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15.公共政策学連携研究部
東京大学公共政策学連携研究部 15.公共政策学連携研究部 Ⅰ 公 共 政 策 学 連 携 研 究 部 の 研 究 目 的 と 特 徴 ・ 15− 2 Ⅱ 分析項目ごとの水準の判断 Ⅲ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 15− 3 分析項目Ⅰ 研究活動の状況 ・ ・ ・ ・ ・ 15− 3 分析項目Ⅱ 研究成果の状況 ・ ・ ・ ・ ・ 15− 7 質の向上度の判断 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 15− 8 −151− 東京大学公共政策学連携研究部 Ⅰ 公共政策学連携研究部の研究目的と特徴 (公共政策学連携研究部の研究目的と特徴) 公共政策学連携研究部は、公共政策に関するエキスパートを育成することを目的とする 専門職大学院としての公共政策学教育部を研究面においてサポートするための組織である。 東京大学では、政策に関する専門職大学院を設立するに際し、公共政策に関連する大学院 である法学政治学研究科と経済学研究科の高い国際的評価を受けている教授陣ができるだ け多く教育を担当できるように、両研究科から独立した組織を作るのではなく、両研究科 が 連 携 し て 設 立 す る 教 育 組 織 で あ る「 公 共 政 策 学 教 育 部 」と し て こ の 大 学 院 を 設 置 し た( こ の 組 織 は 、制 度 的 に は 、学 校 教 育 法 第 66 条 の た だ し 書 に 基 づ く「 研 究 科 以 外 の 教 育 研 究 上 の 基 本 と な る 組 織 」に 該 当 す る )。高 度 の 専 門 教 育 は 最 先 端 の 研 究 と 切 り 離 せ な い た め 、両 研究科と公共政策学教育部の連携の要として、同時に「公共政策学連携研究部」という研 究組織が設置されている。本研究部に所属する専任教員の多くは、法学政治学研究科及び 経済学研究科にも両属しているため、その研究活動はこれらの研究科を基盤として行われ る。公共政策学連携研究部に所属する教員で、法学政治学研究科ないし経済学研究科にも 所属している教員については、各々の研究科においてその研究活動と業績に対する評価を 行っている。 以上のような本研究部の性格のため、寄付講座や共同研究などの外部資金による研究組 織を中心として、具体的な政策課題を抱えた実践的な領域を対象として公共政策の研究を 推 進 し て い る 部 門 が 、こ こ で の 評 価 の 主 要 な 対 象 と な る 。本 研 究 部 で は 、行 政 学 、政 治 学 、 法学、経済学、工学など様々な分野から分野横断的に専門家を集め、先進的な政策課題に ついて、その問題の整理・構造化を行うとともに、実現可能な社会における政策の選択を 提示し、その論議に貢献することを目的としている。具体的には「エネルギー・地球環境 の 持 続 性 確 保 と 公 共 政 策 」、「 リ ス ク マ ネ ジ メ ン ト と 公 共 政 策 」、「 資 本 市 場 」 の 3 つ の 寄 付 講座と「国際交通システム」の共同研究部門を設け、これらを母体として公共政策の発展 的な分野に関して実務への応用を見すえた研究活動を遂行している。以下では、これらの 寄付講座や共同研究を中心として本研究部の研究に関する評価について述べる。 [想定する関係者とその期待] 本研究部の主たる関係者は、研究の成果が政策立案の情報として還元される中央省庁や 地方自治体といった主体、研究資源を提供している企業等の寄付者及び関係学界となる。 現代社会が直面する環境、リスク、資本市場、国際交通といった諸問題に対してその構造 を描き、実践的な解決案を提示することが期待されている。 −152− 東京大学公共政策学連携研究部 分析項目Ⅰ Ⅱ 分析項目ごとの水準の判断 分析項目Ⅰ 研究活動の状況 (1 )観 点 ご と の 分 析 観点 研究活動の実施状況 (観 点 に 係 る 状 況 ) 本研究部では、現代社会が抱える主要な政策課題に対して実践的な解決案を与えるため の 研 究 を 行 う た め に 、外 部 資 金 の 調 達 を 通 じ て 、そ の 研 究 を 活 性 化 し て き た 。