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少子高齢化社会における 少子高齢化社会における 世代間交流方策に関する研究 世代間交流方策に関する研究 1090413 井上 亜璃紗 指導教員:草柳俊二教授 高知工科大学 工学部 社会システム工学科 建設マネジメント研究 世界には約69億人もの人々が生活しているが、2050年には約91億人になると推測されている。しかし、日 本の人口は2010年以降、出生率の低下が原因で、急激な減少に転じる。さらに人口が低下するにも関わら ず、高齢者の人口の割合は増加してくると推測される。これは益々、少子高齢化の影響が強くなると考え られる。本研究は、少子高齢化社会における世代間交流の必要性・重要性をテーマとしたものである。 Key Words : Exchange between generations 、 Less children and aging society 、 Exchange place 1. 背景 (1)高齢化 (1)高齢化社会 高齢化社会 現在世界には、約69億人もの人々が生活している。人 口は、このまま増加し続けると考えられており、2050年 には約91億人になると推測されている。その主な理由と して、中国とインドの異常たる人口増加である。中国は 2004年から5年間で約3210万人増加、インドは5年間で 約1億人の増加である。2009年の調査では、中国の人口 は約13億人、インドの人口は約11億人である。これは中 国人が全人口の約20%、インド人が全人口の17%を占め ていることになる。しかし、世界人口を年齢別で見ると、 2050年には15歳未満の人口が減少し、65歳以上の人口が 増加してくる。これは世界的にも少子高齢化の問題が深 刻化してくると考えられる。 そして我が国も、少子高齢化の問題が叫ばれているの が現状である。日本の人口は、約1億2000万人であり、 内65歳以上の方【高齢者】が約2941万人である。これは、 全人口の約23%を高齢者の方が占めている結果になる。 2050年には更に悪化すると推測されており、日本の高齢 者の割合は39.5%に跳ね上がると推測される。これは、 日本の人口の4割が高齢者の方になり、2.5人に一人が 高齢者となってしまう。さらに、日本は2010年以降、人 口成長率がマイナスになると推測されており、人口が減 少すると仮説立てられている。 しかし、年少人口(0~14歳)は減少するも、老年人口 (65歳以上)は増え続けると推測されている。今後、少子 高齢化の問題は益々深刻化すると考えられる。 (2)高知県の高齢化の現状 (2)高知県の高齢化の現状 2009年12月31日調べでの高知県の人口は、約77万人で ある。77万人という数は都道府県別人口ランキングでも ワースト1位の島根県に続き2位に位置づけられている。 さらに、高知県は老年人口 (65歳以上)割合が、島根 県・秋田県に続き3位に位置づけられている。人口が少 ないにも関わらず、老年人口が多いという事は、高齢化 社会の影響が強い県と断定できる。老年人口割合に至っ ては、全国平均が22.4%なのに対し、高知県は26.6%と 大幅に上回っている。 そして、近年では女性の長寿が目立ってきており、高 知県でも元気な高齢者の女性をよく見かける、高知県の 女性は全国年齢別人口でも平均値を大幅に上回っている。 女性は全国平均を大幅に上回っている 45,000 40,000 35,000 30,000 25,000 0‐14歳 20,000 65歳以上 15,000 10,000 図-2 全国 男女・年齢別人口(高知県比較) 5,000 0 09 011 013 015 017 019 021 023 025 027 029 031 033 035 037 039 041 043 045 047 049 20 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2.目的 図-1 予測:日本の人口・年齢構成別 (赤‐老年人口 高知県は高齢者が多い県と定義づけられたが、各世代 青‐年少人口) 1 各世代が他の世代と交流 意思を持っているか が他の世代と交流する事は、地域や人々の活性化にも繋 がり、また各世代にしか持っていない素晴らしいもの (知識・精神的支援・肉体的支援・心理的支援等)を分け 0 0 ない 与える事で、各世代間で様々な効果が得られると考える。 何より他の世代と交流する事は、勉強や経験にもなり、 高齢者回答 1 4 どちらかと言えばない 3 どちらかと言えばある 0 4 3 7 2 3.アンケート調査( 3.