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世界寺子屋運動の現場⑧【ネパール】

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世界寺子屋運動の現場⑧【ネパール】
2005年7月1日発行(奇数月1日発行)通巻1098号 昭和26年11月24日 第三種郵便物認可
ISSN1340-6442
[発行]
(社)
日本ユネスコ協会連盟
△
会 長:児島 仁
副会長:加藤 玲子・平山 郁夫・松田 昌士
理事長:野口 昇
日本ユネスコ協会連盟
世界寺子屋運動の現場 ⑧【ネパール】
ヒンドゥー教で雌牛は豊穣と母性の象徴だ。
「holy street
cow(聖なる野良牛)
」として崇められている。ネパールの
首都カトマンズでも、大通りの真ん中でわがもの顔に寝そ
べっている牛によく出会う。昨今はクルマとの衝突事故も
増えており、愛牛を郊外の放牧地へ移住させる人も多く
なったという。農村では牛たちは本当によく働いている。
田植え前の代掻き、荷車に満載した苗の運搬、収穫した稲
や麦を踏んでの脱穀…。一家に1頭、牛がいることで農作
業の負担がどれほど軽くなるか知れない。
ユネスコ in Action 全国大会
第61回 日本ユネスコ運動全国大会 in名古屋
シンポジウム「文化の多様性と平和の展望」
イベントレポート
2
3
Youth in Action 全国大会
いりゃ∼せユネスキャン!私たちからのメッセージ
評議員会・理事会・総会報告
6
7
松井秀喜ホームランチャリティー
「世界遺産スタディツアー」/
ベトナム寺子屋プロジェクト最終評価会議
14
お知らせ・募集
15
“ありがとう”のページ(募金協力者一覧)
海外支援報告
ユネスコ・世界寺子屋運動
世界遺産活動
その牛たちからの究極の贈り物がこれだ(写真)
。牛のフ
ンとワラを混ぜてこね、手のひら大に伸ばし、壁に貼って
天日乾燥すると出来上がり。家々の壁を埋め尽くすこのエ
コ燃料は、路地に独特の香りと雰囲気をかもし出す。
「ああ、
村に来たな」と感じる瞬間だ。ちなみにネパール(ルンビニ)
で牛1頭の値段は1万ルピー(約1万5千円)ほどだとか。現
地では大金だが、聖なる牛たちは命ある限り、天と地にや
さしい熱エネルギーを恵み続けてくれることだろう。
(教育文化事業部 ファイン荒井千香子)
10
12
16
世界遺産の現場(25)
雄壮な大自然 カナディアン・ロッキー ②
20
ユネスコ in Action
全国大会
ユネスコ創設60
ユネスコ創設
ユネスコ創設60周年記念
60周年記念
周年記念
第61
第61回
61回
日本ユネスコ運動全国大会 in 名古屋
2005
2005年6月11
2005年6月11日、
11日、
日、
「第61回日本ユネスコ運動全国大会
「第61
「第
61回日本ユネスコ運動全国大会
回日本ユネスコ運動全国大会 in名古屋」
in名古屋」が開催された
れた。
1952年の第8回全国大会開催当時の面影が残る名古屋市公会堂大ホール。
会場は、1952
1952年の第
年の第8回全国大会開催当時の面影が残る名古屋市公会堂大ホール
回全国大会開催当時の面影が残る名古屋市公会堂大ホール。
初日の参加者数は818名を数えた。
初日の参加者数は818名を数えた
「文化の多様性と平和の展望」のテーマのもと、初日の参加者数は818
名を数えた。
も愛知県では2005年日本国際博覧会
も愛知県では2005
2005年日本国際博覧会
年日本国際博覧会「愛・地球博」が開催されており、
折りしも愛知県では
翌6月12日は万博会場見学と国連館における特別プログラムを中心に
翌6月12
12日は万博会場見学と国連館における特別プログラムを中心に
日は万博会場見学と国連館における特別プログラムを中心に
幅広い内容の大会となった。
なった
全国大会開会式(第1部)では、名古屋ユネスコ協会
インドの寺子
青年部若 鯱 組代表安達仁美さんによる若さあふれる開
屋運動の現場
会宣言の後、児島仁日本ユネスコ協会連盟会長あいさつ
や世界遺産を
が行われた。続いて、中山成彬文部科学大臣代理として
とおして、初
出席した国際統括官日本ユネスコ国内委員会事務総長井
めて教育の大
上正幸氏、町村信孝外務大臣代理として出席した広報文
切さ、過去か
化交流部長近藤誠一氏、神田真秋愛知県知事、松原武久
ら引き継がれ
名古屋市長より来賓としてそれぞれ祝辞をいただき、松
た遺産を守る意味を考えたなど、個々の感想が述べられ
浦晃一郎UNESCO事務局長のメッセージが若鯱組の代表
た。
わか しゃち
者によって代読された。来賓として、マリアヘレナ・ヘ
青年アピールでは、各地の青年活動がビデオで紹介さ
ンリケス・ミュラー2005年日本国際博覧会国連館館長、
れた後、「大人と青年の歩み寄り」や「お互いを認め合
大韓民国からアジア連盟名誉会長の金蘭洙氏、韓国協会
い、一緒に行動すること」の大切さを問いかける寸劇を
連盟会長代理として常任副会長の李平宇氏はじめ釜山ユ
披露。その後「名古屋宣言」
(P.6参照)が発表された。
キムランスー
イ ピョン ウ
ネスコ協会、済州ユネスコ協会から総勢8名が列席。田
川清名古屋ユネスコ協会会長があいさつを行った。
第2部では1951年、日本が悲願のUNESCO加盟を果た
レセプションでは全国大会10回出席者表彰の後、次期
開催地、花巻ユネスコ協会の照井義彦会長と会員があい
さつとアピールを行った。その後会場を移して開かれた
した折のビデオが上映された。当時の米国国務省が作成
若鯱組企画運営による「いりゃ∼せユネスキャン」では、
した記録映画で、昨年日ユ協連がUNESCOパリ本部から
133名が参加して、22時まで和やかな交流が続いた。
提供を受けた貴重な映像である。
晴天に恵まれた翌12日は、万博会場内の国連館・エ
ビデオ上映に引き続き、本大会の核となるシンポジウ
ジュケーションコーナーで「絵で伝えよう!わたしの町
ム「文化の多様性と平和の展望」が、法政大学企画・戦
のたからもの」絵画展全国審査入賞作品展示会のオープ
略本部特任教授の青木保氏をコーディネーターに、財団
ニング式典が、共催のあいおい損害保険㈱の
法人日本総合研究所理事長・㈱三井物産戦略研究所所長
役会長出席のもと行われた。
下明取締
の寺島実郎氏と東京大学法学部・同大学院法学政治学研
続いてミュラー国連館館長の全面的な協力で特別に用
究科教授、藤原帰一氏をお迎えして行われた。鼎談形式
意された「国連館・シアター」プログラム(同館長のス
で、休憩をはさみ2時間にわたって熱論が繰り広げられ
ピーチや質疑応答、ビデオ上映を含む)が5回実施され、
た(要旨はP.3∼5)
。
全回ともユ協会員で
田川陽子バレエアカデミーによる華やかなバレエ公演
で始まった第3部は、ユネスコ青少年信託基金によるイ
ンドスタディツアー参加者による報告、青年アピールへ
と若者の手にバトンタッチされた。
スタディツアー報告では、参加者が現地で識字の大切
満席となった(写真
右下)
。
来年の全国大会は
6月3(土)
・4日(日)
の両日、岩手県花巻
さを訴えるため行った路上ドラマを再演(写真右上)。
市で開催される。
2
※来年の全国大会の開催日は6月10(土)
・11日(日)から6月3(土)
・4日(日)に
変更となりました。
ユネスコ 2005/7
シン ポジウム
「文化の多様性と
平和の展望 」
【コーディネーター】
法政大学 企画・戦略本部特任教授
青木 保 氏
とした一種の単独行動主義に支持と拍手を送り、溜息ま
じりのうちに理念やビジョンを失う方向に行くのではな
いか。ごまかしなく直視すれば、今年になって日本が置
かれている状況は尋常ではありません。日本が国連の常
任理事国になるかもしれないというような希望的観測が
スーッと出た途端、近隣諸国からぶつけられた本音を見
ても、日本を取り巻いている空気が決して単純なもので
【パネリスト】
(財)日本総合研究所理事長 ㈱三井物産戦略研究所所長
寺島 実郎 氏
東京大学法学部・大学院法学政治学研究科教授
藤原 帰一 氏
はないことに皆さんもお気づきのはずです。
私は20世紀の日本の国際関係を特色づけるキーワード
はアングロサクソン同盟だったと言い続けている。世紀
初めの20年間は日英同盟をテコに日露戦争から第1次世
界大戦までユーラシア外交の勝ち組だった。続く20年は
「日本のユネスコ加入」
(製作USIS)…会場を埋めた参
加者は上映されたモノクロ画面に見入った。
戦争をはさんでのダッチロールでしたが、1945年からの
