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8月 - 在ボツワナ日本国大使館

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8月 - 在ボツワナ日本国大使館
Botswana Medical Information
2014 年 8 月
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・ボツワナ初のエボラ出血熱の検査
Botswana College of Agriculture に所属するリベリア人の女子学生に対して、エボラ出
血熱のスクリーニングテストが Block 8 の診療所で施行された。結果は陰性であり、エ
ボラ出血熱の可能性は否定された。ボツワナ保健省によると、もしエボラ出血熱の症例
が登録された場合は、Block 8 の診療所はエボラ出血熱患者の診療に専念し、他の診療
は続けない方針となっている。WHO の報告によると、エボラ出血熱は突然の高熱、衰
弱、筋肉痛、咽頭痛を初期症状とし、その後嘔吐と内臓・体表からの出血を呈する。チ
ンパンジーやコウモリといった感染動物との接触によりエボラ出血熱に罹患し、患者の
血液や体液との直接的な接触または汚染された物との間接的な接触によって伝播する。
エボラ出血熱によって死亡した人の葬式において、死者と直接接触することもまた感染
のリスクになると、WHO は警告している。
Mmegi. 5 Aug, 2014
追記
8 月 11 日にボツワナ保健省公衆衛生局エボラサーベイランス班の班長である医師より得た
情報では、本症例は無症状であり、検査とはいっても問診と身体診察しか行っていないとの
ことであった。実際に検体検査(エボラウイルスに対する抗体検査もしくは遺伝子検査)を
行ったわけではない点は留意すべきである。
・エボラ出血熱に関する南部アフリカ開発共同体(SADC)の緊急会合
西アフリカでのエボラ出血熱の流行を受けて、SADC 全 15 ヶ国の保健省幹部と WHO
の担当者を招集しての緊急会合が、8 月 6 日にヨハネスブルグで開催される。本会合の
主な目的は、各国保健省の幹部が SADC 地域でのエボラ出血熱の発生と伝播を防ぐた
めの正しい戦略について共通の認識を構築することである。
DailyNews. 6 Aug, 2014.
・エボラ発生国からの入国制限
ボツワナ政府は 8 月 12 日、
エボラ出血熱の発生国からの入国を制限する旨を発表した。
制限の期間はエボラの拡大が収まるまでとしており、これによりエボラ発生国からの交
換留学プログラムや公的機関での訓練プログラムは一時中断されることとなる。保健省
副事務次官の El-Halabi 氏によると、現在の入国制限対象国はギニア、リベリア、シエ
ラレオネ、ナイジェリアとなっているが、感染拡大防止策が奏功しない場合は、エボラ
発生国の数が増え、入国制限対象国も増えることになる。
DailyNews. 13 Aug, 2014.
1
・Masa プログラムの終了
公立機関と私立機関の HIV 治療に対する提携、通称 Masa プログラム(Masa はツワナ
語で「新しい夜明け」という意味)は 2014 年をもって終了することとなった。本プロ
グラムは HIV 治療の導入と継続へのアクセスを容易なものとすることで、HIV による社
会的影響を軽減する目的で 2001 年 9 月に開始された。2005 年には HIV 治療待ちの患
者が 10,000 人いたものの、現在は治療待ちの患者はいなくなった。Masa プログラム
が本年で終了となる理由は、治療施設がこれ以上増えるのを抑えることで HIV 治療に
入る患者を政府が追跡しやすくするためである。
DailyNews. 7 Aug, 2014.
・10 代の妊娠
大統領府公共政策担当大臣代行の Kgathi 氏は Matshekga 高等学校で妊娠による退学者
が多いことに驚きを示した。同学校長の報告によると、2013 年と本年 7 月までの計 1
年 7 ヶ月間で、34 名の学生が妊娠し、うち 30 名が退学した。人生を台無しにする行為
で学業を辞めるのは愚かであると Kgathi 氏は述べた。若年者の性行為は許容されるも
のではなく、彼女たちの身体は妊娠への準備がまだできていないと同氏は警告した。
DailyNews. 12 Aug, 2014.
