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平成29年度特別研究生募集テーマ一覧 - 国立研究開発法人日本原子力
平成29年度特別研究生募集テーマ一覧 テーマ No. 1 分野 研究テーマ名 別紙2 研究の概要(最大400字程度) 部門・部等 現在、元素は、原子番号118まで合成が報告されている。原子番号100を超える人工元素は 超重元素と呼ばれ、重イオン加速器を用いてのみ合成されるが、寿命が短く生成量が少な いため、その核的・化学的性質に関する情報は極めて少ない。本研究では、原子力科学研 究所のタンデム加速器施設から得られる重イオンビームを用いて超重元素を合成し、その 原子力科学研究部門 化学的性質をシングルアトムレベルで明らかにする。このために、①電気化学的手法を利 先端基礎研究センター 用した酸化還元電位測定、②溶媒抽出法及びクロマトグラフ法を用いた、超重元素イオン 又はその化合物の化学挙動の解明、③気相・真空クロマトグラフィーを用いた超重元素の 吸着挙動実験などに関する研究、又は同研究を推進するために必要なシングルアトム分析 手法の開発を、研究員の指導の下に実施する。 ディビジョン・課室 担当者 TEL(外線) Email 特殊作業 受入拠点 受入可能期間 受入最小期間 受入最大期間 塚田 和明 029-282-5491 [email protected] 放射線 有機溶剤 特定化学物質 原科研 4/3-3/30 6か月 12か月 化学 超重元素の核化学研究 化学 高レベル廃液中には、希土類・白金族など多種多様な金属イオンが核分裂生成物として存 在し、溶媒抽出分離プロセスに用いられる抽出剤及びその放射線分解生成物と錯生成反 応を起こす。それらの錯生成反応メカニズムを明らかにすることは、分離プロセスの効率化 核分裂生成物の錯生成反応 原子力科学研究部門 原子力化学ディビジョン につながるため重要である。本研究では、ヘテロダイン検出和周波発生分光法という最先 メカニズムに関する研究 原子力基礎工学研究センター 放射化学研究グループ 端の実験手法を駆使することで、液液界面で核分裂生成物が抽出剤とどのような構造の錯 体を生成するか明らかにし、その結果を量子化学シミュレーションを用いて、生成した錯体 の電子状態を解析することで、錯生成反応メカニズムをモデル化することを目的とする。 日下 良二 渡邉 雅之 029-282-5788 029-282-5167 [email protected] [email protected] 特定化学物質 有機溶剤 原科研 4/3-3/30 3か月 12か月 化学 超重元素原子の構造に関す る研究 超重元素領域では、中心電荷が非常に大きいため、軌道電子に対する相対論効果が顕著 となると期待される。強い相対論効果の影響を受けた超重元素原子の電子構造を実験的 に明らかにするため、超重元素原子ビーム生成法の開発及び原子ビームを利用した超重 原子力科学研究部門 元素原子のスピン測定並びに超重元素イオン及び原子ビームを利用した第一イオン化エ 先端基礎研究センター ネルギー等の測定、さらに、分子形成を利用した超重元素分子イオンビームの開発等を行 う。実験には、タンデム加速器施設を始めとする国内外の実験施設を用いる。 佐藤 哲也 029-282-5491 [email protected] 放射線 原科研 4/3-3/30 6か月 12か月 4 化学 高選択性を有する新規抽出 剤の開発と金属抽出分離に 関する研究 5 化学 エマルションフロー法を利用し た金属イオン抽出分離に関す る研究 6 化学 イオン液体を抽出媒体として 利用した溶媒抽出に関する研 究 7 化学 軽水炉事故時のセシウム、ヨ ウ素等核分裂生成物の挙動 評価 2 3 本研究テーマでは、希少金属、有害金属、放射性核種などを高効率に分離可能な抽出シ ステムの開発を行う。具体的にはレアメタル、貴金属、重金属、アクチノイドなどに対して、 高い選択性を示す新規抽出剤を合成する。さらに、種々の金属に対して網羅的に抽出特性 を検討し、体系化することで、新規抽出剤の特徴を活かした高度抽出分離システムを構築 する。また、分光学的手法を駆使し、抽出金属錯体の構造化学的な特徴と金属分離能の 相関関係を解明する。 本研究テーマでは、新たな湿式抽出分離手法”エマルションフロー法”を用いて、レアメタル 等の金属イオンを高性能かつ低コストで回収する新規技術の研究開発を行う。エマルショ ンフロー法の装置・システムに関する基礎的な研究を中心とした研究に取り組む。また、よ り高度な抽出分離を実現するため、エマルションフロー法に適用するための抽出系及び抽 出剤の設計についても検討する。 本研究テーマでは、有機溶媒に代わる環境調和型の溶媒として注目されているイオン液体 を金属イオンなどの抽出媒体として利用した新規抽出分離技術の研究開発を行う。具体的 には、ランタノイド、アクチノイド、レアメタル、アニオンなどに対して高い抽出分離特性を示 す抽出系を構築し、分光学的手法によって抽出錯体の構造を解明する。また、新しい配位 子の合成及び金属イオンなどの化学分離のための新しい機能性材料の創製を目指した研 究なども並行して行う。 本テーマでは、軽水炉事故時に燃料から放出し、原子炉内を移行する核分裂生成物(FP) の挙動を解明するための研究を行う。具体的には、非放射性のセシウム(Cs)、ヨウ素(I)、 ルテニウム(Ru)、ストロンチウム(Sr)等を用いて事故時のFP放出移行を再現する実験を 実施し、再現実験で得られたサンプルのSEM、TEM、XPS等の分析により、FPの気相中で の物理・化学的挙動又はFPと炉内構造材との反応について評価する。 重元素核科学研究グループ 重元素核科学研究グループ 原子力科学研究部門 先端基礎研究センター 界面反応場化学研究グループ 下条 晃司郎 029-282-5246 [email protected] 特定化学物質 有機溶剤 原科研 4/3-3/30 6か月 12か月 原子力科学研究部門 先端基礎研究センター 界面反応場化学研究グループ 長縄 弘親 029-282-6615 [email protected] 特定化学物質 有機溶剤 原科研 4/3-3/30 6か月 12か月 原子力科学研究部門 先端基礎研究センター 界面反応場化学研究グループ 岡村 浩之 029-282-5246 [email protected] 特定化学物質 有機溶剤 原科研 4/3-3/30 6か月 12か月 三輪 周平 029-282-5379 [email protected] 放射線 有機溶剤 原科研 5/1-2/28 3か月 10か月 松村 達郎 029-282-6673 [email protected] 放射線 特定化学物質 有機溶剤 原科研 4/3-3/30 3か月 12か月 佐々木 祐二 029-282-5272 [email protected] 特定化学物質 有機溶剤 原科研 4/3-3/30 3か月 12か月 中性子材料解析研究ディビジョン 階層構造研究グループ 元川 竜平 029-284-3747 [email protected] 放射線 有機溶剤 原科研 4/3-3/30 3か月 3か月 中性子材料解析研究ディビジョン 階層構造研究グループ 元川 竜平 029-284-3747 [email protected] 放射線 有機溶剤 原科研 4/3-3/30 3か月 3か月 原子力科学研究部門 軽水炉基盤技術開発ディビジョン 原子力基礎工学研究センター 性能高度化技術開発グループ 高レベル廃液から長寿命放射性核種を分離し、核変換により短寿命化する分離変換技術 の研究を進めている。