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小型移動体 - 日本自動車研究所

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小型移動体 - 日本自動車研究所
小型移動体
九州大学大学院 非常勤講師
池田 宏之助
最終目標と5ヵ年年次目標
分類
小型移動体検討委員会
役割
燃料電池を用いた小型移動体の実証試験を行い、燃料電池の実用化を推進し、より幅広い水素利用形態を検討することによ
燃料電池を用いた小型移動体の実証試験を行い
燃料電池の実用化を推進し より幅広い水素利用形態を検討することによ
り、水素エネルギー社会の実現に向けた技術開発を加速させる。
最終アウトプット(目標)
・小型水素・小型移動体系に実際使われる現場での実証試験を通じ、実用化のための水素貯蔵タンク系、燃料電池、バッテリー
系の技術課題を抽出し その対応策として短期的対応と 長期的対応策に分けて織り込んだものの検証が出来る事
系の技術課題を抽出し、その対応策として短期的対応と、長期的対応策に分けて織り込んだものの検証が出来る事。
H18年度目標
・小型水素貯蔵タンクを用いた小型移動体の実証試験スタート。
H19年度目標
・長時間、長期間、外気環境テスト、既存の電動製品との走行比較を通じた技術課題の抽出、小型水素貯蔵タンク系の貯蔵能
力の検討と、燃料電池、バッテリーシステム系の適正化に分けて、短期的課題と基本からこの研究を長期的課題へ振分けて検
討し、提案と対応策の提案を行う。
・小型移動体のJHFCとしての広報方針を明確にする。
H20年度目標
・短期的な1次対応策を織り込んだ機体による実証試験に対する課題抽出、対応策提案。
・長期的な対策を盛り込んだ小型水素貯蔵タンク系、燃料電池、バッテリーシステム系の検証試験による検討と対応策提案。
・新しい小型移動体分野の利用実証性の検討
H21年度目標
・短期的2次対応策を盛り込んだ機体による実証試験に対する課題抽出、対応策提案。
短期的 次対応策を盛り込 だ機体 よる実証試験 対する課題抽出、対応策提案。
・長期的な対応策を織り込んだ小型水素貯蔵タンク系、燃料電池、バッテリーシステム系の検討試験による検討と対応策提案。
・次期実証目標の策定。
・新しい小型移動体分野の利用実証性の提案
H22年度目標
・短期的対応策の走行実証データの蓄積。
・長期的な対応策からみた実用化への課題の整理、提案、総括
長期的な対応策からみた実用化 の課題の整理、提案、総括
・実用化レベルに対する現時点での用途別可能達成レベルとの課題について
・新しい小型移動体分野の次期実証目標の策定
平成20年度 実行計画
実行計画
実績
項 目
FCアシスト自転車実証試験
◇FCシステム安定性確認走行試験
・季節試験(夏秋冬)
・長時間走行試験
機
※07年度-2型機
◇改良新型車 走行試験
※08年度機
◇電動アシスト三輪自転車
走行試験
小型移動体の国内外の予備調査
◇FC自動二輪の調査
◇国内外の小型移動体調査
4
5
6
7
8
9
10
11
12
1
2
3
小型移動体検討委員会 組織図
z小型移動体検討委員会では、実証試験に関する内容、試験方法、実証試験計画等の審議
を行った。
z各分野毎における検討会は、主な要素機能部門毎に分けて検討会(水素検討会、電池検
討会、自転車検討会、自動二輪検討会)を編成して、実用化・商品化に向けた技術的商品
性等の課題検討並びに短期的対応策と長期的課題の検討を行い、これをもとに実証試験を
行った。
小型移動体検討委員会
実証試験に関する内容、試験方法、実証試験計画等を審議
【2回開催】
水素検討会
小型移動体における水素タンクの現況をもとに、課題を検討 【1回開催】
電池検討会