具 体 的 に は 、 毎年平均すると1億円近くの外部資金の調達を通じて、3つの寄付講座と1つの共同研究 部門を中心として、各分野において実務の上でも、また研究の上でも実績のある研究者を 特 任 教 員 と し て 全 体 で 10 名 迎 え( 資 料 15− 1:研 究 プ ロ ジ ェ ク ト の 特 任 教 員 )、以 下 の よ うな研究活動を実施してきた。 ( 資 料 15− 1 : 研 究 プ ロ ジ ェ ク ト の 特 任 教 員 ) 教員名 教員名 岩村 敬 国際交通 【慶応義塾大学】 松浦 正浩 エネルギー・地球環境 齊藤 誠 リスクマネジメント【一橋大学】 諸葛 宗男 エネルギー・地球環境 勝弘 国際交通 鈴木 達治郎 エネルギー・地球環境 高岡 慎 リスクマネジメント 田中 均 リスクマネジメント 山口 吉田 松尾 雄一朗 直彦 国際交通 【政策研究大学院大学】 資 本 市 場 ( 2007 年 度 ) ( a) 国 際 交 通 シ ス テ ム に 関 す る 研 究 本 研 究 部 門 に お い て は 、第 1 に 、国 際 交 通 シ ス テ ム に 関 す る 研 究 を 行 っ て い る 。国 際 交通システムに関する共同研究部門では、国際交通システムに関する知識創造を図り、 新 し い 公 共 政 策 の 形 成 を 促 す 役 割 を 担 う と と も に 、東 京 大 学 公 共 政 策 大 学 院 に お け る 研 究 活 動 の 展 開 、同 大 学 院 学 生 の 指 導・教 育 に 資 す る こ と を 目 的 と す る 研 究 プ ロ ジ ェ ク ト を展開してきた。 また、本共同研究部門では、国際交通システムに関する制度の調査、経済分析、制 度 見 直 し を 考 慮 し た イ ン フ ラ の あ り 方 等 に 関 す る 研 究 を 推 進 し 、3 回 の 国 際 的 な シ ン ポ ジ ウ ム 及 び セ ミ ナ ー 、7 回 の ワ ー ク シ ョ ッ プ 等 を 開 催 し 、世 界 に わ た る 学 者 及 び 実 務 者 が 集 う 国 際 的 な フ ォ ー ラ ム 機 能 を 担 っ て き た ( 資 料 15− 2 : 国 際 交 通 シ ス テ ム の ワ ー ク シ ョ ッ プ )。 さらに、国際交通政策ディスカッション・ペーパー・シリーズの刊行、ウェブサイ トの設営等により、知識創造・情報発信機能の向上にも取り組んできた。 ( 資 料 15− 2 : 国 際 交 通 シ ス テ ム の ワ ー ク シ ョ ッ プ ) 回 日時 1 2 講師 テーマ 2006 年 細江宣裕(運輸政策研究所・政策研 「内航貨物輸送における規制の影響 2/10 究大学院大学 分析」 4/13 ブルッキングス研究所シニア・フェ 「米国航空市場における企業退出の ロー 経済厚生評価」 クリフォード・ウィンストン 氏 (Dr. Clifford Winston, Senior −153− (Competition and Welfare in the US 東京大学公共政策学連携研究部 分析項目Ⅰ Fellow, The Brookings Airline Industry) Institution) 3 6/2 Anming Zhang (University of "Sequential Peak-load Pricing in a British Columbia) Vertical Setting: the Case of Airports and Airlines" 4 9/15 山 口 勝 弘 (公 共 政 策 大 学 院 特 任 教 授 ) "International Trade and Air Cargo: An Analysis of US Export and Air Transport Policy" "Dynamic and Static Productivity 吉 田 雄 一 朗 (政 策 研 究 大 学 院 大 学 助 教 授) Measurement of Japanese Airlines: Can They Really Compete through the Liberalization in the Asian Aviation Industry?" 