特に、マイナーアクチノイド(MA)は、長寿命かつ放射能毒性が高いこ とから、分離の優先度が高い。本研究では、新規配位子のMA分離メカニズムの解明に取り 組むと共に、分離に伴う二次廃棄物の低減化を目指した新たな分離手法の適用について 原子力科学研究部門 分離変換技術開発ディビジョン 考察する。新規な分離手法では、抽出及び逆抽出に必要となる試薬添加に替わり、担体に 原子力基礎工学研究センター 群分離技術開発グループ 機能を持たせることによる錯形成制御の導入を検討する。研究の遂行に当たっては、MAの 模擬溶液及びMAトレーサーを使った実験を行い、MAの分離挙動に関する知見を得ること によって、その分離メカニズムを明らかにすると共に、分離手法の適用性を考察する。 化学 アクチノイド元素の新規な分 離手法に関する基礎基盤的 研究 9 化学 高速増殖炉(FBR)や加速器駆動未臨界システム(ADS)開発計画に伴い、日本独自の分 離変換技術の開発が求められる。燃料サイクルの中でも分離技術の開発は重要課題であ アクチノイド、核分裂生成元素 る。ここでは、溶媒抽出法による元素群の一括回収、逆抽出による相互分離法の開発を試 原子力科学研究部門 分離変換技術開発ディビジョン 抽出及び逆抽出に関する基 みる。対象となる元素は核変換用のAm、Tc、中間貯蔵用のCm、 Sr、Cs、ランタノイド、ガラ 原子力基礎工学研究センター 群分離技術開発グループ 礎及び応用研究 ス固化体作成時に問題となる白金族、Moなどである。試験はコールドで行い、Am、Cmなど のアクチノイドはランタノイドによって模擬する。 10 化学 金属イオンを分離回収する感 本テーマでは、感熱応答性高分子を利用した金属イオンの高効率分離法に関する研究を 熱応答性高分子の小角散乱 行う。水溶液中での高分子のミクロ構造を小角散乱法を用いて明らかにしながら、目的の 法によるミクロ構造解析 金属を効率的に分離・回収することができる高分子の分子設計を進める。 11 化学 金属イオンの収着によるベン 本テーマでは、地層処分において人工バリアとして利用するベントナイトに対して、金属イオ 原子力科学研究部門 トナイトのナノ構造変化 ンが収着した際のナノ・メソ構造変化をX線小角散乱法を用いて明らかにする。 物質科学研究センター 8 原子力科学研究部門 物質科学研究センター 平成29年度特別研究生募集テーマ一覧 テーマ No. 分野 ディビジョン・課室 担当者 TEL(外線) Email 特殊作業 受入拠点 受入可能期間 受入最小期間 受入最大期間 逢坂 正彦 029-282-5922 [email protected] なし 原科研 4/3-3/30 3か月 12か月 福島研究開発部門 廃炉国際共同研究センター 燃料デブリ取扱・分析ディビジョン 燃料デブリ分析グループ 佐藤 志彦 029-282-5495 [email protected] 放射線 福島 4/3-3/30 3か月 12か月 化学 本テーマでは、原子力施設内外の環境中に存在する微粒子の起源・履歴を明らかにする ために、非破壊での単一微粒子の化学状態分析を可能にする新規分析法を開発する。ミク 環境中単一微粒子の非破壊 ロンからサブミクロンサイズの単一微粒子の分析には、高い空間分解能が要求されるた 安全研究・防災支援部門 化学状態分析法の開発 め、レーザーをプローブとした顕微ラマン分光分析法や電子線をプローブとした電子線後方 安全研究センター 散乱回折法をベースに分析手法の開発を進める。 本テーマには、化学の他に物理の分野の研究が含まれる。 燃料サイクル安全研究ディビジョ ン 保障措置分析化学研究グループ 江坂 文孝 029-282-6165 [email protected] 放射線 原科研 4/3-3/30 3か月 12か月 化学 本研究では、放射性廃棄物の保管・処分で放射性元素の閉じ込め性を期待されているガラ ス、金属、ベントナイトなどといった材料のバリア機能及びその緩慢な変化の過程を探求す 放射性廃棄物保管・処分にお ることを目的とする。本研究では、ガラスと金属、金属とベントナイト、ベントナイトとコンク 安全研究・防災支援部門 けるバリア材の機能に関する リート、コンクリートと岩石などの界面で起こる変質現象を理解するための実験、変質機構 安全研究センター 研究 を解明するためのSEM、XRD等機器分析及び緩慢な放射性核種移行を理解するための実 験を行い、バリア機能の変化のモデル化を目指す。 本テーマには、化学の他に放射線の分野の研究が含まれる。 環境安全研究ディビジョン 廃棄物安全研究グループ 山口 徹治 029-282-6001 [email protected] 特定化学物質 原科研 4/3-3/30 3か月 12か月 化学 再処理施設でも、高レベル濃縮廃液沸騰乾固事故、有機溶媒火災事故等が重大事故とし 再処理施設の重大事故時放 て新たに定義され、事故影響や重大事故対策の有効性評価を行うための評価手法の整備 安全研究・防災支援部門 射性物質移行挙動に関する が緊急の課題となっている。本研究では、事故時の発生形態と関係づけた放射性物質の 安全研究センター 研究 放出、移行及び閉じ込めに係るデータを実験的に取得すると共に、熱流動解析コードを用 いたシミュレーションを行うことで、事象進展解析手法として整備することを目的とする。 燃料サイクル安全研究ディビジョ ン サイクル安全研究グループ 阿部 仁 029-282-6672 [email protected] 特定化学物質 有機溶剤 原科研 4/3-3/30 3か月 12か月 13 化学 16 部門・部等 事故進展挙動評価ディビジョン 核種挙動解析グループ 化学 15 研究の概要(最大400字程度) 本テーマでは、福島第一原子力発電所の事故により環境に放出された放射性物質を含有 福島原発由来試料の分析に する試料を採取して、放射能、元素、化学状態等の各種分析を行って性状を評価し、炉内 よる核分裂生成物の挙動評 条件で生成された放射性物質のエアロゾルや粒子の性状と比較することにより、炉内での 価 放射性物質の化学挙動を評価する。必要に応じてSPring-8の放射光施設等に出張して 分析する。 福島第一原子力発電所の事故により環境中に放出された放射性微粒子を対象に、その形 状、組成及び状態を分析することで、微粒子発生起源、発生メカニズム等に関する情報を 環境中放射性粒子の分析技 取得し、事故進展挙動の解明に資する。特に、本テーマでは、環境試料中採取から、イメー 術開発並びにその移行挙動 ジングプレートによる放射性微粒子の特定及びSEM/EDXなどによる観測等の一連の手法 及び起源推定に関する研究 を確立すると共に、放射光を用いた状態観察手法及びこれに求められる処理方法の最適 化を図る。 