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ジョブカフェスタイル-若者就職支援白書-(平成18年10月)

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ジョブカフェスタイル-若者就職支援白書-(平成18年10月)
目 次 4
8
10
13
地域の若者支援の核を目指して
現代若者就職論 若者の就職動向
座談会 ジョブカフェを語る
JOB Cafe 応援団
[事例編]
18
[解説]ジョブカフェの活動、その成功ポイント
① 若者へのアピール
20
[解説]多くの若者に来てもらうために
28
選挙運動的手づくり広報(茨城)
29
アルビレックス新潟とのタイアップ(新潟)
60
カウンセラーと求人開拓員との密接な連携(京都)
61
初めてのカウンセリング
(岐阜)
61
インテーク面談(京都)
62
シゴト発見カフェ
(千葉)
63
目標管理シートの運営(山口)
63
コーチング研修(沖縄)
64
高等職業技術専門学校での「ものづくり体験」
(大阪)
65
カウンセラー会議(全体)
66
分析 カウンセリング・ケース
79
就職成功者座談会 就活はジョブカフェとの出会いから!
③ 若者へのサービス(各種サービス)
30
情熱の赤はジョブカフェの赤!
(石川)
82 [解説]若者への対応はどうあるべきか
(各種サービス)
31
マスコットキャラクター「グッドジョブ君」の活用(大分)
85
31
キャラクターデザインの活用(沖縄)
32
キャラクター「求職忍者・飛騨の赤チャレ」を
86
JOBカフェOSAKAの施設紹介(大阪)
使った広報戦略(岐阜)
87
中心地に立地を設定
(福岡)
ファシリティ
(北海道)
87
駅前の絶好の立地を設定(宮城)
相談から職業紹介まで、一貫支援のできる
88
就職&インターンシップ企業合同説明会 i n 東京
(岐阜)
ワンストップサービスセンター
(京都)
88
東京でのキャリアカウンセリング(沖縄)
若者参加のジョブカフェを目指して
(島根)
89
大学へのジョブカフェの将来的運営に関する研究委託(青森)
90
カフェの雰囲気が香り立つ“ 学生によるアテンダント”
(群馬)
91
フレンドリーな中にもビジネスマナーも身につくような
33
34
35
36
「若者による若者のための」広報(群馬)
37
地元ロックバンドをキャラクターに起用(福井)
37
若者に人気がある地元出身ミュージシャンを
郷土ぐんまを思う気持ちは誰にも負けない!
地元のNPOと連携、就職支援ベンチャー企業を設立(群馬)
規律正しい雰囲気(北海道)
キャラクターに起用(愛媛)
92
若者の参画「ふくいJJクラブ」
(福井)
38
携帯電話での情報提供(山口)
92
若者によるサービスの開発(愛媛)
38
便利で気軽! HP&携帯サイトの活用で認知度アップ!
(北海道)
93
ジョブカフェOB・OG 会結成!
(群馬)
39
ウォーキングツアーで身近な職場を気軽に見学(岩手)
93
内定した先輩の就活アドバイス
(石川)
40
新たな利用者を獲得する
94
スタッフが自らサービスを受けて、サービス改善を行う
(千葉)
深夜テレビ&深夜カウンセリング
(宮城)
94
会社の『ほ・ん・ね』発見セミナー
(岐阜)
就職活動
(笑)
(大阪)
95
プチイベントの企画(大阪)
42
周波数を合わせる
(愛媛)
95
タイプ別モデルの支援について
(愛媛)
43
黒い犬をビジュアルに使ったポスター
(千葉)
96
Staff Interview
43
個別企画の広報(愛媛)
44
日田サテライトの開設(大分)
45
JR駅構内に拠点を開設(岐阜)
41
④学校・市町村との連携
99 [解説]地域での活動定着のために
102
大学・専門学校への出前サービス、
46
若者支援施設ルートマップの作成(新潟)
47
クチコミで広がる利用者の輪(京都)
48
学生を活用したクチコミの展開(沖縄)
103
学校と段階的に関係を強化(沖縄)
48
究極のパブリシティ
(岩手)
104
高校への定期訪問による理解促進と事業普及(島根)
49
ミニジョブカフェ地域への広報展開(福井)
105
学校訪問キャラバン(福岡)
50
親向けセミナー「親のための就職コミュニケーション講座」
(山口)
105
市町村との共同開催によるジョブカフェちば出張版(千葉)
保護者向け冊子「若者の進路・職業選択のために」
(石川)
106
山口大学におけるキャリア形成支援への連携・協力(山口)
107
ジョブカフェ愛Workフェスタ2005(愛媛)
108
専門学校との連携(新潟)
109
出会いの場づくりのためのインフラ
(宮城)
110
学校との連携
51
②若者へのサービス(カウンセリング)
52
[解説]若者への対応はどうあるべきか
(カウンセリング)
やまぐち方式「ジョブ・ブランチ・インキャンパス」
(山口)
56
ちょこっとカウンセリング(長崎)
57
必勝倶楽部(千葉)
58
カウンセラーの分業制(千葉)
111
59
TV電話会議による遠隔地との情報共有(茨城)
112
59
1人でも多くの進路決定者を輩出しよう!作戦(北海道)
デリバリー型就職支援予備校・キャリア形成研修(青森)
常設ブランチを学内に設置
(山口)
高校への継続的な働きかけの中で実施した
「高校向け進路選択支援プログラム」
(島根)
C
113
O
N
高校2年生を対象にグループワーク形式の
148
提案型イベントお題フェア(沖縄)
T
E
N
T
キャリアガイダンスを実施(群馬)
149
若者と社会人が出会う
「ライブカフェ」
(沖縄)
114
フリーマーケット i n 学園祭(長崎)
150
人事担当者PRプチ合同会社説明会(大阪)
115
地域内定者向け4校合同セミナー
(岩手)
151
センパイ@カフェ
(愛媛)
115
高校生進路指導者向けセミナーの開催(長崎)
151
イブニングセミナー
(岐阜)
116
ミニジョブカフェとして多面的に展開(福井)
152 「ものづくり石川の復興」を目指して
(石川)
117
地域のコーディネーターをサテライトに配置(岩手)
153
ユニークな出会いの場「仕事探しカフェ」
(千葉)
117
離島の若者への就業支援(長崎)
154
チャレンジセミナーで若者と企業の魅力発見(岩手)
118 “フェイス・
トゥ・フェイス”
で就職支援(北海道)
155
8大人材育成プログラム(福岡)
119
JOBカフェSAKAI(大阪)
156
ファミリーマートとの連携
(岐阜)
119
北上市が設置した「ジョブカフェさくら」
(岩手)
156
地域産業界ニーズに合わせた人材育成(茨城)
120
大学コンソーシアムとの連携会議(新潟)
157
観光人材育成プログラム
120
大学コンソーシアムいしかわとの連携(石川)
⑤ 企業接点・人材育成
121 [解説]地域振興のための人材育成・確保支援
あおもりツーリズムスタッフ育成セミナー
(青森)
158
即戦力を目指す人材育成プログラム(大分)
159
若者就業体験プログラム(愛媛)
160
伝統産業支援の「匠カフェ」
(福井)
127
求人開拓とカウンセリングの融合(群馬)
160
京都の伝統文化を守ろう
(京都)
127
求人開拓員による企業と若者の橋渡し
(京都)
161
就職直結型人材育成IT・ET
(新潟)
128
広報紙「ジョブカフェ通信」で企業にアプローチ(北海道)
162
雇用直結型IT人材養成事業(岐阜)
企業向け広報誌
163
ラーニングアドバイザー
(愛媛)
163
併設ハローワークとの連携(大阪)
128
「ジョブカフェいわてから企業のみなさまへ」の発行
(岩手)
129
企業との連携への一連の取り組み(大阪)
164 「1ヵ月で就職!」
プロジェクト・脱タテワリ
(石川)
130
沖縄県若者活用宣言(沖縄)
165
キャリアアップ相談の実施(京都)
131
求職者が求める企業の開拓
(岐阜)
165
高卒未就職者支援でのプロジェクト
(青森)
131
経営者・採用担当者セミナー
166
産・学・公連携ネットワークの構築(山口)
「企業の未来を左右する若者採用術」
(大阪)
132
133
134
167
OSAKAしごと館との連携(大阪)
若者と企業のマッチング!
(群馬)
167
ジョブカフェカンパニーの組織化(新潟)
ジョブカフェサポーターズとの連携(岩手)
センパイ社会人のナマの声を聞こう!
168
仕事探しシェルパ制度(石川)
168
ジョブカフェあおもり応援隊(青森)
無料職業紹介、企業と若者の間に立ち
169
青年会議所との連携
(山口)
一貫したサービスを提供(群馬)
170
企業の声 ジョブカフェへの期待
134
無料職業紹介事業の実施(京都)
135
求職者が求める求人の開拓(茨城)
135
内定者合同研修会(山口)
172 [解説]地域で自立したジョブカフェの完成に向けて
136
業界の定例会をジョブカフェのセミナールームで
(北海道)
175
全国モデル地域センター長研修(全体)
136
社会人として働くための
176
ジョブカフェ成功事例発表祭(全体)
177
利用者満足度調査
(CS調査)
(全体)
「新規高卒就職内定者支援セミナー」
(福井)
137
ジョブトレーナーによる若年社員の職場定着支援(長崎)
138
人事・採用担当者向けキャリアカウンセリング講習会の実施
(山口)
S
⑥ ジョブカフェの運営
成功事例総括 139
企業応援ブックの作成・配布(青森)
178 [まとめ]モデル地域として若者支援を成功させるために
139
企業向け採用支援セミナーとマニュアル(千葉)
180
140
大好評!フレッシュハンドブック
(長崎)
140
内定者研修(大阪)
141
ものづくり人材を発掘・育成する
“IM−QRM診断”
(石川)
142
ジョブルートマップ作成と実証セミナー
(北海道)
184 「若者自立・挑戦プラン」
143
必勝倶楽部 成田空港関連産業編(千葉)
188
ジョブカフェモデル地域 実績データ
144
自己アピールのイベント
「天神の中心で自己を叫ぶ」
(福岡)
191
若者の就職活動に関する調査
145
若手経営者とタイアップし、
ものづくりの魅力をアピール(石川)
195
センター長アンケート
146
仕事発見カフェ in なんば(大阪)
197
キャリアカウンセラーアンケート調査
147
企業と求職者の新しいマッチング機会「トライアウト事業」
(宮城)
200
CS
(顧客満足度)調査
148
企業課題挑戦プログラム(大分)
202
全国ジョブカフェ
(所在地・連絡先)
成功への鍵を現場から学ぶ
[ 資料統計編 ]
核
地
域
をの
目若
指者
し支
て援
の
就職促進のためのワンストップセンター
経済産業省・厚生労働省の連携事
促進を狙いとする一連のサービスを
業「ジョブカフェ」は、2003年6月に
提供する「ワンストップサービスセン
策定された「若者自立挑戦プラン」の
ター」として全国46都道府県に設置さ
一環であり、若者の能力向上と就職
れている。
やりたい仕事がわからない、
自信がない ―
― 悩む若者たちが支援対象
ジョブカフェには日々多くの若者
地域状況に応じて特に支援に力を入
のノウハウを結集しているところもジ
が訪れる「何かをしなければいけない
れるべき特定対象層を明確にしてお
ョブカフェの大きなメリットといえる。
と思うけど、どうしたらいいのか…」
り、若年失業者やフリーターはもち
時代の流れや若者を取り巻く環境
「自分が何に向いているかがわからな
ろん、早期の職業意識形成を目的と
は日々変化していく。そのような変化
い」「自信がなくてとても企業にいけ
して、学生・生徒への各種サービスに
に先駆けて進化していくことができ
ない」「何度面接を受けても合格しな
も相応の比重を置いている。
なければ、ジョブカフェは若者に受け
い」
「必要な情報が手に入らない」理
入れられる機関にはなりえない。現
由は人それぞれだが、働かない、働け
民間活力の導入である。企業や社会
状行っていることを常にチェックし
ない若者たちの悩みは尽きない。そ
の実情に通じて、先進のツールやノウ
ながら、よりよい支援のあり方を模
のような若者たち一人ひとりの悩み
ハウをとり入れながら活動する民間
索していく不断の努力が求められる。
や相談に、多面的に答えることがで
企業に、ジョブカフェの運営の多くの
そのためジョブカフェでは地域によ
きるのが、ワンストップセンターであ
部分を委託している。それによって従
る自己評価、国や評価委員会による
るジョブカフェだ。
4
ジョブカフェのもうひとつの特徴が、
来にない高い就職率などの成果をあ
評価、そして何よりも利用者である若
ジョブカフェの運営は地域の自主
げることができた。地域において若者
者や企業の評価を定期的に行ってい
性を中心とする。全国一律の対策で
の支援に従事する意欲とスキルを持
る。その結果にもとづいて、サービス
はなく、地域の実情に応じた手段を、
った人材の育成も、民間企業のノウハ
のあるべき姿を見直していくところ
現地のマンパワーで実行している。
ウを通じて可能となっている。産官学
にジョブカフェの強さがある。
若者の視点で運営
されるジョブカフェ
・各地の一等地立地、若者が入りやすいオープンな施設
ファシリティ
・パソコン、情報誌、書籍、ビデオなどの情報検索ツール
・センター長・マネジメントチーム(民間、官庁、団体など)
ジョブカフェが具体的にどう運用さ
れているかについて、典型的なものを
・カウンセリング・情報収集・グループワーク対応設備
スタッフ
・カウンセラー
(民間、機構、団体、プロパー)
示したものが右表である。ジョブカフ
・コーディネーター
(企業・学校などとのコンタクト)
ェでは、若者視点でのサービス提供
・その他(事務スタッフ、システム関連、教育関連など)
が実現できる運営を目指している。
・利用者ニーズに沿った営業時間( 9 - 20時など地域差あり)
・求人情報(ハローワーク・民間・自治体などの求人情報)
・他情報(就職関連ノウハウ、職業教育関連など)
・セミナー
(キャリア構築、ノウハウ、テクニック)
サービス
・就職に直結する人材育成プログラム
・アセスメント
(各種アセスメントツール)
・カウンセリング(個人毎、グループごと)
・マッチング(ハローワーク、独自の無料職業紹介)
・出張サービス
(セミナー、カウンセリング)
ジョブカフェの
概要がわかる
7つのキーワード
ジョブカフェの基本的な活動を理解
してもらうためのキーワードとして、次
の7つをあげることができる。
①誰でも、自由に、気軽に
ら相談するうちに、自然と悩みを解消
らない。働くことの喜びが新たな自分
とにかく堅苦しくないのが、ジョブカフ
するきっかけを見つけられる。
を見つけ出す。
④イベントでその気になったら、
セミナーでスキルアップ
⑥地元企業も期待大
イベントでは同じように就職を目指す
事業を拡大したい企業と、やる気のあ
②進路、仕事に関する情報盛りだくさん
仲間との出会いもあって、もっとがん
る若者を結びつけることで、社会全体
ジョブカフェには就職や進路に関する
ばろうと思える。セミナーではスキル
も元気になる。地元企業の地域社会
情報が続々集まってくる。パソコンで
アップして、自信を持って就職に向か
もジョブカフェへの期待は大きい。
の検索、雑誌の閲覧も、もちろん求人
えるはず。
ェの最大の特徴。
「カフェ」と名付けて
いるだけあって、気軽に遊びに来る感
覚で足を運べる場所である。
情報も大盛り。
ジョブカフェは地元に密着している。
⑦学校にもジョブカフェを出前
⑤インターンシップで
新たな自分を発見
これから社会に出ようとする高校生や
気になる仕事が見つかれば、実際に
学生時代から、仕事のこと、就職のこ
カウンセラーは常に若者の味方。難し
企業で体験するのが一番。外から見
とをしっかり考えておくことで、早くか
く考えずに普段の気持ちを話しなが
えているだけでは本当の仕事はわか
ら自分のやりたい道が見えてくる。
③プロのカウンセラーが
きめ細かくアドバイス
大学生にも、全力でサポートしている。
5
ジョブカフェの目指す
「地域連携」
ジョブカフェでは若者の能力向上や
細かい就職支援活動を行う。
就職促進という成果をさらに高める
ために、広く地域をカバーするコー
ディネート活動を行っている。具体
採用活動の各種支援など、企業との
さまざまな連携を図っている。
教育機関との連携
地域の大学、高校などに対してキ
関連他機関との連携
的には、地域のさまざまな諸機関、
ャリアカウンセラー、アドバイザー
ハローワークや雇用能力開発機構
諸組織、業界などとの連携を通じて、
などの専門人材の派遣や、キャリア
などの若者支援機関、団体、若者を
若者支援に関する地域資源の活用と
教育授業への協力、合同企業説明会
支援するNPOなどとの連携により
相乗効果を図るものである。主な地
や就職活動セミナーなどの連携活動
カウンセリングや一部地域での職業
域連携のあり方には次のようなもの
を行っている。学校を通した保護者
紹介をはじめ、合同説明会、就職支
がある。
向けの働きかけも増えている。
援ガイダンスなどを行っている。
市町村との連携
市町村とタイアップしてジョブカ
産業界との連携
このようにジョブカフェは地域に
若者と企業のミスマッチを解消す
おけるさまざまな関連諸機関、諸組
ている。市町村からの施設提供や、
るため、求人ニーズの掘り起こしに
織などを連結する「ハブ」の機能を
図書館や公民館などの活用によるサ
加えて、双方の出会いの機会の提供、
果たすことで、若者へのワンストッ
テライト拠点の設置、セミナーやイ
インターンシップ事業、合同説明会、
プサービスをより魅力的で効果的な
ベント開催など、地域社会でのきめ
内定者や若手社員の研修サポート、
ものへと進化させてきている。
フェのサービスの面的展開を実現し
さまざまな成功事例の創造と共有化を目指すモデル地域
現在、46都道府県に設置されたジ
ョブカフェセンターのうち、20地域
6
大きな役割なのである。
モデル地域の取り組みを広く普及
が、
「モデル地域」として選定され、
するために、ジョブカフェ・サポート
若者の就職支援の成功事例を生み出
センターを設置し、ホームページや
しジョブカフェ全体で共有化するた
メールマガジンを活用した地域の活
めの活動を行っている。ジョブカフ
動内容や成果、事例の紹介、テーマご
ェ自体は若者支援の新しい形を模索
との地域連絡会議やベストプラクテ
する、ひとつの社会的実験という側
ィスを発表するシンポジウムの開催、
面も持つ。だからモデル地域による
各地へのコンサルティング活動など
ノウハウの蓄積や、社会への伝播は
を行っている。
モデル地域の特徴あるサービス
各モデル地域において実施されてきた特徴あるサービスのうち主なものを下表にまとめた。
モデル地域
特 徴 あ る サ ー ビ ス
北 海 道
●地方拠点とのインターネットによるカウンセリング ●高等学校生に対する学校派遣カウンセリング
●ジョブルートマップの作成と学校・図書館への配置
青 森 県
●県の重点産業分野ごとのリーダー的人材育成 ●高校、大学、専門学校等に対する講師派遣
●利用者の要望を踏まえ、学校・企業へデリバリーサービス
岩 手 県
●独自に実施した人材ニーズ調査の結果に基づく研修カリキュラム開発
(e-ラーニングなど)
●職場体験型セミナー ●地元企業による応援団
(ジョブカフェサポーターズ)
宮 城 県
●実践的な研修と合同企業説明会を組み合わせた企業と求職者の新しい出会いの場づくり
(トライアウト事業)
●深夜テレビ番組の放送と深夜カウンセリングの実施
●若者と企業との出逢いの場作り就職情報誌
(ハタラキメデス)
の発行
茨 城 県
●県内5地域
(日立、水戸、鹿行、県南、県西)
のニーズ、産業に即したサービスを展開
●求職者が求める企業の開拓 ●カリキュラム修了者に能力習得証明書を発行し、就職を促進
群 馬 県
●ジョブカフェにおける職業紹介サービス
(カウンセラーが求人開拓も行う) ●若者による若者のためのジョブカフェ
●快適なファシリティと若者による案内サービス
千 葉 県
●地元企業の担当者と若者にさまざまな形でのコミュニケーションの場を提供し、相互理解を図る仕事探しカフェ
●市町村への出張サービス ●仲間とともに就職を目指すプログラム、必勝倶楽部
新 潟 県
●商工会議所・インターンシップ推進協議会等の協力によるジョブカフェサポート企業1,000社確保の取り組み
●若者には企業の魅力発信、企業には教育研修を実施し人材育成を支援する
(ジョブカフェカンパニー) ●専門学校との連携
石 川 県
●ものづくり産業への人材供給システム
(ものづくり企業見学会、ものづくりトライアル、メーカー企業フェア)
●就職直結型事業
(社会人基礎力∼企業ガイダンスへの誘導) ●仕事探しシェルパの任命
岐 阜 県
●カウンセリングから雇用直結型研修に誘導し、人材供給・就業を図る
●ファミリーマートとの連携による若者の基礎力向上プログラム ●駅構内にジョブカフェ設置
福 井 県
●予約なしで利用できるカウンセリングサービス ●県内全域で展開するミニジョブカフェ
●学生サークルとのタイアップによる企画の立案、運営
京 都 府
●京都経営者協会と共同運営して行う無料職業紹介 ●求人開拓者が若者を同行させ企業訪問
●eラーニングの講座による人材育成プログラム
大 阪 府
●中小企業の魅力を若者が評価する事業 ●ハローワークとの連携による独自求人情報提供の実施
●ファシリティーへのこだわり・大阪しごと館との連携
島 根 県
●高校3年生を通しての進路選択を支援する「キャリアカウンセリングプログラム」の実証と普及
●プログラミング言語「Ruby」の 技術者育成講座 ●高校を担当する巡回カウンセラー
山 口 県
●ジョブブランチ・インキャンパス
(県内・外の主要大学をセンターの支所として位置づけ)
●産学公若年者就職問題検討交流会 ●YYジョブスクール
(重点4分野を中心とした人材育成事業)
愛 媛 県
●就職決定率の高い、若者と企業のニーズを汲んだ若者就業体験プログラム ●若者によるサービスの開発
●地域をまき込むイベントの実施
福 岡 県
●自動車関連産業即戦力人材育成事業 ●合同面接会で自己アピールプレゼンテーション
●県内重点産業人材を育成する8大人材育成プログラム
長 崎 県
●若者の意見を取り入れた短時間のカウンセリング、セミナー ●企業向け情報提供
(人材供給先一覧、各種教育機関一覧)
●ジョブトレーナーによる出前研修
(企業の要望に応じ出前形態で若年者研修実施)
大 分 県
●同じ相談員がマンツーマンで本人にあったカウンセリングを行う ●人材育成型企業を受け皿とした人材育成研修
●商工会議所内のサテライト設置
(企業情報の入手や企業ニーズ調査、講和への協力依頼がしやすい)
沖 縄 県
●大学での講義やサテライトの設置など大学等でのサービス ●社会人の先輩に話を聞く出前LIVE Cafe
●ジュニアナビゲーター
(現役大学生スタッフ)
の運営業務
7
若
者 の 就 職 動 向
若者を取り巻く環境の変化と、
変わらぬミスマッチ
「就職したいけど、思ったように決
まらない、求人が少ない」
こんな学生たちの嘆きもようやく
減りつつある。長期にわたる就職氷
河期の中、多くの学生が卒業後の自
分の行き場を失い、
「新卒無業」の凍
結状態に置かれてきた。しかし、この
バブル期並みの「売り手市場」に転じ
ところの景気回復で人材不足が目立
る気配も出てきた。
「大学等卒業者就
つようになり、企業の採用意欲が向
職状況調査」
(2006年2月1日現在)の
上している。
結果をみると、グラフに示したように、
特定の色に染まっていない「新卒」
は魅力的というわけで、今後は再び
大学 の 06年3月卒の就職内定率は
85.8%となり、前年同期(82.6%)を
3.2ポイント上回っている。なお、高
卒新卒者の就職内定率も、同年3月卒
は85.3%(同年1月31日現在)
と前年
同期3.7%増となり、近年着実な改善
をみせている。
しかし「頭数を揃えることが第一」
のバブル時期とは違い、企業の採用
基準は高いまま。採用に妥協はしな
いという姿勢がみられる。就職口が
増えたからといって、就職が簡単に
なったわけではない。せっかく入っ
た会社を早期に辞めてしまう若者も
多く、まだまだミスマッチ現象は続く
と思われる。
出所:厚生労働省「大学等卒業者就職状況調査」
若者の失業率は依然として高い水準
全体の完全失業率の倍という高い
数字で推移する若年失業率。
「若いく
(%)
12
せにブラブラして」という視線に対
して、
「でも自分たちだって働きたい
10
と思っているんだ」というジレンマ
を抱える若年失業者たち。
8
労働市場全体でみれば、2005年12
月から、求人数が求職者数を上回る
状態が続いている。
グラフにみるように、若年層の失
業率は2005年時点で8%を越える水
準である。新卒採用には明るい兆し
があるけれど、新卒でもない無職の
6
4
2
0
若者たちがトンネルを抜けるのはま
だまだ先になりそうだ。
8
出所:総務省「労働力調査」
正社員からフリーターへの一方通行化
仕事で一人前になるのはとても大
低下し続けている。
変なこと。ほとんどの若者は会社に
こうして、正社員の若者が減る一方
入って、この真実に愕然とする。
「リ
で、非正規従業員の若者がどんどん
増える。正社員への逆の流入は少な
く、フリーターばかりが一方的に増え
続けてきた。
アリティ・ショック」である。乗り越
えた先に仕事の面白さがあるのだが、
大卒の3割、高卒の5割は3年ともたず
に退社してしまう。
そうして早期退職した若者が、パー
ト・アルバイトなどの非正規従業員に
なってしまいがちなことが問題だ。グ
ラフでわかるように、
「正規→非正規」
の線は上昇を続けている。
パート・アルバイトも立派な仕事で
ある。しかし現状では、正社員ほど成
長の機会は与えられない。かといっ
て、パート・アルバイトから正社員に
なるのは難しくなりつつある。グラ
フの「非正規→正規」は、ゆるやかに
出所:厚生労働省 2005年版 労働経済の分析
200万人を超えたフリーター人口
(万人)
厳しい低価格競争で利益を確保す
る手っ取り早い手段は、コストダウ
ン。企業は正社員から、人件費の安
250
い派遣社員やパート・アルバイトなど
の非正規従業員への切り替えを進め
200
てきた。グローバルな競争にも巻き
150
込まれている今、この労働力シフトの
流れを変えるのは難しい。そして、中
100
高年層に比べて経験もスキルもない
50
若者がこの影響を強く受けている。
このため、15−34歳の失業者に、
0
パート・アルバイト従事者、およびニ
(注)
フリーターの定義:若年のパート・アルバイトおよびその希望者は、15∼34歳で、男性は卒業者、女性は卒業で未婚の者
のうち以下の者を集計している。①雇用者のうち「パート・アルバイト」の者 ②完全失業者のうち探している仕事の形態が
「パート・アルバイト」の者 ③非労働力人口のうち希望する仕事の形態が「パート・アルバイト」で、家事も通学も就業内定も
(∼97年)
総務省統計局「就業構造基本調査」を労働省政策調査部で特別集計,(02年)総務省統計局「労働力調査」
していない「その他」の者 出所:
ート層のうち働く意欲のある若者を
加えた、いわゆる「フリーター層」は
1982年の4倍となっている。
所得格差の拡大
年収300万円時代と言うが、実は、
フリーターはもっと厳しい。
正社員の平均年収は、400万円弱
いろいろ買いたくても、そもそも先立
つものがない低所得者層が拡大すれ
ば、経済は活性化しない。
「格差社会」
であるのに対し、パート・アルバイ
の進展は日本経済に暗雲をもたらし
トのそれは、100万円強に過ぎない。
ている。問題解決の鍵となる若者の
これでは親元からの自立も、結婚も
就職動向の好転に向けてジョブカフェ
難しい。
への期待は大きい。
出所:UFJ研究所「フリーター人口の長期予測」
(2004年3月)
9
座 談
会
産業人材政策担当参事官
ジョブカフェ・サポートセンター代表
守本憲弘 × 伊野卓也 × 原 正紀
産業人材政策担当参事官室技官
経 済
産業省
ショブカフェを語る
雇用・産業・教育分野の
連携へ積極的な情報発信を
2004年度に始まってから2年が経過したジョブカフェ事業。
経済産業省の守本氏と伊野氏、ジョブカフェ・サポートセンターの原氏が、ジョブカフェ
のこれまでの実績や今後の方向性について、熱く語った。
守本・伊野両氏は、企業向けサービスの質と量を高めるなど、地域の実情に応じたサービ
スの展開が求められるとした上で、雇用・産業・教育の3分野を連携させる“ジョブカフ
ェネットワーク”を構築していくためには、まずジョブカフェが外に踏み出して積極的に
情報発信を行っていくことが重要だとした。
成果を上げてきた
ジョブカフェ事業
10
支援が大きなテーマになってきまし
かけになったことに意義がありまし
た。そこで、政府や関係機関が協力し
た。
て、若者が挑戦し、活躍できる社会を
原
つくることを目的に2003年度に「若
れていますね。
各地でさまざまな取り組みがさ
原 本日はよろしくお願いします。そ
者自立・挑戦戦略会議」が立ち上が
伊野
れでは早速、ジョブカフェが始まった
り、その中でジョブカフェ事業がスタ
実情に合わせたサービスを行っていま
経緯からお話しいただけますか。
ートしました。これを契機に、若者の
す。これまでは全国一律だったもの
守本
十数年前と比べると、フリー
就職支援をしっかりやろうという機運
が、民間企業などのノウハウをとり入
ターが約100万人も増加し、2倍に膨
が出てきたと思います。また、各地域
れたりすることで、地域独自のニーズ
れました。社会的課題としてクローズ
でジョブカフェを若者支援のツールと
に合ったサービスを展開できるように
アップされるようになり、若者の就職
して位置づけ、支援を展開するきっ
なっているのではないかと思っていま
各ジョブカフェでは、地域の
す。
は、そういった悩みに関して相談でき
私がジョブカフェに行くとまず感じる
る施設がありませんでした。その中
のは、役所らしくなく、若者が利用し
で、ジョブカフェのカウンセラーが相
やすい工夫を凝らした施設だというこ
談相手になり、キャリアに関する専門
とです。入りやすい雰囲気をつくるこ
知識を生かしたアドバイス・カウンセ
とへの配慮がされていて、例えば受付
リングを行っていることが、若者の心
には若いスタッフを配置して気軽に相
をつかんだのではないかと思っていま
談しやすくするとか、また、インテリ
す。
アにも若者が興味を持ち入ってみた
原 「何をしたらいいのだろうか?」
くなるように気を配っていることが感
ということに関するマニュアルはない
じられます。
ので、マンツーマンで対応していくこ
原
とが大事になりますね。
全体的に見て、ジョブカフェの
守本憲弘氏
成果が出ているとお考えですか?
守本
いわゆる普通の雇用政策とし
てはハローワークがありますが、これ
見えてきたジョブカフェの役割
ーズはもっと大きい。若者のモチベー
は就職したいという人へ必要な情報
提供をする「待ち」の行政サービスで
原
各地からさまざまな期待や注文
ションを上げるのは、本来なら教育が
す。そうではなくて、もっと積極的に
などが寄せられてきていることと思い
担うべき部分だと思うのですが、そこ
若者を集め、やる気と自信をつけさ
ますが、今後の展開についてはどうお
から外れた人の対応を、現在はジョ
せて企業に送る機能が必要だという
考えですか?
ブカフェが行っているわけです。しか
ことで、ジョブカフェができました。
伊野 2007年以降団塊世代が定年に
し、本当に大切なのは、ジョブカフェ
その主旨からすると、成果をあげてき
達し、技能継承の問題などが心配さ
の経験を教育界にフィードバックして
たと思います。2005年度での就職率
れるモノづくりの分野では、若者の採
いくことだと思います。
は4割を超えていることからも、その
用を増やしたいという希望があります
フリーターになった経緯には、就職プ
ことは明らかだと思います。
が、どうやったら若者をうまく採用で
ロセス、入社してから合わないなどと
伊野
きるのかということに関し、ジョブカ
いった学生自身の問題もありますが、
国で214万人から201万人へとはじめ
フェに対する期待が高まっています。
入社することで何を得られるのかとい
て減少しており、ジョブカフェが1つ
3年目の今年は、若者就職支援のモデ
ったことや、経営者の情熱を伝えて
のきっかけにはなったのではないかと
ルを完成させる節目の年になります
きたのかということに関して、企業側
考えています。当初の目的−フリー
が、地域に根付いた取り組みにして
の問題も大きいと思います。こういう
ターをいかに減らすか、若者の就職に
いきたいと思っています。ハローワー
問題意識を産業界に伝えていくこと
つなげるか−に対しては、効果が出て
ク、学校、地元の産業界とのネットワ
も、大きな任務だと考えています。
いると思います。
ークができてきたので、今後は、カウ
原
ンセリングセンターとしてだけではな
05年度にはフリーター数が全
利用者の満足度についてはいか
今後の事業展開と
成功のポイント
がでしょうか?
く、地域の実情に応じたサービスを、
伊野 04年度、05年度に若者へ満足
より一層展開できるようになっていっ
度調査を実施しました。サービスの中
てほしいと思います。
心であるカウンセリングについては、
原
100点満点中、平均すると80点の満足
ようですが、今後の課題について何か
ついてお聞かせください。
度でした。これは、サービスの満足度
ありますか?
守本 今後は、自治体の雇用、産業、
が高いとされる、美容院の78点、ホ
伊野
若者を就職させることを考え
教育の3つの分野を連携させ、ジョブ
テルの76点と比べても、評価されて
ると、どう企業を巻き込むかが課題
カフェネットワークというようなもの
いると思います。
です。若者向けセンターとしてだけで
を構築していくことを考えています。
また、就職に迷っていた若者の約5割
はなく、企業向けのセンターとしても
そのステップとして、単に若者と中小
を就職したいという気持ちに変え、就
機能していくことがポイントになると
企業とのコネクションというだけでは
職意欲を高めています。価値観、情
思います。
なく、うまく若者を使っていくノウハ
報、選択肢が多様化する中で、自分
守本
これは関係者全員が感じてい
ウ−チャレンジを求めている若い人に
が何をしていいのか、どうしていいの
ることだと思いますが、ジョブカフェ
応えるにはどうすればいいのか−とい
かわからなくなっている若者が多くな
が携わっているのは、問題のごく一部
ったようなことを企業に伝えていく役
っているにもかかわらず、これまで
に過ぎないということです。社会のニ
割があります。これに関しては始まっ
現在までは満足がいく点も多い
原
今後のジョブカフェの方向性に
11
伊野卓也氏
なくて商工や教育部門が一体となり、
方、人材マネジメントの方法を模索
県庁をあげて、若者や中小企業を支
しています。そして、社会自体もあり
援する動きが始まっています。組織自
方を模索している。そんな中だからこ
体を変え、地域の今までの人材支援
そ、ジョブカフェの意義は大きくて、
のあり方を改革するという意気込み
変わりつつある社会をどうしていくか
のある地域も出始めています。
ということに関してインパクトを与え
守本 今まで誰もやってこなかったこ
ることができると思います。ジョブカ
となので、皆が手探り状態で進めて
フェは、地域を変えられる、インパク
います。それだけに、全国のジョブカ
トを与えることができる時期・位置
フェをつなぐネットワークがあって、
にあるので、このきっかけを上手く利
成功、失敗例の情報共有ができる意
用していきたいと思います。
義はとても大きいので、今後とも維持
原
していかなくてはいけないと思いま
みが見えてきた今が、変えるチャンス
す。
だということですね。
たばかりで、率直に言うと、企業から
守本 「変える」と中央で言っても、
のジョブカフェの評価はまだまだ低い
ので、企業向けサービスの質・量と
スローガン的にならないで、現場レベ
ジョブカフェへのメッセージ
もに高めていくのが今後のジョブカフ
ルできめ細かく対応していくことが、
その地域のモデルになるのではと考え
ェ事業の課題です。
原 それでは最後に、ジョブカフェや
ています。
また、教育部門に対し、産業界の問
関係者へのメッセージなどをお願いし
原
題意識や技術を伝えていこうと思っ
ます。
ことのできる人が多ければいいのです
ています。ジョブカフェのノウハウを
伊野
提供していく中で、地域ごとにこうい
すが、自分を見つめ直す貴重な機会
があります。
うことができるということが積み上が
だと思います。自分が小さかった時に
守本
り、ジョブカフェの役割が膨らんでい
興味があったこと、その頃の夢といっ
はいけないところです。現在は、自治
くのではと考えています。
たようなことを、人生の中でこんなに
体がジョブカフェ事業を実際に行い、
原
何が連携を成功させるポイント
就職活動は苦しいとは思いま
現場に居ながら全体視野を持つ
が、どうしても蛸壺化してしまうこと
それは我々も気をつけなくて
思い返すチャンスはそうありませんか
国がその現場の情報を吸い上げて全
になるとお考えですか?
ら。カウンセラーをはじめとした若者
体を見て方針を伝えていくという双
守本
先日行われた「ジョブカフェ
と向かいあっている人には、若者が自
方向の仕組みになっているので、これ
ホット!ミーティング」で、南海放送
己を見つめ、社会に向けて一歩踏み
を大事にしていきたいと思っていま
のやのさんがおっしゃった言葉です
出すために引き続き温かく見守って
す。
が、
「動けば変わる」です。ジョブカフ
あげてほしいと思います。
原 マクロとミクロのレベルで変化が
ェの中で閉じこもっていてはだめで、
守本
ポストバブル以降、小泉内閣
起き、その両方がシンクロすると大き
外に出て積極的に問題意識を伝える
による改革などを経て、企業行動、ひ
な効果が出ますよね。どうもありがと
ことが重要だと思います。
いては社会全体の仕組みが大きく変
うございました。
原
わりつつあります。企業も、そのあり
同感です。どんな大きな動きで
も、始まりは小さな一点からですから
ね。現状ではいかがでしょうか?
守本 ジョブカフェに携わっている人
たちは、就職したい人、若い人と接す
ることは多いのですが、企業と接する
立場の人があまりいません。また、自
治体の担当も、産業部局ではなくて
雇用部局です。自分の視野の中にと
どまりがちなのですが、この壁を取り
払って広い目で見てほしい。そこに踏
み出しかかっているのが今の状況だと
思います。
伊野
地域によっては、例えば石川
県や青森県では、雇用部門だけでは
12
今までの世の中の仕組みのひず
J
B Café 応援団
※掲載は氏名の五十音順
夢をもって前進してほしい ──── 全日本空輸株式会社 代表取締役会長 大橋 洋治 さん
日本経団連の雇用委員会でもフリーターやニートの増加に歯止めをかける機関がほしいと議論に
なりました。だからジョブカフェは大歓迎です。若い人は国の力です。フリーターが悪いとは言いま
せんが、技術立国である日本としては、もっとスキルアップできるような働き方を望みたい。ニート
の若者にも、それぞれ事情はあるでしょう。ただし、安易な道を選ぶ傾向は気になります。世の中の
仕組みが安易な選択を助長しているところもあるかもしれませんが、若い人たちが、夢を持って前に
進めるような状況になることを望みます。企業もそうですが夢を持って前に進む集団は、必ず成功すると思います。も
うひとつ若い人に伝えたいのは、悩みぬいてわからないとこは、人に聞きなさい、ということです。一人ですべてをや
ることはできません。ジョブカフェを含め、手助けしてくれる周りの人の存在を忘れないでほしい。そして、ジョブカ
フェを支えるスタッフの方々には、ジョブカフェに来る若い人に、前向きに夢を持たせてあげてほしい。その人の立場
になって話をじっくり聞くことが大切です。私たちANAは、人の気持ちがわかる会社を目指しています。ぜひジョブカ
フェもそうあってほしいと思います。
生きがいは仕事に救いを与える ────────── 愛媛県知事 加戸 守行 さん
古い世代の私から見れば、今の若い人たちに甘えの構造を感じます。その解決のためには、人為的
にある種の逆境をつくり出すことも必要だと思います。例えば、規律や仕事のできに厳しい職場で
インターンシップを行うとか。また、厳しく指導する人も必要でしょう。ジョブカフェは就職したい
という気持ちを持つ若者と、事業に必要な人材を求める企業との間をとりもつ、有意義な場所です。
多くの若者に、できるだけ希望に添った職場を見つける、という調整機能を持ったジョブカフェによ
り、就職しても我慢できずにすぐに辞めてしまう若者が減るのではないかと期待しています。若い人たちには、生きが
いというと大げさですが、自分の人生において、自分自身で納得できる、生きていく意味を持ってほしい。他人がどう
思おうと関係ありません。仕事とは厳しいものです。誰にも大なり小なり不満はあります。与えられた仕事が、必ずし
もやりたいこととは限らないでしょう。そんな中で、仕事を続けていくための救いとなるものが、生きがいだと思いま
す。ジョブカフェのスタッフは、縁談の仲人のようなもの。若者の立場になって、職を求めるとしたらどうするか、そ
のような親身な気持ちで接してください。
まずは行動しよう ───────── NPO法人「育て上げ」ネット理事長 工藤 啓 さん
自分で道を切り開くことが難しい若者は、働くことを「とてつもなく大変なこと」と考えているよ
うです。何のために働くのか自分の答えが見出せていない。一方ニートの中には「働かざるもの食う
べからず」ということを言う人もいます。そんな人は働くなら、正社員で、安定した会社でと、逆に
働く条件を高くしてしまう傾向があります。親世代の影響が強すぎるようです。ある意味とてもまじ
めな人たちなのでしょう。だから考えすぎてしまう。漠然とした不安を持ち続けるようです。もちろ
ん無気力ゆえニートになる人もいますが・・・。考えすぎてしまう人には「何でもいいから働いてみるほうが楽ですよ」と
言ってあげたい。アルバイトでも、ボランティアでも。すぐに働けない人はジョブカフェに行くだけでもいいのです。と
にかく外の世界と接してほしい。行動することで認知は変わります。カウンセリングではこちらの意見を押し付けない
ことがよいとされますが、若者支援では「やれ!」と強く背中を押すことも必要です。カツを入れてもらいたがっている
人も多いですよ。また、親向けにももっと活動することも必要です。なぜならば最も若者を支援しなければならないの
は、その家庭なのですから。
13
Supporters
ゆるやかに若者とつながってほしい ── 東京大学社会科学研究所助教授 玄田 有史 さん
若者を支援しているNPOの方々とよく会います。いい意味での「おせっかいさ」が好きです。何
でこんなにおせっかいなのだろうと思うくらいです。でも世の中おせっかいな大人が足りなくなって
いる気がします。ジョブカフェのみなさんは、若者の甘えやずるさに直面しながらも、それをかわす
ことなく解決する努力をしていますね。カウンセリングや教育というのは、ある意味で「うまく乗せ
る、上手にだます」という世界ではないでしょうか。だからできるだけ明るく、楽しくやってほしい
と思います。ウィーク・タイズ(ゆるやかな関係)これが大事だと思います。相談者の若者とは、一生に一度会うか会
わないかわからないような、そんな関係ですよね。強い人間関係・仲間ばかりを求めがちですが、ゆるやかなつながり
こそ必要なのです。世の中の人たちとゆるやかにつながっているんだ、という思いを若者たちに持たせたい。お堅いネ
ーミングや雰囲気では若者は来ません。従来にない新しいもの、えもいえない不思議な場所、だけど明るくていい雰囲
気なので行ってみたい。行って話してみたい。そんなジョブカフェをつくりあげてください。
若者が来やすいジョブカフェ ──── 立教大学コオプ・コーディネーター
小島 貴子 さん
若者には、狭い世界に閉じこもっていては、少ない選択肢しか得られない。多くの人と話をするこ
とが大事で、そのきっかけとしてジョブカフェを利用しなさい、と言っています。難しく考えずに、
まずは行ってみて、本を読んだり、インターネットを見るだけでもいいのです。とにかく足を運んで
ほしい。それをきっかけに次の展開が開けるかもしれません。若者からは、雑談ができればいいので、
とにかく集まる場がほしいという意見を多く聞きます。私が書いた「わが子をニートから救う本」の
巻末で全国のジョブカフェを紹介しています。それを読んで、まずは足を運んでくれたら嬉しいですね。"ワンストップ
"でなく"ワンステップ"、つまり世界を広げる第一歩ですね。ジョブカフェの皆さんもいろいろな企画に知恵を絞ってい
ると思いますが、重要なのは、若者が気楽に足を運べる空間をつくることです。来やすさが一番ですね。若者たちの声
を、積極的に聞いてほしい。若者にジョブカフェ応援団になってもらうのが一番かもしれません。何が嬉しいのか、ど
うすれば来たくなるのか、若者が求めるものに合ってなければ、宣伝をしても集まりません。若者が来やすいジョブカ
フェをつくりあげてください。
将来を決めつけずに行動しよう
── メリルリンチ日本証券株式会社代表取締役社長 小林 いずみ さん
私は自分の経験から、一人ひとりの人間の将来は、想像できるほど単純なものではないというこ
とを学びました。誰でも想像もつかないほど大きな可能性を持っています。まして若い人はなおさら
ですね。ですから、自分の将来を決めつけるべきではありません。私自身、現在の自分は、まったく
想像もしていなかったものです。もし早い段階で将来を決めつけていたら、今の私は存在しなかった
でしょう。今の若い人たちは私たちの頃よりも真面目だと思います。やりたいことを見つけるために真剣に悩んでいる
のでしょうね。でも、行動することで見えることもあります。世の職業はとても多いのです。新しい仕事もどんどん増
えていきます。続けていけば、やがてやりたいことが見えてくるでしょう。今やっていることをどれだけ面白くできる
か、その工夫の連続が大事です。まずはやってみてください。人間関係の難しさで働くことを挫折する人も多いようで
す。でも、複雑な人間関係はどこにでもありますから、逃げてはだめです。もちろん限界まで無理する必要はありませ
んが、あるがままの自分を受け入れてくれる人は必ずいます。誰にでも、いいところが必ずあります。自分を信じて行
動し続けてください。
14
J
B Café 応援団
若者・企業 2つの接点としてのジョブカフェ
── 東京大学社会科学研究所教授 佐藤 博樹 さん
若い人たちが目標を持って仕事につける仕組みが、今必要とされています。しかしそのためにこう
やったらいいという道筋はありません。ジョブカフェで働く皆さんの創意工夫でつくりあげなければ
ならないものです。各地域において、地元の労働市場にあったサービスを提供していけるかが鍵です
ね。そして皆さんがつくりあげる仕組みをモデルとして、他の地域にも広げ、イノベーションを起こ
してほしい。ジョブカフェが、今までにない新しいサービス拠点として、どれだけ若い人や地域のニーズに即した活動
ができるか、とても注目しています。 若者には多様性があります。一方で世の中はステレオタイプに見がちな傾向が
あります。受け入れ側の企業もそうなりがちです。だからジョブカフェには若者への接点と企業への接点という、2面
があります。若者に企業や仕事を理解してもらうと同時に、企業に若者を理解してもらうことが大事な役割です。若者
は自分のことをしっかりと語れるように、企業はそれをしっかりと聞けるように変えていくことです。コミュニケーシ
ョンの仲立ちとしてのジョブカフェは、雇用形態が多様化している最近の労働環境において、とても重要な役割を担っ
ているのです。
ジョブカフェに期待する役割──────── 企業活力研究所理事長 土居 征夫 さん
社会の変化が大きく、閉塞感がある今の時代の若者たちは大変だと思います。これからが面白い
時代になるのでしょうが、まだそれが見えてこない。日本自体が踊り場にあるのせいなのか、社会の
中での個人の位置付けがわかりづらい状況ですね。でもそれを言っても仕方がない。その状況の中で
頑張って、働く喜び、生きる喜びを見出す人たちが出てきていると思います。若い人には、いまは苦
しくとも、人生は素晴らしいものなんだと言ってあげたい。君たちがやるべきことはたくさんある。
社会から求められてもいる。それに出会ってないだけなんだ。苦しくても1日1日まじめに、前向きに生きていれば、
必ずいいことがある。就職に失敗すると大きな打撃を受けるだろうが、心を強く持って頑張ってほしい。ジョブカフェ
は今の日本で最も期待されている仕事のひとつだと思います。担い手は決して多くないし、プレッシャーもあるでしょ
うが、歴史的に見ても重要な役割だと思うので、大変でしょうが頑張ってください。企業の世界でも変えていけるのは
現場。若者問題も頼りは現場の担い手です。企業、学校、地域社会の橋渡し役として、いろいろな組織との連携を図り
ながら、若者との接点を活性化させてください。
人と接するマナーを身につけよう ───── WitH Ltd.