FCアシスト自転車の燃料電池、およびシステムの検討 【2回開催】
自転車検討会
FCアシスト自転車や三輪自転車の、市場における意義や可能性を検討 【1回開催】
自動二輪車検討
動 輪車検討
FC自動二輪の意義と商品化の可能性を検討 【5回開催】
小型移動体検討委員会・検討会
検討委員会
開催日
第1回
平成20年
6月17日
・平成20年度実証試験計画・審議
・FC自動二輪検討会について計画説明・審議
第2回
平成21年
1月27日
・平成20年度実証試験中間報告・審議
・FC自動二輪についての審議内容の報告・審議
検討会
開催日
第1回
水素
平成20年
8月7日
1.露出度の高い小型移動体では外気温に大きな影響を受けやすい。
2.1MPa以下でのMHタンクの活用には限界があり、規制緩和などの対応策が必要。
3 小型の高圧水素タンクは将来的な利用の可能性は大きいが 現時点では認可を受けるとすれば時間を要する
3.小型の高圧水素タンクは将来的な利用の可能性は大きいが、現時点では認可を受けるとすれば時間を要する。
4.ケミカルハイドライドなどの水素貯蔵法も見逃せない。
第1回
電池
平成20年
9月4日
1.これまでの走行試験の結果より、データの再現性について再考すべき点がある。
2.基礎データを取得し、それをもとに、走行試験を実施することが必要である。
3.燃料電池の特性及びシステムの安定性について、次のプロトタイプ機の対応につながる課題を抽出する。
平成21年
1月14日
1.これまでの各問題点に関し、データ面からの裏付けを確認する。
2.制御系補機での課題がシステム全体の大きな負担となっている。
3.FCアシスト自転車のハード的意義の追求は難しく、ソフト面からの追及を要する。
第2回
電池
第1回
自転車
平成20年
10月31日
審議内容
審議内容
1.一般用電動アシスト自転車ではFCを搭載する意義が少ない。
2.電動アシスト三輪自転車は荷重制限や安定性等の面からFCを搭載する意義が薄い。
2
電動アシスト三輪自転車は荷重制限や安定性等の面からFCを搭載する意義が薄い
3.業務用電動アシスト自転車の変形利用においては、ヘビーデューティユーザーの期待度と市場性についての検
討を要する。
第1回
自動二輪
平成20年
5月13日
各社のFC自動二輪車の紹介、今後の調査の進め方についての討議
第2回
自動二輪
平成20年
8月1日
FC自動二輪車の商品化の意義と、FC化の課題を討議
第3回
自動二輪
平成20年
10月24日
FC自動二輪車の公道走行の課題と、実証試験の意義を検討
第4回
自動二輪
平成20年
12月25日
自動二輪車へのFC搭載意義と実証内容を討議
第5回
自動二輪
平成21年
2月24日
自動二輪車検討会のまとめ
FCアシスト自転車実証試験 07年度2型機
燃料電池システムスペック
システムサイズ
システム出力
((DC/DCコンバーター効率含む)
ン
タ 効率含む)
補機消費電力
(空気ブロワー、電磁弁等)
ブロワー
加湿用バブラー
総重量
約200×250×90
40W級
12W程度
2台
あり(前籠側面に搭載)
3.2kg(A)
燃料電池単体スペック
FCアシスト自転車諸元
サイズ
1800mm(L)
595mm(W)
860-993mm(サドルH)
燃料電池
固体高分子形
補助速度範囲
24km/h未満
重量
31.5kg
燃料電池出力
燃料電池瞬間最大出力
燃料電池電圧
燃料電池セル数
燃料電池電極面積
燃料電池水素消費量
燃料電池水素供給圧力
燃料電池サイズ
燃料電池重量
60W級
80W
19V∼25V
36
4.0×4.0cm2
0.7L/min
0.03MPa以下
約85×85×105mm
1 0k
1.0kg
MHタンクシステム
水素貯蔵量
水素充填圧力
重量
185 NL(メーカー仕様値)
