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実施方針:平成19年度版 - 新エネルギー・産業技術総合開発機構

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実施方針:平成19年度版 - 新エネルギー・産業技術総合開発機構
P06013
平成19年度実施方針
バイオテクノロジー・医療技術開発部
1.件
名:プログラム名
(大項目)
健康安心プログラム
個別化医療の実現のための技術融合バイオ診断技術開発
(中項目)
バイオ診断ツール実用化開発
2.根拠法
独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法第15条第1項第3号
3.背景及び目標
<背景>
近年のバイオテクノロジー研究の進展は、SNPs(一塩基多型)、mRNA 及びタンパク
質等の遺伝情報と疾患の関係を解明しつつある。例えば、特定の疾病に関して、代謝酵
素等の遺伝情報の診断が投薬前の医薬品の副作用予測を可能にし、事前の遺伝子診断が
分子標的薬(一部の患者が有する特定の分子に特異的に作用する薬効の高い薬剤)の効
果的な使用を可能にする等、個別化医療の実現の兆しが見えつつある。一方ではこれら
の遺伝情報を検出するための解析機器はバイオ研究では広く用いられているが、医療現
場では殆ど用いられていないのが現状である。このブレーク・スルーとして、サンプル
前処理の効率化・迅速化、検出感度の向上、低コスト化並びに再現性の確保といった機
器性能の飛躍的向上が求められている。
これら個別化医療の実現に寄与する関連製品として、例えば DNA チップ/マイクロ
アレイの 2005 年の市場規模(本邦)は 75 億円と前年に比べ微減(「日経バイオ年鑑 2006」
日経 BP 社刊)であり、しかも米国の二大メーカーが殆ど独占しているのが現状である。
これらの状況を打破するには、上述の「医療現場で使用できる条件」を充たす診断ツー
ルの開発が期待されており、特定の SNPs に限定したチップや疾患関連の遺伝子発現プ
ロファイルを検出する診断ツールの開発が望まれている。
<目的>
本プロジェクトは SNPs、mRNA、タンパク質などの遺伝情報を計測対象とするバイ
オ診断ツールに対して、臨床現場で活用できるレベルの簡易性、迅速性、高い検査精度、
高い再現性、低コスト化等を達成することを目標として、バイオ診断ツール実用化開発
を行うものである。プロジェクト終了までに、許認可用データ取得可能な技術レベルに
達することを目指す。
<実施の効果>
・ これら技術開発の成果が適用される疾患の診断あるいは治療方法の選択において、
患者ごとの遺伝情報等を利用することが可能となり、より患者ごとに適した医療を
選択できる。
・ これら技術開発の成果を研究的な医療機関でなくとも使用することが可能となり、
個別化医療の実現に寄与する。
1
・ 個別化医療の実現を通して「国民が健康で安心して暮らせる社会の実現」に寄与す
る
・ 助成事業終了の時点で SNPs、mRNA、タンパク質等解析システム、デバイスが製品
化され、当該分野での市場拡大、解析受託型ベンチャーの育成等の新しい産業の創
出につながる。
4.事業内容
4.1
平成 18 年度(委託)事業内容
該当無し。
4.2
平成 18 年度(助成)事業内容
(1) 個別化診断向けタンパク質発言プロファイル解析ツールの実用化開発
流路内コーティング処理や試料導入方法の改良により、電気泳動再現性を大幅
に改善すると共に、イオン化促進剤塗布をディスペンサで行うことで、チップ内
タンパク質イオン化バラツキを±30%以内に押さえ込んだ。また同条件で、当
初想定の感度(100fmol/μL)が得られることも確認した。チップ専用の電気泳動
槽は、操作性・安全性を高め、多数の臨床サンプルでも確実に処理できるよう改
良した。前処理技術に関しては、血液中にわずか数十ng/mL(ナノM)の低濃度で
存在するAFPを抗体磁気ビーズで捕捉・回収することができ、かつ修飾状態が維持
されていることを確認した。また人工酸化アポリポタンパク質Bの消化断片の酸