日本支社代表 西出 博子 さん
マナー研修などで学生と接すると、意識の高さがわかります。でもメールなどのやりとりでは、自
分本位な文章を送ってくることが多くあります。気づかないうちに、礼を失している、そんな時は必
ず悪い点を指摘しています。年長者に対する敬愛の念が欠けてきています。その責任は若者を、変に
甘やかしてきた大人にあります。それに若者も企業に入ると上司や先輩から指摘されて、とても困
ることになります。若者のことを思うならば、厳しく伝えるべきです。フリーター向けのセミナーで、
社会に出たときのため、愛情ある辛口で伝えていきます。それを素直に受け入れてほしいと思います。誰もがもつ、自
分の中のいい物を磨いてほしい。社会に押しつぶされないように、自分の軸を身につけてほしい。そしてどのように生
きていくか考えてほしい。前に進むかぎり、いつかはプラスの状態になるものです。誰もが生きていくうえで、人と接
しなければなりません。だからこそ自分を表現するべきです。自分はダメな人間じゃないということを表現してほしい。
それがマナー、表情、態度、言葉遣い、挨拶といったものです。それらはとても大事なことです。どんな苦しいことが
あっても、笑顔で切り返していきましょう。
15
Supporters
固定観念を捨てて広がりのある世界観をもとう
── 日本能率協会マネジメントセンター 月刊『人材教育』編集長 根本 英明 さん
すごく主観的な意見ですが、これが正しい、こうでなければいけないなんていうことはありませ
ん。30歳まではいろいろ経験してもいいのではないでしょうか。会社に入っていればできないことも
あります。私は一時期勤めていた会社を辞めて、アジア各国を何ヵ月もかけてまわりましたが、知ら
ない人と交わったことがいい経験になっています。大事なことは前向きに行動し続けること。内容は
自分で決めてもいいのです。若者の情報の範囲が限定されている気がします。見えていること、かっこいいと思うこと
しか解らないのではないでしょうか。仕事をやることで見えてくるものが多い。私も結局やらされた仕事での気づきや、
そこでの出会いが役に立っています。振り返ると、自分で壁をつくらずに、まず動いてみることで、新たな世界が広が
ったのです。いやだと思ってもやってみるといい出会いがありました。広がりのない狭い考え方は改めるべきです。学
生時代は会社に入ったら勉強は終わりかと思っていましたが、会社に入ってからがむしろ勉強だと感じています。仕事
を通じて人は成長します。学生時代は本を読み授業に出ることが勉強だと思っていましたが、学びは机の上でなく、体
験や仕事を通じて行うものですね。
再チャレンジできる仕組みと風土の創設
── 株式会社フルキャスト
代表取締役社長 平野 岳史 さん
よく議論される「今どきの若い者は」は、いつの時代でも言われることです。大人と若者の間にギ
ャップが出るのは当然のことで、世相を反映しているだけですから、そのギャップが問題とは思いま
せん。若い人と接していると、優等生タイプというか、真面目で優しい人が増えている気がします。
反面ダイナミックで大きな可能性を秘めたような、未完の大器的な人が少ないのはさびしいですね。
もっと大志を抱いてほしいものです。よく格差社会と言われますが、問題は収入の格差ではなく、考え方の格差ではな
いでしょうか。大きい上昇志向を持った人も一割くらいはいると思いますが、それに準ずる層が減ってきて、狭い世界
で少数の仲間とだけコミュニティをつくるような人が増えています。そういう格差の中で、もっと若者がコミュニティ
間を移動できて、そして夢が持てる仕組みが必要でしょう。とにかく大切なのは自立です。それは自分で考え行動し、
問題を見つけて解決し、欲を持って自分の人生をデザインすることです。そして、たとえ卒業時に出遅れても再チャレ
ンジできる仕組みや風土を整えることも必要です。フルキャストとしても取り組んでいきたいと思っています。
地域の個性を活かした目標を掲げよう
── 社会ネットワーク研究所所長・東京大学特任助教授 安田 雪 さん
私は時々、各地のジョブカフェを訪れます。どこのジョブカフェでも、部屋に入った瞬間に、
「あ、
若者に本気でかかわろうとしている」という、工夫や活力を実感します。ジョブカフェは、全国にあ
るので、置かれている条件は異なります。都市型と地方型に分けられるかもしれません。若者を自立
させ、仕事に挑戦できる人材にするための課題も、都市型ジョブカフェと地方型ジョブカフェでは異
なると思います。それぞれの地域が持つ特性を活かしたうえで、若者と仕事を結ぶために必要なものを、つきとめてく
ださい。そしてそれを言葉にし、社会に対し語りかけてください。若いかたにもお願いがあります。はっきりと、自分
の要望を声にしてジョブカフェのスタッフにぶつけてください。彼らは必ず耳を傾け、一緒に考えてくれるはずです。
各地域の個性を大切にしながら、それぞれのジョブカフェ一が、仕事を探す若者の声を汲み上げ、スタッフのかたがた、
学校、企業、職業安定所などと連携しつつ、それぞれ独自の目標を作り上げ、その達成にむけて頑張っていっていただ
きたいと思います。
16
解 説
ジョブカフェの活動、その成功ポイント
ジョブカフェの活動、その成功ポイント
|取|り|組|み|事|例|の|共|有|化|の|
ログラム、各種セミナーの開催を随時行い、求人や企
|プ|ロ|セ|ス|か|ら|見|え|て|き|た|
業情報の提供に関しても地域の特性を活かしてベスト
|成|功|の|ポ|イ|ン|ト|
なマッチングを目指している。
ジョブカフェは開設以来、各地域の実情に即した若
就職支援を効率化するITの活用にも取り組むと同時
者の就職支援のため、さまざまな工夫と試行錯誤を重
に、民間企業やNPOが持つ数多のノウハウを柔軟にと
ねてきた。中でもモデル地域として指定を受けたジョ
り入れてサービスを進化させてきている。現場のスタ
ブカフェでは、連絡会議やメーリングリストの開設、
ッフは、一人でも多くの若者に就職してもらい、働く
「ジョブカフェホット!ミーティング」といったイベン
トの開催などにより、優れた事例を共有し合いながら
喜びを味わってもらえるよう、さらに質の高いサービ
スを提供すべく日々研鑽と努力を重ねている。
進化してきた。
今回の事例集では、こうしたモデル地域の取り組み
●外への機能――地域の資源の連結
事例の共有化プロセスを通じて見えてきた「若者就職
ジョブカフェは、こうした若者に対する直接的な活
支援の成功のポイント」を抽出し、わかりやすい形で
動だけにはとどまらない。第2の活動としては地域の
紹介していきたい。
資源を連結して、より広範囲に就職支援を行う体制を
この事例集であげる成功ポイントの抽出は、各地か
つくる「外への機能」があげられる。広範囲に散在する
ら日々寄せられた情報や、定期的に行われる成功事例
若者を一人でも多く支援するために、各地への拠点展
発表会などでの報告、各地に行って実際に見学したり
開や出張サービスを進めている。こうしたジョブカフ
ヒアリングした内容などから、考え得る成功ポイント
ェの活動を地域全体に広げていくためには、外部の諸
を列挙して、その中で重要と思われるポイントのみに
組織・諸機関との連携の強化を図る必要がある。地域
絞ったものである。よってまさにモデル地域の英知の
に根ざし、若者との接点も大きい学校や市町村などの
結集といえる。
「地域の資源」を活用することで、センター単体ではリ
|内|な|る|機|能|と|外|へ|の|機|能|
「企業を変える・地域を変える」
地域のコーディネーター、連携のジョイントとしての活動
=外への機能
ジョブカフェの事業概要の項においても簡単に触れ
たが、各地域において行なってきた活動は、大きく2つ
若者
に区分できる。
若者
JOB CAFE
●内なる機能――就職支援のワンストップセンター
ジョブカフェの第1の活動は若者の就職支援に関す
る一連のサービスを提供する“ワンストップセンター”
としての「内なる機能」である。効果の高い積極的な
広報活動で若者をセンターに集め、若者視線で設計し
た快適な空間をつくって出迎えた。そして、若者一人
ひとりで異なる資質や性格、環境を踏まえつつ、個別
のカウンセリングに始まり、グループワーク、研修プ
18
企
業
学
校
「若者のベストチョイス」
民間企業、
NPO、
業界団体
経済団体など
就職支援のワンストップセンターとしての活動
=内なる機能
人間関係
支援機関
ハローワーク、
雇用対策など
小学、中学、
高校、大学、
短大、高専、
専門など
地域社会
若者を取り巻く
市町村、公的施設、 家族、友人など
地域コミュニティ団体など
ジョブカフェの活動、その成功ポイント
解 説
ーチできないエリアや若者たちへの支援が可能となる。
おいて、地域のさまざまな組織、機関をとりまとめる
若者のゴールにあたる「就職決定」のもう一方の当事
連携のコーディネーターとしての活動にも力を入れて
者である企業に対しても、若者との出会いの機会と併
きており、一定の成果をあげつつある。
せて、採用意欲の喚起や採用ノウハウの提供などを行
っている。それにより若者が就職する能力を高めても、
|ジ|ョ|ブ|カ|フ|ェ|の|
そもそも求人がない、魅力のある企業がないといった
|活|動|分|野|別|
出口におけるボトルネック解消を図ってきた。
|成|功|ポ|イ|ン|ト|
企業との接点については、強いネットワークをもつ
ジョブカフェの内なる機能、外への機能、それぞれ
ハローワークなどの支援機関、地域における雇用政策
の主な活動分野別に成功ポイントをあげると、以下の
とタイアップを図り一体的な取り組みを行える体制づ
表のようになる。
くりを進めてきた。ジョブカフェは、若者就職支援に
若者視点に立つこと
広報活動
内
な
る
機
能
対象となる若者の興味・関心を喚起する広報施策が有効
ること
である
クチコミなどの波及効果を生み出すこと
信頼できる情報源として、若者の横のつながりを活かす
初回訪問時の対応を工夫すること
カウンセラーのレベルアップを図ること
各種サービス
ス提供が可能
スーパーバイジング、各種研修、企業との交流など多面
的なレベルアップ策を行う
連のサービスを提供する
サービスの企画・運営に若者を活用するこ
同年代の気持ちがわかる若者の関与が、魅力あるサービ
と
スの実現に効果を発揮する
サービスの絶え間ない改善を図ること
現場の判断に任せ、迅速なサービス改善を継続する
信頼関係をつくること
連携相手のニーズに合わせること
地域振興マインドを持つこと
企業との密なコンタクトをとること
企業へのメリットを提供すること
企業・支援機関
との連携
適切なサービスへの誘導により効果的・効率的なサービ
地域の各種資源を把握、活用して、就職までに必要な一
外部との連携を強化すること
外
へ
の
機
能
況に応じた個別対応を実現
すること
組織運営
との連携
象徴的ケースをカウンセラーで共有しつつ、相談者の状
就職へ向けたワンストップの利便性を提供
組織のマネジメントを向上させること
学校・市町村
である
対象とする若者に応じた広報戦略を採用す
ケース別でのきめ細かな対応を行うこと
カウンセリング
若者の興味・関心の理解が効果的な広報施策立案に重要
マッチングの機会を提供すること
スタッフの採用、動機づけ、育成、コミュニケーションな
ど組織マネジメントの質を高める
地域資源活用のため、ネットワーク組織化などで外部と
の連携・調整を行う
関係諸機関のキーパーソンの発見と対人的、継続的なア
プローチが効果的
連携先のニーズに対する真摯な対応が信頼関係強化に貢
献
関係諸機関を巻き込んだ地域ぐるみの水平展開のために
地域振興の視点を持つ
企業担当者の任命や定期的な企業訪問による信頼関係構
築
採用支援∼人材育成、定着支援までさまざまなメリット
を提供する
若者採用のチャンスの提供が企業の採用意欲、採用行動
を喚起
地域に必要な人材の育成プログラムを提供
伝統産業や重点産業など地域特性に合致した施策展開が
すること
有効
他の支援機関や団体、政策との連携を図る
ハローワークや経済団体などとの連携が地域の企業との
こと
パイプづくりに効率的
19
解 説
①若者へのアピール
広報(若者へのアピール)に関して
多くの若者に来てもらうために
ジョブカフェの使命である「若者の就職支援」が成
単に名称を知ってもらう、覚えてもらうことにとど
功するための出発点は、若者たちがセンターやイベン
まらず、内容に対する理解と関心を喚起し、
「一度行っ
トに足を運んでもらうことにある。
てみようか」という欲求を高めるところまでの一貫し
センターのサービス内容の充実も、多数の利用者が
た広報施策が求められる。
いてこそ活きてくる。このためジョブカフェでは、セ
ンターへの若者来訪促進のための広報について積極的
な施策を立案・実行してきた。
公共機関などによくみられるような、あたりさわり
がなくクリエイティブが感じられない広報では、若者
|広|報|施|策|の|基|本|視|点|
前項に述べた狙い・目的を達成するための広報施策
の企画立案・実施においては、次の3つの視点を踏ま
えて考えることが必要である。
の心に響かない。ジョブカフェでは民間のノウハウを
とり入れたマーケティング手法を展開することにより、
多くの若者をひきつけて利用者を増加させている。
ï――誰に対して伝えるのか(Who to say)
若者と一口に言っても伝える目的によって対象は変
就職活動はあくまでも若者自身の意欲や行動によっ
わる。コミュニケーション成功の秘訣は、相手につい
て実現されるもの。ジョブカフェはそれを側面から助
ての的確な理解である。つまり対象となる若者が就職
けることしかできない。だからこそ、多くの若者にジ
や仕事についてどんな意識やニーズを持ち、あるいは
ョブカフェの存在や活動内容を知ってもらうことによ
自分自身の人生・生き方についてどのように考え、何
り、就職への意欲を喚起して、行動に移すよう促進す
を求めているのかを把握することが必要である。
ることが重要である。広告におけるキャッチコピーが
若者の未来を開くこともある。
逆に言えば、それぞれの企画では、どのような若者
を対象とするかを絞るほど、広報的効果は高まるとい
うことである。マーケティングの第一歩は対象のセグ
|ジ|ョ|ブ|カ|フ|ェ|に|お|け|る|
メントである。セグメントを分類する軸である各地域
|広|報|施|策|の|狙|い|・|目|的|
の特性は、目的にもとづいて行われる。たとえば高校
ジョブカフェの広報施策の主な狙い、目的を整理す
ると以下のようになる。
・ジョブカフェという名称、ロゴなどの認知・知名
生・大学生・フリーターなどの所属によるもの、就職
思考中・就職活動中などの状態によるもの、就職意識
の強弱などマインドによるものなどがある。
度向上
・ジョブカフェが提供するサービス・機能やメリッ
トの理解促進
20
ñ――どんなことを話すのか(What to say)
若者の意識、求めていることを踏まえて、それに合
・ジョブカフェやイベントへの集客促進
致したメッセージを作成しなければならない。人には
ここで留意すべき点は、仮にジョブカフェの認知・
自分が本当に求めていることをうまく表現できないこ
知名度が向上したとしても、それは入口にすぎない。
とがある。メッセージを作成するジョブカフェ側が、
最終的にはジョブカフェの「若者向け就職支援のワン
相手の本音、真意を的確に読み取り、上手に表現して
ストップサービス」としての機能やメリットの理解と
あげることで「私が求めていたのはまさにこれだ!」
結びついてはじめて、実際に若者の行動、つまりセン
と思わせるコミュニケーションが実現し、若者の行動
ターやイベントへの来場につながるということである。
を促進する。
①若者へのアピール
解 説
ó――どうやって話すのか(How to say)
若者のニーズを汲み取った優れたメッセージも、そ
れが相手に届かなければムダになってしまう。対象と
する若者が確実に目にする媒体や手段・表現方法を選
定することが必要である。各地のジョブカフェでは地
域ごとに最適な手法を見出すために、考え得るさまざ
まな試行錯誤を行っている。
沖縄県キャリアセンターの
マスコット「キャリー君」
|広|報|施|策|成|功|の|ポ|イ|ン|ト|
とイベントカレンダー
全国のジョブカフェモデル地域での実践から見えて
きた、広報施策成功のポイントは以下の通り。
1. 若者視点に立つこと
な効果をあげる手法である。
●若者の興味・関心を知り、従来の切り口にとらわれ
●センターの施設自体も、若者にアピールする重要な
ない思い切った広報手法が効果的である。新たに世の
広報の要素である。企業経営においてもファシリティ
中に登場したジョブカフェは、知名度ゼロの状態から
マネジメント(施設のあり方)の重要性は認知されて
短期間で認知・理解を向上させることを要求されてい
きている。従来の役所のような無機質な場所には若者
た。そのために現場では、従来の公共機関的常識にと
は足を運びたがらない。オープンで明るく、季節を感
らわれずに、できるだけ目立つ方法をとり入れてきた。
じさせるようなディスプレイが豊富なことなどは効果
茨城では、学生によるキャラバン隊を編成し、キャ
的。多くの情報が掲示されていることも期待感を膨ら
ンペーンやイベント等に参加してもらっている。また、
ませる。広報効果が高いことを見据えた企画・設計が
カウンセラーの接点にもキャラバン隊が介在し、とっ
必要。すなわち、いかに好立地に設置して、入りやす
つきにくいイメージを払拭することに成功。選挙活動
く快適な空間にするかを考慮する必要がある。
を思わせる草の根的活動により、当地における有効な
地域マスメディアの不在を克服している。
北海道では、フローリング風の絨毯を敷き、館内照
新潟では、地元で絶大な人気を集めるJ1サッカー
明はすべてダウンライトを採用、グリーンを至る所に
チーム「アルビレックス新潟」と提携し、バスマルチ
設置してお花を欠かさないなど、本物のカフェとみま
ワイド広告などを活用し、選手たちの人気をテコに広
がう空間を創出。若者の人気を呼び、
「クチコミ」によ
報活動を展開。ジョブカフェへの注目を高め、認知度
向上を図っている。
石川では、ジョブカフェが若者を元気づけ、前へ進む
存在であることをアピールするため、広報のテーマを
「前進」
、テーマカラーに「赤」を選定し、あらゆるコミ
ュニケーション、ツールに展開。この統合されたコミュ
ニケーション戦略により、対象となる若年層の認知度向
上と、好感度の高いブランドイメージを創造している。
大分では、オリジナルキャラクター「グッドジョブ
君」をセンターの顔としてイベントなどに登場させ、
注目度を高めている。継続して登場することで、地道
ジョブカフェ北海道のファシリティ
21
解 説
①若者へのアピール
る来所者が多くなっている。
点に欠けるセンスのない人選では逆効果のこともある。
福井では地元の若者たちの間で人気の高いバンド
●ジョブカフェに行けば、どんなことができそうか、
‘Cool Joke’を起用し、広告塔となってもらうことで、
若者の期待感を醸成すると同時に、その期待感を満た
ジョブカフェに対する若者の関心を高め、センター来
すサービスを行っていることをアピールすることで、
所者増加に弾みをつけた。
若者の積極的な行動を引き出すことができる。もちろ
ん「いい就職」が最大の期待である。
京都では、サービスの向上が何よりの広報と考え、
宮城では、若者に人気の高いパーソナリティ、やま
だひさしを司会に立てた就職支援TV番組「Jobcafe
TV」
(ミヤギテレビ)を深夜に放映。番組と連動した形
多種多様で独自性の高い、具体的な求人案件をゴール
で、深夜に電話でのカウンセリングを受け付けた。T
に見据えながらのカウンセリングや研修メニューを提
V番組は同時刻帯で単独トップの視聴率3.5%を達成。
供して、求職者の就職率を高めている。結果として、
カウンセリングでは、毎回700件以上のコールを受け
来所者の高い信頼を獲得し、クチコミによる新規来所
付け、
「みやぎジョブカフェ」の認知度向上に高い効果
者増につながっている。
があった。
●若者や学生をスタッフとしてとり込めば、それによ
●利用者の満足度を高め、再来訪を促進するために、
り若者視点をサービスに自然に反映させることができ
利用者を会員化して、若者が歓迎する会員向けサービ
る。ジョブカフェ運営への若者の参画は、注目を集め
スを充実する。会員化することによりリピートを受け
パブリシティ効果も高い。若者・学生だけで企画・運
入れやすくなるばかりではなく、利用者である若者の
営させることも、当事者意識を醸成する上で有効であ
視点をアンケートなどで入手することもできるように
る。職場の雰囲気が明るくなるという効果もある。
なる。
島根では、島根県立大学等の学生との連携による就
山口では、パソコン向けWebサイト(ホームペー
職支援講座の企画・募集などを通じて、ジョブカフェ
ジ)に加えて、モバイル(携帯)サイトも開設。24時
の広報活動を学生に主体的に支援してもらっている。
間肌身離さず持ち歩く若者たちに最も到達しやすい媒
情報共有にメーリングリストを使用するなど、できる
体を通じて情報提供を図っている。他の地域でも、モ
だけ多くの学生に長く関わってもらう工夫をしており、
バイルサイトを開設するところが増えてきている。
その結果、若者の間の横のつながりが広がりつつある。
●若者の支持の高いパーソナリティ、グループを活用
して若者の関心を高め、話題づくりの一助とすること
が有効である。そのような人物からのメッセージは、と
てもよく若者の心を捉えるものである。しかし若者の視
ジョブカフェ山口webサイト トップページ
●ジョブカフェでは、積極的に行動できない若者こそ、
むしろ受け入れて支援していかなければならない。そ
のためにはジョブカフェが提供しているそれぞれのサ
福井出身の人気ロックバンド「Cool Joke」
22
ービスで敷居をさげること、参加しやすくすることを
①若者へのアピール
心がけなければならない。
解 説
が見て認知するので、一時的に幅広くアピールするの
岩手では、気軽に会社を見学できる試みとして、ジ
が向いている。ラジオはテレビほどの告知効果はない
ョブカフェから近く、歩いて見学できる職場を見に行
が、じっくりと内容を伝えられるので、サービス内容
く「ウォーキングツアー」を企画した。これをきっかけ
などを詳しく伝えるのに向いている。特にFMは市町
に他のサービスを受けるケースがみられる。
村など限られた地域を狙うときに利用しやすい。しか
し1回のリスナーは少ないので、継続的に利用する必
要がある。
ウォーキングツアー
2. 対象とする若者に応じた広報施策
知事も出演したTVCM
●対象とする若者の特性や違いに応じて、伝えるべき
街頭や商店街での広報イベント、祭りや音楽祭など
内容を工夫することは基本中の基本である。幅広く対
の地域イベント、学園祭などの対象別のイベントなど
象を狙った漠然とした広報では、結局誰にも届かな
に参加して、ノベルティやチラシを配ることも来所者
い。一方的に言いたいことを伝えるのではなく、受け
の確保につながる。各地域で対象とする若者が集まる
手の特性や心情を強く意識しなければならない。
「正社
場所をよく把握しなければならない。特に学生と違っ
員を目指すあなたに、就活スキルUPする、キャリア
てフリーターはその所在が不特定なので、リーチする
開発クラブ」
「大きな声で『フリーターです』と言える
ためには場所の特性をつかむことが必要。
合同説明会」
「履歴書や面接なんかで、いったい自分の
何がわかるんだろう」などの絞り込まれたキャッチコ
ピーが若者の心を捉える。
大阪では、
「就職活動(笑)
」というブランドコンセ
プトを掲げ、ターゲットとなる若者を「早期離転職
者」
、
「フリーター」
、
「学生」の3つのセグメントに分け
て、それぞれの心理に対する理解を踏まえたクリエイ
ティブを制作。より効果的に若者の心をつかまえるこ
とができた。
●対象とする若者に応じたメディアや広告手法を適切
に選定することも必要である。
各地では一般TVでのCM、ケーブルテレビとのタ
イアップでの番組提供、ラジオでの番組提供やCMな
千葉では県内屈指の商業施設であるララポート内で
ど、地域のマスメディアと多様なタイアップを試行し
適職診断の簡易版を試しにできるイベントを行い、3
てきた。テレビは告知効果が高く、放映時は多くの人
千人を超える若者の利用者を得た。
23
解 説
①若者へのアピール
毎日交通機関を利用する学生に効果が高い「交通広
ビスに絞り込んで伝えることで、メッセージにメリハ
告」
、特定の場所を狙った「ポスターや看板」での広
リをつける。総合的な案内ではなく、絞り込んだ案内
告、対象者への「手渡し」
、保護者にも効果がある個人
によって、注目度と訴求効果を高める。
宅への「ポスティング」
、
「インターネットや携帯電話」
大阪では、若者や関係者に広い視野の話を聞いてほ
への広告など、対象に応じた広告手法の使い分けが効
しいと、JOBカフェOSAKAの名誉館長でもある塩川
果に結びつく。コストパフォーマンスを把握して、目
正十郎氏の講演会を実施した。「塩じいの日」というキ
的に合致した地域での最良な方法を選択して、効率的
ャッチコピーはとても目を引いて、多くの来場者を得
に展開する必要がある。
ることができた。また、岐阜では、ジョブカフェはお
役所のような敷居の高い場所ではないということを伝
えるために、「もうお役所仕事とは言わせない」という
キャッチコピーを制作した。
●県民性や地理的導線の地域状況によって広報手段を
考慮することで、より適切に対象者にメッセージを伝
えることが可能となる。
大分では、日田にサテライトを開設する際に、若者
の導線に合わせてJR駅前に設置して、駅の構内から
電車にペイントした福井のジョブ電
案内の看板や床のペイント広告を充実させ、開所時間
岩手では、
「岩手広告賞(テレビ広告)
(屋外広告の
も若者が利用しやすいように19時までとしている。
部)
」を岩手広告協会から受賞、福井では「福井広告大
岐阜では、若者の導線に合わせた来場促進のため
賞(TVCM)
」を受賞するなど、それぞれの地域にお
に、JR岐阜駅内に広報ブースを設けて、簡易適職診
いて広告のクリエイティブ性が、高い評価を得ている。
断などを入り口とした広報活動を行った。効果が高か
ったため、そのまま全国初となる駅構内でのサテライ
●特定のニーズや状況を持つ若者に対して特定のサー
トとして開設した。
● ジョブカフェ 広告ギャラリー
リーフレット
リーフレット/ジョブカフェ北海道
24
企業向けリーフレット
/ジョブカフェいわて
「チャレンジセミナー」リーフレット
/ジョブカフェいわて
名刺サイズの案内ツール
/ジョブカフェいわて
①若者へのアピール
「ちば若者キャリアセンター」
リーフレット/ジョブカフェちば
リーフレット「GOレンジャー編」
/みやぎジョブカフェ
「仕事探しカフェ」リーフレット
/ジョブカフェちば
セミナーリーフレット
/ふくいJobCafe
解 説
リーフレット/にいがたジョブカフェ事業
「ジョブカフェ通信」/ジョブカフェ石川
「塩川正十郎氏講演会」リーフレット
/JOBカフェOSAKA
25
解 説
①若者へのアピール
「就職フェア」リーフレット
/JOBカフェOSAKA
「ヤングJOBステーション」リーフット/
JOBカフェOSAKA
「仕事発見カフェinなんば」
リーフレット/JOBカフェOSAKA
「キャリアカウンセリングプログラム」
パンフレット/ジョブカフェしまね
「自動車関連産業即戦力人材育成講座」
リーフレット/福岡県若年者しごとサポートセンター
キャラクター
求職忍者・飛騨の赤チャレ/岐阜県人材チャレンジセンター
じょぶた
/JOBカフェOSAKA
26
グッドジョブ君/ジョブカフェおおいた
キャリー君、
キャリンちゃん
/沖縄県キャリアセンター
ラーニン君
/ジョブカフェ愛 work
①若者へのアピール
解 説
大阪・大分では、市報や回覧板を活用して広報活動
3. 波及効果を生み出すこと
を行っている。島根、山口では、大学教授のメーリン
グリストを活用し、教授を通じた学生への情報提供を
●クチコミ連鎖によって、自然に横に広がるような仕
行っている。
掛けを組み込んだ広報活動を心がける。特にセンター
利用者に対するグッドウィルの醸成による、友人・知
●マスコミへのプレスリリースを積極的に行うことに
人への波及効果は大きい。各地で来場者にアンケート
より、パブリシティとしての掲載を増やしていく。パブ
をとったところ、クチコミが最大の動員手法と認識さ
リシティを戦略的に仕掛けることで、とり上げられる
れた。もちろん優れたサービスを提供して、若者の高い
頻度や扱いのスペースはまったく違ってくる。企業の
評価を得ることが、クチコミ促進の最大要因であるが、
広報部門のような効果的なリリースを行うべきである。
それを促進するために広報的に行えることも多々ある。
岩手では、スタッフ自ら広報原稿を書いて記者に渡
モデル地域ではクチコミを誘発する仕掛けとして、
すことで、記事としての採用率を上げる努力をしてい
次のような施策を行っている。
る。各地とも、積極的に記者にイベントを告知して取
・新潟:若者支援施設ルートマップ作成
材機会を増やすとともに、イベント終了後にも追加の
・群馬:OB・OG会の組織
ネタを提供しており、地域のマスコミに取り上げられ
・千葉:手渡し用ツールの作成
る回数が多い。
・大阪:友だち紹介キャンペーン
・岐阜:東京でのUターン説明会
●若者本人ではなく、その保護者や家族など、若者を
・愛媛:ジョブカフェ招待券の配布
取り巻く周囲への訴求により動員することも有効であ
・沖縄:学生アルバイターを使ったクチコミの展開
る。ニートなど積極的に行動できない若者に対しては、
・各地:施設内広報やノベルティの工夫
家族など周囲からの働きかけがなければ来場に結びつ
けることは難しい。
●市町村や学校と協力した広報活動で、ジョブカフェ
山口では、集まりやすい土曜日に「親と子のコミュ
単体では困難な全地域をカバーする展開が可能となる。
ニケーション講座」を開催。親に、就職への意識や子
各地域とも各様の体制でエリアをカバーしている。
どもへの話し方を身につけてもらい、間接的に若者に
福井では、県内各地に9ヵ所の「ミニジョブカフェ」
を市町村の公共施設などを借りて開設し、若者の支援
体制を横展開している。大分では、商工会議所などの
アピール。実際に講座に参加した親の子どもがセンタ
ーを訪問する成果につなげている。
石川では、保護者向けに「若者の進路・職業選択の
協力を得て、サテライトを開設している。山口では、
ために知っておきたいこと」という冊子を作成した。こ
大学、専修学校、短大などのキャンパスに「ジョブブ
れをダイジェスト版にして新聞折り込みチラシとして
ランチ・イン・キャンパス」を展開している。
約40万戸に配布している。
27
① 若者へのアピール
事 例 編
選挙運動的手づくり広報
ジョブカフェいばらき
若者を巻き込んで若者視点の広報を展開
|趣|旨|・|目|的|
若年者自身がジョブカフェの広報宣伝に関わり、同じ
若年者層にジョブカフェをPRすることにより、若年
者へ向けてのピンポイントでのジョブカフェ認知度ア
ップを図った。また、参加メンバーの就業意識の向上、
友人・知人へのクチコミ効果も期待した。
|実|施|内|容|
県内の大学生を中心にPRキャラバン隊員を募集し、
広報活動開始! 青少年フェスタでのPRキャラバン隊員
イベント会場、大学・高校周辺、駅前、就職面接会会
場などで、ノベルティー・チラシの配布、イベント会
場に設置したジョブカフェブースへの呼び込みなどの
PR活動を111回にわたって行った。このPR活動に
は、延べ209人の大学生が参加した。
つくやる就職面接会で
声をかけてチラシを手渡し
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
学生課に掲示されるアルバイト求人用紙にジョブカフ
ェの紹介、URL、QRコードを入れることにより、
求人用紙自体にもジョブカフェ広報ツールとしての機
能を持たせた。また配布活動は、対面、手渡しなど、若
年者にターゲットを絞った声かけを徹底した。PR活
動中は揃いのユニフォームを着用し、のぼりを立てる
など、視覚的なインパクトも持たせた。ノベルティー
はポイ捨てされないように、うちわ(夏)
、クリアファ
イルという生活実用品とした。
まつりつくば2005にて、ジョブカフェうちわを帯に差してPR
|効|果|
ノベルティー、チラシなどを約6万人の若年者に配布
した。そのうちわ、クリアファイルを持ってジョブカ
フェに来館する求職者も見られた。また、キャラバン
隊の参加メンバーの就業意識向上のため、ジョブカフ
ェの利用を図った結果、キャラバン隊に参加した大学
4年生は、全員就職が決まった。
若者で賑わうよかっぺまつり(日立)のジョブカフェブース
28
① 若者へのアピール
アルビレックス新潟とのタイアップ
事 例 編
にいがたジョブカフェ事業
若者に人気のサッカーチームを活用して話題性を向上
|趣|旨|・|目|的|
毎試合4万人もの集客力があるサッカーチーム「アル
ビレックス新潟」を活かして、ジョブカフェの知名度
アップにつなげる。広報展開に選手やチアリーダーを
起用すること等によってインパクトを強化することを
狙った。
|実|施|内|容|
A選手を起用したCM制作・ジョブカフェペイントバ
ス運行(新潟・長岡市内運行)
Bオープニングイベントへのチアリーダーの出演
Cホームゲーム時の告知(ガイドブック・うちわ配布)
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
スポンサー契約をすることにより、選手の起用・ホー
ムゲーム時の広報の許可を得ることができる。これを
最大限に利用した。
ゲーム観戦に来た4万人の観客への広報をすることで、
若者はもちろん、保護者世代へのPR効果も狙えるこ
とより、ジョブカフェの認知度アップを図った。
アルビレックス新潟の選手を起用した
「ジョブカフェペイントバス」
|効|果|
ジョブカフェにいがたのオープンにあたり、知名度ア
ップを最大目標とし、新潟県民からの絶大な人気を誇
るサッカーチームを起用したことにより、県民・地元
メディアへアピールすることができた。近年のサッカ
ー人気も相乗効果を生み、より大きな注目を得ること
ができた。
新潟スタジアムでのホームゲームで
4万人もの観客に配布されたうちわ
29
① 若者へのアピール
事 例 編
情熱の赤はジョブカフェの赤!
−コミュニケーション・ツール戦略−
ジョブカフェ石川
若者のハートをつかむビジュアルを用いた統合コミュニケーション
|趣|旨|・|目|的|
若者の共感とインパクトを重視したVIS(ヴィジュ
アル・アイデンティティ・システム)を採用。イメー
ジを徹底して統一することで、ジョブカフェ石川ブラ
ンドの認知度アップと早期浸透を図ることを目的とし
た。
|実|施|内|容|
ジョブカフェ石川は「若者を元気づけ、前へ進む手助
けをする存在」としてVIテーマを「前進」とし、テ
ーマカラーの赤、ロゴマークのコンパス(羅針盤)
、メ
インビジュアルには、いまどきの若者のさまざまな表
情を活用。すべてのコミュニケーション・ツールに統
一展開した。
テーマカラーの赤とメインビジュアルに生き生きとした
若者を配したジョブカフェ石川のホームページ
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
Aポスターやパンフレット、チラシなどの基本的な広
報ツールはもちろん、のぼり、看板、パンフレット
スタンドなど、販促ツールにも繰り返し使用するこ
とで、イメージの徹底浸透を図った。
B館内の広報アイテムの制作担当者を配置(クリエイ
ティブ会社より若手スタッフを派遣)
。館内のチラシ
や掲示物等にもVIを効果的に使用し、明るく若々
しい雰囲気づくりにも役立てている。
ミニパンフレット、ジョブカフェ通信(毎月発行)
|効|果|
デザインについてのアンケートでも大半の若者の好評
を獲得。
「若々しくてスタイリッシュ」
「民間ぽくって
『味気ない』ということがない」
「わかりやすいデザイ
ン。一度訪ねてみようと思った」
「やる気を盛り上げて
くれる」などの声が寄せられた。クチコミによる来場
者の増加にもつながっている。
赤いのぼりが目を引く出張オフィス
30
① 若者へのアピール
マスコットキャラクター「グッドジョブ君」の活用
事 例 編
ジョブカフェおおいた
オリジナルキャラクターの活用で注目度・知名度アップ
マスコットキャラクター「グッドジョブ君」
|実|施|内|容|
をモチーフにしたジョブカフェ大分のA4
「働くことって楽しい!」と感じてもらえるきっかけと
チラシ
シカケづくりのために、
「ハタラク=ハタ楽」を合言葉
にし、マスコットキャラクター「グッドジョブ君」の
着ぐるみを製作。県下各地の夏祭り、花火大会等でア
イキャッチとして活躍。
「ジョブカフェおおいた」の知
名度アップに一役買った。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
各地のイベントで
「グッドジョブ君」が
就職への第一段階である「仕事さがし」のハードルを
大活躍!
低くし、仕事は楽しいというイメージや親しみやすさ
を印象づける楽しいキャラクターデザインを心がけた。
県内各地で実施したイベントでは、グッドジョブ君の
周囲に人だかりができるほどの人気で、チラシ等の広
報グッズの配布に非常に効果があった。
① 若者へのアピール
キャラクターデザインの活用
事 例 編
沖縄県キャリアセンター
オリジナルキャラクターの多面的展開で広報力アップ
|実|施|内|容|
2004年度に沖縄県キャリアセンターのキャラクター
左:キャリー君
右:キャリンちゃん
「キャリー君」が誕生。その後、女性版の「キャリンち
ゃん」も誕生。キャリンセンターのオリジナルグッズや
ポスターにはキャリー君、キャリンちゃんを入れ、利
用者が一目見て「キャリアセンターの広報物だな」と
わかるようブランド化している。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
オリジナルグッズをイベントやセミナー時に配布して
いるが、携帯クリーナーが特に「かわいい」と好評で
ある。若年者の必需品である携帯電話にキャリアセン
ターのグッズがつけられることにより、キャリアセン
ターの周知に役立っている。
キャラクターグッズ
31
① 若者へのアピール
事 例 編
キャラクター「求職忍者・飛騨の赤チャレ」を
使った広報戦略
岐阜県人材チャレンジセンター
(ジンチャレ!)
ユニークなキャラクター採用により若者や企業の興味・関心を刺激
|趣|旨|・|目|的|
ジンチャレ!の認知促進および利用者の増大を図るた
めに、キャラクターの作成・活用を広報戦略の柱と位
置づけ、岐阜県ゆかりのキャラクター「飛騨の赤影」
に着目し、今の時代に仕事がない忍者がジンチャレ!
を利用するという設定で「求職忍者・飛騨の赤チャレ」
を誕生させた。
しごと発見フェアのPRに市内を走り回った「赤チャレ&くノ一隊」
|実|施|内|容|
2005年10月の「求職忍者・飛騨の赤チャレ プレスお
披露目会」を皮切りに、赤チャレを使ったテレビCM
の放映、各種広報イベントへの赤チャレの参上、パン
フレット・チラシ・ポスターへの赤チャレ掲載などを
実施した。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
「赤チャレ」といえば「ジンチャレ!」というイメージ
を定着させ、ジンチャレ!の認知度を上げるために、
作成する広報物(チラシ・看板・ポスターなど)すべ
三つ折パンフレットに掲載された赤チャレ
てに「赤チャレ」を掲載した。また、子どもから大人
まで広く愛される忍者というキャラクターの特性を活
かし、ジンチャレ!主催以外のイベントであっても、
PR効果が期待できるものに「赤チャレ」を参上させ
た。
|効|果|
赤チャレという忍者のキャラクターは県民の目を引き、
赤チャレCM撮影風景
特に「飛騨の赤影」を知る中高年世代の関心が大きく、
合同企業説明会の会場などで企業人との関係構築に役
立った。今後は、ジンチャレ!の機能を正しく伝え、
若者の行動促進につなげる広報戦略を展開することが
課題である。
赤影世代以外の子どもにも親しまれた赤チャレ
32
① 若者へのアピール
ファシリティ −若者が気軽に立ち寄る
カフェのようなオシャレな空間
事 例 編
ジョブカフェ北海道
センターの施設自体が重要なPR要素―広告効果を考慮した設計
│趣│旨│・│目│的│
暗く孤独になりがちな就職活動を明るくサポートする
場として、デザインに徹底的にこだわった。コーヒー
も無料として本物のカフェのような雰囲気を醸し出し、
若者が集まりやすい空間づくりを目指した。
│実│施│内│容│
使用している机やテーブル、キャビネットや壁もすべ
て木目を基調とした。また絨毯をフローリング風の模
ジョブカフェ北海道のエントランス
様とし、ライトをダウンライトやペンダントライトに
切り替え、木綿風のブラインドを選択するなど小物に
まで雰囲気を重視した。また仕切りなく設置したキャ
リアアドバイスブースの周りに観葉植物を配置し、何
気ない演出も実施している。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
セミナールームをガラス張りとしてスペースをなるべ
く広く見せるよう工夫した。また机と椅子はキャスタ
ー付きの可動式のものを採用し、セミナー中にスクー
明るく開放的なカウンセリングブース
ル形式からグループワークへの移行が簡単にできるよ
うにした。
|効|果|
来場者に対する直近半年のアンケート結果では、
「施設
全体の雰囲気」について61.6%の人が『とても良い』
と回答、
『まぁまぁ良い』の37.6%と合わせると99.2%
本物のカフェのような雰囲気
の人から好評を得ることができた。
また、
「何によってジョブカフェを知りましたか?」と
いう質問に41.8%の人が『友人・知人』と答えており、
利用者が積極的に友だちに紹介していることがわかる。
ガラス張りでおしゃれなセミナールーム
33
① 若者へのアピール
事 例 編
相談から職業紹介まで、一貫支援のできる
ワンストップサービスセンター
ジョブカフェ京都
就職後までフォローする一貫したサービス自体が広報の役割を果たす
|趣|旨|・|目|的|
就業体験や実践的スキルに乏しい若者を最も効率的に
支援するためには、カウンセリングのみにとどまらず、
その出口となるべき職業紹介までも含む支援が不可欠
との認識により、入口と出口を結ぶ支援において求め
られるものを提供するシステムを確立した。
|実|施|内|容|
求職登録をするジョブカフェ利用者には専任のカウン
セラーがつき、仕事紹介を明確な目標としつつ、相談
やセミナーを利用しながら求職者がステップアップで
ワンストップサービスを実現するジョブカフェ京都
きるシステムとした。また独自に求人企業を開拓し、
求職者との橋渡しをすることにより、職務経歴がなか
ったり、少ない若年求職者も応募しやすい環境を整え
た。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
求人開拓員だけでなく、必要に応じてカウンセラー自
身も求人企業に出向き担当者と話をすることを奨励し
た。これにより企業側と求職者側のニーズのずれを解
消し、よりマッチング効果の高い支援を目指した。さ
らに、就職できた利用者に対しても、就職から3ヵ月間
をめどに引き続き相談に応じることをシステム化した
毎日開催される利用者のニーズにマッチした各種セミナー
ことで、利用者がより積極的に応募できるだけでなく、
就職後、短期間で辞職することの予防までを考えた、
真の意味でのワンストップセンターを実現した。
|効|果|
2005年度のジョブカフェ来所者数は延べ21,529人。カ
ウンセリングを受けた人は延べ16,229人。就職決定者
数1,838人。京都府モデルの成果は以上の通りである
が、数字に表れない部分でも、新規来所者の多くがク
チコミによるものであった事実から、当システムが若
年求職者に支持されたことがうかがえる。
約100社が集う年間最大のイベント「ワークフェアin京都」
34
① 若者へのアピール
若者参加のジョブカフェを目指して
事 例 編
ジョブカフェしまね
若者をスタッフとしてとり込んで若者視点を広報・サービスに反映
|趣|旨|・|目|的|
地域の学生にジョブカフェのスタッフとして事業の企
画、運営に参加してもらい、ジョブカフェ世代の目線
で物事を見て、考え、ともに進めていくことで、より
利用しやすい、若者に必要とされるジョブカフェを目
指した。
|実|施|内|容|
『体感型ワークショップ』を柱として、さまざまな職業
人を招いたトークセッションやニート・フリーター支
援団体の活動のようすを視察したスタディーツアー、
トークセッション
学生の人気職業である金融業界について詳しく学んだ
業種別勉強会などを実施した。それらは全般にわたっ
て学生が自分たちで企画・運営した。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
全体のコンセプトを『体感型』にし、さまざまな制約
の下でも最大限、若者の発想や意見を尊重して事業を
展開した。若者から出されたアイデアに対しては実現
が難しい内容でも、すぐに不採用とはせず、どうすれ
ば事業として実現可能かを一緒に考え、できる限り事
業として採用した。また、情報提供には、学生のメー
リングリストを活用した。その結果、大きな広報をし
スタディツアー in 大阪
なくても毎回多数の参加申込みがあり、プロジェクト
に参加したいと手をあげる参加者も出てきた。
|効|果|
毎回、大好評であった。若者自らが企画・運営したこ
とで、若者が今欲している情報を把握でき、事業に反
映したことが好評だった一番の要因と考える。
「社会
人・社会に対する考え方や見方が変わった」と語る参
加者も多く、2006年度はジョブカフェOBや地域の若
者がスタッフとして参加するなど、取り組みが確実に
定着しつつある。
アクティブコミュニケーションインプロ発表会
35
① 若者へのアピール
事 例 編
「若者による若者のための」広報
−知事が広告塔に!−
ジョブカフェぐんま
若者を中心にイベントなどの広報活動を展開
|趣|旨|・|目|的|
ジョブカフェの敷居の低さと、若者をバックアップす
る体制を強くアピールすることを目的とし、若者自ら
が中心となって、広報活動を展開。若者の視点から訴
えることによって、若者の心に響かせることが狙い。
|実|施|内|容|
その広報活動の1つが、開設1周年記念イベント「ジョ
小寺弘之群馬県知事をスペシャルゲストに迎えたトークショー
ブカフェぐんまスーパーライブ」の開催。ライブハウ
スを貸し切り、県出身者を含む若者に人気のインディ
ーズバンドや、小寺弘之群馬県知事をスペシャルゲス
トに迎え、ライブ&トークショーを行った。また、情
報発信が中心のフリーペーパーも、若者社会活動支援
NPO法人DNAが中心となり、若者のみで編集部を
組織して作成している。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
ライブイベントの事前広報は、若者に人気のフリーペ
インディーズバンドのライブで盛り上がる若者たち
ーパー等を活用。当日は、開場前から行列ができるほ
どで、3時間あまりの熱いライブ&トークショーで盛り
上がり、若者の味方「ジョブカフェぐんま」を大いに
PRできた。若者作成のフリーペーパーの名は「GO
OD JOB」
。ジョブカフェの紹介のほか、
「ウカル!
