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絵手紙風レポート
シュタイナー研究会 第2回 レポート
2010 年 5 月 15 日(土) 「大地」の学び
“おとなの幼稚園”体験/シュタイナー学習会
2010 年 5 月 16 日(日) 子安美知子先生講演 / 黒姫童話館でエンデを知る
小布施町図書館まちとしょテラソ見学
世話人 いしはら あいこ
■ はじめに
シュタイナー研究会 第 2 回は、場所を長野・飯綱町、黒姫高原に移し
て、子安美知子先生、文さん、研究会の皆さまと楽しい学びの 2 日間が始
まりました。お天気は快晴。妙高山(上の写真)もうっすらと雪化粧をして、
私たちを歓迎してくれました。みんなさんとも 2 ヶ月ぶりに会い、JR 飯山線
「信濃浅野」駅前で挨拶もそこそこに、ウキウキする心を抑えきれずに、出
発しました。
30 分程、車で移動。駐車場で降りると、一面のりんごの花。そのりんご畑
のど真ん中を歩いて、「大地」幼稚園へ向かいます。生まれて初めて見るり
んごの花はとてもキュートで、甘い香りに包まれています。最高のおもてなし
を受けた感じがして、もういきなり大感激!です。この「りんごの花」は例年
ではこの時期には見ることができないそうです。いつにない「寒波」が功を奏
したようですね。いいこともありました・・・。
それに、もう一つめったにないことがありました。志賀高原や北信五岳が
雲ひとつなく、みごとな晴天であったことです。地元の参加者もびっくり。
宮本吉寿さんから北信五岳の覚えやすいゴロを教えてもらいました。
「ま・み・く・と・い」 ― しっかり覚えましたよ。
ま … 斑尾山
め … 妙高山
く … 黒姫山
と … 戸隠山
い … 飯縄山
1
■ 大地 大人の幼稚園
いちじかんめ (野外教室)
「大地」とは、シュタイナー理念を尊重した教育を続けている保育園
です。3 歳から 6 歳までの子ども達が一緒に学ぶ縦割り保育です。
穏やかな静的芸術的な世界【静】とダイナミックな力強い世界【動】の
学びが両立している大家族集団です。
日の光が扉を開き
自然の息吹が身を包み
夕日が休息の時を告げ
星が子守歌を歌います
大地の使命とは、四季豊かな里山での生活体験を通じて、人間がドラマ
チックに静と動の世界を芸術的に展開することにより、平和で穏やかで想
像的・意欲的な人間形成と社会作りに貢献する。
動
(大地ちらしより)
保育園に到着したら、すぐに芝生の上にすわり、そこが野
外教室です。青い作務衣を着ている方があおちゃん先生
です。そのあおちゃんが園長先生とは最後まで知らされず、
「運転手のおじさん」「幼稚園のおじさん」と信じていたの
は、私だけではなかったようですが、それにしても、最後の最後までドラマチ
ックな演出で驚きの連続でした。輪になって、いよいよ、「大人の幼稚園」
のはじまりです。歌を歌いながら、子どものころのように体を使い、文字通り
の「大人の幼稚園」を体験しました。童心に返ることができ、空気の清々しいところで、子どもの
ころの感覚を思い出すことができたひとときでした。とにかく、楽しい。うれしい。しかし、悲しい出
来事は後になって分かります。必死になって体を使った結果、筋肉痛(大腿四頭筋)が激し
く、年齢的には非常に厳しい(涙)、時間となってしまいました。日頃の
運動不足がたたってしまった・・・。(笑)
最後には、体育会系のメンバーが「かけっこ」の競争をしました。見かけは
なだらかなスロープなのですが、走ってみるとなかなかの傾斜で、死にそう
だったと、参加者が息を切らしながら話していました。転びそうになった人
や負けず嫌い人や参加することに意義を見いだしている人や、それぞれ
一生懸命さが伝わった気持ちの良い時間でした。(私は参加しませんで
したので、保護者の気持ちでした・・・。ゴメンナサイ)
勝敗は、
一位 宮本吉寿さん (学生時代は野球部)
二位 高田大樹さん (学生時代 400m ハードル選手)
でした。最後の最後で宮本さんがアラフォーの意地を見せた場面でした。
参加された皆さま、お疲れ様でした。
2
■ 大地 大人の幼稚園
にじかんめ (みんなとお昼ごはん)
~メニュー~
手作りウィンナー
野沢菜の信州みそ和え
手作りウィンナーのパン巻き
フレッシュ野菜サラダ
手作りパン
けんちん汁
五平餅(ごまだれ、くるみだれ)
飲み物:
ピザ風ノビルせんべい
りんごジュース
ノビルかき揚げ
シードル
ウィンナーの手作り、大地の皆さんが作っていただい
た、パン生地、地元産のお米、野菜そして、リンゴ
ジュースとシードル。最高の贅沢な食材と最高のシ
チュエーションで「お昼ごはん」が始まりました。
3
■ 大地 大人の幼稚園
にじかんめ (みんなとお昼ごはん)No.2
北村三郎先生の手作りのウィンナー
みなさんと美味しい食事と楽しい会話
が焼き上がりました。
で盛り上がります。
幼稚園の園児やお母さまも一緒に楽
人生の三毛作が目前(?)のおじさま
しみました。ご馳走さまです!
