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VE的思考に関する一考察

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VE的思考に関する一考察
VALUE ENGINEERING No.272(2012.10)
巻頭言
VE的思考に関する一考察
公認会計士
虫明 孝義
VEの適用対象(範囲)
はどこまで考えられるので
しょうか。日本VE協会の瀬口会長もVEの政治へ
の適用について、
「政治家の方々にもVEを知ってい
もなく、正に世界各国共有の財産であり、人類の共有
財産である
「平和」
をイメージできます。
大自然の荘厳な景観に圧倒され、帰国後、南極
ただき、財政再建や経済成長に役立ててもらうこと」
の本を読みあさりました。そして、南極に関して重要な
とご提言されています。私も、VEの本質を考えれ
事実があることを発見しました。南極に関して日本人
ば、その対象は広く適用の場があるものと思います。
が成し遂げた業績は世界に冠たるものです。
VEは人として向上心を持ち続ける場合の根源的な
思考を形成するものと考えます。
第一は、南極点一番のりを目指した白瀬矗
(のぶ)
率いる白瀬探検隊の歴史上の貢献、次に、昭和基
VEを人生や趣味に適用したとしましょう。今、人
地における観測によりオゾンホールの発見等の輝かし
生の最終的な目標として「幸せ」
を考えてみましょう。
い科学上の貢献、第三は、南極領土権の凍結から
V
(幸せ)
=F/Cで、人生におけるFは、満足感、達成
南極環境の保護にいたる日本の平和的貢献です。
感、充実感、名誉、出世、地位、家族、愛、お金等々、
このような事実に感動し、趣味の旅行が高じて出
いろいろあるでしょう。Cは、それらを獲得するために
版までしてしまいましたが、趣味における最終的な
要する犠牲でしょう。どんなに大きい名誉や地位を
目標(価値)
Vは「楽しさ」
と考えると、Fは、感動、満
得ても、それに匹敵する犠牲を伴ってしまえば、V
(幸
足感、達成感等でしょうか。
せ)
は小さくなってしまうでしょう。
Vを高めるFを見つけることができれば、十分VE
幸せの青い鳥を心で見つけ出せれば、限りなく小
を実践していると考えます。Fを爆発的に大きくす
さいCでVは限りなく大きくなるでしょう。人生におけ
ればVも爆発的に大きくなる道理です。発明や発
るVEは心の持ち方次第で、幸せの青い鳥は自分の
見、創意工夫、独創性、努力でFが大きくなること
足元にいることを見つけることができれば、
Cの極小化
によって本人のVが大きくなります。趣味の世界で
とVの極大化が可能になるのではないかと考えます。
は、Fを大きくすることが、Cを小さくすることより意
VEを趣味の世界に適用してみましょう。この度、
私は「南極へ行こう」
という拙書を出版しました。
義があるように思えます。
人生では、無理なく自然体で過すことでCをセー
南極大陸に初めて立った時の身震いするような感
ブしてV
(幸せ)
を高める。趣味では、達成感を高
動は忘れられません。南極の雄大さ、美しさは
「純粋」
めることによりFを大きくしてV
(楽しさ)
を高める。
そのものです。隕石の発見からの宇宙科学の解明、
VE的思考を人生や趣味の場面にあてはめて考
オゾンホールの発見からの地球科学の解明、氷床掘
えてみました。常に「価値を高める」発想は、物づく
削からの気候変動の解明、南極の生態系からの地球
りに限らず、人生のあらゆる局面で生かされるべき
環境の解明、ニュートリノの観測からの地球科学の解
発想です。VEの益々の発展を願います。
明等々、南極は科学の
「宝庫」
です。そして、南極は南
極条約によって領土権主張の凍結、科学的調査の自
由と協力、軍事的利用の禁止が取り決められ、
どこの
国の領土でもなく、国境もなければ、
もちろん軍事基地
(筆者は当会監事
*タイトルバックの作品と
右のカット:虫明孝義)
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