就活ファッション特集」
「就活メールのレシピ」等、充
実した内容となっている。
|効|果|
トークショーで小寺知事は、ジョブカフェぐんまの成
果を紹介しながら、
「前に歩き出すことが大事。夢を持
若者たちが発信するフリーペーパー「GOOD JOB」の編集風景
って挑戦して」と若者を激励した。生で感じるイベン
ト空間の共有やフリーペーパーによって、若者の就職
への意識を喚起し、ジョブカフェぐんまの認知度アッ
プにつながっている。今後も、若者のたまり場として
の「ジョブカフェぐんま」の広報と若者の視点による
就職活動情報を発信していきたい。
36
フリーペーパー「GOOD JOB」
① 若者へのアピール
地元ロックバンドをキャラクターに起用
事 例 編
ふくいJobCafe
若者に人気のグループ起用で話題づくり
|実|施|内|容|
色、音など若者が持つ高い感性に訴えるように打ち出
広報活動の対象者の共感を得るためにイメージキャラ
した。第26回福井広告賞のテレビ部門で最優秀賞を獲
クターを設定した。ジョブカフェ利用者と同じ年代で、
得した。2007年新卒予定の学生に対するアンケートで
しかも福井県出身の4人組ロックバンド「Cool Joke」
は、60%が「CM等で聞いたことがある」と回答して
を起用した。
いる。
テレビ、ラジオCMのほか、新聞、ポスター、リーフレ
ットなどジョブカフェが制作するすべてのものに登場
させている。テレビCMは、彼らの夢に向かって懸命
に努力する姿と若者が仕事をする様をオーバーラップ
させており、頑張る若者をふくいジョブカフェが応援
するというイメージを作っている。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
キャラクターとともに、ロゴマーク、キャッチフレー
ズを統一感のある表現イメージで使用し、映像、文字、
福井県出身のロックバンド「Cool Joke」
① 若者へのアピール
若者に人気がある地元出身ミュージシャンをキャラクターに起用
事 例 編
ジョブカフェ愛work
若者に知名度の高いグループ起用で興味を喚起
|実|施|内|容|
ロックグループ「ジャパハリネット」
を起用したポスター
全国的に知名度の高い愛媛のロックグループ「ジャパ
ハリネット」を起用し、ライブ会場で知事とかけあい
をする「知事とのライブ編」をはじめ、
「合コン編」
、
「面
接編」など、若者にとって話題性のあるTVCM3編
を、民放4局とCATV4局でオープンから2ヵ月間集
中的に放映した。
テレビCM
「知事とジャパハリネット」
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
人気グループのヒットソングを用いたことや、知事の
出演という意外性のほか、TV・ラジオで若者の視聴
する時間帯を中心に集中的に放送したことにより、来
所者の3割強が「愛workをCMで知った」と、一番多
くなるなど、気軽に立ち寄れる若者向けの就職支援施
設オープンの周知につながった。
37
A若者へのアピール
事 例 編
携帯電話での情報提供
ジョブカフェ山口
若者が歓迎する会員向けサービスの充実
|実|施|内|容|
メルマガを定期的に発信することにより就職活動への
携帯電話(モバイル会員)を利用し、各種就職情報の
意欲のアップにつながったほか、モバイル会員登録を
迅速・的確な提供を行うとともに、センター利用の動
機に、センターに来所し個別相談等各種支援を受ける
機づけを図ることを目的として、モバイル会員登録者
気運が高まるなどの効果があった。
に対し、各種セミナーの開催、就職フェアーの開催等、
就職に関する情報を、随時メルマガ発信することによ
りリアルタイムに情報提供を行った(会員登録者数
1,000名)
。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
A会員登録を簡単にするため広告媒体に二次元コード
イベント会場でモバイル会員
登録を案内
を掲載し、B会員属性に合わせた効果的な情報提供を
行った。また、Cセミナー申込みが携帯でできるよう
にするなど手軽に情報を手にすることができるように
した。
モバイル会員募集チラシ
① 若者へのアピール
事 例 編
便利で気軽! HP&携帯サイトの活用で認知度アップ!
ジョブカフェ北海道
若者に利便性の高いメディアによる情報提供の充実
|実|施|内|容|
用の掲示板で情報交換を積極
サービス内容や求人情報の閲覧、就職相談、セミナー
的に行い、互いに刺激を与え
予約を、インターネットのホームページ(HP)と携
合っている。
帯サイトの両方から可能にし、パソコン(PC)がな
携帯サイト・トップメニュー画面ê
い利用者でも不自由のない環境を整えた。
▼ホームページ・トップメニュー画面
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
PCがなくてもいつでもどこでも簡単にアクセスでき
るようにQRコードを作成した。また主なサービス内
容はスクロールしなくても見えるレイアウトとした。
就職決定の報告もHPと携帯の両方から可能にし、入
力が簡単な選択式にフォーマットを改良。アクセス数
は飛躍的に伸び、特に携帯サイトは前年比3倍に。求
人情報などのバナーを上位に配置することにより、求
人情報の提供・問い合せが増えた。就活中の学生は専
38
① 若者へのアピール
ウォーキングツアーで身近な職場を
気軽に見学
事 例 編
ジョブカフェいわて
若者が参加しやすいサービスの開発
|趣|旨|・|目|的|
企業訪問の前に気軽に企業見学をしてみたいという若
者や、就職活動を始めるにはまだ時間が必要だが企業
やお店の雰囲気を知りたいという若者を対象とした、
「歩いて企業を訪問する」ツアー。興味のある職種の現
場を実際に見ることで、より具体的な職業イメージや
企業イメージを持ってもらうことを目的とした。
|実|施|内|容|
ツアー開始前に訪問先について事前学習
ジョブカフェいわてから歩いて行ける範囲内にある企
業や店舗を訪問し、従業員に職場の説明をしてもらっ
た。事前に、グループワークで各参加者が質問項目を
整理し、訪問先で質問した。見学後はジョブカフェに
戻って振り返りを行い、各参加者の感想や気づきを共
有した。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
テレビ局で本番前のリハーサルを見学
漫然としたウォーキングにならないよう、各回ごとに
対象業種を決め、緩やかなテーマ性を持たせた。2005
年度は、マスコミ編、小売業編、銀行編、公務員編と
して4回実施。一度のツアーで2ヵ所以上を訪問できる
ような行程とし、ウォーキングツアーらしさを演出し
た。またグループワークでは参加者の多様性を考慮し
て、発言を強いる形にならないように運用面で配慮し
た。
新聞社の編成局で編集作業の進め方について説明を聞く
|効|果|
ウォーキングツアーへの参加をきっかけに、ジョブカ
フェが提供する他のスキルアップセミナーにも積極的
に参加するようになるなど、就職活動により前向きに
取り組む姿勢を見せるようになった参加者も多くあっ
た。短時間のイベントながら、従来にない形式での企
業見学ということで、マスコミ等の注目度も高い。
ジョブカフェに戻って今日の気づきや感動を共有する
39
① 若者へのアピール
事 例 編
新たな利用者を獲得する深夜テレビ&
深夜カウンセリング
みやぎジョブカフェ
若者に支持の高いパーソナリティを起用した大胆な広報手法
|趣|旨|・|目|的|
若者などを対象とした深夜テレビ番組「jobcafe TV」の
放送と、テレビ番組とタイアップした深夜カウンセリ
ング等により「みやぎジョブカフェ」の認知を拡大し、
ジョブカフェへの来場を促す。
|実|施|内|容|
A深夜テレビ番組概要…若者の視聴率が高い深夜時間
帯に、働くことに対する理解と共感を醸成、行動を
喚起するテレビ番組を放映した。
深夜テレビ番組「jobcafe TV」
スタジオ風景とパーソナリティの
やまだひさし氏
B深夜カウンセリング概要…「jobcafe TV」の受け皿と
して番組開始後から約1時間半、電話による深夜カ
ウンセリングを実施した。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
A深夜テレビ番組…若者がよく見ている時間(=深夜)
帯を狙い、若者に絶大な人気を誇るカリスマエコD
J「やまだひさし」をパーソナリティに起用し、フリ
ーター等とともに、働くことについて若者の目線で
トークバトルを繰り広げた。また、出演者のジョブ
カフェサービス体験によるサービス紹介や出演者で
あるフリーターの夢を追うサイドストーリーを挿入
し、視聴者の感情移入も図った。
B深夜カウンセリング…視聴者からの電話を効果的に
「深夜カウンセリング」で視聴者からの相談に対応するカウンセラー
受けられるように8回線を10名で担当。また心の相
談にも備え、臨床心理士を待機させた。
|効|果|
ビデオリサーチ社の調査によると、最高視聴率は深夜
帯としては高視聴率の3.5%を達成し、同時刻の視聴
率単独トップを達成した。M1ターゲット(男性20−34
歳)では、テレビを視聴していた者の約3分の2が本番
組を視聴していたという結果が得られた。また、深夜
カウンセリングによる来場予約が155件あるなど、利
用者増にも貢献した。
40
「深夜カウンセリング」の事務スタッフ
① 若者へのアピール
就職活動(笑)
事 例 編
JOBカフェOSAKA
対象とする若者の特性に合致したアピール内容を工夫
|趣|旨|・|目|的|
JOBカフェOSAKAとして、より多くの就職決定者を輩
出するため、現在真剣かつ意欲的に就職活動を行って
いる若者にターゲットを絞り込んだ集客活動を実施す
る。
|実|施|内|容|
「ジョブカフェとは、仕事探しの〈場〉だ」という認知
を促進するためのポスター・リーフレットを作成。府
内行政機関・学校機関・ハローワークなどに配布(ポ
スター472ヵ所・リーフレット628ヵ所)した。また、
早期離職者をターゲットとした
ポスター
同一ビジュアルを使い、アルバイト媒体誌などへの掲
載を行った。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
JOBカフェOSAKAのブランドコンセプトとして「就職
活動(笑)
」というショルダーを採用。JOBカフェ
OSAKAが、
「仕事探しの〈場〉
」であるというニュアン
スを打ち出し、
「
(笑)
」というワードによって、
「就職活
動を楽しめる場」であることを認知させた。また、想
定ターゲットを早期離職者・フリーター・学生に絞り
込み、ビジュアル・キャッチコピーともそれぞれのタ
ーゲットに合わせ3種類用意し、よりピンポイントで各
学生をターゲットとしたポスター
ターゲットに届くよう工夫した。
|効|果|
JOBカフェOSAKA来場者に対するアンケートで、
「近々
就職(転職)を決定したいと思いますか?」という質
問に「はい」と答えた人が、2004年12月時点では70%
であったが、2005年7月時点では96%に増加した。ま
た、集客数自体も増加傾向を続けている。
フリーターをターゲットとした
ポスター
41
① 若者へのアピール
事 例 編
周波数を合わせる
−ジョブカフェ世代からジョブカフェ世代へ
メッセージを発信−
ジョブカフェ愛work
対象とする若者の感性に訴える広報戦略
|趣|旨|・|目|的|
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
メリットを伝え、セミナーやイベントへの参加を促進
あらゆる面で若い感性にこだわったことで、セミナー
することを目的として、利用者であるジョブカフェ世
やイベントの目的や行動を促すメッセージが確実に若
代の若者に効果的にメッセージが届くよう、彼らに周
者に届いた。スタッフ間でも20代から30代前半の世代
波数を合わせて、同じ視点を持つジョブカフェ世代の
での感覚の違いが見られたが、それをすり合わせるこ
スタッフからメッセージ発信を行った。
とで、よりリアルなメッセージを発信できた。この結
果、パンフレットの減りが早く、「資料がかわいい」「明
|実|施|内|容|
るくて来やすい」などの評判が立ち、セミナー参加者や
学生スタッフや若手スタッフが中心となり、チラシや
問合せ数が増加した。また、若者の共感が得られたこ
パンフレットなどを若者の感性に訴える内容に変更し
とにより、クチコミによる来所者数が増加した。
た。セミナーやイベントの名称・キャッチコピー・説
明文・写真やイラスト、若者がキャッチできる周波数
|効|果|
でメッセージを伝えることにこだわり、直感的に理解
若者自身が自分の感覚を信じて、同世代の若者にメッ
し、興味を持ってもらえるよう、デザイン全体を工夫
セージを発信したことが成功要因。若者が「いる」こ
した。
とで若者にとってより身近なジョブカフェになれる。
メッセンジャー、およびモデルとしての若者の存在が
若者の共感を得、行動を促す効果につながった。
フレーズを工夫
セミナー名称の工夫
42
イメージへのこだわり(写真やイラストを用いて感覚へ訴える)
① 若者へのアピール
黒い犬をビジュアルに使ったポスター
事 例 編
ジョブカフェちば
若者の感性にアピールするイベントの広報戦略
|実|施|内|容|
の注目度、好感度を大きくアップし、多数の参加者を
2004年度の後半に、学生を中心にしたイベントを複数
集めることができた。
回実施。それぞれの連続性を持ったビジュアル展開を
・仕事探しカフェ 参加者277名
行った。
・キャリアデビューパーティー 参加者398名
A仕事探しカフェ全3回、キャリアデビューパーティ1
回の告知に黒い犬をビジュアルに使用した。
B学生にとって響きやすい、キャッチコピーを作成し
た。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
すべてのチラシ・ポスターのショルダーに、
「卒業前に
見つける自分の明日」というキャッチコピーを入れた。
また、それぞれのイベントのキャッチコピーには学生
向けのコメントを入れた。
ポスターに使用した黒い犬のビジュアルが、ポスター
黒い犬をビジュアルに使った仕事探しカフェのポスター
① 若者へのアピール
個別企画の広報
事 例 編
ジョブカフェ愛work
広報対象を絞り込んでメッセージにメリハリをつける
|実|施|内|容|
イベントやセミナーを案内するポスターやチラシは、
内容を的確に表しつつ、若者の興味をひく表現(名称、
デザイン、キャッチコピー、説明文)を工夫した。
名称・キャッチコピーの例:ジョブチャレ祭り/ハダ
カdeオドレet's/ミステリーツアー/Dream Shop!/
ハッピーキャンパス/ジョブ・コラボ など。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
ジョブカフェ愛workフェスタ2005ポスター
若者がデザインした
「ミステリーツアー」チラシ
イベントのコンセプトや若者へのメッセージを明確に
するために、スタッフでブレーンストーミングを実施
したり、ユースコーディネーターや学生スタッフのア
イディアをとり入れたりした。イベントの開催目的に
合った参加者の増加につながり、結果として参加者の
満足度向上にも寄与したと思われる。
若者向けパンフレット
43
① 若者へのアピール
事 例 編
日田サテライトの開設
ジョブカフェおおいた
好立地拠点での利便性の高いサービス提供によるクチコミ誘発
|趣|旨|・|目|的|
若者が気軽に立ち寄れるカフェスタイルのオフィスに
することで、フリードリンクを飲みながらくつろいだ
雰囲気で就職に関する情報収集やカウンセリングを行
う。就職に対して「敷居が高い」イメージを払拭し、よ
り多くの若年者に仕事について考えるきっかけづくり
を狙った。
|実|施|内|容|
日田サテライトエントランス
若者が利用しやすいよう、JR日田駅前に開設し、開
所時間も部活動や仕事帰りでも気軽に立ち寄れるよう
に10時∼19時とした。就職相談や就職活動支援セミナ
ーのほかにも、若者のニーズに応じてメイクアップ講
座・パソコン講座等、サービスメニューを充実させた。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
サテライトとしての特色を出すために、求職者から希
望する企業や業種の相談があると、コーディネーター
がそれらの企業を優先的に訪問し、求人情報収集を行
っている。この対応が若者に受け、リピーターにつな
がっている。また、相談員は若者が気軽に話せるよう
に軽装にし、所内には若者の好むBGMを流すなど雰
囲気づくりに心がけた。若者の反応は「友だちから『い
いぞ。何でも相談できるぞ』と聞いて来ました」等好
評で、クチコミにより来所相談者数が増加した。
日田サテライト 相談風景
|効|果|
地道かつ継続的な広報活動が功を奏し、目標数値に対
し利用者数は300%、就職者数は206%の達成率をあげ
ることができた。日田市は地理的に福岡市および周辺
地域への就職希望者が多いため、今後は福岡県の企業
情報・求人情報の収集のために関係機関との連携を充
実する必要がある。
パソコン講座
44
① 若者へのアピール
JR駅構内に拠点を開設
好立地のセンターは、存在自体が広報力を持つ
事 例 編
岐阜県人材チャレンジセンター
(ジンチャレ!)
|趣|旨|・|目|的|
ジンチャレ!岐阜(本部)は、最寄り駅からのアクセ
スが不便であるため、利用者満足度(CS)調査でも
立地に関する評価が低かった。そこで、より多くの若
者が利用しやすい環境を整えるために、岐阜市および
多治見市で、利便性の高いJR駅構内に拠点を開設し
た。
|実|施|内|容|
2005年4月6日、岐阜市との協働事業として、JR岐阜
駅コンコース1階に「ジンチャレ!ステーション」を新
JR岐阜駅コンコースに開設されたジンチャレ!ステーション
設した。また、4月11日、
「ジンチャレ!東濃」をJR
多治見駅2階に移転した。両拠点では、県独自の無料
職業紹介も実施し、ワンストップサービスを提供して
いる。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
JR駅構内に拠点を設けることで、利用者の利便性が
高まるとともに、看板等を工夫したことで、センター
の存在そのものが広報活動につながっている。また、
両拠点を活用した集客イベントも開催し、認知度が向
ジンチャレ!ステーション受付
上した。
ジンチャレ!ステーションは、駅構内にある岐阜市の
施設内に開設したもので、同市が週1回「雇用まるご
と相談」を実施するなど、地元との連携を強化してい
る。
|効|果|
ジンチャレ!東濃にて
適職診断をする若者たち
2005年度中の利用者数は、ジンチャレ!ステーション
で4,475名(対前年度比:皆増)
、ジンチャレ!東濃で
2,893名(対前年度比:1,239%)と、大幅に増大した。
自動車を持たない学生や転職希望の通勤者などの利用
者も多く、
「どこかに行ったついでに気軽に立ち寄れ
る」といった声も寄せられた。
ジンチャレ!東濃での
公開生放送
45
① 若者へのアピール
事 例 編
若者支援施設ルートマップの作成
にいがたジョブカフェ事業
ジョブカフェのサービスへの期待感を醸成するアピール
|趣|旨|・|目|的|
新潟県中越地区における若年者就職支援をより円滑に
進めるため、中越地区の各就職支援施設の特徴をまと
め、求職者の就職活動状況に応じて、どこで、どんな
サービスが利用可能なのかを明記した若年者支援施設
ルートマップ「ながおか就職サポートマップ」を作成
した。
|実|施|内|容|
「ながおか就職サポートマップ」は見開きA3サイズで
就職活動状況に応じたサービスがひと目でわかる「お仕事探しメニュー」
イラストを交え、お仕事探しメニューと各就職支援施
設へのアクセスマップをカラーで掲載。ジョブカフェ
館内をはじめ、長岡ハローワークや長岡駅構内などに
設置して求職者に活用してもらっている。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
「ながおか就職サポートマップ」は、就職活動のスター
トから定着支援までを8段階(キャリア・カウンセリ
ング、適職探し、就職サポート講座、インターンシッ
プ、職業訓練、求人・企業検索、職業紹介、就職後の
相談)に分け、若年求職者の就職活動状況に応じて利
用できる施設とサービスを簡潔にまとめたのが特徴。
また、どこで、どんなサービスが利用できるのかが視
長岡市の「キャリア応援プラザ館」
覚的に伝わるようロゴマークを用いて各施設を表示し
た。
|効|果|
「ながおか就職サポートマップ」を作成するにあたって
は、中越地区の各就職支援施設との検討・協議が必須
であった。その結果、ジョブカフェと各就職支援施設
との交流が密になり、若年者の就職支援に対し中越地
区全体で取り組むという意識と体制がより一層充実し
たものとなった。
新潟市の「ジョブカフェにいがた・若者しごと館」
46
① 若者へのアピール
クチコミで広がる利用者の輪
事 例 編
ジョブカフェ京都
センター利用者に対するグッドウィルの醸成がクチコミを誘発
|趣|旨|・|目|的|
新聞や広報誌、ホームページなど、さまざまな媒体で
若者への広報を図っているが、結果的に、新規来所者
の4人に1人が、知人や友人からのクチコミで来所して
おり、最も大きな来所のきっかけとなっている。
|実|施|内|容|
ジョブカフェに初めて来所した若者に、何をきっかけ
に訪れたのかを聞き出し、どういった媒体が集客に有
効なのかを検証するのに活用している。
「4人に1人以上がクチコミで来所」を示す新規来所者の情報入手源調査結果
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
ジョブカフェ京都の大きな特徴である、無料職業紹介
事業も含めたワンストップサービス。このサービスを
行っているからこそ可能な、具体的な求人案件をゴー
ルに見据えたカウンセリングや研修メニューの提供に
より若者の高い信頼感を得ることができる。
求職者がカウンセラーに信頼感を持ってくれたからこ
そ、自分の友人にクチコミで伝えてくれていると考え
られる。
|効|果|
ジョブカフェに来れば「仕事が見つかる」
「就職できる」
若者の信頼を得る手厚いサービス
という期待感と安心感を与え続けていくことにより、
若者のクチコミの輪が広がってきた。
専任カウンセラーによる相談(北部サテライト)
47
① 若者へのアピール
事 例 編
学生を活用したクチコミの展開
沖縄県キャリアセンター
若者をもスタッフとして活用し、クチコミの発信源とする
|実|施|内|容|
ているので、その広報効果は大きいものがある。
学生たちによる
沖縄県キャリアセンターでは現役の大学生を「ジュニ
「ジュニアナビゲーター」
アナビゲーター」として起用し、主に受付業務や学内
での広報、職員の業務の補助に活用している。また、
ジュニアナビゲーター主催のセミナー等も開催してい
る。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
利用者と同じ年代の若者が受付を行うことにより、セ
ンターを利用しやすいという声が上がっている。また、
ジュニアナビゲーター自身が就活中の学生で、センタ
ーの利用者でもあることから、親しみを持って学生に
接している。内定をもらったジュニアナビゲーターを
慕ってセンターを訪れる学生も多い。大学のゼミの後
輩にもセンターを利用するメリット等をアドバイスし
① 若者へのアピール
事 例 編
究極のパブリシティ−プレス用原稿の準備と多段階発信−
ジョブカフェいわて
ジョブカフェ自ら行うマスコミへの積極的アプローチ
|実|施|内|容|
取り上げられるケースが増えた。その取り上げ方も概
Aたとえば県議会で若年者の雇用対策に関する質問が
して好意的であり、パブリシティ活用でのジョブカ
出ると、それに関連してあらかじめ「コメント」を準
フェのアピールは期待以上の成果があった。
備しておく。Bジョブカフェのイベント関係について
は、事前、直前、本番(当日)のプレスリリースにもセ
ンター長コメントを添えて提供する。C時には、記事
原稿そのものを新聞社ごとの紙面(行内文字数)に合
わせて用意する。その他、その時の状況に合わせて情
報を提供している。
│効│果│
これらの積み重ねにより、たとえば景気動向や雇用情
勢についての記事が掲載される場合に、ジョブカフェ
の利用状況が引用されたり、センター長がコメントを
求められたりするなど、直接、間接にジョブカフェが
48
NHKの取材を受ける勝部センター長
① 若者へのアピール
ミニジョブカフェ地域への広報展開
事 例 編
ふくいJobCafe
広域をカバーするサテライトの浸透施策で若者の利用促進
|趣|旨|・|目|的|
ふくいジョブカフェはある程度若者に浸透してきたが、
県内9ヵ所に設置したミニジョブカフェについては積
極的に若者へアピールしない限り、その存在すらなか
なか認知されないであろうとの認識から、ミニジョブ
カフェを管轄する市およびその周辺において広報活動
を展開することとした。
|実|施|内|容|
ミニジョブカフェが設置されている市の担当者と連携
し、毎月発刊される広報誌にミニジョブカフェの記事
全戸配布されたミニジョブカフェのチラシ
を掲載してもらうこととした。また各地域の回覧板を
利用した広報やミニジョブカフェの役割を簡単に説明
したチラシを全戸配布していただき、地域に根差すミ
ニジョブカフェを目指した。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
ミニジョブカフェの認知度を向上させることが利用者
の増加につながるとの認識により、回覧板への掲示依
頼、全戸配布チラシの作成等を実施してきた。全戸チ
ラシの配布後は利用者が増加する傾向を示すものの、
ジョブカフェマガジン
一定期間経過後は元に戻ってしまうことから、ほかに
効果性の高い方法がないかと模索していたが、地元新
聞社の地域限定版情報誌にミニジョブカフェの記事を
掲載することが可能になり、若者が親しみを持つよう
な内容で案内したところ、毎日継続的に利用されるよ
うになった。
|効|果|
ミニジョブカフェ開設2年目を迎えて、設置地域にお
ける定着化を推進することと、今後の自立化を見据え
て結果を出すことが求められている。そのためにもこ
れまで実効が上がった広報活動は継続し、その地域の
若者の就職に関する駆け込み寺として機能するよう仕
向けたい。
49
① 若者へのアピール
事 例 編
親向けセミナー
「親のための就職コミュニケーション講座」
ジョブカフェ山口
親の理解促進が子どもへの波及効果を生む
|趣|旨|・|目|的|
就職適齢期の子どもを持つ保護者等の就職問題に関す
る知識・関心および子どもの適切な進路選択に関する
理解を深めるため、就職講座等を開催することにより
保護者と一体となって若者の就職の促進を図る。
|実|施|内|容|
市町村と連携をし、県内4地域の図書館・公民館を利
用してフリーター・失業者・転職希望者等を持つ親を
対象に「若者を取り巻く就職事情」「企業の求める若
者像」「親のためのコミュニケーション」等をテーマに
親のための就職コミュニケーション講座
講座を開催するとともに、
「何でも質問会(個別カウン
セリング)
」を実施した(実施回数延べ7回、参加者延
べ112名)
。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
①保護者を対象に講習会を実施することで、就職への
意識・子どもとの接し方・コミュニケーションの重
要性等を身に付けてもらい、今後、若者がセンター
へ訪問するよう働きかけた。
②当日来場された保護者へアンケートをとり、今聞き
たい内容を確認し、要望に沿った形で講座を開催す
るよう心がけた。
ジョブカフェ山口の広報誌「YYジョブサロンPRESS」
③保護者が来場しやすい土曜日に実施し、より多くの
集客に心がけた。
④市教育委員会や市の無職少年等支援ネットワーク会
議担当課を通じて、PRを実施した。
|効|果|
①就職活動の第一歩は親と子のコミュニケーションで
あり、この就職講座を通じて、その認識が深まった。
②フリーター・ニートの対応ができ、センターに来所、
相談されるようになった。
③県外在住の大学生を持つ保護者への対応ができ、県
内企業情報を伝えることにより、就職支援が行えた。
50
ジョブカフェ山口
① 若者へのアピール
保護者向け冊子「若者の進路・職業選択のために−親として知っておきたいこと−」
事 例 編
ジョブカフェ石川
親から子への波及効果を狙う広報ツール
|実|施|内|容|
配布後は親からの問い合わせや、チラシを持参する新
若者の安易なフリーター化や早期離職を防止するため
規利用者が増えた。
に、保護者向けの広報冊子を作成し、現在の雇用・就
職状況、ジョブカフェの取り組みや、親ができること・
気をつけたいことなど、キャリア教育の必要性を訴求。
学校を通して県内の高校3年生の保護者全員に配布し
た(13,000部)
。
また高校のPTAなど保護者向けセミナー等でもこの
冊子を活用している。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
石川県では親と同居している若者が大半で、新聞や折
込チラシなど親から若者の手に直接渡る広報ツールは
有効である。作成した冊子の内容をダイジェスト版に
した折込チラシを県内約40万戸にも配布。
保護者向け冊子と折込チラシ(ダイジェスト版)
51
解 説
②若者へのサービス(カウンセリング)
若者へのサービスに関して
若者への対応はどうあるべきか(カウンセリング)
ジョブカフェを訪れるのは、それぞれ固有の悩みを
各地域のルールに従い、担当者ごとに保存している。
抱えた若者である。就職先を探す以前の段階にある
必要に応じて別の担当者がつく場合は効率よく相談に
者、就職活動を行っているが思うようにいかない者、
対応できるような引継ぎを行う。
すでに仕事をしているがより自分に合う仕事を探した
利用者に多いパターンや、その対応についてのノウ
い者……「このままではいけないと思うが、どうした
ハウ、各カウンセラーが工夫していることや成功・失
らいいかわからない」「働くことの意味がわからない」
敗の事例などを共有することで、各人が若者の信頼を
「やりたい仕事が見つからない」
「就職活動の方法がわ
からない」
「何社も受けているが合格しない」といった
相談が日々持ち込まれる。
それぞれの悩みを受け止めながら、就職までのワン
ストップサービスを実現するには、若者一人ひとりの
得て、高いレベルで個別対応できるようにする。
各地では朝礼、ミーティング、勉強会、情報交換会
などを頻繁に開催して、いくつかの象徴的ケースや各
カウンセラーの対応、その結果などについて共有し、
それをベースにきめ細かい対応を実現している。
状況に応じた個別対応が求められる。したがってジョ
各地では必要に応じて地域を越えた勉強会・情報交
ブカフェが提供するサービスの中でも、キャリアカウ
換会も実施している。カウンセラーが他の地域を訪れ
ンセリングを最重要のサービスと位置づけて、そのク
たり、数ヵ所の地域が集まったりする。ジョブカフ
オリティを高め続けているのである。
ェ・サポートセンターでは毎年各モデル地域のカウン
セラーを集めた会合を開催している。
●実施時間や対象人数など、各地のカウンセリング実
施手法は、地域の実情に合わせたものとなっており、
さらに各地において試行錯誤を繰り返しながら柔軟に
対応している。
長崎では、予約不要、飛び込みでカウンセリングを
受けられる日を毎週水曜日に設定。一人あたりの時間
は30分と限定するが、続きは次回の正式なカウンセリ
ングにつなげる。これを「ちょこっとカウンセリング」
、
|カ|ウ|ン|セ|リ|ン|グ|に|お|け|る|
|成|功|の|ポ|イ|ン|ト|
ジョブカフェで提供するカウンセリングについては、
次のようなポイントが成功要因として抽出できる。
1. ケース別でのきめ細かな対応
●個人個人の相談内容は、個人情報の管理についての
52
②若者へのサービス(カウンセリング)
解 説
略して「ちょこカン」と呼んで若者にアピール。その
様な職種をカバーする。
「就職」という出口を明確にし
手軽さから新規登録者の増加に効果があった。
たカウンセリングを実施することで、高い就業率を達
愛媛では、グループでのカウンセリングを通じて実
際の就職活動に取り組ませるなど、さまざまなカウン
成している。
大分では、コーディネーターが地元企業を訪問し、
セリング形態を行っている。他の地域でも担当制にし
「大がかりな求人ではなく、いい人材がいたら採用した
て、毎回同じ担当者と継続的に話ができるようにする
い」といった潜在的ニーズをこまめに拾うことで、
「就
などの工夫をしている。
職」につながるカウンセリングを提供している。
●カウンセラーは個別相談以外にも集団カウンセリン
グ、セミナーや研修の講師、グループ就職活動のファ
2. 初回訪問時の対応の工夫
シリテーターなど、一人ひとりの状況に応じたサービ
ス提供に携わる。若者の信頼感を高め、カウンセリン
●初回の対応はとても重要である。インテーク(初回
グのクオリティ向上にもつながる。
面談)として、経験豊富なカウンセラーが最初のコン
カウンセラーを担当制にするか、担当制なしにする
かは各地の若者の動員状況で変わってくる。2回目以
タクトと担当の振り分けを行うことで、その後の対応
が効果的・効率的になる。
降の予約制はほとんどの地域でとり入れている。1回
千葉ではインテーク面談で、一人あたり15分ほど時
あたりのカウンセリング時間は1時間が標準だが、30
間をかけて求職者の現状や要望を聞きだし、最適なメ
分制、2時間制などをとり入れたこともある。
ニューを決める段取りとしている。これにより、若者
千葉では、グループ活動「必勝倶楽部」を継続的に
開催。2週間で内定をとることを目指し、グループで
の効率的なセンター利用を促進し、就業に至る期間の
短縮化を図っている。
お互いに励まし合いながら活動する。カウンセラーが
グループのファシリテーター役を務める。
●個別企業の状況を把握した上でカウンセリングする
ことで、就業効果の高いサービスが実現する。就職と
いう出口を強く意識したキャリアカウンセリングがジ
ョブカフェの特徴といえる。
京都では、求人開拓員がカウンセラーと相談して、
求職者の要望に応じた求人開拓を行いながら独自で求
●若者のタイプを分析して、タイプ別の有効な手法を
人情報を収集。地元の伝統文化産業など京都の多種多
検討することにより、カウンセリングの進化を図る。
53
解 説
②若者へのサービス(カウンセリング)
愛媛、大阪では、求職者の属性や意欲により分類を
行い、最適な支援メニューに誘導している。京都では、
簡単なアンケートにもとづいてタイプを分類し、効率
的な支援に結びつける仕組みづくりを行っている。
●適職診断のような、若者にとって興味があり、かつ
後のアクションにつながるような入り口を用意する。
千葉、岐阜、大阪などでは、パソコンを操作して質
問に答えると適職が示される「簡易適職診断」を無料
で提供することで、イベントの集客力を高めセンター
への来所につなげたり、来所者の興味を引いてカウン
セリングへの誘導を行っている。
・石川:各人の専門分野別の担当
・茨城:TV電話会議による遠隔地との情報共有
・群馬:勉強会などの企業への講師依頼
・各地:研修や朝礼による情報交換など、仕事の中
に育成の仕組みをとり入れることや資格取得・外
部研修などの奨励
・各地:運営の民間企業によるスーパーバイジング
●企業担当者との同行や仕事体験などにより、就業状
●各地の若者を支援するサテライトなどの拠点を効率
況の現実を常に把握することは、効果的なカウンセリ
的に運営するため、TV電話システムや通常の電話、
ングを行うことにつながる。
メールなどを活用したカウンセリングも行っている。
京都、大分などでは、企業開拓担当者と日常的情報
交換を行うことで、企業の最新の状況を把握しながら
カウンセリングにあたっている。また、企業開拓担当
3. カウンセラーのレベルアップ
者との同行による企業訪問は、各地域で適宜実施して
いる。
●カウンセラーが成長できる仕組みを組織的につくり
大阪では、カウンセラー自身がものづくりを体験す
上げる。技術的サポートやケース・情報の共有などが
ることにより、求職者の立場に寄り添う親身なカウン
重要。
セリングに役立てている。
モデル地域では主に次のような取り組みを行ってい
る。
・沖縄:コーチング研修
群馬では、キャリアカウンセラーが企業を訪問して、
求人開拓活動を行う。それにより地域企業のニーズを
つかみ、若者への対応に活用している。
・千葉:分業制による情報の共有
54
・山口:目標管理シートの運営
●セミナーなどのサービスの企画や運営に携わること
・大阪:成功事例を共有するナレッジバケツ
でも、通常のカウンセリングだけでは得られない新た
②若者へのサービス(カウンセリング)
な気づきがある。カウンセラーの仕事はカウンセリン
グだけではない広がりをみせている。
各地とも、さまざまなサービス企画の立案にキャリ
解 説
群馬、茨城、岐阜、京都などの一部モデル地域では、
無料職業紹介とセットになったカウンセリングで、就
職マッチングまで行っている。
アカウンセラーが関わっている。企画のみならずイベ
北海道では、若者の就業促進とカウンセラーの意識
ントの進行、セミナーの講師、研修のトレーナーなど、
向上のため、カウンセリングを行った求職者のうち、
運営に関しても関与している。群馬ではカウンセラー
何人が就職決定に至ったかを定量的に把握している。
の視野を広げるために、イベントのリーダーを任せて
いる。
●他のカウンセラーの育成ができるような人材を確保
する。カウンセラー自身もストレスが大きくフォロー
が必要である。このため、ベテランカウンセラーを採
●全国のカウンセラー間での情報・ノウハウの共有も
用したり、臨床心理士をスタッフとして迎え入れてい
大事なテーマであり、全地域をまとめた活動も必要で
る地域もある。
ある。
宮城、石川、京都などでは若者への対応力を上げる
ジョブカフェ・サポートセンターでは全国レベルで
ために、臨床心理士をキャリアカウンセラーとして迎
の情報・ノウハウの共有を目的に、全国カウンセラー
え入れている。個別の若者への対応や、ほかのカウン
会議の開催やアンケート調査の実施報告、メールマガ
セラーへの指導などで活躍している。
ジンの発行などを行っている。
各地とも経験豊富な人材をチーフカウンセラーとし
て配置している。ほかのキャリアカウンセラーの育成
●若者へのサービス提供者としてのカウンセラーの役
や、チームのマネジメントをミッションとしている。
割はとても大きい。個人個人に応じたサービスの開
発・提供、就職に成功するというゴールまで面倒を見
る姿勢が必要。
55
B若者へのサービス(カウンセリング)
事 例 編
ちょこっとカウンセリング
(略して「ちょこカン」
)
ジョブカフェ長崎
(フレッシュワーク)
カウンセリングの敷居を下げる柔軟な取り組み
|趣|旨|・|目|的|
通常の予約制のカウンセリング(約1時間)では「今す
ぐ相談したいのに」
「予約なんて面倒」等の声が多く聞
かれた。そこでこれらの若者のニーズに応え、新規来
訪者・登録者を拡大し、クチコミによる広報効果を得
るために、週1回「予約なしカウンセリング」の日を設
ける。
|実|施|内|容|
毎週水曜日の定例イベントとして2005年8月より実施。
予約不要・飛び込み大歓迎!のカウンセリングで、時
「ちょこカン」受付カウンター
間は30分間。ちょこカンを知らずに来所された方には、
こちらから率先してちょこカンをアピール。また、短
時間のため、時間不足の来訪者には次回カウンセリン
グの予約を促す。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
A予約は一切不要。B受付に、ちょこカン用の旗をた
てPR。Cどんなに話が長くなっても30分限定(続き
は、次回の通常カウンセリングへ促す)
。D原則ちょこ
カンの日は、事前のカウンセリング予約は入れない。
E毎週水曜の「ちょこカンデー」は、カウンセラー全
員で対応。F受付時間を明確にし、待ち時間が発生す
る場合は書籍等の他のサービスを体験してもらう。G
カルテ記入・登録作業等、カウンセラーの業務負担が
所要時間30分間のちょこっとカウンセリング
大きくなることもあり、シフトの組み方等を工夫した。
|効|果|
「予約がいらないから便利」
「30分だからカウンセリン
グにも抵抗がない」等、利用者より大好評を得る。ク
チコミにより新規来訪者が増加、登録者確保にもつな
がった。また、短時間でのカウンセリング対応が必要
なため、手法の再検討によりカウンセラーのレベルア
ップにつながった。
毎週水曜の「ちょこカンデー」
56
B若者へのサービス(カウンセリング)
必勝倶楽部
事 例 編
ジョブカフェちば
グループでの取り組みによる効果の高い就職活動支援
|趣|旨|・|目|的|
2週間以内で、グループで内定獲得を目指すプログラ
ム。講義や簡単なグループワークではなく、2週間共通
の目標を持った仲間同士の率直なコメントを引き出し、
お互いに学ばせる。また、毎日最低1社応募を行うこ
とを続けさせ、早い内定獲得を目指した。
|実|施|内|容|
[日時]月2回開催 月∼金 9時∼12時
[参加人数]16人
[場所]ジョブカフェちば
[プログラム内容]自己紹介、面接練習、自己分析など
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
A一緒に活動する仲間からの刺激
プログラムの大部分で、カウンセラーからのアドバ
イスだけでなく、率直な意見を仲間からもらう場面
を多く設定。カウンセラーは、ネガティブなことも
率直に感想を言い合えるような雰囲気づくりと、緊
張感を保てるように、ファシリテーションを行う。
B5日連続のプログラムにより、自己成長の実感を持
たせる。
毎日、自分で発表する機会をつくり、毎日1社以上
の応募という宿題を与えていく。それを必ず達成さ
必勝倶楽部でのグループ活動
せていくことで、各自が自己の成長を実感できるよ
うにファシリテーションを行っていった。
|効|果|
参加人数 250名
就職決定者数 197名
就職決定率 約79%(2006年3月末時点)
57
B若者へのサービス(カウンセリング)
事 例 編
カウンセラーの分業制(個人個人の非担当制)
ジョブカフェちば
初回面接で、求職者の現状に応じた適切な担当振り分け
|趣|旨|・|目|的|
上した。
・多くの求職者に対して、限定された人数のカウンセ
・カウンセラー同士が、求職者ならびに問題解決に向
ラーが、高くかつ均質なサービスを提供できる体制
けた情報交換を密に行うことができ、解決策のバリ
を構築する。
エーションが増えたと同時に、カウンセラー自身の
・求職者が、必要なサービスを必要なときに受けられ
スキル向上にもつながった。
るような体制を構築する。
|実|施|内|容|
①求職者が、1人のカウンセラーに依存しないように、
専任ではなく、求職者1人に対して、複数のカウン
セラーからアドバイスを受けられるようにした。
②サービスを機能ごとに細分化し、日ごと・1時間ご
とにサービス担当カウンセラーを決め、サービス提
供することにより、求職者が必要なサービスをタイ
ムリーに受けられる体制を構築した(図参照)
。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
①初回ガイダンス・インテーク面談の強化
初回来訪者に対して、カウンセラーが15分程度で面
談を行い、就活状況を把握し適切なサービスを案内
した。
②データベースを活用した求職者情報の共有
サービスを担当したカウンセラーが、その都度求職
者との相談内容、ならびに問題解決に向けた方策を
入力し、前後の担当カウンセラーと共有した。
③サービスレベルの均質化
使用ツール類の共有化などにより、カウンセラーご
とのサービス内容のばらつきを解消した。
④定期的な求職者フォロー
最終サービス提供カウンセラー、ならびに専任の電
話フォローチームによる定期的な電話フォローを実
施した。
|効|果|
・求職者の満足度は95%を超え、決定率が約8.4%向
58
複数のカウンセラーがさまざまな
サービスを提供
B若者へのサービス(カウンセリング)
TV電話会議による遠隔地との情報共有
事 例 編
ジョブカフェいばらき
遠隔地との情報共有で地域を越えたカウンセラーのレベルアップ
|実|施|内|容|
TV電話会議シス
県内5拠点をTV電話会議システムで結び、主担当カ
門担当のキャリア
テムを活用した専
カウンセリング
ウンセラーと産業特色にもとづく専門担当が連携して、
若年者ニーズに具体的かつ的確なキャリアカウンセリ
ングを地域を飛び越え、擬似対面式にて実施する。ま
た、拠点間(カウンセラー・マッチングコーディネー
ター)の情報交換ツールとして活用する。
遠隔地の専門担当
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
のカウンセリング
若年者と主担当がペアとなり、専門担当カウンセラー
担当
を受ける若者と主
からのキャリアカウンセリングを実施することで、フ
ォローアップを確実なものとしている。また、各拠点
一斉に情報共有することで、サービスの不均衡を低減
させている。さらに、県内高校とTV会議システムを
接続し、学生向けキャリア教育を実施していく。
B若者へのサービス(カウンセリング)
1人でも多くの進路決定者を輩出しよう!作戦
事 例 編
ジョブカフェ北海道
就職に成功するまで面倒を見る姿勢を動機づけ
|実|施|内|容|
ジョブカフェの究極の目的を「若者の自立を促す=就
職させる」ことと捉え、キャリア・アドバイザーに常
にそのことを意識してもらう。
就職決定者の輩出人数をキャリア・アドバイザーごと
に集計し、グラフにして貼っている。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
就職決定の報告を受ける都度、キャリア・アドバイザ
ーが自分でグラフに色を塗るようにし、自分自身で手
ごたえを感じられるようにした。
進路決定者グラフ
就職決定者数が前年比239%アップした。
59
B若者へのサービス(カウンセリング)
事 例 編
カウンセラーと求人開拓員との密接な連携
企業側の最新動向を踏まえた効果的なカウンセリング
|趣|旨|・|目|的|
若者の希望や適性を把握しているカウンセラーと、企
業の求人内容を熟知している求人開拓員が密接に連携
し、求職者の希望を第1優先に考える。求職者の可能
性も考慮した、より具体的でミスマッチの少ないカウ
ンセリングと職業紹介を実現している。
|実|施|内|容|
カウンセラーが若者の希望や適性を把握するとともに、
求人開拓員が企業の意向や求める人材像をきめ細かく
把握。
両者が把握した情報は、毎日の定例ミーティングや日
常的な意見交換の中で情報共有し、カウンセリングや
職業紹介にフィードバックしている。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
カウンセラーと求人開拓員との連携により、日々更新
される求人内容を把握し、企業が求める資質やスキル
を見据えたカウンセリングや職業紹介に役立てている。
さらに、必要に応じて求人開拓員がカウンセリングに
同席することにより、求人カードだけではわからない、
企業の詳細情報を若者に伝えるとともに、求職者の要
望やスキルを踏まえた求人開拓も実施している。
|効|果|
多様化する若者のニーズにできるだけ応えるため、今
後とも積極的な求人開拓に努めるとともに、カウンセ
ラーと求人開拓員との連携を一層に密にし、よりミス
マッチの少ない職業紹介の実現を目指していく。
60
カウンセラーと求人開拓員が同行して企業を訪問 ジョブカフェ京都
B若者へのサービス(カウンセリング)
初めてのカウンセリング(インテーク面談)
若者のタイプ別に最適なサービスを提供
事 例 編
岐阜県人材チャレンジセンター
(ジンチャレ!)