0.6MPa (20℃)
2.74kg(B)
二次電池重量
電源関連総重量
1.3kg(C)
7.24㎏[(A)+(B)+(C)]
季節試験結果
季節
秋
冬1
冬2
航続距離※2
℃
k
km
g
NL
29.2
60.2
15.3
170
20.9
40.9
13.2
6.9
11.0
37.0
6.2
1.1
13.2
36.8
7.0
2.0
47 7
47.7
38.1
水素消費量
12 9
12.9
14.4
143
100
走行距離︵ km
︶
夏
平均
気温
75
60.2km
47.7km
50
38.1km
160
38.8km
25
38.8
13.3
148
※ 走行コースは希望が丘文化公園サイクリングコース(滋賀)
※ 搭乗者は60kg∼70kg
搭乗者は
夏
秋
冬
得られた結果
・外気温度による水素放出に課題があり、大きく影響することがわかった。
(特に冬期10℃以下)
・季節によりFC特性は不安定な現象が見られた。
・季節によりFCの運転中における制御系に課題が見られた。
季節
FCアシスト自転車(08年度機)
08年度機
07年度−2型機
60W級
級
80W
20V∼30V
40
4.0×4.0cm2
水平
0.7L/min
0.03MPa以下
約85×85×115mm
約1.1kg
60W級
級
80W
19V∼25V
36
4.0×4.0cm2
水平
0.7L/min
0.03MPa以下
約85×85×105mm
約1.0㎏
約105×240×130
約200×250×90
40W級
40W級
6W
10∼15W
1台(小型化品)
膜加湿方式
3.0kg以下
2台
バブラー方式
3.2kg
80NL×2本
(40℃で1.0MPa未満)
0.45MPa(20℃)
2.32kg
185NL
(メーカー仕様値)
0.6MPa(20℃)
2.74kg
二次電池重量(C)
1.3kg
1.3kg
電源関連総重量[(A)+(B)+(C)]
6.62kg
7.24kg
データロガー
MHタンク
燃料電池単体スペック
燃料電池出力
燃料電池瞬間最大出力
燃料電池電圧
燃料電池セル数
燃料電池電極面積
セル方向
燃料電池水素消費量
燃料電池水素供給圧力
燃料電池サイズ
燃料電池重量
FCシ テム
FCシステム
Li-イオン電池
燃料電池システムスペック
システムサイズ
システム出力
(DC/DCコンバーター効率含む)
補機消費電力
(空気ブロワー、電磁弁等)
(空気ブ
ワ 、電磁弁等)
ブロワー
加湿方式
総重量(A)
MHタンクシステム
水素貯蔵量
水素充填圧力
重量(B)
リチウム電池バッテリー
<変更箇所>
システム改良点
・FC制御回路・FC補機の電力は、 リチウムイオン
電池から供給
・FCを最適条件で運転できる様、制御を見直し
・DC/DCコンバーターの効率向上
・軽量・コンパクト化
08年度機 シャシダイナモ試験結果(1)
運転中の各主要部門の作動状況
(a)
(b)
2/3実施
2/4実施
2/3実施
図 シャシダイナモ試験結果(自転車A 2回目)
(a) FC出口温度、FC出力、水素供給圧力の関係
(b) Liイオン電池電圧、モーター消費電力の関係
2/4実施
08年度機 シャシダイナモ試験結果(2)
【07年度2型機】
航続距離 水素消費量 環境温度
(km)
(g)
(℃)
1回目
54.4
13.6
26.8
75
25
50
51.8
12.9
0
0
5
【07年度2型機】
平均 53.1
54.4
2回目
電源重量当たりの
走行距離(km/kg)
航続距離(km)
1回目
7.5
2回目
7.2
10
平均 7.4
27.8
51.8
7.3
【08年度機】
航続距離 水素消費量 環境温度
(km)
(g)
(℃)
1回目
2回目
3回目
4回目
51.9
70.0
