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天気予報モントリオール

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天気予報モントリオール
地球温暖化
不都合な真実か?
それとも
好都合な虚構か?
吉田英生(1978年卒業)
航空宇宙工学専攻
[email protected]
Nobel 平和賞 2007
http://www.ipcc.ch/
http://nobelprize.org/nobel_prizes/peace/laureates/2007/
An Inconvenient Truth
tenthingstodo
„Change
a light
„Drive less
„Recycle more
„Check your tires
„Use less hot water
„Avoid products with a lot
of packaging
„Adjust your thermostat
„Plant a tree
„Turn off electronic devices
„Spread
the word!
Encourage your friends to
buy An Inconvenient Truth
http://www.climatecrisis.net/pdf/10things.pdf
The Intergovernmental
Panel on Climate Change
The World Meteorological
Organization (WMO)
The United Nations Environment
Programme (UNEP)
1988: 設立
Assessment Report
1990: 1st
1995: 2nd
2001: 3rd
2007: 4th
日本での担当
WG I: 気象庁+文部科学省
WG II: 環境省
WG III: 経済産業省
TF (温室効果ガス目録に関して):
http://www.ipcc.ch/about/chart.htm
IPCC 第4次評価報告書 第1作業部会報告書(自然科学的根拠)
主な結論(その1) 平成19年2月2日
„気候システムに温暖化が起こっていると断定するとともに、人為起源
の温室効果ガスの増加が温暖化の原因とほぼ断定。(第3次評価報告
書の「可能性が高い」より踏み込んだ表現)
„20世紀後半の北半球の平均気温は、過去1300年間の内で最も高
温で、最近12年(1995~2006年)のうち、1996年を除く11年の世界
の地上気温は、1850年以降で最も温暖な12年の中に入る。
„過去100年に、世界平均気温が長期的に0.74℃(1906~2005
年)上昇。最近50年間の長期傾向は、過去100年のほぼ2倍。
„1980年から1999年までに比べ、21世紀末(2090年から2099年)
の平均気温上昇は、環境の保全と経済の発展が地球規模で両立する
社会においては、約1.8℃(1.1℃~2.9℃)である一方、化石エネル
ギー源を重視しつつ高い経済成長を実現する社会では約4.0℃(2.4℃
~6.4℃)と予測(第3次評価報告書ではシナリオを区別せず1.4~
5.8℃)
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=7993
http://www.data.kishou.go.jp/climate/cpdinfo/ipcc/ar4/ipcc_ar4_wg1_spm_Jpn_rev2.pdf
IPCC 第4次評価報告書 第1作業部会報告書(自然科学的根拠)
主な結論(その2) 平成19年2月2日
„1980年から1999年までに比べ、21世紀末(2090年から2099年)
の平均海面水位上昇は、環境の保全と経済の発展が地球規模で両立
する社会においては、18cm~38cm)である一方、化石エネルギー源を
重視しつつ高い経済成長を実現する社会では26cm~59cm)と予測
(第3次評価報告書(9~88cm)より不確実性減少)
„2030年までは、社会シナリオによらず10年当たり0.2℃の昇温を予
測(新見解)
„熱帯低気圧の強度は強まると予測
„積雪面積や極域の海氷は縮小。北極海の晩夏における海氷が、21
世紀後半までにほぼ完全に消滅するとの予測もある。(新見解)
„大気中の二酸化炭素濃度上昇により、海洋の酸性化が進むと予測
(新見解)
„温暖化により、大気中の二酸化炭素の陸地と海洋への取り込みが減
少するため、人為起源排出の大気中への残留分が増加する傾向がある。
(新見解)
United Nations Framework Convention on Climate Change
気候変動枠組条約:京都議定書
1995: COP-1 Berlin, Germany
1996: COP-2 Geneva, Switzerland
1997: COP-3 The Kyoto Protocol on Climate Change
1998: COP-4 Buenos Aires, Argentina
1999: COP-5 Bonn, Germany
2000-2001: COP-6 The Hague, Netherlands; Bonn, Germany
2001: COP-7 Marrakech, Morocco
2002: COP-8 New Delhi, India
2003: COP-9 Milan, Italy
2004: COP-10 Buenos Aires, Argentina
2005: COP-11 Montreal, Canada