福島研究開発部門 廃炉国際共同研究センター 12 14 研究テーマ名 別紙2 平成29年度特別研究生募集テーマ一覧 テーマ No. 17 18 19 分野 研究テーマ名 研究の概要(最大400字程度) 部門・部等 ディビジョン・課室 担当者 TEL(外線) Email 特殊作業 受入拠点 受入可能期間 受入最小期間 受入最大期間 機械 CLADS遠隔技術ディビジョンでは、福島第一原子力発電所(1F)の廃炉を円滑に進めるた め、燃料デブリ取り出しに係る高線量環境下での現場情報把握に必要となる遠隔技術の 小型SLAM(位置認識マッピン 研究開発を行っている。また、1F建物内の放射性物質を撤去、除染するために必要となる 福島研究開発部門 グ)技術の開発研究 ドローンや陸上ロボット等の遠隔操作機器に搭載した測域センサやカメラで取得したデータ 廃炉国際共同研究センター とモーションデータから環境のマップ生成や自己位置推定を行う技術を開発している。本 テーマでは、これを放射線計測データと統合する情報処理技術に関する研究開発を行う。 遠隔技術ディビジョン 遠隔システム開発グループ 鳥居 建男 029-282-6329 [email protected] なし 福島 4/3-3/30 3か月 12か月 機械 J-PARCの核破砕中性子源で中性子発生のために使用している水銀ターゲット容器は、 運転中に陽子及び中性子が照射されることにより、力学特性変化が生じる。さらに、陽子線 入射に起因する熱応力及び水銀中の圧力波によって、高ひずみ速度でギガサイクルに及 ギガサイクル領域におけるス ぶ繰返し応力負荷を受ける。本テーマでは、ターゲット容器構造材であるSUS316Lステンレ 原子力科学研究部門 テンレス鋼の疲労特性評価に ス鋼を対象として、極限環境における耐久性の評価を目的として、高ひずみ速度下での疲 J-PARCセンター 関する研究 労強度試験を実施し、ギガサイクル領域の疲労強度に及ぼす溶接及び照射の影響を評価 する。特に、ターゲット容器は溶接構造物であるため、溶接手法、仕上げによる疲労特性の 差異を溶接組織の観察等を行い、系統的に評価する。さらに、流動による減肉や、溶接部 等の疲労による劣化を初期段階で遠隔・非接触で検出するための技術開発も行う。 物質・生命科学ディビジョン 中性子源セクション 直江 崇 029-284-3210 [email protected] なし J-PARC 4/3-3/30 9か月 12か月 機械 J-PARCの核破砕中性子源で中性子発生に使用する水銀ターゲットでは、パルス幅1μ 秒の陽子ビームの入射により、水銀中に圧力波が発生し、圧力波の伝ぱに伴い、ターゲッ ト容器はキャビテーションにより損傷する。この損傷を抑制する技術として、水銀中に微小 気泡を注入し、発生する圧力波を低減することが有効である。本研究では、ターゲット容器 原子力科学研究部門 前部の幅1~3mm程度の狭あい流路に効率よく微小気泡を送り込み、キャビテーション損傷 J-PARCセンター を抑制する技術を確立することを目的とする。このため、狭あい流路を有する水ループを使 用して、気泡を注入する配管形状と狭あい流路中の気泡の含有率の関係、及び狭隘流路 中における微小気泡の合体や壁面への付着と水流速との関係を、高速度カメラで観察する 実験を行い、定量的な評価を行う。 物質・生命科学ディビジョン 中性子源セクション 粉川 広行 029-282-5074 [email protected] なし J-PARC 4/3-3/30 6か月 12か月 安全研究・防災支援部門 安全研究センター 原子炉安全研究ディビジョン 熱水力安全研究グループ 柴本 泰照 029-282-5270 [email protected] なし 原科研 4/3-3/30 3か月 12か月 安全研究・防災支援部門 安全研究センター リスク評価研究ディビジョン シビアアクシデント評価研究グ ループ 杉山 智之 029-282-5253 [email protected] なし 原科研 4/3-3/30 3か月 12か月 原子炉安全研究ディビジョン 燃料安全研究グループ 天谷 政樹 029-282-5028 [email protected] なし 原科研 4/3-3/30 3か月 12か月 狭あい流路中での微小気泡 の流動挙動に関する研究 20 機械 事故時熱水力安全に関する 研究 21 機械 シビアアクシデント対策の有 効性評価に関する研究 機械 事故時燃料挙動評価に関す る研究 22 別紙2 軽水炉における事故時の熱水力挙動を予測する手法を高度化するため、実験又は解析研 究を行う。実験研究では、詳細な計測を狙いとした空気・水実験やエアロゾル実験及び実 機と同様な高温高圧での炉心等での熱流動を模擬した実験を行う。解析研究では、 RELAP5コード等の原子炉安全評価コードや数値流体力学(CFD)手法の高度化のために、 モデルの妥当性評価や改良を行う。具体的なテーマの選択に当たっては、特別研究生の 希望を考慮する。 シビアアクシデント対策の有効性評価技術の向上に向けて、モデル及び評価ツールの高度 化を進める。具体的には、①シビアアクシデント総合解析コードTHALES2/KICHEを用いた、 格納容器ベント等によるソースターム低減効果の評価に関する解析、②溶融炉心/冷却 材相互作用解析コードJASMINEを用いた、格納容器内における溶融炉心の分裂/拡がり挙 動及び冷却性の評価に関する解析、③CFDコードOpenFOAMを用いた、格納容器内または 原子炉建屋内における水素の流動/燃焼挙動の評価に関する解析、及び、④これらに関連 する解析を実施する。 本テーマには、伝熱流動を主とした機械の他に、物理や化学の分野が含まれる。 軽水炉燃料の事故時挙動に係る解析評価手法の高度化に必要な研究を行う。本研究にお いては、①軽水炉燃料の事故時挙動に関するモデルの構築、②破損挙動の評価に必要な 安全研究・防災支援部門 実験、及び、③燃料挙動解析コード(FEMAXI等)を利用した解析を実施する。具体的なテー 安全研究センター マの選択に当たっては、特別研究生の希望を考慮する。 本テーマには、機械の他に、材料の分野の研究が含まれる。 平成29年度特別研究生募集テーマ一覧 テーマ No. 23 24 分野 研究テーマ名 別紙2 担当者 TEL(外線) Email 特殊作業 受入拠点 受入可能期間 材料 本テーマでは、高エネルギーイオン加速器でのイオン照射技術及びノウハウを身に付け 高エネルギーイオン照射に伴 る。イオン照射した材料(窒化物・酸化物セラミックス及び金属合金)の微細組織変化を透 原子力科学研究部門 燃料・材料工学ディビジョン う材料の微細組織変化の研 過型電子顕微鏡(TEM)やX線回折などの手法を用いて調べる。観察した微細組織のイオン 原子力基礎工学研究センター 照射材料工学研究グループ 究 照射条件依存性及び材料依存性を系統的に調べ、イオン照射損傷のメカニズムについて 考察する。 研究の概要(最大400字程度) 部門・部等 ディビジョン・課室 石川 法人 029-282-6089 [email protected] 放射線 原科研 4/3-3/30 12か月 12か月 材料 軽水炉40年超運転に向け、明解な科学的根拠に基づく安全性評価を行い、地元住民の理 解を得る必要がある。