61.8
58.4
15.6
15.3
14.2
13.9
※ 搭乗者は60kg∼75kg
【08年度機】
平均 60.5
−
平均 9.1
51.9
1回目
7.8
70 0
70.0
2回目
10 6
10.6
61.8
3回目
9.3
58.4
4回目
8.8
19.8
19.9
21.4
使用した水素吸蔵合金タンクの外気温度と形状の関連
08年度機は角型を搭載
07年度2型機搭載
08年度機搭載
筒型タンクは熱伝導性の悪いMHの層が厚いた
め、中心部分へ熱が伝わりにくい。
そのため、タンク中心部の温度が低下し、水素
放出特性が
放出特性が悪い。
MH層を薄くした薄型の角型タンクの適用を検討
放出特性を比較した結果、筒型タンクよりも
角型タンクの方が放出特性がよいことを確認
形状
大きさ
筒型
角型
Φ6×32cm 22.5×10.0×2cm
重量
2.74 kg
1.16 kg
充填圧力
0.6 MPa
0.45 MPa
充填温度
水温
20℃
水素貯蔵量
185 NL
80NL×2
図 放出特性の比較
(放出流量:0.7NL/min. 放出温度:20℃)
電動アシスト三輪自転車走行調査試験
目的 :
①三輪自転車では安定感があると考えられ、高齢者など利用者の拡大が期待できる。
②荷物積載の場所が確保できることから、業務用(新聞・郵便・宅配・蕎麦屋など)車輌への用途拡大
が期待できる
③FCなどの機器部品類の収納が容易、電源容量の向上が可能
使用車両 : 市販の商品 車輌重量 30.8kg、電源(26v-10Ah のリチウムイオン二次電池搭載)
試験内容
試験
容 : シャシダ
シャシダイナモ試験を実施((社)自転車協会の定める標準走行モード)
ナ 試験を実施((社)自転車協会 定 る標準走行
)※1
カタログ値 76
得られた結果
75
71.6km 71.8km
72
62.1km 59.7km
走行距離︵ km
︶
①航続距離
①航続距離は72kmとなり、ほぼカタログ値(76km)に近い結果で
なり、
タ グ値(
) 近 結果
あった。
②荷重(30kg)を搭載した時は、61kmになり、荷重なしに比べ
約18%減少した。
③当初、二輪車より重量物を積載するケースが多い電動アシスト
③
、
積載
動
三輪車は必要電力量が多くなるため、燃料電池を搭載する意
義が大きいと考えた。しかし、走行の仕方によっては三輪車は
二輪車より安定性に劣ることがあること、燃料電池を搭載する
ことにより重心が上方に移り、一層安定性が悪くなる可能性も
ある。
従って、既に一充電で76km(カタログ値)で走行できる電動
アシスト三輪車に、燃料電池システムを追加することは必ずし
も適してるとは言い難い。
61
50
25
荷重なし
30kg荷重
※1 バッテリー新品、常温25℃、車載重量(乗員および荷物を合計した重量)60kg、平滑乾燥路面、無風、無灯火状態で、3kmの平坦地の途中に勾配2度 の上り坂(1km)と
下り坂(1km)を含む全長5kmの標準走行路を設定し、平坦路「変速機・3」15km/h、上り坂「2」10km/h、下り坂 「3」20km/hで走行したときのテストデータ
※2 自転車の最大積載可能重量規定は30kg
平成20年度実施結果と課題
要素部材での実証結果
○燃料電池関連
・FC出力の不足
FC出力の不足
・さらなる高効率化・小型軽量化が必要。
・外気温度によって不安定になることがあった、加湿装置を付ける事などで比較的安定した。
○水素関連
・水素吸蔵合金の水素吸蔵量は大きくする必要がある。(1MPa以下において)
・外気温度・タンク形状によって水素放出量が影響した。
○制御関連
制御システムの最適設計が必要。
得られた結果
① FCアシスト自転車の航続距離及び電源重量当たりの走行距離は伸びなかった。
