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OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ
香川大学農学部学術報磐
148
生育および発芽における大豆炭水化物の変化(第1報)
多 田
稔, 川 村 信 一 郎
Ⅰ ま え が き
成熟大豆の種子にほ還元糖ははとんどなく,非還元糖ほかなり多く,サッカロー.ス,ラフィノ・−ス,スタキオース
がおもで(1),さらに高級の五糖類も微塵ながら存在する.多糖類としてほヘミセルロース,セルロL−スが相当ある
が,他の豆類匿多塵に存在するデンプンほ大豆にほほとんどみられないい しかし未熟大豆(枝豆)および発芽大豆
(もやし)ではヂンプンが存在し,このことは佐々木(1929)(2)に.より認められている。
LEEらは発芽大豆中の糖類の変化のうら炭水化物の代謝を推定し(貪),イオン交換樹脂を使用して一発芽日数と子葉と
胚軸における糖類の研究をしている(り.少糖類の変化についてほBouRDONら〈21)の研究がある.また最近.でほ川松,
市江(6)は大豆の発芽初期における貯蔵物質とくにヂンプン粒について分布,消長を組織化学的に研究している。
筆者らは生育および発芽中における少糖類および多糖類の量的関係ならびに発芽大豆ダンプンの性質濫つき若干研
究したので報告する,
Ⅱ 実験方法および結果
1.試料の調製
(1)未熟大豆試料 香川大学農学部傾斜地農場(木田郡三木町井戸)で栽培された久万大豆を用いた.この大豆ほ
19占1年7月12日に種をまいたものでその時期がややおくれて.いる.地質は砂壌土である.9月25日から10月28日まで
の間7回にわたって採取した小 採取方法ほ∵・株の中間部分から約4さやずつ適当に.とり,さやを除いてからただちに
400の熱風乾燥をおこなったい そののらミキサーで粉砕し50メッシのフルイを通し試料とした.−・方さやを除いた豆
を5粗ずつ2組とり水分を測定したい
(2)発芽大豆試料 農学部で収穫された19占1年産の久万大豆と,市販の北海道塵の大袖採大豆(19る0年産,高松苗
の橋本種西国から購入)および太田部三木町奥ノ堂で栽培された秋自大豆を用いた。
発芽方法:種を■まくのに先立ち,種子を・精選する,すなわら,破損粒,虫害粗は除去し,この中から比較的温のそ
ろった光沢のある発芽しそうな粗をとりだす‖ つぎに精選粒200gを水に10分間浸してつぎに0り1%HgC12溶液に常温
で10分間浸して種子を消毒する..そののち殺菌水で塩素の反応がなくなるまでよく水洗する
発芽床は川砂を10%HClおよび10%NaOHで各々1時間ずつ加熱処理後水でアルカリの反応がなくなるまで洗い,
のちなべに入れて加熱殺菌し冷却して−からホクロウ引′くソトに4cmの厚さに砂を拡げ消毒した種子をまく一.麗土ほ
2cm億とするい 種子200gの場合55×25cmのバソト2枚にひろげる‖ 以上のようにして一種をまいた容器を定温襲眉イ寸■
の部屋に入れ黒布で発芽容器をおおって暗所で発芽させる室温ほ250とし発芽日数は種をまいてから2,4,占,
8,10日とした毅土の表面はしめったロ紙でおおい乾燥を防止する.時々殺菌水で水分を補給する水分はバット
の底にたまらぬ程度にする.