・風疹の流行
Chobe 地域の中学校で風疹が流行している。地域健康管理チーム主席の Dr. Makuka に
よると、検査にて風疹と確定した症例が 140 例ほど認められている。風疹は空気感染
(厳密には飛沫感染)するウイルス性疾患である。症状は発熱、明瞭な皮疹、咳と全身
倦怠感であり、麻疹(はしか)よりやや軽い。しかし、妊婦が感染した場合は胎児に奇
形をもたらしうる。
DailyNews. 7 Aug, 2014.
・社会構造の変化と母乳栄養
保健省副大臣の Dr. Somolokae は、ボツワナでは母乳栄養の割合が減少していると述べ
た。ボツワナ家族健康調査によると、生後 1 年まで母乳栄養が行われた児の割合は、1984
年と 1988 年の調査ではそれぞれ 98%と 91%であった。その後割合はどんどんと低下
し、2007 年には 40%まで低下した。この傾向は特に都市部で顕著であった。母親達が
早期に母乳栄養を止めてしまう理由はいくつかある。1 つ目は美容的理由、2 つ目は授
乳のために職場や学校から一時帰宅するのを避けるため、3 つ目は母親が HIV 陽性のた
めとなっている(頻度は高くないが、HIV は母乳からでも感染しうる)。Dr. Somolokae
は「子供の健康を第一に考え、公的な場所であっても授乳することを恥ずかしがらない
で欲しい。また、少なくとも生後 6 ヶ月までは授乳を行って欲しい。」と述べた。
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DailyNews. 15 Aug, 2014.
・子宮頸がんについて
乳がんに比して子宮頸がんの認知度が低い。そのため、8 月を「子宮頸がん月間」とすること
となった(ボツワナ国内での話であり、日本では 11 月を「子宮頸がん征圧月間」、米国では 1
月を「子宮頸がん検診月間」としている)。乳癌がピンクで表されるように、子宮頸がんはティ
ール(青緑)で表される(世界共通)。8 月 19 日の情報提供会において、保健省子宮頸がん予
防担当の Pheto 氏は「ボツワナ女性において、子宮頸がんが悪性腫瘍で最大の死因にもか
かわらず、その認知度は非常に低い。」と述べた。子宮頸がんは Human Papilloma Virus
(HPV)が原因となっている。HPV は性的接触にて感染するが、コンドームが感染予防に有
用である。HPV にはいくつかのタイプがあり、HPV-16 と 18 が子宮頸がんの高リスクとなり、
HPV-6 と 8 は尖圭コンジローマの原因となる(HPV-8 よりも 11 の方が一般的)。Pheto 氏は
「特に 30 歳から 49 歳の女性は子宮頸部擦過細胞診を毎年受けるべきだ。なぜなら、同検査
が HPV 感染を検出できる唯一の方法だからである。また、来年からは 9 歳から 11 歳のすべ
ての女児を対象として HPV ワクチンの接種を予定している。」と説明した。
Mmegi. 22 Aug, 2014.
・村民の医療への不満
Natale 村と Mokobo 村
(ともに Francistown から約 20km 西に位置する)
の住人たちは、
救急車が Francistown の診療所に配置換えされたことや医療サービスの質が落ちたこと
に対し、不満を募らせている。救急車の配置換えについて、村民に事前の相談がなかっ
たうえに、各々の村に救急車が配置されていた時と比して、救急対応が悪くなったとの
ことであった。また、診療についても問題が起きている。今まで Borolong 診療所を受
診していた人の管轄は Natale ヘルスポストに変更されたが、ヘルスポストには医療従
事者がいない時があり、数週間 HIV 治療薬が無くなったままの患者が発生していると
のことであった。当地選出の代議員 Mr. Molao は「これら 2 つの村は試験的なプロジェ
クトとして救急車の配置換えが行われた。現状の問題点については保健分野の担当者に
必ず伝える。」と述べた。
DailyNews. 26 Aug, 2014.
