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よこはまの工業用水道

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よこはまの工業用水道
横浜港上空より大桟橋とみなとみらい地区を望む
よこはまの経済と市民の暮らしを支えています
横浜市工業用水道
ベイブリッジ
関内地区と横浜港を一望
赤レンガ倉庫
1
事業の目的・概要
横浜市の工業用水道は、京浜工業地帯の地下水汲み上げによる地盤沈下対策として、昭和35年(1960)
10月に一日当たり11万7,000m3の給水能力により創設(相模湖系統)され、鶴見・神奈川地区及び保土ケ
谷・西地区に給水を開始したのが始まりです。
その後、日本経済の急成長と、本市の工業立地政策に伴う工業誘致地区の基盤整備を目的として、2回
にわたる拡張工事(馬入川系統)を行い、根岸湾臨海部や戸塚内陸部の工業地帯に給水区域を拡大し、
一日当たり36万2,000m3の給水能力をもって、高度経済成長期の横浜の工業を支えてきました。
昭和48年のオイルショック以降、経済情勢が高度成長から安定成長へ移行し、産業構造の変化による工
場の移転・廃止や、受水工場における水利用の合理化等により、近年、工業用水の需要は逓減傾向で推
移している状況となっています。今後、雑用水などに新たな需要が期待されるものの、事業を取り巻く経
営環境は厳しくなるものと考えています。
また、工業用水道施設にあっては、事業開始以来およそ半世紀が経過し、施設の老朽化が著しいことか
ら、限られた財源の中、計画的に施設整備を進めていく必要があります。
今後は、より効率的・効果的に事業運営を推進しながら、国庫補助を活用した施設の更新・整備に取
り組み、工業用水の安定供給に努め、横浜経済の発展と環境の保護に寄与してまいります。
2 施設の概要
横浜市の工業用水道施設は、相模湖系統と馬入川系統の二つの系統(水源)があります。
このうち、相模湖系統施設は、相模ダム(相模湖)を水源とするもので、相模ダム下の沼本ダムで
取水された水は、工業用水道鶴ケ峰沈殿池と西谷浄水場で処理され、京浜工業地帯や、横浜ビジネ
スパーク地区及びみなとみらい21地区に供給されています。
一方、馬入川系統施設は、城山ダム(津久井湖)を水源とするもので、相模川下流の寒川取水せ
きで取水された水は、小雀浄水場で処理され、戸塚内陸部工業地帯や根岸湾臨海部工業地帯に供給
されています。
①
②
④
⑤
③
⑥
② 沼 本 ダ ム
① 相 模 ダ ム
④津久井分水池
③ 城 山 ダ ム
⑤下九沢分水池
⑥相模原沈殿池
⑪
⑪寒川取水せき
⑫引地川水路橋
⑬境川水路橋
②
④
⑦
⑧
⑤
⑥
相模湖系統図
⑨
⑩
系
系
統
別
統
別
給
水
能
給水能力m3/日
相模湖系統
力
給水区域
117,000
鶴見・神奈川・西・保土ケ谷・旭の各区の一部
馬入川系統第Ⅰ期
馬入川系統
150,000
馬入川系統第Ⅱ期
戸塚・栄・中・磯子・鶴見・神奈川の各区の一部
95,000
計
362,000
⑦川井浄水場
⑧鶴ケ峰沈殿池
⑨西谷浄水場
⑩東寺尾配水池
⑭小雀浄水場
⑮小雀沈殿池
⑩
⑧
⑦
⑨
⑫
⑭
⑬
⑮
⑭ 小雀浄水場
⑮
⑫
⑬
⑪
馬入川系統図
み ず し ょ り
3
なが
水処理の流れ
みずしょり
なが
さがみこけいとう
◎ 水処理の流れ(相模湖系統)
じょうすいどう
きょうようしせつ
(上 水 道 との共用施設)
しゅすい
ぬまもと
かせん
げんすい
みず
とり
い
しゅすい
①
取水せき(沼本ダム)
②