第1表 発芽日数と根茎の仲島(単位 c皿,発芽温
度 250)
第1表に発芽日数と根茎の仲良を示す… 節2および第
5図に久万大豆の発芽2日目とる日日の伸長状態を示す
−・定日数発芽させた大豆ほ発芽床から抜取り附若してい
る砂を水洗除去しさらに蒸溜水で5恒】洗って水を切る
種をまくまえに粒の精選をしたとはいえ発芽させた場合
にはなはだしく伸長皮の低いものがあるい これらは.除去
し大体一定の長さのものを試料としたこ.れらのもやし
ほ伸長と酵素作用を防ぐため子葉と茎を切断しさらに茎
は2−5分し,ただちに400の熱風乾燥機で乾燥する大体20時間位で乾燥が終了する.その後占00で50分位乾燥
しミキサーで粉末とし試料とした
く3)発芽大豆からのデンプンの分離 上記(2ノ項のようにして発芽させたもやしはよく水洗し,乾燥することなくも
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第14巻第2号(1963)
149
やしと水の比を1:5位にしミキサーーですりつぶす.5分後にとりだしモメソの布袋を用いてこし,さらに水を加えて
しぼりだす,のこったかすはもうー度ミキサ一にかけ同様にする.つぎにこのロ液を10Dメッレのフルイを用いてこ
す..この乳濁液中にタンパク質とヂンプソ粒が存在する.この乳海液檻5%の濃度になるように食塩を加えよくかき
まぜる..このロ液を遠心分離(5500Ip軋8分間)するとデンプソ粒が沈でん管の下部に沈でんする.このデンプ
ソの分離操作は,もやしを種まき床から取出してから第】回の遠沈操作までをその日のうちにしないとデンプン粒と
タンパク質の分離が困雉となるようである。ヂンプン粒ほ非常に小さく直径2世位の球形である.ヂンプン粗ほ5%
食塩で遠沈操作を数回行なうと不純物が除去される.つぎ紅ダンプン粒を精製するため0.1%NaOHあるいはライボ
ン(中性洗剤)で処理し,充分水洗してから85%メタノールでる00で50分,5回脱脂処理をし,無水エタノール,
エーテルで洗い,脱水してヂレケータ一に入れて∴保存する.アルカリ処理は食塩に.よる精製操作が不充分のときにお
こ・なうとデンプンの収量を少なくする.0..2%NaOHではヂンプンがノリイヒされる危険性がある
第2表に発芽ヂンプンの収盈を示す.
第2表 発芽デンプンの収監
(4)発芽大豆から分離したデンプンからのアミ
ロース,アミロペクチンの分別 発芽デンプンか
らアミロースおよびアミロぺクチ■ンの分別は前報
(¢)のアルカリノリイヒ法によった.アミロースの
再胎は2回おこないアミロぺクチッの精製はステ
アリン酸処理(7)によった分別に用いたヂソプ
ンは久万大豆の発芽4日目を使用した.アミロー
スおよびアミロぺクチンの収恩はそれぞれ15%と占る%であった.
2叫 試料の分析
(1)還元糖,非還元糖,ヘミセルロースの定量(8)この定良法を第1図に示す.、各々の糖液の定盈ほSoMOGYIの
改良法(9)による比色定景法によった.
試料(5g)
グルコ」−スを標準試薬とし,多糖類の場
合は係数0.9をかけてその定恩値とし
糖の抽出(80%EtOH加熱1時間5匝l)
た.
.「
(2)デソプンの定量およぴヨウ素墨色
ロ
遭
沸間
過
ロ
:“− −‥一
溶 液 残 漆
・≡
加水分解
(2%HC15時間)
解Cl
19mlの水を加え,冷却しながら02%
分H
水%熟
してからこし,この中から0.1mlをとり
加2加
ンプンを抽出し(氷水中),1DOmlに定容
水2
る.つぎに52%HClO塵占∫5mlで2匝】ヂ
− 歳時璽
∫
反応を示さなくなるまで糖を抽出除去す
残
し,上泣液がアントロン試薬による糖の
離
遠
ス捧でよくかきまぜ遠心分離する一下部
に沈でんした試料に上記と同様な操作を
自給
除硫
に入れ,こ.れに.熱80%EtOHを加えガラ
液
ち乾燥粉末試料(絶乾物として)を
0.5000g精密にはかり,遠沈用チ.ユープ
− 晶−M−
溶
度 前報(10)の方法で測定した… すなわ
過
:≡
2=5時間
中 和
■ニ
アントロン硫酸溶液5mlを加え,7.5分
間加熱し,急冷してから島津分光光度計
「
中 和
ロ
過
を用いてる50m〝で測定する.標準液はグ
ルコ・−スを用い,測定して得た糖塁に
非還元糖
残 堕
He工nicelluloses
ウ素呈包皮ほHClO塵抽出液を28mlとり
これに0,2%Ⅰ2−KI液1mlを加えて100ml
ロ
.
