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第15回東京ディフェンス・フォーラム 議長サマリー 2010年9月15日

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第15回東京ディフェンス・フォーラム 議長サマリー 2010年9月15日
第15回東京ディフェンス・フォーラム
議長サマリー
2010年9月15日 東京
I. イントロダクション
1. 第15回東京ディフェンス・フォーラム(アジア太平洋地域防衛当局者フ
ォーラム)が、2010年9月15日、東京において、オーストラリア、
バングラディシュ、ブルネイ、カンボジア、中国、インドネシア、日本、
ラオス、マレーシア、モンゴル、ニュージーランド、パキスタン、フィリ
ピン、韓国、シンガポール、スリランカ、タイ、アメリカ、ベトナムの1
9カ国の参加のもと開催された。ヨーロッパ連合(EU)と赤十字国際委
員会(ICRC)もこのフォーラムに参加した。
2. 大江博防衛省防衛政策局次長がフォーラムの議長を務めた。
3. フォーラムでは、セッション I「地域の安全保障協力における主要国の役
割」、セッション II「ARFにおける防衛当局の役割」のテーマで議論を行
った。
4. 北澤俊美防衛大臣は開会の辞の中で、最近のパキスタンでの大洪水の犠
牲者にお悔やみを述べた。大臣はアジア太平洋地域を非常に重視しており、
日本の防衛省が、平和で安定した地域の安全保障環境を構築するよう前向
きに取り組むことを宣言し、また、第15回東京ディフェンス・フォーラ
ムでの議論が地域の国々の相互理解を深めることを望んでいることを強調
した。
II. セッション I:地域の安全保障協力における主要国の役割
5. カンボジア、中国、インドネシア、日本、マレーシア、スリランカ、タ
イ、アメリカ、そしてヨーロッパ連合がこの議題についてプレセンテーシ
ョンを行った。
6. 一部の参加者は、災害救援、カウンター・テロリズム、そして海上安全
保障のような共通の安全保障上の課題に取り組むこと、情報共有や途上国
のキャパシティ・ビルディングを通じた地域的・国際的協力を推進するこ
とが必要であると指摘した。
7. 一部の参加者は、非伝統的安全保障問題が深刻さを増しており、非伝統
的安全保障問題によって影響を受ける人の数が伝統的安全保障問題による
ものを上回ると指摘した。途上国は、地域の主要国から、非伝統的安全保
障分野におけるキャパシティ・ビルディング支援を受けることを望んでい
る。主要国間の調和の取れた良好な関係は、主要国が深刻な非伝統的安全
保障の脅威により積極的に取り組むことができるため、望ましいというこ
とも述べた。
8. 一部の参加者は、地域において未解決の紛争や内戦が存在するが、相互
の尊重、相互利益、そして平和と発展と協力を押し進めるという原則のも
と、防衛協力・交流を特に非伝統的安全保障分野において促進するべきで
あると指摘した。
9.一部の参加者は、 防衛は軍事と非軍事の2つの面からなっていることを
強調し、地域の協力を進めるために、安全保障上のあらゆる脅威に対応で
きる枠組みを構築すべきである旨、言及した。
10. 一部の参加者は、非ASEAN諸国は良好な関係を築き、利益の共有を
図るべきで、最も重要なことは、冷戦思考に戻ることを避け、対立ではな
く協調の道を選ぶことだと指摘した。
11. 一部の参加者は、密輸、不法移民、貧困、そして環境のような社会・経
済的問題は、地域の安全、安定、繁栄を維持するため、注意深く考えるべ
きである、と指摘した。
12. 一部の参加者は、ワークショップ、訓練、演習を通じた実践的で具体的
な協力が、非伝統的安全保障問題における地域の協力関係を強化すること、
そして、そのような協力は、防衛当局だけでなく市民社会との協力によっ
ても組織されるべきであると主張した。
13. 一部の参加者は、グローバル・コモンズへのアクセスの開放性、透明性、
平等性を向上させるため、アジア太平洋地域の国々は紛争を回避或いは抑
止する責任を分担すべきである、と強調した。
14. 一部の参加者は、アデン湾における海賊対策は概ね成功しているが、燃
料補給の課題やソマリア湾が広大過ぎることなど、国際的な協力を通じて
解決すべき問題も残されていると指摘した。
15. 一部の参加者は、地域における二国間、三国間、多国間の枠組みでの防
衛協力・交流の重要性に言及した。
III. セッション II:ARFにおける防衛当局の役割
16. オーストラリア、ブルネイ、日本、韓国、ニュージーランド、シンガポ
