Comments
Description
Transcript
縮退磁性半導体の低温磁化
2 5 福井大学 工学部研究報告 第3 0巻 第 l号 昭 和 田 年 3月 縮退磁性半導体の低温磁化 高井穣* 井上正事 八木寿郎* 立川敏明特 Low Temperature Magnetization of Degenerate Magne七ic Semiconductors , Masasi 工NOUE, Hisao YAG 工 and Toshiaki TATSUKAWA Minoru TAKA工 (Received Mar. 1,1982) , _~Cr~Te Magnetization measurements of Bridgman-grown Sn よー x x crys七als have been carried ou七 in 七he tempera七ure range from 2.5 K to 300 K. These crystals show a hysteresis curve characteris七ic of near-ferromagnets. The coercive force and residual magnetiza七ion are varied by a heattreatmen七 under Zn vapor a七 6000 C,which means tha七 七he isothermal annealing reduces la七七 ice strains produced during 七he crysta1 growth. The tempera七ure dependence of the magnetiza七ion has a ferrimagnetic behavior of the type P, and the magnetiza七ion increases as 七he tempera七ure is lowered below abou七 20 K,following nearly the Curie-Weiss law. Thus the overall magnetization at low tempera七ures is 七he superposition of both ferrimagne七ic and paramagne七ic contributions. However, 七here is a possibi1ity of 七he precipitates of different types of chromium 七e11urides in 七hese ma 七eria1 systems. 1 序 自由キャリアと局在磁気モーメントとの相互作用やそれらの磁気的配列状態の機構を研究するた め,我々は N-VI族 化 合 物 半 導 体 SnTeに磁性不純物として 3d遷 移 金 属 の Crを固溶した物質系, す な わ ち 縮 退 磁 性 半 導 体 Snl-xCrxTe 混 品 を 作 製 し , そ の 静 的 磁 化 を 1 .4Kから室温までの広い 工型結晶 温 度 範 囲 に わ た っ て 測 定 し た O ところで,母体結晶である SnTeはおよそ立方対称の NaC 020 - 1 021cm-3と通常の半導体に比べて多 構 造 を 持 ち , 伝 導 キ ャ リ ア 数 (Sn欠陥による正孔)が 1 0-2 - 10-1eV程度の縮退半導体である o SnTeのバンド構造は, 1968 く,フェルミエネルギーが 1 年に L.M.Rogersに よ っ て 軽 い ホ ー ル と 重 い ホ ー ル か ら な る “ 二 価 電 子 帯 " 構 造 を し て い る こ と * 応用物理学科 料超低温物性実験施設 2 6 が報告されている 1 〉 O また, 8 0- 1 0 0K付近で NaOl型構造から菱面体構造への変位型構造相転移 を起こすことも SnTeの大きな特徴である O Snl-xOrxTe混 晶 は , キ ュ リ ー 温 度 Tcが 1 5 0- 3 0 0Kのフェリ磁性体であり は後述のような熱処理効果によって著しく変化し 3) 2 ) それらの磁性 “構造敏感な"物質である O 本研究は主に液 体 He温度領域の磁化測定に注目し,低温における別の磁気転移の可能性を探ることを目的とする O 2 実 験 測定に用いた試料はあらかじめ OrTeを合成し,これを粉末にして Sn, Teと共に石英アンプル 0 -5TOrr程度)で封入したものをブリッジマン法で育成した o Snl-xOrxTe(0 . 