2006: COP-12 Nairobi, Kenya
2007: COP-13 Bali, Indonesia
2008: COP-14 Poznan, Poland
http://www.env.go.jp/earth/cop3/index.html
京都議定書 (2005年2月16日に発効): 2008~2012年の5年間を第1約束期間と
する。附属書 I 国 (Annex I Parties) 全体で、CO2、CH4、N2Oについては基準年
を1990年とし、HFC、PFC、SF6については基準年を1995年として、二酸化炭素換
算での総排出量を少なくとも5% (日本は6%) 削減
メニュー
前菜
地球大気と温室効果
主菜
肯定派・懐疑派・否定派
デザート
Arrhenius と宮沢賢治
地球大気と温室効果
Mercury
水星
Venus
金星
Earth
地球
Mars
火星
Jupiter
木星
Saturn
土星
distance from Sun
[106km]
57.9
108.2
149.6
227.9
778.3
1,427
revolution period
[days/years]
88 d
224.7 d
365.26 d
687 d
11.86 y
29.46 y
rotation period
[hours/days]
59 d
minus
243 d
23 h 56
m4s
24 h 37
m 23 s
9 h 50
m 30 s
10 h 14
m
radius of equator (a)
[km]
2,440
6,050
6,380
3,390
71,400
60,000
mass [earth = 1]
0.055
0.815
1
0.108
317.9
95.2
volume [earth = 1]
0.06
0.88
1
0.15
1,316
755
density [water = 1]
5.4
5.2
5.5
3.9
1.3
0.7
atmosphere
none
CO2
N2, O2
CO2
H, He
H, He
press. at surface [atm]
< 10-5
90
1
0.007
2
560
720±20
280±20
180±30
2.60
1.38
0.58
0.05
0.77
0.30
0.15
0.58
227
255
217
98
temp. at surface [K]
inci. radi. (Fs) [kW/m2]
albedo (A)
(反射率)
equil. temp.(Te) [K]
巨大な地球と相対的には極めて薄い大気層
『地球にやさしい』
という言葉の
不遜さ!
http://www.srh.weather.gov/srh/jetstream/atmos/atmprofile.htm
ふく射(輻射=放射):電磁波の波長による分類
三島市緑町しゃぎり保存会
http://web.thn.jp/toramaru/s-ys.htm
人間の進化と可視光: 網膜に光をとらえるための細胞(視細胞)があり、その中に光
センサー分子(タンパク質にビタミンAの誘導体が結合した分子でロドプシンと呼ばれ
る)がある。ロドプシンのタンパク質部分をコードしている遺伝子が進化の過程で重複し
て数を増やしかつ変化することにより、可視光全域に応答するロドプシンや,赤・緑・青
に強く応答するロドプシンができたと考えられている。アミノ酸のみからできているタン
パク質(高分子)では可視光近辺に吸収を持つことはできないが、これにビタミンAの
誘導体(レチナール,低分子)がつくことにより、可視光を吸収するようになる。
黒体ふく射とプランクの法則
∞
E = ∫ Ebλ dλ
0
E bλ =
C1
λ5 [exp(C 2 λT ) − 1]
黒体ふく射と関連法則
E [W/m2]: 全射出能 (total emissive power)
Ebλ [W/(m2μm)]: 単色射出能 (monochromatic emissive power)
∞
E = ∫ Ebλ dλ
0
プランク(Planck)の法則
E bλ =
ウィーン(Wien) の変位則
C1
λ [exp(C 2 λT ) − 1]
5
λ max T = 2897.6 [μm K]
ステファン・ボルツマン (Stefan-Boltzmann) の法則
∞
E bλ d λ =
∫0
σ = 5.67 × 10
−8
Eb =
∫0
∞
C1
λ [exp(C 2 λT ) − 1]
5
[W/(m2K4)]
dλ = σT
4
地球の平衡温度と温室効果
板ガラスの図:
日本板硝子 http://glass-wonderland.jp/products/floatsheetglass.html
⎡W⎤
Fs = 1353⎢ 2 ⎥
⎣m ⎦
2
2
4
(1 − A)Fsπa = 4πa σTe
Te = 255[K ]
6000 [K]
λmax=0.5 [μm]
300 [K]
λmax=10 [μm]
水蒸気の吸収率
新版ボイラー便覧
(丸善1997)
吉田担当部分より
二酸化炭素の吸収率
二酸化炭素の吸収率
新版ボイラー便覧(丸善1997)吉田担当部分より
太陽からのふく射
http://en.wikipedia.org/wiki/Greenhouse_effect
http://en.wikipedia.org/wiki/Image:MODIS_ATM_solar_irradiance.jpg
大気中でのエネルギーバランス
http://www.srh.weather.gov/srh/jetstream/atmos/energy_balance.htm
そもそも大気と海洋が運動する必然性は?