アンケート調査(意思・意欲確認) 意思・意欲確認) 0 16 5 8 8 3 4 6 8 2 14 約57% 57% 2 2 6 3 6 6 ある 6 6 2 大変ある 4 0 8 10 12 2 14 若年夫婦回答 どちらかと言えばある 16 8 6 2 どちらかと言えばない 12 4 1 ない 高齢者 約70% 70% 10 0 子供 若年夫婦 2 高齢者 4 5 6 16 子供 若者 高齢者 10 約79% 79% 8 10 12 14 14 16 意思調査 (1)各世代との交流の有無・意欲・交流に何を望むか 各世代との交流の有無・意欲・交流に何を望むか ○4世代に分けて各世代25名づつ調査する ・子供(小学生・中学生・高校生) ・若者(大学生・20~30代独身者) ・若年夫婦(20~30代の夫婦) ・高齢者(65歳以上) ○無作為 により調査( 問、 ン ート) ○2010年1月23日( ン ート) ○回 率100% 図-4 他の世代と交流の (要介護者)施設に直接、訪問をして、 ヒアリングアンケート調査を行い、世間話や会話を交え て調査した。会話の中で「側にいれたらそれだけでい い」という意見を始め、交流したい気持ちがあっても、 「孫も成長したから相手にしてもらえない」「期待をし てはいけない」「子供の時は面倒みたけど、見返りを求 めたらいけない」と悲しい意見が幾つもあげられた。そ れでも、子供が好きだから交流したいと話してくれた。 また、高齢者 施設訪 街頭ア ケ 街頭ア ケ 答 2 14 11 5 4 ある 大変ある 12 1 若年夫婦 7 7 5 0 若者 8 8 7 ある 7 7 どちらかと言えばある 6 どちらかと言えばある 大変ある 若者回答 2 どちらかと言えばない 10 7 どちらかと言えばない 11 8 子供回答 3 3 3 ない 子供 10 6 3 0 ない 標に行った。 2 若年夫婦 約75% 75% 7 6 大変ある は各世代が他の世代と交流できる場を提供することを目 抽出 6 4 若者 8 7 2 ある そこから学べる事がいくつも存在すると考える。本研究 6 (2)結果 問1 他の世代の方々と する 会はありますか 問2 他の世代の方々との交流に はありますか 全世代とも他の世代と交流する 会が 全くない 少ししかない という 見が 数を占めていた。しか し、交流したいという は 数以上の方が 大 ある ある らかと えば ある と えてくれた。しかし、 なかなか 会がない 間が ない な交流を行っているか知らない 等の 見 を してくれた。若年夫婦の 全くない 少ししかな い の%が いのは、高齢者と今、現在 でいる・ 分に子供がいるという理由で いことが分かった。 会があれば他の世代の方と、 したい 交流し たい という が存在することがこの結果から れた。 ) ) 接 機 ? 問3)他の世代の方と交流する際に何をしたいですか? 興味 ? 次に各世代が他の世代と交流する際にどのような事を 機 「 」 したいか集計した。やはり、「談話」という意見が圧倒 「 」 意 半 的に多く、次に料理やスポーツが挙げられた。特に子供 意欲 半 「 変興味 と若者の間では双方共にスポーツを通して交流したいと 」「興味 」「どち 言 興味 」 答 いう意見が多数あり、各世代とも交流したい項目は一致 「 機 」「時 していた。しかし、高齢者・若者の間では交流の項目が 」「どん 」 意 不意一致だった。これは高齢者と若者の考え方の違いや 話 「 」「 関わりが少ない事から生じる問題だと考えられる。 」 低 住ん 自 低 機 「接 」「 」 意欲 読み取 全くない 13 13 4 少ししかない 7 3 十分にある 5 4 2 1 毎日ある 3 6 7 7 1 5 6 少ししかない 4 1 1 毎日ある 0 若年夫婦 若者 子供 毎日ある 15 30 25 20 15 全くない 9 12 15 3 2 0 15 3 接 機 12 15 ) 碁 芸 ドー 芸 ゴド ーカ ータ 話 お芸 工出 談理 料食 会園 菜 り釣 雀 麻棋 将画 映道 書球 野楽 音芸 手画 絵 ーボトー 酒 外 (歩 囲 園 ヤリ 陶 ンラ ッサ ンイ ビ グ ゲ 散 際 18 図-5 高齢者と若者が交流する にしたい事 約35% 35% 自分の 自分の子供がいる 子供がいる 7 4 毎日ある 18 9 5 2 十分にある 0 若年夫婦 若者 高齢者 6 ある程度ある 若年夫婦 子供 高齢者 6 3 5 子供回答 5 2 1 少ししかない 若者回答 6 9 6 6 2 1 1 0 10 10 8 1 0 18 11 3 4 3 12 1 十分にある 約50% 50% 8 8 3 ある程度ある 十分にある 高齢者回答 ある程度ある 9 8 少ししかない 8 4 0 全くない 6 全くない 若者→高齢者 高齢者→若者 35 アンケート結果 各世代が他の世代と接する機会の調査 約68% 68% 約67% 67% 5 ある程度ある 40 5 6 7 6 5 5 9 望みますか? そして、他の世代との交流で何を望むかを集計した。 