグラフ
では,アリストテレスが正義を適性の問題であると考え,後半では,その人が値する
地位や名誉,その人の本性に適した社会的役割を与えることを重視していることが書
かれている。これらからすると,役割は各人が本来持つ適性に合わせられるべきこと
が重視されているので,ウには,「realize=悟る,実現する」が入ると考えるのが適
切である。
したがって,ウにはrealizeが入る。
以上より,ア accepting イ condemns ウ realize となり,正解は1となる。
39
LEC・平成24年度司法試験予備試験
短答式問題解析講座(一般教養)
第
40 問
英語
配点
3点
正解〔№40〕5
部分点
なし
本文は,筆者がレストランでのワインの給仕について述べた文章である。
本文の内容の大意は以下のようになる。
女性同士でレストランに入ってワインを注文したときのウェイターの態度は一体何なのだろ
うか。2回ほどレストランでワインを注文することがあった。そこでワインを注文したら2回と
もウェイターがハーフボトルのワインを持ってきた。もちろんハーフボトルが嫌いというわけで
はないが,ハーフボトルはそれが欲しいときに頼むものだ。ウェイターは,女性客にはフルボト
ルは無理である,財布の紐がかたいといった経験からハーフボトルを持ってきたのだろう。しか
し,事前にどうするのか訊くこともできるだろう。それがやんわりした訊き方であれ,昔乗った
特急列車のウェイターのぞんざいな訊き方であれ,
,
,
下線部のafter the regulation lapse of twenty minutesは,「20分の空白の時間の調
整の後に」,すなわち,20分間待たされた後でという意味になる。そこで各肢の活用さ
れた動詞を検討すると,選択肢1はwait=待つ,選択肢2はcosult=相談する,選択肢
3はleave「残す,任せる」,選択肢4はexplain「説明する」,選択肢5はwonder「~
だろうかと思う」という意味である。この中で下線部の意味と合致するものは選択肢1
であるとも考えられる。しかし,選択肢1の後半には,as required とある。これと下
線部直後の文を合わせると,
注文通りにウェイターがハーフボトルのワインを持ってき
たことになり,
ウェイターの行動に作者が不快感を示しているという一連の文脈に反す
る。これに対して,選択肢5は,私たちが注文したものを出すべきか20分間考えて,と
いう意味である。この解釈を前提とすると,作者がウェイターにハーフボトルのワイン
を出したことを不快に思っていることや,ウェイターが女性客の注文であるため,何を
出すべきか躊躇して,
ワインを出すのに20分もかかっていることの不自然さを無理なく
説明することができる。
したがって,下線部(1)と同じ意味のものは,after wondering whether to serve
what we ordered for twenty minutesであり,正解は5となる。
以上より,下線部(1)と同じ意味の肢は5であり,正解は5となる。
(1)
【重要語句】
entertain「楽しませる,もてなす」,lapse「過失,経過」,specify「具体的に述べる,記入す
る」
,assumption「想定,就任」
,inquire「尋ねる」
,yell「大声をあげる,叫ぶ」
,crockery「陶
磁器」
,rattle「ガタガタいう,ぺらぺらしゃべる」
【出典】Elizabeth David, “An Omelette and a Glass of Wine”.
40
LEC・平成24年度司法試験予備試験
短答式問題解析講座(一般教養)
第
41 問
英語
配点
3点
正解〔№41〕2
部分点
なし
ア
on the contrary
アの単語はそれぞれ,at last「ついに」,on the contrary「それどころか」,similarly
「同様に」,in contrast「くらべて」,nevertheless「それにも関わらず」
アの直後の文章では,作者がハーフボトルのワインを否定するつもりではないこ
と,アの直後の文章では,ハーフボトルにはハーフボトルの魅力があることが書かれ
ている。そこで,両者の関係を考えると,両者をつなげるアに入るものとしてはon the
contrary「それどころか」が適切である。
したがって,アにはon the contraryが入る。
以上より,ア on the contrary となり,正解は2となる。
41
LEC・平成24年度司法試験予備試験
短答式問題解析講座(一般教養)
第
42 問
英語
配点
3点
正解〔№42〕2
部分点
なし
イ
discreet
イの単語は,direct「直接に」,discreet「控えめな,慎重な」,capable「~する
能力がある」,valid「(論理的に)妥当な,(法的に)有効な」,sincere「誠実な」
であり,否定を表す接頭語がつくウの単語はそれぞれイの単語と反対の意味となる。
イには,接客係がどのように尋ねるのかを表す語句が入る。また,ウでは数年前の
列車内でぞんざいな態度で応対した接客係の例を挙げて説明している。これらからす
ると,イにはdiscreetが入ると考えるのが適切である。
したがって,イにはdiscreetが入る。
ウ
indiscreet
上記解説参照のこと。
したがって,ウにはindiscreetが入る。
以上より,イ discreet ウ indiscreet となり,正解は2となる。
42
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