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大分県果樹農業振興計画書

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大分県果樹農業振興計画書
目 標 年 度
平 成 32年 度
大分県果樹農業振興計画書
平成23年3月
大
分
県
目
次
1.大分県果樹農業の振興に関する方針
(1)大分県の気候と地勢
(2)大分県の果樹農業の現状
(3)果樹農業振興に関する基本的な考え方
(4)果樹の種類別の振興方針
2.果樹の栽培面積その他果実の生産の目標
3.その区域の自然的経済的条件に応ずる近代的な果樹園経営の指標
(1)栽培に適する自然的条件
(2)県内各地域の自然的条件
(3)近代的な果樹園経営の指標
(ア) 目標とすべき10a当たりの生産量、労働時間及び機械の適正利用規模
(イ) 効率的かつ安定的な果樹園経営の経営類型
4.土地改良その他生産基盤の整備に関する事項
(1) 果樹園の土地基盤整備方針
(2) その他樹園地の基盤整備や流動化に関する事項
5.果実の集荷、貯蔵又は販売の共同化その他果実の流通の合理化に関する事項
(1)アジアマーケットでのブランド確立を目指した輸出の拡大
(2)果実の集出荷体制及び施設の整備方針
(ア) 集出荷体制及び施設の整備方針
(イ) 選果施設の整備
(3) 出荷規格の改善等の方針
1頁
2頁
2頁
4頁
14頁
15頁
16頁
17頁
18頁
20頁
20頁
21頁
21頁
21頁
22頁
6.果実加工の合理化に関する事項
(1) 果実加工に関する基本的方針
(2) 果実加工製品の生産
23頁
23頁
7.広域濃密生産団地形成に関する方針
(1) 広域濃密生産団地形成に関する基本的方針
(2)広域濃密生産団地の概要
24頁
24頁
8.その他必要な事項
(1)需要拡大の取り組み
(2)食の安全と消費者の信頼の確保
26頁
26頁
1.大分県果樹農業の振興に関する方針
(1)大分県の気候と地勢
大分県は九州北東部に位
置して、北西部を福岡県、
西部を熊本県、南西部を宮
崎県、東部は、豊後水道を
挟んで、愛媛県、高知県と
接しています。また、英彦
山、両子山、由布岳、久住
山、祖母山、傾山などの山
地を抱えています。
大分県内の果樹産業は、
このような多様な自然環境
を活かして、海岸部、平野
部、中山間地、山間地、高
冷地などそれぞれの自然環
境に適した品目や品種、作
型を選択して、多様で豊か
な果樹農業を展開していま
す。
総面積
耕地面積
樹園地面積
総人口
農業就業人口
大分地方気象台HPより引用
大分県
日本内での占有割合
九州内での占有割合
6,339平方キロメートル
1.7%
15.0%
58,500ha
1.3%
10.4%
5,040ha
1.6%
7.7%
1,211,042人
0.9%
9.1%
45,014人
1.7%
10.0%
(統計データ:第56次大分農林水産統計年報)
大分県の年間降水量は中部や北部の
沿岸部で少なく、西部山岳地帯から山
沿い及び県南東部で多くなっています。
日降水量が1mm以上の日数は、山沿い
地方で多く、沿岸部で少なくなってい
ます。
北部は瀬戸内海気候区に属しますが、
冬は北九州方面や関門海峡からの季節
風の影響で天気が悪く、曇りの天気が
多くなります。
中部は冬の季節風時には県北西部の山
地の影響で北部・西部に比べ天気がよ
くなります。
西部は内陸地にあるため夏は雷雨が多
くなります。また秋から初冬に発生す
る日田や湯布院の盆地霧は有名です。
大分地方気象台HPより引用
南部は県内でもっとも温暖多雨の地域
で夏の大雨と冬の晴天に特色があります。(本文:大分地方気象台HPより引用)
-1-
(2)大分県の果樹農業の現状
平成20年産の果樹栽培面積は4,563ヘクタール、果樹産出額は146億円で、全
国第15位、本県農業産出額の11%を占めています。
品目ごとに見ると、温州みかんの栽培面積1,000ha(全国第15位)、ハウスみ
かんの結果樹面積72ha(全国第3位)、なしの栽培面積406ha(全国第12位)、
ぶどうの栽培面積352ha(全国第13位)、と1つの品目に偏ることなく、海岸部か
ら山間地までの多様な自然環境をいかした、常緑果樹から落葉果樹までの幅広い、果樹農
業を展開させています。
但し、大分県の果樹農業は、担い手農家数の減少と高齢化により、過去10年間(平成
10年~20年)で、栽培面積が2,127ヘクタール減少(6,690ヘクタール→4,
563ヘクタール)しています。そのなかでも、温州みかんが最も大きく890ヘクター
ル減少しています。
(3)果樹農業振興に関する基本的な考え方
大分県の果樹農業が担い手の減少と高齢化により厳しい状況にあるという認識の下、今
後の10年間(平成32年まで)についても、栽培面積、生産量ともに減少することが予
想されるなかにあって、「マーケット起点の商品(もの)づくり」と「力強い経営体の確
保・育成」を基本施策として、次の4項目について、重点的に取り組みます。
① 消費者ニーズに対応した果樹生産の推進
・各産地ともに、主要品種の高樹齢化が進行し、収量、品
質ともに低下することが予想されるので、計画的な改植が
必要で、優良品種(系統)や大分県オリジナル品種への新
植、改植を進めます。
・ハウスなどの栽培施設やマルチ、灌水施設などの生産基
盤の整備を進めます。
・完熟袋かけ栽培などの高品質果実生産の栽培技術の開発
と普及を図ります。
温州みかんの完熟袋かけ
② 果樹農業者の経営安定に係る取組
・ナシなどの落葉果樹は、台風や遅霜などの気象災害に対して、強化棚や防霜ファンなど
の防災施設整備を進めます。
(参考)
農林業での台風(強風・潮害)対策(大分県庁HP)