55年間は米国という新手のアングロサクソン国との2国間
日本の主席代表・前田多門氏(元文部大臣)の感謝演
同盟で生きてきた。100年のうち75年間もアングロサクソ
説からは当時の日本の息吹と高揚感が伝わってくる。
ンの国との2国間同盟で生きたアジアの国という、全く
「…ユネスコ憲章は戦後の日本復興に希望と光明を与え
例のない自画像を持っている国が日本です。しかも、そ
てくれました。ユネスコ精神は平和を愛する民主国家と
の同盟が成功体験だったという視界と、米国をとおして
して再建の途にある今日の日本にとって、指導原理でな
しか世界を見ないという習性を身につけた。気がつけば、
くてはなりません」「…平和の防衛が困難であればある
近隣諸国と決定的信頼関係を構築し得ないまま21世紀の
ほど、我々は、国際連合及びその専門機関を通じて、さ
初頭を迎えている。我々はいま、かつて松岡洋右が国際
らには人びとの心の中に平和のとりでを築くことによっ
連盟よサラバと言って席を立ったときに近い空気の中に
ての国際協力が、絶対必要であると確信するものであり
立っているのではないか。そういう気さえします。
ます」。画面の中の各国代表と会場からの大きな拍手が
重なった。
(以下発言要旨 文責:編集部)
具体的な例としてICC(国際刑事裁判所)問題を挙げ
ましょう。一昨年の3月にできて、現在97カ国が批准、
韓国は18人の判事の1人を送り込んでます。ところが京
青木:今日は寺島さん、藤原さんという日本を代表する
都議定書と同じことが起きた。クリントン政権のときに
論客をお招きし、文化と平和という21世紀の大テーマを
は参加しますとサインしていた米国がブッシュ政権に
めぐって存分に議論を展開していただけると期待してい
なってノーに変わった。なぜだと聞くと、米国人が第3
ます。お二人の基調スピーチのあと、司会役の私も仲間
国で刑事犯罪人として逮捕され不公正な裁判の犠牲にな
に入れていただきます。
ることを拒否するんだと。米国の気持ちは分からんでも
ないが、ここで問題なのは日本なんです。ICCの目的は、
寺島:先ほどのビデオを拝見して日本がUNESCOに参加
国境を越えた組織犯罪や人道に対する犯罪を国際ルー
した瞬間を改めて確認しました。そこで思い出したのは
ル、つまり刑事訴訟法的手続きをつくって処断すること。
最近スイスのジュネーブで見た不思議な光景です。ジュ
いわば人類社会の願望を実現するプロセスです。この構
ネーブにはWTO(世界貿易機関)の本部があるんです
想の先頭をきっていたのが他ならぬ日本です。すべての
が、その前で中国人観光客がバスを連ねて写真を撮って
予備会議に出、議長国もやった。一番先に批准するので
いる。国際社会に招き入れられたという中国人の喜び、
誇りを実感しましたね。私は1947年の生まれです。ちょ
うどそのとき仙台で民間ユネスコ運動がスタートしてま
すから、まさにユネスコと併走して年をとってきた、そ
んなことも思い出されて、今日はとても感慨深い。
さて、私は平和ということに、いま途方もない危機感
を感じています。建前やきれい事ではすまない現実が目
の前にどーんと横たわっていると。直視すべきは、日本
人自身の平和の問題に対する本当の気迫ある問題意識、
自画像です。50∼60年前に比べて、私たちは本当に平和
について強烈な問題意識を持っているか。
あの9.11以後、時代の空気は大きく変わった。力の論
理への傾斜というか、この国はいつの間にか米国を中心
PROFILE
寺島 実郎
てらしま・じつろう
(財)日本総合研究所理事長 ㈱三井物産戦略研究所所長
1947年生まれ。早稲田大学大学院政治学研
究科博士課程修了。三井物産㈱入社。ブ
ルッキングス研究所に出向。米国三井
物産ニューヨーク本店業務部情報・企画
担当課長、同社ワシントン事務所長、三
井物産業務部総合情報室長を経て、1999年
から㈱三井物産戦略研究所所長、2001年か
ら(財)日本総合研究所理事長、現在に
至る。2002年から早稲田大学大
学院アジア太平洋研究科教授、
2003年三井物産㈱執行役員。
ユネスコ 2005/7
3
ユネスコ in Action
全国大会
はと期待されていた。その日本はいまに至るも批准しよ
僕たちはカントから多文化共生という言葉を引き出せる
うとしない。なぜか。要するに「対米配慮」です。欧州に行
か。たぶんできない。彼は文化の共生ということは考え
くとからかわれる。いつものパターンですなと。このICC
ていない。むしろ逆で、カントが考えているのは「普遍
問題も自分の顔がよく映っている鏡ではないでしょうか。
的な観念に支えられた世界」です。彼が考えていたのは
しかしそこで注意すべきは、鏡によっては映る画像が
人の心の問題ではなく、人の心が投影される舞台でした。
ゆがむということです。UNESCOもそうだがヨーロッパ
それが共和主義ないしは共和制と言われるものです。フ
にある国際機関はすごく重要です。ワシントンの思惑ばか
ランス革命の形ですね。共和制が広がることで世界は平
りが反映される国際機関とは違う。自分の思うようにな
和になる、人びとの利益がそのまま映し出される政府の
らないと20年近くUNESCOを脱退していた米国には、そ
実現こそ平和の条件だとする「普遍主義の観念」です。
れだけにこの国際機関を大事にしなければならない部分
一方、これとは反対の議論も成立します。世界にはい
がある。我々も、国際社会の仕組みの中でUNESCOは微
ろんな文化や価値観があるのだから大事なのは普遍性で
妙な位置にあると知るべきです。また国際機関の変革を
はなくて「他者性」ではないか。自分と異なる他者の考
めぐるスタンスにしても、平和主義に徹し、核を持たず、
え方・文化を理解し共存することを知る、それが平和の
武力で紛争に介入しないとする国が一つぐらい常任理事
条件だとする考え方もできる。
国の一角を占めてもいいじゃないかというはっきりとした
いや、両方とも間違いだ、国際政治は権力政治、力関
メッセージこそが、国際社会でいかに大きなインパクトで
係なのだから、普遍主義とか人権とかそんなものは現実
あるか、日本はそのことに気づかねばならないでしょう。
とは関係ない、まして多文化共生といった問題ではない。
国際的な視座が大切だという例を付け加えます。北朝
鮮の問題です。さぞかし国際社会で孤立しているだろう
と我々は思いがちですが、日本の外ではそうではない。
要するに平和とは自国の権力と安全をどう伸ばし保持す
るかの「力」の問題だとする考え方もあるわけです。
この三つの考え方で最初に生まれるのが力という観念
現在、北朝鮮は世界の154カ国と正式の国交を持ってま
です。それもヨーロッパ世界が宗教を巡って正義と正当
すし、1974年以来UNESCOの一員です。フランスを除く
性を争った時代から、領土や利権といった権力で争う近
欧州の主要国とは大使の交換もしている。そう見ると孤
代国際政治への流れです。次に出てくるのは民族。政府
立しているのはどっちか分からなくなりますね。
に正当性を与えているのは民族の代表者だからだという
今回こうしたお話をするのも、視界を開き国際的な視
考え方は、やがて国民国家の時代に続いていく。アジア
座に立って問題にあたる思考をねばり強く持つ…それが
ではその過程が今も進んでいます。注意したいのは、国
UNESCOの運動にかかわる人間の思想であって欲しいと
民という基準で国際政治を考えると、他の国民、他者を
思うからです。
容認する結果にはならず、むしろ自分たちのナショナリズ
ムを極限まで高める動きを誘発してしまう点です。
藤原:先ほどの映像は私にも印象深いものでした。一つ
日本の教科書が取りざたされていますが、ヨーロッパ
は日本のユネスコ加盟が大きな事件として表現されてい
でみれば、どの国でも最もナショナリスティックな教科
る。日本政府でも敗戦直後すでに外務省の戦後問題研究
書が書かれたのは第1次大戦直前の10年間でした。ドイ
会でUNESCO加盟が議論されていますし、国連加盟に先
ツの場合それがナチズムへとつながります。大戦後、民
立つ国際社会復帰という目的と結びつく大事業だったこ
族意識の昂進を排除する観念として唱道されたのが人権
とが分かります。もう一つは世界平和への貢献という、
であり民主主義でした。しかしこれは進化の過程ではな
いま考えると思い上がったとさえとれる意味づけです。
い。そうであれば話は簡単です。やっと国民国家を実現
時代の気負いとでも言うか。とにかくUNESCOは最初か
した国が人権や民主主義の普遍性といった新たなスタン
ら、新日本が文化の光で平和を広げる役割を果たす場所