全熱輸送
入射光
大気による輸送
海洋による輸送
射出光
潜熱輸送
入射光強度分布:cos関数
射出光強度分布:
赤道と両極との比
おおよそ (300K/250K)4 = 1.24 = 2
小倉義光: 一般気象学 第2版, 東京大学出版会 (1999)
肯定派・懐疑派・否定派
論 点
„温暖化は本当に起こっているのか?
„温暖化しているとしたら人為起源なのか?
„温暖化がさらに進むとしたらどうなるのか?
„温暖化は避けるべきことなのか?
„温暖化の予測に用いられる気候モデル(数値シ
ミュレーション)は信頼できるのか?
Global Warming Has Begun, Expert Tells Senate
(on June 23, 1988)
Dr. James E. Hansen of the National Aeronautics and Space
Administration told a Congressional committee that it was 99 percent
certain that the warming trend was not a natural variation but was caused
by a buildup of carbon dioxide and other artificial gases in the
atmosphere. (from THE NEW YORK TIMES, June 24, 1988)
First, that the world was getting warmer on decadal time
scales, which I said could be stated with 99 percent
confidence. Second, that with a high degree of confidence I
believed there was a causal relationship with an increased
greenhouse effect. And third, that in our climate model there
was a tendency for an increase in the frequency and the
severity of heat waves and droughts with global warming.
http://magazine.audubon.org/global.html
Photo:
http://www.pbs.org/wgbh/pages/frontline/hotpolitics/interviews/hansen.html
代表的な肯定派・否定派(米国)
Stephen H. Schneider
Department of Biological Sciences
Stanford University
Michael E. Schlesinger
Meteorology Department of Atmospheric Sciences
University of Illinois at Urbana-Champaign
Frederick Seitz
Formerly, President of the National Academy of Sciences
Formerly, President of Rockefeller University
Chairman Emeritus of the George C. Marshall Institute
Richard S. Lindzen
Department of Earth, Atmospheric and Planetary Sciences
MIT
Stephen H. Schneider
http://stephenschneider.stanford.edu/index.html
„地球温暖化の時代―気候変化の予測と対策:内藤正明・福岡克也訳、
ダイヤモンド社、1990
„地球温暖化で何が起こるか:田中正之訳、草思社、1998
Frederick Seitz (1911- ): Global Warming Petition
Photo: http://www.pbs.org/transistor/album1/addlbios/seitz.html
http://www.oism.org/pproject/
http://www.sitewave.net/pproject/review.htm
Richard S. Lindzen
Photo:
http://eapsweb.mit.edu/people/person.asp?position=Faculty&who=lindzen
http://www-eaps.mit.edu/faculty/lindzen.htm
http://www.opinionjournal.com/extra/?id=110008597
反論の一例:Seitzら(1)
(LEFT) Figure 1 : Atmospheric CO2 concentrations in parts per million by
volume, ppm, at Mauna Loa, Hawaii.