http://www.pref.oita.jp/soshiki/15050/taihuu.html
・ハウスみかんなどの栽培施設は、バンドレスなどの省力化施設の整備を進めます。
◎取り組み状況(平成20年度)
作
目
項
目
なし
強化棚
なし
ハウスみかん
なしの強化棚
-2-
面積
整備率
135ha
33%
防霜ファン
54ha
13%
バンドレス
16ha
21%
・温暖化の影響と対策
県内にある農林水産研究
指導センター果樹グループ
では、県内3カ所の試験圃
場内で、継続的に果実の生
育状況を調査しており、温
暖化の影響についても、注
視していきます。
日焼け果の発生
(参考)
大分県農林水産研究指導センター果樹グループHP
http://www.coara.or.jp/~oitakan/
果樹グループHP
・ハウスみかんなどの施設栽培では、重油価格の高騰の
なか、コスト削減を図るため、補助暖房機材や保温効果
向上機材の導入などの重油価格高騰対策を進めていま
す。
・RPF( Refuse Paper & Plastic Fuel の略称:廃棄物
固形燃料)を燃料とした再生資源燃料加温機も導入され
ています。
(参考)
・施設園芸での重油価格高騰に対する省エネの取り組み
( 大 分 県 庁 H P )
http://www.pref.oita.jp/soshiki/15050/sisetuengei-syoene.html
・高齢化や後継者不足により、遊休化しているハウスな
どの栽培施設の再利用を推進します。
・樹園地の流動化や大規模集積により、新規就農者や他
産業からの大規模参入、担い手の規模拡大を推進します。
RPF加温機
③ 県産果実の輸出振興
・県内果実のなかでは、日田梨が積極的
に輸出に取り組んでいます。
・国内マーケットが停滞するなか、台湾、
上海、香港などのアジアマーケットの需
要に対応できる選果体制と生産体制の整
備を進めています。
日田梨選果場
④ 環境にやさしい果樹農業の推進
・消費者の安全・安心志向に対応するため、e-naおおい
た農産物認証制度などの減農薬・減化学肥料栽培を進めてい
ます。
・e-naおおいた農産物認証制度は、環境に負荷を与えず、
安心な農産物を提供するため、大分県が独自に創設した制度
です。化学肥料や化学合成農薬をこれまで一般的に使われて
きた量・回数(慣行基準)から削減して栽培した、大分県産
の農産物を認証する制度です。慣行基準から削減した割合に
応じて「3割減」、「5割減」、「有機」と 3 つの表示区分があ
ります。
(参考)
e-naおおいた農産物認証制度について(大分県庁HP)
http://www.pref.oita.jp/soshiki/15320/e-na-top.html
-3-
(4) 果樹の種類別の振興方針
温州みかん
【現 況】
・昭和40年代後半から減少が進み、全
盛期の1/10程度まで減少していま
す。
・主産地は、国東市、杵築市、津久見市
など沿岸地域などで、9月頃には極早生
種、11月頃には早生種、12月頃から
は普通種が出荷されます。
・杵築地域を中心に完熟袋かけ栽培など
の消費者ニーズに対応できる新たな取り
組みも始まっています。
【振興方針】
・生産基盤の整備、とくにマルチ栽培(マ
ルドリ方式)の導入支援により、高品質
果実の生産を推進します。
温州みかんの完熟袋かけ栽培
・完熟袋かけ栽培など、高品質果実生産技術の普及を支援します。
(ハウスみかん)
【現 況】
・栽培面積は佐賀県、愛知県に次ぐ全国第3位で、大分県を代表する果樹の1つとなって
います。
・主産地は、杵築市を中心に、日出町、国
東市、津久見市、佐伯市等で、4月から8
月頃まで出荷されます。
・重油価格高騰の影響により、品目転換や
栽培休止による遊休ハウスが発生していま
す。
・重油価格高騰対策として、重油消費量削
減による低コスト化対策に取り組んでいま
す。
新たな着花予測法の開発
ハウスみかん栽培
みかんの花
【振興方針】
・遊休化しているハウスの再利用による生産量の回復を進めます。
・効果的な省エネ施設・機材の普及によるハウスみかん農家のコスト低減を進めます。
・単収の向上と出荷時期の分散により、ハウスみかん農家の経営安定を支援します。
・新たな着花予測法の開発により、ハウスみかんの単収向上の取り組みを支援します。
-4-
(おおいた早生)
【現 況】
・県オリジナル品種で減酸に優れた極早生種
で、9月中旬からの出荷が可能です。
・新植が進み、生産量は増加しています。
・主産地は、杵築市、大分市、佐伯市、津久
見市などです。
・マルチ栽培等による高品質果実が「そよか」
ブランドで販売されています。
【振興方針】
・おおいた早生の品種特性を活かした栽培技
術の確立と普及を支援します。
おおいた早生の果実
その他かんきつ
(カボス)
【現 況】
・大分県特産の香酸柑橘で
す。4月からハウスものが
出荷されます。露地の最盛
期は9月で、貯蔵ものが3
月頃まで出荷されます。
・主産地は、臼杵市、竹田
市、豊後大野市、国東市等
です。
・近年、他産業からの企業
参入による大規模栽培が見られます。
・カボスのマスコットキャラクター「かぼたん」も消
カボスの果実
費宣伝に活躍しています。
【振興方針】
・県域出荷体制の確立を支援することにより、価格の安定を図ります。
・加工を前提とした栽培体系について検討します。
・果汁や果皮の機能性成分を利用した加工品の商品開発を支援します。
(ぽんかん)
【現 況】
・温暖な気候をいかし
て、海岸部を中心に盛ん
に栽培されています。
・栽培面積は、鹿児島県、
愛媛県、熊本県、高知県
についで、全国第5位の
産地で、全国の7%を占
めています。
・品種は、年内出荷が可
能な「太田ぽんかん」が
ぽんかん果実
中心です。出荷時期は1