② 燃料電池アシスト自転車は、一般的な利用範囲内では、既存の電動アシスト自転車と
比べて優位性が乏しい。(自転車検討会による意見)
が
③ 燃料電池アシスト三輪車は、市場性や走行安定性などを勘案すると、厳しい面が多い。
(自転車検討会による意見)
④ 燃料電池アシスト自転車はその特徴を生かしたユーザーを見つけ、特化することによっ
て新たな意義が生じる。 (例:リヤカー付き自転車など業務用途)
3カ年のまとめ(H18∼20)
FC車いす・FCカート スペック
FCカート
FC車いす
燃料電池スタック諸元
燃料電池定格出力
360W
360W
燃料電池瞬間最大出力
540W
540W
燃料電池定格電圧
24V
24V
燃料電池セル数
36
36
燃料電池電極面積
40㎠
40㎠
燃料電池水素供給圧力
最大10psig(0.07MPa)
最大10psig(0.07MPa)
燃料電池スタックサイズ
13.8cm×12.5cm×25.5cm
13.8cm×12.5cm×25.5cm
燃料電池スタック重量
4.9kg
4.9kg
電源関連重量
48kg
51kg
サイズ
1040mm(L)600mm(W)940mm(H)
1190mm(L)660mm(W)1060mm(H)
動力制御システム
ハイブリ ドシステム
ハイブリッドシステム
ハイブリ ドシステム
ハイブリッドシステム
最高速度
6km/h
6km/h
重量
93kg
126kg
FC車いす諸元
MHボンベ諸元
サイズ
356mm(L)×76mmΦ
接続方式
ワンタッチ交換式専用カプラ
材料
水素吸蔵合金
安全機構
圧力逃がし弁
容器重量
4.5kg/本(4本使用)
水素貯蔵量
485NL
平成18年度/19年度 実施内容
平成18年度実施内容
<実証試験>
実証機:FC車いす FCカート FCアシスト自転車
実証機:FC車いす、FCカート、FCアシスト自転車
z プロトタイプ機の基本的な走行実験
z プロトタイプ機の基本的な課題抽出
z 法令・安全性の検討
<評価>
z 各種技術データの収集・調査
z 公共施設走行の環境調査 等
¾各機能部材の特性の確認
¾機能部材とシステムの最適化
¾実証試験コースの設定
平成19年度実施内容
<実証試験>
実証機:FC車いす、FCカート、FCアシスト自転車
z 長時間運転
z 外気環境試験
z 既存の電動製品との走行比較
z モニター試験
<評価>
z 各機能部材の経時変化
z 温度、湿度の各機能部材への影響
z FC搭載の優位性
z FC搭載の実用化に向けた、短期的課題と長期的課題
FC搭載の実用化に向けた 短期的課題と長期的課題
z 福祉検討会(H18∼19)にてユーザー側からの評価
¾長時間運転での課題を確認
¾気温等による影響課題を確認
¾既存電動製品との差異を確認
¾乗り心地を判定
平成18年度/19年度の 実施結果
実証機: FC車いす、FCカート、FCアシスト自転車
得られた結果
○ 長時間・長期間運転試験で、FC車いす:370時間、FCカート:230時間、FCアシスト自転車:
100時間の延べ走行試験を実施し、この期間における課題を抽出した。
○ 季節毎の運転試験で、燃料電池及びシステムの外気温度での影響(高温度での安定性の
課題)、MHタンクの外気温度での影響(10℃以下での水素放出量不足)などの課題を抽出
した。
○ 電動車との比較試験で、FC車いすの航続距離は56km(電源重量当たりの走行距離は1.1km
/k )で 既存の電動車いす<鉛電池2個 720Wh>の航続距離は20 3k (同 0.7km/kg)であっ
/kg)で、既存の電動車いす<鉛電池2個:720Wh>の航続距離は20.3km(同
0 7k /k )であ
た。さらに、FC車いすにLiイオン二次電池<2個、計756Wh>を搭載すると、航続距離は25km