|実|施|内|容|
初回来訪時に、求職者全員に対してショートカウンセ
リングを実施する。求職者の課題などを見立ててから
ゾーニングし、センター内で提供するさまざまなサー
ビスから求職者に有効なサービスを提供する。また、
利用者層のマーケティングを行うことで、効果的な就
職支援策を構築する。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
求職者のゾーニング(5分類)を行うことで、求職者の
40%が希望する職種が明確であることがわかった。し
新規来訪者向けの面談をするキャリアアドバイザー
かし、初回来訪から3ヵ月経過時点の就職決定率が
求職者分類
①希望職種あり・言語化OK/条件OK
②希望職種あり・言語化NG/条件OK
③希望はないが早く就職したい
④希望はあるがこだわりはない
⑤本当はこだわりがあるが出せない
22.4%と低く、インテーク面談から就職決定に結びつ
く適切なサービスへの接続が今後の課題。
B若者へのサービス(カウンセリング)
インテーク面談
事 例 編
ジョブカフェ京都
若者のタイプを見極めて、適切なサービスにつなげる
|実|施|内|容|
ルを適切に見極めることにより、手戻りのない効果的
多様な求職者の状況をいち早く見極め、必要な支援の
なカウンセリングシステムの確立に役立っている。
段階を決定することをインテーク面談の主眼とし、そ
の後の支援の効率向上を目的とする。
経験豊富なカウンセラーが中心となり、初回来所者に
対して短時間の面談を行う。そこで来所者の求める支
援内容と、来所者の経歴や現状から必要と判断される
支援とを面談者が客観的に聴き取り調査し、担当カウ
ンセラーへ引き継ぐ。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
求職者の就職活動レベルを4ランク程度に分け、それ
に応じたカウンセリングを行うことにより、効率的で
実効性のあるカウンセリングシステムを実践している。
必要な支援を的確に把握するインテーク面談
インテーク面談において、初回来所者の就職活動レベ
61
B若者へのサービス(カウンセリング)
事 例 編
シゴト発見カフェ
ジョブカフェちば
センター以外でのカウンセリングサービスでセンター来所につなげる
|趣|旨|・|目|的|
適切なメディアが少ないため、若者が多く集まる場所
でのプロモーションを計画し、ジョブカフェの知名度
アップを狙った。また、適職診断というジョブカフェ
ちばの中でも、人気が高いサービスをジョブカフェち
ば以外で実施することによる、集客効果が高いのでは
と考えた。
|実|施|内|容|
[場所]
TOKYO-BAYららぽーと 1 1Fセンターコート
TOKYO-BAYららぽーとでの「シゴト発見カフェ」
[日時]
2005年3月15日∏∼3月18日ª 11時∼20時
適職診断用コンピュータを会場内に配置し、無料で診
断サービスを実施。カフェコーナーも併設し来場者は
無料で利用できるようにした。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
A若者が入りやすい雰囲気の演出
・オープンな雰囲気を出すために、イベント会場をで
きる限り、自由に出入りできるレイアウトに設計。
Bカウンセラーによるフィードバックとサービスの案
内
・コーヒーを飲むスペースを用意することで、リラッ
クスして、診断内容をフィードバックができ、その
後のサービス案内を効果的に行うことができた。
・スタッフコスチュームを統一し、徹底的に「ちば若
者キャリアセンター(当時)
」のロゴをPRする演出
をした。あらゆるところにジョブカフェの内容を掲
示し、すべての参加者にジョブカフェの案内を徹底。
|効|果|
4日間で、4,355名が利用。今までのイベントの中で、
最大の利用数であった。また、マスコミにも新聞5回、
TV放送1回とり上げられることとなった。
62
適職診断をする若者たち
B若者へのサービス(カウンセリング)
目標管理シートの運営
事 例 編
ジョブカフェ山口
カウンセラーが成長できる評価の仕組みづくり
|実|施|内|容|
ンセラー個々のイメージが明確になった、B自立化後
キャリアカウンセラーの専門性等の資質の向上を図る
の運営の中心となるリーダーの育成につながった、C
ため、カウンセラーに対し目標管理制度を導入し組織
レベルアップのため、資格取得(カウンセラー資格以
的に対応することとする。
外)を目指すものが増えた。
「目標管理シート」を半期に1度提出させ、面談により
チーフカウンセラーによる
個人の目標管理を確定し、チーフカウンセラーが中心
アドバイス
となって目標の進捗管理を行いながら専門性のレベル
アップを図った。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
目標管理による個人面談の中で個人個人の専門性の向
上と、
「目標管理シート」の内容を日々のカウンセリン
グにどう活用するかのアドバイスを行った。
個々のキャリアカウンセラーの目標が明確になること
により、次のような効果があった。A自立化後のカウ
目標管理シート
B若者へのサービス(カウンセリング)
コーチング研修
事 例 編
沖縄県キャリアセンター
カウンセラーの成長を促進する研修制度
|実|施|内|容|
けでなく、学びを通して自らを振り返り、自己成長
カウンセリングの中にコーチングのスキルをとり入れ、
の機会を与えてくれる場となった。
職業選択において意味のある変化や行動を起こし、納
以上により、キャリアコーチ個人だけでなく、全体の
得のいく選択力をつけていくことを支援する。研修は
スキルアップにつながった。
グループワークを中心に行い、クライアントとキャリ
アコーチの関わり方を体感して習得するように実施。
2日間の研修を6回実施。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
A個々のキャリアコーチが持ち味を活かしつつ就職相
談の中で、コーチングスキルを意識化して応用でき
るようになった。
Bグループワークを通してチームの信頼関係が深まっ
た。
Cクライアントを理解するスキルや知識を習得するだ
オープンな雰囲気の沖縄県キャリアセンター
63
B若者へのサービス(カウンセリング)
事 例 編
高等職業技術専門学校での「ものづくり体験」
仕事の体験によりカウンセラーのレベルアップを実現
|趣|旨|・|目|的|
ものづくり体験科目を受講することにより、ものづく
り職種希望者への的確な相談を可能にし、あわせて高
等技術専門校への応募の誘導を促進する。
|実|施|内|容|
松原高等職業技術専門校において、JOBカフェOSAKA
のキャリアアドバイザー等が受講。内容は、溶接体験・
機械加工体験、施設見学など。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
旋盤体験
単なる専門校の見学・勉強会に終わらず、実際の実技
を体験することで、よりリアルな情報を求職者に伝え
ることができるようにした。
|効|果|
今までパンフレットなどからの情報でしか知りえなか
った内容を実体験することで、リアルな職種情報を提
供できるようになった。参加したアドバイザースタッ
フの満足度は非常に高く、就職支援サービスの向上を
図ることができた。
鉋による木工体験
溶接に挑戦
64
JOBカフェOSAKA
B若者へのサービス(カウンセリング)
カウンセラー会議
事 例 編
全体
全国カウンセラーの交流により全体のレベルアップを実現
|趣|旨|・|目|的|
現場で活躍しているカウンセラーを対象に情報交換の
場を設けることにより、各地の優れた手法が全体の知
的財産になる。それがカウンセラーの成長と同時にモ
チベーションの向上につながることを期待する。
|実|施|内|容|
事前アンケートをもとに各地が発表を行う。
アンケートの質問項目は、
①共有したい情報、いい話・事例、参考になる企画、
感動エピソード
②若者を変えたきっかけ(あの一言、あの取り組みな
ど)
③現在考えている課題 ④各地に聞いてみたいこと
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
充分な情報交換とディスカッションができるように、5
地域ずつに分けて4回開催した。それにより期待通り
各地の工夫や特色が共有できた。
各グループにおける討議内容は議事録としてまとめ、
全体で共有した。通常はお互いに接する機会がないカ
ウンセラー同士の意見交換やアドバイス、優れた活動
の内容共有、さらには同じ志で全国各地においてがん
ばる仲間としての連帯感につながり、モチベーション
が向上する効果も期待できる。
|効|果|
定期的に開催してほしいという声があがっている。こ
れを機会に全国のカウンセラー間でネットワークがで
きて、必要に応じて随時情報交換やアドバイスができ
る体制になれば全体のレベルアップにつながる。
4回に分けて行われたカウンセラー会議
65
「若者へのキャリアカウンセリングのあるべき姿を追って」
従来の日本におけるキャリアカウンセリングでは、中高年向けのセカンドキャリア支援や、斡旋や派遣な
どの人材ビジネスにおける転職支援といった、就業意識が充分に形成された“大人”向けのものが主体であ
った。それに比べて自立前の若者に対するカウンセリングは、精神的発達や学習促進を目的としたものが多
く、ジョブカフェの登場まで若者向けにキャリアカウンセリングが大々的に行われることは少なかった。
ジョブカフェでは若者の就業を促進させるようなキャリアカウンセリングを行ってきたが、これまであま
り実績がない中で各カウンセラーは、経験不足を熱意で補いながら、常に向上を図ってきた。その甲斐があ
ってジョブカフェにおけるサービスのうちで、最も利用者からの評価が高いサービスになっている。
カウンセラーのスタンスに関しても「あくまでプロとして客観的・冷静に接するべき」というクールなス
タイルと「多感な若者に対しては共感性を重視し、感情を共有しながら接するべき」というホットなスタイ
ルがある。どちらが正解というわけではなく、多様な若者の状況に応じてカウンセラーはスタンスを決めて
いる。
各地域においてその名称も若干異なる。一般的にはキャリアカウンセラーもしくは相談員だが、キャリア
アドバイザー(北海道、岐阜)、キャリアコンサルタント(群馬、福岡)、ジョブサポーター(石川)、キャリ
アコーチ(沖縄)など各地で違いがある。
対象とする若者も多様であり、就職をゴールとするものの、中には現状では就職するのが難しい人もいる。
そういう場合は手が届く目標をステップごとに設定しながら、一歩ずつ進むことが必要になり、就職を焦っ
てはいけない。とはいえ常に前進を心がけないと、いつまでも滞留してしまい若者の行動が促進できないと
いうジレンマもある。
就職が困難と思われる若者の中には、メンタルヘルス上の問題など考えられるケースもあり、ジョブカフ
ェとして関われること、関わるべきでないことなどの線引きも必要になってくる。そのようにひとつひとつ
経験と実績を積み上げながら、新たな日本における若年者向けキャリアカウンセリングを向上させてきたの
である。
3
キャリアカウンセラーの つの役割
ジョブカフェにおけるキャリアカウンセラーの役割は多岐にわ
たっている。目的は、「来談者の就職支援」と非常にシンプルなも
のだが、実際の来談者は次頁以降に述べるように、さまざまなタ
イプがある。この多種多様な来談者が「就職」というひとつのゴ
ールに向かっていくためには、いくつものアプローチ、役割を持
ちながらで支援をしていく必要がある。その役割は、ï情報提供
者としての役割、ñ心理的支援者としての役割、ó教育者、指導
者としての役割──の3つが考えられる。
66
ï──情報提供者として
ジョブカフェの対象者である若年層は、労働市場情報や、基本的な就職活動のやり方、社会人としての
ビジネスマナーなどの知識が不足しているものが多い。そのため、これらの情報、知識の提供が非常に重
要になってくる。ただ単に、その場にある情報を右から左へ一方的に提供すればよいということではなく、
相手に応じた提供の仕方の工夫が求められる。
たとえば、就職に関する情報過多により、かえって動けなくなっている層には、あふれる情報の中で、
その人にとって「何が重要で何が重要でないか」、情報の整理方法をともに考える。インターネットやマニ
ュアルの情報に頼りがちな来談者に対して、「経験者募集」と求人情報には載っていても、本当にやってみ
たければ応募してみると採用されることもあるなど、マニュアルには載っていない実際の就職活動ノウハ
ウを提供する。就職に関する情報を的確に提供することによって、ともすれば、不安いっぱいで就職活動
すること自体にしりごみしている来談者の背中を押すことが可能になる。
ñ──心理支援者として
来談する人々は、「不安」や「焦り」、時には「挫折感」を持ったり「自信喪失」していたりなど、どち
らかと言えばネガティブな感情を抱えていることが多い。
「あなたの助けになりたい」というメッセージを発しつつ話を聞くことで、心理的な支えになり、安心
したり、勇気をもって活動できるように支援をすることは、非常に重要でかつ基本的な役割である。就職
活動はともすれば、孤独な行為である。入社を断られると、自分の全人格が否定されたような気分になる
こともあり、「伴走者」として時に見守り、時にペースメーカーとなり、時には少しリードするような役割
を担うことが求められる。
ó──教育者、指導者として
対象が若年であること、就職活動という、本人の態度や姿勢が問われる場面に関わっていることから人
間教育の場としても重要といえる。ただ話を聞き、本人が動き出すのをじっと受容的に待つだけでなく、
本人に不足していると思われることを見極め、それをいかに伸ばすかという視点が求められる。それは、
就職活動のテクニック(字をていねいに書く、マナーなど)だけではなく、人間教育の視点が特に大きい。
たとえば他者依存的な傾向が見受けられる場合に、単にそれを指摘するのではなく、さまざまな関わりの
中で、本人が自立的な行動ができるように工夫をこらすというようなことである。カウンセラー自身の経
験や思いを伝えることで、若者にプラスの影響を与えることも少なくはない。
このような役割を、それぞれの来談者に対してバランス
ジョブカフェにおける主要なケースの分類
よく的確に使い分けながら支援していくことは、困難かつ
ケース1 コミュニケーションが苦手
複雑な作業である。全国から寄せられたさまざまなケース
ケース2 何がやりたいかわからない
は、これらの役割を存分に発揮して来談者の支援をしてい
ケース3 どこかに入りたい
(安易、どこでもいい)
るキャリアカウンセラーの奮闘振りが伝わってくる。その
ケース4 自信がない
根底には、キャリアカウンセリングという役割を超えて
ケース5 安定志向・地元志向・公務員志向
「あなたの役にたちたい」という強い思い・心意気が流れて
おり、その思いが通じることによって、結果的に若者たち
が一歩を踏み出せるきっかけとなっているように見受けら
ケース6 高望み・夢追い
ケース7 親・保護者への対応が必要
ケース8 行動しない・動かない
れる。ジョブカフェにおける若者へのカウンセリングケースの分類にあたっては、全国のベテランカウンセ
ラーの意見をもとに、各地から特徴的で印象的なケースを収集した。最も特徴的な8つのケースにもとづいて、
それぞれの内容・見立て・経緯などについてまとめている。
ケースごとに分類して述べているが、実際は明確に分類できるわけではなく、複合的な問題としてそれぞ
れがクロスオーバーしている場合が多い。個別の事例については個人が特定できないように抽象化・脚色化
している。結果については事例収集時のものなので、その後の進展については反映していない。以下は8つの
主要なケースについて解説する。
67
ケース1.コミュニケーションが苦手
このケースでは、人とのコミュニケーションに苦手意識があるので、就職面接においても適切な応対がで
きず不採用が続き、より一層自信をなくすという悪循環にはまっているパターンが多くみられた。
これらのケースについては、キャリアカウンセラーが来談者といかに相互信頼の関係をとり、協働体制が
作れるか、がポイントとなっていた。背景も、ひきこもり体験や過去のいじめ体験、親子関係、疾患が語ら
れることが多く、支持的によりそうことも必要である。
ただ、過去の辛い体験に焦点が向かいすぎると、この場の目的である「就職」までの道のりが遠くなった
り、来談の目的がぼやけてしまう可能性がある。来談者の体験に共感しつつも、「就職支援」の場という枠組
みの中で、現実に即した支援を心がけることがポイントとなる。
<コミュニケーションが苦手のケースの対応について>
・支持的にじっくり話を聞く(過去にいじめ体験や人間関係トラブルがある場合が多い)
・見かけたら声をかけるなど積極的な関わり
・自己肯定感を高められるように、本人の長所、強み発見などのワーク、話し合い
・グループ参加を促し、同じような状況にある人との分かち合いの機会をつくる
・話し方、姿勢など具体的な面接指導
・人付き合いが苦手な本人に向く(本人ができそうだと思える)職場の紹介
年齢性別
30代前半
男 性
来談理由
印 象
対応と経過
結 果
就職を希望して来談。今
自分中心的な考えが強
職場の悩みを具体的に傾
就職。コミュニケーショ
まで就職しても、人間関
く、そこでうまくいかな
聴しながら、そのひとつ
ンの大切さを意識するよ
係が原因で短期間に退職
いといじめられたという
ひとつの場面について振
うになった
をくりかえす。自分の価
受けとめ方をする。人に
り返りを大切に進める
値観と合わない人とどう
対して神経質になってい
してもうまくいかなくな
る
る
20代前半
現在、国家資格を目指し
他人に認められるために
人に受け入れられる体験
就職。表情も明るくなり、
勉強中。学生時代にいじ
は資格しかないと没頭し
を増やすために、コミュ
グループにとけこみ受け
めを受けた
ている。表情も乏しい
ニケーションセミナー、 入れられることで、積極
男 性
希望職種に関連する事業
的になった
所へのインターンシップ
やグループ活動への参加
大学留年中
男 性
慎重性が高い、話しが長
ず。単位不足で、卒業で
く要点がわかりづらい。 ける。各回面談終了時に、
きないことが判明し、シ
自尊心が低く、うまくい
すぐに次の予定、課題を
ョックで引きこもりがち
かないとすぐ活動をやめ
本人と決める。フォロー
そう
を頻繁に行う
内定獲得
就職希望で来談、いじめ
過去の人間関係を思うと
まずはできることから始
徐々に人と関わることか
20代前半
を受けていた過去があ
就職することに不安。意
めようという方針を伝え
ら始めることを目的に、
女 性
る。人が怖い、家に引き
欲が沸かない
る。話し方、
「表情」
「声」 まずはパートで就職
こもっている
68
まめにこちらから声をか
就職活動するも内定とれ
「姿勢」の指導
ケース2.何がやりたいかわからない
「何がやりたいかわからない」と訴えるケースには、「就業意欲のあるグループ」と「就業意欲がそがれて
いるグループ」の2つに分類される。「就業意欲のあるグループ」については、さらに2要因に分かれる。
ひとつは、情報不足で職業イメージがわかず、頭だけで考えてしまって動けないもの。このグループの特
徴として「やりたいこと」を見つけてからでないと具体的な就職活動に入れないと思い込み、足がとまって
いるケースが多い。この思い込みのため、「自己分析」「自分探し」に没頭しそこから抜けられなくなってい
る。これに対しキャリアカウンセラーは、具体的な情報の提供を行いながら、「適職はひとつではない」「や
ってみないとわからない」「これで一生が決まるのではなく、やってみて違ったら変更も可能だ」というメッ
セージを伝え、まずは「動いてみる」背中を押す役割を担っている。
もうひとつは、情報過多で選べなくなっているもの。とにかく就職しなくては、と気ばかり焦り、とりあ
えず活動してみるのだが、的が絞られていないため志望動機などが明確でなく、結果不採用になることが多
い。このようなケースについては、焦りを受け止め、情報過多によって「あれもこれもやらなければ」と思
っている来談者の混乱の整理と、ひとつひとつ段階を追った具体的な行動支援を行っている。
その一方で、そもそも「就業意欲」がそがれてしまって投げやりになる姿勢が「やりたいことがわからな
い」という言葉で表されているケースも見受けられた。これらの場合は、投げやりになってしまっている背
景の理解に努め、気持ちを受け止めつつなぜそう思ったのか整理していく過程が重要になる。特に就業意欲
の低いケースの背景には、親との関係や、本人の受動的な性格などが関係していることもあり、そのような
場合の介入には困難さが伴う。
<就業意欲があるケースについて>
・じっくり話を聞き、焦る気持ちを受け止め、動けない理由を明確にする
・具体的な就職活動のステップを理解し、実行する支援
・グループへの参加で同じ状況の人がいることでの安心感や情報交換支援
<就業意欲がそがれているケースについて>
・じっくり聞くことを優先し、理解を示し怒りや焦りを受け止める
・自分にとっての「仕事」を「自分で」考えることをサポートする
・長所を発見することでの自己効力を高める
年齢性別
来談理由
印 象
対応と経過
結 果
公務員をあきらめたが、 やりたいことがわからな
職業興味検査を実施し、 興 味 を 明 確 に す る こ と
20代後半
これからどうしたらよい
いので、とりあえずいろ
やりたいこと、興味ある
で、志望動機を面接で話
男 性
か。求人に応募するが落
いろな求人に応募。結果
ことを絞る
せるようになった
とされる
志望動機があいまいに
自分の興味を考えている
絞ることにこだわり、動
気になる企業があるのな
本人も気が楽になりフッ
と、ありすぎて絞れなく
けない状態。焦りもある
ら、絞らずに受けてみて
トワークよく活動
20代後半
女 性
20代前半
女 性
20代後半
男 性
なってしまう
は、とアドバイス
自分が何に向いているの
頭の中であれこれ考え、 アルバイト経験で「得た
かわからない
動けなくなっている
就職
こと」や自分の長所を整
理
公務員志望変更。何をし
たらよいかわからない
慎重で行動できない
行動支援に焦点をあてて
就職
支援。グループへの参加
を促す
69
年齢性別
10代後半
女 性
来談理由
印 象
対応と経過
結 果
就業経験なし。何をした
親の価値観との葛藤があ
じっくり話を聞き、サポ
就職・前向きに活動でき
らよいかわからない。ア
り反抗的、無気力になっ
ートする姿勢を伝える適
るようになった
ルバイトに応募するが、 ている
性や興味について話し合
どれも親の気に入らず働
う
けずにいる
ケース3.どこかに入りたい(安易、どこでもいい)
「どこでもいいから入りたい」というケースには、年齢的、経済的なことを考え「定職につきたい」とい
う強い希望があるがために、焦り空回りしてしまっているケースと、積極的に「これがしたい」というもの
がないから「どこでもいい」というケースが見受けられた。
焦りのあるケースについては、そもそも働いた経験がなかったり、フリーターの期間が長く、正社員経験
のない来談者が多い。これらの来談者は、基本的な就職活動の知識や、社会人としてのマナー知識が不足し
応募しても不採用になる傾向がある。そのためキャリアカウンセラーは、テクニックとしての就職活動知識
を提供し、効率のよい活動をすることができるように支援している。
「とにかくどこでもよい」という思いから応募企業の面接で、志望動機を語ることができなかったり、
「強
み、弱み」を無視して、自分に合わないと思われる企業にも応募してしまうなど非効率な動きが増えてしま
う傾向にある。焦る気持ちを受け止めつつ、まずは落ち着いて自分の興味、関心を整理し、それに合わせた
就職先の選択を支援している。
一方で、積極的な「これがしたい」がないため「どこでもいい」となっているケースについては、背景が
さまざまである。就職すること自体に抵抗があったり、親などへの反抗だったり、自信がないことへの裏返
しだったりする。
「どこでもいい」背景をじっくり聴きながら受け止め、明確にすることを心がけて、その上
で「どこでもいい」それぞれの理由に対応することが効果的。
「「何でもいい」の背景はさまざまであり、「何でもいい」と言いながらも、よく聞けばいろいろな要望が
でてくる」こともある。
<焦りがあるケースについて>
・焦る気持ちを受け止める
・まずは落ち着いて自分の志望、興味を明確にする
・きめ細かいアドバイスによる具体的な行動支援
・基本的な就職活動や、社会人マナーについての教育
<積極的な理由がないケースについて>
・本人の姿勢を尊重しつつ、じっくり話をする
・本人の「どこでもいい」理由を明らかにする
・背景にある理由や仕事に対する要望を整理して一歩ずつ前に進む
70
年齢性別
来談理由
印 象
対応と経過
結 果
アルバイトの職歴は多い
経済的な問題もあり焦っ
落ち着いて考えられるよ
数ヵ月後に派遣社員とし
が、なかなか就職できな
ている。自信を失ってい
うに支援。本人と話し、 て採用
20代後半
い。体調も悪く、経済的
る
まずは経済基盤をつくる
女 性
な状況から、どこでもよ
ことを優先。自己分析を
いので就職をしたい
し、具体的な行動を支援
アルバイト職歴が多く、 定職に就きたいという強
強い意志を支持し、具体
将来に不安があり定職に
的なノウハウを伝える。
い意志がある
20代後半
つきたい。しかし何に向
自己理解を行い、自分の
男 性
いているのかわからない
スキル、望みを整理した。
就職
望みにむけて必要な資格
取得を支援
大学女性
とりたてて「何をしたい」 積 極 的 な 動 機 で な い た 「条件で仕事を選ぶのは
内定。自分自身の「よさ」
という動機がない。残業
め、企業を納得させる志
悪いことではない」と伝
を発見できるようになっ
がなく休みがきちんとと
望動機やPRができない
え、本人の強みを見つけ、 た
PRできるように支援
れる仕事であれば何でも
よいと思っている
どこでもよいから就職し
自分の考えが持てず、自
じっくり話を聞き、子ど
たい。アルバイトで働い
信がない。自分で決めら
もの頃からのことで、自
20代前半
てきたが、社員を希望。 れない(どこでもよい=
分で決めたエピソードを
女 性
しかし落ち続けている
意思がない)
就職
話すことで自己効力感を
感じてもらうことができ
た
短大女性
どこでもよいので地元で
焦り、目標を見失ってい
気持ちを受け止めつつ、 他も調べたがやはり専門
就職したい。短大で専門
る
専門性にこだわらず、他
職種への思いが再確認さ
資格取得後、関連の内々
の職種業種も探してみる
れ、両親を説得。専門分
定をとるが、親の反対に
ことを支援
野へ就職
より辞退
ケース4.自信がない
「自信がない」理由はさまざまである。ひとつは、労働市場、就職活動の方法など、就職に関しての情
報・知識が不足していること。2つには、情報過多のため、行動に移る前に不安になっていること。3つめは
就職活動をしてみてうまくいかず、自信をなくしていること。4つめは、性格的な問題でそもそも自己評価が
低く、なにごとにも積極的に動けないこと。
まず、「情報・知識が不足している」グループに対しては、具体的な情報、基本的な就職活動の知識を提供
し、「わからない」ことによる不安を解消することが行われていた。2つめの「情報過多」のグループには、
情報の整理と焦りを落ち着かせること、ひとつひとつ段階を踏んで自分の志向を整理し、行動目標を設定し
ていくことを行っていた。
3つめの「活動してみて失敗が続き自信をなくしている層」については、就職で断られることはどうしても、
自分自身を否定されたことと捉えられやすいため、自信喪失につながりやすい。この自信喪失に対しては、
「就職テクニックの問題」、「あなたの強みと相手の欲しい強みのミスマッチ」であり「あなた自身が人間とし
てダメだと言われたわけではない」というメッセージを伝えることが効果的。また、「あなた全部」がだめな
のではなく、課題はどこかを探し、特定することで改善可能であるということを伝え、本人の挫折感の緩和
を心がけていた。
4つめの本人の自己評価の低さに対して、自己評価をあげる工夫として、課題を与え、実行できたらほ
71
めるということを繰り返し、本人の充実感や有能感を高めることも行われていた。また過去の小さな成功体
験を掘り起こし、確認することも有効である。伴走者として「ひとりではない」「いつでも相談できる」「気
にしてくれる人がいる」と感じられる存在であるだけでも、キャリアカウンセラーは大きな役割を果たして
いると考えられる。
<自信を失っているケースについて>
・気持ちを受け止め、支援する姿勢を伝える
・具体的に励ます、過去の成功体験の評価、強み発見などで自己効力感を高める
・具体的な課題を与え、ステップを踏んで就職活動が進んでいる実感を持つ
・具体的な情報や必要な知識を提供し、
「わからない」不安を解消する
・就職活動に挫折感を持っている来談者に対して、技術的な問題点をともに明確にし、改善
の具体的な対策を考える
年齢性別
30代前半
女 性
来談理由
印 象
対応と経過
今までとは異なる分野の
自分に自信がなく、自己
今までの職務経歴の棚卸
仕事に就きたいと思った
PRに乏しい
しでアピール材料を見つ
が経験がないため不安。
結 果
就職
け自信をつける
今までほとんど就職活動
をしたことがない
大学女性
一次面接で落ちることが
姿勢が悪く、視線も合わ
第一印象を率直に伝え具
多い
せず話し方にくせがあ
体的な修正点を指導
就職
る。落ちてばかりなので、
卑屈になっている
大学女性
20代後半
男 性
看護士を目指してきた
まじめで几帳面な性格な
看護士になりたい理由、 気が楽になり、看護士へ
が、実習などで自信がな
のであれこれ思い悩んで
何について不安を感じて
資格を生かした業界に就
くなってきた
しまっている
いるかをじっくり聞く
職
定職に就きたい。長期間
社員経験がなく、フリー
フリーターの期間、自分
資格を生かした業界に就
フリーターとして働いて
ターであることに引け目
にどのような成長があっ
職
いる。学生時代に資格を
を感じている
たか、自分が得たことに
とったが就活失敗。でき
気づいてもらう
れば資格を活かしたいが
フリーターの経歴のため
自信が持てない
定職に就きたい。就職活 「やりたいこと」を明確 「やりたいことを見つけ
72
20代前半
動のやり方がわからない
にしなければいけないと
ないと応募できない」と
男 性
し、自信もない
いうプレッシャーに囚わ
いうかたくなな気持ちを
れている
ほぐす具体的な行動支援
就職
ケース5.安定志向・地元志向・公務員志向
「公務員志向」の背景には強い安定志向や地元志向が働いているようである。「公務員になって何をしたい
か」ではなくただ「公務員になること」がゴールになっているために、仕事内容についての理解が浅く、志
望動機が不明瞭で試験に受からないケースが多くみられた。
「社会に出ることの不安」、「競争の厳しい民間企業ではやっていけないのではないか」という自信のなさ
の裏返しとして公務員を志望する来談者も、一定の割合で存在した。その場合は、試験に逃避する原因への
支援が必要であった。相談の中でそのような不安、自信のなさに触れていくことで変化が促されるケースも
ある。
公務員志望をあきらめ方向転換した際は、どのような就職活動をすればいいのかとまどう傾向がある。そ
の場合、挫折感を受け止めつつ、本人の志望を再度確認しながら情報・知識を与え、本人の希望する方向に
進む支援を行っていた。
公務員志望、地元志向のある来談者については、その背景を常に意識して支援する必要がある。キャリア
カウンセラーは安定志向、地元志向も含めた強いこだわりを尊重、実現の支援をしつつ、視野を広げたり発
想の転換を促す工夫をしている。
「公務員志望の場合は、まず本人の気の済むまでやっていただくしかない」という声もあった。本人の
「十分やったからもうよい」という納得した気持ちがないと、他の方向を探る新たな一歩は踏み出しにくいよ
うである。
<安定志向・地元志向・公務員志向のケースについて>
・こだわりを尊重しつつ、なぜ公務員になりたいのか、を明確にすることで現実検討を促す
・志向の理由を明確にすることで、対象職種を広げる
・公務員試験をあきらめた場合は、その挫折感を受け止める
・ただ、「なりたい」だけで仕事内容の理解が不足している来談者には、情報収集の指示、お
よび提供を行う
・試験を受け続けることのデメリットも整理する
・試験に落ちた場合のことも視野に入れるようにアドバイスする
年齢性別
来談理由
印 象
会 社 が 破 綻 し て 失 業 。 努力と工夫を続けていた
20代後半
女 性
「一生働ける」公務員志
向になったが、公務員試
対応と経過
本人の安定志向を尊重し
職場がなくなった悔しさ
ながらも、「一生働ける
の反動で公務員志向に
なら、公務員でなくても
験失敗
結 果
財団法人に就職
よい」と確認し、対象を
広げた
司法浪人をあきらめ、民
法務関連に興味はある
自分の挫折体験を前向き
20代後半
間企業への就職を考え
が、働いた経験がないた
に捉えられるように。自
男 性
る。法律関連資格がいく
め応募する自信がない
分の関心のある分野での
つかある
希望業界はあるが、地元
大学院女性
就職
就職を支援
地元を離れる不安が強い
不安要素を早い段階で整
志向が強く転勤の有無が
理。新天地での楽しみ、
ネックになり応募できな
可能性についてさまざま
い。結局興味のない地元
な視点で話す。同様の状
企業に応募して落とされ
況の内定獲得者のケース
る
を伝える
希望業界に就職
73
年齢性別
来談理由
印 象
対応と経過
公務員試験、教員採用試
常に面接がうまくいかな
自己分析、情報収集によ
20代後半
験に落ち続けている。早
い
り相手に有効な自己アピ
男 性
く受かって安定した職に
ールを練り、面接に特化
就きたい
したトレーニング
短大女性
安定志向が強く、地元の 「大手」の条件で選んで
なぜ「大手」「地元」な
いるので、個別の会社に
のかをじっくり考える支
対する志望動機が書けな
援をしたところ、志望動
い
機が書けるように
大手企業で働きたい
結 果
地方公務員として就職
大手企業に就職
ケース6.高望み、夢追い
「高望み、夢追い」ケースは、まさに「夢」は語るが現在の姿との格差が大きかったり、語るばかりで実
現のための行動を起こしていないものがほとんどである。来談者は、「夢」を漠然としたイメージとして持っ
ており、実現した姿を想像するだけで満足してしまっているところもある。
その「夢」を否定することなく、実現のための「道筋、ステップ」をともに考えることで、本人が、「夢」
を「現実」として捉えるようになることを支援する必要がある。「夢」までの長い道のり、数多くのハードル
を考えた時に、「とても無理」と考えるか「それでもやりたい」と考えるかが、現実的な意思決定の第一歩に
なる。夢を現実のレベルまで降ろしてくることが仕事になっているが、このような作業をしても、まだ動か
ないまま「できる」と思い込んでいる相談者に苦慮することが多いようである。
中には「夢を追い続けてきてしまったが、このままでよいのだろうか」と不安を感じて来談するケースも
見受けられる。このような場合は、本人の動機が高まっているので、「夢」と「現実」を再検討するよい機会
になる。再検討することで、方向転換したり、「夢」の実現を進めるためのより具体的な方策を考えるといっ
た一歩進んだ支援ができる。また「夢」をじっくり聞くことで、背景にある現実逃避を直視する機会となる
こともある。
「夢」の背景を考えることも必要である。いくつかのケースでは、就職状況が厳しいので「資格」をとれ
ば道は拓けるとの思いから、「夢」として資格の必要な職(気象予報士、弁護士など)を語る来談者も見受け
られた。純粋にその職業に就きたいのか、現実逃避的な「夢」なのか、本人が向き合えるような支援も重要
である。
「大それた夢」「現実感乏しい」と一方的に判断してしまったが、実際に「夢」をかなえたケースもある。
「ともに信じることができなかった」とキャリアカウンセラーの反省の弁も聞かれた。「夢」は若さの特権で
もあり、その現実的な判断は難しい。
<高望み、夢追いケースについて>
・「夢」を支持し傾聴する
・「夢」を持つに至った背景を振り返る(なぜ、なりたいのかを自分の言葉で説明できるか)
・「夢」の具体的な実現方法を明らかにする支援、情報提供をする
・具体的な実現方法を考える中で、現実検討を促し、方向転換するのか、実現のために踏み
出すのかの意思決定を支援する
・「夢」を追うことのデメリットも整理する(年齢が上がると他分野就職が難しいなど)
74
年齢性別
来談理由
印 象
対応と経過
結 果
専門学校生。海外で、現
今のスキル、ツテのない
本人のビジョンは尊重
国内で学んだことに関連
在学んでいる関連の仕事
中では難しい。今日本で
し、そのために今やれる
する仕事に就職
に就きたい
できることに目を向ける
ことをともに考える
高学歴だが、現在まで定
周りからの目を大変気に
過去を認めること、現実
30代前半
職なし。今からでも有名
する。プライドが傷つく
を直視すること自己分析
男 性
企業に就職したい
ことから逃げている。行
20代前半
女 性
地元企業に就職
動に踏み切れない
人間力に優れており、社
人生の選択肢を広げるた
気になった会社に内定し
ツで、プロになりたい。 会人として十分に活躍で
めに多くの合同説明会に
たが、その後プロへの道
特殊なスポーツでなれる
きる人材と思われる
参加を促す
が開け、内定辞退
企業に就職
今までやってきたスポー
大学男性
可能性はかなり低い
有名大学中退。以降長期
現実を知ってもらうこと
本人の希望を尊重し、僧
20代後半
にフリーターだが僧侶に
が必要
侶になる方法の研究。同
男 性
なりたい
時に企業担当者との接触
頻度も上げる
大卒後、民間企業を1年
現実を知ってもらうこと
希望を否定せず、求人状
興味に近い環境関連企業
20代後半
でやめ、公務員試験に挑
が必要
況、資格の情報収集を行
に就職。働きながら資格
男 性
戦するも不合格。気象予
う。同時に、自分の興味、 取得準備
報士になりたい
価値観、を再整理
現在やっているスポーツ
自分の置かれている状
本人がどうしても譲れな
の指導者になりたい。地
況、希望、能力の現実の
い部分には配慮しながら
20代前半
元でバイトをしながら競
自覚が必要
興味の幅を広げた
女 性
技を続けてきた。厳しい
スポーツショップに就職
と親からは言われるがあ
きらめきれない
20代前半
男 性
社長になりたい、金持ち
現実を理解してもらう、 漠然とした夢を「なぜそ
になりたい、倒産しかけ
社会人としての経験をつ
う思うのか」考えること
ている会社に入って経営
むことが先
で自分がまだ社会人とし
を勉強したい
就職
て未熟であることを理解
し、倒産しかけの会社へ
就職など非現実的である
と自分で気づいた
現在はフリーター。マス
20代前半
男 性
コミ関連の職に就きたい
現実を理解してもらう
その職業に就くための情
正社員として働きなが
報収集や、課題作成など
ら、活動も続けることに
を行う。5年先、10年先
のキャリアプランをつく
る
75
ケース7.親・保護者への対応が必要
親の希望と本人の希望が食い違い、相談に来るケースが最も多くみられた。寄せられたケースの中には、
現在の就職環境の厳しさなどと関係なしに、子どもへの多大な期待を語る親のケースもあった。親子の問題
の場合、就職活動についての問題という形はとっていても、背景には本人が育っていく過程での親との葛藤
が存在することもあり根が深い。
相談するうちに、本人が「親との関係」に焦点をあててしまい、実際的な就職活動への意識が離れてしま
いタイミングを逃すことも考えられる。本人の葛藤する気持ちは支えつつ、過去の親子関係に焦点をあてる
のではなく、「現実の就職問題」をどのように解決するか、調整するかという観点からサポートする必要があ
る。
親や保護者と同行してくるケースにおいては、別々に話したり、どちらか一方とのみ話をして同席者には
黙って聞いていてもらう、などの対応を行う。感情を抑えて客観的に聞いていてもらうと、子どもや親の真
意がわかり、それを尊重するようになるなどの効果がみられる。親・保護者に無理やりつれてこられた場合、
本人の依存的な態度があり、相談することへの意識醸成は難しいようだったが、キャリアカウンセラーは時
には教育者の視点で「本人の自立支援(主に親から)
」をその役割と考えることが大切である。
<親・保護者への対応が必用なケースについて>
・親への怒り、とまどいなどの感情を受け止める
・本人の仕事に対する希望を明確にする
・親への介入が可能な場合、現在の就職環境などについての情報を提供する
・具体的な親への対応策(説得の仕方など)をともに考えサポートする
・親などが同席する場合、相談者を尊重し、傾聴する姿勢を親に見せることで、本人への態
度を学び、気づきを促す役割も担う
年齢性別
20代後半
対応と経過
結 果
フリーター。両親はなく、
来談理由
印 象
親戚の発言を制し、本人
親戚から、本人の意思を
祖父母と同居。就職する
の希望などを傾聴する姿
聞かずに押し付けていた
気配がなく周囲が心配し
勢を見せる。本人は仕事、 と反省の弁。まずはアル
て来談。親戚が同席
将来などについていろい
男 性
バイトから始める
ろと考えている。周囲が
騒ぎ、過度に心配し責め
るため、言えなかったと
のこと
やっと獲得した内定を親
大学男性
大学女性
親の考え抜きで、「自分
が反対している。親はも
は入りたいか、入りたく
っと有名な会社に行けと
ないか」の意思を確認。
言う。悲しくなってしま
親への説得方法を検討す
った
る
内定した会社に就職
就職活動が思うようにで
親の意向を強く拒絶して
販売、事務それぞれの自
事務職の内容を整理した
きない。本人は販売の仕
いる
分にとってよい点、悪い
ら、それほど悪くないと
点を整理
のことで事務職に就職
事をしたいと思っている
が、親は事務を希望して
いる
76
悲しみ。意欲の喪失
年齢性別
来談理由
印 象
対応と経過
父が公務員になることを
人生を干渉されている怒
よく話を聞くことで、怒
強く望んでいるが、自分
り
りの気持ちを受け止め
は民間企業に就職したい
結 果
継続中
る。自分のやりたい仕事
大学女性
とその理由、景気低迷に
よる公務員試験の難関倍
率など、父に伝える方法
についてアドバイス
大学男性
内定しても親に反対され
親と本人の希望のミスマ
本人の能力、適性を重視
親を説得し本人の希望す
る。いくつか内定をもら
ッチ
しながらも、親が子ども
る職種に就職
うが、親の希望する「ホ
の就職に対して何を望ん
ワイトカラー」ではない
でいるかを話し合っても
し、競争社会でバリバリ
らった
働くのは自分に向かない
ケース8.行動しない、動かない
「行動しない」ケースでは、就職に対して「自分から動く」というよりも、人が働きかけ、指示してくれ
るのを待つようなケースが多くみられた。
この背景としては、ï就職活動の基本的な方法がわからない、ñ条件や資格などについての思い込みがあ
り、希望はするけれども動けない、ó自分の意思で方向性を決めるということに慣れていない(してこなか
った)ため、どうしてよいかわからない他者依存的な傾向──などが考えられる。これらのケースについて
は、非常に不安が強くて最初の一歩が踏み出せない状態であると捉えられるので、正しい情報や知識の提供
による不安の低減や、段階的な意思決定と行動の支援をていねいに行うことに効果があるようだった。
さらに、ò今までの仕事経験、就職活動経験から自信をなくして一時的に就職に対する意欲を失っている
ケース、ô本当は他の希望があって、就職したくないのに、周囲の環境から就職せざるをえず気がのらない
ケース──などもあり、その背景は多様である。相談では常に「動けない理由・背景」を念頭におきながら
背景に応じた対応していく必要がある。会話の中で自己の体験や他者の事例を語り、気持ちを盛り上げて積
極的に動きやすい雰囲気をつくることも効果的である。また動けない理由(いいわけも含む)をひとつひと
つつぶしていくような対応が必要な場合もある。
一方で、動けない相談者がジョブカフェに来ているというだけでも「動けていること」ではあるので、行
動できていることにも目を向け、評価する必要があるだろう。
<行動しない、動かないケースについて>
・必要と思われる相談者にはこちらから積極的声をかける
・就職活動の基本的なノウハウを伝える
・宿題を出しチェックする形での具体的な行動サポートをすることで、一歩一歩進めている
実感を持ち意欲を醸成する
・就職活動についての思い込みを除去する情報を提供することで不安を低減する
・ゆっくり話を聞くことで、本人の動けない理由、動きたくない気持ちの背景にあるものを
整理する
・自信をなくしたり、投げやりになっている来談者には、負担にならない程度に「一緒に」
がんばろうと励まし、ひとりではないと思ってもらえるように寄り添う
・行動する意思がみえるようになったら、「褒めて」行動を促進する
77
年齢性別
来談理由
印 象
対応と経過
結 果
就職希望。いくつか興味
おとなしく、内向的。明
じっくり話を聞く。話を
家族と話し合い、やりた
のある職種はある
るさ、元気さなど若さが
するうちに、本当は以前
い方向の専門学校進学に
感じられない。就職活動
からやりたかったことが
についても、行動意欲が
あり、就職活動は周囲や
感じられない。何かひっ
環境に迫られて行ってい
かかっているものがある
ただけということがわか
印象を受ける
る
新卒時に内定もらった
ショックと混乱で動けな
じっくり話を聞くこと
インターンシップで体験
が、会社都合で取り消し
い状態
大学女性
で、「好きなこと」「興味
した業界は難しいと感
20代前半
に。仕事を見つけなけれ
のあること」を整理。す
じ、他業界に就職
女 性
ばならない
ぐに就職は不安とのこと
なので、インターンシッ
プを紹介
数年の引きこもり生活
引きこもり生活後なので
話を聞いて、自分から動
応募して断ったり、不採
後、就職希望。ジョブカ
不安が強い
き出すのを見守る
用になったりしたが、最
30代前半
フェのセミナーなどにも
男 性
積極的に参加するが、い
終的に就職
ざ応募の段階になると動
けない
10代後半
男 性
正社員として働きたい。 学歴がないので希望して
その業種になぜ就きたい
希望業種に正社員として
就きたい業種あるが、未
も採用されないと思って
のかの整理。経験、学歴
就職
経験
いる
がなくても就職できる可
能性について情報を提供
する
大学卒業後まったく働い
心身の不安定さもみうけ
会話になれること、自信
たことがない。何回かの
られ、会話する時も極度
をつけるために、毎日の
就職試験失敗で自信を失
に緊張
来所をすすめる。就職が
20代後半
い、動きたくない状態が
決まるまで、支援する旨
男 性
続いた
を伝える。自己・仕事理
就職
解を進め、本人の体調、
志向に無理のない職場を
探す
20代後半
男 性
アート関連の仕事がした
依存度が高そうにみえ
い
る。話し合いはしても、 外見的な理由で採用され
実際の行動は起こさない
じっくり話しを聞くと、 まずはアルバイトから
ないと思い、動けなかっ
たとのこと
78
就 職 成 功 者 座 談 会
就活はジョブカフェとの出会いから!
