...

6 収穫と調製(PDF:48KB)

by user

on
Category: Documents
33

views

Report

Comments

Transcript

6 収穫と調製(PDF:48KB)
6
収穫と調製
収穫は農作物の栽培における最終の作業で、栽培してきた農作物の全体ある
いは一部を刈り取ったり、摘み取ったり、堀り取ったりします。
また、調製は収穫した農作物を貯蔵したり商品として出荷・販売をするため
の作業で、洗浄や選別、乾燥を行う作業のことです。
稲や麦、大豆などでは早くから機械化が進み、一部の野菜や果樹でも堀取り
機や選別機が導入されていますが、ほとんどの農作物の収穫や調製は手作業で
行われていますので、多くの労力を必要とします。
(1)
収穫時期
農作物の収穫時期は利用する部位や利用目的によりそれぞれ異なります。
それぞれの作物や品種の特性を十分に備え、品質面でも収量面でも最良と
なる時期を収穫適期としています。
収穫時期を間違うと収量や品質だけでなく、後々の調製作業にも影響を
するため慎重に判断することが大切です。稲や麦などの穀物類や大豆、小
豆などの豆類は子実が成熟した段階で収穫します。
桃、ぶどう、梨などの果樹類も果実が成熟した段階で収穫します。
野菜については生育途中の段階で収穫しますが、種類や作型が多く同じ
作物であっても収穫時期が早い場合や遅い場合があり多様です。
また、切り花や鉢花類は開花直前から開花始めの段階で収穫します。
(2)
収穫回数
栽培期間の長い穀物類や豆類と永年生作物の果樹類は一年間に一回しか
収穫できません。
野菜や花では一年間に一回しか収穫できない作物と数回収穫できる作物
があります。
さらに、稲、麦、大豆ように一斉に収穫するものや、桃、ぶどう、トマ
ト、イチゴなどのように成熟期に達したものから順に数回に分けて収穫す
るもの、キャベツ、ハクサイなどのように結球して収穫可能になった段階
から順に数回に分けて収穫するもの、ミズナ、ホウレンソウ、葉ネギなど
のように基準の大きさに成長したものから順に収穫するもの、さらにナス、
キュウリ、ピーマンなどのように樹勢が維持できる間は収穫可能な大きさ
に達する毎に何回も収穫するものなど、収穫回数も多様です。
(3)
収穫方法
稲、麦など、ほとんどの穀物類はコンバインで刈取りと脱穀を行い、生
脱穀した子実を乾燥機等で乾燥します。
大豆、小豆などの豆類は小面積の場合は熟した莢を手取りするか、カマ
やハサミで茎ごと刈り取り、乾燥後に脱粒します。大面積の場合はコンバ
-1-
イン等で刈取りと脱穀を行い、通風乾燥機で乾燥します。
桃、ぶどう、梨などの果樹類は果実に傷がつかないように、摘果ハサミ
も使い摘み取ります。
野菜では果菜類は摘果ハサミで摘み取り、葉菜類や根菜類はカマ、クワ、
スコップなどを使い刈取りや堀取りをします。
また、最近はイモ類や根菜類、キャベツやレタスなどの結球野菜を大面
積栽培する場合に大型の収穫機械が使われるようになってきました。
(4)
乾燥
米や麦、大豆、小豆などの子実は収穫時の穀粒水分が高く、貯蔵中に変
質して品質が低下する心配があります。そこで熱風乾燥機や常温通風乾燥
機などで適正水分になるまで乾燥し貯蔵性を高めます。野菜ではほとんど
乾燥させることはありませんが、タマネギは昔から吊り小屋で自然乾燥を
しています。
乾燥の方法には天日(太陽光線)と風による自然乾燥やビニールハウス
で太陽熱を利用する自然乾燥と、常温通風乾燥機や加熱通風乾燥機、除湿
乾燥機を利用する人工乾燥があります
穀物や豆類の収穫時の穀粒水分は20∼30%で、出荷や貯蔵するため
には13∼15%にまで低下させますが、急激に乾燥させると品質の低下
を招くので十分な注意が必要です。
(5)
選別
農作物は生産地や栽培方法により収穫物の個体差が大きいことから、販
売や利用目的により規格をそろえる必要があります。
主要な作物には国の定める規格や基準があり一般的に大きさ、重さ、形、
色、傷の有無などの外部形質や糖度、比重などの内部品質により区分をし
ています。
選別作業は穀粒選別機等を使い行ってきましたが意外と手間のかかる作
業です。
最近はそれぞれの作物や選別作業工程に対応した多種多様な選別機械・
装置が開発され、産地の集出荷施設等での選別作業に効果をあげています。
(6)
洗浄
ダイコン、カブ、ニンジンなどの根菜類は、土(泥)付きで出荷するも
のもありますが、ほとんどが野菜洗浄機を使い土を落としたものを結束又
は箱詰めしています。
-2-
野菜洗浄機でのダイコン調製作業
また、キャベツ、ハクサイ、ミズナ、ホウレンソウなどの葉菜類は下葉
(古い葉)や傷んだ葉を刃物で除去し株元をきれいにしたものを結束又は
箱詰めしています。
小テスト
問題
1 収穫時期の判断は農作業計画を組むうえでも大切ですが、収穫適期
を説明した次の文で正しいのはどれですか。
ア 子実や果実が十分成熟して食味がよくなった頃
イ 作物がよく生長して収量が最も多いと思われる頃
ウ 品質面、収量面ともに損失が少なく作業性、収益性が
よいと思われる頃
エ 祭日や休日が続き作業労働力が確保しやすい頃
問題
2
次の農作物のうち一度に(一斉に)収穫するものはどれですか。
ア 大豆
イ トマト
ウ キュウリ
エ 桃
問題
3
穀物や豆類は貯蔵期間中の品質低下を防ぐため、子実を乾燥させま
すが適正水分は次のうちどれですか。
ア
5∼7%
イ 10∼12%
ウ 13∼15%
エ 18∼20%
問題
4
農作物を商品として販売するために各作物毎に規格や基準を設けて
選別をしていますが、出荷までに洗浄作業をする作物は次のうちどれ
ですか。
ア 小麦
イ
バレイショ
ウ
ナス
エ ニンジン
-3-
Fly UP