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企業価値向上のための資金調達方法についてのご説明
企業価値向上のための 企業価値向上のための 資金調達方法についてのご 資金調達方法についてのご説明 についてのご説明 2007年11月1日 株式会社yenbridge 代表取締役・公認会計士 山下章太 1. IPOまでに準備すべき事項 売上・企業規模 レイターステージ IPO ミドルステージ ステージ シーズステージ アーリーステージ 時間 内部管理体制の構築 ・管理会計制度の構築 ・販売・購入プロセスの改善 ・社内規定の整備 内部統制の文書化(J-SOX対応) ・全社的統制 ・業務3点セット、ITACワークシート ・内部規定の整備 資金調達 ・事業計画の作成 ・資本政策の策定 有価証券届出書作成 上場申請書類作成 2. 資金調達とは? 資金調達を貸借対照表(B/S)に着目して考えると、 B/Sの右側を増やす ⇒ 借入・増資 企業のB/S 現金預金 B/Sの左側を減らす ⇒ 売却 ≒ 流動化・証券化 有利子負債 売上債権 自分のB/Sで無い場合は、 他人のB/Sの右側を増やす ⇒ LBO 不動産 純資産 注意: ここでは、説明の簡便化のため、仕入債務等を省略して記 載しています。 2 2.1. B/Sの右側を増やす資金調達とは? 最もシンプルな形から説明します。 B/Sの右上を増やす ⇒ 借入 企業のB/S 現金預金 有利子負債 金融機関 金融機関 売上債権 不動産 純資産 運転資金融資 設備資金融資 担保付融資 等 注意: 上記はあくまで説明のための簡略化したイメージ図ですので、実際の取引 とは異なる可能性がある点にご留意下さい。 3 2.1.1. B/Sの右側を増やす資金調達とは? 担保とする資産によって呼び方が異なります。 売掛債権を担保にしてB/Sの右上を増やす ⇒ ABL 企業のB/S 現金預金 有利子負債 金融機関 金融機関 売上債権 ABL (Asset Based Lending) 不動産 純資産 2003年の民法改正前には、指名債権の質入につき債権証書 がある場合には、債権証書の差し入れが質権成立の要件と なっていたことから、非常に煩雑な事務処理が必要となってい ましたので、売掛債権を担保とするということは、ほとんど行 われていませんでした。 現在は、『動産・債権譲渡特例法』により、将来債権も含めて 担保に供すことによって、資金調達が可能となりました。 注意: 上記はあくまで説明のための簡略化したイメージ図ですので、実際の取引 とは異なる可能性がある点にご留意下さい。 4 2.1.2. B/Sの右側を増やす資金調達とは? 担保とする資産によって呼び方が異なります。 不動産を担保にしてB/Sの右上を増やす ⇒ 不動産担保融資 企業のB/S 現金預金 有利子負債 金融機関 金融機関 売上債権 不動産担保融資 不動産 純資産 最も多く用いられる担保付融資で、不動産に抵当権・根抵当権を設定することによって、 金融機関が融資の保全を行うものです。 「普通抵当権」は、特定の債権の担保のために用いられる担保設定方式であり、例えば、 『平成XX年X月X日付金銭消費貸借契約に基づく担保』というように、個別債権と紐付け が行われるタイプです。 「根抵当権」は、リボルバーを実行している場合や、運転資金融資を行っている場合、手 形融資を行っている場合など、融資取引が日常的に発生するようなケースを想定した担 保設定方法で、『金額XXまでの金銭消費貸借契約に基づく担保』というような設定の仕 方になります。 注意: 上記はあくまで説明のための簡略化したイメージ図ですので、実際の取引 とは異なる可能性がある点にご留意下さい。 5 2.1.3. B/Sの右側を増やす資金調達とは? 参加者が多数になると呼び方が異なります。 複数の金融機関がB/Sの右上を増やす ⇒ シンジケートローン 企業のB/S A銀行 A銀行 現金預金 協調融資 有利子負債 B銀行 B銀行 C銀行 C銀行 売上債権 シンジケートローン 不動産 純資産 「シンジケートローン」とは、複数の金融機関が一つのグループとなって単一の契約書の もとに借入人に対して行う貸付のことをいいます。以下に特徴を記載します。 