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南スーダン(317KB、2013年12月)

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南スーダン(317KB、2013年12月)
南スーダン医療情報
以下は必ずしも最新の医療事情ではありません。特に緊急時対応や予防薬の服用方法
については現地医療事情に詳しい医療専門家から常に最新のアドバイスを受けるようにし
て下さい。
最新更新履歴:2013 年 11 月
1.
渡航前の準備
(1) 予防接種
南スーダンへの渡航の際は、出発前に以下のワクチン接種を計画的に行い、完
了することが強く推奨される。
・黄熱病・狂犬病・破傷風・A 型/B 型肝炎・腸チフス・髄膜炎・ポリオ
南スーダン政府は入国に際して、正式には Yellow Card(黄熱病ワクチン接種証
明書)の提示を求めていないが、2013 年 2 月以降、ジュバ空港で係官が提示を要
求するようになっており、入国時のトラブルを避ける為にも Yellow Card は携行す
ることを勧める。また南スーダンから周辺国(ケニア、エチオピア、ウガンダ、スーダ
ン、エジプト等)に入国する際は必ず Yellow Card の提示が必要となる。
首都ジュバ市内は電気供給が安定しておらず、市内の薬局で売られているワク
チンに関しては品質が保障されていないが、下記医療機関では 24 時間電気供給
を確保しており、品質保証のあるワクチンを保管している。ただし通常診療は会員
制であり、会員以外が受診するには、事前連絡が必要になる(電話番号は後述の
「医療機関情報」に掲載)。
Unity Resource Group (URG) Clinic
ワクチン
A 型肝炎
B 型肝炎
髄膜炎
狂犬病
黄熱病
ブランド
Havrix
Euvax B
Meningococcique
A+C
Verorab
Stamaril
投与方法
注射
注射
注射
価格
$ 95
$ 30
$ 56
注射
注射
$ 70
$ 60
※(価格は予告無く変更される場合がある、また接種希望時はクリニックに直接、在庫状況
を問い合わせる)
(2) その他の準備
持病の薬を内服中の場合は、必ず滞在期間+数日分を持参されることを勧める
(フライトの欠航により帰国が遅延する場合がある)。また、ジュバ市内には薬局が
複数あるが、胃薬、目薬、かゆみ止めの軟膏等も入手困難な為、使いなれている
薬を持参された方が良い。また熱帯熱マラリアを媒介するハマダラカが通年で観察
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される為、「虫除け」の持参も必要である(ジュバ市内のスーパーでも入手でるが、
物資の流通が安定していない為在庫が無い場合がある)。蚊以外にも、ノミやダニ
に噛まれてスキントラブルを起こす人が少なくない。皮膚の弱い人や敏感な人は、
本邦の皮膚科で抗アレルギー成分の入った軟膏の処方を受け、持参することを勧
める(ジュバ市内の総合病院には皮膚科はない)。
また機材消毒の Standard Precaution 遵守が不明である為、南スーダン国内で
の歯科治療は勧めない。歯科治療は渡航前に完了することを強く勧める。
メガネ、コンタクトレンズの販売店も市街には見かるが、品質保証の観点から購
入は勧めない。またコンタクトレンズ使用の際は洗浄液等予め必要量を持参するこ
と。ただし乾季(12 月~3 月)は非常に埃が多い為、代替としてメガネの使用を勧め
る。
2.