3 に高真空(1X 1 7 o : : ; ; : xζ5at.%)試料は育成した状態(as-grOwn結晶)と,亜鉛蒸気中, 600"Cで 2日間焼 at. 鈍・急冷した状態 Canneaユ ed結晶)の 2種類を用いた O 測定用試料の形状は育成したインゴツト より放電加工機で円柱状(直径 8mm,高さ 4mm)に切り出し,研磨材(アルミナとカーボランダム で表面をみがき,化学エッチング(希釈硝酸液に少しつけ,水酸化ナトリウム溶液に十分に浸す) によって表面を洗浄した O 磁化の測定には, Fig.1に 示 す ような振動試料型磁力計を用いた O 円柱状試料を両面テープとセロファ ンテープで石英ガラス管支持棒の先 端に取り付け,電磁石の中心に置く O 支持棒を 80Hzに徴小振動させて試 料の磁化による磁界を試料コイルの ock diagram of a vibrating sample magne 七o meter (Toei Ind.,Tokyo). 誘導起電力として検出し,これを Pre.ぉn p .で、増幅して 80Hz の狭帯域増幅器で増幅し,位相敏感検出器 CP.S.D) で位相 検波した直流電圧の信号を取出す O 石英ガラス管支持棒を, Fig.2に 示 し た 液 体 He用クライオスタブトの中心のガラ ス管キャピティ内に入れ,この内部に熱交換ガスとして Heガ スを入れ,液体 Heを減圧して低温状態を実現し,温度上昇は 自然昇温によった。温度測定には高温部を銅 コンスタンタ 0K以下の低温部をカーボン抵抗温度計を用いた O ン熱電対" 6 なお,育成したままのインゴァトの Or濃度の垂直分布を IMA (イオンマイクロアナライザー)で測定した O 3 実験結果 Quartz tubing A. 磁 化 曲 線 Fig.3は£ニ 0 . 5 ,1 ,2a 七.~らの as -grown結晶の 1 5kOe までの磁化曲線であり,上は室温,下は 4.2Kの結果である O 室温では 0 .5at.%の試料は反磁性を示している O これは母体 結晶である SnTeが 反 磁 性 (-4x1 0-7emu/Oe.g) を示し, Fig .2 . Me七al dewar for low temperature magnetization measurement. 2 7 1 ,2a七. r oの 試 料 で は 強 磁 性 的 な 振 舞 RJ .I IR . I RI pb'h司 A93EJbzvb 0 . 5 a t . r o程度の濃度の磁性不純物の影 響がこの反磁性に隠されるためである O いを示しているが,履歴は見られず, 測定温度がキュリー温度付近のために このような磁化曲線が現れる O 一方, 4 . 2 Kではこれら 3つの試料は強磁的振 舞 い を 示 し , 磁 化 は 15kOeの磁場でも 飽和せず, Cr濃度 Z の増加と共に残留 磁化は増加し,保磁力は減少する傾向 . 5at.r oと 1at.% が見られる O 特に 0 の4 . 2 Kにおける磁化曲線が非対称にな っているのは,それぞれ保磁力が強く, 15kOeの磁場では十分な飽和が起こっ ていないためである o (X=2at・ ' , ) (X=lat . ' , , ) ( X = O . 5 a t可 , ) Fig. 3 . Magnetization curves a七 room七empera- 次 に , 熱 処 理 を し た (annealed) 結晶では, Fig.4に 示 す よ う に , 室 ture and 4.2 K for 七he as-grown Sn1_xCrxTe crys七aユswi七h different x. 温において 0 . 2 ,0 . 3at. %の試料は反 磁性, 0 . 5,L 5at. 9 もの試料は強磁性的振舞いを示している O これらは as-grown結晶の場合と . 2 Kでは全てわずかな履歴を伴った常磁性的な傾向(磁化が磁場に比例し 同じように説明でfきる o 4 cn 濃度が増加するにつれてわずかながら保 て 増 加 す る ) の 著 し い 磁 化 曲 線 を 示 し て い る O しかし, RI H(kOe) s 百一? (X=O.2at・ ' , . ) (X=lat・ , , ) (X=O.5at・ ' , ) 4 . 2 K 4 . 2 K H(kOe) H(kOe) 1 0 1 5 1 (X=O . 