0‖9をかけてデンプン立とした.・−・方ヨ
第1区l還元糖,非還元糖,へミセルロ−スの定立法
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香川大学鹿学部学術報告
150
に定容し,50分のら占占口mJムの波長の吸光度を読む,第5表に生育大豆ヰの炭水化物の変化を示す.なおヂンプン中の
第5表生育大豆中の炭水化物の変化
アミローース含量は発芽4日目久万大豆もやしから分離したヂソプンから分別したアミロー・ス
,アミロぺクチッのヨウ
素呈色皮0.19D,0.045を用いて前報(10−12)の理論から計静した(1$)
つぎに秋自大豆発芽試料を用いて発芽日数と成分変化の関係を調べた.絵果を第4表に示す.
久万大豆を用いてもやし
第4表 発 芽 日 数 と 成 分 変 化
、\竺ID
とヨウ素呈包皮を調べた.
nU
5
′0
2
2
5
nU
nU
O
イー
nU
第5表 発芽大豆の子葉と根茎中のヂンプン畳とヨウ素
nU
nU
呈色皮(久万大豆)
−・定日数発芽させた大豆を
子葉の基部から切断し茎根
と二分し別々に乾燥し,粉
砕してからデンプンおよぴ
ヨウ素呈色庶を求めた(第
5表).
(3)デンプンのヨウ素結
5
0
O
試料1gに対する膏価
7〇
ン%
′0
プ
4
ソ
18D551鮎封851554
0
(エーテル抽出物酸価)
ヂ
12卯5487弘引9720
提巨%
元
遜
非 還 元 糖%
ヘ ミ セル ロース%
放
維%
粗
エーテル抽出物%
の子葉と頒茎のデンプン盈
合盈 電圧滴定法は前報(10)
に述べたよう紅BA柑S法
とLANSRY法の二つがあるが,反曲点
の求め方は.後者が妥当と考えられてい
る..本実験ではLANSKY法によった.
(前報(10)の第1図ヨク寮結合盈の求め
方のうちBATES法とLANSKY法ほ左右
の活字が反対に.つき凍誌上で訂正して
おく).
(射極限粘度とアルカリ数 短限粘
皮とアルカリ数の測定は前報く14・16)に
したがった.極限粘度ほ分離したデン
プンを乾燥し無水物として200mgはか
り,20mlの目盛付試験管に入れ,し
第る表 発芽日数による滅監制合(絶乾体)
発 芽 日 数1 2 1 5 1 4 1‘1 8
めらす程度の80%EtOI王を加え,つぎ
に〟KOH15miを入れガラス棒でよく
かきまぜながらヂソブンを均一紅ノリ
滅
盈 %
化させる.十分ノリ化されたならばⅣ
KOHで20mlに定容する.(この試料液
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第14巻第2号(1963)
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は1%ヂンプン液となる・)これから試料として5−1mlを別の試験管紅とり,つぎ紅ⅣKOH5一・・・9mlを加え各々の試
験管内容を10ml紅するとD・5−・0一・1g/100皿lを含む溶液ができる
.これを550の定温水槽内で内容1ロml用のOsTWALD
粘度計に注入し流下時間を測定する,同時に・ⅣKOHのみで測定したものを対照催?。とする.?。はそれぞれ占9.90,
70い軋る5・8る・71・犯占5・90であった。極限粘度〔り〕は比粘度ワs・また鋸目対粘度ワーから〔ヮ〕=1im(㌔/C),および
〔7〕=lim(1n恥/C)からグラフ上で0に外挿して求める.ただしC=濃度n
仁一ヽ()
C−ウ0
(5)末端基定盈 末端基の定塵法にはメチル化法と過ヨウ素酸酸化法がある“現在は後者のうちのギ酸の定盈法に
よる方法が広く剛、られており本実験においてもこれを採用し,小林の方法(18−18)によ
った.多糖類を過ヨウ素酸
で酸化した場合に生ずるギ酸を定慈し末端基当りの平均鎖長を求めるのである.