2月から2月頃です。
・主産地は佐伯市、津久見市、大分市、杵築市など
です。
ぽんかんの園地
【振興方針】
・適地における地域特産果樹として、各種の取り組みを支援します。
-5-
(なつみかん)
【現 況】
・甘夏(川野夏だいだい)は大分県が発祥の地です。
1935年(昭和10年)に津久見市の果樹園でなつみ
かんの枝変わりとして発見されました。
・昭和40~50年代は盛んに栽培されていました。
・主産地は、大分市、津久見市、臼杵市、佐伯市など
で、3月から5月頃まで出荷されます。
【振興方針】
・適地における地域特産果樹として、各種の取り組み
を支援します。
甘夏の果実
(セミノール)
【現 況】
・昭和30年にアメリカ合衆国より導入されました。
柑橘類の少ない4月に出荷される貴重な柑橘です。
・栽培面積は、和歌山県、三重県に次ぐ全国第3位の
産地で、全国の24%を占めます。
・主産地は、津久見市など、3月から4月頃に出荷さ
れます。「サンクイーン」の商標で流通しています。
・退色防止のため、黒いサンテで覆って栽培します。
【振興方針】
・大分県の特産的な果樹として、栽培面積の拡大を進
めます。
・今後は、県北地域での栽培の可能性についても検討
をします。
(ゆ
セミノールの果実
ず)
【現 況】
・主産地は、日田市、宇佐
市などでしたが、他産業か
らの企業参入により新植が
進んでいます。
・栽培面積は、高知県、徳
島県、愛媛県、宮崎県につ
ぐ全国第5位の産地で、全
国の5%を占めます。
新植ゆず園地
・近年、全国的に知られる
ようになった調味料の「柚
子胡椒」は、大分県が発祥と言われています。
・7月から青玉が出荷され、黄玉は4月頃まで出荷さ
れます。
【振興方針】
・企業参入も含め、栽培面積の拡大を進めます。
・新植されている幼木の早期成園化を支援します。
・加工を前提とした栽培体系について検討します。
・果汁や果皮を利用した加工品の商品開発を支援します。
-6-
ゆず果実
(不知火)
【現 況】
・「デコポン」の商標が有名です。
・主産地は津久見市、佐伯市、臼杵市、杵築市など
です。
・ハウス栽培も盛んで、日本一早い11月から出荷
され始め、露地ものは、4月頃まで出荷されます。
【振興方針】
・大分県の中晩柑類の中心として、露地栽培、ハウ
ス栽培ともに、生産振興の取り組みを進めます。
・栽培技術の向上を支援し、生産安定と品質の向上
を支援します。
不知火の果実
(清
見)
【現 況】
・栽培面積は、愛媛県、和歌山県、熊本県に次ぐ全国第
5位の産地で、全国の5%を占めています。
・主産地は、津久見市などで、2月から4月頃に出荷さ
れます。
【振興方針】
・適地における地域特産果樹として、各種の取り組みを
支援します。
清見の果実
(天
草)
【現 況】
・栽培面積は、愛媛県、沖縄県、福岡県に次ぐ全国第
4位の産地で、全国の9%を占めています。
・主産地は、杵築市で、「美娘」の商標でハウスもの
を中心に11月から4月頃まで出荷されます。
【振興方針】
・適地における地域特産果樹として、各種の取り組み
を支援します。
天草の果実
(レモン)
【現 況】
・ 主産地は、佐伯市、杵築市などで、おもに9月から1
2月頃に出荷されます。
・佐伯市では、グリーン色の果皮色の特徴を活かして「マ
リンレモン」の愛称で、安心・安全に配慮した栽培に取
り組んでいます。杵築市では、ハウス栽培に取り組んで
います。
・品種構成は、古くからの樹はリスボン系ですが、近年
新植された樹ははユーレカ系となっています。
【振興方針】
・適地における地域特産果樹として、各種の取り組みを
マリンレモンの収穫果実
支援します。
・e-naおおいたなど安全・安心の取り組みを進めます。
-7-
ぶどう
【現 況】
・主産地は、宇佐市、日田市、中津市などです。
・品種構成は、巨峰(42%)、ピオーネ(26%)、
デラウエア(14%)です。
【振興方針】
・ハウス栽培などで低コスト化対策の取り組み
を進めます。
・ピオーネなどの黒色大粒系ぶどうの品質向上
対策(着色向上等)の普及に努めます。
・新品種シャインマスカットの導入を支援しま
す。
な
【現
シャインマスカット果房
し
況】
・主産地は、日田市、由布市、中津市などです。
・品種構成は豊水(29%)、新高(23%)、幸
水(13%)、二十世紀(7%)です。晩生梨の
新高、晩三吉に変わり、豊里、なつしずく、あ
きづきなどの新品種の導入が進んでいます。
・台風対策として、補強棚の導入が進んでいま
す。(H20 135ha 導入率33%)
【振興方針】
・晩霜害や干害、台風などの異常気象に対応で
きる生産基盤の整備を進めます。
・消費者ニーズに対応した多様な品種の導入を
進めます。
も
品種「あきづき」
も
【現 況】
・主産地は、中津市、豊後大野市などです。
・主要な品種は、大久保、川中島白桃、あかつ
き、砂子早生、日川白鳳などです。
・全国的にも、珍しいユスラウメを台木とした
わい化栽培が導入されています。
【振興方針】
・「高品質」をキーワードとした地域特産果樹と
して、各種の取り組みを支援します。
・栽培技術の向上を支援し、生産安定と品質の
向上を図ります。
もも果実
-8-
び
わ
【現 況】
・主産地は、大分市、佐伯市、国東市などです。
・主要な品種は、茂木、長崎早生などです。
・ハウス栽培も行われ、3月頃から出荷され、露
地ものは、5月から6月頃に出荷されます。
【振興方針】
・栽培技術の向上を支援し、生産安定と品質の向
上を図ります。
・適地における地域特産果樹として、各種の取り
組みを支援します。
か
「長崎早生」果実
き
【現 況】
・主産地は、大分市、中津市などです。
・主要な品種は、富有、次郎、刀根早生、川底、平核無な
どです。
・県内には、おべん柿やえぶくろ柿、佐伯無核など古くか