高齢者の回答では、全世代に対して活力や元気をもらい たいという意見が最も多く、若年夫婦に対しては、意見 若者 子供 高齢者 12 15 際 問4 他の世代の方と交流する に何を 若年夫婦回答 9 6 ) 高齢者と 高齢者と一緒に 一緒に 住んでいる 8 18 図-3 他の世代と する 会調査 2 換 望んでいた。また、子供の回答では、全世代に対 して考え方や知識を教えてほしいという意見が最も多く、 若者に対しては、遊びたいという意見が得られた。 交 を 20 18 16 14 12 10 8 6 4 2 0 各世代が他の世代に望むもの 18 17 10 0 11 6 4 3 4 6 5 いた みて い聞 を力 想発 てえ 教を い 識知 しほ や方 え考 や みい し し ほ 楽 て や い 教 いえ を が き 趣 生味 た い ら も を い 気 元 ・ 力 活 9 7 3 0 0 8 7 6 5 7 6 6 3 2 し楽 てえ やい 教を しい いが 味趣 ほ き生 やみ 教 を い 識 し 知 ほ や て 方 え 考え 5 4 5 3 0 いで けだ るれ い おに 緒一 8 0 図- 子供の回答 14 12 10 8 6 4 2 0 6 5 4 てえ 教を 識知 いし や方 ほ え考 11 7 やみ いし し楽 ほ やい てえ教 いが を味 き生 趣 12 6 0 12 7 1 てえ 教 を識 しい 知 ほ や え方 考 をし ら暮 いた や 活 り知 生 の 在 現 12 7 3 0 いた り図 を換 交 見 意 0 0 元 ・ 力 いた 活 の い は でら らもを な供 気 子 ぶ 個 ぞ 違 が、どの世代も各世代に興味がある事を実感できた。 高齢者の方々には知識を学び、子供・若者の方々には 活力・元気、娯楽要素を教えてもらう。そして、若年夫 婦世代には、考え方や意見交換を望む。各世代が他の世 代の足りない所を互いに補い、世代のバランスが保たれ ているのである。 001 0 いた し流 交 てし と達 友 力 想 いた 発 の み は でら てい聞 な供 を 子 4.問題点及び解決策 .問題点及び解決策 001 点 項 相違。 原 因:若者が高齢者と交流する機会がほとんどない。 方法論:若者が高齢者と交流する機会の設定が必要。 ■若者が高齢者と交流することにより得れるもの ・コミュニケーション能力の向上。 ・上司との意見の不一致、等に対応する力。 ・忍耐力を身につける。“キレる”若者を増加させない。 え教 を方 い え考 しほ て いや 会 出 問題 :高齢者と若者の交流したい 目の 高齢者 子供 若者 7 4 4 0 0 元 ・力 い 活 たい の ら では らな もを気 供 子 0 0 力 想 いた 発 の み は でら てい聞 なを 供 子 1 をし ら暮 い や た 活 生 り知 の 在 現 0 0 え教 を方 い き生 しほ て 行 や 生 人 0 0 1 いた び遊 と者 若 高齢者施設・老人ホーム提携 望むもの 図-7 若者と若年夫婦が他の世代に ) いと思いますか? ペ 参加者 問5 各世代の方々と交流するス ースがあれば行きた ペ み 各世代の方々と交流できるス ースがあれば行って 質 集計した。高齢者76%、子供64%、 若者64%、若年夫婦76%という結果になり、どの世代も 半数の方が「思う」という答えが得られた。合計では 70%の方が「思う」と回答してしてくれた。 たいかという 問を 思 ない事も学 ことができる。 々それ れ考え方は う 若者の回答 若年夫婦の回答 11 6 5 や み し楽 いしてほ や いい え教 を味 きが 生趣 0 ペ 交流ス ースがあれば行きたいと うか 高齢者 子供 若年夫婦 8 1 え教 を方 い き生 しほ て 行 や 生 人 いた り図 を換 交 見 意 8 5 76% と交流することができ、とても勉強になり、目には見え 教 てほしいという意見が最も多く、子供に対しては、活力 や元気をもらいたいという意見が挙げられた。最後に、 若年夫婦の回答では、全世代に対して考え方や知識を教 えてほしいという意見が最も多く、若者に対しては意見 交換を、子供に対しては、活力や元気をもらいたいと望 んでいた。 11 思う 思わない ア ケ ア ケート調査を通じて、普段では話をする機会がない方々 答 11 10 24% 以上のような事が ン ート調査より分かった。 