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ネジメントのすすめ~楽しく仕事をすることについての職員

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ネジメントのすすめ~楽しく仕事をすることについての職員
トップマネジメントセミナーとは……
次の世代を担う幹部候補者として、広い見識と高いスキルを
トップマネジメント
持つ経営責任職の育成を目的として行われている、長期育成型
の横浜市職員研修です。
セミナーの研修成果
Aグループ
間ネジメントのすすめ
る﹂と考えた︵注1)。
彼らは、ロッククライマー、
外科医などへの面接調査か
ら、日常生活では得られない
注ぎ込まれていることを発見
報酬に関わらず時間と努力が
﹁特異な経験﹂をするために、
こども青少年局総務課長
て両者が釣り合うとフローが
の場合は退屈を感じる、そし
合には心配や不安が生じ、逆
挑戦レベルが能力を上回る場
図1は、ある行動において、
②上司のマネジメント次第
なり、楽しく仕事ができる。
①条件が整えば、皆で夢中に
のような仮説を立てた。
以上のことから、我々は次
できることがわかった︵注2︶。
で、市役所でもその状態が
作れる。
きる∼アンケート結果
2 条件次第で楽しく仕事で
VHS開発
(3)皆で夢中∼日本ビクターの
生じることを示している。
﹁フロー︵flow︶﹂と呼んだ。
うな状態﹂になる感覚を、
意識が集中し、我を忘れたよ
した。そして、﹁行為のみに
水道局建設課長
のではないかと感じていた。
そこで、我々は、﹁職員が
仕事自体の中に楽しみを見出
港北区こども家庭・障害者支援担当課長
港南区福祉保健課長
環境創造局事業調整課長
健康福祉局担当課長︵厚生労働省派遣︶
健康福祉局担当部長︵市社会福祉協議会派遣︶
∼楽しく仕事をすることについての職員アンケート
小川 浩之
岸村 英憲
巻口 徹
山本 尚樹
鈴木 猛史
丸山由利子
遠藤 尚志
仕事における楽しさとは
何か∼動機と仮説
し、意欲を高めるという﹃内
(1)給与だけでは意欲は上がら 発的動機付け﹄により、業務
ない
遂行能力の向上を図れないだ
ろうか﹂と考えた。そして、
フロー理論は、仕事や遊び
さや没頭感を研究したもので
ように、集団として組織的に
フローを感じることはできる
﹁みんなで夢中になって楽
しく仕事をする﹂にはどのよ
うな条件が必要で、上司のマ
に対して、個人が感じる楽し
内発的動機付けの核心とも言
える﹁仕事における楽しさ﹂
について、上司のマネジメン
仕事をする職場においても、
あった。それでは、市役所の
トや職場環境、仕事の性質と
いったさまざまな角度から研
究を行なうことにした。
ネジメントとして何か有効か
を検証するため、職員アンケ
ートを実施した︵注3︶。
ば、﹁皆で夢中﹂という状態に
トの下で共通の目標を持て
果、上司の適切なマネジメン
と、﹁そうでない人たち﹂の
に近いと想定できる人たち﹂
回答者を﹁よりフロー状態
す要因
(1)﹁楽しさ﹂﹁夢中﹂を生み出
なり、進んでがんばることが
(2)仕事でも楽しく夢中になれのだろうか。
このことを検証するため、
る∼フロー理論
シカゴ大学のチクセントミ
日本ビクターのVHS開発に
ハイらは、﹁内発的動機付け
関わった組織について見た結
に基づく活動﹂という視点で
見れば、仕事と遊びの間に境
界はなく、﹁仕事でも、遊び
昇給といった外発的な動機付
けだけでは、組織的な業務遂
と同様に楽しく夢中になれ
制度がスタートしても、昇任、
フロー理論∼「楽しみの社会学」
図1
行能力の向上につながらない
た。そして、新しい人事給与
うな共通の悩みを持ってい
日々奮闘しているが、このよ
職員のモチベーション向上に
我々グループメンバーは、
スを感じている。﹂
の職員が仕事に疲労やストレ
インドが浸透しない。﹂﹁多く
手法は?﹂﹁なかなか改革マ
てくれるようなマネジメント
ているが、もう一歩力を出し
﹁職員はそれなりに頑張っ
1
調査季報vol.161・2007.10■73
要因を分析してみた。
グループに分けて比較し、