ら伝わる在来品種がたくさんあります。
【振興方針】
・地域特産果樹として、各種の取り組みを支援します。
・栽培技術の習得を支援し、生産安定と品質の向上を図り
ます。
かきの宣伝パンフ
く
り
【現 況】
・主産地は、豊後大野市、日田市などです。
・主要な品種は、筑波、丹沢、国見、銀寄などで、
8月から10月頃に出荷されます。
・昭和46年の1930haをピークに平成20
年度は543ha(28%)まで、減少していま
す。
【振興方針】
・地域特産果樹として、各種の取り組みを支援し
ます。
・栽培技術の向上を支援し、生産安定と品質の向
上を図ります。
-9-
くりの果実
う
め
【現 況】
・主産地は、日田市、国東市、
杵築市などです。
・主要な品種は、南高、鶯宿、
白加賀、竜峡小梅などです。
【振興方針】
・生産安定を図る取り組み、
とくに晩霜害の被害回避のた
めの防霜ファンなどの防災施
設の導入を進めます。
・栽培技術の向上を支援し、
生産安定と品質の向上を図り
ます。
うめ栽培園地
うめ果実
すもも
【現 況】
・主産地は、日田市、竹
田市などです。
・主要な品種は、大山早
生、大石早生、ソルダム
などで、6月から8月頃
まで出荷されます。
【振興方針】
・生産安定を図る取り組
すもも果実
すもも栽培園地
み、とくに晩霜害の被害
回避のための防霜ファン
などの防災施設の導入を進めます。
・栽培技術の向上を支援し、生産安定と品質の向上を図ります。
キウイフルーツ
【現 況】
・主産地は、国東市、大分市などです。
・品種は、ヘイワードがほとんどです。11月か
ら4月頃まで出荷されます。
【振興方針】
・高齢化に対応できる省力的栽培技術である溶液
受粉や一文字整枝などの技術普及を支援します。
キウイフルーツ栽培園地
- 10 -
いちじく
【現 況】
・主産地は、大分市、日
出町などです。
・ハウス栽培では桝井ド
ーフィン(品種名)が5
月頃から出荷が始まり、
露地栽培では蓬莱柿(品
種名)が7月頃から出荷
が始まります。
桝井ドーフィン果実
【振興方針】
・栽培技術の向上を支援
し、生産安定と品質の向上の取り組みを支援します。
ハウス栽培
ブルーベリー
【現 況】
・主産地は、九重町、由布市、玖珠町などで、平成10
年以降、面積拡大が進みました。6月頃から出荷が始ま
ります。
・西日本一の産地で、全国栽培面積の3%を占めます。
・e-naおおいたの認定取得の取り組みも始めていま
す。
【振興方針】
・加工品の開発、販路拡大の
取り組みを支援します。
・e-naおおいたなど安全
・安心の取り組みを進めます。
ブルーベリー新植
ブルーベリー果実
ぎんなん
【現 況】
・主産地は、豊後高
田市、日田市、九重
町などです。
・栽培面積は全国第
1位で26%を占め
ます。
・8月頃から出荷が
始まります。
ぎんなん果実
ぎんなんの収穫
【振興方針】
・栽培技術の向上を支援し、生産安定と品質の向上の取り組みを支援します。
・販路拡大や商品開発の取り組みを支援します。
- 11 -
オリーブ
【現 況】
・主産県は、香川県74h
a、岡山県10haです。
・国東半島で、新たな取り
組みとして、新植が始まっ
ています。
オリーブの果実
【振興方針】
・面積拡大の取り組みを進めます。
・栽培技術の習得を支援し、生産安定と品質の向上の
取り組みを支援します。
・販路拡大や商品開発の取り組みを支援します。
国東市のオリーブ園地
大分県オリジナル品種
【現 況】
・大分県では、他産地に対抗できる大分県オリジナルの品種の育成に努めています。
・梨のオリジナル品種「豊里」(♀「愛宕」×♂「新興」
)は、平成19年3月23日に
品種登録されました。10月の収穫から常温で12月まで、冷蔵で2月頃までの貯蔵が
可能であることから、クリスマス贈答用にとの期待を込め、「ホーリーナイト(聖夜)」
にかけて「豊里」と名付けられました。
・柑橘のオリジナル品種「大分果研4号」(♀「大津八号」×♂「天草」)は、平成21
年3月6日に品種登録されました。年内の出荷が可能です。愛称は「ゼリーオレンジ サ
ンセレブ」で、ゼリーのような食感が特徴です。
・今後も、柑橘のオリジナル品種「大分果研3号」(♀「アンコール」×♂「吉田ポンカ
ン」)、「大分果研7号」(♀大津八号×♂ありあけ)と続々大分県オリジナル品種が登場
する予定です。
県オリジナル品種
「ゼリーオレンジサンセレブ」
県オリジナル品種「大分果研7号」
- 12 -
県オリジナル品種「大分果研3号」
「豊里」栽培マニュアル
【振興方針】
・消費者ニーズに対応できる新品種と位置付けて、栽培面積の拡大を進めます。
- 13 -
2.果樹の栽培面積その他果実の生産の目標
うんしゅうみかん
ハウスみかん
生産数量(トン)
栽培面積(ha)
平成32年度
平成32年度
平成20年度
平成20年度
目標
目標
19,660
15,000
1,000
700
3,260
おおいた早生
政
令
指
定
品
目
政
令
指
定
品
目
以
外
そ
の
他
か
ん
き
つ
3500
77
60
1,300
53
65
カボス
3,764
4,000
529
500
ぽんかん
2,584
2,100
134
100
なつみかん
1,323
1,200
113
100
セミノール
927
1,700
38
60
ゆず
734
1,500
119
180
不知火
619
800
76
80
清見
453
300
45
30
天草
94
100
4
4
レモン
20
100
5
10
その他
1,644
650
157
56
12,162
12,350
1,220
1,120
2,920
3,000
352
320
1,000
93
90
600
1
50
11,000
406
400
あきづき
900
15
30
豊里
850