方の「志」はすばらしい!シュタイナー
談義ですか?
秘密の基地で瞑想?
食事の後は、園のまわりの森に入って
奥田亮さんは修行僧のようです!?
お散歩します。タラの芽はこれだ、のび
この周りには、ブランコやハンモックや遊び
るはこれだ、と教わりながら、美味しい
場は全て手作り。童心に戻りましたねぇ。
空気を吸っています。小学生の参加
私は嫌いだったブランコも克服しました。
者のユキちゃんも一緒です。
4
■ 大地 大人の幼稚園
さんじかんめ (おさんぽ)
食後は園児たちと一緒にお散歩です。まるで昭和にタイムスリップしたような原風景。泥んこになって遊ぶこども達。
大自然の中で、五感を使って感性を育てています。こんな愛くるしい子ども達を見るのはウン十年ぶりです。
5
■ 大地 大人の幼稚園
よじかんめ (よみきかせ)
「動」の時間から、「静」への時間と移ります。
静
教室に入り、のんちゃん先生から童話や昔話を読んでもらいます。
特に印象に残ったお話がスウェーデンの月のお話。(タイトルは忘れ
てしまいました)
良い村人は、おなかの空いているお月様にたくさんの食べ物をあげ、ケチな村人は少
ししかお月様に食べ物をあげませんでした。良い村人の家の中は光り輝いており、ケ
チな村人の家の中はだんだんと暗くなっていきます。お月様が一月の半分づつそれぞ
れのお家を訪ねていくというお話。
子安美知子先生は真理をついたとても良いお話でした、とコメントされています。心
に残るお話です。
また、「おじさんのコート」というお話は頭の固まっている大人にはオチが分かりませ
ん。古くなったおじさんの「コート」は次に「上着」に作り替えて大切に着て、さらに古
くなったら次に「ベスト」に作り替え、さらに古くなったら、「帽子」に作り替え、さらに
古くなったら「くるみボタン」に作り替えて大切に使いました。さらに、そのボタンも古く
なったら、次は何を作るのでしょうか?
超難問でした。答えは心にしまっておきます。
ろうそくに火をつけ、室内を少し暗くしてのんちゃん先生のお話を静かに聞いてい
ると、まるでお母さんが優しく語りかけてくれているような感じがします。室内
はピンクのカーテンのドレープで、これは「胎内」をイメージされて作られている
そうです。とても心地のよく、「安らぎ」の場所です。
あおちゃん先生は、とても大切で、深い内容でも、明るく、おもしろおかしくお
話をされます。その人間性が園児のお母さん達の信頼を得ているのだと思
います。
教育は「静」と「動」が必要であること。そして、受け入れる場所が必要であ
ることもあおちゃん先生、子安美知子先生から教えていただきました。
大自然の中で、山の斜面にある園は、大人から見ると「危険な場所」がい
っぱいあります。崖あり、岩あり、根っこあり。しかし、子ども達は体と五感を
フルに使って、「危険なこと」を体で覚えています。園長先生はそれを「祈る
のみ」と表現されていましたが、子どもの能力は想像以上のものでした。
シュタイナー教育と大自然で学ぶ「大地の子ども達」は、将来とてつもない
能力を発揮することは間違いないと思えるほど、「日本の宝」であると感じた
のは私だけではないと思っています。
最後に園長先生を始めとするお世話になった先生、園児の親御さん達が
「大地」の歌を歌ってくださいました。ジーンと心に沁みる美しい歌でした。あ
おちゃん先生の味のあるギターは最高でした。最後までお茶目で人をびっく
りさせる天才のあおちゃん先生、ありがとうございました。(感謝)
6
シュタイナー学習会(1)
■
子安美知子先生
■シュタイナーの人間観について(成人するまでの子どもたち)
シュタイナー教員養成のプロセスのお話です。
「生まれてくる」というのは、「さや」、「膜」から出てくることをいいます。物質体、エーテル体、アストラル体にはそれぞれ「膜」
に覆われている。それぞれの「臨月」をへて、自我が独立して大人へと成長していきます。
人間と生き物との比較
1.