特に、圧力容器鋼は照射欠陥蓄積により脆化することが知られてお り、この現象は玄海1号機の例からも長期運転是非の判断材料となり得るものである。一 方、現在の脆化予測式には現象論的な部分も多く、脆化を精緻に予測する機構論的モデ 軽水炉圧力容器鋼照射脆化 ル構築が強く望まれる。そのため、原子スケールの計算によりモデルに用いるパラメータの 予測手法の確立に関する研 システム計算科学センター 精度を向上させると共に、より長期の影響を予測するため複数の計算手法を組み合わせて 究 用いることが有効である。本課題では、分子シミュレーションを用いて圧力容器鋼中に発生 し得る微細組織発達をモデル化し、機械特性に与える影響を評価する。その中で、特別研 究生には、脆化過程で起こり得る現象に関して個別にケーススタディを行い、モデル化が不 十分であった現象について定量的な知見を蓄積することを求める。 板倉 充洋 04-7135-2347 [email protected] なし 柏 4/3-3/30 3か月 12か月 シミュレーション技術開発室 受入最小期間 受入最大期間 平成29年度特別研究生募集テーマ一覧 テーマ No. 分野 研究テーマ名 別紙2 研究の概要(最大400字程度) 部門・部等 担当者 TEL(外線) Email 特殊作業 受入拠点 受入可能期間 界面反応場化学研究グループ 香西 直文 029-282-6031 [email protected] 放射線 非密封放射性核 種 原科研 6/1-3/30 3か月 10か月 海水中の溶存有機物の一部は、極めて分解しにくく、数千年に渡って安定に海水中に存在 することが明らかにされている。この難分解性の溶存有機物は、海洋表層における生物生 産の引き金となる微量栄養元素や、人為起源の汚染物質の担体として働くことが指摘され ているが、その供給経路や循環過程は未解明な点が多い。本研究では、海水中の溶存有 原子力科学研究部門 環境・放射線科学ディビジョン・ 14 機物を構成する放射性炭素(DO C)の年代の分布を描くことによって、溶存有機物の循環 原子力基礎工学研究センター 環境動態研究グループ の時間スケールを明らかにすることを目的としており、その第一段階として、小型で汎用性 14 の高い海水中DO C測定システムを開発する。また、これまでの海洋観測で得た海水試料 を分析し、システムを検証する。 乙坂 重嘉 029-282-5171 [email protected] 特定化学物質 有機溶剤 原科研 4/3-3/30 3か月 12か月 安藤 麻里子 029-282-6860 [email protected] 特定化学物質 有機溶剤 原科研 4/3-3/30 6か月 12か月 下山 巖 029-284-3929 [email protected] 放射線 原科研 4/3-3/30 3か月 12か月 渡邊 隆広 0572-53-0211 [email protected] 特定化学物質 放射線 有機溶剤 東濃 4/3-3/30 3か月 12か月 福島第一原子力発電所の事故により発生した大量の汚染コンクリートは高熱により変質し ていると考えられるが、そのような変質した汚染コンクリートの性状は判明していない。本研 コンクリートの変質と核種拡散 原子力科学研究部門 25 地球・環境 究では、熱によるコンクリートの変質及び変質コンクリート中の放射性核種の化学状態を物 挙動の解明 先端基礎研究センター 理・化学的な分析手法により解明すると共に、収着・拡散実験からコンクリート中での放射 性核種の移行挙動を検討する。 汎用的な海水中溶存有機物 26 地球・環境 態放射性炭素分析システム の開発と応用 ディビジョン・課室 土壌には多量の炭素が有機物として貯留されているが、その分解性は未解明である。土壌 有機物の分解性を解明することは、土壌からのCO2放出ポテンシャルの解明に直結するこ 安定・放射性同位体を利用し 原子力科学研究部門 環境・放射線科学ディビジョン・ 27 地球・環境 た土壌有機物の貯留・分解メ とから、温暖化を始めとした環境変化の地球環境への影響を予測する上で重要である。本 原子力基礎工学研究センター 環境動態研究グループ カニズムの解明に関する研究 研究では、主に森林の表層土壌を対象として土壌有機物を物理的・化学的特徴に基づいて 分別し、それらに含まれる炭素・窒素の安定同位体比や放射性炭素同位体比等を分析す ることで、土壌に貯留する有機物の組成・存在形態や分解性を明らかにする。 福島における放射性汚染土壌廃棄物は大きな社会的問題となっているが、その除染と減 容化の手法は確立していない。我々は、土壌とアルカリ塩試薬との化学反応によりCsを含 まない無機材料に変換し、それを再生利用することで土壌廃棄物の減容化を目指すCsフ リー鉱化法を開発している。既に幾つかの有効な試薬を見いだしているが、条件を最適化 Csフリー鉱化法による土壌除 するための反応メカニズムを解明することが課題となっている。そこで、本テーマでは、非放 原子力科学研究部門 28 地球・環境 染の反応メカニズムの解明 射性Csを収着させた福島産風化黒雲母をモデル土壌とし、様々な試薬・圧力・雰囲気条件 物質科学研究センター 下で加熱処理を行った際の組成・構造変化をX線蛍光分析及びX線回折により調べる。ま た、高エネルギー加速器研究機構放射光施設(KEK-PF)の機構ビームラインBL27におい て、反応前後の元素毎の化学状態変化をX線吸収分光法、X線光電子分光法等により調べ る。これらの研究を通して、福島環境回復に貢献することを目指す。 29 地球・環境 バックエンド研究開発部門 本テーマでは、数万年以上にわたる地質環境の長期的な安定性を評価するための技術基 東濃地科学センター 地質試料等の高精度年代測 盤として、加速器質量分析装置、希ガス質量分析装置、電子スピン共鳴装置などを用いた 地層科学研究部 定法に関する研究 地質試料等の高精度な年代測定技術に関わる研究開発を実施する。 放射光エネルギー材料研究ディ ビジョン・放射光分析技術開発グ ループ ネオテクトニクス研究グループ 受入最小期間 受入最大期間 平成29年度特別研究生募集テーマ一覧 テーマ No. 分野 研究テーマ名 別紙2 研究の概要(最大400字程度) 部門・部等 ディビジョン・課室 担当者 TEL(外線) Email 特殊作業 受入拠点 受入可能期間 受入最小期間 受入最大期間 物理 本テーマでは、超重元素ビームを用いた新しい超重元素研究手法を開発し、超重元素の核 物理、核化学及び原子・分子の先端研究を行う。具体的には、低速超重元素ビームの生成 超重元素ビームを用いた超重 及びイオンガイド技術の開発、荷電交換法を用いたイオン化エネルギー測定手法の開発、 原子力科学研究部門 元素の物理・化学研究 オンライン同位体分離装置を用いた超重核の核構造・核分裂研究、飛行時間法を用いた超 先端基礎研究センター 重核質量の測定、超重元素の分子形成や表面吸着の研究等を行う。これら超重元素は、 タンデム加速器施設等からの重イオンビームを用いた核反応で合成する。 