2at . " , ) (X=O.3at . " , ) (X=O.5at~',) Fig. 4 . Magnetiza七ion curves at room tempera七ures and 4.2 K for 七he annealed S r し Cr Te 上 -x crystals with differen 七 x . x (X=la , . tι) - H(kOe) 1 0 1 5 1 (X=5al・ " . ) 28 磁力が減少し,残 1 d l 留磁化が増加して より強磁性的な傾 A:αrax A:αrax O: ( J r ・:岱 向が現れている O これは Cr濃度が希 。 A b E . 2 1 0 A o 不純物聞の相互作 A 1 0 (φOV4)U 工 コ E ( ! ) o o • A- 増すにつれて磁性 • Q ;1 ・ に寄与し,濃度が • annealed ‘ A0 不純物は常磁性的 Snl_xCrxTea t4 . 2K oa s-grown 4 AAO 薄な試料では磁性 1 0 1 S n 1 x C r xT ea t4 . 2K a n r 官。!凶 as-grown, g +t 用が強くなり強磁 性的な寄与が大き くなるためである 1 o ' t 0 1 . と考えられる O • 1 0 1 1 0 - 1 0 0 1 . X(a t . " , ん ) as-grown結晶 F i g .5 . Residua1magnetization,magnetization a 七 1 5kOe, と比較した場合, and coerci ve force a t4 . 2K forthe as-grown and annea1ed anneaユed結晶で ー xCrxTe crysta1s p10tted against 七heCr concentration. Snユ は,保磁力,残留 磁化が小さく, 15kOeの磁場での磁化が大 きくなっていることが注目され,熱処理の 効果が著しいことを示している o Fig.5 は as-grown及び anneaユ ed結晶の 4.2K での残留磁化。 m a x及び保磁力 Hcの Cr濃度 依存性を示したもので,これらはいづれも Cr濃度と共に増加していることがわかる O 特に as-grown結晶の Hcは anneaユ ed 結晶に比べて大きいことが注目される O 定 ω ~3 m 、 、 コ E ω れ4 性的に考えると, as-grown結晶におい .02 ては Cr不純物の周りの結晶格子には多数の b x 結晶歪みや欠陥が生じており,磁区構造に おける磁壁移動が幽難となるが(従って Hc が大), Zn蒸気中で焼鈍・急冷という熱処 理操作によって結晶格子内に生じたこれら の不完全性が除去されるため annealed 結晶の Hcが減少すると考えられる O また, annealed結晶の方が Hcの Cr濃度依存性 が小さいのも同様の熱処理効果で理解され るO 0 . 5 ( at .oん ) 。 ∞T(K) 1 2 0 0 300 F ig. 6 . Temperature dependence ofthe 七i on ( a 七 5k Oe) for the asmagnetiza grown Sn,. . C r . . T e crysta1s with differen 七 x, ムー x x 2 9 B . 温度依存性 Fig.6は Cr濃度の異なる as-grown結晶に対する磁化の温度依存性である O この場合,磁化 . 5 a七.%の場合,キュリ 測定は 5kOeで行ったが,縦軸は 1kOeに換算した磁化の大きさを表す o 0 ー温度は 1 6 0K付 近 で あ れ そ れ よ り 低 温 で は 磁 化 は 増 加 し て 7 0K付近で極大を示し,それ以下の 温度ではその変化は緩慢になり, 4 0K付近でわずかな極小を示す o 1a七.%の場合はキュリー温度 が高温側にずれ,全体の磁化が大きくなる事以外はほぼ似た振舞いを示す O しかし 2a七.%の場合, 130瓦に極大を, 50Kに極小を示し,低温側で磁化が著しく増加する O このような磁化の温度依存 性はフェリ磁性の P型によく似ている。 