(同2.8km/kg)となった。 FCカートでもほぼ同様の傾向。
また、FCアシスト自転車の航続距離は38.4km(同
ま
、 アシ
自転車 航続距離
(同 6.8km/kg)、既存の電動アシスト自転車
g)、既存 電動アシ
自転車
(Liイオン二次電池1個:104Wh)の航続距離は26.3km(同 20.2km/kg)であった。
○ FC小型移動体の乗り心地は電動小型移動体と大差ないことを確認した。
今度の技術的課題
○ 特性・品質: 燃料電池システムの軽量化、エネルギー効率の向上、
水素吸蔵量の向上
○ 実 用 性 : 航続距離、寿命、信頼性、安全性、耐久性
航続距離 寿命 信頼性 安全性 耐久性
○ 商 品 化 : 低コスト化、水素供給インフラの構築
FC車いすまとめ(H18∼19)
各種電源関連重量を同一程度にした時の航続距離
200
166.9km(推定)
航続走離︵ km
︶
150
100
92km(実測)
56km(実測平均)
50
34.2km(推定)
20 3k (実測平均)
20.3km(実測平均)
電動車いす
鉛電 (
鉛電池(2個)
)
・・・720Wh
電池重量【29kg】
※49kgFC電源相
当とすると
34 2km
34.2km
Liイオン車いす
FC車いす
Liイオン電池(6個)
・・・2553Wh
電池重量【27kg】
※49kgFC電源相
当とすると
166.9km
水素(180g)
Ni水素
水素 ・・468Wh
電池関連重量【49kg】
FCアシスト自転車まとめ(H18∼20)
各種電源関連重量を同一程度にした時の航続距離
航続距離︵ km
︶
150
133.4km(推定)
100
60.5km(実測平均)
50
26.2km(実測平均)
電動アシスト
Liイオン電池(1個)
Liイオ
電池(1個)
・・・104Wh
電池重量【1.3kg】
※6.62kgFC電源相当
とすると 133.4km
FCアシスト
水素(9g)、及び
水素(
) 及び
Liイオン電池(1個)
・・・104Wh
電池関連重量【6.62kg】
技術(要素部材)の課題抽出
燃料電池
・外気温度によるFC出力設定への影響(カート、車いす)
・FCの最適設計(出力、加湿など)
・運転時のFC特性の安定化が課題
・特性の安定運転の確立が必要
・FC出力の不足(アシスト自転車)
燃料電池システム
・補機による電力量の消費の軽減を要する
・補機類を含めた小型化・高性能化
・電池の特性を生かしたシステム構築
・制御システムの最適な設計を要する
制御システムの最適な設計を要する
MHタンク
・重く、システムの軽量化を必要とする(各機種とも)
・水素吸蔵合金タンクは水素吸蔵量の増加が必要
使 規
吸蔵
限
・1MPaを超えない使用規制があり吸蔵量に限界がある
・外気温度による影響
(夏期のタンク圧力の上昇、冬期の放出不足)
外気温度による影響とタンク形状の選定(自転車)
・外気温度による影響とタンク形状の選定(自転車)
・現状合金の約3倍以上の水素吸蔵
量を有する合金
吸蔵
規
・水素吸蔵合金に対する規制の緩和
が必要(水素検討会での意見)
・高圧タンク等の利用による効率化
水素吸蔵合金の技術開発予想
>5wt%級材料
5
水素吸蔵量
量(wt%)
>4wt%級合金
4
>3wt%相当合金
3
>2.4wt%相当合金
2
現状合金
(AB5:1.2wt%)
1
※水素吸蔵タンクを1MPaの規制以内として使用するか、
規制緩和が重要な要因になる。(水素検討会での意見)
0
2005
∼2010
∼2015
∼2020 (年)
各種電池の民生小型電池セルレベルにおけるエネルギー密度比較
350
重
重量エネ
ネルギー
ー密度(Wh/kg
g)
より
り
軽く
リチウム
300
((一次)
次)
空気亜鉛
250
200
オキシ
ライド
150
