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生成音楽ワークショップ第7回 ジョン・ケージ、「失われ
生成音楽ワークショップ第7回 ジョン・ケージ、「失われた沈黙を求めて(プリペアド・トレイン)」(1978/2012) 日時: 8月25日(土)大垣駅発10:43-樽見駅11:48着/12:35発-大垣駅着13:32 8月26日(日)大垣発駅13:37-樽見駅14:43着/15:31発-大垣駅着16:37 料金: 乗客 1,800円(含乗車料金) 小学生以下は無料(要保護者同伴・一名につき一人) 演奏者 無料 1 イベントのあらまし 「失われた沈黙を求めて」は、今年生誕100年・没後20年を迎える実験音楽の巨匠ジョン・ケージと、イタリアの音 楽家たちが1978年6月にイタリアのボローニャ近郊で開催した、スピーカとマイクロフォンを設置した(プリペアドし た)列車をつかった音楽作品です。第7回を迎えた生成音楽ワークショップでは、Make: Ogaki Meeing 2012 / IAMAS オープンハウスおよび、サントリーサマーフェスティバル「即今―ケージ・ミュージサーカス・イン・東京」 (8/26のみ)の実施日時にあわせて、大垣駅から樽見駅まで約40Kmを運行する樽見鉄道を貸し切り、この作品を再現 しました。車内外数カ所に取り付けたマイクロフォンの音が車内に設置されたスピーカから再生されます。あわせて車 内では募集した演奏者によるパフォーマンスがおこなわれます。車内にはカメラとモニターを設置して、ウェブでつな がった各会場と音と映像を共有します。 ジョン・ケージ「失われた沈黙を求めて」について 1977年、イタリアの音楽家ティト・ゴッツィは、「実験音楽」の提唱者として知られるジョン・ケージに一通の手紙 を送りました。翌年開催されるボローニャ音楽祭で、鉄道を使ったパフォーマンスをしてほしいという依頼でした。こ れに対してケージは、鉄道そのものを、音をだす装置にしてしまおうと提案します。ケージからの具体的な指示には次 のようなものがありました。 1. この「ハプニング」は「失われた沈黙を求めて」というタイトルにする。音楽作品であることをあらわすため に、行程を楽章に見立てる。 2. 各車両の内側にはふたつのスピーカを置く。ひとつは車両の下に仕掛けたマイクロフォンがとらえた音をだす。 もうひとつは車両のなかに仕掛けたマイクロフォンの音をだす。駅についたときは、車両の外につけたスピーカからあ らかじめカセットに録音しておいた駅の音をだす。このカセットは乗客が自由に変えられる。 3. 駅のまわりにはテレビを置いて他の駅の様子が見えるようにする。たくさんの音楽家にライブパフォーマンスを してもらう。 他にも、出発駅で食べものや飲みものを買えるようにしてほしい、途中下車した人のためにタクシーを用意してほしい などの提案もしています。そして翌78年、イタリアの実験音楽家ファン・イダルゴとウァルテル・マルケッティの助け をかりて、この作品が実現しましました。 ケージはこのスピーカとマイクロフォンを設置した列車を「プリペアド(仕掛けのついた)・トレイン」と呼びまし た。「プリペアド」という言葉は、1940年代にケージが開発した「プリペアド・ピアノ」という手法を思い出させま す。プリペアド・ピアノとは、グランドピアノの弦にゴムや木のかけら、ボルトなどをはさんで、打楽器のような音がで るようにした仕掛けです。「失われた沈黙を求めて」では、今度は車両にマイクロフォンとスピーカを仕掛けて、走る鉄 道自体を音楽作品にしました。 この作品の詳細な記録が2008年にバスカビル社から出版されています。先の手紙やたくさんの写真、さらに映像、録 音まで収録されており、開催時の楽しそうな雰囲気がよく伝わってきます。写真にうつった乗客は呆然と座りこんだ り、写真をとったり、演奏したり、踊ったり、なにか車内にしかけたり?と思い思いに過ごしていたようです。 生成音楽ワークショップによる再現について 今回の再現は樽見鉄道株式会社の全面的なご協力のもと、ケージの手紙にある指示にできるだけ従いました。車内に はふたつのスピーカを置き、走行中にひとつのスピーカから運転席まわりの音を流し、もうひとつのスピーカからは車 両「ハイモ295-516」の日産12気筒ディーゼルエンジンの音や、車両と線路の接触音を流します。また車内にはiPadを 2台設置し、facetimeによって関連イベント会場とリアルタイムで映像と音声をやり取りします。