ジョブカフェを利用して就職に成功した若者5人に集まってもらい、ジョブカフ
ェでどのようなことをして、それが就職にどのように役立ったのか、体験談を語って
もらいました。
いしはら ま み こ
まま だ はる か
の もと すすむ
参加者:石原真美子さん・儘田陽佳さん・野本 進さん・
かさはらこう じ
きし ま ゆ こ
笠原考次さん・岸正佑子さん
場 所:ジョブカフェぐんま
職活動をしたことがありませんでし
と考えていた時に、群馬にいる母から
た。30代に入ってそろそろ就職しよ
ジョブカフェを勧められ、気楽な気持
うと思ったのですが、一般の求人案
ちでジョブカフェに顔を出しました。
――みなさんはどのような理由で就職
内は新卒や第2新卒向けのものばかり
カウンセラーの方に親身に対応いただ
しようと思ったのですか? また、ジ
で利用しづらかったのです。ジョブカ
き、
「ここで仕事を探せそう」と思い
ョブカフェを利用しようと思ったきっ
フェでは私のような特殊な事情を持
ました。
かけを教えてください。
つ人も受け入れてくれるのかなと思っ
岸
儘田
さまざまな事情を
抱えながら就職へ
20代の頃、私はアルバイトを
契約社員として勤めていた会社
て、利用してみることにしました。
の上司から、
「正社員の職を探すので
しながら現代美術の創作活動をずっ
石原
私は、もとは東京で大学院に
あればジョブカフェがいい」とアドバ
としてきました。ですから20代に就
通っていましたが、次の仕事を探そう
イスしてもらったのがきっかけです。
79
もらうことで元気が出てきて、仕事の
方向性も真剣に考えることができま
した。人と接する仕事を望んでいる自
分を発見したのは、ジョブカフェでの
カウンセリングのおかげです。
石原 私もマンツーマンのカウンセリ
ングを3、4回受けて、ずいぶんと就職
笠原
私は28才で大学を卒業したの
に向けて前向きになりました。
「今ま
ですが、学生時代に就職を決めるこ
での経験で無駄なものは何もない」と
とができませんでした。困っていたと
いうカウンセラーの方の言葉が記憶に
ころ母からジョブカフェを勧められま
残っています。
した。
野本
野本進さん:チラシの折込会社へ就職し、営業を担当。
また、
「自分が気づいていない自分」
自分のやりたいことが見つか
を見つけられたように思います。自分
らずに就職活動ができなかったので、
にはどのような仕事が向いているの
ネススキル向上講座」を受講しまし
知人からチラッと聞いたジョブカフェ
か、段階を示しながら教えてくれたこ
た。8日間の講座で、前半ではビジネ
に顔を出してみました。
とがとてもよかった。
スマナーとコミュニケーションを学
び、後半では職場体験をしました。私
のように就職した体験を持たない者
カウンセリングで自分が
見えた! 仕事が見えた!
にとっては、就職活動のイントロとし
てとてもよかった。
――ジョブカフェではどんなことをし
後半の職場体験ではある印刷会社
て、それがどのように役立ちました
へ行ったのですが、実際に働くとはど
か?
ういうことなのかをよく考えることが
岸
カウンセリングを5、6回受けま
でき、業界や業種など、自らの仕事の
した。前の会社では仕事がうまくいか
方向性をはっきりさせることができま
ず、自信を喪失させたままジョブカフ
した。さらに、その講座では15名が受
ェへ来たのですが、カウンセラーの方
がとても聞き上手で、私の悩みを聞
いていただき、私にもできることがあ
講していましたが、ほかにもがんばっ
儘田陽佳さん:官公庁向けのオンライン用入力を行う
会社へ就職し、校正業務を担当。
て就職しようとしている人たちがいる
ということを実感できたことは、自分
ることをていねいに伝えてくれまし
野本 就職していないときは、とても
にとって大きなプラスになりました。
た。少しずつ私の気持ちも前向きに
心細いから、親身になって相談に乗
野本
なり、新たな仕事を求めて積極的に
ってくれるカウンセリングはうれしい
とに大きな意味がありました。カウン
動くことができました。
ですね。
「やりたい仕事がない」と言
セラーの方は私たちのようなジョブカ
笠原
私のカウンセラーは叱り上手
求人企業を案内してくれるこ
うと、
「嫌な仕事を消していきながら、
フェに訪れる者たちをじっくり知ろう
だったかも(笑)
。私の場合は10回以
探してみてはどうか」とアドバイスさ
としてくれます。
上カウンセリングを受けましたが、そ
れ、その作業をしながら、徐々に自分
同時に、求人企業についても実に
のたびに「大丈夫!」と力強く言って
がしたい仕事が見えてきたのです。そ
よく調べているのです。ですからカウ
れまでは、やってみたい仕事が見つか
ンセラーの方は自分に合った企業を
らない状態では、どのように仕事を探
紹介してくれるようなので、面接に行
していいのかもわからなかったので、
っても面接前の企業のイメージと一
このカウンセリングにはとても助かり
致するのです。実際に、今働いている
ました。
企業でも、働く前とのイメージにギャ
ップがありません。
セミナーや求人企業の
案内も大切
――ジョブカフェの活動で、カウンセ
リング以外に役に立ったものはありま
岸正佑子さん:非鉄金属メーカーに就職し、営業事務
を担当。
80
すか?
儘田 セミナーですね。私は、
「ビジ
岸 カウンセリングをしている時も、
カウンセリングと求人企業の案内が
直結していることが、安心感や信頼
感の高まりにつながるんですよね。
目を見て話すことなどの基本を教わ
り、うまくできたと思います。
就職後もジョブカフェで
ホッと一息?
――ジョブカフェでは、利用者の方
が就職後も連絡をしてくるそうです
ね。
ジョブカフェで自分を見つめ
直し、面接での自信につながる
笠原 入社後、2週間の現場研修があ
ったのですが、想像していたものとは
かなり異なり、ショックを受けたり不
石原真美子さん:国際交流や青少年育成を行う教育関
連の公益団体に就職
――実際の採用面接では、みなさん
安な気持ちになったりしていました。
はどのようにされたのですか?
その時に、ついついお世話になったカ
石原 カウンセラーの方にものすごい
ウンセラーの方へ電話をかけてしま
笠原
量の添削をしていただきながら、事前
い、励ましていただいたことがありま
へ行ったとき、室内が薄暗く、人を寄
に履歴書と職務経歴書を徹底的に書
す。その後は月に1度くらいは仕事の
せ付けない感じがして、とても入りづ
きました。これが自信につながり、面
愚痴を言いにきているかもしれません
らかった記憶があります。気軽に入り
接のときは堂々と自己PRができま
した。
儘田
(笑)
。
石原
就職が決まった時に採用者の
別の地域にあるジョブカフェ
やすくする工夫があるといいですね。
就職して最初のころはどうし
儘田
人それぞれ就職への希望や事
てもミスばかりしてしまいます。その
情が異なることに対して、きめ細かく
方から「採用の決め手は貴方の熱意」
たびに「自分はこの仕事に向いていな
対応してくれるジョブカフェのカウン
と言われました。でも、熱意があって
いのか」と悩んでしまいましたが、カ
セリングはぜひ続けてほしいと思いま
もうまく伝えられなければ意味があり
ウンセラーの方が相談に乗っていただ
す。一般的な求人案内に当てはまら
ません。私が面接のときに理路整然
き、気持ちが落ち着きました。ジョブ
ない人はたくさんいるはず。そういう
と自己PRができたのは、カウンセラ
カフェには、仕事や気持ちを解決す
人々のためのジョブカフェであり続け
ーの方の的確なご指導をいただきなが
るヒントがあるように思ってしまうの
てほしい。
ら履歴書をまとめる段階で、自分の
です。
野本 しかも、カウンセリングは求人
考え方やPRについて自分なりに交
野本
自分たちと同じ目線で物事を
案内とセットにしてほしいですね。こ
通整理ができたからだと思っていま
考えてくれるという安心感がジョブカ
れはここの5名全員に共通していると
す。
フェにはあるんですよね。
思います。
仕事探しはインターネットでもできる
こんなジョブカフェを全国へ!
わけですが、ジョブカフェであれば、
応募者と企業それぞれをよく知った
――最後に、今後のジョブカフェに
上で求人案内するわけですから、お互
望むことを一言ずつお願いします。
いにとってメリットがあります。両者
をつないでくれるジョブカフェが全国
に広がるといいですね。
笠原考次さん:老人介護のためのホーム入浴関連機器
などを販売する会社に就職し、営業を
担当。
石原 まだまだジョブカフェの設置数
岸 カウンセリングを通して、面接の
が少ないですよね。もっと増やしてい
時は、自分以上のものを無理に出す
けば、ニートやフリーターは少なくな
のではなく、自分らしく振舞うこと、
ると思います。
明るい雰囲気のジョブカフェぐんま
81
解 説
③若者へのサービス(各種サービス)
若者へのサービスに関して
若者への対応はどうあるべきか(各種サービス)
フリーター、失業者、離転職者、学生といったそれ
ぞれ個別の状況に置かれている若者を就職につなげる
ためには、さまざまなニーズに応え、必用な変化を若
者にもたらすようなサービスのバリエーションが必要
となる。ワンストップサービスをいうことは、若者か
らみると“よろず相談役”ということである。しかし
限られた資源でそれを実現するには、効率性も兼ね備
えた各種の支援サービスが必要となる。
「ジョブカフェに行けばきっと役に立つ情報がある、
就職について一緒に考えてくれる人たちがいる。就職
に成功する」このような全幅の信頼を形成するために
ジョブカフェ石川 金沢センター
効果のある多様なサービスを生み出し、また改善し続
けることが求められているのである。
北海道では、北海道若年者就職支援センター(社団
|各|種|サ|ー|ビ|ス|に|つ|い|て|
ジョブカフェで提供する各種サービスについては、
次のようなポイントを成功要因として指摘することが
できる。
1. 就職へ向けたワンストップの利便性
●ジョブカフェだけでは活用できる資源は限られてく
る。地域における若者支援に関する資源を把握して、
それを活用したサービスを行うことで、より質の高い
ワンストップサービスが可能となる。
石川では、
「石川県若者しごと情報館」という連携組
織のもと、ハローワークなどと一体となった運営によ
って、広範囲の多様なサービスを提供することを可能
にしている。
群馬では、受付・案内や情報発信などのセンターの
運営を若者が中心の地域NPOに任せ、民間専門業者
との連携によって、若者の主体的な取り組みを活かし
た総合的なサービスを提供している。
82
法人北海道雇用開発協会)を核組織に、民間企業連
合、および北海道経営者協会との連携を通じて、各種
サービスを一体的に提供できる体制を構築している。
③若者へのサービス(各種サービス)
解 説
●ワンストップサービス提供の現場であるセンターの
ーの参加者数がある程度一定するようになっている。
ファシリティは非常に重要。センター内のつくりや立
岐阜では、企業開拓員が、求職者の希望に併せて求
地の工夫により、提供するサービスの、若者にとって
の価値が一層高まる。
人案件の検索を代行するサービスを行っている。
福岡では、ハローワークなど同フロアの機関担当者
大阪では、ファシリティにこだわり、若者が繰り返
し訪問したくなる、さらに友人に話したくなる、そん
間の合同会議を行うことで、就職までの一貫した流れ
を前提としたサービス提供を行っている。
な機能的かつセンスの良い空間をつくり上げて、常に
改善を行いながら進化させている。
●来場者のパターンを分析して、対象に合わせて支援
メニューを設定する。
大阪、京都、愛媛では、来場者パターンを分類した
上で適切な支援メニューに誘導している。
オープンな雰囲気の
JOBカフェOSAKA
●地域内だけでなくUターン志望者や他地域就職志望
者にも就職に向けたサービスを提供する。
岐阜では、
「若者のUターン戦略」を展開、Uターン
戦略を推進するための調査実施や、
「岐阜県Uターン
就職支援サイト」を構築。また、岐阜県内で活躍して
いる名物社長等と岐阜県出身の学生との交流を図る
「ラピロス六本木サロン」を六本木で定期的に開催し
ている。
沖縄では、東京在住の沖縄県出身者のために、カウ
ンセラーが定期的に出張して相談に乗っている。
千葉では、人口が集中している千葉県西北部の中心
地であり、JR、京成電鉄、東部電鉄など公共交通機
関の便がよく、大規模店舗が集中する船橋駅前の「船
2. サービスの企画・運営に若者を活用する
橋フェイスビル」内にセンターを設置。いつでも気軽
に立ち寄れるという好立地のメリットを発揮している。
バスロータリー
東武船橋駅
←市川
JR船橋駅
千葉→
船橋
フェイスビル
京成船橋駅
●若者の就職活動の段階に合わせて就業につながるよ
うな各種のメニューを用意することも有効である。各
地域とも地域の実情に合わせたサービス開発を行って
いる。
●活動に関して利用者視点の導入は必要不可欠。雇用
愛媛では、就職活動の流れにあわせたセミナー構成
対策においては若者視点が欠落してしまうと若者が利
とし、その意味・意義をしっかり伝えているため、セ
用しない。すべてのサービスに関して若者の視点を優
ミナーの内容によって人気の差が発生せず、各セミナ
先させることが必要である。
83
解 説
③若者へのサービス(各種サービス)
青森では、学生によるジョブカフェ評価事業を弘前
大学に委託し、対象となる若者視点でのジョブカフェ
3. サービスの絶え間ない改善
の評価できる点、改善すべき点を把握している。
島根、宮城などでは、学生の大学ネットワークとの
タイアップによる運営を行っている。
●常にサービスを改善していくような取り組みを行う。
目的に対する効果・成果の把握と、それに基づく企画
の改善と開発を継続していく。
●利用者に対してホスピタリティの高いサービスを行
各センターはそれぞれ、利用者満足度調査を何らか
うのは、サービス機関として当然のことである。若者
の形で実施しているが、青森では、アンケート結果に
を運営に多用して、公共施設的な事務処理感覚を捨
ついてセンター長を中心に会議などでスタッフ間での
て、各地域とも「フレンドリーなサービス」を心がけ
情報共有を行い、サービスの改善につなげるような仕
ている。
組みをつくり上げている。
群馬、愛媛、沖縄などでは、学生スタッフがジョブ
千葉では、スタッフ自身がサービスを自分で受けて
カフェに常駐する仕組みとし、同年代の若者が立ち寄
みることによって、求職者の立場でサービスを評価し、
りやすい雰囲気を醸成している。
改善している。
●現場を知らない人間がよけいな口を出すと、サービ
スの質が下がる。タテマエでものを言わないことが、
ジョブカフェでのサービスの質を上げるポイントであ
る。現場の判断に任せて、意思決定のスピードと頻度
を上げる。
大阪では、ファシリティの小刻みな改善についてス
タッフの裁量に任せている。各センターとも季節の節
フレンドリーなサービスを提供する学生スタッフ
目節目のディスプレーを工夫して、季節感をファシリ
ティにとり入れ変化をつくり出している。
●サービス開発のマーケティングとして、若者の感性
を活用することが有効。若者に影響力が強い先輩に運
●独自の組織づくりやミーティングの効果的な運営は、
営を手伝ってもらったり、地域を越えた協力者を確保
サービスの改善に重要な役割を果たすことができる。
するといった策を打っている。
沖縄では、担当する企画ごとにチーム制をとり入れ、
群馬では、ジョブカフェのOB・OG会を組織する
責任を持って運営・改善を行う自覚を高めている。ま
などして、先輩達をジョブカフェ運営に活用している。
た、各地とも朝礼、定例会議などのミーティングの場
石川では、内定者の話を聞く機会を設けて、協力会
を利用して、サービスの改善につなげている。
社の若手社員をサービス開発のメインを任せ、若い感
性を反映させるよう図っている。
愛媛では、隣の高知県から志を持った学生を1年間
限定でスタッフとして受け入れて、県内の人とは違う
視点でのサービス開発につなげている。
沖縄県キャリアセンター
84
③若者へのサービス(各種サービス)
郷土ぐんまを思う気持ちは誰にも負けない!
地元のNPOと連携、就職支援ベンチャー企業を設立
事 例 編
ジョブカフェぐんま
地域の資源の活用による質の高いサービス実現
NPO設立講座に
|趣|旨|・|目|的|
集まった若者たち
A若者社会活動支援NPO法人DNAによる、利用し
やすいジョブカフェづくりや広報などに若者の感性を
活かす。Bネットワークを持つNPOと連携し、地域
のコミュニティーを活かしながら、ジョブカフェを応
援・広報する。C地元の若者が就職支援ベンチャー企
業を設立、群馬に若者による就職支援ノウハウを蓄積。
ジョブカフェづくりの
|実|施|内|容|
ワークショップ
Aミュージック、映画をテーマとしたイベントは若者
ならではのもの。B地域NPO、地元商店街とタイア
ップしたICタグのビジネスプランコンテストや若者
にイベント企画を任せることで、成功体験を得させよ
うとする「夢かなえませんか?」などを実施。C若者
ベンチャー企業(有)ワークエントリーにジョブカフ
ェ運営を任せ、成果を上げている。
「夢かなえませんか?」
で成功体験を
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
A若者によるジョブカフェの案内やカフェらしい内装
等のアイディアは利用者から好評。Bビジネスプラン
コンテストには地元の大学、商店街など、地元人脈を
最大限に活用。
「夢かなえませんか?」は地域の祭りと
タイアップして企画。地域から期待されるジョブカフ
ェへと変化しつつある。Cジョブカフェ立ち上げに際
ICタグビジネス
し、運営を委託する若者NPOへの参加者、若者就職
プランコンテスト発表会
支援ベンチャー企業を設立しようとする者を公募し、
積極性のある人材を確保できた。
|効|果|
ANPOやNPO活用事業に参加した若者は社会体験、
ビジネスプラン作成などを通じ、起業計画を作成する
など、成長を続けている。B若者ベンチャー企業は、就
職支援だけでなく、企業の採用代行などのノウハウも
身につけてきている。C若者NPOの参画は、ジョブ
カフェの活気につながっている。④地域の力を結集し、
成果を継承するシステムづくりを進めていく。
新聞記事「就職支援VBに委託」
85
③若者へのサービス(各種サービス)
事 例 編
JOBカフェOSAKAの施設紹介
(ファシリティへのこだわり)
JOBカフェOSAKA
若者に支持される機能的かつセンスのよい空間の創造
|趣|旨|・|目|的|
就職活動に悩みを持った求職者が、来訪したときに少
しでも入りやすい雰囲気を演出し、さらに、着席率の
アップに注力、利便性の向上に努める。
|実|施|内|容|
パラソル、丸テーブル、ソファなどカフェっぽいイン
テリアにより、開放的で楽しそうな演出を行うととも
に、受付スタッフを中心に明るく、フレンドリーな雰
囲気づくりを実践している。また、利用者の声に基づ
き、受付をはじめとする現場スタッフが随時ファシリ
カフェをイメージしたフリースペース
ティの改善を行っている。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
着席率の向上を目指し、テーブルなどの配置を随時変
更している。また、スタッフ手づくりのポップによる
タイムリーなイベント告知やセンター内のサービス内
容がきちんと理解できる資料などを随時準備。これら
の活動は、上司の指示で実施しているのではなく、現
プチイベントを告知
場で実務に当たっているスタッフ・アルバイターが、
求職者の声を汲み取り、また、求職者に近い目線から
自発的に問題意識を持ち、改善に取り組んでいるもの
である。
|効|果|
求職者から「公共施設とは思えないほど親しみやすい」
「来るたびに変化があり、利用しやすくなっている」な
どの評価を得ている。
今後は、利用者の増加に対応し、これまでにもまして、
効率的なサービスの提供を行うとともに、アドバイザ
ーの個別相談やセミナー、イベントなどの情報提供を
より多く、よりわかりやすく行い、サービスの利用促
進を図りたいと考えている。
86
スタッフ手づくりの使い方POP
③若者へのサービス(各種サービス)
中心地に立地を設定
事 例 編
福岡県若年者しごとサポートセンター
サービスの利用しやすさの第1歩は好立地
|実|施|内|容|
来場者へのサービス低下を招かないようにしなければ
福岡市の中心は、天神であることは福岡県下の若者で
ならない。
あれば異存のないところである。
その上、当センター(エルガーラオフィスビル12F)は
同一フロアにある
電車・地下鉄・高速バスの中心駅近くにある。また、
ターと連携し、ワ
福岡学生職業セン
ンストップサービ
同一フロアーにある「福岡学生職業センター」との連
スを提供
携により、ハローワークの求人情報検索や職業紹介が
受けられるなどワンストップでサービスが提供できる。
|今|後|の|課|題|
県下に3ヵ所設置しているブランチのうち筑豊、筑後
は福岡への交通アクセスもよく通勤、通学圏内である
ために、福岡センターへ来場者が集中する傾向があり、
北九州以外のブランチ利用者をいかに増やすかが課題
福岡市の中心・天神に位置する
である。また、逆に利用者の集中する福岡センターの
エルガーラオフィスビル
③若者へのサービス(各種サービス)
駅前の絶好の立地を設定
事 例 編
みやぎジョブカフェ
サービスの利用しやすさの第1歩は好立地
|実|施|内|容|
仙台駅から徒歩2分のビル「アエル」23階に入居して
いる。交通の便のよさや場所のわかりやすさに加え、1
∼4階部分が、若者の利用も多い商業施設となってい
ることが、利用者にとって気軽に立ち寄れることにつ
ながっている。
当ビルは仙台市の再開発事業により建設されており、
ビル壁面へジョブカフェを広報する懸垂幕の掲示等に
ついての協力を得ている。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
みやぎジョブカフェが入居する
ジョブカフェと同フロアに、仙台学生職業センター・
ヤングジョブスポットを併設できる場所を確保し、ワ
ンストップ性を高めている。
複合施設「アエル」
アジュール仙台● 仙
台
広瀬通り
(仙台宮城ICへ)駅
旭
ヶ
地
丘
下
線
鉄
南
名掛丁商店街
北
(アーケード)
線
さくら野
百貨店●
青葉通り
仙地
台下
駅鉄
十字屋●
ペ
デ
ス
西口駅前広場ト
リ
ア
●
ン
ロフト
デ
ッ
キ
J
R
仙
台
駅
東口駅前広場
エスパル
87
③若者へのサービス(各種サービス)
事 例 編
就職&インターンシップ企業合同説明会in東京(東京Uターン戦略)
地域外の若者も対象にしたサービス拡充
岐阜県人材チャレンジセンター
(ジンチャレ!)
|実|施|内|容|
岐阜県経営者協会との共催で企業合同説明会を東京
で開催(28社、60名参加)
。これに合わせて、岐阜県の
名物社長の講演と首都圏在住の若者らの情報交換会
(立食パーティ)をセットにした「ラピロス六本木サロ
ン」を同時開催。和やかな雰囲気の中で、学生たちが
企業人と交流した。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
2005年10月に「岐阜県Uターン支援サイト−ギフノー
企業人講話
ト」を立ち上げ、企業の魅力やUターン経験者の声を
発信するとともに、東京で若者と企業人が交流できる
「ラピロス六本木サロン」を開始した。Uターンを希望
する県外の学生等に、県内の詳しい求人情報をどうや
って伝えるかが今後の課題。
若者と企業人の交流会
③若者へのサービス(各種サービス)
事 例 編
東京でのキャリアカウンセリング
沖縄県キャリアセンター
地域の実情に合わせた若者向けサービス開発
|実|施|内|容|
東京で長期間就職活動する学生が多いことから、東京
での就職活動が活発になる3月頃に東京で出張コーチ
ングを実施した。内容は個別就職相談のほか、就活生
同士の交流会で、2日間の日程で2回開催した。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
参加者から次のような声が寄せられた。
「何も知らない
東京で心配でしたが、就活仲間に会えて元気が出まし
た」
「東京でエントリーシートの添削や相談をしてもら
って助かりました」
「久しぶりに沖縄にいる気分になれ
て、エネルギー充電できました」
今後の課題としては、日程を早めに決めて東京で就活
中の学生全員に周知できるようにする必要がある。
88
就活生同士の交流会、
キャリアカウンセリング
③若者へのサービス(各種サービス)
大学へのジョブカフェの将来的運営に関する研究委託
事 例 編
ジョブカフェあおもり
若者視点の導入によるジョブカフェサービスの改善
|趣|旨|・|目|的|
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
弘前大学に委託し、ジョブカフェあおもりの2007年度
弘前大学の学生からなるチームを編成、運営しながら、
以降の自立化に向け、若年者に望ましい事業、若年者
若年者の視点で「あくまで利用者の目線で、利用者世
が参画できるジョブカフェのあり方などについて調
代のジョブカフェに対する感触」を提案することとし、
査・研究を行ってもらい、
「だいジョーブ!カフェあお
ジョブカフェが今、利用者に何をやっているのでなく、
もり」―ジョブカフェあおもりの将来的運営に関する
今後、利用者をどう満足させるべきかに重点を置き、
総合研究―として報告書にまとめた。
調査・検討をした。
|実|施|内|容|
|効|果|
ジョブカフェあおもりの運営状況と大学・企業の意見
当調査に参加した学生の何名かは、その後厚生労働省
や見方などの調査・分析からジョブカフェ運営の将来
職業安定局事業「若者の人間力を高めるための国民運
的問題を提起した上で、先進地の取り組み状況調査や
動」の地方特派員や地方イベント実施担当者となり、
若年者の期待等のヒアリングを行い、今後の方向性
若年者の雇用問題を地域ベースで考える主体となっ
(運営体制、若年者の参加、サービス・セミナー等事業
た。
展開、サテライトスポット運営、関係機関との連携)
報告書には、今後の方向性への提案だけでなく、先進
について提案している。
地調査をはじめ100ヵ所の調査報告、若年者等関係者
400人からヒアリングした貴重な意見等、情報が満載
されており、今後の自立化に向けて広く参考となる。
他県のジョブカフェへの訪問調査
ジョブカフェモデル事業調査報告書
89
③若者へのサービス(各種サービス)
事 例 編
カフェの雰囲気が香り立つ“学生によるアテンダント”
ジョブカフェぐんま
若者のための若者によるフレンドリーなサービス
|趣|旨|・|目|的|
若者社会活動支援NPO法人DNAの学生が受付を
行い、来所者が気軽に立ち寄れる環境を提供、就職へ
の第一歩の手助けをする。またアテンダントとして、
求職者や企業の方等の対応をすることにより、接客の
仕事を学び、社会に対する自己の見識を広め、キャリ
ア形成につなげる。
|実|施|内|容|
来所者への施設利用の案内や電話応対、カウンセリン
グの予約受付、施設のオープン・クローズ作業、清掃
アテンダントは若者たち
作業、セミナー・イベントなどの就職関連情報の提供
を行っている。また、カウンセラーとの情報共有を行
い、カウンセリングの円滑な実施に努めている。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
アテンダント会議
若者の視点で利用しやすい雰囲気をつくるために、各
自持ち寄ったCDをBGMとして使用、内装もカフェ
らしいつくりにし、ポップなどの掲示物も若者らしさ
をとり入れた。また、業務の質向上のために研修を行
い、3つのキーワード(笑顔・さわやか・自分から話し
かける)を決めた。定期的に研修を行うとともに、月1
回会議を行い、課題解決や必要な情報の共有に努め、
来所者への均等なサービスを日々心がけている。
|効|果|
①アテンダントとして運営に携わることで、学生自身
の能力開発、自己理解、成長につながっている(学び、
育ち、巣立ちの場に)
。②身近な友人などにクチコミ効
果で伝わり、来所者数アップの誘因となっている。
定期的な研修により、業務の質とともに個人レベルで
のモチベーションも向上させ、より来所者の方に気持
ちよく利用していただけるように努める必要がある。
また多方面からアテンダントを募るなどして人員の幅
を広げ、多くの若者に経験の場を与えられるとよい。
90
アテンダント研修
③若者へのサービス(各種サービス)
フレンドリーな中にもビジネスマナーも
身につくような規律正しい雰囲気
事 例 編
ジョブカフェ北海道
若者にとって快適で利用しやすい空間の創造
|趣|旨|・|目|的|
利用者が気持ちよく就職活動に専念できるような静か
で落ち着いた雰囲気を醸し出すようにルールを厳しめ
に設定。また自立のために「当事者感覚」を持っても
らい、
「お客様的立場」ではないことをさりげなくわか
ってもらうような挨拶を実施している。
|実|施|内|容|
入場した際は「いらっしゃいませ」ではなく、
「こんに
ちは」
、退場する際は「ありがとうございました」では
ジョブカフェ北海道の受付カウンター
なく「お疲れさまでした」と声をかけている。また就
職活動に専念できるよう、携帯電話の使用、意味のな
いおしゃべり、飲食を禁止し、基本的には図書館のよ
うにゆっくりと時間が流れるような雰囲気をつくって
いる。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
施設案内風景
初めて利用した人にはキャリア・アドバイザーが15∼
20分程度をかけて「フロアアテンド」と呼ぶ施設案内
を実施している。これは各サービスの利用方法や予約
方法を説明するためで、同時に時間厳守の励行等につ
いてもさりげなく伝えている。
また施設内のルールを書いた紙を受付テーブル、書籍
閲覧スペース、コーヒー等給湯ブース、各種情報の掲
示板等など至る所に貼付し、意識づけを行った。
|効|果|
マナーを守ることをオープンから徹底したため、当初
ジョブカフェ利用上の注意の掲示
危惧をしていた「携帯電話で大声で話す人」や「床に
座って好き勝手する人」は皆無である。狭いテーブル
に譲り合って座り、おしゃべりを注意されても素直に
聞き入れすぐに静かになるなど、みんなマナーを守っ
ている。
お知らせ掲示板
91
③若者へのサービス(各種サービス)
事 例 編
若者の参画 「ふくいJJクラブ」
ふくいJobCafe
若者主体のアクティブな活動が共感を喚起
|実|施|内|容|
ニホームを着用している。ふくいJJクラブのホーム
ジョブカフェ利用者と同世代の若者を起用した「ふく
ページを立ち上げ、活動報告やメンバー募集などを呼
いJJクラブ」では若者同士がFACE TO FACEで真
び掛けている。企業の60%が、若者の70%が、
「ふくい
摯に語りかけることで、心を許しあい、同じレベル、同
ジョブカフェを知っている」と回答しており、初年度
じ感覚で話し合えるところが利点である。広報キャラ
目標の「県内のみなさまにふくいジョブカフェを知っ
バン隊を組み週末を中心に県内各地を廻っている。地
ていただく」という初期の目的を達成した。
域イベント、祭り、ショッピングセンター、JR駅前
などで活動している。ターゲット広報として、若者用、
保護者用の街頭アンケート調査を実施しているほか、
ふくいジョブカフェの講習会案内やギブアウェー(粗
品)の提供をした。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
装飾を施した広報宣伝カー「ジョブカフェ号」に乗り、
男子も女子もイメージカラー、ロゴマークを使ったユ
県内各地で活動する広報キャラバン隊
③若者へのサービス(各種サービス)
事 例 編
若者によるサービスの開発
ジョブカフェ愛work
若者視点を優先させたフレンドリーなサービスの提供
|実|施|内|容|
学生であるユースコーディネーターの若い感性を活か
し、気軽に楽しく就職力の向上を目指すサービスを開
発した。具体的には、大学新入生向けキャリア意識向
上イベント、若者と社会人の交流会、マインド面から
就職活動に弾みをつける「ぽじかんセミナー」
、小中高
生向け「ハタラク セナカ」作文コンクールなど。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
自らの経験にもとづき、若者が受身ではなく、主体的
に取り組めるようなサービスの開発を心がけた。参加
者からは、「新しい気づきがあった」「視野が広がった」
と好評を博した。今後も引き続き、若者視点で参加者
が成長できるサービスを開発し、若者に身近なジョブ
カフェ愛workを目指したい。
92
ユースコーディネーターによるセミナー
③若者へのサービス(各種サービス)
ジョブカフェOB・OG会結成!
事 例 編
ジョブカフェぐんま
若者への影響力の強い先輩たちを組織化
OB・OG会発足式
|実|施|内|容|
ジョブカフェ利用者は、入社しても同期がいないケー
スが多い。そこでOB・OGが集い、友人づくりや交
流を深める場にしようと結成。10歳程度の年齢差があ
るOG会では、
「社会に生きる女性としての生き方」な
どもテーマに。メンバーの約束事は、3つだけ。
「交流
仕事について語り合うOG
を進める、自分の経験を後輩に伝える、ジョブカフェ
をPRする」
。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
同一カウンセラーが対応したOB・OGで会を組織。
メンバーの特徴を十分に理解したカウンセラーが核に
なり、初回の会合から活発な意見交換ができた。会自
体の交流のほか、ジョブカフェを利用する後輩に、自
後輩に伝えていきたい
らの経験を話すなどの役割を担っている。
私たちの経験
③若者へのサービス(各種サービス)
内定した先輩の就活アドバイス
事 例 編
ジョブカフェ石川
先輩の活用で若者の感性を刺激
|実|施|内|容|
大学3年生向けの特別講座「就活スタートアップセミ
ナー」や「3日間集中就活春季特訓」のメニューの中
に、ジョブカフェに通って内定を勝ち取った先輩によ
る模範面接や就活に関する質疑応答・アドバイスの時
間を設定。就職活動への動機づけとジョブカフェの利
用促進を図っている。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
学生にとって、1年上の先輩の助言は現実味があり効
果的。特に先輩による模範面接を目の当たりにした後
内定した先輩による就活アドバイス
は、自己分析や業界・企業研究の重要さを実感し、就
職活動に真剣に取り組む意欲が高まるため、その後の
カウンセリングや面接訓練セミナー等の参加に確実に
つながっている。
93
③若者へのサービス(各種サービス)
事 例 編
スタッフが自らサービスを受けて、サービス改善を行う
ジョブカフェちば
体感を通じて利用者視点でサービスを改善
|実|施|内|容|
振り返りを行い、求職者の満足度、期待一致度、目
[目的]
標到達度を検証し、プログラム改善に努める。
①求職者の立場でサービスを実感し、求職者の視点で
サービス内容を検証する。
②担当カウンセラーの行うファシリテーションを、求
[効果]
・セミナーの内容や使用ツール類の継続的な改善。
・セミナー受講者の就職決定率の向上。
職者とともに体験することで、求職者の反応をチェ
ックする。
[実施内容]
実際のサービスを体感し、その後、ポイントについて
担当カウンセラーとともに、求職者のアンケートなど
をもとに振り返ることで、サービスの効果を検証する。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
[ポイント]
・サービスを受けた後、アンケート項目にもとづいた
③若者へのサービス(各種サービス)
事 例 編
会社の『ほ・ん・ね』発見セミナー(センター内代行合説)
岐阜県人材チャレンジセンター
(ジンチャレ!)
若者視点で企業の情報を収集し発信する
|実|施|内|容|
企業担当スタッフが、人気業種の製造・IT・サービ
ス・美容の4業種20社の協力企業に事前に訪問のうえ
詳細な求人情報をヒアリングし、採用担当者に代わっ
て、センター内にて企業の魅力や、採用担当者・若手
社員からヒアリングした企業の『ほ・ん・ね』を、映
像(写真)を交えて求職者に発信。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
スタッフが企業の魅力や応募の判断材料となる会社の
雰囲気、給与、残業時間などを中心に発信。
「企業には
直接聞けないことも気軽に質問できてよかった」と求
職者に好評。38名の参加者のうち十数名が応募意欲を
喚起され、協力企業に2名就業。求職者ニーズに合っ
た協力企業の選定が今後の課題。
94
企業担当スタッフによる
情報発信
③若者へのサービス(各種サービス)
プチイベントの企画
事 例 編
JOBカフェOSAKA
現場の判断に任せてスピーディなサービスの開発と改善
|実|施|内|容|
求職者が興味を持ちそうなテーマを細かく拾い出し、
小規模な講演形式のプチイベントとして、センター内
で実施。月2回のペースで開催し、好評だった内容は、
センター外の就職イベントなどで拡大版として再度実
施したり、レギュラーのセミナーに仕立てるなどして、
月2回プチイベントとして
開催されているセミナー
昇華させていく。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
直接求職者に接している受付スタッフやアドバイザー
などが中心になってテーマ設定を行うとともに、JOB
カフェOSAKAのスタッフが講師を務め(外部講師を
招く場合もある)
、コストを極力抑えながらも、求職者
の本当に求めるサービス掌握と実施に努めている。
③若者へのサービス(各種サービス)
タイプ別モデルの支援について
事 例 編
ジョブカフェ愛work
若者のタイプ別に最適なサービスを提供
|実|施|内|容|
来所する若者をタイプ別に分類して、特性に応じた支
援メニューを促すことにより、早期の就職支援を図る
ことを目的とした。相談員からヒヤリングし、来所者
のタイプを標準、学生など大きく4つに分類し、セミナ
ーと個別カウンセリングの組み合わせをモデルとして
作成し運用を試みた。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
相談と並行してタイプ別のメニューの利用を組み込む
ことで、視野の広がりやモチベーションの向上がみら
れた。しかし、愛workでは個別相談を1人の相談員が
継続して対応するため、タイプ別の支援は見立ての標
準化が課題である。今後、さらに個別相談との連携の
有効性を意識した支援を構築したい。
95
ジョブカフェいわて
隔月1回の研修会で、スキル向上と認識一致
きっかけを
ジョブカフェで!
隔月に県内のカウンセラーが集まり、人材育成コンサ
チーフキャリアカウンセラー
ラー同士の基本認識を同じくするためのものです。た
佐藤 育男 さん
とえば、カウンセリングに来てもなかなか前に進めな
カウンセラーのまとめ役として
い相談者がいます。研修会では、そうした方への対応
私は、キャリアカウンセラーとしての就職支援ととも
の仕方を実践的に学んでいます。具体的には「フォー
に、11名いるスタッフのまとめ役をしています。カウ
カシング」や「エニアグラム」などの技法をカウンセ
ンセラーからの相談に乗る、対外的な連絡をする、セ
ラーたちがロールプレイングにより、実践的に学習す
ミナーやイベントを調整するなど、マネージャー的な
るなどです。カウンセラーの悩みから出発した問題解
仕事です。
決型の研修会なので、カウンセラーにも好評です。
スタッフの個性と公平なサービスの両立を
前に進むきっかけを見つけて!
スタッフには、個性を最大限発揮して取り組んでもら
相談者の多くは最初、自信をもてないでいますが、み
いたいですね。もちろんサービス内容は相談者に対し
んな一生懸命考えようとしています。一人で悩まずに
て公平であるべきですから、個性を発揮すると同時
気軽に来てほしい。みんなが支えようとしていること
に、公平なサービスが実現できるように気を配ってい
をわかって、就職へ向けて前に進むきっかけをジョブ
ます。そのためにも、スタッフには自己啓発を働きか
カフェでつかんでほしいと思います。
ルタントをスーパーバイザーに研修会を開催していま
す。これは、カウンセラーのスキルアップとカウンセ
け、継続的に研修会を開催しています。
にいがたジョブカフェ事業
就活は、自分を
見つめる期間です!
カウンセリングでは「間」が大切
カウンセリングで心がけていることは「間」です。カ
ウンセリングで、すぐには話さない人もいます。そも
そも何から話してよいのかわからないから、相談にき
キャリアカウンセラー
ているわけです。そういう時、私から一方的に話せば
関 絹子 さん
よいというものではありません。相手は考えをまとめ
ようとしているかもしれないからです。話すテンポに
来館者の要望に即して
も気をつけながら、相談者と信頼関係をつくって少し
私は、カウンセリングを中心にしながら、就職バラン
ずつ話してもらい、次の一歩を踏み出してもらえるよ
ス診断や各種情報の提供、サポートセミナーの講師な
うに取り組んでいます。はじめは何も話してくれなく
どもしています。相談者の悩みは、
「早く就職先を探し
ても、帰るときに「考えがまとまった」と言ってもら
たい」
、
「何をしてよいのかわからない」など、さまざま
えたときはとても嬉しいですね。
ですので、それぞれ柔軟な対応をしています。
就職活動はつらくても、自分を見つめ直せる!
私も転職組だから不安がわかる
就職活動中はつらいこともありますが、自分自身をじ
実は私も転職組の一人。ですから仕事探しに不安を持
っくりと見つめる大事な期間です。自分を信じて一歩
つ相談者の気持ちはよくわかります。ただ、この仕事
一歩前に進んでほしいですね。一期一会の気持ちで大
は単に相手に共感するだけではダメ。共感とともに、
切にサポートしていきたいと思います。
客観的に相談者の状況を冷静に分析して、解決の糸口
を見出すことが大切ですね。
96
ジョブカフェ京都
おそれず、好奇心をもって!
普段着のミニ企業説明会
4月からは毎月1回、ミニ企業
産学公連携コーディネーター 立野 宏泰 さん
説明会を開催し、たいへん好
評です。これは、2、3社の採用
「産・学・公」の連携で就職支援
担当者と20人弱の求職者にセ
私の仕事は、企業や学校、行政などと連携をしなが
ンターの研修室に来てもらう
ら、若年者の就職を支援する場をつくることです。た
もので、求職者には普段着で参加してもらっていま
とえば、大学の就職課に対して、セミナー講師を派遣
す。採用担当者にとっては、ほかの会社の企業PRを
して学生たちに就職を考えてもらうことなどを提案し
聞けて、かつ求職者たちの反応がわかり、プレゼンの
ています。
やり方を学ぶことができますので、毎回参加の希望が
魅力の発信の仕方で、中小企業と連携
とても多いですね。求職者からも、
「企業の生の声を聞
中小企業では、採用ノウハウを蓄積しづらく、人材を
けて嬉しい」と、仕事探しにとって大きなプラスとな
見つけにくいという課題があります。そこで京都の経
っているようです。
営支援を行う「京都産業21」とともに、中小企業の採
みんなが知らない企業もたくさんある
用担当者向けに自社の魅力の発信の仕方をまとめたプ
求職者の多くは就職に強い不安を抱いていますが、
「お
ランづくりを行っています。採用の際のプレゼン力の
それずに、好奇心をもって!」と伝えたい。企業はた
向上や具体的なPR方法、実際の仕事内容の伝え方
くさんあり、みんなが知らない企業もたくさんありま
などをまとめています。
す。好奇心をもって参加してほしいですね。
ジョブカフェしまね
行い、問題の共有・解決を図っています。
ここで得るものは
必ずある!
高校への出張授業で、大きな手応え!
キャリアカウンセリングプログラムとして、2005年度
から高校で出張授業を行っています。生徒たちに早い
統括コーディネーター
山岸 正明 さん
時期から自分の進路について考えてもらえるような
「動機づけ」を行うことが目的です。また、早期離職の
減少も期待できます。授業では、キャリアカウンセラ
統括コーディネーターとは
ーがファシリテーターとして、ワークシートなどを活
統括コーディネーターとして私は、来所者対応やカウ
用してグループワークを実施しています。生徒たちが
ンセリングなどジョブカフェ・フロア内と、高校で行
自分自身で進路を考え、それを仲間と話し合い、発表
う出張授業の統括を行っています。
していきます。最初は、少し身構える生徒もいますが、
キャリアカウンセラーを育成し、地域に根ざす!
そのうちに自分の言葉で積極的に話し合いだします。
オープン当初、県内にはキャリアカウンセラー資格者
先生たちにも好評で、2年目には実施学級数が増えま
が少なく、まずは外部のキャリアカウンセラーをスー
した。
パーバイザーとして迎え、キャリアカウンセラーを育
ジョブカフェで得るものは必ずある!
成することからのスタートでした。今もスーパーバイ
人には一人ではなかなかうまくいかない、解決が見出
ザーには週1回以上、カウンセラーのミーティングや
せないときがあります。何かのきっかけで、道は開き
研修を実施してもらって、全体のレベルアップを目指
だすもの。ジョブカフェに来れば、必ず得るものがあ
しています。また、カウンセラー間の情報交換も毎日
ります。一人で悩まずにぜひ顔を出してほしいですね。
97
ジョブカフェ愛work
カウンセリング型のセミナーで大きな手応え!
あなたにしかない
原石を輝かせて!
具体的には、レクチャー型ではない、カウンセリング
型のセミナーを企画・実施しています。求職者には、
「やりたいことがわからない」人が多い。そんなスキル
ラーニングアドバイザー
アップの前段階で悩む人を対象にしたものです。リラ
浅野 環 さん
ックスできる雰囲気の中でワークショップなどを開催
カウンセリングとセミナーをつなぐ
相談業務とセミナー業務の両者をつなぐのが私の仕事
です。カウンセラーの資格をもちながら、若者へのア
ドバイスや相談、セミナーの企画・運営に取り組んで
しています。ワークショップは、同じ悩みや希望をも
つ仲間同士で話ができます。
「教えてもらってよかっ
た」という感覚から、
「なぜ自分はこう考えるか」な
ど、積極的に方向性を見出す「気づき」の場となって
います。同じ世代の他人の意見を聞き、自分の考えを
います。
スキルアップのセミナーを超えて
ジョブカフェ愛workでは、民間の研修会社へ委託し
て、ビジネスマナーやパソコンの使用法など、スキル
アップセミナーを中心に実施していました。しかし、
ジョブカフェへ集まる若年者には、これだけではなく、
主体的に参加できる体験の場を増やしたいと考え、委
託先の企業にも考え方や思いを伝えて、改善を行いま
整理できて、
「一歩を踏み出すことができる」と参加者
から好評を得ています。
自分にしかない「原石」が必ずある!