【貸付人サイド】 ①複数の金融機関と協調融資を行うことができるため、クレジットリスクを分散できる ②面倒な担保管理等の管理をエージェントに任せることができる 【借入人サイド】 ①融資条件をアレンジャーのみと交渉することで、多額の資金調達を行うことができる ②弁済等もエージェント口座に対して行えばよいため、複数の金融機関に個別対応する 必要がない 注意: 上記はあくまで説明のための簡略化したイメージ図ですので、実際の取引 とは異なる可能性がある点にご留意下さい。 6 2.2. B/Sの右側を増やす資金調達とは? B/Sの右下を増やす方法です。 B/Sの右下を増やす ⇒ エクイティ・ファイナンス 企業のB/S 現金預金 有利子負債 売上債権 不動産 純資産 投資家 投資家 増資 新株予約権の発行 等 注意: 上記はあくまで説明のための簡略化したイメージ図ですので、実際の取引 とは異なる可能性がある点にご留意下さい。 7 2.2.1. B/Sの右側を増やす資金調達とは? 株式の種類によって、増資の方法は異なります。 普通株式以外でB/Sの右下を増やす ⇒ 種類株式 企業のB/S 現金預金 有利子負債 売上債権 不動産 純資産 議決権付き株式を発行したく無い場合によく用いられる方法 です。現在は、種類株式の発行により、配当、残余財産分配 権や議決権など普通株式とは異なる条件でエクイティ・ファイ ナンスを行うことが可能です。 発行の際には、定款への記載が必要となりますが、会社法で は9種類の種類株式を発行することが可能となっています。 会社の純資産を厚くして資金調達を行いたい場合に利用され ます。 投資家 投資家 優先株式 黄金株 注意: 上記はあくまで説明のための簡略化したイメージ図ですので、実際の取引 とは異なる可能性がある点にご留意下さい。 8 2.2.2. B/Sの右側を増やす資金調達とは? 株式の存在の有無によって、増資の方法は異なります。 潜在的な株式でB/Sの右下を増やす ⇒ 新株予約権 企業のB/S 現金預金 有利子負債 売上債権 不動産 純資産 新株予約権は、将来において株式を取得することが出来る権利で す。現在は、新株予約権は純資産の部に計上されることになってい ますので、新株予約権の発行によって、会社の純資産は増加しま す。また、予約権の行使によって資金が払い込まれることによって 会社の純資産は増加します。 特に、役員・従業員向けに発行される新株予約権は『ストック・オプ ション』と呼ばれています。 投資家 投資家 新株予約権 注意: 上記はあくまで説明のための簡略化したイメージ図ですので、実際の取引 とは異なる可能性がある点にご留意下さい。 9 2.2.3. B/Sの右側を増やす資金調達とは? 発行のタイミングによって、増資の方法は異なります。 機動的にB/Sの右下を増やす ⇒ エクイティ・コミットメントライン 企業のB/S 現金預金 有利子負債 売上債権 不動産 純資産 エクイティ・コミットメントライン契約は、上場企業で数年前から利 用されているエクイティ・ファイナンスの方法ですが、機動的に増 資による資金調達を行いたい会社が、証券会社等と一定の割引 率で株式を引受ける契約をしておき、任意のタイミングで資金調 達を行っていくタイプです。 この契約は、新株予約権のように投資家の都合で資金が入って くるものではなく、発行会社が資金調達の時期を決定できるため、 発行会社に比較的有利な契約形態ということができます。 投資家 投資家 エクイティ・コミットメントライン契約 注意: 上記はあくまで説明のための簡略化したイメージ図ですので、実際の取引 とは異なる可能性がある点にご留意下さい。 10 2.3.1. B/Sの右側を増やす資金調達とは? B/S右側における上下移動も可能です。 B/Sの右上から右下に移動する ⇒ 転換社債等 企業のB/S 現金預金 有利子負債 売上債権 不動産 投資家 投資家 新株予約権付社債(旧転換社債) DES (Debt Equity Swap) 純資産 新株予約権付社債(旧転換社債)は新株予約権が付与され た社債で、社債を株式に転換することが可能です。 DESは、借入金を株式に転換することが可能となる契約で、 主に金融機関による財務改善支援のために実施されていま す。 これらは、一度は有利子負債(B/Sの右上)で調達するもの の、最終的には、純資産(B/Sの右下)に振替が行われるタイ プのものです。 注意: 上記はあくまで説明のための簡略化したイメージ図ですので、実際の取引 とは異なる可能性がある点にご留意下さい。 