12
25
なつしずく
600
8
20
計
ぶどう
ピオーネ
シャインマスカット
なし
10,400
もも
102
100
34
25
びわ
275
300
67
60
かき
1,275
1,000
185
145
くり
549
500
543
430
うめ
1,443
1,500
326
320
すもも
403
400
64
60
キウイフルーツ
738
750
60
55
いちじく
322
350
20
20
20
100
24
35
265
400
247
245
ブルーベリー
ぎんなん
オリーブ
その他果樹
合計
200
50
42
50
15
15
50,576
47,000
4,563
4,000
- 14 -
3.その区域の自然経済的条件に応ずる近代的な果
樹園経営の指標
(1)栽培に適する自然的条件
果樹の栽培にあたっては、下表の自然的条件を十分に考慮して、実施するものとします。
平均気温
4月1日
年
~10月
31日
15℃以上
うんしゅうみかん
18℃以下
ぽんかん 清見
か セミノール 不知 16℃以上
ん 火
き カボス
14℃以上
つ
類
ゆず
13℃以上
の
果
樹
レモン
ぶどう
なし
15.5℃以上
7℃以上
7℃以上
もも
9℃以上
びわ
15℃以上
甘柿
冬期の最
低極温
低温要求時間
-5℃以上
す上がり等の品質低下を防ぐため、12月か
ら収穫前において-3℃以下にならないこ
と。
傷害果や病害果の発生を防ぐため、強風の
発生が少ないこと。
-6℃以上
-7℃以上
す上がり等の品質低下を防ぐため、11月か
ら収穫前において降霜が少ないこと。
傷害果や病害果の発生を防ぐため、強風の
発生が少ないこと。
-3℃以上
-20℃以上
欧州種につ
14℃以上いては'15℃以上
13℃以上-20℃以上
巨峰について
は500時間以
上
幸水について
は800時間以
上
うめ
すもも
7℃以上
枝折れや樹の倒壊を防ぐため、最大積雪深
が概ね2m以下であること。
花器・幼果の障害を防ぐため、蕾から幼果
期において降霜が少ないこと。
枝折れや樹の倒壊を防ぐため、最大積雪深
が概ね2m以下であること。
花器・幼果の障害を防ぐため、蕾から幼果
発芽期において降霜が少ないこと。
風の発生が少ないこと。
新梢の枯死を防ぐため、発芽・展葉期にお
いて降霜が少ないこと。
10℃以上 16℃以上-15℃以上
7℃以上
二十世紀
について
は
1,200
mm以下
傷害果や病害果の発生を防ぐため、強風の
発生が少ないこと
と。
枝折れを防ぐため、新梢伸長期において強
-3℃以上
13℃以上 19℃以上-13℃以上
7℃以上
枝枯れや樹の倒壊を防ぐため、凍害及び雪
1,600
害を受けやすい北向きの傾斜地での植栽は
mm以下 避けること。
欧州種に
ついては
1,200
mm以下
1,300
15℃以上-15℃以上 1,000時間以上
mm以下
800時間以上
くり
気象被害を防ぐための基準
腐敗果の発生や品質低下を防ぐため、11月
から収穫前において降霜が少ないこと。
か
き
渋柿
降水量
4月1日
~10月
31日
枝折れや樹の倒壊を防ぐため、最大積雪深
が概ね2m以下であること。
枝折れを防ぐため、新梢伸長期において強
風の発生が少ないこと。
新梢の枯死を防ぐため、発芽・展葉期にお
いて降霜が少ないこと。
15℃以上-15℃以上
新梢の枯死を防ぐため、展葉期において降
霜が少ないこと。
15℃以上-15℃以上
枝折れや樹の倒壊を防ぐため、最大積雪深
が概ね2m以下であること。幼果は凍害を
受けやすいので、幼果期に降霜が少ないこ
と。
15℃以上-18℃以上 1,000時間以上
キウイフルーツ
12℃以上 19℃以上-7℃以上
*いちじく
13℃以上
枝折れや樹の倒壊を防ぐため、最大積雪深
が概ね2m以下であること。
花器・幼果の障害を防ぐため、蕾から幼果
期において降霜が少ないこと。
新梢の枯死を防ぐため、発芽・展葉期にお
いて降霜が少ないこと。
枝折れを防ぐため、新梢伸長期において強
風の発生が少ないこと。
*ブルーベリー
*ぎんなん
*オリーブ
*:政令指定品目以外
- 15 -
(2)県内各地域の自然的条件
県内各地域のアメダス観測地点の平均気温と降水量
標高 (m)
平均気温
降水量
4月1日~ 4月1日~
年
10月31日 10月31日
観測地点
北緯
東経
国見
33度40.4分
131度35.7分
4
16.1
21.4
1,224
中津
33度35.0分
131度11.3分
11
16.1
21.7
1,148
豊後高田 33度34.0分
131度26.2分
5
15.8
21.4
1,104
耶馬渓
33度26.5分
131度07.1分
100
1,450
院内
33度25.1分
131度19.2分
90
14.8
20.5
1,325
杵築
33度24.9分
131度37.4分
20
15.6
20.9
1,151
伏木
33度22.3分
130度59.1分
420
日田
33度19.1分
130度55.9分
83
別府
33度21.0分
131度28.6分
263
玖珠
33度16.0分
131度10.0分
346
14.1
20.2
1,438
湯布院
33度15.6分
131度21.5分
440
13.3
19.0
1,600
大分
33度13.9分
131度37.2分
5
16.6
21.9
1,356
佐賀関
33度14.7分
131度52.3分
5
1,319
釈迦岳
33度11.1分
130度53.7分
1,200
2,137
臼杵
33度07.2分
131度48.4分
2
1,564
温見
33度04.3分
131度26.0分
591
1,418
犬飼
33度03.8分
131度38.1分
100
15.1
20.7
1,460
竹田
32度58.2分
