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開放型店舗の冷房による街路空間への冷気放出特性

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開放型店舗の冷房による街路空間への冷気放出特性
第9回日本ヒートアイランド学会全国大会(佐賀)
2014/7/26-27(佐賀大学)
開放型店舗の冷房による街路空間への冷気放出特性
Characteristics of Cold-Air Release From Air-conditioned And Open-entrance Shops To Outside Street Spaces
○浅輪貴史(東京工業大学) ・ 釘町友樹(明治安田生命保険相互会社・元東工大大学院生)
はじめに
市街地の開放型店舗群における冷気放出の実態把握
夏季における開け放し空調の店舗からの冷気放出への問題意識
対象街区 -東京都秋葉原の電気店街-
測定範囲
 意図せぬ冷気の漏れ出しによるエネルギーの浪費
 一方、街路空間には“クールスポット”が形成されている?
 開放系の建築形態における熱とエネルギーの問題をどのように
考えてゆくか?
目的
③
 現地実測により開放型
店舗からの冷気放出
特性の実態を把握
出典:東京都,店舗営業における無駄なエネルギー使用の排除と省エネルギーのあり方検討会
検討のまとめ,平成24年11月
 数値シミュレーションに
より冷気放出への影響
要因の分析
 冷気放出を抑える店舗
形態の検討
屋外へのエネルギーの
無駄な放出
エネルギーの浪費
測定対象範囲
詳細測定
 街路空間の気温分布、表面温度分布、
店舗内気温、空調吹き出し温度を測定
データロガー
ファン
スイッ
チ
内部に熱電対
測定日時
8月9日
測定場所
東京都千代田区外神田3丁目周辺(秋葉原)
気象条件
晴,弱風,平均気温約33℃
測定時間
対象街路
10, 12, 15, 17, 19時
街区全体
10, 12, 15, 17, 19時
電源
測定項目
2重ステンレス管
 高さ0.2m、0.9m、1.5mに固定し、徒歩
による移動計測を実施
気温測定
屋外
気温(測定高さ:0.2, 0.9, 1.5m)
表面温度分布
店内
室温, 吹出し温度, 風速(12時)
屋外
測定範囲
店内
1.5m
リュ
ック
 測定間隔は、街区全体では5m間隔2列、
対象街路では1m間隔4列とした.
不合理な使用への嫌悪感
表 測定概要
気温測定方法
 右図に示す通り、二重のステンレス円
筒をPCファンにより強制通風する装置を
自作
空調は密閉室内で
の使用が一般的
空調の効率低下
②
N
開放型店舗による開け放し空調
冷気の漏れ出しが無駄
屋外
0.9m
測定方法
手提
げ
街路空間の気温分布の時間変化
測定結果
対象街路
開放型店舗群(1m間隔)
街区全体
通り全体(5m間隔)
エアコン周辺, 店内温度代表一点(12時)
温度
0.1mm径熱電対を用いた
二重強制通風筒による移動測定
(機器測定誤差0.2℃未満)
表面温度
毎時間、赤外線放射カメラで撮影
室温
店内
吹出し温度
0.2m
測定結果
①
熱式プローブ微風速計
吹出し風速
開放型店舗群から街路に冷気がどのように放出されているか?
熱画像
15時 0.2m気温
(℃)
36
35
34
33
32
31
F
29
0.2m 12時
0.2m 15時
0.2m 17時
E
C
30
0.2m 10時
開口部
D
B
0.2m 19時
G
H
A
(℃)
37
0.9m 12時
0.9m 15時
0.9m 17時
1.5m 19時
吹出し温度
D
32.8 [℃]
12.5 [℃]
E
27.4 [℃]
13.5 [℃]
C
28.4 [℃]
13.8 [℃]
F
28.6 [℃]
17.0 [℃]
B
24.4 [℃]
13.2 [℃]
G
27.5 [℃]
21.8 [℃]
A
25.9 [℃]
17.3 [℃]
H
26.0 [℃]
13.2 [℃]
32.0
 街区南側の高層建物により主風向の風が遮られ
31.0
ていることや、開口部脇の屋外陳列棚により、通り
30.0
方向の冷気の拡散が抑えられており、冷気の滞留
10時
12時
が顕著に起こっていることが示唆される.
A
B
C
D
E
F
29
1.5m 17時
室温
28
27
31
34
37
40
43 (℃)
[℃] 36
E
36.0
35
35.0
 比較街路に対する気温低下は、対象街路全体で
34.0
2℃であり、最大の店舗前空間で3.5℃である.
