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ママハートーン クラブ
お母さんの 心音 でつなぐ母と子 心音子育ての交流広場 ママハートーン クラブ ♥ 最近、子育てがおかしい。 余りに、頭で考えた子育て論が 横行しているように感じる。 子育ての問題の多くは、意識以前にあり その答もまた意識以前に見出せる。 音→響→音楽→言葉→文字 なぜ「音楽」には国境がなく、 「言葉」や「文字」には国境があるのだろ うか? 「音楽」は本能(大脳辺縁系)、 「言葉」や「文字」は頭(大脳皮質) を介するからである。 まず、 「音」在りき。 「音」は「響」く。響き合って、メロディー、音色、 リズ ムが加わり「音楽」になる。 「音楽」に国境がないということは物事を分 別する知性が要らないということである。 「音楽」は心に、より根源的に直接作用することが理解される。ところ が、 「言葉」や「文字」になると、より高度な脳の働きが必要となる。 すなわち子供の心に直接に作用するのは、 「言葉」よりも「音(母親の 心音)」であることが理解できるであろう。 みかどクリニック院長 三 角 大 慈 ママハートーンクラブ 2 1 . 心 音 治 療につ い て 1.心音治療について 母と子の繋がり 胎児は母親のお腹の中で羊水のなかに浮いて、 「臍の緒」で母親と直接結ばれ ています。昔から、 「血のつながり」という言葉がありますが、お腹の中で母と 子が臍の緒で結ばれたその状態から来た言葉だと思います。 解剖学的には、胎児の腸が臍の穴から顔を出して母親の子宮の壁に吸い付い た図柄と見ればよいと思います。 しかし実際は、こうした直接の吸着はありません。そこでは、腸のかわりに血管 が伸び、臍の緒に導かれて子宮に到達し、その壁のなかの「血の池」に毛細血 管の根を下ろします。すなわち、母胎の栄養は血液を介して胎児の肉体にまで 運ばれるのです。 胎内では母と子は臍の緒で直接結ばれていますが、出産すると同時に臍の緒 は切られます。次は、母親の血液は「母乳」となって、子供の口から直接吸い取 られ、子供の血となり肉となります。出産後も子供と母親の血の繋がりは継続 されます。 ママハートーンクラブ 3 1 . 心 音 治 療につ い て 一歳前後になると乳離れが起こり、母と子の血の繋がりは完全に途絶えてしま います。 この後に登場してくるのは「絆」です。親子の絆、兄弟の絆、家族の絆です。直 接的な血の繋がりに代わって、目に見えない絆で、生まれた子供は親や兄弟と の繋がりをもつのです。 絆の根っこには、母と子の直接的な血の繋がりがあるのです。 つまり、母と子の絆には意識以前の問題が大きく横たわっており、意識だけで は解決できないのです。 母子の絆を深めるカンガルーケア カンガルーケアは、1979年、低出生体重児へのケアとして南米コロンビアで 始まりました。先進国でも近年、母子の絆を深めるため、カンガルーケアを取り 入れる医療施設が増えてきています。 カンガルーケアでは生まれてすぐの赤ちゃんを、裸のままお母さんの胸に乗せ ます。 まだ、目も開かない赤ちゃんは20∼30分で動きが活発になり、50分ぐらいで 乳首を探し当て吸い始めます。お母さんは、小さくてひ弱なわが子が自分の乳 房を吸う力強さに感動します。 カンガルーケアを体験した或るお母さんは次のように言っています。 「赤ちゃんの体はとても温かかった。最初じっとしていたのが動き出し、乳首を 吸ったとき、 「この温かさをずっと感じていたい」、 「離れたくない」と心の底か ら思いました。私の人生で一番感動した出来事です」。 出産直後のお母さんは、サッカー選手がゴールを決めたときのような強い覚 ママハートーンクラブ 4 1 . 心 音 治 療につ い て 醒作用があります。そこに自分の乳房を吸われたという特殊な感覚やホルモ ンの変化などで、 「母性のスイッチ」が入ります。しかし、出産直後に母子が離 されると、再びお母さんの胸に赤ちゃんを乗せても母性のスイッチは入らな い。母子にとってまさに一生に一度のチャンスなのです。 人間はもともと母性をもっているわけではありません。状況とタイミングのな かで芽生えてくるのです。だから、お産が間違ってしまうと、その後の子育ても うまくいかなくなります。育児も親が一方的に子育てをしているのではなく、 子供の方も積極的に親から子育てさせる力を引き出しているのです。 絆は双方性です。