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環境整備のための予算
5 環境整備のための予算 第 章 ICT環境整備を充実させるためには、継続的かつ安定した予算を獲得しなければなりま せん。その手順とポイントを具体的に考えてみましょう。 教育のIT化に向けた環境整備4か年計画 されているからといって、それが必ずICT環境 地方交付税の使途は国で指定できない 単年度 1,678 億円(平成 26 〜 29 年度 4 年間総額 6,712 億円) 整備に使われるわけではないということです。 学校のICT環境は、地方財政措置によって整 地方交付税制度は、すべての地方自治体が、一 備を進めることになります。地方財政措置額の一 定水準以上の行政を営めるように財源保障をする 部は、地方自治体の財政状況に応じて、地方交付 制度です。この制度のもとでは、地方交付税に、 税として交付されます。 国がその使途を制限したり、条件を付けたりする ここで注意しなければならないのは、予算措置 ことはできないのです。 第2期教育振興基本計画で目標とされている水準 ●教育用コンピュータ1台当たりの児童生徒数 3.6 人 ①コンピュータ教室 40 台 ②各普通教室1台、特別教室6台 ③設置場所を限定しない可動式コンピュータ 40 台 ●電子黒板・実物投影機の整備(1 学級当たり1台) ●超高速インターネット接続率及び無線LAN整備率 100% ●校務用コンピュータ 教員1人1台 地方交付税の基礎知識 教育の IT 化に向けた環境整備 4 か年計画の所要額イメージ 地方交付税による財政措置のイメージ 基準財政需要額−基準財政収入額=地方交付税 ※教材費として算定されている「基準財政需要額」と同額が「地方交付税」として地方に交付されている訳ではない。 基準財政需要額 各地方団体ごとの標準 的な水準における行政 を行うために必要とな る一般財源 基準財政収入額 地方団体の標準的な 税収入の一定割合に より算定された額 基準財政収入額= 標準的な地方税収入 × 75/100 地方公共団体の 税収 地方公共団体の 一般財源 100 学習用ソフトウェア ●教育用コンピュータ(不足台数約 146 万台の新規導入及び既存分約 191 万台に係るリース費用) ●電子黒板 (不足台数約 40 万台の整備及び既存分約 1 万台の更新に 係る費用) ●実物投影機(不足台数約 33 万台の整備及び既存分約 1 万台の更新 に係る費用) ●無線 LAN 整備(未整備約 38 万教室に係る費用) ●インターネット接続費用 ●教員の校務用コンピュータ(約 95 万台のリース費用) 等 ●教育用コンピュータに搭載する学 習用ソフトウェアの整備 等 (教育用コンピュータ新規導入・ 更新に伴うもの) ICT 支援員 ●ICT支援員の配置 等 (情報処理技術者委嘱を含む) 100 地方交付税 32 教育の IT 化に向けた環境整備 ●地方交付税 ●交付税額の算定 地方交付税とは、地方自治体間の財源の不均 各地方自治体の交付税額、つまり、その地方 衡を調整し、すべての地方自治体が一定の水準 自治体の財源不足額は、各地方自治体が必要と を維持しうるよう財源を保障する見地から、本 する財政額(基準財政需要額)からその地方自 来地方自治体が税収入として徴収すべきものを 治体の財政収入額(基準財政収入額)を差し引 国税として国が代わって徴収し、一定の合理的 いて算出されます。 な基準によって再配分する、いわば「国が地方 ●基準財政需要額の算定 に代わって徴収する地方税」(固有財源)で、 基準財政需要額は、各行政項目別に「測定単 総務省が所管しています。 位」に必要な「補正値」を乗じた値に、 「単位費用」 地方交付税は、その地方自治体の一般的な財 を乗じた額を合算して算定されます。 源不足額を補填する目的で交付されるものです 例えば、市町村の小学校経費は「児童数(測 から、各地方自治体の自主的な判断で使用でき 定単位)×補正値×児童 1 人あたりの費用(単 る一般財源であり、国がその使途を制限したり、 位費用)」や「学級数(測定単位)×補正値× 条件を付けたりすることは、地方交付税法で禁 1 学級あたりの費用(単位費用)」等を積算す 止されています。 ることによって算定されます。 ICT環境整備の予算 ●私立学校施設整備費補助金 地方財政措置において学校のICT環境整備に 私立の学校の場合は、教育研究装置及び施設の 関わる項目としては、 「教育の IT 化に向けた環境 整備費についての補助(補助率 2 分の 1 ~ 3 分の 1) 整備 4 か年計画」と「学校教材の整備」があります。 など「私学助成金」を活用してICT環境整備の 私立の学校には、助成金が用意されています。 ための予算を獲得してください。 ●教育のIT化に向けた環境整備4か年計画 「教育の IT 化に向けた環境整備 4 か年計画」による 87 億円(平成 26 年度) 単年度 1678 億円(平成 26 年度) 1 校当たりの財政措置額 これは第 2 期教育振興基本計画(平成 25 年 6 月 14 日閣議決定)で目標とする水準の達成に必 要額を計上した4か年計画(H 26 ~ 29 年度)で す。これに基づき毎年 1678 億円が予算化されて 都道府県 高等学校費 424 万円 600 人程度 特別支援学校費 574 万円 35 学級 います。上表に目標とする水準が示されています。 ●学校教材の整備 800 億円 これは、「義務教育諸学校における新たな教材 整備計画(平成 24 年度〜 33 年度)」にもとづく 市町村 小学校費 564 万円 18 学級 中学校費 563 万円 15 学級 ものです。広く一般的な教材・設備整備のための ものですが、電子黒板など一部のICT機器整備 にも利用可能です。 注:上記は平成 26 年度の単位費用積算基礎から試算した標準的な所 要額(単年度)。実際の基準財政需要額算定にあたっては、測定単位 の数値を割増するための補正がある。 33