Fig.7は annealed結晶 の磁化の温度依存性である O ! ? ド 0.3at.70では約 1 3 0K で 極 大 を,約 70Kに極小を示し,低 温で鋭い立ち上がりが見られ るo 1a七. 7 0 も約 130Kで 極 て r~ I ~~ ~I\ ミ1 ¥ 大を,約 50K で極小を示す O 2 一方, 5at.70 では同じ様に 約 1 30Kで極大を示すが,そ れ以下では減少して低温部で はほぼ一定になり,わずかな 1 0 0 立ち上がりを示す O これらの T (K) ∞ 2 3 0 0 O ∞ 1 T(K) ∞ 2 ∞ 3 振舞いは希土類鉄がネットの Fig. 7 . Tempera七ure dependence ofthe magne七iza七ion 状態とよく似ており ( a t 5 kOe) for 七he annealed Sn, C r _ _ T e crys七als l-x~- x 4) 特に 0 . 3 ,1at .7 0ではこの特徴が wi七h different x. 現れている O 更に, anneaユ ed 結晶の磁化の低温での振舞いに注目した測定結果を示す o Fig.8は Cr濃 度 がそれぞれ 0 . 1,0 . 2 ,0 . 3 ,0 . 5 ,1at .%の annealed結晶に対して磁場を 5kOeと約 300e をかけたと きの低温における磁化の温度依存性を示す o 5kOeの磁場をかけた場合にはいづれも急激な磁化の 増 加 が 見 ら れ , 常 磁 性 的 な 振 舞 い を 示 す (Fig.7 参照〉。一方,約 300eの磁場ではいづれも 60K から 4Kまでほぼ一定で, 3- 4Kの間で磁化が急激に減少し, 0 . 2at.%の 試 料 を 除 い て , 更 に 低温で増加する傾向が見られる O この磁化が急激に減少する温度は,我々の研究室の電気的測定で 調べられたこの物質系の Snのネットワーク形成による超電導の起こる温度(3 .7K付近)にほぼ対応 しており, Sn金属のマイスナー効果による反磁性による現象である O この反磁性のために 0 . 3や 1at . %試料の磁化の温度依存性は不連続になっているが,この温度の両側の曲線を結ぶと一様な常磁性 的な曲線が得られる O 4 a s-grown 結 品 の Cr濃 度 分 布 Fig.9は Crを 1at.%添 加 し た as-grOwnインゴットの Cr濃度の垂直分布の一例を示したも . 8at. のである O 横軸はインゴットの上部からの距離を示す O この場合,下部は 0.5at.%,上部は 2 ωC 20 Snl_xCrxTe(x=0,2o!.'W annealed H=5kOe 3 H ) b1 0 コ E 戸 hv F m 。 n u ε Q . o ‘ O 目 S n l _ X C r XTe(x=O.3at . " I . ) 2 o . fannealed H=-300e mコE N ' o z gコE4DFH)む 、 。 同 X C r XTe(x=O.3at . ' I . ) 5円 l annealed H=5kOe Snl_xCrx Te(x:O.2ol . " I o ) annealed H=-30Oe 也 , , . . ミ 1 . Q ) b annealed 、 。 』 E コ コ E Q . o Q . o 。 zO10 w ) ( K b b γ o e(x=lal" l o ) yT Sn¥_XCrX C r x T e ( x a z n 1 n a e t H ? a l = l . e ) ー d 3 1 Sn¥・x annealed H~ 5kOe H=5kOe ‘ 0 、 3 印 C xTe(x=0.5at 1 . ) Sn1 r X X annealed ゐ T (K) 6 ・ o ) Sn XCrXTe(x:0,5atol 円¥ l - KH 4 T ( K ) O ( γt 60 ) 40 T ( K ) ,句 20 n v o n v 2 2 OOe 「巴 ; 1 0 ‘ K E x 円四 3 3 ' γ 40 20 T(K) Fig. 8 . 60 o 4 T (K ) 60 Temperature dependence of the magnetizations measured at 3 0 Oe and annealed Sn1_xCrxTe crystals with different x. 0 5 kOe for the 6 3 1 %と結晶の成長方向に Cr濃度の著しい変 j i E 3 3 . 0 化がある O このようなかなり大きな濃度 分布は, Cr原子の液相と固相の聞の溶解 で,ブリッジマン法で結晶育成する限り 避けられない。測定用試料はできるだけ 2 . 0 (d・.︼咽)﹄U 度及び lより小さい偏析係数によるもの 1 . 