第7表の1発芽日数とヨウ素呈色度,ヨウ素結合藍,極限粘度,アルカリ数および末端鋭長との関係
第7表の2 ジ′ヤガイも ソラマ.メ,発芽デンプンのアミロース,アミロぺクチソ,デンプンのヨウ素呈色皮.
ヨウ素結合盈,極限粘度,アルカリ数および末端鎖長
試
*=文献(12)
料 」ヨウ素呈色皮iヨウ楽結合蟄l極限粘度lアルカリ数I末端鎖長
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ヂソプソの末端基の走塁にはダ
ンプンの分散を完全にするため前
第8表 デンプン中のアミロー・ス合意(%)
試
料lヨク素量色皮からの計静催ぃヨウ素結合盟からの計静値
処理としてL川TNER法(19)で可溶
性にした.すなわちデンプンを
7.5%HC150mlに屋湿で12時間放
置し2回水洗したのちNH塵OHで
中和したのらよく洗い,EtOHで
_1 脱水してから使用した.
第7表(1)およぴ(2)のヨウ素呈色
皮とヨウ素結合遼から封静に.より
デンプン中のアミロー・ス含蒐を求
めた(第8表)
れ
なお発芽デンプン中のアミロ・−
スの含蟄ほ発芽久万大豆デンプン
4日目から分離したものにもとづ
いて計辞した‖ このときヨウ素呈
包皮はアミロ・−ス0.190,アミロ
*ジャガイモ
* ソテマメ
ぺクチン0045,ヨウ素結合意は
アミロ−ス占..る0,ア ミ ロぺクチ
*=文献(12)
ン0.20であった
Ⅱ 考 察 と 結 論
生育中:第5表に生育大豆ヰの炭水化物の変化につき分析表を示したこれ紅よると還元糖ほ成熟するにしたがっ
で減少し,非還元糖は増加しているへミセルロ−スほかなり多く存在し採攻初期に15%,中期前にて占%,採取末期
に11%と変化している.デンプンほ2−・5%含有し採取初期(未熟大豆)に多く採取末期(成熟)に近づくにしたが
い減少している
デンプン中のアミロース孟ほヨウ素比色法により久万大豆発芽4日目のデンプンから分別したアミロL−ス,アミロ
ぺクチンの呈包皮をもとに計静したが,成熟するに・したがって減少している
発芽中:第4表に発芽日数と炭水化物その他1−2の定量をした.還元糖は発芽日数の増加とともに増加してい
る..非還元塘は逆に減少している‖ こ.れらは生育中の場合と逆の関係を示しているVoNOHLEN(1951)ほ大豆は
子葉に非還元糖を多少含有するが発芽とともに還元糖が現われ最初の5日間に胚軸の基部と幼根貯蓄潰されると述べ
ているく20)。ヘミセルロ−・スほあまり変化しないが組織維ほ増加しているデンプンほ種をまいてから4一るE=訃に
最高を示しその後減少する傾向にある
エーテル抽出物は発芽日数の増加にしたがって減少した.またエーテル抽出物の酸価を測定した..種子中の油脂は
酵素により分解され脂肪酸とグジセダンになり,これらは炭水化物を生ずると考えられているしたがって遊離脂肪
酸,すなわち酸価を測定することにより油脂の分解皮をみることができる酸価は・エ−テル抽出物の減少するに対し
逆に増加しており明らかに油脂は分解し他の物質になっていると思われる.ワタの種子では発芽期間中に遊離脂肪酸
の増加する割合は乾物鼻の%で表わせは0.5%から20%にまで上るが,幼苗100個体の現わす実際の増加竃は2−5倍
にすぎないと云われている..本実験でほすべて乾物貴の%で表わした‖罪5表紅発芽大豆の子葉と根茎中のデンプン
塁を示したこれ紅よると発芽4日目が子葉,根茎ともに叔高値を示したヨウ素呈包皮も大体4日目が最高であっ
た
発芽方法には明所および暗所発芽法のこつがある.暗所では子葉中の養分ほ分解流転するだけであるから子葉の乾
物盈ほ発芽日数とともに減少し,明所では葉緑素の形成により炭酸同化がはじまり子葉の乾物鼠が増加する
この実験では暗所発芽によったが,その発芽日数と滅法割合を視べた(第る表)・これによると発芽2日目で占イ8%,
8日目で2る%の減塩を示した
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幣14巻第2ぢ(1963)
第2図 久万大豆 発芽2日目
第4図 大袖振大豆の発芽4日目デンプン
(Ⅰ2染色)(200Ⅹ)
第占区Ⅰ発芽4日冒久万大豆茎の横断面
(Ⅰ2染色1(800Ⅹ)
第5図 久万大豆 発芽占日目
第5図 発芽5日目了英中のデンプン
(Ⅰ2染色)(200Ⅹ)
第7図 発芽4日目久万大豆茎の中央縦断面
(Ⅰ2染色)(200Ⅹ)
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大豆の発芽デンプンほ非常紅小さい粒子で発芽種子からのデンプンの分離にほ相当手数がかかり沈降性が劣るため収
量が悪い(第2表).