5 10/17 Anming Zhang, Professor, "Effects of Gateway Congestion University of British Columbia Pricing on Optimal Highway Tolls" 泉 「航空交通システムの将来」 耕二, 宇宙航空研究開発機構 (JAXA) 6 10/18 Jürgen Müller, Prof. Dr., The Berlin School of Economics “ Privatization, restructuring and its effect on performance: a comparison between the German and British airport sector” 7 11/16 山 口 勝 弘 (公 共 政 策 大 学 院 特 任 教 授) Funding System and Road Transport: International Comparative Analysis ( b) エ ネ ル ギ ー ・ 地 球 環 境 の 持 続 性 確 保 と 公 共 政 策 に 関 す る 研 究 本寄付講座は、日本におけるエネルギー・環境政策にかかわる技術的制度的課 題 の 構 造 化 を 幅 広 く 行 っ た 上 で 、中・ 長 期 的( ∼ 2030 年 )な 日 本 の エ ネ ル ギ ー 環 境関連技術(省エネ、原子力、再生可能エネルギー等)とその導入・普及のため の 政 策 オ プ シ ョ ン ( 規 制 、 R&D 政 策 、 税 制 等 ) を 整 理 し 、 社 会 的 影 響 ・ 経 済 性 ・ 安全保障・実現可能性・プロセスの正当性といった多様な評価軸で総合評価を試 み、具体的政策提言に結びつけてきた。また、課題の構造化、政策オプションの 整理・評価に際しては、大学の場に社会の多様なステークホルダーにも参加して もらい、公式、非公式に意見交換を行う場を設定し、幅広い意見を反映した政策 形 成 に 貢 献 す る こ と を 目 的 と し て 研 究 活 動 を 行 っ て き た( 資 料 15− 3:政 策 フ ォ ーラムの概要)。 ( 資 料 15− 3 : 政 策 フ ォ ー ラ ム の 概 要 ) 日時 1 2006/7/14 2 9/22 講師及びテーマ 城山教授、鈴木客員教授、諸葛特任教授「エネルギー・地球環境」 外務省経済局経済安全保障課長 宮川学様 「サンクトペテルブルグ・サミットでの『エネルギー安全保障』」 3 10/27 東京電力(株) 企画部調査グループマネージャー 見学信一郎氏「新エ ネルギー(再生可能エネルギー)の現状と課題」 ( 株 ) 東 芝 原 子 力 事 業 部 技 監 飯 田 式 彦 氏「 有 限 な ウ ラ ン 資 源 、 ウ ラ ン 資源の飛躍的な活用、米国原子力政策と内在する課題」 4 11/17 ( 株 )日 立 製 作 所 ト ー タ ル ソ リ ュ ー シ ョ ン 事 業 部 プ ロ ジ ェ ク ト 総 括 本 部 −154− 東京大学公共政策学連携研究部 分析項目Ⅰ 吉田美樹氏「地球温暖化対策と省エネルギー技術の海外展開」 三菱電機(株) 環境推進本部主管技師長 太田完治氏 「三菱電機地球温暖化対策を通じて温暖化公共政策を考える」 5 12/8 東京大学大学院工学系研究科 技術経営戦略学専攻茂木源人准教授 「石油ピーク論」 6 2007/1/26 富士ゼロックス(株) CSR部環境経営管理グループ 鈴木重宏氏 「富士ゼロックス(株)の地球温暖化防止活動 キヤノン(株) インクジェット事業本部インクジェット市場戦略部 竹之内雅典氏「インクジェット事業における製品環境対策」 7 2/23 松下電器産業(株) 東京支社渉外グループ部長 田中章喜氏 「家電機器における環境・エネルギーに関する課題」 新 日 本 石 油( 株 ) 研 究 開 発 本 部 中 央 技 術 研 究 所 燃 料 研 究 所 プ ロ セ ス グ ル ープシニアスタッフ 8 3/14 9 4/20 田中祐一氏 「石油業界からの話題提供」 (財)日本エネルギー経済研究所アジア太平洋エネルギー研究センター 研究部副部長 角和昌弘氏 「シナリオメーキングについて」 1)野村證券(株)金融経済研究所経済調査部 シニアエコノミスト 大越龍文氏 「野村證券のエネルギー問題・環境問題との関わり」 2)石川島播磨重工業(株)原子力事業部原燃・環境システム部 大 野 勇 氏 「 核 燃 料 サ イ ク ル と IHI の 取 組 み 」 10 5/25 マ イ ケ ル D ・ ロ ジ ャ ー ス 氏 ‘ Risk Management under Uncertainty Climate Change and the EU’ 11 6/22 龍谷大学国際文化学院教授 松井賢一氏 「国際エネルギー・レジーム −エネルギー・地球温暖化問題と知識−」 12 7/20 シ ン ガ ポ ー ル 国 立 大 学 准 教 授 T.S.ゴ ピ ・ レ テ ィ ナ ラ ジ ュ 氏 13 9/21 松浦正浩客員講師 14 2007/12/13 城山英明教授/鈴木達治郎客員教授「エネルギー技術の社会意思決定」 15 1/18 経 済 産 業 省 大 臣 官 房 審 議 官 ( エ ネ ル ギ ー ・環 境 担 当 ) ‘ Asian Energy Security’ 「課題の構造化最終報告」 本部和彦氏 「気候変動枠組条約交渉の動向について」 16 2/29 東大大学院工学系研究科原子力国際専攻 班目春樹教授 「原子力法制研究について」 17 4/11 日本カーボンファイナンス (株)田中弘社長 「排出権ビジネスの現況と課題」 ( c) リ ス ク マ ネ ジ メ ン ト と 公 共 政 策 に 関 す る 研 究 大規模自然災害リスクや環境リスク、株主代表訴訟あるいは投資家に対する情報開 示 責 任 等 、企 業 を 取 り 巻 く リ ス ク が 多 様 化・巨 大 化・複 雑 化 し て い る 一 方 で 、企 業 価 値 向上のためには事業に伴う不確実性に適切かつ積極的に対応する姿勢が求められてお り 、リ ス ク マ ネ ジ メ ン ト の 重 要 性 は 、民 間 部 門 と 公 共 部 門 の 双 方 で さ ら に 高 ま っ て い く も の と 考 え ら れ る 。し か し な が ら 我 が 国 で は 、リ ス ク マ ネ ジ メ ン ト 手 法 が 十 分 に 浸 透 し て い る と は 言 い 難 く 、あ る い は リ ス ク フ ァ イ ナ ン ス の 分 野 で も 損 害 保 険 に 代 わ る 新 た な 手 法 が 開 発・利 用 さ れ て き て い る が 、十 分 に 普 及 し て い る と は い え な い 現 状 で あ る 。こ の よ う な 状 況 を 踏 ま え 、産 学 が 協 同 で 、新 た な リ ス ク マ ネ ジ メ ン ト 手 法 の 開 発 や リ ス ク マ ネ ジ メ ン ト の 実 施 方 法 に 関 す る 研 究 を 行 っ て い る ( 資 料 28− 4 : リ ス ク マ ネ ジ メ ン ト 公 開 フ ォ ー ラ ム )。 −155− 東京大学公共政策学連携研究部 分析項目Ⅰ ( 資 料 28− 4 : リ ス ク マ ネ ジ メ ン ト 公 開 フ ォ ー ラ ム ) 日時 1 2007/2/17 講演内容 大下政司 経済産業省経済産業政策局経済産業政策課長 「新経済成長戦略について∼人口減少下での新しい成長∼」 齊藤 誠 一橋大学教授・東京大学客員教授 「民間のリスクマネジメントをサポートする公的な枠組みについて」 2 2008/2/29 目 黒 公 郎( 東 京 大 学 生 産 技 術 研 究 所 教 授 都 市 基 盤 安 全 工 学 国 際 研 究 セ ン タ ー 長 ) 「地震リスクに対する都市の脆弱化と災害対策」 斉藤誠(一橋大学大学院経済学研究科教授 東京大学公共政策大学院客員教授) 「土壌と地盤のリスクと不動産取引:東京都の事例」 ( d) 資 本 市 場 と 公 共 政 策 に 関 す る 研 究 国 際 化 の 進 展 等 で 急 速 な 展 開 を 遂 げ て い る 資 本 市 場 に つ い て は 、金 融 商 品 取 引 法 等 の 新 し い 法 制 度 が 形 成 さ れ 、そ の 健 全 な 発 展 が 求 め ら れ て い る 。