人間
動物
植物
鉱物
物質体(母体)
○
○
○
○
エーテル体(生命体)
○
○
○
アストラル体(感覚体)
○
○
自我 (自分自身)
○
最初の 7 年期(幼稚園、学校前・ 物質体)【世界は善である】
子どもは模倣する時期。先生は模倣される存在であるべきです。反面教師は絶対にダメ。
安心してまねることができる、安心感、安定感が必要です。
※「大地」は根源的にしっかりしている。この時期に早産させると大人になるとダメになる。
行動力、意志力がなくなる。
2.
第二の 7 年期 (小学校・思春期・エーテル体)【世界は美である】
先生は愛される権威者であるべきです。
エーテルル体の臨月とは、乳歯が抜ける時です。記憶をつかさどり、気質をつかさどります。
※九九や色など、美的に教える。知的には教えない。
3.
第三の 7 年期(思春期後成人まで・アストラル体) 【世界は真である】
先生は寄りかかれる存在であるべきです。
1 年生から8年生までの 8 年間は担任の責任において生徒を育てます。
7 年生、8 年生は反抗期。アストラル体が生まれでてくる合図。オタクっぽく、打ち込む姿が思春期の
子には大事です。心、感情のひだを穏やかに耕します。(喜怒哀楽)
※この時期に早産すると、感動する力がなくなる。人の心を読み取れない。感情の貧しい人間になる。
4.
それ以降(自我)
先生は人生の先輩であり、良き相談相手、良き友人の存在であるべきです。
20 歳前後で社会的責任をともなう判断、決断を養います。→成人の年齢
それぞれ大事にすべき課題をもってはぐくみます。→自由への教育、自由に至る。
※自我とは言葉を話す力、私を私として認識する力をもっていること。自分の核となるもの。
人間は 7 年周期で保護膜があります。それぞれの段階で「早産」した場合は、自分の弱点を自己認識し、コツコツと見つ
けていくことです。克明に自我の中に記録していくことで、直すことができます。
7
黒姫高原の朝です。早起き隊は、早朝散歩にでかけました。
なんと、イギリスのような風景に出会い、癒しの散歩となりました。
CW ニコルさんも山麓にお住まいだとか。イギリス人もびっくりですね。
8
■
子安美知子先生講演会 ~エンデを語るー同世代を生きた友人として~
宿泊ホテルから黒姫童話館まで、ゆっくり自然のエネルギーを感じ
ながら歩いていきます。黒姫童話館は右の写真のように、森と草原に
囲まれた絵はがきの中にいるような場所にあります。
講演会に先立ち、子安美知子先生からミヒャエル・エンデ館の見所
をご紹介いただきましたので、ポイントを見逃さずに見学します。
エンデ常設コーナーは1階の一部分ですが、2階には資料庫があり、
エンデに関する資料が保管されています。1階に展示されているモノは
コピーであるとのこと。オリジナルは大切に 2 階で眠っています。
子安美知子先生の講演が始まります。
「どうして、黒姫高原にエンデの資料がたくさんあるのか?」という質問をたくさんの人から尋ねら
れるので、冒頭にお話をいただいた。
エンデの父親は、エドガー エンデ(1901~1965)と言い、画家であった。生前ほとんどその
絵の評価は得られず、家は貧しく母親がマッサージの資格をとって家計を支えていた状態であ
った。戦後、息子のミヒャエルの反抗が一因で父親の方が家出をしてしまうほど、親子関係は
うまくいかなかった。ミヒャエルが 20 歳を過ぎた時、友人が父親の絵を見てたいそう評価をし、そこで父の絵を見直すきっか
けとなった。父親と和解をし、もっと親孝行をしたい、父親の絵の評価を語りたいと思っていた矢先、父親を失ってしまった。
ミヒャエルも、やっと最初の作品に対して「賞」をもらえるほどになっていた。父親
の死後 1985 年に 20 年かかった親孝行として、7 月 20 日にドイツ各地を1
年以上かけて「エドガー エンデ展」を開くことができた。
その時に、私は(子安美知子先生)ミヒャエルとの出会いを果たした。ミヒャエ
ル エンデとシュタイナーがテーマで七時間の対談が実現した。その後、「エンデと
語る」として、出版された。この時期から、急速に親しくなり、「エドガー エンデ
展」を日本に持っていけないだろうかと、ミヒャエルから相談されていた。1989 年
に日本のエンデ展が実現した。