・南アフリカの病院で心臓手術の患者を取り違える
南アフリカ Kimberley の私立病院で心臓手術の患者を取り違えるというミスがあった。
83 歳の Rita Du Plessis さんは呼吸器感染症で入院していたが、本来受ける必要のない
心嚢水の除去手術が行われてしまった。Du Plessis さんは心嚢水除去手術の予定患者と
同じ病棟に入院しており、主治医も同じであった。主治医は患者の取り違えに気づいた
が、その時はすでに手術が行われている最中であった。同病院は取材に対して、Du
Plessis さんの術後の健康状態に問題はなく、当然手術料を払う必要はないと答えた。
DailyNews. 25 Aug, 2014.
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学会参加報告
8 月 20 日から 23 日にかけてハボロネ国際会議場(GICC)にて第 5 回ボツワナ国際 HIV
会議が開催されました。同会議は 2 年に一回開催されており、ボツワナの HIV 対策の
現状と今後の方向性、HIV に対する世界標準のアプローチ法を共有することを目的とし
ています。今回のテーマは「The Economic Sustainability of Botswana’s HIV Response
(ボツワナの HIV 対策が経済的に持続可能なものとなるために)」でした。
私も 8 月 20 日夜の開催セレモニーと 8 月 21 日のセッションに参加してきました。発
表者はボツワナ国内のみならず、カナダ、米国、英国、ケニヤなど世界各地から招かれ
ており、HIV 新規患者数の推移と今後の見込み、最新の HIV 治療ガイドライン、HIV と
合併しやすい悪性腫瘍、HIV に対するワクチン開発などの内容が発表されていました。
これらの発表の中で、日本との文化の違いを大きく感じた内容として、「割礼(かつれ
い)」についての話があり、私としては初耳の内容であったため、ご紹介いたします。
割礼とは「男子の性器の包皮の一部を切ること」を指します。もともとは宗教色の強い
行為であり、日本では一般的ではないといえます。しかし、ここボツワナでは、ブッシ
ュマンの風習として割礼が存在していたうえに、アメリカ疾病予防管理センターが HIV
を含む性感染症の予防効果があると明言している(根拠論文 AIDS. 2000; 14: 2361-70.)こと
もあり、広く普及しているようです。
最近 5 年間で約 13 万人が割礼を受け、うち 70%は 10~15 歳とのことでした。割礼用
の器具の開発も進んでおり、最近は主に AccuCirc と PrePex という 2 種類の器具を使
うことが多くなっているとのことでした。ボツワナ保健省としても医療スタッフ(主に
看護師)に使用法を指導し、病院や診療所でスムーズに処置できるようにしているよう
でした。日本との文化の違い、そして割礼に医学的根拠があることを改めて知りました。
AccuCirc
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医療施設紹介
Prodent Dental Clinic
フェアグランドモールに面する通り沿いに位置し、大使館より車で 10 分弱の距離にあ
る歯科診療所。医療複合施設内には皮膚科の診療所と Medswana(医療器具の供給会社)
も所在している。歯科診療所には 4 名の歯科医が常勤している。診察室は清潔で、設備
は日本の歯科診療所とほぼ同等のものであり、処置中は助手が歯科医の治療補助を行う。
Dr. Chand はボツワナ出身の歯科医でカナダで教育を受け、15 年間にわたりボツワナ
で歯科診療を行っている。治療方針について、丁寧に説明してくれるため、非常に安心
感がある。治療のみならず、歯科検診も受け付けている。
Office time; Mon-Fri 8:00-13:00, 14:00-17:30: Sat 8:30-13:00
TEL: 390-4219
Cell: 7131-3000, 7176-0000
Entrance
Treatment room
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発行日:2014 年 8 月 26 日
文責:宇賀神 基(在ボツワナ日本大使館 医務官)
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