(RIGHT) Figure 12 : Eleven-year moving average of global surface
temperature, as estimated by NASA GISS, plotted as deviation from 1890
(left axis and light line), as compared with atmospheric CO2 (right axis and
dark line) . Approximately 82% of the increase in CO2 occurred after the
temperature maximum in 1940, as is shown in figure 1.
http://www.sitewave.net/pproject/review.htm
反論の一例:Seitzら(2)
Figure 14
In addition, incomplete regional temperature records have been used to
support ''global warming.'' Figure 14 shows an example of this, in which a
partial record was used in an attempt to confirm computer climate model
predictions of temperature increases from green-house gases
(41) Santer, B. D., et. al. (1996) Nature 382, 39-45.
http://www.sitewave.net/pproject/review.htm
肯定派の文献例
R. Weart: The Discovery of Global Warming (2003)
邦訳:温暖化の<発見>とは何か(みすず書房2005)
„Spencer
http://www.aip.org/history/climate/
A hypertext history of how scientists came to (partly) understand
what people are doing to cause climate change.
„住
明正(東大):さらに進む地球温暖化(ウェッジ選書、2007.6)
経済学者
„宇沢弘文(東大名誉教授):地球温暖化を考える、(岩波新書、
1995.8) [自動車の社会的費用(岩波新書、1974)]
„佐和隆光(京大名誉教授):地球温暖化を防ぐ-20世紀型経済システ
ムの転換-(岩波新書、1997.11)
懐疑派・否定派などの文献例(日本)
„
„
„
„
薬師院仁志:地球温暖化論への挑戦(八千代出版、2002.2)
京大 大学院博士課程中退、京大助手を経て
帝塚山学院大学文学部現代コミュニケーション学科教授
伊藤公紀(横国大):地球温暖化(日本評論社、2003.1)
渡辺 正(東大):これからの環境論(日本評論社、2005.1)
槌田 敦(元名城大):CO2温暖化説は間違っている(ほたる出版、
2006.2、2007.4の第2版で若干補足)
http://env01.cool.ne.jp/index02.htm
„
矢沢 潔:地球温暖化は本当か(技術評論社、2007.1)
スタンスは???
„ 安井 至(国連大学副学長、東大名誉教授)
市民のための環境学ガイド http://www.yasuienv.net/index.html
(アクセス数が500万回を越える有名なHP)
はじめに: 『地球温暖化論への挑戦』 薬師院
世間の八割以上の者が気象学や気候変動論等に精通しているとは、
とても考えにくい。となれば、多くの人々は、自分では根拠がさっぱり分
からないことを信じ、心配していることになる。それがどのような根拠に
基づくのか、論理的な整合性はあるのか、事実認定は正確なのかと
いったことを何ら深慮することなしに、地球温暖化という人類的規模の
危機の到来を心配しているというわけである。もちろん、このまま温室効
果ガスを排出し続ければ地球が温暖化することは、IPCCによって予言
されているではないか、という反論もあるかもしれない。だが、なぜ
IPCCの予言が正しいと断言できるのか、そのメンバーの誰を信頼して
いるのか、その信頼の根拠は何なのか。少なくとも、圧倒的大多数の一
般市民は、それに答えることができないであろう。どこの誰でどのような
人物なのか全く知らない人の言うことを信じるというのであれば、それこ
そまさに盲信に他ならない。 (中略) 私は、地球温暖化脅威論を何が
なんでも否定してやろうと思っているわけではない。ただ、昨今の地球
温暖化問題とは何なのかということを、科学的な側面も含めて、時流や
大勢に流されることなく、今一度深く考えてみたいと思うのである。
反論の一例:槌田(1)
図1 気温の変化とCO2濃度の変化の対応.CO2は気温の上昇より遅れて変化し
ていることがわかる
多くの研究者は,大気中のCO2濃度の増大が気温を上昇させるという.しかし,
事実は逆である.ハワイのマウナロア観測所でのCO2の長期観測者として知られ
る C. D. Keelingグループの研究によれば,図1に示すように,気温の上がった半
年~1年後にCO2が増えている.
http://env01.cool.ne.jp/index02.htm
反論の一例:槌田(2)
図2-5 太陽黒点周期の長さの変化(実線)
と北半球気温偏差(点線)との相関
図3 過去2万5000年間の北半球の気温の
変化
1950年代,暖冬続きで地球の温暖化が問題になった.そのころ南極の氷がとけて海面が上昇
し,大都会が水没するおそれがあると騒がれた.ところが1970年代に入り,気温が上がらず,地
球寒冷化が問題となった.実は,1940年以後,気温は徐々に下がっていることが確かめられた.