ン 望むもの 13 思う 思わない 36% 若者の回 では、全世代に対して考え方や知識を え 13 64% 若年夫婦 64% い た び 遊 思う 思わない 36% 子供 図-6 高齢者と子供が他の世代に 14 12 10 8 6 4 2 0 思う 思わない 76% 1 0 0 高齢者 若者 若年夫婦 8 0 を方 い き生 しほ 行や てえ 生人 教 たり 図を い 換交 見意 ら暮 い や活 たり 生の 知を 在現 し 2 え教 を方 い き生 しほ や行生 て 人 いた り図 を換 交見 意 11 12 10 8 6 4 2 0 24% 子供 若者 若年夫婦 高齢者の回答 7 0 0 をし ら暮 い や活 たり の生在 知 現 各世代と交流するスペースがあれば 行きたいと思うか 若者 高齢者 具体的な組織図 100円/ 100円/回(参加料) 参加料) 企画・提案・サービス 準備/ 準備/片付け 交流場の提供 世代間交流の提供 交流に参加 交流に参加 図-9 3 企画者 具体的な組織図 5.企画者 .企画者・実行者を ・実行者を工科大学の授業や部活動の 一環として行う ―方法論:若者が高齢者と交流する機会の設定策― 方法論:若者が高齢者と交流する機会の設定策― 企画者・実行者が不透明である為、ここで工科大学の 授業や部活動の一環として行う事を提案する。 (1)交流スキームの設置計画 (1)交流スキームの設置計画 ・交流スキー の ー ング 定:各世代が け れら れるもの : ン ンマン ラ ・ 加 が100 回 で行える ス を 定す る。 ( 別なイ ント等は 加 を 定する ・交流 目 との ーナーを 定する。 ・交流を り す事により、交流 目を り 。 ・ 体の 等は しない。 ム ネ ミ 設 受 入 例 ア パ ク ブ 参 金額 円/ 程度 シ テム 設 特 ベ 追 料金 設 ) 項 ご コ 設 繰 返 項 絞 込む 自治 補助 期待 工科大学が実施者と想定した場合、参加者の交流スペ ース料金と参加料が無料となる ・情報の提供では、ホームページ上も考えられる ・部活・クラブとして創部する。 ・授業として行う事により、学生に対しても知識の向上 や、社会性の向上等が考えられ、幾つものメリットが ・ (2) 情報の提供案 ・ も効果が得られるのは、 、 、 ラ の であるが高 となる。 ・ 者 が ラ り・お にお いし に ラの 、 のお い。 ・ 心 な子供 の かけ、高齢者 ・老人 ー 等の と提 して、 かけを行う等の方 が考 えられる。 考えられる。 最 「テレビ」 「新聞」 「 ジ よって、授業の一環として行う方法を推奨する。 オ」 広告 額 企画 達 ビ 配 店 願 店頭 ビ 展 示 配布 願 6.結論 好奇 旺盛 達へ 声 施設 ホ 本研究は、アンケート調査を主体とし研究した。アン ム 施設 携 声 法 ケート結果により世代間交流は、実際に、あまり行われ ていない事が分かった。しかし、全世代の人たちが世代 間交流を強く求めていることも分かった。各世代が、そ (3)交流スペースの確保 れぞれ良い部分を持ち合わせており、提供できるものが (3)交流スペースの確保 交流施設の貸出が可能だと考えられるのは、既存の小 あるのに、交流しないのは、とても残念なことである。 学校・中学校の運動場や体育館を利用する方法。 しかし、世代間交流は口にすることは簡単なことだが、 メリット:貸出料金が安く、コストが抑えられる 実現することは大変、難しいことだと実感した。 ○屋内スペース(体育館) 交流を行う為には、各世代がそれぞれ持ち合わせてい 例)高知市立大津小学校 るものを提供できる交流スキームが必要である。世代間 「体育館2時間利用の料金」 交流を行うことにより、地域の人々の人間関係の活性、 半面 630円 自らの能力のスキルアップ、人間的成長など幾つもメリ 全面 1,260円 ットが存在すると考えられる。 2050年世界は益々、少子高齢化問題が深刻化していく ○屋外スペース(運動場) 例)高知市立大津中学校 「運動場2時間利用の料金」 半面 1,470円 両面 2,940円 と推測されている。 だ 課 課 高知県・日本 けに関わらずこの研究 題は世界の 題となってくると考えられる。 簡単に行えない交流をする特別な日の設定 =特別交流= 例)釣り(大会) 観光バスなどを借りて釣り場へ 例)会食・飲み会 レストランや居酒屋等で交流 例)季節限定の交流 花見・月見・海水浴…等 参考文献: 1統計局ホームページ http://www.stat.go.jp/data/jinsui/tsuki/index.htm 2高知市公式ホームページ http://www.city.kochi.kochi.jp/soshiki/110/hokenjotoukeijouhou-toukei-suii.htm 項 応じた、交流スペースの確保・時間の設定等 決 必要がある。 交流 目に を 定する 4