11 2.3.2. B/Sの右側を増やす資金調達とは? B/S右側における上下移動も可能です。 B/Sの右下から右上に移動する ⇒ リキャップ 企業のB/S 現金預金 有利子負債 売上債権 不動産 純資産 リキャップとは、資本投資効率(ROE)を上げるために利用さ れる手法で、有利子負債を調達して株式を償却(自社株買 いなど)する取引です。 株価が割安に放置されているなど、株価対策のために行わ れるケースや、純粋にレバレッジ効果を最大限に発揮させた いケースに利用されることになります。 投資家 投資家 リキャップ ( Recapitalization ) 注意: 上記はあくまで説明のための簡略化したイメージ図ですので、実際の取引 とは異なる可能性がある点にご留意下さい。 12 2.4. B/Sの右側を階層化する資金調達とは? 説明 借入による全額調達が困難な場合に利用される方法として、『優先劣後構造』を作る方法があります。これ は、資金調達先によってリスク・リターンの選好が異なり、それぞれの資金調達先に応じたファイナンスを行 う必要があるためです。ここで、優先劣後構造を設けることを、トランチング(Tranching)といい、各部分をト ランシェ(Tranche)といいます。 資金調達額の内訳 トランシェの呼び方 会計上の区分 リスク・リターンの構造 ローリスク・ローリターン シニアローン シニア 負債 調達金額 劣後ローン 劣後債 メザニン 優先株式 純資産 普通株式 エクイティ ハイリスク・ハイリターン 注意: 本スキームは一般的な事例を想定したものですので、取引を進める上で、弁護 士、会計士、税理士等を含めた精査が必要となることにご留意ください. 13 2.5. B/Sの左側を減らす資金調達とは? ほとんどが、流動化・証券化です。 B/Sの左側を減らす ⇒ 流動化・証券化 企業のB/S 中間法人 中間法人 現金預金 100%保有 有利子負債 売上債権 SPC SPC 金融機関 金融機関 融資等 不動産 真正譲渡 純資産 注意: 上記はあくまで説明のための簡略化したイメージ図ですので、実際の取引 とは異なる可能性がある点にご留意下さい。 14 2.6. 他人のB/Sの右側を増やす資金調達とは? MBO/LBOなどの買収ファイナンスの手法が該当します。 他人のB/Sの右側を増やす ⇒ MBO/LBO 企業のB/S 現金預金 SPC SPC 有利子負債 金融機関 金融機関 売上債権 100%保有 不動産 純資産 ファンド ファンド 注意: 上記はあくまで説明のための簡略化したイメージ図ですので、実際の取引 とは異なる可能性がある点にご留意下さい。 15 2.6.1. LBOのスキーム 設立・買収 買収後 ①A社を買収しようとする投資家が、買収用会社(SPC)を設 立します。 ②株式買取に不足する資金を金融機関から調達します。 ③A社の既存株主から、株式を100%買取ります。 ④概ね100%購入後、SPCとA社を合併させます。 ⑤合併後A社の資産・収益等から金融機関からの融資を返 済します。 ②融資 SPC SPC 100% A社 A社 ④合併 ①設立+出資 新A社 新A社 金融機関 投資家 投資家 ③A社株式売買 100% 融資 株主 ⑤元利金返済 金融機関 100% 投資家 投資家 メリット 投資家は買収対象会社(A社)の資産・キャッシュフローを 担保に金融機関から買収資金を調達することが出来る。 仮にA社が倒産した場合にも、株式価値がゼロになるだけ で、融資の返済を遡及されることがない(ノンリコース・ロー ン)。 金庫株を活用した場合に生じる債務超過の問題をクリアで きる。 LBOが適している企業 余剰資産が潤沢にある企業。 キャッシュフローが安定的に出る企業。 ご留意事項: 本スキームは一般的な事例を想定したものですので、取引を進める上で、弁護 士、会計士、税理士等を含めた精査が必要となることにご留意ください. 16 yenbridgeのサービス業務 分野 サービス内容 記帳・決算書等作成代行業務 SPCの記帳代行、決算書・税務申告書作成、役員派遣、決済の代 行を行います。 予算・実績管理サポート業務 投資後のタイムリーな予算・実績管理体制の構築をサポート致し ます。 投資価値管理サポート業務 投資後の価値変動(マルチプルの変動、金利変動、会社の業績 変動)によるリスク管理をサポート致します。 