重元素核科学研究グループ 浅井 雅人 029-282-5490 [email protected] 放射線 原科研 4/3-3/30 6か月 12か月 物理 適用範囲の広い核構造理論 の構築 本テーマでは、微視的な原子核構造理論を発展させることによって、中性子過剰核や高励 起状態など、実験が困難な核構造の記述能力を向上させることを目指す。中性子過剰核に 原子力科学研究部門 ついては質量、低励起準位構造及びベータ崩壊、高励起状態についてはガンマ線強度関 先端基礎研究センター 数や核準位密度など、原子力や天体核において重要な中性子捕獲反応に関与する基礎的 な核構造研究を行う。必要に応じて大型計算機を使用する。 重元素核科学研究グループ 宇都野 穣 029-282-6901 [email protected] なし 原科研 4/3-3/30 6か月 12か月 物理 重い原子核に固有の崩壊現象である核分裂は、超重元素の存在領域を支配すると共に、 天体核反応の最終端で競合する崩壊過程で元素の生成過程に大きな影響を与えている。 一方、核分裂は、原子力エネルギー利用の基礎となる現象であり、核分裂過程が関与する 核データは多数存在する(断面積、核分裂生成物の収率、即発中性子数とエネルギースペ 核分裂過程の実験及び理論 クトル、遅発中性子、崩壊熱など)。本テーマの実験研究では、原子力機構タンデム加速器 原子力科学研究部門 研究と核変換用核データへの からの重イオンビームを用いた多核子移行反応によって多様な原子核を生成し、これら原 先端基礎研究センター 応用 子核の核分裂過程を調べると共に、核分裂核データを代理反応手法によって取得する。一 方、理論研究においては、原子核構造(ミクロな効果)と動力学手法を組合わせたモデルを 構築することで、核分裂現象の解明を目指す。なお、理論研究の場合は、放射線作業に従 事しない。 重元素核科学研究グループ 西尾 勝久 029-282-5454 [email protected] 放射線 原科研 4/3-3/30 6か月 12か月 33 物理 ダブルハイパー核の研究 原子核の存在範囲は、ストレンジネス自由度を入れることで大きく広がる。これまでストレン ジネスを1つ含んだ原子核は40程度見つかっているが、ストレンジネスを2個含む原子核は 原子力科学研究部門 まだほとんど見つかっていない。そこで、本研究ではJ-PARCのK中間子ビームを用いて 先端基礎研究センター ストレンジネスを2個含むダブルハイパー核を探索し、ダブルハイパー核の世界を明らかに することを目指す。 ハドロン原子核物理研究グルー プ 佐甲 博之 029-284-3828 [email protected] 放射線 原科研 4/3-3/30 3か月 12か月 34 物理 エキゾチック粒子の研究 本研究では、エキゾチック原子(K中間子やグザイ粒子など、電子以外の負電荷を持つ粒子 が原子核の周りを回っているような原子)のX線分光や、エキゾチックハドロン(通常の 原子力科学研究部門 クォーク3つやクォーク-反クォークの形で書けないハドロン)の分光など、エキゾチックな粒 先端基礎研究センター 子についての研究を行う。 ハドロン原子核物理研究グルー プ 谷田 聖 029-282-5361 [email protected] 放射線 原科研 4/3-3/30 3か月 12か月 35 物理 ストレンジネスを含むバリオン間相互作用は、ハイパー核の存在領域を左右するだけでな ストレンジネスを持つバリオン く、核力の起源や高密度天体の構造を調べる上でも非常に重要である。本研究では、スト 原子力科学研究部門 相互作用の研究 レンジネスを含むバリオン間相互作用について、J-PARCのハドロンビームによる散乱実 先端基礎研究センター 験やダブルハイパー核を含む軽いハイパー核の測定を通じて研究する。 ハドロン原子核物理研究グルー プ 佐藤 進 029-284-3510 [email protected] 放射線 原科研 4/3-3/30 3か月 12か月 ハドロン原子核物理研究グルー プ 長谷川 勝一 029-284-3522 [email protected] 放射線 原科研 4/3-3/30 3か月 12か月 ハドロン原子核物理研究グルー プ 丸山 敏毅 029-282-5457 [email protected] なし 原科研 4/3-3/30 3か月 12か月 原子力科学研究部門 先端基礎研究センター ハドロン原子核物理研究グルー プ 丸山 敏毅 029-282-5457 [email protected] なし 原科研 4/3-3/30 3か月 12か月 原子力科学研究部門 先端基礎研究センター 重元素材料物性研究グループ 神戸 振作 029−284−3525 [email protected] 放射線 原科研 4/3-3/30 3か月 12か月 30 31 32 36 物理 37 物理 38 物理 39 物理 J-PARCでは、π中間子及びK中間子といったハドロンビームを大強度にすることで、これ まで困難であった核子の稀反応の研究を推進している。しかしながら、既存ビームより一桁 高強度ハドロンビーム実験用 高いビーム環境下でも動作するビーム飛跡測定器や高速のデータ読出装置が必要とされ 原子力科学研究部門 ている。本研究では、このような大強度ビーム実験に必要とされる測定器やデータ収集装 先端基礎研究センター 測定器の開発研究 置の開発及び実ビーム環境下での検証実験を行う。 ハドロン物質及びクォーク物 質の理論的研究 中性子星物質の密度は、標準原子核密度よりも低い密度の表面から、数倍の高密度の中 心部まで、広い領域にわたっている。また、原始中性子星や超新星爆発コアのような高温 原子力科学研究部門 の状態から、長時間経過した冷たい中性子星まで、天体では様々な温度も実現している。 先端基礎研究センター 本テーマでは、そのような極限状態の物質の状態方程式、幾何学的構造、相転移の様相 などを解析的・数値的手法によって研究する。 ハドロンのスペクトルと有限密 本テーマでは、J-PARCにおける実験プロジェクトなどに関連するハドロンスペクトロスコ 度でのダイナミクスの理論研 ピー及び有限密度でのハドロンのダイナミクスの理論的研究を行う。 究 本テーマでは、低温物性実験手法を用いてf電子系の化合物の電子物性研究を行う。特 に、低温での新奇な磁性と超伝導の研究を行う。また、新しい機能物性を持つ新規原子力 f電子系材料物性科学 材料探索を行う。原科研の施設及びJ-PARCの物質・生命科学実験施設(MLF)で実験 研究を行う。 40 物理 銅酸化物は、常圧下において液体窒素温度以上で超伝導になる唯一の超伝導体である。 本テーマでは、この高温超伝導体を記述する有効模型に対して、実空間電子状態計算を 銅酸化物高温超伝導体の電 原子力科学研究部門 行う。また、格子欠陥などの乱れに対して、超伝導や電荷密度波などの秩序変数の安定性 子状態計算 先端基礎研究センター や空間依存性の解析を行う。そして、最新の実験データとの比較検討から、超伝導転移温 度をさらに向上させる鍵を見い出す。 