ダードを当てはめられたときの紛争を考えると、ゴチャ
として位置づけられていたことを改めて感じました。
私事で恐縮です。私に帰一という名を付けたのは大お
じ(三浦鉄太郎、経済誌「東洋経済」の創始者)でした。
私が生まれた1956年に日本は国連に加盟しますが、この
老ジャーナリストは、これで世界が一つになる、帰一す
ると考えたんですね(笑)。いま考えれば、時代の気負
いのようなものかもしれませんね。
さて、周知の「人の心の中に平和のとりでを築く」とい
う文言です。この考え方の基礎を辿るとイマヌエル・カ
ントに行き着くと言っていい。彼は有名なエッセイ「永
遠平和のために」の中で国際平和の条件として平和を大
事にする心、そのための教育について論じている。では
4
ユネスコ 2005/7
PROFILE
藤原 帰一
ふじわら・きいち
東京大学法学部・大学院法学政治学研究科教授
1956年生まれ、東京大学法学部卒業・同大
学院法学政治学研究科博士課程中退。フル
ブライト奨学金奨学生として、米国イェー
ル大学大学院政治学部博士課程に留学。東
京大学社会科学研究所助手、千葉大学法経
学部助手、同助手教授、東京大学社
会科学研究所助教授を経て、
1999年から同法学部・大学院
法学政治学研究科教授に転任
し現在に至る。
ゴチャの過程はまだ終わりそうにありません。
文化の多様性に戻ります。これは求めて得たものでは
なく現実であり、どう受け入れていくのかが課題です。
カントの普遍主義に触れましたが、ヨーロッパの民主主
義は他者性獲得の歴史だったとするちょっと変わった意
見も出されています。他者が何をどう考えるかを知って
初めて欧州で民主主義が根付いた。デモクラシーが普遍
で民族意識は個別だという議論は頭の中のゲームに過ぎ
がらにつながります。自分たちの文化が大事だから守る
ないという意見です。確かに国際政治の議論は常に他者
と言いながら、実は自分たちの文化が中心で、他より優
をどう認識するかということだった。その点UNESCOは
れているのだからしっかりガードしよう。この考え方で
国連以上に大きな役割を果たしている。文化の尺度から
自分の文化の独自性を主張する点は結構だが、先ほど藤
国際関係に光をあてるUNESCOは、国連という主権国家
原さんが言われた他者性というか異なるものの尊重に到
の論理とはまた違った根を持っています。国際政治を語
らないばかりか、他者の排除にまでいきかねない。ひい
る基準が力、民族、普遍主義と入り交じり、それ自体が
ては文化間の対立や紛争にもつながるかもしれません。
紛争の種となってしまう時代、文化の他者性の問題を正
現在の世界を見ると宗教、言語など文化の違いをめぐ
面から考える国際組織UNESCOの存在感と、それを支え
る争いがいかに多いか言うまでもありませんが、それに
るNGOの意味を改めて感じさせられています。
対して多様性を主張することがどう関われるのか大きな
問題です。その場合、文化の多様性を孤立させない、特
青木:2001年にUNESCOが「文化の多様性に関する世界
定の文化を仲間はずれにしないために、個々の文化の協
宣言」を出したこともあって、さまざまな文化を人類共
調性を生み出す枠組み作りや、相互理解をもたらす運動
通の遺産として未来に引き継ごうという考えは非常に強
がとても重要になると思われます。いまUNESCOが進め
く世界に提起されました。文化の多様性の重要さ、同時
ている文明間の対話もその一つですが、NGOも含めて
にその危機についての問題は近代文明、とくに20世紀文
さまざまなレベルでの展開が必要になっています。現在
明の本質と裏腹ではないかと私は考えています。少し
の東アジアを見てもあらゆる面で対話が行き詰まってい
遡って16世紀以降の世界を見ても植民地主義がもたらし
る。いささか使い古された「文化交流」はもっと戦略的
たいわゆる西洋化に始まり、工業化、昨今のグローバル
に役割を果たすべきときだと考えます。
化に到る「同じものを追求する文明」のツケが廻ってき
いま、とりわけ東アジアで文化の多様性を足元で支え
た。利便性やスピードと引き替えに、取るに足りないと
ているのは、情報のグローバル化だと言えます。東アジ
して捨て去ってきたものがどれほどあるか知れない。い
アは米・欧といった他地域の文化を一番積極的に受け入
まになって事挙げされる文化の多様性の擁護は、そうし
れてきたし、日本の発達はその証拠です。私はヨン様
た歴史への反省であると同時に、責任でもあることを先
ファンですけど(笑)いまの韓流ブームには本当にビッ
ず押さえておくべきでしょうね。
クリです。数年前まで現代韓国の文化や感情に日本人が
いま言ったことをすぐひっくり返すようですが、文化
どれだけの関心を持っていたでしょうか。そうした時代、
が抱える問題の難しさは、人間にとって物質文明がなん
文化の多様性という難しそうな言葉はさておいて、「冬
とも素晴らしく魅力的だという点にあります。言葉も大
のソナタ」の後を政治や安全保障とかの国家間交渉がつ
切な文化ですが、利便性を考えるとたくさんの人が同じ
いていく場面も夢ではないかもしれませんね。
言葉、例えば英語を使った方がいい。その結果、少数民
族や地域社会の言語がどんどん消滅していってます。し
かしそうした文化が失われるのを残念だと思う人もいれ
ば、生きるためには英語の方がいいという人もいるで
しょう。文化の多様性をいかに擁護し、尊重していくか
についてはいろいろなレベルがあり、一律には言えない
のが難しいところです。
文化の多様性が抱えるもう一つの問題は、その政治性
です。フランスのように、米国の大衆文化から自国の映
画や料理文化を守れと、法律や条約まで作って国際社会
のお墨付きをもらうやり方は、ヒューマニズムや人類文
化の保全などという議論とは別物に映ります。いろんな
思惑がある中で多様性をどう確保するか、まだ不分明で
す。この問題は文化のアイデンティティという別のこと
(誌面の都合によりシンポジウム第2部の概要は次号に掲
載する予定です。編集部)
PROFILE
青木 保
あおき・たもつ 法政大学 企画・戦略本部特任教授
1938年生まれ。東京大学大学院修了(文
化人類学専攻)。大阪大学で博士号(人
間科学博士)。東京大学助手、大阪大学
助教授・教授、東京大学教授などを経て
現在法政大学大学院特任教授。この間タ
イ国立チュラロンコン大学研究員、米国
ハーバード大学客員研究員、仏国立パリ
社会科学高等研究院客員教授、独
コンスタンツ大学客員教授な
どを務めた。
ユネスコ 2005/7
5
Youth in Action
全国大会
いたプログラム
全国大会
を「いりゃ∼せ
私たちからのメッセージ
わかしゃち
名古屋ユネスコ協会青年部若鯱組 安達 仁美
(いらっしゃい
の意)ユネス
キャン」という名古屋弁の名前にし、大人も一緒に楽
しめる内容に変えることにしました。具体的には、予
「やる気があれば何でもできる」を合言葉に名古屋ユ
め用意したサイコロを使って出た番号の質問について
ネスコ協会青年部若鯱組が設立されたのは2002年のこ
少人数グループ内で話し合うというものです。例えば、
とでした。現在、大学生を中心に25名の熱いユネスコ
魂のメンバーが活動しています。
今回の「日本ユネスコ運動全国大会in名古屋」は、
「ユネスキャンになったきっかけ」など、年配の方でも
無理なく参加でき、さらに、頭で理解するのではなく、
心に響く内容にしようと工夫を凝らしました。その甲
大人と一緒に若鯱組が企画運営に携わり、つくりあげ
斐があって大人も青年も同じユネスキャンとして集い、
たものです。とは言いつつ全国大会までの道のりは、
コミュニケーションの重要性を実感しながら、とても
そう簡単なものではありませんでした。全国大会に一
楽しい時間を過ごすことができました。
度も参加したことがない“若造”もいます。私たちに
この全国大会をとおして、私たちは色々な方に支え
いったい何ができるのだろう…。不安やプレッシャー
られていることに改めて気付かされました。若鯱組一
で押しつぶされそうになったことも一度や二度ではあ
同、大変感謝しています。これからも温かい目で見守
りませんでした。
り、ご指導下さい。今後も全国でユネスキャン同士が
本格的に全国大会の若鯱組実行委員会を組織したの
手を取り合う活動が展開されることを願っています。
は今年の4月。経験が浅い若鯱組だけでの運営には不安
があったため、全国規模のイベントで活躍している4人
青年アピール∼名古屋宣言∼(抜粋)
の青年にも、アドバイザーとして入ってもらいました。
2001年の岐阜大会ではじめて青年アピールが行われてか