どんな人にでも、その人にしかない「原石」が必ずあり
ます。さまざまな経験や人との出会いをとおしてそうし
た原石を輝かせてほしい。ジョブカフェに来るみなさん
には、ぜひ自分を信じて活躍してほしいと願っています。
した。
福岡県若年者しごとサポートセンター
ニセミナーの企画など、相談以外の業務にもコンサル
たまには人生
ちょっと先に行く
人の話を聞こう!
タントが前向きにかかわっています。
毎日の就活クラブで、集団で学ぶ相乗効果あり!
平日の夕方にはほぼ毎日、
「放課後就活クラブ」を開
いています。これは、新卒対象者向けに集団面接の練
チーフキャリアコンサルタント
習やエントリーシートの作成などのトレーニングを実
長田 祐三子 さん
施する場です。大変好評で、毎日5名から15名程度が
参加していますね。ここには講師はおらず、参加者の
コンサルティングから内部管理・人材育成まで
積極的な活動で運用しているのが特徴です。気持ちを
キャリアコンサルタントとしての通常の仕事から、就
もつ者が集まると、有益な情報を交換できるんです
業支援トレーニングの運営、内部管理・人材育成の仕
ね。また、気持ちが落ち込みがちとなる就職活動にお
事までチーフとして行っています。
いて、集団で学びあい、励まし合うことが大きな相乗
情報の「共有」と「発信」を
効果を生んでいると思います。
コンサルタントそれぞれの個性を大事にしながら、相
人生を少し先に歩いている人の話を聞こう
談者の変化を通じて課題を見るように努力していま
98
「就職はどうする」とまわりから言われている間は、な
す。企業情報や人材ニーズを知るために、コンサルタ
かなか他人の話を聞く余裕はないと思います。でも、
ント自身が企業にヒアリングを行い、みんなにフィー
悩みを抱えたままでいるのもつらいから、センターへ
ドバックしてもらう。それらの情報を共有し、発信し
来てもらって、たまには人生を少し前に歩いている人
ていきたいですね。また福岡では、イベント集客やミ
と話をしてみてほしいと思います。
④学校・市町村との連携
解 説
学校・市町村との連携に関して
地域での活動定着のために
ジョブカフェはワンストップセンターとして、サー
学校、教育委員会、労働局など関係諸機関との連携を
ビスの質を向上させてきたが、地域での若者支援を最
通じて一体的な対策と実施を行うことにより学校との
大限効果的に行うため、地域行政、教育界、産業界、
信頼関係を強化している。
各機関との連携を前提として、地域の実情に最適なサ
ービス提供とそれを可能にする運営体制を構築するこ
●時間をかけ段階的に連携を深めていくこと。定期的
とが求められてきた。
に訪問して状況を把握していく。小さな実績をつくり、
地域に根ざした若者向け就職支援のワンストップサ
段階的にレベルアップさせていくことも有効。定期的
ービスセンターとして自立化を図るため、いっそう地
なミーティングの開催により双方の理解を深め、情報
域内の諸組織、諸機関との連携が要求されている。
を双方向でやりとりすることも効果的である。
沖縄では、県内の学校とのタイアップを進めるにあ
|地|域|連|携|の|成|功|ポ|イ|ン|ト|
地域での活動定着のための地域連携の成功ポイント
としては、次のような点をあげることができる。
たり、大学・短大・専門学校とジョブカフェの連絡会
議「沖縄県キャリアセンター意見交換会」を定期的に
開催している。
福岡では、学校との連携について、図のような取り
組みを学校の実情に応じて行っている。
1. 信頼関係をつくる
< 対 象 別 >
●緊密な連携を行うためには対人的アプローチ、つま
りセンター長や現場のメンバーによる継続的なコンタ
中学校・高等学校
四年制大学・短期大学
大学サテライト
高校合同会社面談会
大学等合同会社面談会
職場見学会
クトが重要。各機関、組織のキーパーソンを見つけ信
頼関係を構築していく。
山口大学では、キャリアセンター担当の助教授がキ
ーマンとして、ジョブカフェとの連携について必要性
出前型総合教育セミナー
高校生就職支援ガイダンス
学校就職課情報
高等学校連携指導・職業
教育担当者に対するセミナー
大学・専修学校等就職指導担当者と企業との意見・情報交換会
適職発見総合支援
大学等就職バックアップガイダンス
を認めてくれたため、学内セミナーの実施やキャリア
=【大学との連携】
教育の担当などのタイアップが実現している。
=【職業観の形成等支援】
青森では、カウンセラーが自ら全校(高校∼大学)
を訪問、先生たちとの信頼関係を構築している一方、
専修学校・高等技術専門学校
面接の達人セミナー
=【企業と学生とのマッチング】
就活キックオフミーティング
=【大学等就職課と企業との連携】
=【就職のための情報提供】
大学訪問キャラバン
●広く連携を実現するためには、個別のアプローチだ
けでなく組織的に連携する必要がある。地域の会合な
どへ参加したり、団体経由で周知させた上で個別にア
プローチするのがよい。コーディネーター的存在とし
て、県庁や受託団体がそれまでのリレーションを活用
して働きかけを行う。
各地の県庁やジョブカフェ事業の受託団体が地域の
ネットワークを活かして、ジョブカフェと地域の関係
諸組織・機関との交渉を行い、連携をとり持つ役割を
99
④学校・市町村との連携
解 説
果たしている。
2. 連携相手のニーズに合わせる
●連携先の状況にあわせた柔軟できめ細かい展開が必
要。相手のニーズに真摯に対応する姿勢が信頼関係構
築の基本である。大学・高校などでは学生の就職支援
についてのノウハウ提供はとても歓迎される。
山口では、山口大学のニーズに対応して、キャリア
教育の授業を担当し、また教職員向けキャリアカウン
ジョブカフェ愛workフェスタ2005
セリング講習会を開催。学生と身近に接している教職
宮城では、若者の就職支援のためのガイドブック
員がキャリアカウンセリングを学ぶことで、学生との
「ハタラキメデス」を、大学・高専・専門学校の協力を
よりよい支援関係を結ぶことができ、それが就職支援、
得て、学生主体に作成している。
キャリア教育によい影響を生み出している。
青森では、八戸工業大学と連携して、学生向けの就
●サービス提供の場所も連携先の事情を優先すること
職に関するセミナーを開催。ジョブカフェ主催ではな
が必要。出張サービスなどにより相手の利便性を高め
く、八戸工業大学の学生を中心に実行し、ジョブカフ
る。若者の数があまり多くない地域では、ほかの支援
ェが応援する形式で、地域の高校生なども招いて開催
機関も少ないので、在住の若者にとって貴重な場とな
した。
っている。
各地域とも、学校へのサービス提供を定番化してい
るほか、岩手、山口、沖縄などでは、ブランチ・サテ
ライトを学内に設置して、学生の利便性を高めてい
る。
千葉では、
「ジョブカフェちば出張版」を展開。県内
各地にスタッフが出向いている。地域ごとの求人情報
提供、求人提供セミナーの中での応募に加えて、面接
セミナーを開催し、1日の中で就職支援が完結するサ
ービスを実施している。
●若者の就職支援に関する共通目的を設定して、それ
に対して協働しながらサービス開発・運営を進めてい
く。特にイベント関係が連携を図りやすい。
愛媛では、3週間にわたり「ジョブカフェ愛workフ
ェスタ2005」を開催。地域の企業、商店街、学校、ハ
ローワーク、自治体と連携し、インターンシップや学
生と社会人の交流などのさまざまなイベントを毎日展
開した。地域に大きなインパクトを与えるとともに、
100
沖縄では、宮古、石垣など離島でイベントを開催し
イベント開催を通じて関係機関との協力体制を構築す
て、地域の若者を支援している。島根、長崎では隠岐
ることができた。
や五島といった離島にサテライトを設置して、サービ
④学校・市町村との連携
スを提供している。
島根では、県内産業への若年人材の定着が必要と考
解 説
して、若者の就職支援に関する情報交換やとり決めを
行っている。
え、高校生キャリア形成への総合的支援を行ってい
●拠点を多数展開することで地域の若者への支援が充
る。具体的には、企業体験、高校巡回カウンセリング、
実するだけでなく、地域全体での理解を促進すること
キャリアカウンセリングプログラム、高校生スキルア
が可能である。
ップなどをメニュー化している。また、大学、短大、高
専とも、学校派遣カウンセリング、就職活動支援セミ
ナー等を通じた連携を図っている。
福井では、全地域をカバーする「ミニジョブカフェ」
(9ヵ所)を展開。地域社会への周知徹底や、地域住民
の信頼を勝ち取ること、また地域の若者のよき相談相
手として地元密着を図っている。
●サービスそのものだけでなく、連携相手への多様な
メリット・付加価値を提供することが連携促進に有効
である。
山口、沖縄など、学校への定期訪問で情報・ノウハ
ウの提供を行っている。岩手、大阪、福岡などでは、
市町村が運営するジョブカフェを開設し、これまで培
ったノウハウを活用したサービスを提供して地元の就
職促進に貢献している。
福井のミニジョブカフェ
3. 地域振興マインドを持つ
北海道、青森では、各地域にジョブカフェの拠点を
設置して、TV電話システムを活用した遠距離カウン
●地域ぐるみで理解が広がるように、さまざまな関係
セリングを行っている。
者を連鎖して活動の輪が広がるように巻き込む活動が
有効。
岩手では、サテライトに連携コーディネーターを置
き、地域の現状把握やニーズ吸い上げを行っている。
各地域とも、地域の大学との連絡会議や、関係諸機関
から構成されるジョブカフェ運営検討組織をつくり、
地域ぐるみで若年者就職支援に取り組んでいる。
●地域で重要なテーマに幅広く取り組み、関係各所と
の連携を行うことで、活動が広がる。
石川では、大学コンソーシアムとのインターンシッ
プ連携を図っている。
青森、岐阜、福井、愛媛などでは、中学での講演を
実施。茨城、新潟、千葉では、入学式・卒業式・成人
式などでの講演を行うことで、それぞれ関係各所との
連携を図っている。
●街づくり、地域づくりなどの取り組みとの連携によ
り、地域振興に結びつき就業機会の拡大を目指す観点
が大事である。
岩手の気仙サテライトでは、若者の地域への定着を
目指して「新規学卒就職者合同歓迎会」
「若年社員育
成・指導者研修会」
「新入社員フォローアップセミナ
岩手の気仙サテライト
山口では、県内の主要地域で、地域の各機関との連
ー」などの地域での活動を関係機関とともに行ってい
る。
携会議「産・学・公若年就職問題検討交流会」を開催
101
④学校・市町村との連携
事 例 編
大学・専門学校への出前サービス、
やまぐち方式「ジョブ・ブランチ・インキャンパス」 ジョブカフェ山口
連携先の利便性に配慮したデリバリーサービス
|趣|旨|・|目|的|
山口県では県内各地域の中心的な教育機関(大学、短
大、専門学校)をセンターのブランチとして位置づけ
ており、そのブランチ9校に対し“出前方式”で定期的
にカウンセリング・セミナーを行ったり、教職員向け
キャリアカウンセリング講習会を開催し、就職促進を
図る。
|実|施|内|容|
ブランチ校のニーズに沿ったテーマに加え、グループ
ディスカッション対策、インターンシップの心構え等
のセミナー、カウンセリングの支援を実施した。
①就職支援セミナー 253回、9,355名
②個別カウンセリング 543名
なお、教職員の自立化へ向けたノウハウの共有化のた
めに「ブランチ校対象の教職員向けキャリアカウンセ
リング講習会」も実施した(5回開催、出席者91名)
。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
①学校からの要望にそった形のセミナー等を実施する
だけでなく、センターから積極的にテーマ等を提案
した。
②教職員向けキャリアカウンセリング講習会では、学
生の声を事例紹介してロールプレイングを実施する
など、教職員に対し、基本に立ち返らせる(気づか
せる)ことを狙いとした。
|効|果|
①ブランチでの出前支援に関わった若者に対してセン
ターへの登録を働きかけ、その後は就職支援の総合
機関としてセンターの有効活用がなされた。
②教職員の不安が解消されたり、学生に対する関わり
方や意識がよい方向に変わった。
ブランチ校で定期的に開催されるセミナー
102
④学校・市町村との連携
学校と段階的に関係を強化
事 例 編
沖縄県キャリアセンター
継続的に実績を積み重ねて信頼関係を形成
|趣|旨|・|目|的|
設立当初はキャリアセンターの認知度が低かったため、
利用者数を増加させるために県内各大学を巡回した。
各大学で就職相談やセミナー等を実施することにより、
センターの存在を周知するよう努めた。
|実|施|内|容|
当初は各大学週1∼2回の巡回相談であったが、学生の
就活スケジュールに合わせたセミナーの開催、琉球大
学での単位認定の講義の開催、琉球大学、名桜大学の
2ヵ所でのブランチ開設と段階的に大学との連携を強
琉球大学ブランチ
化してきた。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
大学の就職課とも連携が強化できたため、イベントや
セミナーの周知がスムーズに行うことができるように
なった。また、就職課の職員だけでなく、ゼミを持っ
ている教授にも積極的にアプローチしてキャリアセン
ターの事業を理解してもらい、学生に対してキャリア
センターを活用するように勧めてもらっている。その
ためゼミの先輩から後輩へクチコミで紹介されること
も多い。こういったセンターの対応が評価され、大学
側から就活セミナーを依頼されることも多くなってき
た。
|効|果|
大学での巡回やブランチの利用により、キャリアセン
ター本所へ来所する学生も増加している。現在は県内
最多学生数の琉球大学に注力しているが、今後は県内
の他大学に対してもサービスを充実させる必要がある。
琉球大学での講義
103
④学校・市町村との連携
事 例 編
高校への定期訪問による理解促進と事業普及
ジョブカフェしまね
定期的なコンタクトによる信頼関係形成
|趣|旨|・|目|的|
ジョブカフェしまねでは高校生の職場定着と県内就職
促進を目指して、高校生のキャリア形成への総合的な
支援事業(高校巡回カウンセリング、高校生の企業体
験等)に重点的に取り組むこととした。そして、高校
に事業を理解してもらい協力を得る中で、全県的な展
開を図るため高校への定期訪問を行った。
|実|施|内|容|
巡回カウンセリングでは巡回キャリアカウンセラー(6
県内高校での巡回カウンセリング(グループワーク)
名)を、企業体験では推進スタッフ(8名)を県内各地
域に配置。各人の担当高校を決めて学校訪問し、事業
説明を行い高校の実情・要望等の意見交換をした上
で、企業体験の受け入れ企業の情報提供や個別カウン
セリング・グループワーク等のサービスを提供した。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
学校訪問に先立って、教育委員会・労働局と協議・連
携を図り、巡回カウンセリングについては高校教員へ
の「キャリアカウンセリングガイダンス」を県内各地
で開催。企業体験についても事業説明・意見交換のた
教員向けの「キャリアカウンセリングガイダンス」
めの臨時校長会を開催し、高校への事業周知を図っ
た。この事前説明を行ったことにより、学校訪問を円
滑に開始することができた。また、学校訪問を担当校
制としたことから、担当者と進路指導担当の教員とが
親しく情報提供や意見交換のできる関係が生まれた。
|効|果|
学校訪問による学校との緊密な関係によって、2005年
度には23校、延べ3,011人の生徒に巡回カウンセリン
グを行うとともに、企業体験では推進スタッフが学校
のニーズを反映した受け入れ企業を開拓したことから
新たに事業に取り組む高校が出てくるなど、効果的に
事業を展開することができた。
104
高校生の企業体験(インターンシップ)
④学校・市町村との連携
学校訪問キャラバン
事 例 編
福岡県若年者しごとサポートセンター
対人的アプローチによるジョブカフェの理解促進
|実|施|内|容|
|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|・|課|題|
2005年度は学生の「福岡県若年者しごとサポートセン
学校訪問にあたっては、就職担当部門のアポイントを
ター」への来場促進が目標の1つであったため、学生
とった上で、責任者が必ず同行することと当センター
が就職活動に向けて具体的に行動を起こし始める時期
の事業をキャラバン隊員に理解させた上で実施した。
に「就活キックオフミーティング」を開催した。
就職課のほとんどは「出前型総合教育セミナー」や
そのための広報、その他のイベント告知、あわせて学
「大学サテライト」などのセンター事業の利用により具
生の状況をヒヤリングするためにキャラバン隊が学校
体的なセンターの活動を理解している。
を訪問した。
したがって、今後実施するにあたってはセンターの宣
[実施校]県内大学・短期大学26校
伝だけでなく訪問先が実施している就職に関する行事
[配布物]イベント告知ポスター、チラシ、
のPR等、個々の学校行事との関係性を深めていくた
PRESS11月号
めの活動も考える必要がある。
④学校・市町村との連携
市町村との共同開催によるジョブカフェちば出張版
事 例 編
ジョブカフェちば
連携を通じたサービスエリアの拡大
|実|施|内|容|
話での就職活動のフォローなどを行った。
広範囲に支援をするために、各市町村と連携をし、同
16地域・全42回の開催で、延べ639名に利用してもら
様のサービスをさまざまな場所で提供することを試み
った。そのうち115名の就職が決定した(2006年3月
た。
末時点)
。
[内容]市町村にて就職支援サービスを提供し、1人で
も多くの就職希望者を短期間にて就業決定につ
なげる。
[場所]千葉県下17市町
[会場]各市町内施設
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
①市町村との役割分担による集客
市町村報や市関連施設での告知によって集客を実施。
②遠隔地の会員への電話でのフォロー
ジョブカフェちばに通いづらい人びとに対して、電
ジョブカフェちば出張版でのカウンセリング
105
④学校・市町村との連携
事 例 編
山口大学における
キャリア形成支援への連携・協力
ジョブカフェ山口
連携先のニーズに合わせた柔軟なサービス開発
|趣|旨|・|目|的|
|効|果|
学生が「就職」するにあたり、早期に自分のキャリア
①自分のキャリアを自分で考える思考能力が身につい
デザインを考えることがより強く求められるようにな
た。
ってきた状況に加え、従前からキャリア教育を実施し
②大学の授業にカウンセラーが参画することにより、
ていた山口大学が、地域との連携や高学年向け授業の
ジョブカフェの認知度が上昇し、その後の就職活動
充実を図る方針としたため、同大学と連携・協力して
の時間における相談件数の増加、来所者数の増加の
授業を担当することとした。
効果をもたらした。
|実|施|内|容|
低学年を対象とした「キャリアデザイン(2単位)
」で
は、働く先輩の学生時代から現在までのキャリアの話
を聞くことで働く姿をイメージさせ、大学生活での目
標を明確にさせるようにした。
高学年を対象とした「総合科目 就職(2単位)
」では、
働く前に知っておくべき知識を習得させ、就職するた
めに必要な考える力・実践する力を身につけさせるよ
うにした。
また、高学年を対象とした新たな科目「キャリア形成
とコミュニケーション(2単位)
」では、キャリア形成
への理解と、職業人として必要なコミュニケーション
能力の向上、およびその関連性を理解させるようにし
た。
3つの講義で1,110人の学生が受講した。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
授業に参画していく方針として、就職ノウハウを学ば
せるのではなく「働く力」
「自分らしく生きる力」を身
につけさせることとした。
「総合科目 就職」では、企業にて実務経験を積んだ
キャリアカウンセラーが情報(企業の人事・組織・採
用に関する知識など)を提供し、企業の視点に立った
理解も得られるようにした。
「キャリア形成とコミュニケーション」では、小グループ
での演習をとり入れ、コミュニケーションスキルの向上
やプレゼンテーション能力を身につけられるようにした。
106
「総合科目 就職」講義風景
④学校・市町村との連携
ジョブカフェ愛workフェスタ2005
事 例 編
ジョブカフェ愛work
共通目的に向けて各種連携先と協働体制を確立
|趣|旨|・|目|的|
産業界、教育界、保護者、行政機関が連携し、県下に
若年者就業支援、産業振興・雇用創出の機運を盛り上
げるとともに、これを契機に関係者が連携し、継続的
に活動を推進するための基盤を造ることを目的に、大
きなうねりを起こすため「フェスタ」を実施した。
|実|施|内|容|
フェスタ期間中、多彩なイベントを展開。求職者対象
職場見学会、高校生や大学生が進路を考えるきっかけ
を与えるイベントや講演会、経営者・人事担当者対象
POPを準備するインターン体験の中学生
「企業向け講演会・人材戦略セミナー」
、保護者向け講
演会「わが子をニートにしないために」
、商店街での1
日インターン体験などを実施した。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
①企業、商店、学校が、若者の雇用について自らの問
題として取り組むよう、商工会議所や商店街組合、
教育委員会を通じた協力依頼とあわせて、担当者が
個別に訪問して理解を求めた。その結果、職場見学
やインターンの受け入れ、学校の取り組みがスムー
ズに進んだ。
②関係者の意識が高まるよう勤労感謝の日を中心とし
ジョブカフェ愛workフェスタ2005 パネルディスカッション
てフェスタ期間を設定した。さらに、ほぼ毎日県内
いずれかの地域でプログラムが実施されるようスケ
ジュール化し、全市町や関係機関の後援・共催を得
ることで、県をあげたイベントとした。
|効|果|
期間中3,800人の参加があり、企業や保護者、関係機
関へジョブカフェ愛workの事業内容が周知できた。ま
た、中心となって活動した学生スタッフおよび参加し
た若者にも大きな成長がみられた。十分な準備期間を
とり、関係機関との連携をさらに深め、より多くの若
者や関係者の参加を得たい。
フェスタ2005で職場見学
107
④学校・市町村との連携
事 例 編
専門学校との連携
にいがたジョブカフェ事業
地域の資源を活かしたサービスの充実
|趣|旨|・|目|的|
医療、会計、工科をはじめ、県内に23の専門学校を運
営する「NSGグループ」との連携により、職種に応
じて必要な専門のスキルが学べる講座が実現。
さまざまな専門職を目指す若者が受講後の就職活動を
有利させ、また、就職後も即実践で活かすことができ
る。
|実|施|内|容|
[開催講座]
①オフィスアプリケーション、②医療事務、③オフ
ィス知識、④CAD&オフィス、⑤簿記知識・入
門、⑥販売技術、⑦エクセル・ワード速習・実践、
⑧3級販売士、⑨建築CADスペシャリスト養成コ
ース
専門スキル習得講座のチラシ
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
各講座は、①講座のバリエーション、②即、実践で生
かせる、③短期間講座(10∼30日間)――などの特色
を持たせ、18時∼20時の夜間コースを準備して、昼間
はパートやアルバイトで働いている若者が参加できる
ようにした。
これにより、夜間コースにおいては、初回講座終了後、
次回開催についての問合せが殺到し、第2回受講申し
込みは開始から2日で定員に達した。
|効|果|
各講座とも応募定員に達しており、若者のニーズに十
分応えられたといえる。
また今回、女性の受講者が多く、受講後就職が決まっ
た者や、中には、今まではアルバイトで働いてた企業
に正社員の面接を受け採用になった事例もあり、就職
支援と定着支援の効果があった。
108
NSGの授業
④学校・市町村との連携
出会いの場づくりのためのインフラ
−就職情報誌「ハタラキメデス」の発行−
事 例 編
みやぎジョブカフェ
学校・企業・学生連携での情報誌づくりによる就業促進
|趣|旨|・|目|的|
フリーターを生み出さない地域社会づくりを推進するた
め、就職に対して漠然としたイメージしか持っていない
若者に対し、学生自らが取材・編集する就職情報誌「ハ
タラキメデス」を通して自分に興味のある仕事を見つ
け、安易にフリーターへの道を選択しないようにする。
|実|施|内|容|
タブロイド版・全8頁・オールカラー・2回発行(各
学生自らが取材・編集した就職情報誌「ハタラキメデス」
50,000部) みやぎジョブカフェの案内・各種機能を
体験記風に紹介。みやぎジョブカフェを利用し、就職
した先輩から後輩へのメッセージ、企業の人事担当者
から具体例を交えたアドバイスなども掲載。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
編集・取材者は自薦のほか、一部の大学・高専・専門
学校より推薦をされた学生を中心に企業の協力を得な
がら取材・編集を行った。
主な大学等にはジョブカフェ担当者が直接足を運び、
ジョブカフェへの理解と事業の意義を説明し、発刊配
「ハタラキメデス」を街頭配布するジョブカフェサポーターズ
布の協力を得た。
また、発刊日には編集に携わった「ジョブカフェサポ
ーターズ」が先頭に立ち、市内有力スポットで一斉に
配布活動を行ったところ、在仙のテレビ局3局をはじ
め各種メディアの取材を受け、多くのPRを担った。
|効|果|
学生等に向けた就職情報誌として学生が編集の大部分
に参画することで、若者の視点からのアプローチが可
能になった。
「ハタラキメデス」取材風景
今年度は年3回の発行を目指し定着を図り、企画・編
集体制を確立していく。学生等を中心とした運営体制
を確立することにより、事業終了後の発行についての
基盤整備を図る予定である。
109
④学校・市町村との連携
事 例 編
学校との連携
デリバリー型就職支援予備校・キャリア形成研修
ジョブカフェあおもり
相手の利便性に配慮したデリバリーサービス
|趣|旨|・|目|的|
高校生、短大生、大学生、専修・各種学校生等の対象
者別に、カウンセリング業務と一体的に職業意識の高
揚、企業が求める社会人としての資質の向上、職場定
着率の向上等を目的としたセミナー・講演を実施。広
域で利便性に欠ける県内の現状を踏まえ、カウンセラ
ーが自ら出向くデリバリー型により対応した。
|実|施|内|容|
カウンセラーが県内の高校、大学等をくまなく訪問し、
利用促進を図るとともに、各学校の状況、要望のもと
専修・各種学校を対象とした応募書類の書き方セミナー
に、対象学年、学部、実施時期に応じたオーダーメイ
ドなカリキュラムを作成し、全学年数百人の講演から
学級単位の少人数制のセミナーまで柔軟に対応した。
また、カリキュラムも就業意識高揚から適性診断、履
歴書の書き方、模擬面接等、幅広く対応している。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
2004年度はPRのためにモデルプランを提示し、事業
の理解促進を図ったが、現在はカウンセラーが直接各
学校の要望を聞くことにより、学校側のニーズに即し
中学生を対象とした職業適性診断セミナー
たセミナー・講演を提供している。その成果と利用し
た学校からのリピート率も高まり、05年度は170回、
延べ21,817名の利用があった。
|効|果|
利用者からは非常に高い評価を得ており、受講した学
生・生徒を通じてジョブカフェの存在と役割が広く周
知されるとともに、受講生のジョブカフェ来館につな
がることも数多い。また、学校から高いリピート率で
依頼が増加しているだけでなく、05年度からは学校行
事に組み込み、計画的に3∼5回シリーズ化するなど
積極的な利用も増加している。
このデリバリー型の普及により、県内学校にキャリア
教育という考え方が浸透してきている。
110
就職活動ガイドブックを制作し各学校に配布
④学校・市町村との連携
常設ブランチを学内に設置
(山口大学、山口キャリアデザイン専門学校)
事 例 編
ジョブカフェ山口
連携先の利便性に配慮したブランチの設置
|趣|旨|・|目|的|
きめ細かい支援を実施することができた。
学生に加え、地域の失業者、転職希望者及びフリータ
②山口大学の利用者については、キャリア形成支援授
ー等を対象に充実した就職支援を実施するため、山口
業との相乗効果もあり、セミナー参加者・個別相談
大学(山口市)・山口キャリアデザイン専門学校(周
件数ともに増加傾向にある。
南市)キャンパス内に常設ブランチを設置する。
|実|施|内|容|
①山口大学(2005年4月12日開所)
毎週火・木曜日の10時から17時まで「個別カウン
セリング」
「ミニセミナー」等を実施した。
利用者数308人(内訳:学生285人、一般求職者23
人)
②山口キャリアデザイン専門学校(同年4月8日開所)
毎週月・水・金の11時から18時分まで「個別カウ
ンセリング」を実施した。
利用者数179人(内訳:学生85人、一般求職者94
山口大学内の常設ブランチ
人)
③利用者総数487名(内訳:学生370人、一般求職者
数117人)
※2005年度は両校とも校舎改修等の事情もあり、暫
定的な措置として週2∼3日の支援を行った。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
①常設ブランチの周知のため、
「常設開所記念セミナ
ー」を実施した(山口大学)
。
②一般求職者(委託訓練生)が多く通う校舎に設置し
た(山口キャリアデザイン専門学校)
。
山口キャリアデザイン専門学校の常設ブランチ
③一般求職者が多く来場する学園祭等に積極的に参加
し、常設ブランチのPRを行った(山口大学)
。
④関係各市の協力を得て、広報誌でのPRを行った。
|効|果|
①山口キャリアデザイン専門学校の来場者について、
専門学校生以外の一般の求職者が全体の3分の2を
占める結果となり、地域に根ざした若者に対しての
常設ブランチ内部
111
④学校・市町村との連携
事 例 編
高校への継続的な働きかけの中で実施した
「高校向け進路選択支援プログラム」
ジョブカフェしまね
連携先のニーズに合わせたきめ細かな対応
|趣|旨|・|目|的|
|効|果|
高校生の進路指導の上で、自主的な進路選択活動への
授業を実施した成果として、生徒の進路に対する前向
動機づけを行い、就職への不安解消・納得感のある進
きな意識・意欲の芽ばえ(意識・行動)
、コミュニケーシ
路選択により、就業後の定着・社会への適応力を高め
ョン能力の向上(聞く・発言する姿勢)
、および校外講
ることが重要な課題となっている。そこで、高校現場
師(カウンセラー)の有効性などが、高校側から高く
の声を踏まえて高校3年間を通した体系的な進路選択
評価された。
支援を行う授業プログラムを開発し、高校での実証を
通じて効果測定・プログラム改良等を行い、県内普及
へ向けての完成度の向上に取り組むこととした。
|実|施|内|容|
2004年度に、県内11高校の教員をプログラム開発検
討委員に委嘱して、広く意見を聞く中で、体系的な3
学年各9プログラムを開発するとともに、県内高校の
実情に応じたプログラムのさらなる改善を図るために、
高校17校でのヒアリングを行った。その上で、実証希
望校を募集し、希望校27校の中から効果的な実証が可
キャリアカウンセリングプログラム授業で使用のワークシート
能な5校を選定し、05年度に各校で授業を実施して検
証を行った。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
授業のたびに担任教員との事前打合せを行うとともに、
学期ごとに進路指導教員および担任教員との意見交換
会を持った。学校と密接な連携をとることで教員の信
頼を得ることができ、円滑な授業の実施が可能となっ
た。授業実施時には、講師のカウンセラー以外にオブ
キャリアカウンセラーが講師で進めるグループワーク
ザーバーとしてカウンセラー・担任教員が入るチーム
ティーチングの実施により、グループワークの活性化
を図ることができた。また、担任教員に役割を担って
もらうことで、プログラムに対する一層の理解を得る
ことができた。
担任教員も参加して、盛り上がる職業インタビュー
112
④学校・市町村との連携
高校2年生を対象にグループワーク形式の
キャリアガイダンスを実施
事 例 編
ジョブカフェぐんま
共通目的に向けて各種団体をコーディネート
|趣|旨|・|目|的|
進路決定を行う高校2年生の重要な時期に、就職・進
学を問わず、職業観を醸成するきっかけづくりとする。
また、地域で行うことにより、高校生にとっては他校
との交流、各関係団体にとっては地域で協働して若者
のキャリア形成に携わる風土を醸成する機会とする。
|実|施|内|容|
高崎(308名)と桐生(767名)の2会場で実施。各2部
構成。1部は各種業界の企業代表者による「働くこと」
ファシリテーター育成研修を複数回にわたって実施
についてのパネルディスカッション。2部は1部の内容
を受けて10名前後のグループに分かれ、各グループに
1名ずつのファシリテーターを付け、
「働くこと」
「自己
理解」等についてグループワークを実施。地元の各団
体からファシリテーターの参加をいただいた。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
高校、企業、各団体へ趣旨説明と参加の働きかけを行
った。結果として、予想を上回る規模となった。高校
には開催のタイミングと内容・形式、そして他校との
交流試合によって生徒に刺激を与えられることが好評
企業代表者によるパネルディスカッション風景(高崎会場)
であった。企業にとっては生徒と接し相互に理解しあ
える貴重な機会となった。また、地元のハローワーク、
行政、NPO団体に対しては、事前に複数回のファシ
リテーター研修を実施し、より効果的な学びの提供の
準備と、地域全体の参加・協働意識の醸成を行った。
|効|果|
これまでは各団体が個別に実施していたことを、また
1団体では実現困難な事業を、ジョブカフェが中心と
なって協働する場をつくり、地域全体で若者のキャリ
ア形成を支援しようという風土を醸成できた。単発で
はなく、今後も「継続」していくことで、地域の大人
1名ずつファシリテーターが付いたグループディスカッション(桐生会場)
が若者に積極的に関わるようになり、フリーター、ニ
ート防止により大きな効果が期待できると考える。
113
④学校・市町村との連携
事 例 編
フリーマーケット in 学園祭
学校のイベントに出向き就業促進の企画を実施
|趣|旨|・|目|的|
ジョブカフェ長崎
(フレッシュワーク)
ポーターとして「助け合い・強調性」を習得。
①社会から離れていた(離れている)若者が、一歩踏
み出すきっかけにする。
②お金を稼ぐ意義・重要性を知る。
③どの能力が活かせるのかに気づき、自信を持つ。
④興味のある活動に気づいて、仕事探しの方向性のき
っかけにする。
⑤仕事をするときに重要なスキルを身につける。
|実|施|内|容|
長崎大学の学園祭において「フリーマーケット」を実
施(3日間)
。売り手メンバー5名(17歳∼27歳:何ら
かの事情があり1年以上働いていない、または働いた
フリーマーケット前に話し合う若者たち
ことがない若者)を、フレッシュワーク長崎とジョブ
倶楽部(学生自主的就活クラブ)メンバーがサポート
するかたちで企画実施する。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
人と接することや働くことに慣れてないので、本番前
にオリエンテーションを3回実施。特に気をつけたこ
とは、出された意見は「否定しない」を原則に、意見
を尊重し話合うこと。
「互いにほめること」の徹底。
①基本的な約束事を決める。コミュニケーションの第
一歩である「挨拶」の励行・体調管理等。
フレッシュワーク長崎とジョブ倶楽部メンバーがサポート
②テーマ・値段設定等のルールづくり・役割分担を話
し合う(活発な意見が飛び交う)
。
③販売シミュレーションを実施。本番はあくまで無理
をせず楽しく売ることを目標に取り組む。
|効|果|
売り手メンバーは、
「コミュニケーション」
「潜在能力
の気づき」等自信をつけ、今回の活動を通じ「自主性」
を身につける。
その後、彼らはアルバイト・専門学校進学・就活等積
極的に取り組んでいる。ジョブ倶楽部(学生)は、サ
114
売ることを楽しむ売り手メンバーたち
④学校・市町村との連携
地域内定者向け4校合同セミナー
事 例 編
ジョブカフェいわて
地域のニーズを反映させたサービス連携
|実|施|内|容|
職場定着支援の一環として、社会人としての意識づく
りとスキルアップを目的に、就職を直前に控えた盛岡
近郊4校の内定者が合同で参加するセミナー。①職業
人意識、②コミュニケーション力、③ビジネスマナー
について段階的に12月から3ヵ月にわたって開催した。
他校の生徒と並んで少し緊張気味の内定者たち
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
各学校を訪問する県のエリアジョブコーディネーター
が進路指導担当教員、学校長等と意見交換を行うなど
して、学校側の主体的な取り組みを促すことがきた。
他校の生徒同士の交流もいい刺激となった。セミナー
終了後も「コミュニティサイト」
「同窓会セミナー」な
どのサービス提供をしているのが特徴。
職業人意識をテーマにした講義のようす
④学校・市町村との連携
高校生進路指導者向けセミナーの開催
連携先に対してメリットを提供する
事 例 編
ジョブカフェ長崎
(フレッシュワーク)
|実|施|内|容|
高校生の就職活動を支援するために、
「進路指導者向
けマニュアル」を作成し、長崎県内の全高校(公、私
立高校)の進路指導者や担任教諭を対象に、県南、県
北地区にて各2回のセミナーを開催。新しい取組とし
て、コーチングやカウンセリング等を含めた生徒指導
の仕方をガイドした。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
作成に当っては、実証セミナーの時期をずらし、前期
高校生進路指導者向けセミナー
に実施したセミナーに対する意見等をとり入れ改訂を
行った。
マニュアルの配布については、県、教育庁との連携を
とり、全高校に配布することができた。
内容についても大好評であった。
115
④学校・市町村との連携
事 例 編
ミニジョブカフェとして多面的に展開
拠点を多数展開することで地域の理解を促進
|趣|旨|・|目|的|
県内市町村の若者が利用しやすいと思われる公的施設
に「ミニジョブカフェ」を9ヵ所設置し、カウンセラー
が常駐することとした。また学校やコミュニティセン
ター等への出張カウンセリングを実施することにより
県内全域をカバーし、若者に対するサポート体制のよ
り一層の充実が図られた。
|実|施|内|容|
あわら市、坂井市、福井市、大野市、勝山市、鯖江市、
越前市、小浜市、敦賀市の全9市にミニジョブカフェ
ミニジョブカフェ丸岡
を設置し、カウンセリング、職業適性診断を行った。
また、若者が集まりやすい施設等で出張カウンセリン
グ、セミナー等を行い、かつ管轄ハローワークと連携
し、スムーズな誘導を行った。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
2005年6月のオープン当初は各種メディアにおける広
報活動が功を奏し、それなりの賑いを見せたものの、
数ヵ月経過後は設置地域による利用者数の差が現れて
きたため、地元の高校を積極的に訪問し、生徒たちへ
気軽に利用してほしい旨を案内した。それと同時に、
各高校からの生徒に対して職業講話をしてほしい旨の
ミニジョブカフェカウンセラー会議
依頼に対応した。またミニジョブを管轄するハローワ
ークの職業統括指導官との定期的交流や地元の雇用推
進協議会、勤労青少年運営委員会へのカウンセラーの
出席を積極的に推進した。
|効|果|
これまでジョブカフェに行きたくても距離的、時間的
制約から利用できなかった若者にとっては、就職相談
を一元的に受けられる場所として、また地域事情をよ
く知るカウンセラーが常駐する場所として評判を呼ん
でいる。
出張カウンセリング
116
ふくいJobCafe
④学校・市町村との連携
地域のコーディネーターをサテライトに配置
事 例 編
ジョブカフェいわて
コーディネーターを通じた地域の現状把握とニーズ吸い上げ
|実|施|内|容|
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
早期離職(七五三)問題の背景には、就職のミスマッ
地域によってそれぞれ産業構造が異なるように、若者
チのほか、就職後のフォローアップの弱さなどに問題
を取り巻く雇用環境も地域によって異なるため、サテ
があり、これを放置すれば、地域産業の停滞につなが
ライトセンターの役割やエリアジョブコーディネータ
りかねない。
ーの業務内容については、細部をあらかじめ画一的に
このような状況を踏まえて、地域単位での職場定着支
定めることなく、その地域の特色を生かし地域が自ら
援の取り組みを強化するため、2005年度までに、県内
決めて取り組んでいる。その結果、若年者就業支援と
4ヵ所にジョブカフェのサテライトセンターを設置し
子育て支援を組み合わせて取り組んでいる地域、1.5
た。各エリアごとに、若年者の就業支援や職場定着支
次産業やものづくり産業との連携を図っている地域な
援、高校生の就業支援を行うエリアジョブコーディネ
ど、各地で特徴的な取り組みが顕著になっている。
ーターを配置、それまでの学校単位での配置による支
援を「地域単位」にシフトしたもので、ジョブカフェ・
サテライトセンターが設置されている地域では、サテ
ライトセンターにエリアジョブコーディネーターが各
2名配置されている。
④学校・市町村との連携
離島の若者への就業支援(フレッシュワーク五島)
支援機関が少ない地域の若者をサポート
事 例 編
ジョブカフェ長崎
(フレッシュワーク)
|実|施|内|容|
離島部は、長崎中心部に較べて求人倍率等が非常に低
くフリーターが多い。これを改善するため、島内での
キャリアコンサルティング・サービスを提供するフレ
ッシュワーク五島を2005年11月に設置した。サービス
は毎週火・水曜に、個別カウンセリング、就業支援セ
ミナー、適職診断、PCでの情報収集などを提供する。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
フレッシュワーク五島の
エントランス、外観
五島市商工観光課の協力で、告知チラシ・ポスターの
作成、島内各施設で掲示、セミナー参加の呼びかけが
実現できた。今後の課題として、島内の高校との連携
の強化があげられる。具体的には、年間計画作成期に
各校を訪問、出張セミナーやカウンセリング・サービ
スを予定に組み込んでもらうことなどが考えられる。
117
④学校・市町村との連携
事 例 編
“フェイス・トゥ・フェイス”で就職支援
ジョブカフェ北海道
各拠点をTV電話でつないでサービス充実
|趣|旨|・|目|的|
札幌以外の地域で就職活動している若者を積極的に支
援する。
|実|施|内|容|
TV電話システムで、札幌のキャリア・アドバイザー
と互いの顔を見ながら、就職に関する相談ができる環
TV電話システムで就職相談を受ける札幌のキャリア・アドバイザー
境を用意。また、月に1度各拠点においてセミナーを
実施し、就職活動に前向きに行動できるようサポート。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
各拠点に受付スタッフを配置し、施設の利用法等わか
らないことにはすぐに対応できる体制を調えた。また、
地域の特性を生かし、受付スタッフが各自工夫を凝ら
就職活動をサポートするセミナー
したセミナーチラシやPOPを作成し、リピーター増
加へと積極的に行動した。
毎月実施するセミナーは、各拠点長が地域の実情に合
わせて設定。基本的には就職活動の要となる「応募書
類の書き方」
「面接の受け方」
「小規模企業説明会」を
実施している。セミナー後に就職相談の時間を設け、
希望者にはピンポイントアドバイスやVPI職業興味
検査を実施。また、コミュニティラジオの活用、フリ
若者に対応する函館のスタッフ
ーペーパーへの広告掲載等、地域に密着した活動を展
開。オリジルデザインのインスタントコーヒーを作成
し、セミナー参加者や大学祭、企業説明会等で配布し
てPRした。
|効|果|
受付スタッフを配置することで、拠点の利用者数が飛
躍的に伸びた。クチコミや地道なPR活動によって支
ジョブカフェ釧路
援対象の若者だけでなく、保護者、地元企業にも認知
されるようになり、地元企業の人事担当が施設の見学
に来場したり、求人情報の提供および問合せが増え
た。
オリジナルデザインのインスタントコーヒー
118
④学校・市町村との連携
JOBカフェSAKAI−ヤングJOBステーション−
事 例 編
JOBカフェOSAKA
市町村との連携による拠点の運営力向上
|実|施|内|容|
2005年6月21日開設。大阪府の連携事業として、堺市
が(財)大阪労働協会に委託、さらに民間企業への再
委託により運営し、堺市および周辺部の就職支援拠点
として地域に大きく貢献している。地元の企業・経済
団体・労働組合と連携した事業の実施、JOBカフェ
2005年6月21日に開設した
JOBカフェSAKAI
OSAKAと同様のサービスの提供などを行っている。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
開放的で親しみやすい施設づくり、好評なセミナーの
開催など、JOBカフェOSAKAで培った運営ノウハウ
を堺に提供。堺市単独運営による前年度実績を3ヵ月
利用者からの意見への
返事をセンター内に掲示
で達成し、高い評価を得ている。利用者の満足度も高
く、初回来場者アンケートでは再来訪したいと回答し
た利用者は90%を超えている。
JOBカフェOSAKAと
同様のカウンセリング
④学校・市町村との連携
北上市が設置した「ジョブカフェさくら」
事 例 編
ジョブカフェいわて
市町村との連携による若者支援拠点の拡充
|実|施|内|容|
ることができる。同フロアにある高齢期就業支援セン
市町村が主体となってジョブカフェを設置し、キャリ
ターとも連携を図っている。
アカウンセリング、職業適性診断、就職支援セミナー
北上市では将来的に市職員をカウンセラーとして育成
等を行うジョブカフェさくらを設置した。北上地域は、
配置したい考えである。
製造業を中心として県内で最も産業集積の高い地域で
あり、産業界との連携について期待されている。ジョ
ブカフェさくらは、北上市の商業ビル内にある市民交
流プラザの一角を改装し、2005年4月19日に設置し
た。専門の相談員3人により、平日の午前10時から午
後5時まで相談に応じている。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
北上市、岩手県(県南広域振興局北上総合支局)
、北
上公共職業安定所が連携して運営にあたり、相談業務
のほか、毎日最新の公共職業安定所求人情報を閲覧す
北上市市民交流プラザ内に設置された「ジョブカフェさくら」
119
④学校・市町村との連携
事 例 編
大学コンソーシアムとの連携会議
にいがたジョブカフェ事業
連携先へのメリット・付加価値の提供
|実|施|内|容|
2006年度コンソーシアムに長岡大学が参入し主体とな
って、市内3大学との連携のため、①経済産業省2005
年度調査事業予算を引き継ぎ、長岡市内100ヵ所の事
業所へのホームページ作成によるアプローチと人材育
成・各大学への就職支援を行う。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
長岡造形大学からの要請が既にあり、長岡キャリア応
援プラザ館キャリアカウンセラーを、5月9日(火)か
ら派遣している。就職支援およびセミナー要請に応え
長岡造形大学
るような体制ができ、学生向けカウンセリングを行っ
ている。今後は、セミナー開催を予定しているほか、
他大学とも内容を検討中。
④学校・市町村との連携
事 例 編
大学コンソーシアムいしかわとの連携
ジョブカフェ石川
地域で重要なテーマに連携して取り組む
|実|施|内|容|
仕事探しシェルパ制度などジョブカフェで培ったノウ
県内19高等教育機関で構成する「大学コンソーシアム
ハウを活用する。
石川」が提供する「いしかわシティカレッジ(単位互
換講座)
」にジョブカフェが協力。
主に大学2年生・短大1年生を対象に、2006年度夏期
より「働くってどういうこと−プレ・インターンシッ
プ」と題した特別講座を開講予定。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