41 物理 熱電材料の電子状態計算 42 物理 43 物理 44 物理 スピン‐エネルギー変換材料科学 研究グループ 森 道康 029-284-3508 [email protected] なし 原科研 5/8-3/30 3か月 11か月 中間貯蔵施設において、使用済み燃料の冷却中に発生する熱を、長期間に渡り活用する ため、性能指数の高い熱電材料、優れた断熱性又は熱伝導性を持つ材料開発が重要に 原子力科学研究部門 なっている。本テーマでは、これら熱電材料の電子状態を、第一原理計算などの数値的手 先端基礎研究センター 法を用いて調べ、応用の可能性を評価する。 スピン‐エネルギー変換材料科学 研究グループ 森 道康 029-284-3508 [email protected] なし 原科研 5/8-3/30 3か月 11か月 原子力科学研究部門 先端基礎研究センター スピン‐エネルギー変換材料科学 研究グループ 森 道康 029-284-3508 [email protected] なし 原科研 5/8-3/30 3か月 11か月 原子力科学研究部門 先端基礎研究センター スピン‐エネルギー変換材料科学 研究グループ 森 道康 029-284-3508 [email protected] なし 原科研 5/8-3/30 3か月 11か月 ナノスケール構造機能材料科学 研究グループ 朝岡 秀人 029-282-6281 [email protected] 放射線 有機溶剤 特定化学物質 原科研 4/3-3/30 3か月 12か月 スピンホール効果は、磁気の流れであるスピン流と電流との相互変換を起こす物理現象で ある。磁性体を用いたスピン熱電発電の性能指数向上のための鍵となる現象である。本 スピンホール効果を示す合金 テーマでは、このスピンホール効果を示す各種合金の電子状態計算を、密度汎関数法や の電子状態計算 量子モンテカルロ法を用いて行う。そして、スピンホール効果が大きな材料の発見を目指 す。 力学運動と電子スピンや核スピンの相互作用の測定実験、または、これらの相互作用を強 力学運動と電子スピンや核ス い遠心加速度場下で生じる原子の移動現象を利用した材料プロセスに取り入れるための ピンとの相互作用に関する実 装置開発を行う。物理学専攻の者が本テーマを希望する場合は実験に、機械工学や電子 工学等工学専攻の者が本テーマを希望する場合は、装置開発に重点を置いた実習とす 験研究又は装置開発 る。 本テーマでは、最先端のナノ構造制御研究を可能とする分子線エピタキシー薄膜創製装置 (MBE)、X線光電子分光装置 (XPS)、走査型トンネル顕微鏡装置 (STM)、表面ストレス制御 ナノ構造制御による原子力先 原子力科学研究部門 装置、ホット試験施設などを駆使し、加速器駆動型核変換炉 (ADS) の設計に資する液体金 端材料開発の研究 先端基礎研究センター 属中酸素センサの表面形態(化学結合状態及び表面構造状態)、耐放射線性デバイスを 含む多機能材料の表面・界面制御、低次元ナノ構造創成及び物性の解明を行う。 平成29年度特別研究生募集テーマ一覧 テーマ No. 分野 研究テーマ名 別紙2 研究の概要(最大400字程度) 素粒子ミュオンは、物質内部において原子核や電子が作る磁場を超高感度で検出する微 視的プローブとして用いることが可能で、物質科学研究に広く用いられている。本テーマで は、J-PARCなどの加速器施設を用いて得られるミュオンビームを用いることで、原子力 先端材料の内部から表面及び界面まで含めた領域における局所磁場測定を行い、磁性や 超伝導などの諸性質を明らかにしていく。 当グループは、J-PARCの物質・生命科学実験施設(MLF)にある中性子核反応測定装 置 (ANNRI)を用い、ADS開発で必要とされる中性子捕獲反応断面積の測定を進めてい る。測定に際しては、中性子共鳴毎の即発γ線のエネルギー分布が測定値に影響を与え ることが知られており、より高精度な断面積測定を行うためには共鳴毎に分布を知る必要 がある。しかしながら、これらの分布に関するデータは、ほとんど測定されていない。本テー マでは、中性子共鳴毎の即発γ線エネルギー分布を高精度で測定することを目的に研究 する。具体的には、ANNRIに設置されたGeスペクトロメータを用い、中性子飛行時間法を 適用して即発γ線と中性子エネルギーを同時に測定する。検出器のシミュレーションを用い て測定データの解析手法を開発し、中性子共鳴毎の即発γ線エネルギー分布を明らかに する。 福島第一原子力発電所の事故炉の廃止措置では、炉内の溶融デブリの簡易分析による炉 内状況把握が強く求められており、線量が高く、また、狭いといった過酷環境における核燃 料物質混合体を遠隔で、かつ迅速にその場分析する技術の適用が強く求められている。ま た、一方で、作業に伴って、線量は認められるものの、組成の不明な物体や冷却水に代表 される溶液の簡便・迅速分析も必要となっている。そこで、本研究では、レーザー誘起ブ レークダウン分光法(LIBS)に着目し、レーザー光を耐放射線性光ファイバーで伝送する ファイバLIBS法、レーザーに加えてマイクロ波を注入し、感度増大を図るマイクロ波支援 LIBS法、液体薄膜に対してLIBS法を適用する溶存元素分析法、及び超高分解能分光器に よる同位体分光の可能性評価等に関する基盤的研究を行い、廃炉作業等への適用性につ いて評価する。 部門・部等 ディビジョン・課室 担当者 TEL(外線) Email 特殊作業 受入拠点 受入可能期間 受入最小期間 受入最大期間 髭本 亘 029-284-3873 [email protected] 放射線 原科研 4/3-3/30 3か月 12か月 木村 敦 029-282-5796 [email protected] 放射線 原科研 4/3-3/30 3か月 12か月 45 物理 素粒子ミュオンを用いた原子 力先端材料研究 46 物理 J-PARC/MLF/ANNRIを 用いた中性子共鳴吸収による 即発γ線の測定研究 47 物理 レーザー誘起ブレークダウン 分光法による迅速その場元素 分析技術開発に関する研究 福島研究開発部門 廃炉国際共同研究センター 燃料デブリ取扱・分析ディビジョン 若井田 育夫 燃料デブリ分析グループ 029-282-5851 [email protected] なし 福島 6/1-3/30 3か月 10か月 物理 福島第一原子力発電所廃止措置におけるレーザー誘起ブレークダウン分光法(LIBS)の適 用は、迅速かつ簡便であり、その場分析の実現性から、その応用価値は高いものの、主た る成分に隠れた極低濃度の元素検出や同位体の確実な計測は困難である。そこで、本課 題では、微弱パルスレーザーの試料への照射により原子状の低エネルギープルームを生 レーザー共鳴分光法を活用し 成し、これをターゲットとした共鳴吸収分光により、核燃料物質や廃棄物を模擬した試料中 福島研究開発部門 た元素・同位体の迅速分析技 に含まれる微量成分の元素・同位体分を分析するレーザーアブレーション共鳴吸収分光法 廃炉国際共同研究センター 術開発に関する研究 や、90Srに代表される難測定核種の分析に着目し、波長安定化半導体レーザーを活用した 多段階共鳴電離質量分析法による極低濃度同位体分析手法の開発に関する基盤的研究 を行う。