﹁楽しさ﹂﹁夢中﹂を生み出す
を示す。
妨げとなる可能性があること
上司の関与は夢中になる上で
はマイナスの相関が見られ、
﹁オフタイムの付き合い﹂と
高いことを示している。
人たち﹂を増やせる可能性が
に感じられ、﹁仕事が楽しい
や組織の状況さえもが肯定的
しい﹂状態でいられるわけで
(1)時間の間ネジメント
職員は、いつも﹁夢中で楽
ことを提案したい。
標の達成につながっていく。
事をする状態﹂を作れば、そ
(2)仕事の楽しさもマネジメン
仕事の内容、組織の状況、上
当初は﹁市役所でそんなこ
1979年
M・チクセントミハイ﹁楽しみの
社会学﹂今村浩明訳、新思索社、
︵注1︶
ためて決意したところである。
確信を胸に、明日からの﹁間
今は、﹁必ずできる﹂という
か﹂と考えた命題であったが、
とがほんとうにできるだろう
はない。そのため、上司は、
職員の見方や視野を変える
くり出すため、仕事に対する
(2)空間の間ネジメント
﹁夢中で楽しい﹂状態をつ
ことに心を砕くべきである。
を控え﹁夢中﹂状態を続ける
ネジメント﹂の実践を、あら
の初期段階では﹁雰囲気作り
を行なう﹂﹁大枠のみ示す﹂、
進行中の段階では﹁部下を信
じる﹂﹁気にかける﹂、また、
に応じた上司のマネジメント
が有効であることが浮かび上
がってきた。すなわち、仕事
短期・長期の行動目標の設定
(3)仕事が楽しかった時の上司
などにより、﹁時間のマネジ
とは
市役所で最も楽しく感じた
メント﹂を行なうことが求め
仕事について、記述式回答を
られる。そして、いったん
類型化した結果、仕事の段階
﹁夢中﹂状態を作ったら、関与
力を超えた力になり、組織目
れが個々の力を足した合計の
まず、﹁楽しさ﹂について
ト次第
いては、﹁手ごたえ﹂﹁能力の
司のマネジメントの全てを肯
ことができれば、仕事の内容
は、仕事の面白さ、組織の状
ほとんどの項目でプラスの相
況、上司のマネジメントなど、
が仕事を楽しいと感じさせる
関がみられた。﹁やりがい﹂
﹁仕事が楽しい人たち﹂︵42%︶
ところ、その9割以上が、①
回答者のタイプ分けをした
ことはもちろん、﹁重要な仕
か、②﹁仕事が楽しくない人
事﹂﹁明確な仕事﹂であるこ
とや﹁民主的な上司﹂の存在
たち﹂︵49%︶ のいずれかに
明確に分かれた。
は﹁楽しさ﹂を感じる要因と
向上﹂﹁ノルマ﹂など、能力
定的に捉えている。このこと
﹁仕事が楽しい人たち﹂は、
の発揮に関連する項目のみで
は、職員に上司のマネジメン
なる。
一方、﹁夢中﹂の状態につ
プラスの相関が見られた。ま
︵注2︶
NHK﹁プロジェクトX﹂制作班
を作った/VHS・執念の逆転
﹁挑戦者たち 窓際族が世界規格
劇﹂日本放送出版協会、2000年
組織状態はカオス︵混沌︶で
上司のマネジメントのない
﹁構成﹂現在の仕事について、①
仕事の楽しさ②仕事そのもの③仕
︻実施時期一2007年1月
︻対象︼7区局25課。415人
︵回答数313人︶。
職員アンケート
︵注3︶
あり、マネジメントはカオス
(3)職員間の間ネジメント
る見方は変わっていく。
価を話すことで、仕事に対す
上司の役割としては﹁正しい
﹁空間のマネジメント﹂も必
決断をする﹂﹁責任を取る﹂、 要である。単調な仕事であっ
そして、結果が出た段階では
ても、職員に仕事の重要性を
﹁成果を評価する﹂との回答
語り、仕事に対する市民の評
が得られた。
3 間ネジメントのすすめ∼
り、職員の力を一点に集中し、
提言
﹁皆で夢中になって楽しく
仕事をする﹂状態は、上司の
﹁皆で夢中になって楽しく仕
を束ねるマネジメントによ
事について、記述式で回答。
ントに関して、5段階で回答︵46
問︶。これまで最も楽しかった仕
事・組織の状況④上司のマネジメ
マネジメントによって、必ず
実現できる。このような状態
を実現するため、我々は3つ
を止める力でもある。職員間
の﹁間﹂を間ネジメントする
74HIi査研究レポート
トを肯定的に受け止めさせる
図3 回答者のタイプ分け
た、上司の﹁ねぎらい﹂や
図2「楽しさ」「夢中」を生み出す要因
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