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特別重点化資金成果報告書(学生国際学会等参加)

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特別重点化資金成果報告書(学生国際学会等参加)
特別重点化資金成果報告書(学生国際学会等参加)
2012 年 3 月 9 日
申請
責任者
所属・資格
学生
所属・学年
(学籍番号)
氏
名
会議等名称
(開催場所)
出張期間
(開催日程)
理学部 物質生物科学科
氏
名
和賀
祥
理学研究科 物質・生物機能科学専攻・博士課程前期2年(11037011)
保科
祥子
コールドスプリングハーバー研究所ミーティング:DNA 複製とゲノム維
持機構(アメリカ合衆国ニューヨーク州コールドスプリングハーバー)
2011 年 9 月 5 日—9 月 14 日(開催日程:9 月 6 日—9 月 10 日)
交
付
額
341,000 円
執
行
額
320,175 円
出張の概要(1,500 字程度)
2011 年 9 月 5 日から 9 月 14 日にわたり、アメリカ合衆国ニューヨーク州コールドスプリ
ングハーバーでのコールドスプリングハーバー研究所ミーティング:DNA 複製とゲノム維持
機構(9 月 6 日—10 日)への参加ならびに同研究所の研究者との研究打ち合わせを行った。こ
れに参加した大学院生1名の旅費を特別重点化資金より支援いただいた。生命科学分野での
ミーティング開催地としても有名な同研究所は、DNA 二重らせんを発見したワトソン博士が
かつて所長を務められた DNA 研究のメッカと言われる研究所である。今回参加した DNA 複
製に関するミーティングは、2年ごとに開催され、当該研究分野では歴史のある最も有名な
国際会議の1つである。そのため、この分野で活躍している一線の研究者がこの会合に参加
するため世界中から集まる。
ミーティングは2つのポスターセッションを含む合計10のセッションからなる。口頭発
表が行われる8つのセッションは、複製開始点、レプリソーム、細胞周期制御などのテーマ
によって分かれ、各セッション10題ほどの口頭発表が行われた。全てのセッションは1つ
の会場で行われ、約300名の参加者が朝9時から夜11時近くまで同一会場での研究発表
とディスカッションに参加するというタフな会合であった。しかし、未発表のデータのみ発
表可という厳しい条件が課せられているため、発表内容は最新の、しかも刺激的なものばか
りであった。
ポスターセッションは、2日目と3日目の午後に行われ、今回参加した大学院生である保
科の研究成果を3日目午後のポスターセッションで発表した。理学研究科博士課程前期2年
の保科は、修士論文研究の中で DNA の複製開始過程で働くヒトの ORC というタンパク質の
機能解析を行っている。ORC は ORC1 から ORC6 の6つのサブユニットからなるタンパク
質複合体であり、ゲノム上の複製が開始する DNA 領域、いわゆる複製開始点に最初に結合
して複製を開始させる役割をもつ。ORC はこのように DNA に結合し働くタンパク質である
が、最近の保科はヒト ORC が高い親和性で RNA にも結合するタンパク質であることを証明
した。さらに、ORC の RNA 結合の特異性や ORC1 サブユニット内の結合ドメインなどを明
らかにした。ORC が RNA に結合するという結果は、DNA 複製の研究分野ではこれまでほ
とんど着目しなかった点である。私達は、この RNA 結合が、未だに明らかにされていない
動物ゲノムにおける複製開始点の形成機構を理解するきっかけになるのではと考え、今回の
ミーティングでは実験結果と合わせ、複製開始点形成機構の新しいモデルを提示した。
参加した保科にとっては、今回が初めての専門分野の国際会議への参加であった。今回の
参加によって、自分の研究が世界の一線の研究の中でのどういう位置にいるのかを実感でき
たことと思う。さらに、参加によって最新の研究結果を知ることができたのはもちろんのこ
と、論文の著者名でしか知らなかった世界の一線の研究者とのディスカッションに参加する
ことができたことも、大きな意味のある体験であったと思う。さらにまた、研究テーマの対
象である ORC を発見した研究者であるスティルマン博士(研究所の現会長)とお会いしディ
スカッションを行った。そして、研究所内の実験室や施設を見学させていただき、日本では
見られないような実験室・研究施設の構成を知ることができたことも、大きな刺激になった
と思う。
今回の発表をきっかけに、英国ケンブリッジ大学の研究者との共同研究が始まった。この
点も今回のミーティング参加の収穫の1つである。
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