そして、大切なのはこの関係を育てていくことです。 母子の絆を強くする心音治療 昨今の病院でのお産は、母親の母性がうまく育まれない環境下にあると思い ます。母親の母性のスイッチが入らないと、子育てはうまくいきません。なぜな ら、子育ての根幹には母子の絆があるからです。 母子の絆が強いと、子供は本当に健康にスクスクと育ちます。そして、母親は 子育ての楽しさを実感します。 しかし子供が病弱だと、子育ては母親にとっては大きな苦しみを伴います。夜 中に何度も起こされ、病院に駆け込み、ビービーと泣き止まない我が子につい 怒りをぶつけたりしがちです。 ママハートーンクラブ 5 1 . 心 音 治 療につ い て 母子の絆を強くするために、私はお母さんの心音に着目しました。お母さんの 心臓は毎分70回ほどドクンドクンと脈打っています。このお母さんの心臓の音 が赤ちゃんの耳に聞こえるような添い寝をすると赤ん坊の不安は解消され、と たんにすやすやと寝てくれます。お母さんの心臓の音は赤ちゃんに安らぎを与 えます。 なぜ赤ちゃんはお母さんの心臓の音を聞いただけでスヤスヤと寝入ってしま うのでしょうか? 心臓の音と言っていますが、お母さんのお腹のなかで赤ちゃんが聞いていた音 は医学的に正確に言うと、大動脈の拍動音や小川のせせらぎのような大静脈 の摩擦音、それに心臓の鼓動などが混ざり合った音です。 もう少し文学的、哲学的な表現をすると、 「絶え間なく響くお母さんの血潮のざわめき、潮騒。子宮の壁をザーザーと打 つ大動脈の拍動音、小川のせせらぎのような大静脈の摩擦音、そしてそれらの 彼方に高らかに鳴り響く心臓の鼓動。それは何か宇宙空間の遠い彼方の銀河 星雲の渦巻きを銅鑼にして悠然と打ち鳴らすような生命を育む絶対的な響 き・ ・ ・ ・」 生物進化38億年を再現するおよそ270日間、胎児がお母さんのお腹のなかで 絶えることなく常に聞いていた音がお母さんの心音です。38億年という悠久 の時の流れのなかで鳴り響いている音、それは胎児の魂の根幹に作用する音 霊とも言えるのではないでしょうか。 38億年も前の「原初の生命体」の誕生した太古の昔から、そのからだの中に次 から次へ取り込まれ、蓄えられながら延々と受け継がれてきたもの、解剖学者 三木成夫はそれを「生命記憶」と呼んでいます。 ママハートーンクラブ 6 1 . 心 音 治 療につ い て 心音治療開発までの道程り 私は医者になりたての頃、生命の根幹から癒される真の医療を追い求めるた めに鍼灸治療を選択しました。今から38年ほど前のことです。 数年ほど鍼灸治療を独学してわかったことは、鍼灸治療は名人芸を必要とす ること、名人芸は治療としては成り立つが医学としての学問の対象にはなら ないという厳しい現実でした。 一途に鍼灸治療に没頭していた私は途方に暮れました。周囲の同僚たちの批 判や冷たい視線を尻目に、これまでやってきたことは一体何だったのか、と。 こんな私に、救いの手を差し伸べてくれたのは次のような言葉でした。 「乳牛にモーツアルトなどのクラシック音楽を聞かせると乳の出がよくなる」 この言葉を小耳に挟んだとき、私は瞬時に次のように考えました。 「耳で聞かせてこのような生理作用があるのなら、音楽を「ツボ」に聴かせ たらもっと効果があるに違いない!」 早速、私は「ツボ」に音楽を聴かせるために電気信号に変換した微弱電流を「ツ ボ」に通電する方法を選択しました。「ツボ」と音との関係が次第にわかって いくうちに、子供にはどのような音よりも母親の心音が効くに違いないと考 えました。そこで、医療機器の「ミニドップラー」で母親の心音を子供の「ツボ」 に通電してみました。 結果は素晴らしいものでした。夜泣きなどは数回の治療で消失し、喘息や風 邪などもいとも簡単に改善されました。そして、2007 年に私は独自に心音 装置「mama heartone 932」を開発しました。 心音治療は、耳ではなく子供の「ツボ」に直接母親の心音を聴かせます。具 体的には、心音を微弱電流に変換した電流を腰にある「命門」と背中の「身柱」、 ママハートーンクラブ 7 1 . 心 音 治 療につ い て もしくは臍と後頭部の二ヶ所の「ツボ」に通電 します。 電流をわが子に流す、と聞くと世のお母さんた ちはたいへん驚かれますが、微弱電流なので 子供はまったく何も感じません。当然、痛みや 不快感もまったくありません。ただ二ヶ所の「ツ ボ」に粘着パッドを貼るだけです。