アルカリ
マンガン
100
50
0
鉛
0
ニカド
100 200 300 400 500 600 700 800 900
体積エネルギー密度 (Wh/l)
より小さく
出典:H19.2.15 産業技術総合研究所関西センター 辰巳 国昭氏 平成19年度第2回小型移動体検討委員会発表資料
各種二次電池の充放電エネルギー効率
Li-Ion
Li
Ion
Ni-MH
Pb
Capacitor
Redox flow
Redox-flow
Na/S
75
80
85
90
95
100
Cycle energy efficiency (%)
出典:H19.2.15 産業技術総合研究所関西センター 辰巳 国昭氏 平成19年度第2回小型移動体検討委員会発表資料
各種電源と走行距離の関係(車いすのケース)
(kg)
200
各種電源及び水素吸蔵合金の性能向上した場合
180
160
鉛電池
140
電
源
重
量
120
100
FCハイブリッド電源
80
60
40
20
0
1420Wh
(FC 水素タンク 二次電池)
(FC、水素タンク、二次電池)
((現状)
状)
水素吸蔵合金
水素吸蔵量比1.2wt%
2.4wt%
3wt%
720Wh
2553Wh
756Wh
リチウムイオン二次電池
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 150 160 170 180 190 200 (km)
走行距離
各種電源と走行距離の関係(アシスト自転車のケース)
(kg)
10
各種電源及び水素吸蔵合金の性能向上した場合
9
8
(現状)
水素吸蔵合金
水素吸蔵量比1.2wt%
7
電
源
重
量
6
2.4wt%
3wt%
FCハイブリッド電源
(FC 水素タンク 二次電池)
(FC、水素タンク、二次電池)
5
416Wh
4
リチウムイオン二次電池
3
208Wh
2
1
104Wh
0
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 150 160 170 180 190 200 (km)
走行距離
経済面からの評価
(ランニングコスト)
①車イス
(H19年度小型移動体実証試験結果より)
zFC車いす
水素180g(2016ℓ)、Ni水素電池468Wh 平均航続距離 56km
・・・
4.1∼5.6円/km
z電動車いす①(鉛電池)
鉛電池2個 840Wh 平均航続距離 20.3km
・・・
0.94円/km
z電動車いす②(リチウム)
電動車 す②(リ ウ )
Liイオン電池2個 756Wh 平均航続距離 25.3km
・・・
0.68円/km
②アシスト自転車
z FC車
水素 185ℓ 平均航続距離 53.1km 、Liイオン電池1個 104Wh
・・・
0.45∼0.6円/km
z電動車
Liイオン電池1個 104Wh 航続距離 30.0km(シャシダイナモ試験)・・
前提条件
《水素の価格》
0.078円/km
110円∼150円/N㎥
出典:「JHFCセミナー エンジニアリング振興協会の報告」
《電力の価格》
22.61円/kWh
出典:「関西電力ホームページ」より(標準的なご家庭:平均(6678.3円/300 kWh)
現時点では1km当たり、コストに6∼9倍の価格差がある。
実証評価(車いす、カート、アシスト自転車)
z 本実証事業を開始した当初と現在を比較すると、リチウムイ
オン二次電池の性能は急速に向上しており、軽量の小型移
動体に関してはFC搭載のメリットが薄まっている。
z FC搭載のメリットを見い出すには、FCと電池それぞれの特
性を活かした新しい燃料電池ハイブリッドシステムの構築が
必要である。
必要である
z 水素吸蔵合金ボンベについては今以上の軽量化、水素吸蔵