ら4年、大人と青年の枠は少しずつ取り払われてきました。
今こそ「大人と青年」ではなく、ユネスキャンとして、共
に一人一人が手をつなぐ新しいユネスコ運動を目指すこと
が求められています。∼中略∼
青年のみなさん、地域の活動やブロック大会に参加して、
たくさん話をしましょう。先輩方のお手伝いをし、協力を
仰ぎましょう。先輩のみなさん、青年とたくさん話をして
ください。悩みに手を差し伸べてください。お手伝いをさ
せてください。ユネスコ運動に携わるすべての人、一人一
人が手をつなぐことで生まれる新しいユネスコ運動を、共
に創っていきましょう。
宣言します。私たちはすべての人と手をつなぎ、新しい
ユネスコ運動を創っていきます。
20名を越す大人数の実行委員会となり、全員と情報を
共有するため、新たに全国大会用のメーリングリスト
を立ち上げ、インターネットのチャット機能を利用し
たネットミーティングや、データを共有することがで
きるブリーフケースなどもフル活用しました。
若鯱組に託された企画は、大会プログラムの「青年
アピール」「いりゃ∼せユネスキャン」、開会式の前に
流した若鯱組の活動紹介ビデオの作成とオリジナル
グッズの販売でした。企画の内容を練るために私たち
は何度も話し合いを重ねました。この全国大会をとお
して私たちが伝えたいことは何なのか。繰り返し議論
を重ねた結果、「ユネスキャンとしての協働」という
テーマにたどり着きました。大人と青年を区別するこ
とが、逆に互いを遠ざけてしまうのではないか。世代
間で違う考えや価値観を乗り越え共に活動していくに
は、コミュニケーションをとおして互いに手を取り合
うことが重要だと考えたのです。
「青年アピール」(写真下)では、青年だけでなく名
古屋ユネスコ協会の大人にも参加してもらいました。
最後に、大人と青年が手をつなぎ、これから共に新し
いユネスコ活動を創っていくことを宣言しました(右
記参照)。また、例年「青年のつどい」として行われて
6
ユネスコ 2005/7
PROFILE
安達 仁美
あだち・ひとみ
1979年生まれ。中学2年生のときに母親の
影響で名古屋ユ協に入会。高校2年生のと
きに、世界寺子屋運動スタディツアーでカ
ンボジアへ行き、ユネスコ活動によりいっ
そう興味を持つ。2000年ベトナム、2001
年インド、2003年ネパールの寺子屋を視
察。現在は大学院で教育の研究を続ける傍
ら、青年部若鯱組の代表を務める。大人と青年が手を取り合
う新しいユネスコ活動を展開していくのが当面の目標。
評議員会・理事会・総会報告
5月7日(土)に第6回評議員会と第435回理事会が
東京の朝日東海ビル大手町サンスカイルームで、
6月10日(金)に第436回理事会、第56回通常総会、
第437回理事会が愛知県の名古屋国際センターで
開催された。概要は以下のとおり。
第6回 評議員会
審議があり、新構成団体会員とし
やち また
て八街ユネスコ協会、那賀・青洲
ユネスコ協会、草加ユネスコ協会
の入会を承認。2004年度事業報
告・収支決算案、2005年度事業計
画・収支予算案の協議に続き、
「個人情報の保護」について話し
合いが行われた(P.15参照)
。また、
第6回評議員会で話し合われた
「ユネスコの日(仮称)
」の制定に
ついては、会員にアンケートを送
り意見を求めることになった。
第56回 通常総会
2004年度事業報告では「各地ユ
ネスコ協会の活動拡充」のため、
特に青少年へのユネスコ活動普及
の努力、「世界寺子屋運動の継続
発展」ではベトナムでの寺子屋プ
ロジェクトの当該国法制化への貢
献、「世界遺産関連活動の積極的
推進」のためのバーミヤン文化支
援キャンペーンの実施経過、「事
業計画実施のための財源確保対
策」に向けてのさまざまな取り組
みなどが報告された。2004年度収
支決算報告に続いて、監査報告が
あり、2004年度事業報告書案、決
算書案が全会一致で承認された。
2005年度事業計画では、日ユ協
連が全国のユネスコ協会の連合体
としてユネスコ憲章の理念に基づ
き、各地ユネスコ活動をベースと
して『世界寺子屋運動』
『世界遺産
活動』
『青少年育成』等を重点的に
展開していくことが改めて確認さ
れ、予算案とともに承認された。
2005年1月に日本ユネスコ協会連
盟に加盟した埼玉県ユネスコ連絡
協議会、出雲地区ユネスコ協会
(島根県)、石見地区ユネスコ協会
(島根県)が紹介され(本誌3月号
既報)
、児島会長より加盟証書が手
渡された。
2004年度事業報告・決算案、2005
年度事業計画・予算案に関する協
議の後、第4回評議員会で提案され
た「ユネスコの日(仮称)
」の制定に
第436回 理事会
ついて活発な意見が交わされた。
会員の入退会に
「ユネスコの日」にふさわしい日と
財政状況(2004年度収支決算値) 単位:百万円・%
ついて審議があ
して、1945年にユネスコ憲章が採
( )内は構成比
会費収入49(7.5)
り、提案どおり承
択された11月16日という案と、1947
補助金等収入16(2.5)
世界寺子屋活動費
217(39.5)
認された。引き続
年に世界初の民間ユネスコ団体が
き事業報告や事業
仙台に発足した7月19日という案
総収入
総支出
世界遺産活動費
募金・事業協力金収入
646百万円 550百万円
89(16.1)
408(63.2)
計画、役員・評議員
が出され、それらを両方とも採用
(100%) (100%)
青少年育成活動費
してはどうかという意見もあった。 「選考委員会」や
65(11.8)
普及広報活動費54(9.8)
総会への会員提出
前者を推す主な理由は、①ユネスコ
国際交流活動費4(0.8)
寄付金等収入97(15.0)
一般管理費39(7.1)
特別会計事業収入57(8.8)
議案など、第56回
活動はユネスコ憲章の理念に基づ
特定預金繰入支出35(6.3)
収益会計事業収入19(3.0)
特別会計事業費30(5.5)
通常総会で話し合
いており、憲章採択を記念する意
収益会計事業費17(3.1)
われる内容が協議
義が大きい、②今年がユネスコ憲
※総収入には前期繰り越し収支差額(67百万円)は含まれておりません。
され、了承された。 ※収入・支出額は内部取引額(22百万円)考慮前のものです。
章採択60周年にあたり、世界的な
記念日をつくる好機である、など。
後者を推す主な理由は、①日本の
民間ユネスコ運動に携わっている
者が、それを誇りに思える日とし
たい、②「ユネスコの日」制定の目
的はもともと、国内のユネスコ活
動の活性化、市民への広報の強化
である、などであった。
第435回 理事会
初めに、会員の入退会について
ユネスコ 2005/7
7
評議員会・理事会・総会報告
2005∼2006年度の役員・評議員
の選考が行われ、選考委員会(村
田昌志委員長)による協議の結果
を受けて、新しい役員・評議員が
選出された(P.9に掲載)
。
「ユネスコの日」について、第6回
評議員会の結果を踏まえて各評議
員に対して行われたアンケートの
結果が示され、改めて多くの意見
が述べられた。この総会でひとつ
の意見にまとめるのは難しいとの
結論から、
継続審議することとした。
総会への会員提出議案として、財
務強化のため、個人会員やユネス
コ・カード加入者、自動引落募金加
入者の募集に力を入れるべき、
「ユ
ネスコの日」が決まったら全国的に
普及活動を展開する、
日中韓の歴史
教科書問題を検討してはどうか、
日中韓で児童に教える漢字を統一
してはどうか、などが提案された。
議事終了後、第435回理事会で
加盟が承認された八街ユネスコ協
会、那賀・青洲ユネスコ協会、草
加ユネスコ協会に加盟証書が手渡
された。
第437回 理事会
会長・副会長・理事長の互選、会
長委嘱理事に関する協議を経て、
村田昌志前日ユ協連副会長(萩ユ
協会長)の顧問への推挙、田代美代
子前日ユ協連理事のスペシャル・
アドバイザー委嘱を承認した。
¡事業内容:平和の鐘打鐘の集い
や国際理解教室、俳句大会の実
施など幅広く活動を予定してい
る。また協会名にもある華岡青
洲の顕彰にも力を入れていく。
草加(そうか)ユネスコ協会
八街(やちまた)ユネスコ協会
¡事務局所在地:〒289-1115
千葉県八街市八街ほ35の29
八街市教育委員会内
¡代表者:石橋 宗次(会長)
¡会員数:25名
¡事業内容:1990年発足後千葉県
ユネスコ協会連絡協議会傘下団
体として活動してきた。国際料
理教室や成田空港周辺都市に在
住する外国人調査、東金市内の
地域遺産の継承に関する事業、八