原水沈でん池(相模原沈でん池) …原 水 中 の土砂などを一時的に沈でんさせます。
③
導水路
げんすいちん
ち
さがみはらちん
…河川(原水)の水を取り入れ(取水)ます。
ち
げんすいちゅう
どうすいろ
げんすい
どしゃ
いちじてき
ちん
しない
…原水を市内まで送ります。
つるが みねちん
ち
こうぎょうようすいどうたんどくしせつ
鶴ケ峰沈でん池(工業用水道単独施設)
ぶんすいせい
④
げんすい
分水井
ちゃくすいせい
⑤
と
着水井
ち
沈でん池
りゅうしゅつきょ
⑧
つる がみねちん
ちない
と
い
い
げんすい
すいい
あんてい
ぎょうしゅうち
やくひん
つか
げんすいちゅう
かた
しず
フロック形成池(凝集池) …薬品を使って原 水 中のにごりなどを固め、沈みやすくします。
ちん
⑦
ぶんき
…取り入れた原水の水位を安定させます。
けいせいち
⑥
どうすいろ
…原水を導水路から分岐させ、鶴ケ峰沈でん池内に取り入れます。
流出渠
げんすいちゅう
ちん
みず
…原 水 中 のにごりなどを沈でんさせ、水をきれいにします。
ちん
しょり
みず
た
すいい
あんてい
…沈でん処理された水を貯め水位を安定させます。
みず
ダ
ム
の
水
が
が
鶴ケ峰沈でん池
鶴 ケ 峰 沈 で ん 池
おく
送
だ
り
出
さ
れ
る
ま
で
4
使用状況
工業用水は、製造業(物品の加工修理業を
含む。)、電気供給業、ガス供給業及び熱供
給業といった工業の用に供することを目的に、
本市では、製造業をはじめ幅広い業種で工業
用水が使用されています。
業種別に契約水量を見てみますと、最も多い
業種は、石油製品製造業で、以下化学工業、
食料・飲料製造業、鉄鋼業と続いています。
冷却設備に使用される工業用水
工業用水は、これらの工場において、冷却用
水、ボイラー用水、製品処理用水、洗浄用水などに使用されています。
なお、これら工業用以外に、動物園などにおける雑用水の供給も行っています。
≪雑用水≫
工業用水は、工業の用に供することを目的とされていますが、給水能力に余裕がある場合は、一定
量を工業用水以外の用途に供給することができ、公共施設や産業の健全な発達に資する施設など、一
定の要件を満たす施設を対象に給水することができます。
横浜市では、よこはま動物園ズーラシアの開園に合わせて雑用水の供給を開始(平成11年3月)し、
現在では動物園以外でも卸売市場の洗浄用水やトイレ用水などで工業用水が使用されています。
よこはま動物園ズーラシアでは、豊富な工業用水によりたくさんの動物たちが快適に暮らしています。
ユーラシアカワウソ
業種別契約水量
オカピの親子
ホッキョクグマ
フンボルトペンギン
5
料
みなとみらい地区・横浜南部方面を望む
金
横浜市の工業用水道料金は、契約水量(基本水量、特定水量)に
基づく定額制の基本料金と、実際の使用水量に応じて料金を算定す
る使用料金の二つの料金を合算して算出する二部料金制となって
おり、料金は毎月算定・毎月徴収としています。
工業用水は供給契約に基づき一日あたりの契約水量を決定しま
す。これを「基本水量」といいますが、使用する水量が基本水量を超えないように、最も多く使用
する時間帯の予定使用水量を24倍して決定します。
基本水量は、特別な理由がない限り減量や廃止をすることができません。これは、工業用水道事
業が限られた使用者を対象に、申し込まれた基本水量に基づき計画・運営されていることから、契
約水量の変更が事業に与える影響が大きく、他の使用者の負担増の直接要因となるからです。
なお、契約水量の最低(下限)申し込み基本水量は、一日当たり200m3となっています。