量の向上が必要である。(規制緩和が重要)
z 小型移動体用燃料電池は現状において基礎技術の実績発
表が少なく、これらを考慮する必要がある。
z 経済面は、ランニングコスト(電力費、水素費)だけを考察す
ると、FC搭載車では電動車に比べ6∼9倍と算出される。
FC自動二輪車の検討
平成20年度より、新しい小型移動体分野について、FC自動二輪車を対象とし、
商品化意義と技術的な課題や公道走行する際の課題を検討し、また実証試験
の意義や目的を検討するため自動二輪車検討会を開催した。
の意義や目的を検討するため自動二輪車検討会を開催した
<検討結果>
検討結果
1.エネルギーや環境問題への対応策の一つとして、燃料電池自動二輪車の研究が行わ
れているが、まだ各社とも開発中であり、いろいろな形式にトライしていることが判った。
2 水素燃料電池自動二輪車からのCO2排出がゼロ、ガソリン車に比べて車両効率の向
2.水素燃料電池自動二輪車からのCO
排出がゼロ ガソリン車に比べて車両効率の向
上等のメリットは各社とも確認されているが、 商品として成りたたせるためには、LCAや
Well to WheelのCO2削減効果、コスト、耐久性等の多くの課題を検討し、クリアしなけ
ればならない。これらをクリアして商品性を高めれば意義の一つとして考えられる。
3.技術的な課題や公道走行する際の課題の項目を分類し共有した。実証試験を行うこと
によって商品化への加速の役割を果たすことを確認した。
4.2次電池の開発が急速に進む中、燃料電池自動二輪車の位置付けを、短期および中長
期的な視点でそれぞれ検討することが望まれ、メーカ各社と共に燃料電池、2次電池、水
素貯蔵タンク及び各システムの専門家等を交えた討議が 今後も必要である
素貯蔵タンク及び各システムの専門家等を交えた討議が、今後も必要である。
国内外の小型移動体調査
○FC搭載の意義が考えられる電動アシスト自転車の業務利用形態について
リヤカー付き自転車は「新スリーター」と呼ばれ、約150kg(自転車積載30kg、牽引120kg)の荷物が積め
る。道路交通法上、この新スリ タ は軽車両として扱われ、車両総重量が750kgを超えない限り、放置違
る。道路交通法上、この新スリーターは軽車両として扱われ、車両総重量が750kgを超えない限り、放置違
反金の対象にはならない。新スリーターでドライバーは駐車違反も気にせずに集配業務をこなせるので配
送効率の向上や、ガソリン価格の高騰や環境意識の高まりを受けて車に代わる形態として期待できる。
日本郵政グループ
NPO法人環境共生都市推進協会
(VELOTAXI JAPAN)
○自転車タクシー
都道府県道路交通法施行細則または公安委員会によっ
て定められる細則により、「自転車の乗車人員」に関連し
た項目で、「二輪又は三輪の自転車」においては運転者
以外の乗車(小児を除く)の例外や特例を認めていない
県が多く、地域によって事情がことなる。
ヤマト運輸(株)
まとめ
z この実証試験から、これら燃料電池小型移動体を、製品・商
この実証試験から、これら燃料電池小型移動体を、製品 商
品の視点から考察すると、技術的課題、経済的課題は山積
みであると見られる。しかし、これら技術的・経済的課題を克
服して燃料電池利用範囲を広げることが、水素社会への一
歩となると思われる。
z 本実証試験の対象とした「車いす、カート、アシスト自転車」
のような小型移動体は、4輪車と比較して軽量であって、一
充填当たりの走行距離は短く
充填当たりの走行距離は短く、一方2次電池利用も進んでい
方2次電池利用も進んでい
ると思われる。
z これらの試験対象機種は、2次電池の技術展開を充分に考
慮すべきであると考える。
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