そこで気象学者の多くは1980年ごろから,寒冬・冷夏が増え,小氷河期の気候に近づくと予想
した.図3は,過去2万年の花粉,樹相,氷河からまとめた気温の変化(連邦研究協議会記録,
1975年)である.これによれば7000年前に高温期があり,それ以後長期低下傾向にある.とくに
注意すべきは,その間に3回,約2000年の間隔で,約2℃の温度降下をもたらす小氷期がある.
前回の最高気温期が2000年前であるから,現在が最高気温であり,まもなく気温が下がって
いくとした1970年ごろの気象学者の予想はやはり正しいのである.
蛇足であるが,世論に迎合して寒ければ寒冷化説を主張し,暖かくなれば変更の理由も示さ
ず温暖化説を唱えるような,最近の気象学者の生態には,私はとてもついていけない.
Richardsonの夢と数値予報のパイオニア
Lewis Fry Richardson (1881-1953)
高橋庸哉・坪田幸政 共訳: 理科年表読本 ワクワク実験気象学
地球大気環境入門,(丸善、2000)
http://www.islandnet.com/~see/weather/almanac/arc2004/alm04dec.htm
John von Neumann (1903 - 1957) & ENIAC
GFDL (Geophysical
Fluid Dynamics Lab.)
の真鍋淑郎 (1931-)等を
中心とする大気大循環
モデルの開発
数値予報
短期の天気予報も長期の気候予測も原理的には変わらない
http://www.kishou.go.jp/know/whitep/1-3-1.html
海洋大循環と数値シミュレーションに用いる方程式
http://www.anl.gov/Media_Center/Frontiers/2003/d8ee2.html
表面付近:風成循環
中層深層:熱塩循環
x:東西 y:南北 z:鉛直
T:温度 S:塩分濃度
ρ = F (T , S , P )
⎛∂ u ∂ u⎞
Du
∂ u
1 ∂p
− fv = −
+ A⎜⎜ 2 + 2 ⎟⎟ + B 2
Dt
ρ ∂x
∂y ⎠
∂z
⎝ ∂x
2
2
2
⎛ ∂ 2v ∂ 2v ⎞
Dv
∂ 2v
1 ∂p
+ fu = −
+ A⎜⎜ 2 + 2 ⎟⎟ + B 2
Dt
ρ ∂y
∂z
∂y ⎠
⎝ ∂x
1 ∂p
0=−
−g
ρ ∂z
∂u ∂v ∂w
+ +
=0
∂x ∂y ∂z
⎛ ∂ 2T ∂ 2T ⎞
DT
∂ 2T
= C ⎜⎜ 2 + 2 ⎟⎟ + D 2
Dt
∂z
∂y ⎠
⎝ ∂x
⎛ ∂2S ∂2S ⎞
DS
∂2S
= C ⎜⎜ 2 + 2 ⎟⎟ + D 2
Dt
∂y ⎠
∂z
⎝ ∂x
コンピューター予測の肯定派と否定派の例
„肯定派
近藤洋輝(海洋研究開発機構地球環境フロンティア研究セ
ンター特任上席研究員):地球温暖化予測がわかる本(成
山堂書店、2004.8)
日経エコロミー日本がリードする温暖化の「近未来予測」(07/10/15)
http://eco.nikkei.co.jp/column/article.aspx?id=20071015c4000c4
温暖化予測で残された不確実性・海面水位予測と炭素循環(10/01)
温暖化予測で残された不確実性・「雲」の役割を把握する(9/18)
温暖化予測への日本の貢献・地球シミュレータの役割(9/03)
北極海の氷面積、観測史上最小に・海洋研究開発機構など発表(8/16)
温暖化の影響に地域差が生まれる背景(7/30)
中国代表団が反発した、温暖化の「科学的根拠」の確実性(6/18)
「温暖化は人為起源」とほぼ断定できる背景(7/2)
„批判派
廣田 勇(京大名誉教授):グローバル気象学(東大出版会、
1992)など
General Circulation Model (大気大循環モデル)の批判:廣田
予測の議論でさらに難しいのは、その当否を確認できない領域(時
間・空間・状況)に踏み込もうとするときである。天気予報のような場合
には、日々でその予測の当否の検定が行われるが、たとえば数十年、
数百年先の気候予測などを試みようとする場合、これは深刻な問題と
なる(だからこそ気候予測は重要なのだ、などというのは自然科学では
なく社会学の発想である)。何故深刻かといえば、GCMを使ってそれを
行おうとするとき、その道具立ての正当性の裏づけは、現在の大循環の
観測結果のみによって与えられているからである。その中には、運動方