131度23.0分
290
14.7
20.1
1,512
出羽
32度58.0分
131度40.3分
473
佐伯
32度57.8分
131度54.2分
2
倉木
32度53.5分
131度23.9分
483
宇目
32度50.7分
131度40.8分
200
14.5
20.1
1,935
蒲江
32度47.9分
131度55.5分
2
17.4
22.1
2,008
1,190
15.7
21.6
1,472
1,826
16.8
21.8
1,636
1,670
*平均気温、降水量は、過去20カ年の平均とする(昭和63年~平成19年)。
- 16 -
1,361
(3)近代的な果樹園経営の指標
(ア)目標とすべき10a当たりの生産量及び労働時間
10アール当た
り生産量
か
ん
き
つ
類
の
果
樹
政
令
4,110
896
25a栽培の場合
ハウスみかん(中期型)
5,500
600
30a栽培の場合
ハウスみかん(後期型)
5,800
610
40a栽培の場合
青島温州みかん
4,000
220
80a栽培の場合
おおいた早生
3,600
430
20a栽培の場合
2,800
294
加温ハウス栽培
3,500
331
無加温ハウス栽培
2,500
236
露地・短期貯蔵
3,000
355
2,905
432
セミノール
3,500
292
50a栽培の場合
ゆず
2,350
191
100a栽培の場合
不知火(露地)
2,500
237
25a栽培の場合
不知火(ハウス)
5,300
430
20a栽培の場合
5,000
350
加温ハウス栽培
10a栽培の場合
1,200
250
一部被覆栽培
40a栽培の場合
1,500
343
加温ハウス栽培
30a栽培の場合
1,300
339
一部被覆栽培
40a栽培の場合
1,500
363
無加温ハウス栽培
20a栽培の場合
加温ハウス栽培
50a栽培の場合
カボス
ぽんかん
長期貯蔵
20a栽培の場合
10a栽培の場合
100a栽培の場合
10a栽培の場合
21a栽培の場合
なつみかん
清見
天草
定
レモン
品
デラウエア等
ぶ
ど
う
ピオーネ、巨峰等
1,500
417
幸水
3,529
270
50a栽培の場合
な 豊水
し 新高
4,235
240
45a栽培の場合
5,000
340
70a栽培の場合
4,500
240
10a栽培の場合
もも
1,000
350
85a栽培の場合
びわ
1,200
473
20a栽培の場合
かき
2,500
154
80a栽培の場合
あきづき
政
令
指
定
品
目
以
外
摘要
ハウスみかん(早期型)
指
目
10アール当た
り労働時間
い
ち
じ
く
くり
300
72
300a栽培の場合
うめ
2,500
107
150a栽培の場合
すもも
1,100
258
90a栽培の場合
キウイフルーツ
1,783
171
60a栽培の場合
露地
1,000
482
30a栽培の場合
ハウス
20a栽培の場合
3,000
902
ブルーベリー
800
245
10a栽培の場合
ぎんなん
300
114
100a栽培の場合
オリーブ
800
200
10a栽培の場合
- 17 -
(イ)効率的かつ安定的な果樹園経営の経営類型
施設柑橘
露地柑橘
大規模露地みかん
経営概況
施設柑橘を主体とした柑橘専
業の経営
多様な露地柑橘による柑橘専
業の経営
大規模な温州みかんの専業
経営
栽培面積
ハウスみかん
ハウス不知火
青島マルチみかん
不知火
セミノール
おおいた早生
ぽんかん
極早生マルチみかん
100a
青島マルチみかん
150a
20a
20a
80a
50a
50a
80a
50a
10アール
単収
ハウスみかん
5,800kg
ハウス不知火
5,300kg
青島マルチみかん
4,000kg
不知火
セミノール
おおいた早生
ぽんかん
2,500kg
3,500kg
3,600kg
2,905kg
極早生マルチみかん
3,600kg
青島マルチみかん
4,000kg
10アール
労働時間
ハウスみかん
610時間
ハウス不知火
430時間
青島マルチみかん
220時間
不知火
セミノール
おおいた早生
ぽんかん
237時間
292時間
430時間
432時間
極早生マルチみかん
430時間
青島マルチみかん
220時間
粗収入(万円)
2,175万円
1,180万円
1,679万円
経営費(万円)
1,571万円
751万円
1,128万円
604万円
429万円
551万円
所
得(万円)
貯蔵カボス
カボス加工
経営概況
短期+長期貯蔵によるカボス
専業の経営
果実の加工を前提としたカボ
スの専業経営
大規模なゆず専業の経営
栽培面積
大分1号
豊のミドリ
加工用カボス
露地ゆず
200a
10アール
単収
大分1号
2,500kg
豊のミドリ 2,500kg
大分1号
2,250kg
露地ゆず
2,350kg
10アール
労働時間
大分1号
豊のミドリ
大分1号
236時間
露地ゆず
300a
100a
236時間
236時間
10ha
大規模ゆず
191時間
粗収入(万円)
2,475万円
1,125万円
1,192万円
経営費(万円)
2,070万円
444万円
626万円
405万円
681万円
566万円
所
得(万円)
- 18 -
なし
ぶどう①
ぶどう②
経営概況
早生~晩生までのリレー出荷
による梨専業の経営
ピオーネを主体としたぶどう
専業の経営
無加温ハウスによる巨峰専
業の経営
栽培面積
新高
幸水
豊水
あきづき
70a
50a
45a
10a
加温ピオーネ
50a
100a
40a
無加温巨峰
1.5ha
新高
幸水
豊水
あきづき
5,000kg
3,529kg
4,235kg
4,500kg
加温ピオーネ
4,500kg
無加温巨峰
1,500kg
無加温巨峰