0 インゴットの中央部を用いるようにして U、る O 。 L(mm) 5 考 察 Fig. 9 . Dis七ribution of Cr impuri七ies _ 縮 退 磁 性 半 導 体 Snl-xCrxTe混 晶 の a10ng the grow 七h direction of七he crys七a1 静的な磁化を測定することにより,この with x=工 a七.丸 ob七ainedby an ionmicro- 物質系の磁気的配列状態を明らかにする ana1yzer. ことが我々の目的であった O 上 述 の 実 験 結果に基づいて二,三のことを考察してみたい。 Snt-xCrxTe混晶において Cr濃 度 が O . 5 at.%以上の高濃度の試料では,インゴツト全体にわた り CrTeの偏析(母体に比べてある方向をもった針状のもの〉が,また O . 5 a七.%未満の低い濃度で は 全 体 的 に 均 一 相 で は あ る が , 徴 量 の 強 磁 性 不 純 物 ( CrTe )を含んでいることが金属電子顕微鏡 による観察,マイクロプロープによる分析及びイオンマイクロアナライザーによる分析で明らかに されているの O 更に SnTeに Crを添加すると,クロムテルル化物(Cr2 Te3や Cr3Te4な ど 〉 が 形 成され,母体 Snl-xTeの Te濃度が増加することがキャリア移動度とキャリア数の関係から示され ており,転移温度はこれからの偏析物の転移温度であるとみなされているの O 我々のイオンマイクロアナライザーによる分析や磁化の温度依存性の測定結果は,ある程度これ らのことを示している O また, S~_xCrxTe(X=lat~/.) Cr2Te3' Cr3Te4及び Cr5 一-as-grc附 n Te6結晶の中性子回折によれ ば7 ) ---annea 恰d H=5KOe Cr2Te3は非常に弱い を示している O 従って Snl-x CrxTe混 品 の フ ェ リ 磁 性 成 分は Cr3Te4や Cr5Te6の偏 析による可能性もある O 更に, an . nealed結晶における磁化 の温度依存性の低温側の振舞 … 制E 令、2 K コ. ,5' 強磁性的成分を持ち, Cr3Te4 と Cr5Te6は共にフェリ磁性 S , n_XCrxTe(X=lat・ ' , . ) 4 . 2 K 一-asgrown b H(kOe) ; 1 1 1 \------一--~ k 1 0 0 200 T(K) 300 Fig. 10. Comparison of 七hetempera 七ure dependence い , Cr濃度の多い as-grOwn 七ion curves a 七4 .2 K for 七he asand the magnetiza 結晶の低温側の立ち上がり, grown and annealed crys七als with x=工 at.弘 一連の磁化曲線の非飽和の傾 3 2 向などから,常磁性的な寄与をする Crイオンが存在することも考えられる o Fig.l O は Cr濃度 lat. 9 らの as-grownとanneaユ ed結晶の磁化曲線と温度依存性を比較したものであるが,明らかに熱 処理によってフェリ磁性成分が減少し,常磁性成分が増加している O しかし,この結果は熱処理に よって上述のグロムテルル化合物が偏析したとすれば,むしろ矛盾することになる O 更に, Fig.l1に示すように an- 6~ S n 1 ・ x C r x T e(annealed) nea工ed結晶の低温部での立ち上が りの様子を見るため, 5kOeでの磁 1xと書く)を 化の逆数(ここでは 1 5 試料も Curie-Weiss則に従った 1 /xの零点を切 る温度は全て負の温度になる o (な お,フェリ磁性項を高温部の磁化の 様子から予測して,その分を実測し た磁化から差ヲ l いて 1 1x-Tを書く A A •• 温度の関数として描くと,いづれの 温度依存性を示し, • -0 . 2(ae/o) • l : ; f • • • , 、 ← 開~ T 、 F、 〈 、2 •• • . 0 . 5 品 A 0 . 0.0. 1 " O も ← x F ‘“‘~企 thAdh " l < 0 . 30 t 、 、 o 2- 000ぴ ヨ コo 0 0 0 。 。 Tab工e1は Fig.11の曲線から求め o た Curie定数 C,角運動量 J及 び E Q) 、 、 34 J 0 . 0 . A 4. . . . コ 。 o . t : . A A 0 . 