33.0
31
1.5m 15時
店
 開放型店舗群の開口部付近の街路空間に、特に
気温の低下が確認できる.
36.0
0.9m 19時
33
1.5m 12時
吹出し温度
[℃]
35
1.5m 10時
室温
気温
0.9m 10時
店
E
35.0
34
34.0
33
33.0
D
C
B
G
32
32.0
F
H
A
31.0
31
30.0
30
10時
12:00
12時
10:00
10時
15時
G
H
12時 17:00
15:00
15時
17時
17時
A
B
C
D
開放型店舗群
平均気温
開放型店舗群平均
19時
E
F
G
裏通り
平均気温
比較街路平均
15時
19:00
19時
H
数値シミュレーションによる冷気放出の影響要因分析
数値シミュレーションによる比較検討ケース
 店舗や周辺の空
間形態を変化さ
せた計7ケースを
設定
 各要因がどの程
度冷気放出に影
響するか確認
Case-7(all)
オーニング
気温分布の計算結果
Case-1 base
店舗B
Case-1 冷房off の比較ベースモデル (base)
Case-2 ベースモデルの冷房onモデル (air-con)
Case-4 Case-2の開口部上部にオーニングを設置 (awning)
Case-5 Case-2の開放型店舗群通りへの保水性舗装敷設 (hosui)
保水性舗装
屋外陳
列棚
店舗G
A’
A
Case-3 Case-2の店内商品棚を開口部に平行配置 (shelf)
空間形態が冷気放出に及ぼす影響は?
Case-2 air-con
店舗B
Case-6 店舗屋外,開口部両端への商品棚の設置 (out-shelf)
店舗G
Case-7 Case-2,4,5,6の複合モデル (all)
Case-4 awning
シミュレーション概要
店舗B
オーニング
店舗G
Case-2 air-con
25
乱流モデル
時間進行
スキーム
移流項
計算アルゴリズム
浮力の取り扱い
Smagorinsky(Cs=0.12)
+Van Driest Function
0.5
計算時間
実時間3分
側面
Free-slip
上空
勾配なし
壁面
壁関数 (Spalding則)
店舗G
C
A
G
A’
B
16.4e-6
0.02[s]程度
ΔT
屋外陳列棚
F
Boussinesq近似
SGSプラントル数
店舗B
D
PISO
0.7
Case-6 out-shelf
E
2次精度中心差分
プラントル数
動粘性係数
オーニング
オイラー陰解法
開口部
Case-7 all
店舗B
H
A
オーニング
33
 開口部にお
ける乱流熱
フラックスの
結果
店舗G
3[m]
保水性舗装
陳列棚
定常流入 (乱れなし)
風速2.6[m/s] (地上90m)
べき乗則 べき指数0.27
-0.25
Case-7 all
37 [℃]
Shop G,H
Shop B
Sampling plane
冷気流出
I
 オーニングと保水性舗装による表
流入
面温度の低下、屋外陳列棚によ
流出
圧力0 その他勾配なし
25
35
45
55
65
る水平方向への冷気拡散の減少
⇒冷気が開口部付近に滞留
 CFDシミュレーションの乱流モデルには非定常解析が可能なLES(Large-Eddy Simulation)を採用
⇒店内からの冷気放出が減少!
 熱収支シミュレーションにより算出した表面温度分布を表面の温度境界条件に設定し非等温解析1)
店内への熱の流入も抑制!
境界条件
29
Case-6 out-shelf
N
3 [m]
冷気流出
冷気流出
3 [m]
2.5
2.5
2.5
2
2
2
1.5
1.5
1.5
1
1
1
0.5
0.5
0.5
0
<u’θ’>
0
<u’θ’>
0.25 -0.25
0.25 -0.25
[mK/s]
[mK/s]
2. air-con
6. out-shelf
0
<u’θ’>
7. all
0.25
[mK/s]
まとめ
 夏季において冷房を使用した開放型店舗からの冷気放出の実態と影響要因を、実測及び数値シミュレーションにより明らかにした.
 開放型店舗前の街路空間では、閉鎖型の店舗前の空間と比較して、冷気の放出による明らかな気温の低下が確認された.
 街路の表面温度を低下し、かつ周囲からの気流を抑制することで店舗前に冷気を滞留させることができ、それによって、冷気の無駄
な漏れ出しである周囲への過度な冷気放散と、店舗内への熱の流入が抑制されることを明らかにした.
引用文献
1) 浅輪貴史:熱収支計算とLESによる都市空間に形成され
る微気象の非定常シミュレーション、日本ヒートアイラン
ド学会第7回全国大会、pp.120-121、2012.7
開放
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