本 研 究 で は 、こ の 規 制 が 資 本 市 場 に 与 え る 影 響 を 分 析 す る と と も に 、望 ま し い 資 本 市 場 の 形 成 に 向 け た 枠 組 み 等 を 考 察 し て き た 。 2007 年 の 後 期 か ら 活 動 を 始 め た た め 、 現 在 で は ま だ 成 果 を 提 示 し て はいない。 観点 大 学 共 同 利 用 機 関 、大 学 の 共 同 利 用 機 能 を 有 す る 附 置 研 究 所 及 び 研 究 施 設 においては、共同利用・共同研究の実施状況 (観 点 に 係 る 状 況 ) 該当しない。 (2 )分 析 項 目 の 水 準 及 び そ の 判 断 理 由 (水 準 ) 期 待 さ れ る 水 準 を 上 回 る 。 (判 断 理 由 ) 本研究部では、外部資金を積極的に獲得し、これを軸として公共政策教育部との連携を 図りながら、公共政策の実践的な領域における研究活動を推進してきた。専任の教授や准 教 授 等 が 12 名 と 小 さ な 規 模 に と ど ま る 公 共 政 策 大 学 院 の 母 体 の 規 模 か ら す る と 、3 つ の 寄 付講座と一つの共同研究という外部資金の導入による研究部門の設置は、極めて大きな比 重を占め、実務志向の研究資源を大きく拡大させることになった。そして、社会の要請に 合致する形で研究資源を拡大し、その効果的な利用を通じて実務的な研究を行い、国土交 通省航空局等の政策形成に寄与し、社会にフィードバックするという新しい政策研究の形 を提示してきた。 −156− 東京大学公共政策学連携研究部 分析項目Ⅱ 分析項目Ⅱ 研究成果の状況 (1 )観 点 ご と の 分 析 観 点 研 究 成 果 の 状 況 (大 学 共 同 利 用 機 関 、 大 学 の 全 国 共 同 利 用 機 能 を 有 す る 附 置 研 究 所 及 び 研 究 施 設 に お い て は 、共 同 利 用・共 同 研 究 の 成 果 の 状 況 を 含 めること。) (観 点 に 係 る 状 況 ) 3つの寄付講座を基盤とした研究活動を通じて、多くの研究成果を公表すると共に、フ ォーラムやシンポジウムの開催を通じて、研究者及び関連する実務家の間での意見交換の 場を提供してきた。 (a)公表された研究成果 国 際 交 通 に 関 す る 研 究 に お い て は 、 そ の 成 果 を Transportation Research、「 運 輸 と 経 済」等の専門誌に3本の論文として公表した。 エ ネ ル ギ ー ・ 地 球 環 境 に 関 す る 研 究 で は 、「 エ ネ ル ギ ー 技 術 の 社 会 意 志 決 定 」 と い う 著作を公刊する他、専門誌に論文を公表した。 リスクマネジメントに関する研究についても同様に、専門誌に論文を2本公表すると 共 に 、 一 般 の 市 民 向 け に 、 齋 藤 誠 「 企 業 と 社 会 を 取 り 持 つ リ ス ク マ ネ ジ メ ン ト 」(『 書 斎 の 窓 』( 有 斐 閣 発 行 ) に 掲 載 を 続 け て 、 そ の 成 果 を 社 会 に 対 し て 還 元 し て い る 。 (b)フォーラム及びシンポジウムの開催 国 際 交 通 に 関 す る 研 究 に 関 し て は 、『 グ ロ ー バ リ ゼ ー シ ョ ン 、 地 域 主 義 と 国 際 交 通 シ ス テ ム − 新 し い 課 題 と 将 来 展 望 』、『 北 東 ア ジ ア に お け る 航 空 市 場 の 自 由 化 と 地 域 協 力 』、 及 び『 交 通 混 雑 を め ぐ る 政 策 展 開 ― 空 港 に お け る 発 着 枠 配 分 、料 金 政 策 、規 制 の あ り 方 』 をテーマに3回のセミナーを開催した。これらのセミナー及び研究を通じた成果は、国 土交通省航空局のアジアに対する 航 空 網 の 政策 立 案 の 基 礎 的 な デ ー タ と して 用 い ら れ 、 実務へと影響を及ぼしている。 