当時日本では、エドガー エンデは無名だったので、息子のミヒャエルの名前を借りながら、「絵と文学」の個展を開くことと
なった。そこにはシュタイナー思想が欠かせなかった。
1989 年 3 月その個展に、信州信濃町から役場の人(山縣さん)が、訪ねてきた。「ミヒャエル エンデ氏にお願いがあ
ります」「分かりました。東京で会いましょう」東京のホテルロビーで再度お目にかかり、「信州信濃町でふるさと創生事業の
一環で(竹下内閣時代)童話館を作りたい。信州には民話がいっぱいあるので、
エンデ作品もぜひ置かせてほしい」という訴えだった。
エンデは「あの人たちはいい人だね。協力するよ。ミュンヘンにあるものをどんどん、
送るよ。死ぬまで手元にあるものを全部送るよ。」と快く承諾してくれた。1992 年
に黒姫童話館が出来るまで、周りの環境は大変きびしいものであったが、信州の
人々、黒姫の人々が、エンデの本質にあるものを見抜いていたからこそ、実現でき
たものだと思う。エンデは設立年に黒姫館を「お忍び」で訪ねられた。
この黒姫に収められているエンデ資料は必然性のあるものであった思う。エンデの贈り物であった。
9
次に、「モモ」はいつ読んだらいいのか?というお話がありました。
「モモ」はかなりの大人が引き込まれるのが、時間どろぼうのところである。これは、社会批判の要素が多分にある。
日本でもいろんな学校で課題図書としてあげられている。そして、作文を書かせている。
しかし、昨日講義でお話したように、人間の三つの時期、第一の時期「周りの世界は善である」、第二の時期「周りの世
界は美である」、第三の時期「周りの世界は真である」ことを早産させることなく、知的で、意志力、行動力が伴って、初め
て自由となる。その時期を考えながら、「モモ」という作品を読んだ方が良い。
批判力をつける前に、対象とする「愛する力」が豊に育てられることが大事である。シュタイナー教育は、緻密に繊細に
組み立てられているので、第三の時期になってからが、愛の力が着き、初めて批判ができるようになると思う。エンデは子ど
もの向きの絵本もあるので、それを読みましょう。しかし、お母さんが読んでいる「モモ」本を読んだとしても、よかった、面白
かった、という程度にとどめ、決して大人の目線を押しつけてはいけない。
エンデとシュタイナーの関係性についても子安美知子先生からお話がありました。
エンデは一時期にはシュタイナー学校に通っていたことはあるが、それを抜きに考えて下さいと、ご説明がありました。
エンデには、シュタイナー思想のアントロポゾフィーをすでに持ち合わせていて、「子どもが生まれてくるときはお父さん、お母さ
んを選んで生まれてくる」という精神的な世界から、その価値を理解していたようです。お父さんの影響を受けているのでし
ょう。お父さんの絵は未来を予見しているような絵であったと言われています。
(その後、お父さんとお母さんの出会いのお話がありました)
まだ、勉強不足ですが、シュタイナーの宇宙観、死生観が仏教思想とどのように違っているか、共通点があるのか、理解を
深めたいと思いました。ありがとうございました。
第2回勉強会参加者
■
小布施町立図書館
まちとしょテラソ 館長 花井裕一郎氏講話
小布施町にバスで移動し、町立図書館の花井館長から 30 分ほどでしたが、お話をしていただきました。
図書館経営で一番大切にしているのは理念です。「交流と創造を楽しむ」ことをテーマにしています。情報を収集と公開と
考え、図書館を外に出していこうと考えています。たとえば、イベント展開をするときに、古本市(近くのお寺とジョイント)
や町中図書館にする構想も持っています。テクノロジーと歩き回って得た情報を繋いでいきたいと考えています。
また、キャラクター「テラソくん」を育て、広告宣伝の効果もさることながら、人と人をつなぐ潤滑剤になってほしいという願い
があります。また、図書館が持っているパワーとサービスを感じてもらう為に、「連想検索サービス」を始めました。町中の情
報を集め、新刊だけでなく、古くからもっている情報を付けて、新しい情報のサービスに向けて経営しています。
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