化部位の質量分析計による確認を行った。また、マウスES細胞を用いて膵臓マー
カー(HES)の発現に成功した。情報処理技術に関しては、臨床情報における欠損値
補完、臨床情報を用いた生存分析に関するプロトタイプを試作した。
(実施体制:日本電気株式会社、株式会社 MCBI、株式会社島津製作所
-再委託先
産総研器官発生ラボ、筑波大学
-共同研究先
東京大学医学部、三重大学医学部
(2) 個別化医療のためのパーソナルプロテインチップの開発
二次元電気泳動後のタンパク質サンプルを二次元目ゲルから基板またはメンブレンに転写す
る自動装置の開発において設計のための基本データ取得に着手した。また二次元電気泳動後の
タンパク質サンプルをゲルから基板に写し取れるようなチップ構造案を立案し、課題抽出及び解
決検討を実施した。さらに二次元電気泳動チップやパーソナルプロテインチップの性能を評価する
ためのサンプルとして、疾病のモデルとなるような動物由来サンプルの作製に着手した。
(実施体制:学校法人片柳学園、シャープ株式会社、凸版印刷株式会社
-再委託先
産業総合研究所、熊本大学)
(3)全自動集積型カートリッジによる遺伝子診断システムと末梢血コンテンツの
実用化
全自動集積型カートリッジの開発としては、従来方式の評価と目標仕様の決定及び
RNA 検出の要素技術開発を行った。従来方式として遠心法のプロトコルや抽出性能の
評価を行うと共に、カートリッジ化の課題を抽出し、カートリッジ化に適した処理方
法の比較検討を行った。読取・解析装置の開発については、検体が mRNA であることに
より、ダイナミックレンジが広く、且つ求められる感度が格段に高いため、光学系の
全体設計の最適化を行った。また測定基準となるターゲットの開発を行った。尚上記
成果は、東北大の mRNA の安定化研究及び理研の迅速 MESA 型 DNA アレイの開発の途中
成果を包含している。
(横河電機)一方で、試作開発するカートリッジに実装する試薬
およびプロトコルについては、
「 末梢血による間接リュウマチ症早期疾患シグニチャー
2
解析法の開発」として実施しており、複数点観察に基づく診断プロトコルを確立し、
複数点観察用 DNA チップとしてオリゴによる最大 6000 点のプローブアレイを作成し
た。尚、上記成果は埼玉医科大の成果である検証用検体サンプルの確保も含まれてい
る。(DNA チップ研究所)
(実施体制:横河電機株式会社、DNA チップ研究所
- 再委託先
理化学研究所・東北大学・埼玉医大)
(4)前処理装置を搭載した高感度遺伝子多型検出用バイオチップシステムの開発
東レの高感度 DNA チップ基盤技術を用い、感度 0.5ng/mL、操作時間 4 時間、6 項
目同時検出が可能な SNPs 検出用 DNA チップの作製に成功した。臨床検体(臓器移
植関連および救急医療関連)を用いた評価で、その有用性を示唆するデータが得らつ
つある。また、VNTR 多型を DNA チップにより検出する技術を構築した。血液から
遺伝子抽出等を行う自動前処理装置についても、反応条件を最適化しチップの設計条
件を決定し、試作段階に入った。
(実施体制:東レ株式会社
-共同研究先 大阪大学 産業科学研究所、名古屋大学 工学部、京都大学
薬学部、 京都大学 医学部、千葉大学 医学部
4.3
実績
18年度
実績
①一般会計(百万円)
385
②石特会計(百万円)
0
③電特会計(百万円)
0
フォーラム等(件)
0
5.事業内容
5.1 平成19年度(助成)事業内容
(1)個別化診断向けタンパク質発言プロファイル解析ツールの実用化開発
チップ構造を改良し、チップに導入できる試料量を 100 倍にすることで大幅な
感度向上を図り、免疫沈降時の試料濃縮度を緩和すると共に、抗体を用いないア
ッセイへ向けた基礎技術とする。また、蓋を用いない新チップ構造により、試料
導入~凍結乾燥までの一貫処理を実現し操作性向上をはかる。前処理に関しては、
修飾状態を変えずに高い回収率を得るために、還元性試薬による回収の検討と条
件最適化を図る。また抗体を用いない液体クロマトグラフィーによる前処理方法
を確立する。