0 . o .A と,ほぽ原点を通る直線になる o ) 5 A A A 6 ~OO Curie温度。をまとめたものである O ただし , Jはタ値を 2として計算し たO これらの値はかなりパラついて 06 2 4 5 6 ,: 3 : 8 ' 0 T(K) いるが,これは Cr濃度の不均一性及 Fig. 11. Reciproca1 magnetiza 七ion ( a 七 5kOe)of びフェリ磁性と常磁性の両方の舷化 the annea1ed crysta1s with differen七 x p10七ted が重なった磁化をとって計算したた against tempera 七u re. めである O ユe 1 . Curie constant C,magnetic quantum Tab 6 結 論 ブリッジマン法で育成した縮退磁 性 半 導 体 Sn卜 xCrxTe混晶に対して, 室温から液体ヘリウム温度領域まで の広い温度範囲にわたり試料振動型 磁力計による磁化測定を行った O こ れらの結果をまとめると次のように なる: 1 ) この物質系の磁性は熱処理によ 七a ined number J,and the Curie temperature eob fromFig. 11 for 七he annea1ed crys七a1s with 七 differen X. X (at . o / , ・ ) C(emu 1 0 0 ' g ) . 1x 10 -5 0 . 2 2 5 . 3 x 1 0 0 . 3 4 4 . 1x 1 0 0 . 5 2 4 1 . 9 x 1 0 -d句 ( K ) J e . 18 4 . 6 2 . 2 1 . 6 3 . 7 1 .5 2 . 6ー 1 .9 って大きく影響を受ける O 熱処理によって結晶格子内に生じた格子歪みを除去したりするが,ま Te6 たクロムテルル化合物の偏析を促進する可能性もある O 例えば, Cr2Te3' Cr3Te4' Cr5 などが考えられるが,これらについては種々の方法で確かめる必要がある O 3 3 2 ) 磁化の温度依存性は測定磁場の大きさに著しく影響を受ける O 十分磁場が弱いときは,熱処理 によって生じた Snのネットワークによる超伝導現象が現れ,反磁性的振舞いが顕著になる O 印加 磁場が 5kOeの場合,低温で磁化が急激に増加する。また, 4 . 2 Kでの磁化曲線は履歴をもつが飽 和しない。これらのことは低温部で常磁性とフェリ磁性の両方の寄与が存在することを意味する O しかし,低温における比熱の測定結果 8 ) などを考えると,これらの振舞いは本質的な現象かも知 れない。今後, Cn 濃度の均一性のよい結晶についてより詳しく研究する必要がある O 謝 辞 本研究の測定に援助を受けた竹原耕一,米沢伸一,また液体ヘリウムの提供及び低温技術に関与 した斉藤忠,坪川勝治の諸氏に感謝の意を表する O REFERENCES 1 ) L.M. Rogers: Brit. J. App1. Phys. ( J . Phys. D ) 主 (1968) 845. 2 ) M. 工noue, H. Oshima, M. Morisaki, H. Yagi, and T. Tatsukawa: J. Phys. Soc. Jpn. 50 (1981) 1222. 3 ) M. Inoue, H. Oshima, H. Yagi, and T. Ta七sukawa: Jpn. J. App1. Phys. 20 (1981) 2347. 4 ) S. Ge11er, J.P. Remeika, R.C. Sherwood, H.J. Wi11iams, and G.P. Eepinosa: Phys. Rev.137(1965) 1034. 5 ) O. Gorochov, A. Ka七七y et P.L. Hugon: C.R. Acad. Sc. Paris 274(1972) B-673. 6 ) o . Gorochov, A. Katty e七 P.L. Hugon: C.R. Acad. Sc. paris 279 (1974) C-137. 7 ) A.F. Andresen: Ac七a Chem. Scand. 24 (1970) 3495. 8 ) T. Yasue, M. 工noue, H. Yagi, and T. Ta七sukawa: Mem. Fac. Eng. Fukui Univ. 30,No. 1 (1982)[this issue]. 34