お申し込みに関するご相談は、工業用水課(℡045-954-3331)までお問い合わせください。
(1)料金の区分
ア 基本料金(基本水量)
申し込み(契約)された基本水量に応じて適用
する料金です。
イ
基本使用料金(基本使用水量)
基本水量の1時間分(基本水量の24分の1)
の水量(以下「時間基本水量」という。)の範囲
内で使用した部分の水量に適用する料金です。
ウ
超過料金(超過使用水量)
時間基本水量を超えて使用した部分の水量に
適用する料金です。
ただし、特定給水を受けている場合は、基本水
量及び特定水量を合計した水量の24分の1の
水量を超えて使用した部分となります。
エ 特定料金(特定水量)
工業用水道の給水能力に一定期間余裕がある
ときは、申し込み(契約)により、その期間に限っ
て基本水量を超えて給水(以下、「特定給水」と
いう。)することができるもので、当該基本水量を
超える水量(特定水量)に応じて適用する料金で
す。
オ 特定使用料金(特定使用水量)
特定給水を受ける場合、特定水量の1時間分
(特定水量の24分の1)の水量の範囲内で使
用した部分の水量に適用する料金です。
(2)料金単価(税抜き)
みなとみらいの黄昏
3
基本料金単価
基本水量1m につき
基本使用料金単価
基本使用水量1m につき
特定料金単価
特定水量1m につき
特定使用料金単価
特定使用水量1m につき
25.1円
基本
3
3
4.0円
50.2円
特定
超過料金単価
3
8.0円
3
87.3円
超過使用水量1m につき
(3)料金計算式(特定給水がない場合)
{基本水量(ひと月)×使用日数(ひと月)×基本料金単価
+(実使用水量(ひと月)-超過使用水量(ひと月))×基
本使用料金単価+超過使用水量(ひと月)× 超過料金単価}
×1.05
6
主な取組み
集中管理室
工業用水道管理システム
工業用水道では、各工業用水道施設における水
量・水位・水質などの監視・制御や、自動遠隔検針
により給水工場(需要者)の給水量データを収集・管
理する工業用水道管理システムが導入されています。
工業用水課に設置された集中管理室において、
日々これら施設の総合的な監視・制御を行い、効率的
な水運用のコントロールをするほか、工業用水道料金
の計算業務などを行っています。
水質基準及び水圧
区
分
準
水
温
28℃ 以下
濁
度
16度 以下
水素イオン濃度(pH)
6.0~8.6
硬 度 ( C a C O
3
と し て )
100mg/l 以下
ア
ル
カ
リ
度
5mg/l 以上
蒸
発
残
留
物
250mg/l 以下
塩
素
イ
オ
ン
50mg/l 以下
ン
2mg/l 以下
最低水圧(配水管末)
0.049MPa
鉄
水質測定装置
基
イ
オ
緊急時バックアップ施設
工業用水道の管路ルートは、上水道施設のように
ループ化・管網化されていない一方通行の樹枝状管
路となっています。このため、ひとたび大きな漏水事故
などが発生した場合、被害が大規模となることが想定
されます。
これら緊急時に備えて、上水道から応援給水が受け
られるように、市内3ヶ所に上水道との連絡管(緊急時
バックアップ施設)を設置しています。
日野連絡井緊急時連絡管
名
称
位
置
東寺尾連絡井緊急時連絡管
鶴見区東寺尾一丁目
日野連絡井緊急時連絡管
港南区日野六丁目
戸塚分水井緊急時連絡管
戸塚区下倉田町
施設概要図
横浜市工業用水道の沿革
昭和
26年12月
30年12月
31年
6月
10月
32年 1月
8月
33年
4月
10月
34年 2月
3月
35年10月
36年
3月
4月
6月
10月