街市内の青少年育成活動を行っ
ており、今後も継続していく。
那賀(なか)・青洲(せいしゅう)ユネスコ協会
¡事務局所在地:〒649-6612
和歌山県那賀郡那賀町大字名手
市場146-4 那賀町役場企画室内 ¡代表者:東 健兒(会長)
¡会員数:100名
第56回通常総会閉会後、愛・地
球博ボランティアセンター国際部会
長大角佳生氏による特別講演会を
実施。
「愛知万博とボランティア」と
いうテーマで、会場内外で3万名を超
えるというボランティアの役割と活動
について詳しい報告が行われた。
¡事務局所在地:〒340-0016
埼玉県草加市中央1-3-18
黒田稔方
¡代表者:黒田 稔(会長)
¡会員数:56名
¡事業内容:草加市の歴史をたど
る“ルック草加史”の発刊を予定
しており、現在その調査活動を
行っている。また、今後の活動と
して「絵で伝えよう!わたしの
町のたからもの」絵画展の実施
を計画するなど、地域文化の継
承に関する活動を中心に行う。
★名称変更のお知らせ
構成団体会員の下館ユネスコ協
ちく せい
会が、筑西ユネスコ協会と名称を
変更。これは、活動地域である下
館市が近隣の3町と合併して筑西
市となり、それに伴って活動地域
を筑西市一帯にするため。
㈱ジューテックが維持会員とし
て入会。
構成団体・維持・個人・賛助団体会員
構成団体会員
構成団体会員(休会)
構成団体会員 計
維持会員
維持会員(休会)
維持会員 計
個人会員
個人会員(休会)
個人会員 計
賛助団体会員
賛助団体会員(休会)
賛助団体会員 計
承認前
承認後
278
14
292
248
85
333
345
4
349
23
0
23
277
14
291
248
85
333
346
4
350
23
0
23
※個人会員は終身会員も含む
2005年6月10日 第436回理事会承認後会員総数
997(うち休会103)
8
ユネスコ 2005/7
★日本ユネスコ協会連盟 第56回通常総会・第437回理事会で選出された役員・評議員は次のとおりです★
(50音順)
2005∼2006年度 役 員
¡会 長
¡副会長
¡理事長
野口 昇
児島 仁
加藤 玲子/平山 郁夫/松田 昌士
野口 昇
再任
¡維持会員代表(4名)
理 事(23名)
¡構成団体会員代表(10名)
北海道ブロック 広重 力 北海道ユネスコ連絡協議会会長
東 北ブロック 東島 末起 盛岡ユネスコ協会会長
関 東ブロック 加藤 玲子 目黒ユネスコ協会会長
矢島 祭太郎 高崎ユネスコ協会会長
中部東ブロック 森川 映 甲府ユネスコ協会会長
中部西ブロック 平井 花画 岐阜県ユネスコ協会会長
近 畿ブロック 的場 道子 伊丹ユネスコ協会会長
中 国ブロック 脇 正典 防府ユネスコ協会会長
四 国ブロック 今井 琉璃男 松山ユネスコ協会会長
九 州ブロック 田中 弘允 鹿児島ユネスコ協会会長
¡個人会員代表(4名)
青木 保
法政大学企画・戦略本部特任教授
田川 清
医療法人幸医会理事長
千葉 杲弘
国際基督教大学COE客員教授
文京学院大学副学長
新任
再任
新任
新任
新任
再任
再任
新任
新任
再任
秋田 実
児島 仁
松代 隆子
松田 昌士
三菱商事株式会社社会・環境室長
日本電信電話株式会社特別顧問
株式会社電通社会貢献部長
東日本旅客鉄道株式会社取締役会長
再任
再任
新任
新任
¡賛助団体会員代表(1名)
米田 伸次
帝塚山学院大学国際理解研究所顧問
新任
¡会長委嘱理事(4名)
鈴木
中西
西村
平山
幹夫
釦治
幸夫
郁夫
元日本放送協会理事
財団法人ユネスコ・アジア文化センター理事長
東京大学大学院教授
ユネスコ親善大使
大瀧 太市
下 明
二瓶 和敏
元朝日実業株式会社社長
あいおい損害保険株式会社代表取締役会長
二瓶総合法律事務所弁護士
新任
再任
新任
再任
監 事(3名)
新任
新任
新任
再任
新任
新任
2005∼2006年度 評議員
構成団体会員代表(90団体)
¡北海道ブロック(4団体)
【再任】
(4団体)
北海道ユネスコ連絡協議会/旭川ユネスコ協会/札幌ユネスコ協
会/函館ユネスコ協会
¡東北ブロック(14団体)
【再任】
(11団体)
(社)
青森県ユネスコ協会/秋田県ユネスコ連絡協議会/岩手県ユ
ネスコ協会連盟/花巻ユネスコ協会/盛岡ユネスコ協会/気仙沼
ユネスコ協会/仙台ユネスコ協会/山形県ユネスコ連絡協議会/
会津ユネスコ協会/郡山ユネスコ協会/福島ユネスコ協会
【新任】
(3団体)
北上ユネスコ協会/平泉ユネスコ協会/須賀川地方ユネスコ協会
¡関東ブロック(25団体)
【再任】
(23団体)
足利ユネスコ協会/佐野ユネスコ協会/日光ユネスコ協会/大泉
ユネスコ協会/太田ユネスコ協会/高崎ユネスコ協会/藤岡地方
ユネスコ協会/前橋ユネスコ協会/越谷ユネスコ協会/さいたま
ユネスコ協会/寄居地方ユネスコ協会/土浦ユネスコ協会/ひた
ちなかユネスコ協会/市川市ユネスコ協会/柏ユネスコ協会/千
葉ユネスコ協会/富里ユネスコ協会/四街道市ユネスコ協会/朝
日生命ユネスコクラブ/小平ユネスコ協会/杉並ユネスコ協会/
港ユネスコ協会/目黒ユネスコ協会
【新任】
(2団体)
水戸ユネスコ協会/成田ユネスコ協会
¡中部東ブロック(9団体)
【再任】
(7団体)
山梨県ユネスコ連絡協議会/甲府ユネスコ協会/松本ユネスコ協
会/静岡県ユネスコ連絡協議会/磐田ユネスコ協会/神奈川県ユ
ネスコ連絡協議会/鎌倉ユネスコ協会
【新任】
(2団体)
長野県ユネスコ連絡協議会/小田原ユネスコ協会
¡中部西ブロック(7団体)
【再任】
(6団体)
富山ユネスコ協会/石川県ユネスコ協会/岐阜県ユネスコ協会/
名古屋ユネスコ協会/三重県ユネスコ連絡協議会/ふくいユネス
コ協会
【新任】
(1団体)
氷見ユネスコ協会
¡近畿ブロック(13団体)
【再任】
(11団体)
長浜ユネスコ協会/京都ユネスコ協会/舞鶴ユネスコ協会/大阪
ユネスコ協会 /奈良ユネスコ協会/天理ユネスコ協会/和歌山
ユネスコ協会/芦屋ユネスコ協会/伊丹ユネスコ協会/神戸ユネ
スコ協会/西宮ユネスコ協会
【新任】
(2団体)
宝塚ユネスコ協会/姫路ユネスコ協会
¡中国ブロック(10団体)
【再任】
(9団体)
岡山ユネスコ協会/広島ユネスコ協会/下関ユネスコ協会/徳山
ユネスコ協会/萩ユネスコ協会/光ユネスコ協会/防府ユネスコ
協会/山口ユネスコ協会/鳥取ユネスコ協会
【新任】
(1団体)
石見地区ユネスコ協会
¡四国ブロック(3団体)
【再任】
(2団体)
北条ユネスコ協会/松山ユネスコ協会
【新任】
(1団体)
丸亀ユネスコ協会
¡九州ブロック(5団体)
【再任】
(4団体)
大分県ユネスコ協会連盟/熊本ユネスコ協会/鹿児島ユネスコ協
会/佐賀ユネスコ協会
【新任】
(1団体)
沖縄県ユネスコ協会
個人会員代表(39名)
【再任】
(29名)
赤野間征盛/足立原貫/有田知永/大瀧太市/尾花珠樹/加川
ムーザ/可児裕二/城戸一夫/工藤父母道/高祖敏明/笹岡太
一/菅野馨介/鈴木幹夫/鈴木佑司/田島重雄/田代美代子/千
葉杲弘/角井宏/露木孝彦/東郷良尚/西村幸夫/二瓶和敏/野
口昇/服部英二/羽太宣博/フランソワーズ・モレシャン/牧野
健太郎/松井和夫/見上良也
【新任】
(10名)
青木保/岡田茂/草原克豪/郷農彬子/田川清/立馬歳郎/原田
明夫/本間正人/前澤猛/山下邦明
維持会員代表(14団体)
【再任】
(12団体)
朝日新聞社/朝日生命保険相互会社/株式会社ウェーヴ21/恩村
内科医院/株式会社講談社/株式会社電通/東京書籍株式会社/
東京電力株式会社/日本電信電話株式会社/日本放送協会/富士
通株式会社/三菱商事株式会社
【新任】
(2団体)
あいおい損害保険株式会社/東日本旅客鉄道株式会社
賛助団体会員代表(6団体)
【再任】
(6団体)
全国高等学校ユネスコ活動指導者協議会/財団法人全日本社会教
育連合会/帝塚山学院大学国際理解研究所/財団法人なら・シル
クロード博記念国際交流財団/財団法人日本YMCA同盟/財団
法人野村生涯教育センター
ユネスコ 2005/7
9
海 外 支 援 報 告
「勉強したいなァ…」を「わーい、勉強できるぞ!」に変える世界寺子屋運動も、今
年で16年目を迎えました。21世紀の日本で暮らす私たちにはなかなか信じがたいことで
すが、世界にはまだまだ貧しくて学校に行けない子どもたちや、学校に行けず読み書き
の勉強ができなかった人びとがたくさんいます。平和な世界をつくるためには、すべて
の人びとが読み書きを学び、民主的な方法で仲よく暮らしていく努力をすることが不可