検出感度、元素・同位体選択性能等から、簡便・迅速な分析技術としての可能性を 評価すると共に、分析ツールとしての基本設計を目指す。 燃料デブリ取扱・分析ディビジョン 若井田 育夫 燃料デブリ分析グループ 029-282-5851 [email protected] なし 原科研 4/3-3/30 3か月 12か月 物理 J-PARCリニアック加速器 の性能向上に関する研究 大強度陽子加速器研究施設(J-PARC)は、初段の加速部となるリニアック、とりわけイオ ン源、高周波四重極リニアック(RFQ)、ドリフトチューブリニアック(DTL)といった先頭にある 機器での電流やビームの品質(エミッタンス)が、後段を含めた加速器全体のビーム性能を 原子力科学研究部門 決める大きな要因となる。そこで、本テーマでは、ビームシミュレーションや電磁場評価、及 J-PARCセンター び実機やテストスタンドの機器を使った測定・評価を通し、電流やエミッタンスなどのJ-PA RCリニアックの性能向上に関する研究を行う。 加速器ディビジョン 加速器第一セクション 神藤 勝啓 029-284-3195 [email protected] 放射線 J-PARC 4/3-3/30 6か月 12か月 物理 大強度陽子加速器研究施設(J-PARC)の加速器では、ビーム利用運転を実施しながら ビーム出力増強のための研究開発も併せて実施している。ビーム出力を増強するためには 加速する粒子数を増加させるだけでなく、加速途中でロスするビーム量を低減させることが 重要である。ロスしたビームが加速器構成機器を放射化させ、機器を故障させるだけでな J-PARC加速器のビームロ 原子力科学研究部門 く、保守時の人体への被ばくが問題となるためである。本研究テーマでは、J-PARC加速 スに関する研究 J-PARCセンター 器、特に3GeVシンクロトロンでのビームロスを低減させるために、ロスのメカニズムの究明 及びその対策の構築を目的とする。具体的には入射ビームの形状とロスとの因果関係の 究明、ビーム制御、荷電変換フォイルの影響とフォイルの最適化、残留ガスとの相互作用、 インピーダンス低減、電子・陽子不安定性などに関する研究を行う。 加速器ディビジョン 加速器第二セクション 山本 風海 029-284-3095 [email protected] 放射線 J-PARC 4/3-3/30 3か月 12か月 物理 核変換システムの核設計精度向上のためには、核破砕反応及び核分裂反応で主に発生 核破砕中性子源で生成する する数MeV以上の高エネルギー中性子に関する高精度な実験的断面積データが必要とな 高エネルギー中性子による核 原子力科学研究部門 る。本テーマでは、J-PARCセンターの物質・生命科学実験施設における水銀標的から、 反応断面積測定システムの J-PARCセンター 陽子ビームの進行方向に対して後方に生成する中性子を用い、核変換システムにおいて 開発 重要な核反応断面積が取得可能なシステムの研究開発を行う。 核変換ディビジョン 施設利用開発セクション 明午 伸一郎 029-284-3207 [email protected] 放射線 鉛 J-PARC 4/3-3/30 6か月 12か月 佐々 敏信 029-282-5364 [email protected] 鉛 J-PARC 4/3-3/30 3か月 12か月 物質・生命科学ディビジョン 共通技術開発セクション 中谷 健 029-284-3201 [email protected] 放射線 J-PARC 4/3-3/30 12か月 12か月 物質・生命科学ディビジョン 中性子利用セクション 甲斐 哲也 029-284-3208 [email protected] 放射線 J-PARC 4/3-3/30 3か月 12か月 029-284-3762 [email protected] なし 原科研 4/3-3/30 3か月 12か月 48 49 50 51 52 物理 53 物理 54 物理 55 物理 原子力科学研究部門 先端基礎研究センター ナノスケール構造機能材料科学 研究グループ 原子力科学研究部門 核工学・炉工学ディビジョン 原子力基礎工学研究センター 核データ研究グループ 加速器駆動核変換システムの主要構成機器である核破砕ターゲットの工学試験を実施す るための核破砕ターゲットをJ-PARCに設置する計画を進めている。本研究では、250kW 原子力科学研究部門 鉛ビスマス核破砕ターゲットシ の陽子ビームを受容する鉛ビスマス合金核破砕ターゲットについて、ターゲット本体を含む J-PARCセンター ステムの開発 機器の設計と開発に必要な要素技術研究を、JAEAに設置した大型鉛ビスマス研究装置を 用いて実施する。 J-PARCのMLFでは、プローブとなる中性子のみならず、実験条件についてもイベント 中性子動的現象測定の実時 データとして収集するシステムを世界で初めて実用的に運用することに成功し、その応用と 原子力科学研究部門 間シミュレーションソフトウェア して動的現象のリアルタイム測定が可能である。本テーマでは、測定したデータのリアルタ J-PARCセンター の開発 イム処理と連動して実行可能な、実験条件から導かれるシミュレーションソフトウェアを開発 する。 本研究テーマでは、パルス中性子の特徴である幅広いエネルギーの同時利用と飛行時間 法によるエネルギー分析手法を有効に活用した、元素選択型中性子イメージング技術の開 パルス中性子ビームを用いた 発研究を行う。eV以上のエネルギーを持つ中性子において特徴的に現れる原子核種に依 原子力科学研究部門 元素選択型イメージング手法 存した共鳴吸収現象や、中性子に対する断面積の核種による違いをイメージング技術へ利 J-PARCセンター の開発研究 用することにより、観察対象を構成する原子核種の2次元/3次元的な空間分布を定量的に 解析する技術を、J-PARCの物質・生命科学実験施設に設置された中性子実験装置を利 用して開発する。 本テーマでは、福島第一原子力発電所の事故で生じている燃料デブリの再臨界リスク評価 に資するため、次のいずれかの研究を行う。 福島第一原子力発電所の事 ①性状が複雑な燃料デブリの中性子増倍率、動特性パラメータ等又は再臨界時の出力挙 安全研究・防災支援部門 故に係る燃料デブリの再臨界 動の研究 安全研究センター リスク評価に関する研究 ②地震や浸水状態における化学変化、取出し等に伴う燃料デブリの性状変化により臨界に 達する頻度の評価手法に関する研究 なお、評価の方法はレベル1PSDの手法を応用する。 核変換ディビジョン ターゲット技術開発セクション 燃料サイクル安全研究ディビジョ ン 外池 幸太郎 臨界安全研究グループ 平成29年度特別研究生募集テーマ一覧 テーマ No. 56 57 58 分野 ディビジョン・課室 担当者 TEL(外線) Email 特殊作業 受入拠点 受入可能期間 物理 高速炉プラントの通常運転からシビアアクシデントを含む事故時に至るまでの様々な事象、 現象に対して、より精度の高いシミュレーションを行うことを目的に、時間・空間スケールの ナトリウム冷却高速炉プラント 高速炉研究開発部門 異なる核、熱流動、構造等の複数の解析コードを結合するシステムを開発している。