他会場の音は駅に停 車したときに、車外に取りつけられたスピーカから流します。また、この再現のために特製の臨時切符とヘッドマーク も作成しました。 2 大垣から樽見に向かう往路は、水田や柿畑のなかを一直線にのびる路線を通過した後、次第に根尾川峡谷に入ってい きます。往路後半はカーブ、トンネルや鉄橋などが次々とあらわれ、走行音も前半とは変わってくるでしょう。約一時 間の行程で、木造駅舎が完成したばかりの終点、樽見駅に到着します。ケージの手紙にあった指示に従い、地元の食べ ものや飲みものを用意しました。樽見から大垣に向かう復路では、応募していただいた方のライブパフォーマンスが行 なわれます。 「生成音楽ワークショップ」とは 「生成音楽」とは装置やルールをもちいた自動作曲の音楽です。作家が思うままに音を配置するのではなく、作家の 手を離れて動き続けるもの(自然、機械、集団etc.)に音の行方を委ねます。城一裕と金子智太郎が主宰する本ワーク ショップは、生成音楽の魅力と意義を過去の名作の再現や共同制作ワークショップを通じて紹介します。 第1回:スティーブ・ライヒ「振り子の音楽」(1968/2010) 第2回:アルヴィン・ルシエ「細長いワイヤーの音楽」(1977/2010) 第3回:リチャード・ラーマン「トラヴェロン・ガムロン(自転車のための音楽)」(1978/2010) 第4回:生成音楽ワークショップ+杉山紘一郎「「聴く」装置としてのエオリアン・ハープ」(2011) 第5回:ミラン・ニザー「ブロークン・ミュージック」(1979/2011) 第6回:レオン・O・チュア「チュア回路」(1983/2011) 参考資料 Alla ricerca del silenzio perduto. Il Treno di John Cage. Ediz. italiana e inglese. Con 3 CD Audio e DVD [Perfect], Baskerville, 2008. 細川周平、プリペアド・トレイン、現代詩手帖4月臨時増刊、pp.180-184、1985年。 樽見鉄道準公式twitterアカウント https://twitter.com/tarumi_railway いいね! 樽見鉄道 http://blog.goo.ne.jp/tarumitetsudouinfo 樽見鉄道出発シンコー http://www.tarutetsu.net/ 樽鉄@岐阜高専&第一高校twitterアカウント https://twitter.com/tarutetuuuu 3 演奏者一覧 8/25(土) 8/26(日) intermission 平尾義之 オリジナル楽器の演奏 (銃をモチーフにした木製オリ ターンテーブルのようなもの、レコードその他を用いた ジナル楽器) ノイズのような演奏 電車の振動を3軸センサーで捉えたデータによる、自動 演奏&Spongeforkの即興ライブ演奏 フィリップ 鉄道でワラビモチをたべます 池田 萠 主に声によるパフォーマンス 古澤 龍 サポート 土屋 大輔 車窓からの風景を楽譜のように扱い、その場で電車内の 村上 裕 音に電子音を加えたり引いたり、実験をします。もとも 当日はmax/mspを使いライブします と、iphoneで聞ける電車の中の様々な状況変化に反応す るような音楽アプリを制作中でした。そんなところに、 このような機会を教えて頂き参加しました。今回はセン akagoma サーではなく車窓の風景を見ながら、電車の移動に伴う エレキギターのみで即興 状況変化に寄り添うような音響をめざします。 URL : http://ryufurusawa.com Yuko Nexus6 電池式トランジスタメガフォンを持参します Jomyak 淡路島での生活にインスピレーションを受けて制作した アンビエント作品 主催: 生成音楽ワークショップ+IAMASプリペアド・トレインプロジェクト (内田聖良、河合由美子、酒井亮、堂園翔矢、中上淳二、山田聡) 共催: Make:Ogaki Meeting 2012、岐阜県立情報科学芸術大学院大学[IAMAS] オープンハウス、 サントリーサマーフェスティバル「即今―ケージ・ミュージサーカス・イン・東京」 協力: 樽見鉄道株式会社 協賛: 大垣市観光協会、(株)田中屋せんべい総本家 [本イベントは日本学術振興会科研費・挑戦的萌芽研究「生成音楽の体系的理解に向けた音を生み出す構造の分析」 (24652029)の助成を受けたものです。] 4