この粘着パッ ドをイヤホーンと思っても何ら差し支えありま せん。耳で聞くのがイヤホーンで、「ツボ」で聴くのが粘着パッドです。 子供の「育つ」を育てる心音治療 子供は大人を小さくした生き物ではありません。 子供は日々成長しています。子供の病気は、この成長する力を伸ばしてやれ ば自然に消えてなくなります。また、病気をしても子供のもつ自分の体力で 経過することが大事です。子供は大人になる資格を備えているとも言えます。 時々風邪をひいたり下痢をしたりしている方が、将来を考えると素直な成長を します。無病のまま大人になった子供は弱いのです。 子供の治療で最も肝要なことは「育つ」を育てることにあります。そして、最も やってはいけない治療がこの育つ力を妨げることです。余りに性急に病気を治 そうとする余りに、現代医療はこの過ちを犯しているのではないでしょうか。病 気の症状のみを取り除くことに専念し過ぎてはいないでしょうか。子供の育つ 力を無視してはいないでしょうか。 心音治療は母子の絆を強め、子供の「育つ」を育てることができます。病気 が治るのはその結果に過ぎません。「育つ」を育てるから、子供は元気溌剌 になります。育つ力を引き伸ばせば病気は自然に消えてなくなってしまいます。 学童児であれば学校の成績が良くなることも少なくありません。本来、子供 の病気とはそういうものではないでしょうか。 ママハートーンクラブ 8 2 . お 母さん の 声 2.お母さんの声 依田 梓さん親子 今回は、二人の子をもつ依田梓さんです。 依田さんは産後に体調を崩し、第一子(男児)の子育てに疲れ果てていまし た。その状況を見兼ねた母親に、 「みかどクリニック」を紹介されて受診されま した。 生後7か月の男児は夜泣きがひどく、栄養状態もよくない。ちなみに、子供の栄 養状態は内腿の弾力で診ます。 心音治療は週一回のペースで、一か月が過ぎた頃から夜泣きもなくなり男児 は元気になってきました。子供が元気になるにつれ、母親も元気になり、 2年後 には第二子(女児)を身籠り、出産しました。産後は母子ともに元気、心音治療 は生後1か月から開始しました。 依田さんは子育ての楽しさを満喫し、子供は元気に育っていきました。 ママハートーンクラブ 9 2 . お 母さん の 声 依田梓さんの感想 私の子育てにおいて、心音治療はなくてはならないもの になりました。もし心音治療をしていなかったら子供た ちをこんなに抱きしめることはなかったと思います。 子育ての考え方も変わりました。子供にとっての一番の 栄養は心が満たされること、と身をもって感じさせられ ました。 心が満たされれば子供は元気になります。子供が元気で いることは、母親にとっても幸せなことです。 母親からの愛情を一番必要としている時期に心音治療 と出会えることができ、本当に良かったと思います。 子育てで悩んでいる母親や子供を愛せないと感じる 母親などたくさんいます。そんな子育て中のお母さん方 にもぜひ心音治療を体験していただきたいと思います。 そして、たくさんの子供たちやお母さんにも互いの心を 感じ取ってほしいと思います。 ママハートーンクラブ 10 3 . 心 音 治 療 の 現 場 から 3.心音治療の現場から みかどクリニック健美サロン・鍼灸院NAM福岡院長 坂井のりこ 今回の担当は、みかどクリニック健美サロン・鍼灸院NAM福岡院長坂井のりこ です。 私は心音治療に関わり沢山の親子を見てきました。 その中で、治療効果に差がでてくることも多々ありました。一番の違いはお母 さんの気づく力です。 便の出方や汗の量、抱いたときのずっしりとした重さやふとした表情など、気 づくべき点は沢山あります。 我が子の変化にいろんな角度から気づけるお母さんのお子さんは、効果がで るのが早いです。 難しく考えずに、しっかり我が子を見つめてみてください。 妊娠中、お母さんのお腹の中にいる赤ちゃんが絶えず聴いている音はお母さ んの心臓の音なのです。 ママハートーンクラブ 11 3 . 心 音 治 療 の 現 場 から 想像してみてください。赤ちゃんが真っ暗なお腹の中で唯一聞こえてくる音。 それがお母さんの心臓の音なのです。お母さんの心音はすごいんです!お母さ んの力ってすごいんですよ! スズメの子育て 心音子育て交流広場「ママハートンクラブ」 (創刊号) 発行所 NPO法人 Sonic Institute 福岡市中央区大名2丁目4―33トートレビル5階 ☎ 092-724-5098 ママハートーンクラブ 1 2