欠です。今年も世界寺子屋運動は、プロジェクト実施地のより多くの人びとが、寺子屋
運動によって自分たちの人生をよいものへと変えていけるよう、ユネスコの連帯の輪を
広げていく国際協力を実施します。引き続き皆様のご協力とご支援をお願いいたします。
ともに生きることを学ぶ場として…
プロジェクト名 アフガニスタン復興のためのノンフォーマル教育普及
現地パートナー アフガニスタン教育省識字局ほか
2005年度支援予定額 9,705,000円
26,677,000円
2004年度 支援額
◆2004年度
「教育は平和への第一歩」―。20年以上にわたる悲劇の
歴史から、平和で豊かな国に生まれ変わるため努力を続け
るアフガニスタン。昨年は民主的な大統領選挙が行われ、
本格的な政権が発足した。寺子屋運動を展開するイスタリフ、
チャラシアブ、センジットダラの村々でも、村人たちの努
力で寺子屋が数多く開設され、戦乱により学校に行けなかっ
た大人たちや、さまざまな理由で学校に行けない子どもた
ちが、読み書きや収入向上につながる技術を学んでいる。
またJICA(国際協力機構)の協力で開始した「ノンフォー
マル教育強化事業」では、カブール市内に3軒の寺子屋を建
設。寺子屋を国のノンフォーマル教育(学校外教育)の有
効なシステムのひとつとして確立し、政府とアフガニスタ
ンの人びとが助け合い、寺子屋を通じてより多くの人たち
に教育を提供できるよう、研修や教材開発などを実施した。
◆2005年度
読み書きや技術訓練だけでなく、長期の内戦で傷ついた
アフガニスタンの人たちにとって、寺子屋が「ともに生き
ることを学ぶ“learn to live together”」場所となるよう、
寺子屋が提供する教育の質の向上を目指す。
寺子屋が村人の“学びたい”意欲を引き出した
プロジェクト名 ネパール・ルンビニ・プロジェクト
現地パートナー ネパール寺子屋運動委員会
◆2004年度
ネパールでは、今年2月1日に非常事態宣言が発令されて
以降、政治的な不安定が続いているが、寺子屋事業は厳し
い状況でも着実に成果をあげている。1月には、クダバガ村、
テヌワ村、フリカ村の寺子屋が完成し、ラジャプール村の
寺子屋ももうすぐ完成予定。寺子屋ができてから、村には
多くの変化が起きている。2年前には「識字なんて必要ない」
26,677,000円
9,705,000円
2005年度支援予定額
2004年度 支援額
と言っていた親のほとんどが、子どもを教室に通わせるよ
うになった。今では村は学びたいという意欲にあふれている。
◆2005年度
識字教室と教員研修、農業研修などの活動を1年間継続
して支援する。寺子屋は、貧しい村の人びとに教育の機会
を提供し、結束する力を培い、成長と発展の基礎になる拠
点としてルンビニに根づき始めている。
学んだことを家庭生活で生かしたい
プロジェクト名 識字教育 2004年度支援額 1,782,000円
現地パートナー ソピレット 2005年度支援予定額 1,782,000円
プロジェクト名 生活向上のための継続教育
現地パートナー ダッカ・アサニア・ミッション
2004年度支援額 1,320,000円
◆2004年度
首都ダッカから東へ40kmにあるナルシンディ県にコミュ
ニティ・リソース・センターが建設された。これは
1999年以来、建設された2軒を含む周辺10軒の寺子屋
10
ユネスコ 2005/7
で教える教員たちの研修セン
ター。村人自身が寺子屋での
プログラムを企画・運営して
いけるよう研修を行った。読み書きだけでなく、生活に
役立つ知識を身につけ、それを家庭生活に生かそうとい
う変化が女性たちに見受けられるようになった。
◆2005年度
ソピレットへの支援は、5年計画の最終年、2005年
度をもって終了予定。ダッカ・アサニア・ミッションへ
の支援は、5年計画最終年の2004年をもって終了した。
皆様のご協力に心からお礼申し上げます。
識字に関する最新データ
世界の非識字者数(15歳以上の成人)
:約7億9,900万人/学校に通えない児童数:約1億400万人
(EFAグローバルモニタリングレポート2004より)
社会的な場で活躍する女性たちの自助グループ
プロジェクト名 インド・ゴカック・プロジェクト
2004年度 支援額
現地パートナー ベルガウム農村総合開発協会(BIRDS)
2005年度支援予定額
◆2004年度
カルナータカ州ベルガウム県ゴカック郡内の15村に寺
子屋が完成した。2002年からの5年間に45村で最大
45軒の寺子屋を建設するという計画は、ほぼ予定どおり
進んでいる。寺子屋が完成した村では、地元のニーズにあっ
た独自のプログラムが始まった。農業研修や健康チェッ
クのほか、結婚披露を開けない貧しいカップルに無料で
会場として提供する寺子屋もある。
2002年のプロジェクト開始以来、45村でこれまで
200もの女性のセルフ・ヘルプ・グループ(自助グルー
プ)が組織された。識字学習のほか、村のお祭りの準備、
31,230,000円
34,664,000円
ポリオの予防接種の実施、健康優良乳児表彰など、社会
的な活動を積極的に計画・実施するグループも増えている。
◆2005年度
学校に行けない子どもたちや非識字女性への識字教育
と職業訓練を実施。また、引き続き18村で寺子屋の建
設を予定している。
支援終了後の継続性
確保を目的に、プロ
ジェクトスタッフの
研修にさらに重点を
置く。
子どもたちの大きな変化が寺子屋人気につながった
プロジェクト名 アフガン難民の子どもたちへの教育
2004年度 支援額
現地パートナー ユネスコ・イスラマバード事務所
2005年度支援予定額
◆2004年度
2003年1月に首都イスラマバード I -11区に初めて寺
子屋が開かれた当時、子どもがイスラム教以外の宗教に
改宗されるのではと心配し、寺子屋に子どもを通わせな
い親がいた。し
かし子どもたち
が制服を着て学
校に通い、きち
んとあいさつが
できるようにな
り、文字の読め
ない大人の手伝
5,015,000円
5,325,000円
いをするという目を見張る変化をとげ、今ではもっと寺
子屋教室を増やしてほしいと要望が出るほど人気が高まっ
た。寺子屋ではアフガニスタンの公教育カリキュラムに
そった授業が行われており、2004年11月の進級試験
では93%の生徒が合格した。
◆2005年度
子どもたちは寺子屋で勉強をするようになってから、
医者、先生、エンジニアなどになりたいという自分の将
来への夢を持つようになった。この夢の実現を助けるた
め、引き続き寺子屋教室を支援する。また、寺子屋で成
人への識字、職業訓練を実施できる他団体との協力体制
を探る。
寺子屋は“魚”ではなく“釣竿”
プロジェクト名 ライチャウ省寺子屋プロジェクト・寺子屋担当者養成プロジェクト
現地パートナー ライチャウ省教育訓練局、ディエンビエン省教育訓練局、
ベトナム教育省
2004年度 支援額
5,032,000円
2005年度支援予定額 6,360,000円
◆2004年度
教育訓練省グェン・ヴァン・ヴォン副大臣は、
「“魚”で
はなく“釣竿”を与えてくれたことに感謝したい」と寺子
屋運動を高く評価した。
“釣竿”つまり寺子屋を、どのよ
うに運営し、どのように広め、どのように授業を行った
らうまくいくのかを、現地の人びとに伝えること、それ
が私たちの役目である。その甲斐あって、寺子屋は全国
各地に広がり、総数はすでに5000を超えた。従来の目
標を5年も繰り上げ、2010年までには全国約1万の村
すべてに寺子屋ができる見込みだという。手引書2種類
をつくり、計5万2000冊を印刷して全国に配布した。
◆2005年度
ライチャウ省では引き続き寺子屋運営委員への研修会
を支援する。配布した手引書を使って研修を受けた人材が、
これからのベトナムにおける「寺子屋運動」の担い手と
なる。
ユネスコ 2005/7
11
海 外 支 援 報 告
ユネスコ・世界寺子屋運動
プロジェクト名
医薬品と食料の支援
2004年度支援額 3,463,000円
支援で購入した薬は、月に1回地元の医師がルンビニプロ
ジェクトの寺子屋巡回時に携行し、病院に行けない貧しい人
たち、新生児、妊婦に無料で診療を行った。また、栄養が必
要な乳幼児や妊婦に栄養価の高い食品を無料で配布。簡単に
家庭でできる病気の予防(手洗い、うがい、蚊帳の中で寝る、
井戸水の煮沸)などを無料巡回診療所で村人に教えた。
「世界遺産」といえば美しい観光地を思い浮かべる人が多いかもしれません。し
かし、世界遺産登録地の中には、さまざまな要因で保護が困難になっているところ
も少なくありません。世界遺産を守るためにはそこで暮らす人びとへの支援こそが