本格的に就職活動に取り組む前段階として、自分の将
来を考えるきっかけとすることが目的。
先輩社会人による職業講話や人事採用担当者による求
める人材像、他大学混合のグループワークで実際に企
業を訪れて取材するなど、体験型の内容とするため
「社会人基礎力」の形成も期待できる。
120
シティカレッジ(単位互換講座)のシラバスとチラシ
⑤企業接点・人材育成
解 説
人材育成・確保支援
地域振興のための人材育成・確保支援
若者の就職支援のためにジョブカフェでは、まず若
|地|域|で|の|人|材|育|成|、|
者向けのカウンセリング、各種サービスを充実させる
|企|業|の|人|材|確|保|支|援|
ことから着手してきた。しかし多くの若者が来所して
|の|成|功|ポ|イ|ン|ト|
サービスを受けても、受け入れ先である企業とのマッ
若者の就業率向上を狙いとして、企業の人材の育成
チングがなされなければ、就職にはいたらない。マッ
や確保に対する支援を行うにあたっての成功ポイント
チングを成功させるためには若者自身が企業の求める
は、次の通りまとめることができる。
人材要件を満たすことと、企業の採用・人材育成の意
欲が高まり、適切な採用活動を実行することが必要と
なる。そのためジョブカフェでは企業との連携を深め、
1. 企業との密なコンタクト
パイプを太くすることで、若者の就職へのボトルネッ
クを解消してきた。
●企業とのコンタクトをミッションとする担当者を置
き、定期的に企業訪問を行うことで信頼関係を構築す
る。同時に、当該企業のニーズの把握に努めて新たな
サービスの立案につなげる。
群馬では、カウンセラーが企業訪問し、求人開拓を
行っている。それにより若者の企業理解が促進され、
かつ企業の若者理解も促進される。
京都では、求人開拓員が若者と企業に同行し、マッ
チング率を高めている。若者の行動が促進されるだけ
でなく、双方のコミュニケーションが円滑になるとい
う効果もある。
●ジョブカフェの理解促進のため、直接的なコンタク
トだけでなく、効果的なイベントやツールを活用する
ことも有効である。
若者の就業率を向上させるために、地域に必要とさ
れる人材の育成を行い、若者の成長に寄与するととも
に、企業に対する採用意欲の向上、採用活動支援・定
着支援などのサービスを行うことも、ジョブカフェの
重要な使命といえる。地域の産業振興の観点なくし
て、若者の就職支援は成り立たない。産業振興策と雇
用対策がコインの裏表のように連携しなければ効果は
あがらない。
みやぎジョブカフェ祭りのシンポジウム
121
解 説
⑤企業接点・人材育成
北海道、岩手などでは企業向けの広報誌を発行、宮
城、千葉、石川、大阪、愛媛、沖縄などでは、企業の
経営者や採用担当者向けの各種セミナーを実施して、
人材採用、育成についての理解促進を図っている。
群馬では、若者が企業にインタビューして作成する
「採用のヒミツ」の制作により、企業が直接若者と接す
る機会を提供しながら、ジョブカフェへの親和性を高
めている。
人事責任者を招いた沖縄のワークショップ
●企業に参加してもらう組織を運営して、協力関係を
具体的な形にすることで多様な活用につなげている地
域もある。企画の立案や活動内容の理解促進など、さ
就活虎の巻「採用のヒミツ」と編集風景
まざまな効果に結びついている。
福岡では、自動車関連産業の企業との連携により
「自動車関連産業即戦力人材育成講座」を開催。
「定職
に就いていない若者を自動車産業の担い手に育てる」
をコンセプトに、工場製造ライン基礎研修、工場管理
基礎研修など、いくつかのコースから構成される実践
的な研修を行った。修了者の6割以上が内定につなが
るコースもあるなど、高い成果を収めている。
●連携は単発のイベントなどで終わらせのではなく、
体系化して長く関係を保てるようにする。企業との連
携は若者の就職支援にとって常に必要なことである。
大阪では、企業への体系化されたサービスモデルを
開発している。中小企業では育成コストのかからない
即戦力採用へのニーズが高いが、実際の採用に至らな
いケースが多い。そこで、未経験者採用への意識転換
をはかるため、
「経営者・採用担当者セミナー」や「人
事担当者PRプチ合同会社説明会」を実施するととも
に、若者と企業がふれ合う場を設定した。企業向けセ
ミナーでは開催後、参加者の92%が「今後、未経験者
の採用を行う・検討する」と回答している。
沖縄では、「沖縄県若者活用宣言」と題して一連の企
「自動車関連産業即戦力人材育成講座」ポスター
業向けイベントを開催した。テーマを分けて3回シリ
ーズのセミナーを行い、さらに経営者や人事責任者を
招いたワークショップを3回開催した。参加企業も多
く満足度も高かった。
2. 企業へのメリット提供
●企業からジョブカフェへの期待は、何といっても採
用の支援が大きい。直接若者を紹介してほしいという
122
⑤企業接点・人材育成
解 説
ニーズへの対応から、若者に対して企業の情報を提供
するなど、企業の採用をバックアップすることは大い
に歓迎されている。
群馬、茨城、岐阜、京都などでは、無料職業紹介事
業の認可を受けて独自にマッチングを行っている。
宮城、石川、千葉、島根などでは、ジョブカフェの
ホームページで企業情報の提供を行っている。沖縄で
しごとマナーヘルプファイル
は月刊のセンター活動情報冊子に企業の情報も掲載し
ている。
●ジョブカフェでは、多くの若者と接点を持ち、サー
ビスの改善に努めてきた。そこで蓄積された若者の就
●多くの中小企業は、若者の職場定着について大いに
業に関するノウハウ・情報を、しっかりとまとめて企
悩んでいる。若者の就業までにとどまらず、定着支援
業に対して提供することも歓迎されている。
に関しても企業を応援することで、より強い連携が図
れる。
青森では、県内企業に対する若年者の採用促進、啓
発、定着支援情報提供を目的として、
「企業応援ブッ
長崎では、
「若年社員 定着支援プログラム」を開
ク」を作成、ジョブカフェあおもりの応援隊企業およ
発。各地域を担当する10名のジョブトレーナーが企業
び県内主要企業に配布している。応援隊企業に対して
を巡回訪問し、若年社員集合セミナー、経営者向けセ
は、人材育成のためのCD-ROM教材も提供している。
ミナーなどを提供することで、若年社員の職場定着支
援を行っている。
●個々の企業との連携も重要だが、支援を必要とする
若者のボリュームを考えると、業界単位での連携も効
●地域の中小企業の中には、内定者フォローや研修活
果的である。業界のイメージアップや理解促進に取り
動にパワーをさけないところもある。ジョブカフェで
組むことで、多くの若者の就業促進に結びつけること
は企業へのメリット提供として、人材育成の支援も行
ができる。
っている。就職活動中のみならず、内定者、新入社員
も対象としている。
北海道では、企業への緻密な取材を通じて業界を詳
しく説明した「ジョブルートマップ」を作成している。
福井では、新規高卒内定者の育成のためのセミナー
また、
「ジョブルートマップ」にもとづいて、実際に若
を県内11会場で開催し、高卒内定者の94.1%に当たる
者が業界研究や職場体験を行う「ジョブルートマップ
1,391人の参加を得た。
実証セミナー」を開催して業界の理解促進を図ってい
大阪では、内定者が入社後に即戦力となることを目
る。
指し、基本的な知識・スキルに関する講習会を6回開
催した。実践的な内容で参加企業からの評価は高い。
3. マッチングの機会の提供
接客研修
●若者とのマッチングの機会・場を提供することで、
企業に採用のチャンスを提供することが、企業の行動
喚起につながり、若者の就職機会の増加が実現され
る。
宮城では「トライアウト」と呼ぶ、実践的研修と合
同企業説明会を組み合わせた企業と求職者の新しい出
会いの場を創出した。構成は、参加企業が与えたさま
ざまな課題に対して、若者が企業訪問などをしながら
123
解 説
⑤企業接点・人材育成
アイディアを練り、企業担当者の前でプレゼンテーシ
●単純に企業を集めただけの合同説明会は、世の中に
ョンを行い、かつその後すぐに合同企業説明会を実施
多数存在する。そこにとどまらず工夫を凝らして人材
するという流れである。この結果、参加した若者約30
や企業のニーズに応じたマッチングの仕組みをつくる
名のうち他社へのアプローチも含め半数以上が内定を
ことが、ミスマッチの解消につながる。
得るという成果につながった。
各地では、キャリアカウンセラーを合同説明会のブ
ースに配置して、直接相談を受け付けてマッチングの
効果を促進している。
大阪では、簡単なアンケートをベースとして、若者
をそのニーズに応じた企業のブースに誘導するような
「マッチングボックス」を用意して、合同説明会でのマ
ッチング率の向上を図っている。
千葉では、就職のためのグループ活動である必勝ク
ラブの「成田行」バージョンを実施。これは、2週間で
内定をとることを目標に活動する若者が成田国際空港
トライアウト事業
沖縄では、企業と求職者のマッチングの機会として
「ライブカフェ」を開催している。これは、通常の企業
に行き、空港に関連する地場産業を研究することを通
じて理解を深め、空港関連企業とのマッチングを促進
するものである。
説明会と異なり、学生が緊張しないよう、BGMを流
し、少人数でテーブルを囲み、コーヒーを飲みながら
リラックスして意見交換できる雰囲気を作ったもので
ある。企業としては、充分に学生と話すことができる
ので、企業の現状や魅力を十分に伝えることができる
と好評である。
必勝倶楽部「成田行」
●企業にとって採用は大変重要な行動だが、常に優先
順位が第一位というわけにはいかない。したがって若
者の就業機会を確保するため、企業の採用意欲を喚起
するような取り組みも必要となる。若者の現状、活用
事例、採用に関するノウハウの提供を行うことで、地
域企業の採用喚起につなげる。
ライブカフェ
千葉では、採用マニュアルを作成して企業に配布。
大阪では、先に説明した未経験者活用のための企業
●企業の求人はアクティブなものであり、経営の状況
向けセミナーによって、採用意欲の喚起を図っている。
に応じて常に変動していく。求人情報を効率的かつタ
イムリーに開拓することで、マッチングの機会創出に
つながる。
4. 地域に必要な人材の育成プログラム
群馬、大阪などでは、求人開拓員の企業訪問にカウ
ンセラーが同行して求職者側の情報を伝え、潜在的な
●一般的に就業経験が少ない若者は、企業が求める戦
求人情報の掘り起こしを行っている。
力レベルに達していない。そのためにある程度の育成
青森、山口では、県庁総出のローラー作戦で求職者
が求める企業の開拓にあたっている。
124
が必要となる。地域企業に必要な人材育成のプログラ
ムを、企業の協力を得て開発し、定期的に実行する。
⑤企業接点・人材育成
岩手では、実践できるようになることを重視する若
年人材の教育体系を策定。この教育体系に基づいて、
流通・小売業編、自動車産業編など、業界別の「チャ
解 説
●業界団体との連携や企業とのネットワーク化による
地域人材育成についての検討会などの開催
青森、岩手、山口、福岡、長崎などでは、企業との
レンジセミナー」を開催している。参加した若者は、
密なコミュニケーションのため、連絡協議会、ネット
職業観や自己表現力が醸成され、労働意欲が高まるこ
ワーク協議会を定期的に開催している。
とが確認されている。
新潟では、新潟県電子機械工業会および新潟県IT
産業ネットワーク21の企業群の協力を得て、ITおよ
びET(組み込みシステム)の人材育成プログラムを
実施して、就職に直結させている。
5.他の支援機関や団体・政策との連携
●企業接点が多く、マッチングに長い経験を持つハロ
チャレンジセミナー
ーワークとの連携は最も基本的な企業窓口への近道で
ある。そのためジョブカフェとハローワーク間の信頼
大分では、企業のニーズに即した各種人材育成プロ
グラム提供している。例えば、企業の「求人を出した
関係づくりや、共同企画、施設の一体化などが効果的
である。
り、面接会に参加したりするが、よい人材を得られな
青森では、高卒支援での連携のためにヤングプラザ
い」という声を受けて、その原因が、
「地場産業の業務
との情報交換を行っている。宮城では、相談情報をハ
内容が若者に知られていないため」にあると分析。イ
ローワークと共有、千葉、岐阜などでは、ファシリテ
ンターンシップの重要性を企業に説くとともに、若者
ィを一体化している。大分では、合同説明会での連携
が地場産業の業務内容を研究する機会となる「企業課
を図るなどさまざまな試みがなされている。
題挑戦プログラム」を提供している。
石川では、
「
『1ヵ月で就職!』プロジェクト・脱タテ
岐阜では、大手コンビニエンスチェーン”ファミリ
ワリ」をスローガンに、ヤングハローワーク金沢との
ーマート”と提携して、同社が保有する店舗スタッフ
協働で、短期間で就職を目指す就業支援サービスを行
向けの人材育成カリキュラムをベースとした基礎研修
っている。目的の共有や頻繁な情報交換による信頼関
カリキュラムを実施している。広報においても各店舗
係構築、それぞれの得意分野を活かす役割分担によ
にチラシを設置して大きな反響を得ている。
り、協力体制を確立し、サービスを一本化、体系化す
ることに成功している。
●プログラムをつくるだけにとどまらない、運営の仕
組みづくりも求められる。優れた人材育成プログラム
を開発しても、利用促進を図らなければ宝の持ち腐れ
になってしまう。
ヤングハローワーク金沢
職業紹介
企業へのネットワーク
ジョブカフェ石川
民間のノウハウ・工夫
若者を惹きつける力
情報の共有化
京都、大阪、愛媛などでは、ラーニングアドバイザ
ーが人材育成プログラムの運営を支援する仕組みをつ
くって、個人の成長をサポートしながら企業のニーズ
●地域の経済団体などを通じて個別企業との連携を図
に応えている。
ることは、効率的に多くの企業との連携ができること
岩手、茨城、京都、愛媛などでは、eラーニングの
仕組みをつくって、広く地域の若者の利用を促進し
て、人材育成を行っている。
になる。
岩手、群馬、愛媛などでは、地域のNPOとの連携
を図って企業へのアプローチを行っている。ジョブカ
125
解 説
⑤企業接点・人材育成
フェの事業を委託するケースもある。
青森、新潟、石川、福岡などでは、経済団体との連
携によるセミナーを開催。
サポーターズ総会
メーカー企業フェア
北海道では、業界団体の定例会議にジョブカフェ内
のスペースを提供している。それにより提携が図れる
だけでなく、実際にジョブカフェを業界関係者に見て
シェルパの講話
もらうことで理解が促進され、協力体制の確立に結び
つく。
●地域で行われている各種の公的な政策との連動も必
山口では、青年会議所との連携を実行している。青
要。それによって双方のメリットにつながり、ジョブ
年会議所主催の就職面接会などで、ジョブカフェのブ
カフェ活動がより効果的になる。その連携には県庁と
ースを設けPRするとともに、カウンセラーを派遣し
のタイアップがポイントとなる。
て若者の相談を担当した。
岐阜、大阪、沖縄などでは、インターンシップ事業
の受託を行っている。
●ジョブカフェが中心となり企業を組織化して、ジョ
大阪では「OSAKAしごと館」との連携で各種事業
ブカフェの理解促進、企業からの情報の入手など連携
を推進。沖縄では県の戦略産業である「コールセンタ
を強めて、その上で各種企画を効果的に運営する。
ー」の理解イベントを開催するなど、関連施策との連
新潟では、ジョブカフェを支援してくれる「ジョブ
カフェ・カンパニー」の組織化を図っている。同様に
青森では、
「ジョブカフェ応援隊」
、岩手では、
「ジョブ
カフェサポーターズ」
、石川では「シェルパ制度」など
を展開。支援企業と一緒に、セミナー・イベントなど
の各種企画の立案や運営を行っている。
応援隊
126
動を図っている。
E企業接点・人材育成
求人開拓とカウンセリングの融合
事 例 編
ジョブカフェぐんま
求人側の情報をカウンセラーがダイレクトに把握
|実|施|内|容|
「職業紹介」を行うジョブカフェぐんまでは、カウンセ
ラーが相談者に企業の状況や要望を正確に提供するサ
ービスを重視している。そのため、カウンセラーが企
業に出向いて求人開拓を行い、生の企業ニーズを直接
把握して相談者へフィードバックする。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
企業には、現在の若者の状況を紹介しながら、具体的
な求人像をイメージできるよう、企業の担当とカウン
セラーがきめ細かに情報交換をしていく。こうしたや
企業担当者とカウンセラーによる採用試験の打合せ
りとりを深め、若者には、具体的に乗り越えるべき壁
や準備すべき事柄を提供する。時には、企業と若者の
狭間で矛盾を抱えてしまうので、カウンセラー同士に
よる助け合いが大変貴重になる。
E企業接点・人材育成
求人開拓員による企業と若者の橋渡し
事 例 編
ジョブカフェ京都
企業との信頼関係を通じたマッチング率向上
|実|施|内|容|
企業見学会やインターンシップ、面接等、企業と若者
が接触する際には、必要に応じて求人開拓員が若者に
同行し、双方の交流がより円滑に、また、より効果的
に行われるようサポートを行っている。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
若者と求人企業、双方のニーズを把握している求人開
拓員が、企業見学会や面接等に同行することにより、
双方のより円滑な相互理解の橋渡し役となり、安心感
を広げることができている。
若者に同行して企業を訪問する求人開拓員
また、企業の求めるスキルを持ちながらもうまく伝え
られない若者の潜在能力を、企業に伝える役割も担っ
ている。
127
E企業接点・人材育成
事 例 編
広報紙「ジョブカフェ通信」で企業にアプローチ
ジョブカフェ北海道
広報ツールの定期的発行による連携の推進
|実|施|内|容|
業界団体や企業に向けて、求人情報の提供、企業セミ
ナーの開催などの協力を呼びかけることで、企業との
連携を図ることを目的とし、ジョブカフェの各種サー
ビスや利用状況データのご紹介などを主な記事に、年
4回発行し、業界団体や協力企業に送付している。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
ジョブカフェ卒業生の声や利用者を採用した企業の声、
知事や経産局長から業界団体や企業への協力を呼びか
ける寄稿を記事にする等、ジョブカフェへの理解促進
や協力要請をより効果的に行えるよう工夫した。
「通信」を読んだいくつかの業界団体から、会報ととも
に配布したいという申し出を受けるなどの反響が大き
く、発行数は当初の2倍と、着実に伸びている。
企業向け広報紙「ジョブカフェ通信」
E企業接点・人材育成
事 例 編
企業向け広報誌「ジョブカフェいわてから企業のみなさまへ」の発行
ジョブカフェの理解促進に効果的なツールを活用
|実|施|内|容|
県内企業向けに、ジョブカフェいわての活動内容とジ
ョブカフェいわてが実施した人材ニーズ調査の集計結
果を紹介した。第1号でAジョブカフェいわて設立に
ついて、Bジョブカフェの具体的なサービス内容を紹
介し、第2号では県内企業に対して実施した人材ニー
ズ調査の結果を踏まえ、人材採用に関する企業の取り
企業向け広報誌第1号
組みと求められる人材像を紹介した。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
シリーズ企画として段階的に情報を提供できるように
した。冊子は、気軽に目を通してもらえるボリューム
とし、記載内容についても、情報を整理し、グラフや
表を多く用いるなど、読む側が負担を感じないような
レイアウトとした。
128
企業向け広報誌第2号
ジョブカフェいわて
E企業接点・人材育成
企業との連携への一連の取り組み
事 例 編
JOBカフェOSAKA
未経験者活用のノウハウ提供を通じた採用意欲の喚起
|趣|旨|・|目|的|
仕事を求める若年者が数多く存在する一方で、中小企
業では採用したくてもなかなか人材を確保できないと
いう現実がある。このミスマッチを、企業が求職者に
歩み寄ることで解消し、お互いのHAPPYを実現する。
|実|施|内|容|
ミスマッチの要因を「求める人物像のミスマッチ」
「自
社の魅力発信が十分ではない」と分析し、意識改革を
人事担当者PRプチ合同会社説明会
促す事業(人事担当者PRプチ合同会社説明会、経営
者・採用担当者セミナー、仕事発見カフェinなんば)
を実施した。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
「求める人物像のミスマッチ」の要因を、企業側には即
戦力化を求め経験者に対するニーズが強い一方で、若
者には未経験者が多いという構造的な問題として捉え、
その意識改革の方向性を「未経験者の常用雇用の促
進」とした。また、
「自社の魅力発信が十分でない」と
いう要因は、企業側の発信する情報と若者が求める情
経営者・採用担当者セミナー
報のギャップによる問題として捉え、その方向性を
「個々の中小企業の魅力が伝わるメッセージ開発」に絞
り込み各イベントを実施した。
|効|果|
各イベントとも参加した企業からの評価は高く、未経
験者採用への意識改革や、企業メッセージのヒントが
得られたという成果が上がっている。今後とも企業啓
発を継続的に行い、中小企業と未経験者の理想的な出
会いが、自然と行われるような基盤づくりが重要であ
仕事発見カフェinなんば
る。
129
E企業接点・人材育成
事 例 編
沖縄県若者活用宣言
沖縄県キャリアセンター
若者活用の意義を効果的に伝えることによる採用の活発化
|趣|旨|・|目|的|
沖縄県では、公務員や一部大手の県内企業に学生の志
望が集中し、中小企業はほしい人材が採れない状況で
ある。これは県内中小企業の多くが計画的かつ効果的
な人材戦略を有していないことに要因があると考えら
れる。そのため「人財」として若年者の積極的活用を
図り、企業発展の牽引力とするノウハウ修得を目的に
セミナーを開催した。
|実|施|内|容|
100名定員のセミナーを3回開催した。1回目は人事戦
略の重要性と社内の意識改革をテーマに県内企業の代
表者を招き、各企業における人材活用法をディスカッ
ションした。2回目は若者を惹きつける効果的採用方
法について事例紹介を実施。3回目は人材育成のノウ
ハウについての事例紹介を実施した。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
セミナーは、各企業で実践できる具体的な内容にする
ことを心がけた。また、セミナー参加者から希望者を
募り、具体的な人事戦略の立案についてのワークショ
ップを別で3回開催した。参加者からは県外企業の採
用動向や若年者の就職に関する意識がよく理解でき
た。また、自社発展のための人事戦略の必要性、企業
理念の重要性等の認識が深められ、採用や人材育成の
ノウハウ等、具体的に修得できたなどの意見が寄せら
れた。
|効|果|
人事担当者を対象にセミナーを実施したが、採用に関
しては企業の全体的な取り組みが必要であることから、
人事担当者のみならず経営者も一緒に参加してもらう
必要があると感じた。また、セミナーを聞いただけで
終わらせるのではなく、実際にとり入れて実施できる
内容にしていきたい。
130
セミナーで人材活用法、効果的採用方法、人材育成のノウハウなどを研究する
企業の人事担当者
E企業接点・人材育成
求職者が求める企業の開拓(カフェdeシゴト)
気軽にのぞめるマッチングの場を創出する
事 例 編
岐阜県人材チャレンジセンター
(ジンチャレ!)
|実|施|内|容|
求職者が就職したい企業の求人を開拓し、その企業
(または職種)へ応募したい求職者と参画企業が、面接
の前に気軽に情報交換する機会(カフェdeシゴト)を
設定した。IT関連企業3社と求職者10名が集まり、
企業プレゼンと座談会を実施し、双方がお互いを理解
した上で面接に臨めるようにした。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
ドリンクを飲みながら気軽な雰囲気の中、座談会は進
行。求職者が聞きにくい残業や給与等についてはスタ
求職者と企業の情報交換の場「カフェdeしごと」
ッフが質問した。求職者は仕事内容や相場観を理解す
ることができ、また、企業側はやる気のある若者と交
流することができたと好評であった。参画企業が2名
を採用、また、開催後2ヵ月間に5名が就業決定した。
E企業接点・人材育成
経営者・採用担当者セミナー「企業の未来を左右する若者採用術」
事 例 編
JOBカフェOSAKA
採用ノウハウ提供による採用意欲の喚起
|実|施|内|容|
未経験の若者を採用する意義と成功事例を紹介するセ
ミナー。パネルディスカッションで、実際に採用し成
功している企業を紹介するとともに、JOBカフェ
OSAKAの取り組みを紹介し、未経験者採用に対する
意欲の向上とネガティブなイメージを払拭する意識啓
発を行った。
パネルディスカッション
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
参加企業129社のアンケート結果は、
「今後の採用活動
に参考になった」89.6%、
「若年者採用を積極的に行
う、今後採用を検討する」92.2%、
「未経験者も採用し
たい、今後採用を検討する」85.5%、とほぼ9割の企業
から未経験者採用に対する理解と満足を得ることがで
きた。
131
E企業接点・人材育成
事 例 編
若者と企業のマッチング!!
−「採用のヒミツ」
(就活虎の巻)の制作−
ジョブカフェぐんま
若者視点からの企業情報がマッチング率向上に貢献
|趣|旨|・|目|的|
側は、若者と直接意見交換したことで若者の雇用に対
若者の就職活動がなかなか上手くいかないのは、
「若者
する考え方・理解が向上するという効果もあった。
が企業に求めているニーズと、企業が求めているニー
ズがマッチしていないのではないか」
、という仮説にも
とづき、企業の聞き取り調査を中心に課題である若者
と企業の採用のミスマッチを解決し、双方をマッチン
グさせることを目的とした。
|実|施|内|容|
若者自身が県内企業21社の人事担当者を訪問し、1社
当たり約1時間の聞き取り調査を実施。そこから、市
販の就活本に書かれていない採用のポイントがあるこ
とが判明。そのポイントを就活する多くの若者に伝え
るために、36個のポイントからなる「採用のヒミツ」
大好評の「採用のヒミツ」
を5,000部作成。県内のジョブカフェから配布した。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
[ヒアリング調査]
①直接聞き取り調査を行うことで、人事担当者の貴重
な生の声(本音)を聞くことができる。
②若者がインタビューすることで、若者自身が「働く
こと」を考えるキッカケづくりになる。
[採用のヒミツ]
ヒミツのチェックシート
①文章は若者が気軽に読めるよう口語体表記で編集。
②印象に残るようタイトルは雑誌の見出しふうに編集。
③今までの自分を振り返る“ヒミツのチェックシート”
を作成。
④いつでもカバンの中に入れて持ち運べる冊子のサイ
ズで制作。
|効|果|
利用者に大好評で、10,000部の増刷と次年度の発行も
決まった。要因としては、調査スタッフ・作成スタッ
フの全員が若者だったため、若者の視点で若者がほし
い情報を伝えることができたことがあげられる。企業
132
就活虎の巻「採用のヒミツ」制作風景
E企業接点・人材育成
センパイ社会人のナマの声を聞こう!
仕事探しシェルパ制度
事 例 編
ジョブカフェ石川
社会人を組織して協力体制を構築する
|趣|旨|・|目|的|
若者の就職意識の向上や職業理解を促進して、就職時
のミスマッチの解消や、安易なフリーター化および早
期離職を防止するため、県内のさまざまな産業分野で
活躍している方々に、社会人講師として講演会や座談
会への協力を得る体制とネットワークづくりを目指し
た。
|実|施|内|容|
県内企業で活躍する若手社員と人事・採用担当の部長
クラス以上の方々を、仕事探しの案内人「仕事探しシ
中・高校生の集団学習「職業講話」
ェルパ」として県知事が委嘱(2005年度156名)
。中・
高校生向け「職業講話」
、大学生・求職者向け「しごと
研究会」
「職場見学・体験」
、保護者向け「意識啓発セ
ミナー」の講師まで、さまざまな場面で若者と企業を
つなぐ役割を担っている。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
①シェルパの登録については、各種経済団体に協力を
依頼し、団体として推薦してもらう仕組みとしたた
め、この事業の業界への周知・理解が図れた。
②シェルパ派遣企業は、ジョブカフェのホームページ
やチラシ等で積極的にアピールし、マッチングにも
学生・求職者向け「しごと研究会」
つながるよう工夫している。
③シェルパ派遣企業からも若手社員が人前で話す訓練
になると好評。
|効|果|
今後は、シェルパ派遣企業が「若者の就業支援(キャ
リア教育)に積極的な企業」として社会的評価される
ような広報を展開するなど、より一層ジョブカフェ事
業への協力企業を拡大し、産業界との連携を強化する。
見学先企業で説明を受ける学生・求職者
133
E企業接点・人材育成
事 例 編
無料職業紹介、企業と若者の間に立ち一貫したサービスを提供
ジョブカフェぐんま
無料職業紹介による適切なマッチングの実現
|実|施|内|容|
カウンセラーが求人開拓も行い、独自の求人データベ
ースを持っている。若者の自立・自律的な就職活動を
支援しつつ、効率的な就職に向けて職業紹介までワン
ストップで実施。若者側の興味・強み・行動傾向、企
業側のニーズ・社風の双方向から、より効果的で適切
なマッチングを実施している。
ミニ企業説明会で企業の魅力をPR
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
企業と若者の双方をよく理解している立場の人間が間
に立つことで、双方にとってより不安のない納得した
採用および就職が可能になる。しかし、中途採用の場
合は特に、企業が求める人材のレベルが高く、短期間
には紹介できないことも多い。企業側の育てる姿勢と、
若者側の職業能力の開発が課題である。
企業へ応募者の紹介
E企業接点・人材育成
事 例 編
無料職業紹介事業の実施
ジョブカフェ京都
職業紹介をゴールとしたワンストップサービスの確立
|実|施|内|容|
求人開拓員が企業の意向や求める人材像を把握した上
で求人を受理し、カウンセラーにフィードバック。そ
れを踏まえて、カウンセラーが若者の希望や適性、求
人開拓員からの情報を把握した上で幅広く職業紹介を
実施。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
若者には、ジョブカフェに来れば就職という最終ゴー
ルまで用意され、それに向けたサービスを受けられる
という大きな期待感と信頼感が与えられている。
企業には、求める人材を理解した上での紹介や若者に
アピールする場の提供など、誘致企業や伝統産業業界
をはじめ、地元企業の人材確保のための大きな支援と
なっている。
134
若者の希望や適性に応じた職業紹介
E企業接点・人材育成
求職者が求める求人の開拓
事 例 編
ジョブカフェいばらき
職業紹介機能を活かした効果的な求人開拓
|実|施|内|容|
マッチングコーディネーターが県内企業を訪問。入手
した求人情報は、ジョブカフェ内の掲示およびホーム
ページに掲載し、求職者への情報提供を行った。また、
茨城県の無料職業紹介所としての機能を活かし、企業
への紹介状の発行や斡旋を行うとともに、企業情報な
どを応募者へ伝えるなどきめ細かな指導を行った。
最新求人情報を求職者へ説明するマッチングコーディネーターとカウンセラー
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
若年者のニーズ把握のため、カウンセリングの際に入
手した求職者の希望業界や職種を、
「ご要望台帳」へ記
入することにより、マッチングの資料とした。また、マ
ッチングコーディネーターが企業側のニーズや業界・
職種に必要なスキル等をカウンセラーに還元し、情報
共有を行うことで、求職者へのアドバイスに活かした。
情報共有するマッチングコーディネーターとカウンセラー
E企業接点・人材育成
内定者合同研修会
事 例 編
ジョブカフェ山口
地元企業のニーズに応えた集合型サービス提供
|実|施|内|容|
頼度が増し、参加の気運が高まっている。
地元企業内定者に対し「内定者合同研修会」等のフォ
ローアップをすることにより、入社前の不安を解消す
内定者合同研修会 周南会場
るとともに入社後の心構え等の醸成に努める。交流会
モデル地域で地元中堅・中小企業では充分に対応でき
ていない内定者フォロー(就業への動機づけと入社前
教育)の支援として、内定者合同研修会を開催した。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
「内定者合同研修会」と併せて、入社前に内定者が企
業に対する信頼感を持ち、企業担当者が内定者の入社
前の心構え等を傾聴できるように、企業担当者との懇
談会を設けた。大学側(学生)と企業側双方とも満足
のいく研修会となり、大学(学生)と企業側の信頼関
係が深まりつつある。また、企業の交流会に対する信
宇部会場
135
E企業接点・人材育成
事 例 編
業界の定例会をジョブカフェのセミナールームで
ジョブカフェ北海道
企業へのメリット提供を通じたジョブカフェの理解促進
|実|施|内|容|
業界団体を取り巻く事務局等の団体にジョブカフェ北
海道の周知を促すことを目的にして、①社団法人北海
道IT推進協会など業界団体の定例会議をジョブカフェ
北海道のセミナールームで実施してもらい、②その後、
会員企業による企業説明会の開催により、企業PRに
活用してもらった。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
業界団体の定例会にジョブカフェのセミナールームを
ジョブカフェのセミナールームで
開催された企業説明会
無料で開放することで、業界団体にとってもメリット
を享受できるようにするとともに、企業側に実際にジ
ョブカフェを見てもらうことによって、ジョブカフェ
への理解が深まったものと思われる。
E企業接点・人材育成
事 例 編
社会人として働くための「新規高卒就職内定者支援セミナー」
ふくいJobCafe
内定者の育成支援までサービスを拡充
|実|施|内|容|
テキストを活用して、生徒自ら繰り返し学べるセミナ
新規高卒就職内定者の職業人・社会人としての基本的
ー構成としている。
な資質・能力の向上を図るため、在校中に、企業の経
営者、職業教育の専門家および社会保険労務士等から
企業などの社会の仕組みや職業人として身につけなけ
ればならない具体的な知識について学ぶことのできる
セミナーを県内11会場で開催。高卒内定者の94.1%に
あたる1,391人が参加した。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
社会人・職業人として就職する心構えを在校中から学
就職内定者支援セミナーを受
講する高校生とサブテキスト
「働く若者ガイドブック」
ぶことにより、社会人になってからの早期離職を防止
し、高卒就職者の評価を向上させ、企業からの高卒求
人の確保を図る。また、社会人のスタート段階に必要
と思われる研修内容を含味し、セミナー後には、サブ
136
E企業接点・人材育成
ジョブトレーナーによる若年社員の職場定着支援
就職後の定着率向上のためのサービスも充実
事 例 編
ジョブカフェ長崎
(フレッシュワーク)
|趣|旨|・|目|的|
社員定着の努力は雇主の責務であるが、産業基盤が脆
弱で、かつその当然の責務をも果たしえぬ中小企業が
多い長崎県として、若年社員の自立、フリーターへの
移行防止、また企業支援の観点から定着率の向上を図
るための支援事業を実施した。
|実|施|内|容|
キャリア豊富なジョブトレーナーを県下4市に10名配
置、企業を巡回訪問し、若年社員の定着および人材育
成を目的とした出前研修を実施した。対象は入社3年
以内35歳未満の若年社員とし、研修テーマは職業人基
礎(職業人意識・コミュニケーション・ビジネスマナ
ー)を設定。その他、集合研修として若年社員セミナ
ーおよび経営者セミナーを実施した。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
企業支援の立場から、事前に企業訪問を重ねる中で企
業の経営方針や育成方針を聴取し、極力要望に沿った
研修内容・日時の設定にて実施した。時間外や休日の
研修希望に応える一方、1研修につき2時間以内・10人
以下の原則を設けるなど運営を工夫した。また研修は
1社3回程度とすることで、実施企業のかたよりを回避、
広く支援できるよう実施対象の拡大を図った。企業か
らは、有料でも継続実施をとの声が届いており、大変
好評である。
|効|果|
2005年度は、318回・188社、延べ2,967名を対象に実
施。受講生からは「入社後教育を受けたのは初めて」
「教えてもらってほっとした」という反応が、経営者・
管理者からは「元気に働きだした」
「目が輝いてきた」
という感想が寄せられた。また、当研修の受講者の退
職が激減したなど、高い評価を得ており、定着へ大き
く寄与したものと評価している。
職場定着へ大きな寄与したジョブトレーナーによる出前研修
137
E企業接点・人材育成
事 例 編
人事・採用担当者向け
キャリアカウンセリング講習会の実施
ジョブカフェ山口
企業の採用ノウハウ向上を通じたマッチング率改善
|趣|旨|・|目|的|
中堅・中小企業の人事採用担当者の「面接スキル」
「職
場定着支援スキル」等の標準化の遅れおよび「体系だ
った研修機会の減少」等が若年者の高い離職率にも少
なからず影響を及ぼしていることを重視し、中堅・中
小企業の人事採用者の資質向上のための「キャリアカ
ウンセリング講習会」を実施する。
|実|施|内|容|
①採用活動編・・・・・・人材マネジメントの基本、採用活
動の全体像、応募者のよいところを引き出す面接方
法などを実施した。
②職場定着編・・・・・・コミュニケーション・ロールプレ
イ、組織活性化の支援について、組織と個人のより
よい関係についてなどを実施した。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
人事採用担当者のプライドを尊重しつつ、スキルアッ
プの必要性が重要であると考え、下記の内容を考慮し
実施した。
①意識の点・・・・・・よりよい人材の採用(獲得)は、戦
略達成の第一歩であること。
②動機の点・・・・・・マッチング(またはミスマッチ)は、
採用担当の能力にも関連が強いこと。
③能力の点・・・・・・人事は制度設計の時代から、コミュ
ニケーション能力の時代へ変化すること。
|効|果|
①この講習会を機会に企業が「産・学・公若年者就職
問題検討交流会」へ参画する足掛りになった。
②「今までの自分たちの問題点がわかった」
「今回の講
習を受講して反省点がわかった」等の内容のアンケ
ート結果が出た。
③採用活動編から職場定着編の2コースともに参加し
た企業が20社以上あった。
138
キャリアカウンセリング講習会を受ける企業人事・採用担当者
E企業接点・人材育成
企業応援ブックの作成・配布
事 例 編
ジョブカフェあおもり
ジョブカフェが蓄積したノウハウ・情報の提供
|実|施|内|容|
回シリーズで実施し、参加企業からのアンケート結果
青森県の若年者の求人状況は厳しいことから、県内企
では、ほぼ100%の満足を得ることができた。
業に対して体質強化を図り、若年者の雇用促進につな
げることを目的に、聞き取りを行った。県内の実状に
企業応援ブック「PART1・2」
合った人員計画から定着・育成までを情報誌「企業応
援ブック」としてまとめ、ジョブカフェあおもり応援
隊企業や連携する経済団体会員企業に配布した。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
配布先の企業等の経営者や人事部門に企業応援ブック
への関心を高めてもらうために、制作上はイラスト入
りのすごろく版「人材活用事始め」や「人材育成べか
らずチェックリスト」等の遊び心もとり入れた。併せ
て、活用度の向上を目的に、企業応援ブックの内容に
企業応援ブックと連動
準拠した企業応援セミナーを「採用編」
「育成編」の2
した企業応援セミナー
E企業接点・人材育成
企業向け採用支援セミナーとマニュアル
事 例 編
ジョブカフェちば
採用ノウハウ提供で企業の採用意欲を喚起
|実|施|内|容|
②効果
中小企業の採用活動そのものへのノウハウの提供を目
採用支援セミナーには、30社の企業が参加。7割以
的として実施。採用に関するノウハウをセミナーとマ
上の企業が「参考になった」と回答。また、採用支
ニュアルにより提供した。
援マニュアルに関しても、高い評判を得られた。
①中小企業を対象に、経営者などを集めてセミナーを
開催した。
②ジョブカフェちば登録企業に対して、採用支援マニ
ュアルを配布した。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
①ポイント
・中小企業の視点に立ったマニュアルを作成した。
・具体的な若者の意見をビデオで撮影し、セミナー内
で上映した。
ジョブカフェちばのセンター
139
E企業接点・人材育成
事 例 編
大好評!フレッシュハンドブック
企業の研修でも活用できるツールの作成
ジョブカフェ長崎
(フレッシュワーク)
|実|施|内|容|
声が届いている。さらには、研修実施後の社内指導の
働く上でのマナーや最低限知っておきたい労働の基礎
教材にしたいと、活用の声が多数寄せられている。
知識、県内の相談窓口などを1冊にまとめた「フレッシ
ュハンドブック」を作成した。配布先は、高校・大学・
フレッシュワーク登録者のうち、就職決定者・若年社
員出前研修(セミナー)受講生。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
社会人となる若者にとって、必要となるビジネスマナ
ー全般を網羅し、かつ、コンパクトなA5判サイズとし
た。また写真やイラストを多用し、章ごとにテーマカ
ラーを設けるなど、若者が見飽きない配慮をした。高
校・大学においては進路指導時に活用されている。出
前研修実施企業においては、管理者自身が改めて初
心・基礎を見直すきっかけとなり、熟読しているとの
E企業接点・人材育成
事 例 編
内定者研修−社会人の第一歩を確実に踏み出すために−
JOBカフェOSAKA
内定者のフォロー、育成サービスも提供
|実|施|内|容|
ンケート結果をみると「入社後すぐに役立つ内容であ
内定者が入社後、即戦力として働けるよう「ビジネス
った」
「内定者と企業とのコミュニケーションを図るこ
マナー編」
「パソコン基本操作編」の研修を実施。
「ビジ
とができた」
「他社の内定者と交流することで、モチベ
ネスマナー編」は6回開催し、社会人としての心構え
ーションがアップした」など、すべての企業からよい
や、ビジネスの場でのコミュニケーション、マナーに
評価を得ることができた。
ついて学習した。
「パソコン基本操作編」は4回開催。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
随所にグループワークやロールプレイングを織り交ぜ、
実践的な内容とした。ビジネスマナー編に関しては、
電話応対や、慶弔マナーについて具体的な場面設定に
基づき、わかりやすく解説した。パソコン編では、業
務日誌など、実際の業務で使用するフォーマットに基
づく解説を行った。プレゼンテーションでは、発表時
の話し方や表情、姿勢等も指導した。参加企業へのア
140
内定者研修のチラシ
E企業接点・人材育成
ものづくり人材を発掘・育成する
“IM−QRM診断”(石川ものづくり求職者ロードマップシステム)
事 例 編
ジョブカフェ石川
システム化による地域産業のイメージアップと理解促進
|趣|旨|・|目|的|
基幹産業でありながら、知名度の低さや3Kイメージ
から敬遠されるものづくり企業と、若者との接点をつ
くるために、石川の製造業で活躍できる特性をどれだ
け持っているかを判定できる適性診断システムを開発。
より多くの若者に向けて、ものづくり企業(特に中小
企業)の認知度の向上と興味喚起を図る。
|実|施|内|容|
石川県を支えるオンリーワン製造業20社約200名の人
材データーベースに基づいて開発。個人の「基本特性」
IM―QRM受診画面
と、営業職、技術職など「職種適性」から、ものづく
り企業へのエンプロイアビリティを総合的に判定でき
る。また、能力開発後の成長度も評価することができ
るため、カウンセリングツールとしても有効である。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
①職種別の診断ができるため、文系出身者や他業種か
らの離職者など、ものづくりに縁遠い若者にもすす
めやすい。
②初回の診断結果でマッチングしなくても、振り返り
シートで適性を磨くためのアドバイスができるため、
ものづくりを新たな選択肢として考えるきっかけづ
診断結果「基本特性」と「職種適性」
くりになる。
③冊子「石川のメーカー企業を知ろう!」で県内の製
造業の特色や“オンリーワン”企業を紹介。若者の
興味・関心を高めて、IM−QRM診断へ誘導。
|効|果|
IM−QRMは、いわば「ものづくり企業との“相性
診断”
」
。これまでものづくり企業を選択肢として考え
てもみなかった若者も「ちょっと試してみようかな」と
気軽にトライしている。今後もカウンセリングツール
として多いに活用し、若者のものづくり企業への興味
喚起を図っていく。
「メーカー企業を知ろう!」ミニ冊子
141
E企業接点・人材育成
事 例 編
ジョブルートマップ作成と実証セミナー
ジョブカフェ北海道
業界のイメージアップ・理解促進を支援するプログラム作成
|趣|旨|・|目|的|
多様化する若者の就業形態を鑑み、入職への経路や一
人前になるまでのルートを示した情報媒体の制作を行
いミスマッチの解消を目指している。制作に際して入
手した情報や企業との関係は、ジョブルートマップ実
証セミナーやカウンセリング現場での情報提供に活用
中で就職後の職場定着もにらんでいる。
コミック制作に励む専門学校生
|実|施|内|容|
3ヵ年で100職種の制作を目指し、2005年度までに制
作した職種は73職種(冊子)
、実証セミナーは営業、観
光など比較的ミスマッチの多い7職種を実施した。制
作物は、年3回に分けて全道の高校・大学、図書館等
約1,000ヵ所に配布中である。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
取材風景
[制作のポイント]
ジョブルートマップに冊子・web・コミックと3種
類を制作し、北海道という広域な地理や就業意識等の
個人格差にも配慮している。コミック制作は、専門学
校を通じて漫画家を志す若者へ依頼している。
[ジョブルートマップ実証セミナーのポイント]
10日ほどのセミナーでは、制作物を教材に実践型カリ
キュラムを多くとり入れ、各職業に必要なスキルや人
物像を明確にしながら進めている。セミナーが終了し
た3、6ヵ月後には受講生にコンタクトをとり、就職後
ジョブルートマップ
に迷いの生じている受講生へのケアを実施している。
|効|果|
制作物は、ジョブカフェ内でのカウンセリング以外に
高校の進路指導現場や各種セミナーの教材として使用
される等幅広く活用されている。実証セミナーは、就
職率が72.0%(2005年度終了時)と非常に高い実績を
維持しており、求職者間ではクチコミで受講を勧奨し
合う等の副次効果も見えはじめている。
142
ジョブルートマップ実証セミナーの商品陳列実習
E企業接点・人材育成
必勝倶楽部 成田空港関連産業編
事 例 編
ジョブカフェちば
地域の人材ニーズに応じたマッチングの仕組み開発
|趣|旨|・|目|的|
①成田空港に関連する企業への就職を仲間とともに目
指すプログラム。
②実際に働く場所や、産業のことを学びながら、同時
に就職活動のスキルを身につけながら就職を目指す。
|実|施|内|容|
[日時]第1回 2005年11月21日∼12月16日
第2回 2006年1月30日∼2月13日
[定員]16名
[プログラム概要]空港見学、仕事体験ゲーム、職場取
見学・取材を行った成田空港
材、取材結果のプレゼン、座談会、応募活動
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
①成田で働くことを体感するために、成田空港の見学
などを行う。