発芽大豆の子葉ならびに根茎中のデンプン粒につきⅠ2−・ⅩⅠ液で染色し顕微鏡により観察した(第4・−7図).デンプ
ン堪の直径は2世位の球形で発芽日数にあまり関係がなかった。未発芽大豆の子葉中にもⅠ2−ⅨⅠ液で染色される部分が
少しみられた.デソプン粒ほ細胞膜にそった部分に多くみられた(第占図)
大豆のデンプン堪についてほ川松,市江がその分布,消長につき研究してニいるが(り,これによると貯蔵物質は子
葉から他の器管,組織へ移る.その部億でのデンプン粒ほ子葉からの移動物質の量とそこで消費される畳との差とし
て現われる生長活動とくに細胞の活動が盛んな組織またはその近くの組織にデンプン糧の蓄積が高かったと述べて
いる
デンプン中のアミロ−ス含量を計算するため発芽4日久万大豆を用いてデンプンを分離しさらにアミロ−ス,アミ
ロぺクチンに分別したこのヨウ素呈色度はそれぞれロ…190,0い045,ヨウ素結合畳はる.∽,On20であった(第7表の
2参照).ジャガイモ,ソラマメの場合と比較すると著しく低いこれほ代謝デンプンであるため貯蔵デンプソとは
異なると思われるが,試薬特紅アルカリ等に対して分解を受けやすい性質があるとも考えられる機会があればアミ
ロース,アミロぺクチンの分別条件を検討する考えである
第7表(1冗2)に発芽デンプンのヨウ素呈色度,ヨウ素結合壷,極限粘鼠 アルカリ数および末端鎖最を測定し比較の
ためにジャガイモ,ソラマメの各々の測定値を示したこれによるとヨウ素呈色皮は久万大豆で発芽日数2・−る日ま
では上昇して.その後ほあまり変化しない秋白大豆は2日目に最高値で以後減少している大袖振大豆ほ特にデンプ
ンの収率が悪く2日目のデンプンほ分離できなかったあまりはっきりしたことほいえないがる日日が最高値で前後
ほ低いようである
ヨウ素結合嶺はヨウ素墨色皮と同じ傾向を示している“ジャガイモ,ソラマメに比すると各々の値ほかなり低い
梅眼粘度,アルカリ数もヨウ素呈包皮,ヨウ素結合盈のそれらと同じような傾向である極限粘度はジャガイモ,ソ
ラマメに比するとかなり低く半分あるいほそれ以下であり分子量の小さいことを表している発芽デンプンのアルカ
リ数ほかなり商い∴極限粘度が低く,アルカリ数の高いことから考えると発芽デソプンは分枝の多いアミロぺクチン
に富むものと思われる
Ⅳ 要
久万大豆を用いて生育中および発芽中の炭水化物の変化につき検討したこれによると還元糖ほ成熟するにつれて
減少し発芽日数の増加にしたがって増加した非還元糖ほ還元糖と逆で生育日数の増加にしたがって増し,発芽日数
の増加とともに減少したへミセルロ−ス含有盈ほ生育,発芽の両期間に変化がなかった デンプンは生育初期に多
く完熟になるにしたがって減少し,発芽日数の増加とともに4一→占目までは増加し以後ほ減少する
発芽中のエ・−テル抽出物は発芽巨!数の増加とともに減少し,エ−テル抽出物の酸簡は増加している“これは油脂が
分解して炭水化物に変化するためと考えられる
久万,秋自,大袖振大豆5種を用いて発芽デンプンを分離し,発芽日数とヨウ素墨色度,ヨウ素結合盈,極限粘
度,アルカリ数,末端鎖長の関係につき検討したヨウ素呈包皮,ヨウ素結合星は発芽日数2一占日までほ上昇し以
後あまり変化しないか,あるいほ減少した“−・方久万発芽4日目デンプンからアミロ−−ス,アミロぺクチンをアルカ
リノリ化法により分別しヨウ素呈色皮0」190,0045,ヨウ素結合憲二る‖‘札 0,20を得た
ソラマメデンプンに比較すると発芽大豆デンプンほアルカリ数が非常に高く,粘度ほ低く,過ヨウ素酸酸化による
鎖長は20−50イ立であり分枝紅とむアミロぺクチッの多いデンプンと考えられる
東研究の要旨は第11回日本生化学会中国四国地区総会(岡山市渋川玉野荘(19占2年5月19日))で発表した
引 用 文 献
(1)川村信一・郎:農化,28,851(1954)
(2)佐々木周郁:同上 5,491(1929)
(1959)
(5)川松重信,市江勇治:医学と生物学,る,154・−158
(5)LEE,K.T,LEE,CY巾,LEE,T。Y,KwoN,T”W
(1961).
:Sg〃αJぴ〃i〃/,8,55−44(1959).
(4)
(る)多田 稔:香川大農学報,11,257−240(1959).
一−【【「−,−【−一 −‥′∂idい,9,12−17 (由)二国二郎(編):ダンプン化学,東京,朝倉番店