重要との考えから、連盟では2005年度、以下の事業を行っていきます。
バーミヤン教育文化センター
バーミヤン
現 地 パ ート ナ ー
アフガニスタン
情報文化観光省ほか
2005年度支援予定額
18,600,000円
2005年、7月に完成予定のバーミヤン教育文化センター(れんが造り1000平方メー
トル)。去る6月23日、
(社)日本ユネスコ協会連盟からアフガン政府への引渡し式典が
行われ、カブールから情報文化観光大臣、バーミヤン州知事らが出席した。今後は住民
を対象とした遺跡保存の啓発活動や、発掘、修復の専門家の研修実施への協力を行う。
小冊子『ルンビニ』制作
ルンビニ
現 地 パ ート ナ ー
インターナショナル・
ブッディスト・ソサイエティ
2005年度支援予定額
217,800円
小冊子『ルンビニ』制作事業が今年で3年目を迎える。インド国境に近いネパールの
ルンビニは「仏陀の生誕地ルンビニ」として世界遺産リストに登録されている。ルンビ
ニの仏教文化や遺跡の保護に関する小冊子を年に2回、ネパール語と英語で発行し、現
地の人びとに無料で配布。世界遺産としてのルンビニの姿を伝える。
12
ユネスコ 2005/7
フォンニャ・ケバン国立公園パンフレット制作
フォンニャ・ケバン
国立公園
現 地 パ ート ナ ー
ベトナム・ユネスコ国内委員会ほか
2005年度支援予定額
660,000円
フォンニャ・ケバン国立公園は2003年に世界遺産リストに登録された自然遺産。この
事業では、フォンニャ・ケバン国立公園が有する貴重な価値を観光客や地元の人びとに知っ
てもらうためのパンフレットを制作、配布する。
屋久島保護活動支援
屋久島
現 地 パ ート ナ ー
屋久島ユネスコ協会
2005年度支援予定額
4,200,000円
1993年、日本で最初の世界遺産として登録さ
れた屋久島。登録後10年以上が経過し、島を訪れ
る観光客が激増する中、し尿処理等の問題が次第
に深刻化している。この事業では、屋久島ユネス
コ協会とともに、屋久島で暮らす人びとに世界遺
産としての屋久島の価値を伝え、自然と共生して
いくための方策を考えるフリーペーパー(無料配
布の新聞)を発行。また、島の子どもたちが島の
歴史や自然を発見するワークショップなども行う。
豊かさのための技術をご提案。
富士電機グループは、真心のこもった製品・技術の開発に一生懸命。
水質保全技術や、クリーンエネルギー技術、省エネ技術、情報システム技術など
最新のITをを駆使してさまざまなシステムを提供しています。
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ユネスコ 2005/7
13
イ ベ ント レ ポ ート
かけがえのない経験となった6日間
「松井秀喜ホームランチャリティー
世界遺産スタディツアー」帰国報告会を各地で実施中
3月29日から4泊6日間のスケ
ジュールで実施された「ガリバー
プレゼンツ 松井秀喜ホームラン
チャリティー世界遺産スタディツ
アー※」
。参加した中・高校生24名
は、UNESCOパリ本部と世界遺産
の見学、フランスユネスコクラブ
連盟の同世代の子どもたちとの交
流など、ハードな日程を終えて無
事、帰国した。昨年12月の事前勉
強会では、ユネスコ活動のことを
ほとんど知らなかった彼ら。出発
までに、それぞれがユネスコ憲章
の理念や世界遺産について学んで
旅立った。帰国した空港で「一番
印象に残ったことは?」との問い
に、「これまでユネスコ憲章も知
らなかったけれど、今はユネスコ
憲章に感動し、出来ることから始
めていきたい」「フランスの子ど
もたちとの交流をとおして、国や
言葉が違っても同じ人間なんだと
体験できた」などの答えが返って
きた。各ユネスコ協会では子ども
たちが自らの言葉で経験を語る
「帰国報告会」を行っており、運
動の輪はさらなる広がりを見せて
いる。
(広報室 長倉義信)
ついに寺子屋が法律に!
ベトナム寺子屋プロジェクト最終評価会議
5月13日、ハノイにてベトナム
島ユ協など各ユ協の代表者5名
での寺子屋プロジェクトの最終評 (団長・矢島祭太郎高崎ユ協会長)
価会議が行われた。会議にあわせ
が参加。また山本卓眞日ユ協連前
て行われたスタディツアーには、 会長も5年ぶりにベトナムを訪れ、
書きそんじハガキ・キャンペーン
会議に出席した。
で成果をあげた久留米ユ協と鹿児
プロジェクト発表者の中に少数
民族・黒ターイの女
性がいた。「寺子屋
で農業技術を学び収
穫も増えた。人民委
員会から表彰され、
今では学んだことを
村人に教える立場に
なった」と堂々たる
14
ユネスコ 2005/7
※ガリバーインターナショナル㈱の設立10
周年を記念した社会貢献事業(協力/日本
ユネスコ協会連盟)
。
「今一番、熱意を持っ
てチャレンジしていること」をテーマに作
文を募集し、入賞者をフランスに送った。
運営資金は、同社のイメージキャラクター
である松井秀喜選手の背番号55にちなみ、
ホームラン1本につき55万円ずつ加算、総
計1870万円をガリバーが拠出した。
実践報告をしてくれた。「あのよ
うに立派な女性が育ったことが、
寺子屋の成果そのもの」。山本前
会長も感慨深げだった。
この5年間、日越両国のすべて
の関係者は寺子屋の法制化を待ち
望んでいた。外国からの援助に頼
らず活動を続けるには、行政的な
支援も欠かせないからだ。会議後、
表敬に訪れた際、ファム・ザー・
キエム副首相は「来週には改正教
育法が国会を通過し寺子屋が法律
に書き込まれる」と約束した。そ
のとおり2005年5月20日、教育法
の改正案が可決。ついに「寺子屋
が法律になった」のである。
(ベトナム事務所 奥川浩士)
お 知 ら せ・募 集
おに けん ばい
岩手県の鬼剣舞
「2005ユネスコ・東アジア子ども
芸術祭 inマカオ」で披露
毎年恒例となった「ユネスコ・
東アジア子ども芸術祭」が7月28
日∼30日まで、マカオで開催され
る。当芸術祭は「世界の子どもた
ちの平和の文化と非暴力の国際10
年」の一環として毎年実施。東ア
ジア5カ国1地域(中華人民共和国、
朝鮮民主主義人民共和国、大韓民
国、モンゴル、マカオ、日本)の
子どもたちが集い、自国の伝統文
化の紹介をとおし、相互理解をは
かることを目的としている。
今年は北上ユネスコ協会(岩手
おに けん ばい
県)の推薦を受け、岩崎鬼剣舞ス
ポーツ少年団に属する小学生14名
と指導者4名が派遣され、念仏を
唱えながら鬼の面をつけて舞う念
仏踊り「鬼剣舞」を披露する。
表紙も中身も一新
「寺子屋レポート2005」完成
世界寺子
屋運動によ
る支援プロ
ジェクト
年次報告
書の最新
版「寺子
屋レポー
ト2005」
が完成
し た 。
表紙には世界寺子屋運動のシンボ
ル「くるりんぱ」マークが登場。
大きく写真を使い、いっそう読み
やすいようにイメージチェンジが
図られた。また裏表紙には、Dproject「児童・生徒がつくるユネ
スコ・世界寺子屋運動リーフレッ
ト製作」で2003年度最優秀作品に
選ばれた作品を採用し、書きそん
じハガキ送付用封筒もついた。全
体のページ数が増え、より詳しく
現地の様子を伝える内容となって
いる。
国際識字年記念
三菱IMPRESSION-GALLERY
アジア子供アート・フェスティバル 第7期
「アジアの子供達の絵日記展」開催
三菱広報委員会、アジア太平洋
ユネスコ協会クラブ連盟ならびに
日本ユネスコ協会連盟は、来たる
7月29日(金)∼8月8日(月)の期間、
愛・地球博会場内「モリゾー・
キッコロメッセ」で『アジアの子
供達の絵日記展』を開催する。ア
ジア24ヶ国・地域の子供たちが描
いたグランプリ受賞作品24点と、
日本の各主催者賞受賞作品9点が
展示される。各国のグランプリ受
賞者は7月25日に来日し、28日は
名古屋市立ほのか小学校児童との
交流プログラム、29日には同博覧
会場内「EXPOホール」での表彰
式に参加するなど、日本の文化に
も触れて帰国する予定だ。
◆期間:7月29日
(金)∼8月8日
(月)
◆時間:9:00∼21:00
◆会場:愛・地球博 長久手会場
「モリゾー・キッコロメッセ」
世界寺子屋運動 新・パネル登場
改訂版が待たれていた世界寺子
屋運動展示パネルが完成、8月よ
り貸し出しを始める。今回はグ
ループで世界寺子屋運動に貢献し
ている㈱電通の制作協力を得て総
合編、
アフガニスタン編、
インド編、
カンボジア編、ネパール編、ベトナ
ム編の6種類、各5セットが作られ
た。1セット15∼16枚となってお