363時間
10アール
単収
10アール
労働時間
新高
幸水
豊水
あきづき
340時間
270時間
240時間
240時間
一部被覆ピオーネ
一部被覆デラウエア
一部被覆ピオーネ 1,300kg
一部被覆デラウエア
1,200
加温ピオーネ
kg
417時間
一部被覆ピオーネ
339時間
一部被覆デラウエア 250時間
粗収入(万円)
1,761万円
1,714万円
経営費(万円)
1,317万円
1,251万円
964万円
463万円
613万円
所
得(万円)
444万円
観光ブルーベリー
大規模オリーブ
経営概況
観光摘み取りを主体とした専
業経営
大規模なオリーブの専業経営
栽培面積
ハイブッシュ系
ラビットアイ系
食用・油用オリーブ
10アール
単収
混植単収
800kg
混植単収
800kg
10アール
労働時間
混植単収
245時間
混植単収
200時間
50a
50a
2ha
粗収入(万円)
640万円
708万円
経営費(万円)
215万円
131万円
所
425万円
577万円
得(万円)
- 19 -
1,577万円
4.土地改良その他生産基盤の整備に関する事項
果樹農業者の高齢化や後継者不在による耕作放棄地の増加している現状において、耕作
放棄地の再生・利用を進めることにより、樹園地の流動化や大規模集積を図り、他産業か
らの大規模参入や認定農業者などの力強い担い手の個別規模の拡大を推進します。
(1) 果樹園の土地基盤整備方針
・国東市(22ha)や杵築市(14ha)
など、県下では耕作放棄地などを利用した大
規模な企業参入による香酸柑橘類の新植が進
んでいます。
・柑橘では、杵築地域で、ハウスみかん団地
や露地団地が整備されています。
・今後とも、果樹農業者の経営安定のため、
規模拡大や省力化のためには、園地の基盤整
備が不可欠ですので、継続的に進めていきま
す。
大規模カボス園地
(2) その他樹園地の基盤整備や流動化
に関する事項
・基盤の整備された園地においては、省力防
除機械(スピードスプレーヤー)などのの導
入が進んでいます。
・今後とも、果樹園地に付随する生産基盤整
備、防風施設や用排水施設、省力防除機械施
設など、高品質な果実生産に対応できる生産
基盤の整備を進めていきます。
・今後は、産地や園地の継承を図るために、
一部、キウイフルーツで事例が見られますが、
果樹棚や樹を含めた園地の流動化を進める必
要があります。
温州みかんの露地団地
梨の省力防除機械
ハウスみかんリース団地
- 20 -
5.果実の集荷、貯蔵又は販売の共同化その他果実の流
通の合理化に関する事項
(1)アジアマーケットでのブランド確立を目指した輸出の拡大
・台湾では、旧暦により祭事が行われ、中秋節(お盆)
や春節(お正月)が贈答による需要期となっています。
贈答用には大玉の「新高」梨が好まれています。
・年によって祭日が変動するなか、日田梨は、ハウス
栽培により出荷時期の調整にも取り組み、台湾を中心
に輸出量を伸ばしてきました。
○ナシの輸出の取組
H17
輸出量
48㌧
H20
154㌧
梨のハウス栽培
・今後は、さらなる輸出拡大を目指して、輸出時の植
物検疫に対応できる選果システムを導入しました。こ
れにより、植物検疫に対応した計画的な選果が可能と
なりましたので、輸出量の拡大を進めます。
(2)果実の集出荷体制及び施設の整備方針
海外での梨販売
(ア)集出荷体制及び施設の整備方針
・消費者ニーズに即した高品質果実を安定的、計画的に供給するため、柑橘類と梨につい
ては集出荷施設の再編整備をするため、光センサー方式の選果機を装備した広域集出荷施
設が整備されました。
・今後は、県域流通を念頭に拠点となる集出荷施設への集約を図るとともに、選果データ
等の栽培管理へのさらなる活用促進により、高品質果実の生産出荷を一層促進します。
光センサー選果(柑橘)
きつき柑橘選果場
(イ)選果施設の整備
・梨については、消費者ニーズの多様化により、新品種の「あきづき」、「なつしずく」、
オリジナル品種の「豊里」などへの品種更新を進めています。それに対応して、複数品種
の同時選果が可能な手詰選果システムが導入されました。
- 21 -
◎集出荷施設の整備状況(JAグループ)
品
目
市町村
施設数
年間処理量
杵築市
1
2,974
津久見市
1
1,465
豊後高田市
1
51
うんしゅうみかん 杵築市
1
768
日出町
1
401
大分市
1
261
宇佐市
1
80
日田市
1
3,843
九重町
1
185
由布市
2
156
中津市
1
76
国東市
1
40
竹田市
1
385
津久見市
1
456
中津市
1
6
国東市
1
142
臼杵市
1
56
豊後高田市
1
11
日出町
1
37
なし
カボス
もも
キウイフルーツ
ぎんなん
注)園芸振興室調べ
(3)出荷規格の改善等の方針
・流通の多様化への対応と流通段階での省力化・低コスト化を実現するため、規格、
流通資材の標準化、簡素化の取り組みを支援します。
・県域流通を基本とした出荷規格の統一の取り組みを支援します。
- 22 -
6.果実加工の合理化に関する事項
(1) 果実加工に関する基本的方針
・大分県における果実加工は、温州みかん、カボ
ス、甘夏、ゆず、梨、キウイフルーツ、レモンな
どで取り組まれています。
・カボスについては、平成21年度に加工用の栽
培マニュアルを作成しました(右図)。
・食の簡便化の傾向を踏まえて、今後の果実加工
商品の需要拡大に対応するため、果実加工製品の
開発支援や加工用果実の生産を支援します。
・
・カボス、ゆずなどの香酸柑橘類については、加
工を前提とした低コスト、省力的な栽培体系の確
立を進めます。
加工用栽培マニュアル
・宇佐市においては、ワイン専用の大規模なぶどう栽培も開始されました。今後は、6次
