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耐性乳酸菌製剤の適正使用調査および新規抗菌薬に対する薬剤感受性
29-1031 耐性乳酸菌製剤の適正使用調査および新規抗菌薬に対する薬剤感受性の検討 ○江頭 かの子 1, 北原 隆志 1, 柏木 香 1, 嶺 豊春 1, 樋口 則英 1, 中嶋 幹郎 1, 一 川 暢宏 1, 佐々木 均 1(1 長崎大病院薬) 【目的】抗菌剤の投与は時に腸内細菌叢の変動を来たし、下痢、軟便といった副 作用を引き起こすことがある。これら副作用の予防目的で耐性乳酸菌製剤が投与 されることがあるが、現在上市されている耐性乳酸菌製剤は、抗菌剤全種に対し て耐性を示すものではない。しかしながら適応がない抗菌剤投与時にも耐性乳酸 菌製剤が処方され、適正な使用がなされていない例が見受けられる。そこで今回 我々は、2 種の耐性乳酸菌製剤および酪酸菌製剤投与患者について、抗菌剤併用の 有無ならびに併用抗菌剤の種類について調査した。また耐性乳酸菌製剤の、新規 抗菌剤に対する薬剤感受性についても検討を行った。 【方法】2004 年 7 月から 10 月までの 4 ヶ月間における 2 種の耐性乳酸菌製剤およ び酪酸菌製剤が処方されている患者を当院のオーダリングシステムから抽出し、 同時に処方されている各抗菌剤について調査した。また 2 種の耐性乳酸菌製剤を 用いて、近年上市された経口フルオロキノロン系抗菌剤 2 種およびケトライド系 抗菌剤 1 種の最小発育阻止濃度を微量液体希釈法により測定した。 【結果及び考察】処方調査により、2 種の耐性乳酸菌製剤処方患者の約半数は抗菌 剤が処方されていないこと、さらに約 3 割は適応がない抗菌剤を併用しているこ とが明らかとなった。また適応がない抗菌剤の種類としては 5 割以上が経口フル オロキノロン系抗菌剤であった。一方、薬剤感受性試験より、各耐性乳酸菌製剤 は今回検討した全ての抗菌剤に対して耐性を示さないことがわかった。以上より 耐性乳酸菌製剤処方患者の大半において適正な使用がされていないことが明らか となり、医師への疑義紹介および情報提供の必要性が示唆された。