り、写真とわかりやすいイラスト
で構成され
ている。ユ
協のイベン
ト、学校の
催し、展示
会などでの
活用が期待
される。
(社)日本ユネスコ協会連盟の
プライバシー保護ポリシー
(個人情報保護方針)について
社団法人日本ユネスコ協会
連盟(以下協会連盟という)は、
個人情報保護の重要性を認識
し、
「個人情報の保護に関する法律」
(平
成15年法律第57号)及び関連する法
令を遵守し、細心の注意をはらって個人
情報の保護に努めます。詳細について
は当 協 会 連 盟 のホームページ
www.unesco.jpをご覧いただくか、当
協会連盟事務局にお問い合わせください。
【事務局から】
2004年より1年間にわたり、ベトナム事務
所に勤務してきた津久井純職員は、2005年
6月30日付で退職しました。
7月・8月 日本ユネスコ協会連盟主催事業スケジュール
スケジュール内容
「ずっと地球と生きる」学校プロジェクト
7月
パイロット出前授業プログラム
7/18∼20
民間ユネスコ運動世界大会(世界連盟再生会議)
「三菱IMPRESSION-GALLERY
7/29∼8/8
アジア子供アート・フェスティバル」展示会
ユネスコ・東アジアこども芸術祭
7/28∼30
開催場所
日 程
都内小学校
パリ
愛知万博長久手会場
マカオ
夏季(期日未定) 「平和の鐘(かね・おと)を鳴らそう!」
7/29∼31
ユネスコ・キャンプリーダー養成講座
長野県木曽郡・
こだまの森キャンプ場
7/31∼8/2
第37回ユネスコ子どもキャンプ
8/3∼6
第51回全国高校ユネスコ研究大会
長野県木曽郡・
こだまの森キャンプ場
広島県・
国立江田島青年の家
8/27∼28
中部東ブロック・ユネスコ活動研究会
神奈川県厚木市
ユネスコ 2005/7
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カナダ
雄壮な大自然 カナディアン・ロッキー
アルバータ州
ブリティッシュ
コロンビア州
連 載
世界遺産の現場〈25〉
名峰キャッスル・マウンテンと
クロウフット氷河
クロウフット氷河
レイク・ルイーズ
バンフ
カルガリー
今日も山また山、森また森のA1を走りつづけます。エ
ルク(大型のシカ)の大きなヤツがのっそり、のっそり
道路を傍若無人に横断しています。鋭利な刃物でてっぺ
んをスパッと切り削いだような岩山が、忽然と現れます。
雲間から頂上だけをチラッと見せる山もあります。氷河
の流れという大自然の力でなければ、できるワザではあ
りません。
山と森ばかりで道路標識などもなく、どこを通ってい
るのか見当がつきません。しかし、どうやらジョンスト
ン・キャニオンを通過したらしいことが分かってきまし
た。キャッスル・マウンテン・ヴィレッジの前にあるレス
トランの窓が湯気でくもっています。先客がひとりコー
ヒーらしきものを飲んでいたので、仲間入りしました。
「雪のカーテンで見えないだろうが、真ん前がキャッ
さいとうなんぺい
スル・マウンテンだよ。つかめるよ」コーヒー代1ドル
を受け取りながら、人のよさそうな店主が、手のひらを広げて 典 型 的 な 氷 河 湖 。 背 後 に は 氷 河 を 抱 え た ヴ ィ ク ト リ ア 山
山をつかむようなしぐさをして見せました。標高2,766メート (3,464メートル)がそそり立ち、ダークグリーンの湖面に見事
ルとかなり高い山で、頂が城の形をしているところから名づけ な逆シルエットを描き出しています。
られたと言います(写真右)。由来は単純ながら、ロッキーに
湖畔のホテル、シャトー・レイク・ルイーズのロビーを抜け
数ある岩山の中でも、ひと目でそれと知れる山です。
ると、庭はそのまま湖につづいているはずなのに、もやが湖面
ボウ川のあたりで写真を1枚お 全体を覆っていて視界ゼロ。やむなく先を急いで、93号線アイ
さえた後、再びボウ・ヴァレイ・ スフィールド・パークウェイへと向かいます。
パークウェイをレイク・ルイーズ
初めはクロウフット氷河です。パークウェイ入り口から北へ
に向けて走り始めました。依然と 約35キロほど行くと、すぐ左手に見えてきます。カラスがたく
して雲のヴェールで視界ははっき さん生息しているわけでもないのに、ちょうど1羽出迎えてくれ
りしませんが、徐々に天候は回復 ました(写真左)
。カラスの足跡の形をした氷河なので、クロウ
しつつあるようです。
フットと名づけられたようですが、3つあった足跡も1940年代
レイク・ルイーズの町に入りま に起きた崩落でひとつ減ってしまい、名は体を表していません。
(写真・文 さいとうなんぺい)
した。
“カナディアン・ロッキーの
宝石”と呼ばれる湖はバンフの西
さいとうなんぺい 1934年9月、東京神田生まれ。雑誌・新聞記者を
56キロ、標高1,540メートルの高
経て、フリーランスライターとして世界の各都市から辺境の地まで単
身で駆け回る。現在は世界遺産を中心に取材活動中。23年あまりにわ
地にあります。ここは、氷河の浸
たる世界遺産歴訪は280ヶ所を越す。http://www.saitownanpei.com/
食でできたくぼ地に水がたまった
さいとうなんぺい
者
の
5
月
号
よ
り
のユネスコ活動は、貴重な体験だと思いま
す。また社会人になってからも「中学生ク
ラブ」をサポートし続けていることに敬意
を表します。
(神奈川県 二瓶武)
●「世界遺産の現場〈24〉カナディアン・ロッ
キー」を読んで、15年前にかの地を訪ねた
ことを思い出しました。レイクルイーズへは
当時4歳と7歳の娘を背負ったり、励ましなが
ら頂上まで行き、雪の残るロッジでお茶を飲
みました。その景色はまるで墨絵のようで
した。また、ボウ川が映画「帰らざる河」の
ふるさととは知りませんでした。改めて映画
を観てみたくなりました。次の連載が楽しみ
です。
(埼玉県 小野塚智恵子)
皆さまからのお便りをお待ちしております。
添付のハガキをご利用ください。
ご冥福を
お祈りします
澤嶋 武さん
岐阜県ユネスコ協会前会長
4月17日逝去 享年92歳
編 集 後 記
このところ秘かな
“マイブーム”
は「江戸時代」
。改めて教えられ
るのは、化石燃料が皆無に近い時
代、人びとは太陽エネルギーに寄
り添い、手間ひまかけた生活を当
たり前のこととして受け入れて
いたという事実。
いつしか西欧文明をわがもの
にし、石油や石炭のおかげで日々
の生活は便利になったけれど…
大切な何かを失ってしまったの
ではないか?そんな不安に駆ら
れます。当時この国を訪れた多く
の外国人が「貧しくはあるが貧困
は存在しない」と記している江戸
時代の庶民の生活が、何かとても
豊かに思え、憧憬の念さえ抱い
てしまうのです。未来の世代は私
たちの今の時代に憧れてくれる
でしょうか?
(KC)
▲
声
●有馬朗人氏の「まず隗より始めよう」を読
んで、私たちのライフスタイルを変えるこ
とが自然環境を守り、持続可能な発展のも
とであると実感しました。
「もったいない」心
でモノを大事にし、簡素な生活をすること
が健康を生み、自然を守り、ひいては我欲
の肥大から始まる戦争をなくして平和につ
ながるのだと信じています。
(北海道 峯弘)
●有馬朗人氏の巻頭記事に感銘を受けまし
た。
「もったいない」精神は大切だなあ、と
おぼろげながら感じていたときに、有馬氏
の明解な主旨に出会い、まさに「そうなん
だ」とひざを打ちました。そこで「隗より
始めよう」と、食べ終わったご飯茶碗にお
茶を入れてご飯粒を残さずきれいに食べま
した…。
(静岡県 高部宗夫)
●「青年の育成は一日にして成らず?!」を
読みました。私は鎌倉などで30年以上、青
少年育成活動に従事してきて、その難しさ
を実感しています。板倉さんの中学1年から
▲
読
社団法人日本ユネスコ協会連盟は、ユネスコ憲章の精神に共鳴した人びとによって1947年、世界にさきがけて仙台で始められた、民間ユネスコ
運動の日本における連合体でNGO(非政府組織)です。現在全国に約300のユネスコ協会があります。
7
2005年7月1日発行 通巻第1098号
発行 ●社団法人 日本ユネスコ協会連盟 発行人・野口昇 編集人・竹尾徳治 ●購読料800円/1年(発送料込)
第3種郵便物認可(奇数月1日発行)
東京00150−9−56030 〒150-0013 東京都渋谷区恵比寿1−3−1 朝日生命恵比寿ビル12階
TEL 03
(5424)
1121 FAX 03
(5424)
1126
再生紙を利用しています
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