数十例の虚血性心疾患及び肝炎・肝硬変・肝ガン関連サンプル解析を通じ、種々
のアポリポタンパク質(B、A1、E等)やAFPの修飾状態のモニタリングを
行うと共に、感度・再現性の確認を行う。同時に、マウスのES細胞で発現して
いる各マーカータンパク質の解析と、これらの計測によるチップ性能改善の指針
を得る。情報処理技術に関しては、質量スペクトル解析、データベース管理基盤
を作ると共に、ルールマイニングソフトウェア開発を行う。
(日本電気株式会社、株式会社 MCBI、株式会社島津製作所)
-再委託先
東京大学医学部、産総研器官発生ラボ、筑波大学
-共同研究先
三重大学医学部
(2)個別化医療のためのパーソナルプロテインチップの開発
3
全自動システムの構築を目標としてさらに開発を進める。またチップ構造案を自動装置
に対応した形態への改良を行い、自動装置でのタンパク質泳動・転写の評価を行う。
さらに動物由来サンプルを用いて各装置やチップの分離能や再現性について評価を行
う。
(実施体制:学校法人片柳学園、シャープ株式会社、凸版印刷株式会社)
-再委託先
産業技術総合研究所、熊本大学
(3)全自動集積型カートリッジによる遺伝子診断システムと末梢血コンテンツの
実用化
全自動集積型カートリッジの開発については、18 年度検討したプロトコルに従い試作
機を設計、試作すると共に、その際、プロトコルの各部分で求められる要素技術の開発
を行う。一方で、読取・解析装置の開発については、前年度検討した基本設計に基づき
試作を行うと共に、カートリッジの試料導入部分の構造設計を行う。また、データ処理
系のソフトウェア開発も行う。
(横河電機)一方で、試作開発するカートリッジに実装す
る試薬およびプロトコルについては、
「 末梢血による間接リュウマチ症早期疾患シグニチ
ャー解析法の開発」として引き続き実施し、平成 18 年度の成果の検証を行なうととも
に、1 点観察による診断プロトコルの確立、及びプローブ数の絞り込みを行なう予定。
(DNA チップ研)
(実施体制:横河電機株式会社、DNA チップ研究所
-再委託先 理化学研究所・東北大学・埼玉医大)
(4)前処理装置を搭載した高感度遺伝子多型検出用バイオチップシステムの開発
臨床現場において多項目SNPsおよびVNTR(反復配列多型)検出チップの有用性・有
効性の評価を実施すると同時に、新規な臨床コンテンツを獲得しチップの適応拡大を進
める。チップの有効性が確認された時点で、さらに多施設において予備的な臨床試験を
開始する。表面処理を行った前処理チップおよび自動前処理装置の作製や検出感度の高
感度化技術(ナノウェル電極を用いた電気化学法)の開発も引き続き並行して行う。
(東レ株式会社
-共同研究先 大阪大学 産業科学研究所、名古屋大学 工学部、
京都大学 薬学部、 京都大学 医学部、千葉大学 医学部)
5.2事業方針
<助成要件>
①研究開発テーマの実施期間
平成 18 年 6 月 20 日~平成 20 年 3 月 20 日
必要に応じて延長する。
②研究テーマの規模・助成率
i)
助成額
平成 19 年度の 1 件あたりの年間の助成額の規模は 6700~10000 万円とする。
ii)助成率
1/2
6.事業の実施方式
6.1
公募
新規公募なし。
7.その他重要事項
4
(1) 評
価
NEDO 技術開発機構は、技術的及び政策的観点から、研究開発の意義、目標達成度、
成果の技術的意義並びに将来の産業への波及効果等について、外部有識者による研究開
発の事後評価を平成21年度に実施する。なお、評価の時期については、当該研究開発
にかかる技術動向、政策動向や当該研究開発の進捗状況に応じて、前倒しする等、適宜
見直すものとし、評価の結果により、当初申請されていた助成期間内であっても、助成
金の交付を中止することがある。
(2) 運営・管理
運営体制毎に幹事企業が中心となって管理運営を行う。
(3)
複数年度交付決定の実施
交付申請者からの申請に応じ、複数年度交付決定を行う。
8.スケジュール
(1)本年度のスケジュール
年度末に、実施単位毎に事業報告会を行う。
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