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下りリンク OFDMA アクセスにおけるソフト FFR 型適応送信電力制御の
平成 25 年度電子情報通信学会東京支部学生会研究発表会 B-5 講演番号: 68 下りリンク OFDMA アクセスにおけるソフト FFR 型適応送信電力制御の一検討 A Study on Adaptive Transmission Power Control Based on Soft FFR for Downlink OFDMA Access 高橋 佑典 Yusuke Takahashi 樋口 健一 Kenichi Higuchi 東京理科大学大学院 理工学研究科 電気工学専攻 Department of Electrical Engineering, Graduate School of Science and Technology, Tokyo University of Science 本稿では,下りリンク直交周波数分割多元接続(OFDMA: orthogonal frequency division multiple access)において,ソフトフラクショナル周波数 繰り返し(FFR: fractional frequency reuse)型の周波数利用を前提に各周波数 ブロックへの送信電力配分をセル内のユーザ分布に応じて適応制御する方 法を検討する. 2. 提案法 3. シミュレーション評価 サイト間距離が 500 m のオムニ 24 セルのラップアラウンドモデルを仮 定し,マルチセル環境下の 100 ms 区間のユーザスループットの分布を測 -68- 4. まとめ 提案した適応周波数繰り返しを実現する PF 法に 基づくスケジューリング法が従来の固定的な周波 数繰り返し法に比較して優れた平均-セル端スルー プットのトレードオフを実現できることを示した. 参考文献 [1] 3GPP, R1-050507. [2] 3GPP, R1-050841. [3] J. Kim, et al., IEICE Trans. Commun., vol. E89-B, no. 2, pp. 531-538, Feb. 2006. [4] 小西ら, 2007 年信学ソ大 B-5-59, 2007 年 9 月. [5] 藤井ら, 信学技報 RCS2007-161, 2008 年 1 月. [6] A. Jalali, et al., in Proc. IEEE VTC2000-Spring, May 2000. [7] H. Seki, et al., IEICE Trans. Commun., vol. E96-B, no. 6, pp. 1288-1296, June 2013. Frequency prioritized for the cell-edge users Frequency prioritized for the cell-interior users Cell 1 f Cell 2 f Cell 3 f 図1. ソフトFFRにおける周波数割り当て 0.6 850 800 0.55 α of proposed method 750 0.5 700 0.45 650 600 0.4 Geometric mean user throughput Proposed method Conventional UFR 0 0.2 0.4 0.6 0.8 Average of セルラシステムの性能は他セルからの干渉により制限されるため,様々 なセル間の周波数繰り返し法が検討されてきた.3 セル周波数繰り返しで は,隣接セルで異なる周波数ブロックを用いることができるため他セル干 渉が低減するが,セル当たりで使える周波数帯域が制限されるため,セル 平均のスループットは一般に劣化する.一方,全てのセルで同一の周波数 を用いる 1 セル周波数繰り返し(UFR: universal frequency reuse)は,セル当 たりの周波数帯域幅が増大するため平均スループットを増大できるが,他 セル干渉が増大し特にセル端に位置するユーザのスループットが劣化する. このため,ユーザのセル内の位置に応じて部分的な周波数繰り返しを行 うソフト FFR が検討されている(例えば[1-5]).図 1 に示すように,下りリ ンクのソフト FFR では,各セルは,トータルの周波数の 1/3 を,周波数繰 り返しを適用しセル端に位置するユーザに優先的に割り当てるセル端優先 周波数帯域として定義する.各セルの残りの 2/3 の周波数帯域は,セル近 傍のユーザに優先的に割り当てるセル近傍優先周波数帯域となる.隣接セ ル間ではセル端優先周波数帯域は互いに直交するように配置される.さら に,セル端優先周波数帯域の送信電力密度はセル近傍優先周波数帯域の送 信電力密度よりも高く設定する.これにより,セル端優先周波数帯域にお いて受信信号電力対セル間干渉電力比が増大する干渉コーディネーション 効果が得られる. 基地局の総送信電力を Pt とし,基地局 n は Pt のうち α(n)Pt をセル端優 先周波数帯域に,残りの(1−α(n))Pt をセル近傍優先周波数帯域に割り当て るものとする.電力配分を示す α(n)は,1/3 ≤ α(n) ≤ 1 であり,α(n) = 1/3 の ときが UFR に相当し,α(n) = 1 は 3 セル周波数繰り返しに相当する.従来 のソフト FFR の検討では,α(n)は全セルで共通の固定値であった.しかし, 最適な α(n)は各セル内のユーザ分布に依存すると考えられる. そこで提案法では,各セルの α(n)を適応制御する.制御規範は,与えら れた周辺セルの α(n)の条件下で,プロポーショナルフェア(PF: proportional fair) [6]に基づき,幾何平均ユーザスループットを最大化するものとする. 実際には α(n)に応じて,セル内の各ユーザがセル端優先周波数帯域とセル 近傍優先周波数帯域のそれぞれをどの割合で割り当てられるかは変化する ため,α(n)と各ユーザへのリソース割り当て率をジョイントで最適化する. この問題は,α(n)とリソース割り当て率に対して独立な拘束条件が設けら れた凸問題なので,以下の 2 ステップを繰り返すことにより,全体最適化 が実現できる. ステップ 1 直前のステップ 2 で得られた最適 α(n)値の条件の下,文献[7]に示される 注水定理に基づいて,セル内の全ユーザのセル端優先周波数帯域とセル近 傍優先周波数帯域それぞれへのリソース割り当て率を PF 規範で最適化す る. ステップ 2 直前のステップ 1 で得られた最適リソース割り当て率の条件の下,α(n) を PF 規範で最適化する. 各セルは同時に独立に各々の α(n)を直前の周辺セルの α(n)の条件の下で 最適化するため,上記ステップを繰り返すことにより,全セルで調和した 最終的な α(n)が得られる.繰り返しにより,各セルの α(n)が一定値に収束 することは,シミューレーションにより実験的に確認している. 定した.180 kHz 帯域幅のリソースブロックが 24 個並べられた OFDMA アクセスを仮定した.ソフ ト FFR を行う提案法では,全リソースブロックを 均等に 3 分割し,図 1 に示すように 1 つのブロッ クをセル端優先周波数帯域とし,隣接セルで同一 のブロックが優先ブロックにならないよう配置し た.残りのリソースブロックがセル近傍優先周波 数帯域となる.各セルにおいて,基地局を中心に した半径が β のエリア内に 30 端末をランダムに配 置した.β 値はセル半径で正規化した.β が大きい ほどセル内に一様にユーザが分布することになる. 図 2 に β に対する提案法で制御された α(n)の平 均値と幾何平均ユーザスループットの平均値を示 す.比較のため,UFR の幾何平均ユーザスループ ットも併せて示す.β が増大するほど,セル端に 位置する周波数繰り返しが望ましいユーザの割合 が増大するため,α はより大きな値に制御されて いることがわかる.結果として,提案法は,β に よらず常に UFR よりも幾何平均ユーザスループッ トを増大することができた.これは,ユーザ分布 に応じて適切に UFR と 3 セル周波数繰り返しのト レードオフを制御できたためである. Average of geometric mean user throughput (Kb/s) 1. まえがき 1 0.35 図 2. β に対する α(n)と幾何平均ユーザ スループットの平均値 Copyright © 2014 IEICE