38年 9月
39年 3月
40年 3月
9月
41年 4月
横浜商工会議所から横浜市長に横浜市工業用水に関する要望書提出
横浜商工会議所に工業用水専門委員会を設置
横浜商工会議所から大蔵、通商産業の両大臣に工業用水道の敷設に関する陳情書提出
工業用水法制定
横浜市工業用水道建設計画議決
建設部工業用水課設置
地盤沈下対策事業として国庫補助金交付決定
工業用水道建設工事着工(相模湖系統)
工業用水道事業法制定
(社)日本工業用水協会設立と同時に加入
根岸湾埋立事業着工
工業用水法に基づく指定地域に指定(神奈川・鶴見両区のうち、京浜急行電鉄本線以南の地域)
横浜市工業用水道条例・同施行規程制定
相模湖系統給水開始(給水区域 鶴見区・神奈川区・西区・保土ケ谷区の一部) 給水能力・・・117,000m3/日
工業用水道建設工事完成(相模湖系統)
上水道事業から分離、別個の地方公営企業として発足
基盤整備事業として国庫補助金交付決定(馬入川系統第Ⅰ期)
第1回拡張工事(馬入川系統第Ⅰ期)着工
横浜市工業用水道利用者連絡会設立(のち昭和54年4月に「横浜市工業用水協議会」に改称)
寒川取水施設完成
城山ダム完成
馬入川系統第Ⅰ期給水開始(給水区域 戸塚区・中区・磯子区の一部) 給水能力・・・150,000m3/日
基盤整備事業として国庫補助金交付決定(馬入川系統第Ⅱ期)
第2回拡張工事(馬入川系統第Ⅱ期)着工
第1回拡張工事(馬入川系統第Ⅰ期)完成
東寺尾配水池完成
鶴ケ峰沈殿池完成
馬入川系統第Ⅱ期給水開始(給水区域 鶴見区・神奈川区の一部) 給水能力・・・95,000m3/日
水質汚濁防止法制定
第2回拡張工事(馬入川系統第Ⅱ期)完成
水道局本局庁舎移転(市庁舎→関内中央ビル)
鶴ケ峰沈殿池排水処理施設建設事業着工
工業用水合理化設備事業着工
工業用水道条例一部改正(系統別料金プール化)
鶴ケ峰沈殿池排水処理施設建設事業完成
配水管整備事業着工
工業用水合理化設備事業完成
工業用水道管理事務所完成(4詰所廃止統合)
浄水施設整備事業着工
配水管整備事業完成
浄水施設整備事業完成
東寺尾連絡井緊急時連絡管完成
8月
7月
6月
10月
45年12月
46年 3月
47年10月
48年 4月
49年 4月
50年10月
51年 3月
4月
52年 3月
5月
53年 4月
54年 3月
59年 3月
63年 3月
平成
2年 3月 戸塚分水井緊急時連絡管完成
4月 馬入川系統施設改良事業着工(改築補助事業)
8年 4月 相模湖系統施設改良事業着工(改築補助事業)
馬入川系統施設改良事業継続(改築補助事業)
11月 (社)日本工業用水協会総会(横浜市開催)
10年10月 工業用水道条例一部改正(給水区域に旭区の一部を加える)
11年 3月 雑用水供給開始
13年 4月 工業用水道条例一部改正(二部料金制導入)
14年 3月 日野連絡井緊急時連絡管完成
18年 4月 相模湖系統・馬入川系統施設改良事業を統合(第3期改築補助事業)
5月 工業用水課と鶴ケ峰管理事務所の統合(工業用水課(本課)が関内から鶴ケ峰へ移転)
11月 第7回水道技術国際シンポジウム出展参加(横浜市開催)
43年
44年
みなとみらい夜景
横浜市水道局
工業用水課
〒241-0021
横浜市旭区鶴ケ峰本町三丁目28番2号
TEL 045-954-3331
FAX 045-953-4274
インターネットホームページ
http://www.city.yokohama.jp/me/suidou/index.html
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