契約条項管理サポート業務 案件の実行後のコベナンツ管理を含む、契約遵守体制の構築を サポート致します。 SPC管理業務 管理体制構築 評価・検証業務 トランザクション・ サポート 特徴 管理体制構築サポート 社内管理体制の構築、システム構築、内部統制(SOX)の構築を 含め、管理体制の整備をサポートします。社外CFO派遣も含めて、 IPOを全面サポート致します。 Valuation 時価算定業務 株式、ストック・オプション、社債・貸付金などの債権、優先株式、 ブランドなどの無形固定資産、デリバティブなどの時価を評価致し ます。 Due Diligence デューデリジェンス業務 金額に応じて、検証範囲が選択できます。 財務・ビジネス・法務・不動産など、提供範囲は自由にご指定頂 けます。 トランザクション・サポート業務 M&Aや金融取引において発生する、煩雑な手続の実行をサポー ト致します。 ファイナンシャル・サポート業務 エクイティファイナンス・デットファイナンス・事業承継・企業再編・ M&Aなどにおける、金融・財務面でのサポートを致します。 17 筆者略歴 筆者略歴 代表取締役社長 山下章太 公認会計士、証券アナリスト協会検定会員、第1種証券外務員、内部管理責任者 【略歴】 監査法人トーマツにて金融機関のM&Aに係る財務デューディリジェンス、 流動化・証券化支援業務(CLO、CDO、CMBS)、投資顧問会 社向けパフォーマンス検証、 金融機関向けデューディリジェンスシステムの作成などに従事。 その後、みずほ証券にてSCDOなどのデリバティブの時価検証、 ヘッジ・ファンドの組成、プロフィット・リザーブのモデル作成、 東京ス ター銀行にて買収関連ファイナンス(シニア・メザニン)、 事業証券化、メザニン・ファンドの組成、M&Aアドバイザリー業務、 事業再生・ 事業承継コンサルティングなどに従事する。 山下公認会計士事務所設立後は、飲食業の買収、店舗運営型匿名組合の組成、 ノンリコース型FCモデルの組成、M&Aコンサルティ ング業務、不動産流動化支援、 上場企業TOBアドバイス、事業承継コンサルティング、金融機関のエージェント業務・モニタリング代 行業務、 財務デューディリジェンス、デリバティブの評価などに従事。 【主な案件実績】 ■ 国内大手買収ファンドによる上場不動産ディベロッパーの買収時のメザニン投資 ■ 国内大手買収ファンドによる金融グループ買収時のファイナンス(PIPE)のアレンジ ■ 上場IT企業の保有株式を担保にしたシェアファイナンス ■ 外資系大手買収ファンドによる多国籍製薬会社の買収時のシニア・メザニン投資 ■ 香港CBアービトラージファンドの組成 ■ 都市銀行合併・買収時のデューディリジェンス、地方銀行・信金・信組の破綻処理・M&Aトランザクション・サポート ■ 大手リース会社・消費者金融等の小口債権を対象としたM&Aにおけるデューディリジェンス ■ 上場会社のエクイティ・ファイナンスにおけるアドバイザリー業務、バリュエーション業務 ■ 米国上場大手金融グループ、国内大手金融グループのJ-SOX対応、US-GAAP財務諸表の作成 その他多数 【著書等】 第一法規JICPAジャーナル2005年5月 『株式分割時における分割株式の評価額に関する考察』 第一法規JICPAジャーナル2006年8月 『多様化する金融商品に対する会計面の整備について』など 18 会社概要 会社名 株式会社yenbridge 税理士法人赤坂綜合会計事務所 住所 新本店: 東京都港区赤坂2-11-13 COMMON AKASAKA 8階 (溜池山王駅11番出口から徒歩1分) 旧本店: 東京都港区赤坂2-12-23 キャビンアリーナ赤坂 4階 (溜池山王駅11番出口から徒歩1分) 別室: 東京都港区赤坂2-9-4 新光ビル3階 (溜池山王駅10番出口から徒歩1分) TEL, FAX 本店: TEL:03-3560-7370 FAX:03-3560-7371 URL http://www.yenbridge.com/ http://www.yenbridge.net/ 代表者 代表取締役社長 山下章太(公認会計士、税理士) 資本金 1,000万円 業務内容等 <受託業務> ・SPC管理業務 ・公開支援業務 ・評価・検証業務 ・トランザクション・サポート業務 <その他> ・リスク管理用Webツールの提供 ・ディール管理用Webツールの提供 ・プレインキュベーション用Webサービスの提供 <所在地> 19