本研 シミュレーションの統合プラッ 次世代高速炉サイクル研究 究では、結合の基盤となる統合プラットフォーム(Pythonを用いたインタフェース)を開発す トフォームの技術開発 開発センター ると共に、オープンソース解析コード(OpenFOAM、Code-Aster等)の統合プラットフォーム への組み込み、及び、その応用として複数解析コードのカップリング解析を実施する。 高速炉計算工学技術開発部 シ ステム統合グループ 堂田 哲広 029-267-1919 (内線:6750) [email protected] なし 大洗 4/3-3/30 3か月 12か月 物理 高速炉プラントのシビアアクシデント評価では、炉心燃料の溶融、炉外への流出を始め、多 岐にわたる物理現象のモデル化が必要となる。本研究では、数値解析によるシビアアクシ ナトリウム冷却高速炉プラント 高速炉研究開発部門 デント評価手法開発のための物理現象のモデル化に関する調査及び数値解析手法への のシビアアクシデント評価手 次世代高速炉サイクル研究 組み込みを行うことで、シビアアクシデント発生時から放射性物質の環境への放出までを一 法の技術開発 開発センター 貫して扱える評価手法を開発する。研究課題では、調査の過程で得られたモデル群から一 つを選び、数値解析手法への組み込み、検証、及び、妥当性確認を実施する。 高速炉計算工学技術開発部 シ ステム安全解析グループ 髙田 孝 029-267-1919 (内線:6036) [email protected] なし 大洗 4/3-3/30 3か月 12か月 西村 昭彦 0770-21-5050 [email protected] なし 敦賀 4/3-3/30 3か月 3か月 物理 研究テーマ名 別紙2 プラント保守保全へのレー ザー加工技術の応用 研究の概要(最大400字程度) 部門・部等 特別研究生には、大学院での研究内容を勘案し、以下のテーマの中から最適と思えるテー マを選択していただく。 ①コンクリート非破壊検査 原子力施設のコンクリート構造物の遠隔監視・検査技術の高度化のため、パルスレーザー 生成超音波による振動計測を行う。さらに、コンクリート内部の音響波伝搬解析を実施す る。 敦賀事業本部 ②配管内壁補修 敦賀連携推進センター プラントの保守保全技術に資するため、配管内壁のレーザー補修・溶接システムの高度化 を行う。既存のシステムに、レーザー生成超音波を用いた補修・溶接部位の遠隔非破壊検 査機能を付加する。 ③微少量サンプリング技術 レーザー蒸発によりプラント構造物の表面から微少量をサンプリングする技術開発を行う。 既設のフィルタ式吸引器とパーティクルカウンタを組み合わせて蒸発粒子の計測を行う。 レーザー共同研究所 受入最小期間 受入最大期間 平成29年度特別研究生募集テーマ一覧 テーマ No. 59 60 61 62 分野 研究テーマ名 別紙2 担当者 TEL(外線) Email 特殊作業 受入拠点 受入可能期間 放射線 陽電子は、電子の反粒子であり、電子と対消滅し、消滅γ線が放出される。この消滅まで の寿命や消滅時のγ線のエネルギーを観測することで、ナノスケールの構造に関する研究 ナノ領域の材料研究のための が可能である。具体的には、金属中の欠陥構造の状態、絶縁物中の自由体積や結晶構造 原子力科学研究部門 燃料・材料工学ディビジョン 陽電子科学に関する研究 などである。この特性を生かし、金属に色々な刺激を与えることで形成される空孔などの欠 原子力基礎工学研究センター 照射材料工学研究グループ 陥による巨視的物性変化の機構解明や、ナノスケールの構造変化から機能性高分子材料 などの機能性発現の機構解明などを行う。 研究の概要(最大400字程度) 部門・部等 ディビジョン・課室 受入最小期間 受入最大期間 平出 哲也 029-282-6552 [email protected] 放射線 原科研 4/3-3/30 6か月 12か月 放射線 本テーマでは、福島第一原子力発電所(1F)の廃炉を円滑に進めることを目的とした、燃料 デブリ取り出しに必要となる高線量環境下における燃料デブリの分布を把握するための放 高線量環境下におけるガンマ 射線計測(中性子、ガンマ線等)手法の研究開発を行い、また、1F建物内に飛散している 福島研究開発部門 線・中性子のイメージング技 放射性セシウム等の放射性物質を撤去及び除染するための放射性物質の3次元的な分布 廃炉国際共同研究センター 術の開発研究 を把握するため、建屋内での3D放射線イメージング計測技術、及びそれに係る解析技術、 放射線画像再構成手法の研究を行う。 遠隔技術ディビジョン 放射線イメージング技術開発グ ループ 鳥居 建男 029-282-6329 [email protected] 放射線 原科研 4/3-3/30 3か月 12か月 放射線 福島第一原子力発電所から今後取り出される燃料デブリの保障措置対応や安全性評価の ために、燃料デブリ中の核燃料物質量を評価することが必要となる。現在、この評価を目的 として、放射線検出器の応答と燃焼度相関等を応用した手法開発を非破壊測定シミュレー ションにより行っているが、対象はUO2溶融燃料デブリのみである。一方、3号機にはUO2燃 MOX燃料溶融起源の燃料デ 料に加えてMOX燃料も装荷されていたことから、MOX燃料溶融起源が支配的なデブリとそ 福島研究開発部門 ブリ判定と核燃料物質量推定 うでないものを区別し、その中に含まれる核燃料物質量を評価する技術の開発が必要とな 廃炉国際共同研究センター る。そこで、本テーマでは、原子力機構が作成した燃料デブリ組成データベース、線源評価 のための技術開発 計算コード、粒子輸送計算コード等を駆使して燃料デブリが放出する放射線(ガンマ線、中 性子)からMOX燃料溶融起源デブリを判定し、その核燃料物質量を評価する手法を検討す る。 応募者は、UNIX系計算機を使用した経験があることが望ましい。 燃料デブリ取扱・分析ディビジョン 線量評価・計量管理グループ 奥村 啓介 029- 282-5840 [email protected] なし 原科研 4/3-3/30 3か月 12か月 放射線 福島第一原子力発電所事故炉の廃止措置では、炉内の状況調査の一つとして、局所的な 線量評価や線量計測による燃料デブリの存在確認が求められているが、高線量率環境に 光ファイバーを活用した遠隔 おける府車線計測は前例がなく、極めて挑戦的な技術開発である。そこで、本テーマでは、 福島研究開発部門 放射線モニタリング技術開発 耐放射線性光ファイバの先端に、放射線による発光物質を取り付け、局所的な線量評価の 廃炉国際共同研究センター に関する研究 可能性にチャレンジする。ルビー、YAG、PWO及びその他の様々な発光体に対し、放射線 による発光波長分布を計測すると共に、ガンマ線耐性及び線量率に対する発光強度依存 性を取得し、モニタリングの可能性を評価する。 燃料デブリ取扱・分析ディビジョン 若井田 育夫 燃料デブリ分析グループ 029-282-5851 [email protected] 放射線 原科研 4/3-3/30 3か月 12か月