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155
第14巻第2号(1g63)
(7)小林恒夫:(由),占57
(15)川村イ昇一部,福場博保:香川大恩学報.9,59
(8)川村信叫郎:香Jtし大農学報,5,1−14(1955ト
(9)小林恒夫:(占a),占85
(1957)(英文)
(1占)小林憧夫:(12a),221
(10)多田 稔:香川大農学報,15,180−184(19る2).
(17)−:良化,2る,55−57(1955).
(11)川村信一・郎,多田 稔:同上,9,99−10ち(1957). (18)−
(12){−一Ⅶ「−−一−:農化,る5,297(1959)巾
,門脇 侶:同上,27,599−・占02(195る).
(19)−:(12a),20る
(12a)ニ国二郎(編):デンプンノ、ンドブック,東京, (20)中山 包:発芽生理学,99,東京,内田老鶴圃
朝倉番店(19る2)
(15)小林恒夫:(12a),214.
(14)仙山一鵬:(12a),259
(19占0)り
(21)BouRDON,D.,QuILLET,M.:C∂桝♪f.γβ〝d・,
247,504−占(1958)
Changesof soybean carbohydrates during growth and germinationI
Minoru TADAand Sin,itir6KAWAMURA
Sllmmary Reducings11garCOntentOfthesoybeandecreaseddu工inggrowthandincreasedongermination
On the cont工a工y nOn工educing sugaICOntentincreased during growth and decreased on geImination.
Hemicell11lose content showed no distinct change d11ring growth and germination.Starch content was
highinimmature stage and decreased duIing growth;itincreasedin the fi工St4−6daysof germination
and decreased thereafte工\The etheIeXtraCt COntent decreased and the acid number of the ether ext工aCt
increased during germination・This mayindicate that soybean oilwas decomposed and was converted to
carbohydrate
Starch,amylose,and amylopectin were separated from germinated soybean seedlings…Iodine coloIation
andiodine affinity of starchincreasedin 2−6 days of germination and did not change or decreased
thereafter小 Amylose and amylopectin showed,reSpeCtively,iodine coloration O小19O and O045andiodine
a董finity6い60 and O.、2ロ%.The starch of ge工minated soybean Seedlings showed m11Ch higher alkali
number,lower viscosity,and shorter chainlength per end g王Oup(22−50accordingto periodate oxidation)
than broad−bean starch.Thus the starch of geIminated soybeansis pooreIin amylose than ordinary
IeSerVe StarCh oflegumes…
(Received October51,19る2)
Fly UP