エ ネ ル ギ ー・地 球 環 境 に 関 す る 研 究 に 関 し て は 、 「 エ ネ ル ギ ー・地 球 環 境 の 持 続 性 確 保 と 公 共 政 策 」及 び「 エ ネ ル ギ ー・地 球 環 境 技 術 政 策 の 新 機 軸 そ し て 公 共 政 策 へ 」と い う テーマで2度の公開フォーラムを開催した。また、様々な現場の関係者や多様な分野の 専門家を招いて、エネルギー・環境技術政策の諸課題についての現状認識や意見交換の 場 と し て 原 則 1 か 月 に 1 度 の 頻 度 で 全 14 回 の 政 策 フ ォ ー ラ ム を 開 催 し て き た 。こ れ ら の 活動と発信が社会に広く認められたため、本研究部門の鈴木達治郎特任教授は、原子力 政策において世界的にも権威のあるパヴクウッシュ会議の委員として選出され、活動を 続 け て い る 。 ま た 、 NHK ニ ュ ー ス 等 に 出 演 (2008 年 2 月 19 日 、 23 日 )し 、 北 朝 鮮 の 核 施 設無能力化や原子力発電の世界動向について解説を加え、一般社会に対する成果の還元 を試みた。 ま た 、 リ ス ク マ ネ ジ メ ン ト に 関 す る 研 究 に 関 し て は 、「 リ ス ク マ ネ ジ メ ン ト と 公 共 政 策」のテーマで2度の公開セミナーを開催し、多くの実務家を含む参加者を得、その成 果を還元し、課題の共有と解決策の提言を行った。 以上のように、各政策分野における世界的な研究者と実務家とを迎えて開催されたこれ らのセミナーやフォーラムによって、広く研究成果を交換するとともに、研究上のまた実 務上の課題を共有し、広く社会に向けて発信してきた。 (2 )分 析 項 目 の 水 準 及 び そ の 判 断 理 由 (水 準 ) 期 待 さ れ る 水 準 を 上 回 る 。 (判 断 理 由 ) 著作の公刊や専門誌に論文を公表することを通じて、各府省の実際の政策形成に影響を 与えるような研究成果の還元を行った。また、定期的なフォーラムの開催及び代表的な研 究者を集結させ、実務との交流を図るセミナーの開催を通じて、意見交換とともに国際的 な発信を行ってきた。 −157− 東京大学公共政策学連携研究部 Ⅲ 質の向上度の判断 ① 事 例 1 「 寄 付 講 座 の 設 置 に よ る 研 究 ス タ ッ フ の 充 実 」( 分 析 項 目 Ⅰ ) (質 の 向 上 が あ っ た と 判 断 す る 取 組 ) 法人発足時には寄付講座等はひとつも存在せず、社会の政策的課題に応える研究リソー スが存在していなかったが、4年間の間に3つの寄付講座と1つの共同研究部門の設置を 通じて、実務的な志向を持つ研究スタッフを充実し、結集することを可能にした。国際交 通、リスクマネジメント、エネルギーや環境に関わる科学技術と公共政策等の先端的な課 題 に つ い て 、 行 政 学 、 政 治 学 、 法 学 、 経 済 学 、 工 学 な ど 様 々 な 分 野 か ら 分 野 横 断 的 に 10 名の専門家を集め、社会における政策選択の論議に貢献できる研究組織を外部資金の導入 を通じて作り上げることを可能にしてきた。 ② 事 例 2 「 フ ォ ー ラ ム の 開 催 を 通 じ た 実 務 と の 交 流 」( 分 析 項 目 Ⅱ ) (質 の 向 上 が あ っ た と 判 断 す る 取 組 ) 国際交通システム及びエネルギー・地球環境の持続性確保と公共政策に関するフォーラ ムを頻繁に開催し、研究者と実務家とを取り結ぶ場を積極的に提供してきた。大学の場に 社会の多様なステークホルダーにも参加してもらい、公式、非公式に意見交換を行う場を 設定し、幅広い意見を反映した政策形成へと貢献してきた。 ③ 事 例 3 「 セ ミ ナ ー 等 の 開 催 に よ る 国 際 的 な 発 信 」( 分 析 項 目 Ⅱ ) (質 の 向 上 が あ っ た と 判 断 す る 取 組 ) 専門誌への研究成果の掲載に加えて、世界各国から代表的な研究者を招き、シンポジウ ムの開催を通じて、政策提言を行うとともに、世界航空学会や日中航空対話協議などの4 度の国際会議に参加し、東アジアの航空政策やエネルギー及び環境政策等について、国際 的にその研究成果を発信してきた。 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