程式などのようにその原理がまず間違いなく確認されているものばかり
とは限らず、雲や雪氷に関する諸量の決定には、依然として(現状だけ
にしか当てはまらないかも知れないような)いくつかの経験則が含まれ
ている。このようなGCMを使って未来予測を試みた結果、もし現在の気
候とかなり異なった状況が出現するとなったとしたら、それは同時にその
正当性の裏づけを失ったことになる、という論理的に皮肉な状況を露呈
する。それ故に、21世紀の気候予測などという試みは、社会的要請は
あっても、学問的意義の不明な行為であるとしかいいようがない。これ
もまた、哲学の欠如した悪しき例である。
1859.2.19 - 1927.10.2
Arrheniusと宮沢賢治
(明治29)1896.8.27 - (昭和8)1933.9.21
地球の温度と二酸化炭素濃度関係に関する先駆的研究
・1859年2月19日生まれ
・1878年、B.S., Univ. of Uppsala
・1884年、Ph D., Univ. of Uppsala
・1884年、Univ. of Uppsala 講師
・1891年、Univ. of Stockholm 講師
・1895年、同教授
・1896−1902年、同学長
・1905−1927年、
Nobel Institute of
Physical Chemistry 所長
・1927年10月2日、没
⎛ E ⎞
k = A exp⎜ −
⎟
⎝ RT ⎠
http://nobelprize.org/nobel_prizes/chemistry/laureates/1903/index.html
On the influence of carbonic acid in the air
upon the temperature of the ground
The London, Edinburgh, and Dublin Philosophical Magazine
and Journal of Science, 41, 251 (1896), 237-276.
I should certainly not have undertaken these tedious
calculations if an extraordinary interest had not been
connected with them. In the Physical Society of
Stockholm there have been occasionally very lively
discussions on the probable causes of the Ice Age; and
these discussions have, in my opinion, led to the
conclusion that there exists as yet no satisfactory
hypothesis that could explain how the climatic
conditions for an ice age could be realized in so short a
time as that which has elapsed from the days of the
glacial epoch.
論文の章構成
I. Introduction : Observations of Langley on
Atmospherical Absorption.
II. The Total Absorption by Atmospheres of
Varying Composition.
III. Thermal Equilibrium on the Surface and in
the Atmosphere of the Earth.
IV. Calculation of the Variation of
Temperature that would ensure in
consequence of a given Variation of the
Carbonic Acid in the Air.
5. Geological Consequences.
ADDENDUM
Table VII. — Variation of Temperature caused
by a given Variation of Carbonic Acid.