医療事情
(1) 医療機関
南スーダンの医療機関は設備/医療従事者両面において、邦人が満足するレベ
ルのものはない。国立の総合病院でさえも、医師/看護師数が絶対的に不足してお
り、患者が廊下にも溢れている様子が見受けられる。しかし具合が悪くなりながら、
自己判断で様子を見るのは危険である。熱帯熱マラリアの検査や治療、内科疾患
の初期対応、簡単な外科処置であれば、幾つかのクリニック及び病院で対応可能
である。特に熱帯熱マラリアに関しては発症後 3 日以内に治療を開始しなければ
命に係わる。1 日様子を見ても熱が下がらない、下痢が止まらない、身体が異常に
だるい、または縫合が必要な外傷を負ってしまった時などは、医療機関を受診する
こと。
ジュバ
URG Clinic
Address: Tong Ping, Juba 200meter West of USAID Compound
TEL: +211922054856, +211955336611, +211955336622
メンバーシップ取得を原則としており、メンバー以外が受診出来るのは月~金曜日
の 9 時~16 時 30 分迄。メンバー以外の基本診察料 150USD で、これに検査費
用、処方費用、薬代等が加算される為、受診に際しては 1000~2000USD の準備
が必要。常勤の医師が居ない為、通常は看護師及び Clinical Officer の対応となる。
AMREF Flying Doctor と提携しており、重症者はナイロビへの緊急移送を勧めら
れる。
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(診察時間)一般診療:月~金曜日 9 時~16 時 30 分
(診療科)内科、外傷及び熱傷の応急処置、頸椎骨折の固定
(検査)血液一般検査、生化学検査、梅毒検査、マラリア検査(検鏡)、尿一般検査、
便一般検査及び寄生虫検査が可
(予防接種)狂犬病等数種類のワクチン接種が可(1 頁目の表を参照)
Juba Medical Complex
Address: Hai Cinema, Juba
TEL: No Representative Number
URL: http://www.jubamedicalcomplex.org/
複数の科がある総合病院だが、入院病棟、検査棟他建設中であり、2013/05/01 現
在可能な治療や検査は限られている。ただしマラリア検査、血液、尿、便検査等は
現在でも行える。救患室は 24 時間体制だが、救急車サービスは無い為、病人を搬
送する車両は受診側で用意しなければならない。薬局が併設されている。
(診察時間)眼科:水曜/金曜日 17 時~20 時、他科:月曜~土曜日 9 時~17 時(医
師によって開始/終了時刻に違いがある)、救患室は 24 時間対応
(診療科)内科/外科、消化器内科/外科、産婦人科、耳鼻咽喉科、眼科、歯科
(検査)血液一般検査、生化学検査、血清検査、マラリア検査(検鏡)、尿一般検査、
便一般検査及び寄生虫検査が可、レントゲン、頭/胸/腹部 CT、心電図、超
音波検査(胸部/腹部/骨盤)及び視力/眼底検査が可能
イェイ
Grace Medical Center
Address: Yei-Juba Rd. near the bridge opposite Malteser
TEL: +211-955880992/ +211-977451075
UAP Insurance 加入者を対象としたクリニックだが、人道的見地から、非加入者の
場合でも受け入れることがある。詳細は受診前に確認すること。
(診療時間)月曜~日曜日 9 時~17 時(診察時間は明確には決まっていない)急患
は 24 時間対応
(診療科)内科、消化器内科、外科、小児科、眼科、皮膚科、精神科、放射線科
(検査)血液一般検査、血糖検査、血清検査、マラリア迅速検査、マラリア検査(検
鏡)、尿一般検査、便寄生虫検査が可、超音波検査(胸部/腹部/骨盤)可
(予防接種)狂犬病ワクチン、破傷風ワクチン、A 型及び B 型肝炎ワクチン接種可
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マラカル
South Sudan Modern Medical Clinic
Address: Next to South Sudan Hotel. Malakal