ール、アメリカ、ベトナムが、この議題について包括的なプレゼンテーシ
ョンを行った。
17. 一部の参加者は、ARFは幅広い安全保障上の課題に関する防衛当局間
の情報共有を可能にし、そして拡大ASEAN国防相会議(ADMMプラ
ス)は防衛に関する中心的問題に焦点をあてる機会を提供するだろうと指
摘した。
18. 一部の参加者は、ASEANはARFの推進力であるから、ASEAN
の防衛部門は、ARFにおける防衛協力を支える上で重要な役割を負って
いると強調した。
19. 一部の参加者は、伝統的安全保障と非伝統的安全保障分野の間での補完
的役割を確立すべきであるということ、そして、民と政府と軍の協力強化
を含む非伝統的安全保障分野の協力が伝統的安全保障分野での信頼の基礎
となりうるということを指摘した。
20. 一部の参加者は、ARFは主に外交上のプロセスであり続け、省庁の壁
を越えた国際的協力の機会を与えてくれること、そしてARFは、我々の
共通の脅威に関する標準作戦手続きの作成といった、国や省庁を超えた地
域の共同作戦能力の構築に向けて努力すべきである、と指摘した。
21. 一部の参加者は、防衛当局と軍は、国境を越えた安全保障上の課題の多
くを扱うなかで特定の役割を担っていること、そして、ADMMプラスは
特定の問題を扱う潜在能力或いは議論した考えを防衛当局と軍による実践
的かつ行動指向的な協力へと移行させる潜在能力を持っており、それはA
RFにおける努力に寄与することができると指摘した。
22. 一部の参加者は、防衛当局は、成長するARFそれ自体に沿った議題と
の明確なつながりを必要としていること、ADMMプラスは地域の防衛及
び安全保障上の課題を前に進めるべきであり、また防衛当局にその役割を
果たす機会を与えるべきであると指摘した。
23. 一部の参加者は、ARFは、不安定の原因となりうる重要な安全保障上
の問題に関して優先権を与えられるべきであるということや、争いや紛争
は国際法或いは平和的交渉によって解決されるべきであると指摘した。
24. 一部の参加者は、防衛当局の役割は今や多岐に渡っており、従って、A
RFにおける防衛当局者会合はARFの意志決定過程で何らかの提案や推
奨をできるようになるべきであり、また、気候変動やサイバー防衛のよう
な新たな安全保障上の課題を議論する役割を負うべきであると指摘した。
25.一部の参加者が、伝統的安全保障の問題もまたADMMプラスで議論され
るべきであると強調する一方で、伝統的安全保障の問題をADMMプラス
で扱うことに慎重である旨言及する参加者もいた。また、一部の参加者は、
ADMMプラスが国防相会議であるという事実を考慮すれば、非伝統的安
全保障の問題への実際の効果を高めるべきであると指摘したが、一部の参
加者は、ADMMプラスは、伝統的及び非伝統的双方の安全保障問題の関
心事項にかかる戦略的対話の場であり、我々が直面している安全保障問題
に対する理解を深めることに貢献する旨指摘した。
26. 一部のADMMプラスの非メンバー国は、ADMMプラスの役割に強く
関心を示した。
27. 一部のADMMプラスのメンバー国は、ADMMプラスは地域で唯一の
国防相会議として自らの仕事を定義することから始めるべきだ、と指摘し
た。また、ADMMプラスは新しい安全保障協議の場であり、ADMMプ
ラスが地域の安全保障枠組における自身の適切な役割を特定できるように
するためにも、その役割を限定すべきでない旨発言がなされた。
IV. 閉会の辞
28. セッションの間、参加者は、地域の安全保障環境と防衛協力の将来の方
向性についてフォーラム全体を通して議論すべきだという考えを共有して
いた。フォーラムは、防衛当局のARFへのさらなる係わりやARFとA
DMMプラスの間の役割分担について考える材料を提供した。
29. 議長は、本フォーラムでの議論は、ARFにおける活動及び各国の取組
に資すると述べた。また、議長は、開催国から本フォーラムの結果を、次
回の適切なARFの会合へ報告する意向であること述べ、参加者の支持を
得た。
30. 全ての参加者の支持と、彼らのフォーラムへの価値ある貢献に感謝する。
参加者は、地域の防衛協力・交流の促進及びARFにおける防衛当局の役
割を扱った本フォーラムを開催した日本に対し、感謝の意を表明した。
31. 参加者は、2011年秋に東京において開催予定の第16回東京ディフ
ェンス・フォーラムへの期待を表明した。
(以上)
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