緯度別・四季別の温度変化
(当時のCO2濃度を 0.67, 1.5, 2.0, 2.5, 3.0倍した場合)
『宇宙発展論(Das Welden der Welten)』
一戸直蔵訳 (1914大正3), 大倉書店
近時に至りて炭酸瓦斯及び水蒸気の熱に対する透過性につきて極めて
慎重なる観測の行われたるものあり、依て予は是等の材料に基きて、も
し大気中に炭酸瓦斯(容積にて〇.〇三ペルセントを含有するに過ぎず)
がなかりせば、地球表面の温度は約二一度丈降下すべきことを計算し
得たり。温度が此の如く降るときは大気中に存し得べき水蒸気の量もま
た減少するに至るべく、それがため温度は更に此と同じ位降下するに至
るべし。此れによりて、空気の成分に比較的意に介するに足らざる程微
量の変化あるも尚実際に於て頗る著大なる影響を来たすものなる事を
明にし得べし。即ち空気中の炭酸瓦斯の量が現今に於けるものの二分
の一に減少したりとせんか、地球の温度は約四度降るべく、四分の一に
減少するときは八度丈降るべし。是れに反して空気中に於ける炭酸瓦
斯の量が二倍となるに至れば、地球表面の温度は四度昇るべく、四倍
となれば温度は八度昇るに至るべきなり。且つ又炭酸瓦斯の割合が減
少するときは、地球表面上各点に於ける温度の差違が著しかるべく、之
れに反して其割合が増加するときは、地球上の温度は平等に傾くべし。
宮沢賢治(1896年:明治29年〜1933年:昭和8年)
『グスコーブドリの伝記』(1932年:昭和7年)
「先生、気層のなかに炭酸ガスが増えてくれば暖かくなるのですか。」
「それはなるだろう。地球ができてからいままでの気温は、たいてい空気
中の炭酸ガスの量できまっていたと言われるくらいだからね」
「カルボナード火山島が、いま爆発したら、この気候を変えるくらいの炭
酸ガスを噴くでしょうか。」
「それは僕も計算した。あれがいま爆発すれば、ガスはすぐ大循環の上
層の風にまじって地球ぜんたいを包むだろう。そして下層の空気や地表
からの熱の拡散を防ぎ、地球全体を平均で五度ぐらい暖かくするだろう
と思う。」
「先生、あれを今すぐ噴かせられないでしょうか。」
「それはできるだろう。けれども、その仕事に行ったもののうち、最後の
一人はどうしても逃げられないのでね。」
「先生、私にそれをやらしてください。(後略)」
宮沢賢治の詩のなかのアレニウス
詩集 春と修羅 第二集「五輪峠」(岩波文庫版)
五輪は地水火風空 昔の印度の科学だな
空というのは総括だとさ いまの真空だろうかな
つまり真空そのものが エネルギーともあらはれる
火という方はエネルギー アレニウスの解釈だ
詩集 春と修羅 第二集「晴天恣意」(新潮文庫版)
水風輪は云わずもあれ、 白くまばゆい光と熱、
電、磁、その他の勢力は アレニウスをば俟たずして
たれか火輪をうたがわん
二者択一のむすびに代えて
食後の感謝と祈り
Undernourished Population in 2003
(The Food and Agriculture Organization
of the United Nations)
http://www.fao.org/es/ess/faostat/foodsecurity/FSMap/flash_map.htm
Somalia
Ecological Footprint (global hectares per person)
how much land and water area a human population requires
to produce the resources it consumes and
to absorb its wastes
under prevailing technology.
http://www.footprintnetwork.org/gfn_sub.php?content=global_footprint
Earth at night
The distribution of light, brightness, roughly corresponds to
the energy consumption
http://apod.nasa.gov/apod/ap001127.html
Why man should keep away from the moon
By Bertrand Russell, THE TIMES July 15 1969
世の中には、近代的な技術で生み出されたのではないものに
対する尊敬とでもいいうるようなものがある。すでに存在してい
るものすべてに関心を払わない無慈悲さのなかには、いわば
不敬といってもいいすぎではないような、なにものかがある。
そしてこの考え方は機械的な外観だけを重んじ、想像力や思考力の面から
ものごとを調べてみようとしないのが特徴である。いかに大きいものであれ、
いかに利口なものであれ、その考え方は人間生活に変化をもたらすすべて
ではありえない。沈思もまた、役割を果たさなければならない。そうすることに
よって、天空に関する思考から得られる人間の知恵のうち、いくぶんかは、わ
れわれの生活にもっと生かされることになるであろう。しかし、天空をなにか
われわれの手で変化させうるものとしか考えず、宇宙を、人間の関心をもつ
もののうちもっともつまらないものに堕落させてしまうならば、われわれは単
に愚行の領域を広げ、災厄を受けるにふさわしいものになるだけのことであ
る。無慈悲さを押え、尊敬の念を高めることが必要だ。そうなればわれわれ
の宇宙征服は喜ぶべきものになるだろう。しかしもし欠けるところがあるなら
ば、われわれはその不敬に当然与えらるべき罰を招くことになるだろう。
(Asahi Evening News 7月22-23日、朝日新聞 7月19日夕刊)
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