TEL: No Representative Number
JICA Compound から近く、South Sudan Hotel に併設されている。医師はホテル
に在住し、24 時間患者に対応可能で、入院用の個室、薬局の併設がある。清潔度
は低く、医療材料や常備薬品の在庫不足があるようだが、マラリア検査及び軽度の
感染症治療には対応可能と思われる。
(診察時間)月曜~日曜 8 時~21 時
(診療科)内科、産婦人科
(検査)マラリア迅速検査、マラリア検査(検鏡)可、心電図及び腹部超音波可
※マラカルの UN 施設内にはインド軍 Level ⅡHospital があるが、通常診療は
UN スタッフのみを対象としている。ただし救急治療を要する患者の受け入れは
行っているようだ。救急車及び一般患者受け入れ用の連絡先等はない為、直接
UN のゲートに出向いた上で、病院スタッフに受け入れを交渉する必要がある。
3. 緊急時の対応と措置
Juba, Malakal, Yei に公共の救急車サービスはない。急患室受診の際は、患者
を搬送する車両を確保する必要がある。また医療機関に搬送されても、高度医療
機器(MRI 等)を必要とする疾病の確定診断は南スーダン国内では困難であり、手
術や輸血が必要な重症者の場合は 一刻も早く第 3 国(ケニア、南アフリカ等)搬送
に結び付ける必要がある。重症者の発生時には速やかに加入保険会社の緊急ダ
イヤルに連絡し緊急移送にかかる指示を受け、手続きを進めるようにすること。
4. 医薬品、衛生用品
a. 携行することが望ましい医薬品
渡航前の準備でも触れたが、消化剤や整腸剤等の胃腸薬、総合感冒薬、湿布
剤、眼精疲労やドライアイに対応した点眼薬、痒み止めの軟膏が市内の薬局では
手に入らない為、持参されることを勧める。また体温計、消毒薬、清潔なガーゼ、質
の良い包帯、膝や手首のサポーター等も入手は難しい為「応急処置セット」として持
参することを勧める。
b. 現地で入手可能な医薬品
アセトアミノフェン製剤(商品名:Panado, Panadol)、抗生剤(シプロキサシン、ア
モキシリン等、種類は少ない)、抗マラリア薬(Coartem, Duo-Cotexin)は大抵の薬
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局で手に入る(マラリア迅速検査キットは入手できない)。向精神薬以外は、購入時
に処方箋の必要がない。薬品はインド、UAE 産が多く見られる。エタノール、イソジ
ン等消毒薬類の入手は困難である。
c. 薬局
市内には小規模の薬局が多数あるものの、品揃えは少なく、また流通が安定し
ていない為品切れも頻繁にある。比較的薬品を揃えているのは下記の薬局である。
(薬局名)St. Joseph Pharmacy
(所在地)Hai Jerusalem, Juba Juba Teaching Hospital 前
(備考)薬品の品揃えは豊富だが、利用者が多いため品切れもある
(薬局名)Juba Medical Complex Pharmacy
(所在地)Hai Cinema, Juba Juba Medical Complex 前
d. 現地で調達できる衛生用品
石鹸、シャンプー類、歯ブラシ、歯磨きチューブ、デンタルフロス、口腔洗浄液、生
理用ナプキン、避妊具は市内のスーパーで入手可能だが、全て輸入品の為、品質
に比して価格は高額である。防蚊対策用の蚊取り線香、電気蚊取り器、蚊帳、虫除
け、殺虫剤もスーパーで購入可能である。
e. 妊娠、出産、育児
妊娠、出産、育児は、勧められない。
f. 手術
医師の医療技術、病院の衛生面と装備及び輸血の安全性において、南スーダン
国内における、緊急処置以外のいかなる外科手術も推奨されない。手術が必要な
傷病が発生した場合は、速やかに保険会社の緊急ダイヤルに連絡し、第 3 国移送
手続きを進めること。
g. 現地でよく見られる傷病
ⅰ.一般の疾病
水道水は異物が混入し汚染が著明であり、また埃が多くダニやノミが繁殖してい
る為、皮膚のトラブルが多く見られる。軽度の下痢症は常時罹患のリスクがあるが、
特に雨季は食物の細菌汚染による感染性胃腸炎が増加する。また乾季には湿度
が極端に低くなることから、ドライアイ、上気道炎が増加する。
ⅱ.風土病、感染症