産業化の視点を踏まえ、果樹産業が地域全体の収益をもたらす取り組みも支援します。
(2) 果実加工製品の生産
・果実加工品については、輸入品と比較して供給量、価格面で大
きな差が見られ、需要拡大はなかなか進まない状況が続いてきま
した。しかし、JAフーズおおいたのカボス飲料「つぶらなカボ
ス」は平成22年度は、70万ケースを越える出荷で、空前のヒ
ット商品となっています。今後も新たな果実加工製品の開発や取
り組みを支援します。
カボス飲料
(3) 果実の用途別出荷量の見通し
品目名
平成20年出荷量(トン)
平成32年出荷量(トン)
見通し
うち
加工向け(トン)
うんしゅうみかん
*
うち
加工向け(トン)
17,300
1,409
13,200
1,100
3,046
944
3,300
1,000
622
405
1,300
850
19
5
80
25
いちじく
269
1
290
1
ぎんなん
224
17
340
25
16
5
80
25
2,670
99
2,750
100
9
50
50
558
1,280
580
190
190
カボス
ユズ
レモン
ブルーベリー
ぶどう(生食用種)*
ぶどう(加工専用種)
うめ
*
-
1,235
オリーブ
注)*:園芸振興室調べ
- 23 -
7.広域濃密生産団地形成に関する方針
(1) 広域濃密生産団地形成に関する基本的方針
広域濃密生産団地の形成にあたっては、自然的立地条件及び集出荷施設の整備状況を考
慮し、効率的な生産、出荷の出来る集団としてとらえ、集団産地において生産から販売に
至るまでの体制を整備し、果樹農業の近代化を図ることを基本とします。この基本方針に
そって、県内の果樹産地を6団地に区分して濃密生産団地の形成を図り、高品質果実の生
産に対応できるよう産地整備を推進します。
(2) 広域濃密生産団地の概要
- 24 -
団 地 名
関係市町村名
団地の特徴
対象果樹の種類
東
部
国東市・杵築 海岸地域の自然的立地条件 かんきつ類・カボス・なし
市・日出町・ に加え、広域集出荷施設が ・ぶどう・キウイフルーツ・オリーブ
別府市
整備されており、県下最大 ・ぎんなん・その他果樹
のかんきつ類中心の濃密生
産団地を形成する。
中
部
大分市・由布 海岸地域にはかんきつ類 かんきつ類・なし・びわ・かき
市
が、山間地域にはなしを中 ・すもも・いちじく
心とした落葉果樹類の濃密 ・その他果樹
生産団地を形成する。
南
部
臼杵市・津久 海岸地域の自然的立地条件 かんきつ類・カボス・びわ
見市・佐伯市 と広域出荷体制が整備され ・キウイフルーツ・その他果樹
ている社会的諸条件等によ
り、かんきつ類中心の濃密
生産団地を形成する。
豊
肥
豊後大野市・ カボスを中心に、ぶどう、 カボス・ぶどう・くり・もも
竹田市
くりなどの落葉果樹の濃密 ・その他果樹
生産団地を形成する。
西
部
日田市・玖珠 なしを中心に、多様な落葉 なし・ぶどう・くり・うめ
町・九重町
果樹を広域的に結びつけた ・すもも・ゆず・ブルーベリー
濃密生産団地を形成する。 ・ぎんなん・その他果樹
北
部
豊後高田市・ 海岸地域にはかんきつ類 かんきつ類・カボス・ゆず
宇佐市・中津 が、山間地域にはぶどうを ・ぶどう・すもも・いちじく
市
中心に多様な落葉果樹類の ・もも・ぎんなん・その他果樹
濃密生産団地を形成する。
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8.その他必要な事項
(1)果実の消費拡大の取り組み
・世代別の摂取量は、特に20~40歳代で少ない状
況で、10年前と比較して、特に30~49歳の働き
盛りの落ち込みが激しくなっています。
・消費者の食の簡便志向のなか、果実の生食のほか、
加工需要が拡大していくことが予想されます。今後
とも、消費者ニーズに対応できる新たな商品や商材
の開発に向けた取り組みを支援します。
(2)食の安全と消費者の信頼の確保
果実消費拡大の取り組み
・「e-naおおいた」農産物認証制度は、環境に負荷を与えず、消費者の皆さんに安心
で安心な農産物を提供するため、大分県が独自に創設しました。化学肥料や化学合成農薬
をこれまで一般的に使われてきた量・回数(慣行基準)から削減して栽培した、大分県産
の農産物を認証する制度です。慣行基準から削減した割合に応じて「3割減」、「5割減」、
「有機」と 3 つの表示区分があります。
・カボスやびわ、ぎんなんなど、いろいろな品目で取得が進んでいます。今後も「e-n
aおおいた」認証の取得を進めていきます。
品
目
e-naおおいた取得状況
カボス
60戸
650a
びわ
49戸
1228a
ぎんなん
44戸
1876a
もも
37戸
514a
ブルーベリー
29戸
524a
梨
21戸
351a
ぶどう
2戸
181a
梅
2戸
15a
いちじく
1戸
7a
(平成 21 年 3 月末現在)
(参考)
e-naおおいた農産物認証制度について(大分県庁HP)
http://www.pref.oita.jp/soshiki/15320/e-na-top.html
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「毎日くだもの 200 グラム運動」とは、1 人 1 日 200g 以上のくだものの摂取を推進する
運動です。近年の研究により、くだものにはがんをはじめさまざまな生活習慣病に対して
予防効果が高いことが分かっています。1 人 1 日 200g 以上のくだものを食べて、健康で
豊かな生活を送りましょう。
専用ホームページ
http://www.kudamono200.or.jp/
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