熱帯熱マラリア、腸チフス、狂犬病、破傷風、髄膜炎、黄熱病、A 型/B 型肝炎、
HIV 感染症等
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≪熱帯熱マラリア≫
最も頻繁に観察される感染症である。乾季には罹患者がやや減少するが、年間
を通して感染リスクがあり、また雨季の降雨後は市内の水溜り等で蚊が大発生する
為、罹患者も急増する。39℃以上の急激な発熱と関節痛、頭痛、下痢を伴うことが
多く、発症から 3 日以内に治療を開始しなければ生命の危険を伴う。また日本人は
マラリアに対する免疫が無く、現地の人と比べて重症化する傾向がある。発熱があ
った場合は現地医療機関を速やかに受診すること。防蚊対策(長袖、長ズボン等皮
膚の露出をなるべく避け、露出部分には虫除けを塗布する、部屋では蚊帳や蚊取
り線香等を使用する)と、抗マラリア薬の予防内服を行われることを強く推奨致する。
渡航前に本邦のトラベルクリニック等熱帯感染症の専門医専門医を受診し、抗マラ
リア薬の予防内服について相談すること。また帰国後 1 ヶ月以内の発熱も熱帯熱
マラリア発症である可能性があり、急な高熱及び強い倦怠感がある場合は感染症
専門医を受診すること。
ⅲ.有害動物、病害虫
蚊、ダニ、ノミ、ハエ、ゴキブリ等が常時多数繁殖しており、特に雨季直前~雨季
に急増する。またナイロビフライという昆虫は、皮膚に触れた状態で潰さないように
すること(酸を含む体液が出て熱傷を起こす)。特にイェイには毒蛇(ブラックマンバ)
が居るが、これまで邦人の蛇咬傷の報告はない。
h. その他保健衛生上の注意
ⅰ . 水 道 水 及 び 生 水 は 絶 対 に 飲 ま な い こ と 。 Bottled Water (Drinking
Water/Mineral Water) をスーパーで購入し飲用とすること。また Bottled Water
も、購入時に未開封であること、中に浮遊物等が浮いていないことを確認するこ
と。歯磨きやうがいにも、Bottled Water を使用することを勧める。
ⅱ.ホテルで提供される食事や、外国人が出入りする高級レストランの食事は基本
的には安全と思われるが、食材の流通が安定していないこと、また電力供給が
安定していないことから、食品保存状態の保証がない。よって食事をする時、食
材が十分加熱されているかを確認すること。また味や臭いが少しでもおかしいと
思ったら、食べないようにすること。地元の人が行くレストランは、食品衛生上は
利用を避けること。
ⅲ.年間を通して気温が高いため、熱中症対策は常に必要である。外に出る時は
帽子もしくは日傘を使用する、なるべく日陰に入る、Bottled Water を持ち歩き、
小まめな水分補給を行う等注意すること。同行者が熱中症で倒れたら、まず日
陰に連れて行き、全身(特に頭と首)を冷えている Bottled Water や、袋に入れ
た氷等で冷やし、意識があれば水分摂取を促し、その後受診を検討すること。
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また意識が無い場合は即刻病院に運び、早急に点滴で水分補給を行う必要が
ある。
ⅳ.雨季(5 月~11 月)は夜間や明け方に 20 度前後となるため、長袖や一枚薄い
ジャケットの持参を勧める。また室内は常に冷房が効いている状態のため、冷
え過ぎに注意が必要である(肩こりや生理不順の原因になる)。
ⅴ.乾季(12 月~4 月)には湿度が測定不可レベルまで下がることから、ドライアイ
や喉、皮膚乾燥の問題が出てくる。目薬、うがい薬、保湿効果の高いローション
や乳液の持参を勧める。
ⅵ.治安上の懸念から単独行動は避けるべきであり、外でジョギング等を行うことも
推奨されていない。幾つかのホテルにジムがあり、Visitor 利用が可能な所もあ
る。自室内で出来る運動はヨガやストレッチに限られる、筋力低下を防ぐ目的で
は、ある程度の効果が期待できる。
ⅶ.車両から降車し路上を歩く必要がある時は、必ず底の厚い靴を着用すること。
また、医療用の針等がそのまま捨てられており、足に刺さる恐れがある。ゴミ溜
まりには足を踏み入れないように注意すること。
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