②さらに働くイメージを持つために、実際に働く人々
を企業見学するとともに、職場での取材を行う。ま
た、その取材結果を他の参加者にプレゼンをするこ
とで、お互いに企業理解を深められる機会を提供。
取材した結果をジョブカフェちばでも展示。求職者
目線からの取材内容のため、企業の魅力などがわか
りやすくまとまっている。そのため、求職者からも
人気の高い資料として活用されている。
③実際の就職活動をサポートし、成田空港関連産業へ
の就職を目指した。
|効|果|
全21名の参加。
2006年3月20日時点で、成田空港関連に7名内定(約
33%)
。10名がその他企業に就職した。決定率(約81%)
。
取材結果をジョブカフェちばで展示
143
E企業接点・人材育成
事 例 編
自己アピールのイベント
「天神の中心で自己を叫ぶ」
福岡県若年者しごとサポートセンター
若者の成長につながる出会いの場提供
|趣|旨|・|目|的|
|効|果|・|課|題|
この企画は求職者側からの企業へのアピールを意図し
自己アピールをした若者すべてが、その会場に参加し
たものである。通常の「合同会社説明会」では、来場
た企業へ就職できるわけではないが、たくさんの人事
者が参加企業の各ブースで説明を受けるというのが一
担当者の前で自分の思いを語ることで、その後の彼ら
般的であるが、多くの人事担当者が集まるこの機会を
は大きく変わり就職活動に積極的になっていく。
利用して、その前で自己アピールをさせることは彼ら
しかしながら面談会とは異なり、
「合同会社説明会」の
のプレゼンテーション能力の向上につながり、就職活
ため、双方のやりとりに制約があり、自己PR参加者
動にも役立つと思い実施した。
への企業側からの質問ができないなど、アンケート結
果からも企業側に多少の物足りなさが窺える。
|実|施|内|容|
午前中に「天神の中心で自己を叫ぶ」実施
午後から「合同会社説明会」開催
①営業職・販売職特集 参加企業15社、自己PR参加
者12名(来場者171名)
②飲食・サービス業界特集 参加企業14社、自己PR
参加者5名(来場者88名)
③IT業界特集 参加企業15社、自己PR参加者9名
(来場者84名)
④子育て応援宣言企業特集 参加企業15社、自己P
R参加者6名(来場者95名)
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
企業の人事担当者の前で自己アピールする若者
全員に事前研修を行い、話し方、態度、声の大きさ、
表情などに気を配りながら何度も練習をさせ、3分程
度に自己アピールをまとめさせた上で本番に臨ませた。
このことを繰り返すことで、積極的になっていく自分
に気がつく若者が多かった。
どの程度自分が企業側に認識されているかを知るため
にも、自己アピールをした若者には午後の「合同会社
説明会」で積極的に各企業ブースに立ち寄るように指
導した。企業のほとんどがこの種の企画に参加したこ
とがなく、非常に好評であった。
イベントでの発表者たち
144
E企業接点・人材育成
若手経営者とタイアップし、
ものづくりの魅力をアピール
事 例 編
ジョブカフェ石川
業界とタイアップしたユニークなマッチング機会の提供
|趣|旨|・|目|的|
若者チーム、青年部会会員チー
ものづくり企業の次期経営者等で構成される石川県鉄
クバトル」
ムにわかれて「ガチンコ☆トー
工機電協会青年部会(会員企業数77社)では、団塊世
代が大量退職する「2007年問題」を控えて若い人材の
確保と技術の継承が急務。ジョブカフェが連携し、青
年部と若者の出会いの場を提供することにした。
|実|施|内|容|
若者チームと青年部会会員チームに分かれた「ガチン
コ☆トークバトル∼ものづくりってどーよ!」では、若
者から“ものづくり”に対するホンネを聞き出した。ま
た「メーカー企業フェア」では若者と青年部会会員の
交流会を開催。ざっくばらんにトークを楽しみ相互理
解を深めることができた。
ジョブカフェ石川が、若者にア
ピールする企業PR資料作成を
サポート
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
ジョブカフェが企業PRをサポート。
“オンリーワン”
の技術や製品を、若者の視点を踏まえて魅力的にわか
りやすく紹介したり、若手社員が働く姿や仕事の面白
さを語ったインタビュー映像を放映するなどの工夫を
した。
地元のマスコミもこの取り組みに多いに興味を示し、
ニュースや新聞で大きくとり上げられた。
「メーカー企業フェア」では、
|効|果|
若者と青年部会会員の交流会を
開催
若者には「経営者の熱い想いが伝わってきて、製造業
へのイメージが変わった」と大好評。
一方、青年部会会員にとっては、若者のものづくり企
業への興味・関心の希薄さ、ホームページなど自社の
魅力をアピールする必要性を実感することとなった。
そのため今後もジョブカフェとのタイアップに大きな
期待が寄せられている。
145
E企業接点・人材育成
事 例 編
仕事発見カフェinなんば
JOBカフェOSAKA
工夫を凝らした合同説明会の実施
|趣|旨|・|目|的|
「今日だけは未経験を自慢しよう」というコンセプトの
もと、未経験の若者の採用に意欲的な企業と未経験の
若者との出会いの場をつくり、より多くの企業と若者
の出会いを実現する。
|実|施|内|容|
2005年10月31日・11月1日の2日間、100社(1日50
社)の未経験者採用に積極的な企業に限定した合同説
明会を開催。同時に、セミナー、ワンポイント相談、適
企業ブースの一例
職診断、メイク教室などを開催した。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
希望職種別の訪問候補企業一覧の作成や、採用担当者
の写真付直筆メッセージを掲載した「企業メッセージ
ボード」の設置など、より多くの来場者が個別企業の
ブースに着席する工夫を行った。
また、参加企業には予めアドバイスシートを送付し、
合同説明会参加から採用に至るまでの準備を促すな
来場者を引き付ける企業の写真付き直筆メッセージ
ど、限られた時間の中で、より多くの求職者と企業の
出会いが創出できるようにした。
|効|果|
来場者数1,131名、ブース着席延べ人数2,504名(1企
業への平均着席数25名、最大訪問者数80名)を達成。
訪問者数が極端に少ない企業はないことから、事業内
容や職種、企業の魅力や特長等を十分に伝えれば、規
模に関係なく求職者がブースを訪れることが確認でき
た。
同時に開催されたメイク教室
146
E企業接点・人材育成
企業と求職者の新しいマッチング機会
「トライアウト事業」
事 例 編
みやぎジョブカフェ
斬新なアイディアにもとづく若者との出会いの場創出
|趣|旨|・|目|的|
研修活動と合同企業説明会を組み合わせた、企業と求
職者の新しい出会いの場を提供する事業。通常の面接
では表現しきれない若年求職者の魅力を発揮できる場
を創出すること目的とした。
|実|施|内|容|
約2週間の研修と人事担当者の前で、実際に働く場で
トライアウトでプレゼンテーションを行う研修生
起こり得るような実践的な課題に対するプレゼンテー
ションを行った上で、
「合同企業説明会」を実施し、プ
レゼンテーションに対しては企業側参加者から率直な
意見を「アドバイスシート」として研修生にフィード
バックし、その後の就職活動の参考となるようにした。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
①企業活動において実際に起こりうる場面等を題材に
したテーマを設定し、
「表現力」
「企画力」を養成す
トライアウトを前に気勢を上げる研修生
るプログラムを実施した。加えて、研修生が担当テ
ーマを出した企業へ訪問し情報収集を行った上で、
独自のプレゼンテーションをつくり上げていく仕組
みとし、より実践的内容にした。
②6∼9名を1つのチームに分け、各チームにチュータ
ーを配置した。チューターは「何でも相談できるお
兄さん・お姉さん的存在」として効果的に機能し、
また精神的な支えとなりモチベーション低下等を防
いだ。
プレゼンテーションを審査する企業人事担当者
|効|果|
トライアウトを通じて新たな企業と若年求職者の出会
いの場が創出でき、トライアウトに参加した企業に就
職した研修生の約7割が当初関心を持っていなかった
業界に就職したことからも、トライアウトでの企業と
の出会いは若年求職者の就職意欲の変革に大きな役割
を果たした。
企業説明会
147
E企業接点・人材育成
事 例 編
企業課題挑戦プログラム
ジョブカフェおおいた
地場産業の業務内容を理解する機会の提供
|実|施|内|容|
大分県が重点的に育成する産業に関わる企業の経営課
題や事業課題を若年者が解いていくプログラムを開発、
実証する。課題を解くために、若年者が主体的に企業
を調べることによって、企業への理解を深め、若年者
の就職への興味を喚起していく。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
学生のプレゼンテーション
全チームに対して3回ずつ進捗状況に応じた面談を行
い、
「企業にとって有益な提案をする」という一点に集
中して指導、助言をした。学生は問題発見や企業分析
リサーチ等、就職活動に役立つ能力が向上したとして、
74.4%が満足と回答している(優勝チームの3名を含
め、参加者は早期に就職が内定)
。企業も認知度アップ
に効果があったと好評であった。
優勝チームの皆さん
E企業接点・人材育成
事 例 編
提案型イベントお題フェア
沖縄県キャリアセンター
調査研究を通じた業界企業の理解促進
|実|施|内|容|
企業が抱える経営課題や事業課題等のお題に対し、大
学生が提案していくもの。企業は自社の業務内容・課
題を説明し、学生は興味のあるお題を選択し、課題解
決に向けた調査・研究を行い、最終的に企業側へお題
に対する提案をプレゼンする。学生の提案内容は担当
学生のプレゼンテーション
の講師が個別面談によりサポートする。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
フェアの告知には、就職課やゼミ担当教授に直接協力
を仰いだ。1企業に対し約10チームの挑戦があったが、
1つとして同じ提案はなく、社内でもなかなかない発想
だと高評価であった。チーム数が多く1日で予選・本
選を行ったが、拘束時間が長いとの声もあり、プログ
ラムを再検討する必要がある。
プレゼンテーションに意見を述べる企業担当者
148
E企業接点・人材育成
若者と社会人が出会う「ライブカフェ」
事 例 編
沖縄県キャリアセンター
リラックスした雰囲気の出会いの場創出
|趣|旨|・|目|的|
若年者(主に大学生)が、通常の説明会とは違う雰囲
気で人事担当者と話すことで、社内の雰囲気や社会人
の仕事に対する思い・信念などを聞き、学生自身の就
職活動に活かすとともに、企業は自社の魅力を発信す
ることを目的に実施するものである。
|実|施|内|容|
企業1社に対し、若年者15名程度で2時間実施。企業側
より10∼30分会社概要等の説明を行い、残りの時間を
学生からの質問の時間に当てている。その際音楽を流
企業から会社概要等を説明
し、お互いお茶を飲みながら質疑応答するというリラ
ックスした状況をつくり、人事担当者にはよい面ばか
りでなく大変なことも正直に話してもらっている。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
学生が緊張せず気軽に質問できるよう、リラックスし
た雰囲気づくりを心がけている。企業の方には、プラ
イベートな質問等にも答えもらう場合もある。参加学
生からは、人事担当者から直々に就活に対するアドバ
イスをもらえ、仕事だけでなく人生の先輩として参考
になったという意見がある。また、企業側からは、通
常の説明会では見られない学生の素の部分も見ること
ができてよかった、さまざまな学部の学生が参加して
いるので、自社の幅が広がったとの感想があった。
|効|果|
ライブカフェに参加した学生が後日、会社訪問に来て、
実際にエントリーしたという報告が企業からよく寄せ
られる。今後は若年者の確保に苦労している企業等の
情報発信の場としていくため、より多くの企業の参加
を図っていきたい。
リラックスした雰囲気の中、学生と人事担当者が質疑応答
149
E企業接点・人材育成
事 例 編
人事担当者PRプチ合同会社説明会
企業のPR力を高めることを通じた採用支援
|趣|旨|・|目|的|
若者を採用するためには、会社の独自性が伝わるPR
が大切である。このことを、若者のリアルな声を届け
ることで中小企業の採用担当者に実感、理解を深めて
もらう。
|実|施|内|容|
未経験若年者雇用に積極的な企業だけの合同説明会を
実施し、採用担当者が参加求職者に対して5分程度の
5分間の企業PRコーナー
自社PRを行う。後日各社の企業PRを収めたDVD
と参加求職者のアンケートをまとめた「診断書」を作
成し、自社PRに対する若者の率直な印象と他社PR
のよい点等を解説した。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
各ブースに分かれる前に行った5分間のPRタイムが
「他の企業のPRを直接聞く場にもなり参考になった」
「自社の魅力がどのように伝わるか、求職者の生の声か
ら振り返ることができ、企業改善のヒントになった」
などの反響があった。また、単なる企業PR大会では
会社説明もフレンドリーに
なく、求職者が合同説明会に臨むにあたり、企業のプ
レゼンテーションを評価したことで、より真剣にクオ
リティの高い評価を行うことができた。
|効|果|
参加企業には、若者の求める情報、また、自社の魅力
の伝え方について理解が深まるなどの効果があった。
ただ、既存の求人媒体などではさまざまな制約条件が
あり、魅力を十分伝えきれない実情もある。各社の魅
力がきちんと伝えられる場をどのように設定するのか、
さらに検討が必要である。
150
参加者はPRを評価
JOBカフェOSAKA
E企業接点・人材育成
センパイ@カフェ(グループ討論会)
事 例 編
ジョブカフェ愛work
先輩の生の声を通じた職業についての選択肢拡大
|実|施|内|容|
①若者が、リラックスした雰囲気の中で、先輩社会人
から仕事の体験談や職場の現状を聞くことで、さま
②高校の就職担当教師とコンタクトを密にとり、その
高校を卒業した若手社会人を講師として推薦しても
らった結果、84人の協力を得ることができた。
ざまな職種や働くことについて理解を深めてもらう
ジョブカフェ愛work
(42回開催、173人参加)
。
セミナールームでの
②生徒が、身近な社会人である高校のOBを講師役と
「センパイ@カフェ」
して話を聞き、職業についての理解を深め、実社会
にかかわる意識を育てる一助とする(16校で延62回
開催、1,954人参加)
。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
①企業の現状や職業を理解する機会として好評であっ
た。今後は経営者から地場産業の魅力を語ってもら
う機会もつくり、若者が職業選択の幅を広げるため
OBの話に耳を傾ける
の場としたい。
県立今治南高校の生徒たち
E企業接点・人材育成
イブニングセミナー
自由なスタイルのセミナーで業界や仕事の理解促進
事 例 編
岐阜県人材チャレンジセンター
(ジンチャレ!)
|実|施|内|容|
毎週木曜日の夕方6時から、センター内をカフェバー
風にして、さまざまな業界から講師を招いてイブニン
グセミナーを開催。講師は、
「仕事内容」
「業界につい
て」
「経験談」
「会社が取り組んでいること」などを座談
会スタイルで話し、求職者は、自由に質問しながら業
界や仕事の理解を深めた。
浪速の社長が夢について語ったイブニングセミナー
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
求職者が興味のある職業をよく検討し、セミナーのテ
ーマを決めた。営業職などに漠然としたマイナスイメ
ージを持つ求職者もいるため、事前にスタッフから講
師に「求職者が聞きたいこと、求職者に伝えてほしい
こと」を連絡した。このセミナーにより、
「ジンチャ
レ!」に対する企業からの期待が高まった。
イブニングセミナー「IT業界の仕事」
151
E企業接点・人材育成
事 例 編
「ものづくり石川の復興」を目指して
−若者と地域企業の橋渡し−
ジョブカフェ石川
地域産業への理解促進と出会いを創出する活動
ものづくり企業見学会を
|趣|旨|・|目|的|
随時開催
石川県では機械・電気産業などのものづくり産業を中
心に求人ニーズは高まっているものの、若者の“もの
づくり離れ”は深刻化。そこで、若者と企業それぞれ
を段階的にサポートすることで相互理解を深め、その
上でマッチングにつなげることを目指した。
|実|施|内|容|
若者向けには「ものづくり企業見学会」
、試作品づくり
を体験する「ものづくり倶楽部」などを実施。企業向
けには「
“人財”戦略セミナー」で若者に対する理解を
促しノウハウを提供。さらに出会いの場「メーカー企
“人財”戦略セミナ−には
業ガイダンス」
(合同説明会)を開催し、理解から実践、
企業の経営者や人事担当
者123名が参加
マッチングへと段階的にサポートした。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
①若者にとって・・・・・・ものづくりの魅力を実体験した
り、現場でのさまざまな取り組みを知ることで、今
までものづくり企業に対して抱いていたイメージが
好転した。
②企業にとって・・・・・・交流会やセミナーを通して、若
者を獲得するためには自社の魅力PRの工夫や、採
用・育成戦略の見直しをする必要があることを再認
識することができた。
|効|果|
ジョブカフェ卒業者の22%以上が、ものづくり産業へ
の就職を達成。また、上記の事業に参加・協力した71
社のものづくり企業と連携し、石川県全体で業界をサ
ポートしていく体制の素地を形成できた。今後は、中
小企業を中心に人材の採用・定着・育成能力の向上
を支援する体制を整備していく。
メーカ企業ガイダンスには116名の若者が参加
152
E企業接点・人材育成
ユニークな出会いの場「仕事探しカフェ」
事 例 編
ジョブカフェちば
インフォーマルなスタイルでの出会いの場創造
|趣|旨|・|目|的|
①通常の面接の場とは異なる「自然な姿」で互いを理
解しあう場(企業の雰囲気、仕事内容、働くやりが
いをリアルに感じることのできる場)を提供する。
②応募行動に踏み出せない若者を、就業決定へ導く採
用プログラムを構築する。
|実|施|内|容|
毎月1回開催し13時30分から17時に行う。定員は1回
100名で参加企業は12社。企業の人事や若手社員のス
ピーチの後に、若者が希望する企業の人と語る時間を
設ける。特定の企業に偏ることを避けるために、3回に
時間を区切りひとり当たり3社と接点を持つようにす
る。企業から若者に声をかけることもある。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
①自然な姿で(私服、机なしの会場など)お互いを理
解できる場の演出
②自己紹介や、意見交換会などで、偶然の出会いを誘
発するプログラム構成
企業ごとに並ばず、企業名看板、ブース等なし。
③参加企業に対しての事前のレクチャー
参加企業には、開始前のレクチャーを実施。
また、イベントに参加する前に、心構えや必要な情
報のレクチャーを求人開拓員から実施。
|効|果|
全9回で571名が参加した。参加2ヵ月後で約37%、4
ヵ月後で54% の決定率。
企業からの評価も高くリピートを希望する企業も多い。
通常の面接とは異なる出会いの機会となった仕事探しカフェ
153
E企業接点・人材育成
事 例 編
チャレンジセミナーで若者と企業の魅力発見
ジョブカフェいわて
人材育成からマッチングの場の提供までを実現するプログラム
|趣|旨|・|目|的|
若者と企業がお互いの魅力を発見することを目的とし
た人材育成セミナー。テーマ業種ごとに、現場での活
きた体験を通して、さまざまな職種や立場の方との接
点を持ち、感動を共有しながら、受講者それぞれの視
点で業界理解を深めることを目指した。
|実|施|内|容|
現場実習の前にコミュニケーションスキルをアップ!
「流通・小売業編」
「自動車産業編」
「ホテル業編」の3
回を実施。ジョブカフェでの事前学習(座学研修)と
協力企業での現場実習を組み合わせたカリキュラムで、
研修の最終日には、サポーターズ企業や関係機関を招
いて、各回それぞれ特徴のある成果発表会を開催した。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
「ジョブカフェいわて若年人材体系」をベースにしたカ
リキュラム作成を行った。①体系フレームごとのスキ
デパートの売場で悪戦苦闘(流通・小売業編)
ルレベルの自己把握を目的とした「自信度チェックシ
ート」
、②受講者の意欲向上を図る「目標シート」
、③
チームワーク力向上を意識したインターネット上での
「コミュニティサイト」などのツールを積極的に利用し
た。受講生の効果測定だけではなく、これらを協力企
業の担当者と共有することで、セミナー中も意識あわ
せをしながら進行することができた。
|効|果|
ホテルのランチミーティングで料飲サービス実習(ホテル業編)
協力企業の担当者から「若者を職場へ受け入れること
により、従業員が自らの仕事を改めて振り返り、それ
が、モチベーションの向上につながった」
「社内教育や
インターンシップの雛形ができた」との感想が寄せら
れるなど企業側からの評価は高かった。今後は、他の
業種への広がりや、盛岡地域以外への展開あるいは、
業界全体での取り組みでの展開を図る。
セミナー最終日の成果発表はサポーターズ企業の前で実施
154
E企業接点・人材育成
8大人材育成プログラム
事 例 編
福岡県若年者しごとサポートセンター
企業参画による就職に直結した人材育成プログラム開発
|趣|旨|・|目|的|
|効|果|・|今|後|の|課|題|
産業界と連携した若手産業経済人材の育成、アジアを
就職に直結したプログラムであることが実証された(参
視野に入れたビジネス人材の育成のための多様な教育
加者302名 うち就職内定者232名)
。自立・自律の意
プログラムの開発と実証を目的として、8つの講座を
識が多くの参加者に見受けられるようになった。自動
実施した。
車産業の人材不足は深刻化しているため、企業側は若
例として「自動車関連産業即戦力人材育成講座」は北
干採用基準のレベルを下方修正しており、少しでも意
部九州「自動車100万台生産拠点構想」の中で未就職
欲があればフリーター、無業者は採用されるにいたっ
の若年者を自動車産業の担い手に育てることを目的に
ている。
実施した。
|実|施|内|容|
[講座内容]
①SE、②システムLSI設計技術者、③マルチメデ
ィア人材、④コールセンターオペレーター、⑤新生活
産業人材、⑥大川インテリア、⑦アジアセールスパー
ソン人材、⑧ものづくり人材――の8分野。⑧ものづ
くり人材に関する分野においては、自動車関連産業即
戦力人材育成、プラスティック射出成形分野、高度め
っき加工分野、プラズマ溶接分野などの育成講座があ
る。その中の「自動車関連産業即戦力人材育成講座」
では、工場製造ライン基礎研修や3DCAD基礎・応
用コースなどの研修が行われた。受講者数2,966名
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
「工場製造ライン基礎研修」の実施に際しての受講者
募集から受講後にいたるまでの流れ
①マスメディアへの積極的な情報提供
②説明・選考会および事前導入研修(マナー講習会)
「自動車関連産業即戦力人材育成講座」研修風景
を実施(不合格者の再チャレンジ可)
③短期集中育成のため合宿型で実施(基本定員16名)
④挨拶・規律訓練の重視
⑤製造現場OBをインストラクターに活用
⑥講座修了者に対して「合同会社面談会」を実施(未
内定者対策)
155
E企業接点・人材育成
事 例 編
ファミリーマートとの連携(実践!ビジネスマナー講座) 岐阜県人材チャレンジセンター
企業のノウハウをとり入れた人材育成プログラム開発
(ジンチャレ!)
岐阜県とファミリーマートとの
|実|施|内|容|
調印式
ファミリーマートが保有している店舗スタッフ向けの
人材育成カリキュラムをもとに、コミュニケーション
能力やビジネスマナー等の就職基礎能力を高める研修
カリキュラムを開発し、
「実践! ビジネスマナー講座」
を4回開催(各回2時間半)
。講座の広報チラシは、ファ
ミリーマートの店舗にも設置した。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
岐阜県とファミリーマートが「若者の就職支援に関す
る基本合意」を締結し、ジョブカフェとの連携が実現
ビジネスマナー講座
した。講座では、座学のほか、ゲームやワークをとり
入れながら、実際に自分で体を動かしながら正しい姿
勢や挨拶の方法等を学び、参加者に好評であった。ま
た、プレスの反響も大きかった。
E企業接点・人材育成
事 例 編
地域産業界ニーズに合わせた人材育成
地域企業に必要な人材を育成するプログラムの開発と運営
|実|施|内|容|
県内を5地域の産業特色に基づくテーマに分け、地域
産業界のニーズにあわせた人材育成を実施した。
日立地区:ものづくり産業(セールスエンジニア)
、県
南地区:研究支援産業(研究サポーター)
、県西地区:
IT産業(IT技術者…Java)
、鹿行地区:コンビナ
ート支援産業(プラントエンジニア)など。
研究支援産業の人材育成
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
若年者にできるだけ臨場感を持ってもらうため、実在
の企業事例などを用いて現実味のあるケーススタディ
での実践や、若者が自ら考えて答えを導き出すような
グループワーキング・プレゼン発表を行った。参加者
は、実技を多くとり入れ体験することで、チームで働
く力や主体性などが習得できたと思われる。
156
コンビナート支援産業の人材育成
ジョブカフェいばらき
E企業接点・人材育成
観光人材育成プログラム
あおもりツーリズムスタッフ育成セミナー
事 例 編
ジョブカフェあおもり
地域の重点産業に必要な人材を育成する
|趣|旨|・|目|的|
青森県における重点産業である観光産業の振興には、
新しい視点を持った次代を担う人材の育成が不可欠で
ある。本事業は、そのような人材の育成を目的の中心
とし、併せて学生、求職者、観光事業者社員等、多様
な立場の受講生が同じ目的、同じ場所で学ぶことによ
り、交流の出会い等の波及効果をも狙いとした。
|実|施|内|容|
ツーリズムスタッフ育成セミナーテキスト
本セミナーは、基本・研究の2つの課程に分けて実施
している。基本課程では、求職者や資格取得を目的と
した者のニーズに応えるようなカリキュラムを組み立
て、後半の研究課程では、観光事業者社員や既に一定
水準の知識を有する者も併せて対象として、青森県の
観光振興、地域振興に何が必要かを考察するための知
識を提供するようなカリキュラムを構成している。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
本セミナーは、①地域ごとの異なる事情、問題点+最
ツーリズムスタッフ育成セミナーの講義
新の観光事情+国内外の事例+観光知識といった高い
実務性、実務経験に基づく講義、②現役の観光業界に
ツーリズム実習
携わる外部講師の講話、③お客さまの視点による体験
弘南バスで車両点検説明
観光や添乗員研修等を内容とした現場実習見学、④青
森観光に対する提案、事業案等の修了プレゼンテーシ
ョンの実施、など総合的かつ実務的な内容にしている。
|効|果|
観光関連事業への修了生の就職については、既卒者は
雇用先が少なく、就職まで時間がかかることが多い。
また、修了生には自治体関係者、ホテル等観光関係者
十和田乗馬クラブでの体験
も多いことから、それら修了生のクチコミによる後輩、
周囲、部下等からの受講生応募への拡大がみられる。
さらに、修了生間の交流からNPO法人の設立につな
がったり、修了生が地元や所属機関においてセミナー
で学んだ知識を活かした活動もみられる。
157
E企業接点・人材育成
事 例 編
即戦力を目指す人材育成プログラム
ジョブカフェおおいた
地域企業に必要な人材を即戦力となるよう育成する
|趣|旨|・|目|的|
大分県の景気を支えるものづくり産業の人材不足、雇
用のミスマッチの改善のため、社会人としての基礎的
な意識・能力を身につけることに加え、製造、IT、
半導体、建設などの各分野別で即戦力となる人材を育
成するため、専門スキルを身につける実践的な育成プ
ログラムを実施した。
|実|施|内|容|
自動車や精密機械製造の「製造現場を支える技術者養
製造現場を支える技術者養成プログラム「規律訓練」
成プログラム」
「半導体技術者養成プログラム」
、Ja
vaやネットワーク技術者を養成する「高度IT人材
育成プログラム」
「工程管理マネジメントプログラム」
「NPO法人による職場体験プログラム」等の6つの事
業を実施した。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
単なる技術者の養成ではなく、あらゆる業種において
必要とされる社会人としての意識やコミュニケーショ
ン能力等の基礎能力を備えた人材を育成することに重
点を置き、規律訓練、マナー研修、毎日の3分間スピー
大分研修風景
チ、グループディスカッション、プレゼンテーション
大会を実施した。参加者からは「話も聞かず挨拶もし
ない自分が規律訓練を通して人とコミュニケーション
がとれるようになり自信を取り戻した」
「新しい自分に
生まれ変われた気がする」との反響があった。
|効|果|
採用企業からも「コミュニケーション能力の高さが決
めてとなり採用した」との評価を受けており、本事業
で開発したプログラムについては職業意識の高揚に大
きな効果があった。ただしプログラムによっては、参
加者募集は苦戦をした。若年無業者へ対する告知につ
いて工夫が必要である。
158
大分講議
E企業接点・人材育成
事 例 編
若者就業体験プログラム
わくわく ×2
−work
わくわく ×2
体験隊☆
work
挑戦隊☆−
ジョブカフェ愛work
企業の人材ニーズに即した企業参画型人材育成プログラム開発
|趣|旨|・|目|的|
若者が企業の中で実際に就業体験ができる場を用意
し、若者に対しては、自分の適性についての理解を促
進する機会と職業選択の判断材料を提供し、企業に対
しては、採用のリスクやコストの低減、若者理解の促
進、企業イメージ向上を図ることを目的としている。
双方にとってのミスマッチの解消にもつながる。
|実|施|内|容|
ビジネスマナー等の3日間の集中研修後、企業で5日間
感覚へ訴える
ポスター
の就業体験を行う。若者ニーズ対応型の体験隊☆は、
若者が希望する企業で体験をすることができる。企業
ニーズ対応型の挑戦隊☆は、企業の求人ニーズに合う
若者が対象となる。体験後の面接で合格すれば内定と
なる就職直結型である。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
企業開拓員と密に連携をとることで若者と企業の双方
のニーズをすり合わせ、マッチ率の向上を図った。来
所者に対しては、ガイダンスを開催して企業イメージ
を具体化させ利用促進に力を入れ、企業に対しては、
特設コーナー
で求人閲覧す
魅力がうまく発信されるような資料作成を提案するな
る若者
ど行った。このプログラムを利用した若者は、就職決
定するだけではなく、就業意欲が向上し行動力が身に
つき、プログラムの有用性を実感したようすであった。
その結果、利用者からのクチコミによる参加申込みが
増えた。
|効|果|
若者の就業意欲が高まり、仕事や自分の適性について
の理解が深まった。実体験を通して志望動機に説得力
がでて、体験企業以外の面接においても内定獲得へつ
ながった。今後はさらに愛媛の地場産業の企業開拓に
力を入れ、地場産業情報・ニーズを積極的に若者に発
研修を受ける若者
信し、愛媛県内で活躍する人材を育成したい。
159
E企業接点・人材育成
事 例 編
伝統産業支援の「匠カフェ」
ふくいJobCafe
地場伝統産業のイメージアップと理解促進
|実|施|内|容|
福井県内伝統産業の中より、越前焼と越前和紙をとり
上げ、それぞれ6日間にわたって一通りの工程を体験
し、最終的には受講生が作品を完成させ自らの手で物
をつくり上げるという達成感を得られる内容とした。
両コースとも事前紹介セミナー1日、講義2日間、実習
4日間という構成で展開した。
越前焼の実習
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
越前焼、越前和紙ともに講義・実習内容について詳細
を説明する事前紹介セミナーを開催し、受講生の不安
を取り除いた。講師には伝統工芸士や産地組合理事長
等を迎え、伝統産業の特徴から販売促進方法に至るま
で実習体験も設けて学習する中で若者がその良さを再
認識し匠の技を受け継ぐきっかけとした。
越前和紙の手漉きを体験
E企業接点・人材育成
事 例 編
京都の伝統文化を守ろう
ジョブカフェ京都
地場伝統産業振興のため、具体的な採用を支援
|実|施|内|容|
130年の伝統を持ち、法隆寺や二条城、京都御所の装
飾も手掛けた老舗が、技術の継承のために若者の採用
を希望した。仕事内容にやりがいを感じた若者をジョ
ブカフェから紹介した結果、4名もの若者が伝統産業
の世界に飛び込んだ。当初の採用予定数を上回る雇用
が創出され、伝統産業支援の好事例となっている。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
企業と求人開拓員、カウンセラーや若者、すべての関
係者の、京都の伝統文化を継承するという熱い思いが
一致した成果であると考えている。
また、ジョブカフェが、後継者不足に悩む地元伝統産
業への人材供給機関であることを示せた事例でもある。
160
伝統文化の次代の担い手もジョブカフェから
E企業接点・人材育成
就職直結型人材育成IT・ET
事 例 編
にいがたジョブカフェ事業
企業のニーズやノウハウを取り入れた有効な人材育成プログラム
|趣|旨|・|目|的|
②組み込みソフトウェア開発・システム・LSI設
県内ITおよび電子機械関連業界を支える人材の育成
計応用の実習
と県内の各関連企業への就職を目的とし、新潟県電子
③ソフト開発管理
機械工業会および、新潟県IT産業ネットワーク21の
④ビジネス・ヒューマンスキルの向上
企業群との連携により受講生が講座終了後、インター
ンシップ実施先や就職に関して強力なバックアップを
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
得る。
両講座ともテクニカルスキルを身につけるだけでなく、
ビジネスマナーやコミュニケーション能力といった「ヒ
ューマンスキル」の向上を図ることにより、プレゼン
|実|施|内|容|
[IT人材育成]
テーションの場における活躍が大いに期待できる。
①データベース・ネットワーク・プログラミングの
技術習得
|効|果|
②ビジネス・ヒューマンスキルの向上
IT・ETともに講座を無事に終了した受講者全員が
③インターンシップの実施
就職を決定した。
[ET人材育成]
①組み込みシステムの習得
就職直結型IT・ET人材育成講座パンフレット
161
E企業接点・人材育成
事 例 編
雇用直結型IT人材養成事業
−フリーターがプロのITエンジニアに変身−
岐阜県人材チャレンジセンター
(ジンチャレ!)
地域企業に必要な人材の育成プログラム開発
|趣|旨|・|目|的|
|効|果|
「若い人が住んで働くことのできる地域づくり」を目指
開講から約2年を経て、地元企業からの反響も好評で
して、現在定職に就いていない方を対象に実践的な短
あり、岐阜県に進出を検討中の企業にとっても当該事
期集中の無料研修を実施し、地元企業(IT企業、製
業が魅力となっており、産業振興に多大な効果をもた
造業等)への就職を実現する事業である。労働需給の
らしている。
ミスマッチを解消し、地元産業の振興および雇用の創
一方、受講希望者数が人材需要に追いついておらず、
出を図るのが目的。
ジョブカフェ等を中心にして、多くの若年人材を当該
研修に誘導することか課題である。
|実|施|内|容|
[場 所]ソフトピアジャパン(大垣市)
[受講料]無料
[応募資格]18歳以上の定職に就いていない者、
転職希望者等 [時 間]平日9∼17時
[コース]①SE養成コース、
②スペシャリスト養成コース(組込み、ネッ
トワーク構築、WEBコンテンツ監視)
[期間]4∼6ヵ月
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
ITスキル研修
社会人基礎能力、ビジネススキルを身につけた人材に
対する企業ニーズは非常に高い。そこで、実践的なI
Tスキル研修のほか、技術者としての1日、チームワー
ク、上司とのパートナーシップ、自律的に働くこと、な
どのカリキュラムをとり入れている。
また、社会経験が浅いフリーターが多いため、細やか
なカウンセリングを行っている。さらに、企業の人材
需要に合わせて柔軟にコースを設定し、研修から就職
までをサポートしており、累計就職率は現在約93とな
っている。
研修施設のドリームコア
162
E企業接点・人材育成
ラーニングアドバイザー
事 例 編
ジョブカフェ愛work
個人の成長と企業の人材ニーズに応える仕組みづくり
|実|施|内|容|
個人に合った支援メニューの活用を提案し、個別相談
との有機的な連携を図る職務として、ラーニングアド
バイザーを設置した。個別相談とセミナーで共通に使
えるツールを開発し、若者が就活のプロセスにおける
自分の位置を認識しながら、自律的に就職活動を進め
ることを可能とした。また、相談部門と事業企画部門
との情報共有を促進することでより若者と企業のニー
ラジオを通して明るくメニュー紹介を行う
ズに合った支援を可能とした。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
ラーニングアドバイザーは、若者にセンターの有効活用
を案内すると同時に、センター内では部門の連携を働
きかけ、若者が就職するために必要な啓発的経験を積
む場所として、センターを機能させることに成功した。
セミナーでのアドバイス風景
E企業接点・人材育成
併設ハローワークとの連携
事 例 編
JOBカフェOSAKA
ハローワークとの一体的企画・運営
|実|施|内|容|
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
JOBカフェOSAKAが集めた未経験者採用に積極的な
「JOBカフェ求人」がスムーズに探せるよう、併設ハロ
企業の求人情報を、併設のハローワークJOBカフェと
ーワークの検索端末内に独自の検索入り口を設置して
共有し「JOBカフェ求人」として登録。
いる。また、ハローワークJOBカフェの開館日時をJOB
ハローワークJOBカフェで閲覧検索・紹介を行うとと
カフェOSAKAのそれにほぼ合わせるなど、利用者の利
もに、JOBカフェOSAKAキャリアアドバイザーも求職
便性に配慮したサービスの提供を行っている。
者を誘導、希望に添った求人探しを支援。
JOBカフェOSAKAとハローワーク(ハローワークJOBカフェ)との連携
求人をハローワーク
JOBカフェへ
求人
JOBカフェ求人として登録
■併設ハローワーク■
(ハローワークJOBカフェ)
JOBカフェOSAKA
求人紹介
求職相談
■求人企業■
キャリア
アドバイザー
求人情報を探して
ハローワーク
JOBカフェへ誘導
■検索端末■
求人を閲覧・検索
求職者
163
E企業接点・人材育成
事 例 編
「1ヵ月で就職!」プロジェクト・脱タテワリ
ハローワークとの一体的運営を実現する
|趣|旨|・|目|的|
ジョブカフェ石川と、併設するヤングハローワーク金
沢が協働で「若者のための企業ガイダンス」
(ミニ企業
説明会)をスタート。若者と企業のマッチングの場と
して毎月定期開催し、より多くの若者を1ヵ月で就職
に導くサービス体制の確立を目指した。
|実|施|内|容|
綿密なミーティングで連携の土台を築き、情報を共有
化。ジョブカフェで毎月開催している「社会人基礎力
養成講座」や「企業見学」などのプログラムを通して、
社会人基礎力養成講座 ビジネスマナー編
若者の就職意識の向上やビジネスマナーの基礎を育て
た上で、
「企業ガイダンス」へ誘導。この一連のシステ
ムを連携して整備した。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
情報を共有することで、ヤングハローワーク金沢では、
利用者の求職ニーズにできるかぎり沿うような求人企
業の参加を要請。一方、ジョブカフェでは、
「企業ガイ
ダンス」に参加する若者を対象に「事前対策セミナー」
も実施。面接当日の雰囲気を体験できるイメージトレ
ーニングや、自己PR書の最終チェックを行い、若者
の行動促進につなげている。
企業ガイダンス:参加企業のPRを聞く若者たち
|効|果|
2005年秋にスタートし、既に8回実施(06年5月末現
在)
。企業・若者ともに出会いの機会として好評を得
ている。大きすぎず小さすぎない適度な規模(10社ま
で)で実施するため、じっくり話しができると満足度
が高い。これまでに52名が内定している。
ヤングハローワーク金沢との目的の共有と、信頼関
係・協力体制の確立が成功要因である。
企業ガイダンス:企業ブースで個別面接
164
ジョブカフェ石川
E企業接点・人材育成
キャリアアップ相談の実施
事 例 編
ジョブカフェ京都
就業率向上につながる能力開発支援
|実|施|内|容|
就職するためのスキルが不足していたり、キャリアア
ップが必要と判断される若者にアドバイスをする専門
のカウンセラーを配置し、ジョブカフェで実施してい
るキャリアアップ研修をはじめ、各種職業訓練の案内
や効果的な研修受講の方法等のアドバイスを行ってい
る。
キャリアアップ研修
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
単に各種研修の案内にとどまらず、若者本人も気付い
ていない、就職するために必要なスキルを提示して受
講に誘導し、弱点克服につなげている。
また、研修受講後も、受講した研修の活用方法やさら
なるステップアップのアドバイスも含め、就職できる
まで継続して支援している。
E企業接点・人材育成
高卒未就職者支援でのプロジェクト
事 例 編
ジョブカフェあおもり
地域関係諸機関が一体となった就業支援
|実|施|内|容|
呼びかけるなどしたことから、延べ154件の相談等が
青森県の厳しい若年者の雇用環境に対応するため、青
あった。
森県、青森労働局、教育庁、ジョブカフェあおもり等
青森会場での相談会受付
の関係機関による「若年者対策推進プロジェクトチー
ム」が2005年5月に設置され、その対策の一環として
05年3月高卒未就職者に対する就職相談会を県内4市
で開催し、県、ハローワーク、ジョブカフェ等の職員
が一体となって助言・指導等の支援にあたった。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
八戸会場でのカウンセリング
相談会場には、パソコンによる職業適性診断、求人票
の見方や面接時の注意点等を指導するコーナーのほか、
職業訓練情報の面談コーナーも設置し、来場した高卒
者には何かを身につけてもらうよう対応した。
対象高卒者にはハローワーク職員が電話で直接来場を
165
E企業接点・人材育成
事 例 編
産・学・公連携ネットワークの構築
ジョブカフェのハブ(橋渡し)機能を活かした地域ネットワーク化
|趣|旨|・|目|的|
企業・学校・行政・経済団体等がネットワークを形成
し、連携を密にしながら若年者の地元企業への就職を
促進するために、
「産・学・公若年者就職問題検討交
流会」を設置。県内のモデル地域として宇部・山陽小
野田地域、周南地域の2地域で実施。
|実|施|内|容|
2地域の中堅・中小企業およびブランチ校を中心とし
た大学等が、若年者の就職問題について意見交換会を
2回実施。具体的な検討項目として、①若者に対する
地元中堅・中小企業の魅力発信の場の提供、②人事担
当者向けセミナーの開催、③若年者向け職場定着支援
研修の開催等について意見を交換し、大学と企業双方
から要望のあった「内定者合同研修会」を開催。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
①企業集積の多い2地域をモデル地域として先行させ、
その波及効果を県内一円に広めることとした。
②参加企業の選定にあたっては、地元の中堅・中小企
業かつ従業員100人以上で、今後継続的に雇用が期
待できる企業とした。
③大学・企業等が参加しやすい時間帯として開催時間
を午後6時から7時30分までとした。
|効|果|
①交流会登録企業は両地域で65社となった。
②大学と企業が若年者の就職問題について本音で情報
交換を行うことにより、お互いの立場を理解する気
運が生じつつある。
③「内定者合同研修会」を開催した結果、大学・企業
とも「ジョブカフェ山口」に対し両者の“橋渡し的
役割”を期待する気運が高まりつつある。
166
産・学・公若年者就職問題検討交流会
ジョブカフェ山口
E企業接点・人材育成
OSAKAしごと館との連携
事 例 編
JOBカフェOSAKA
関係諸機関とのスムーズなサービス連携
|実|施|内|容|
2005年10月、就職困難者の年齢区分等に応じ、ワンス
トップで就職支援サービスを提供する「OSAKAし
ごと館」を設置した。これにより、多様化する来場者
にあわせ、JOBカフェ、ニートサポートクラブなど
の適切なサービス機関への誘導が可能となった。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
JOBカフェとニートサポートクラブなど施設の相互
連携体制や、総合的な広報を実施することで、より適
切かつ効率のよいサービスの提供に努めた。
また、カウンセリングやセミナー、適正診断等の複
合的なサポート施設であることにより、来場者により
高い安心感と満足感を与えられるようになった。
E企業接点・人材育成
ジョブカフェカンパニーの組織化
事 例 編
にいがたジョブカフェ事業
ジョブカフェによる支援企業の組織化
|趣|旨|・|目|的|
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
ジョブカフェカンパニーの組織化は、若年求職者支援
①若年人材の確保:ジョブカフェ来訪者に対して企業
を進める上で受入れ側の企業側に目を向け、若年と企
ガイダンスやインターンシップを実施することで若年
業のネットワークを確立し、しごと相談所としてさま
人材確保ができる。②企業PR・企業イメージの向
ざまな側面から支援することが目的である。
上:登録企業はジョブカフェキャラクター・ロゴを使
用できるので「若年者の育成に意欲的」というイメー
|実|施|内|容|
ジが浸透し、企業イメージの向上ができる。③研修情
ジョブカフェ事業推進員が企業を訪問し、ジョブカフ
報提供:企業研修により人材を育成する。
ェカンパニーの趣旨と内容を紹介し登録を募っている。
登録企業にはジョブカフェホームページ上に企業ペー
|効|果|
ジを設け、企業の魅了を発信。また、登録企業向けの
今後はジョブカフェカンパニーの組織化をさらに進め、
教育研修を実施して人材育成にも力を入れている。
若年求職者と企業のネットワークだけではなく、新潟
県内の企業・産業がより活性化し発展していくよう、
登録企業間の情報交流の場としてジョブカフェカンパ
ニーの組織化充実を進めることが重要である。
167
E企業接点・人材育成
事 例 編
ジョブカフェサポーターズ(ジョブカフェ応援企業)との連携
ジョブカフェいわて
ジョブカフェによる企業の組織化
|実|施|内|容|
イベントの企画をメンバー企業とともに計画していく。
ジョブカフェいわての活動方針∼岩手県の産業振興に
資する若年産業人材の育成と定着∼に賛同する県内の
企業や団体にジョブカフェサポーターズのメンバーに
なってもらい、ジョブカフェいわてが主催する各種イ
ベントへの協力などを依頼した。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
創立メンバーには盛岡地区だけでなく、地域と業種の
ジョブカフェサポーターズ設立総会のようす
バランスを考慮して、県内各地域における中心的企業
や団体を選定し、ほぼ全県をカバーした。このほかに、
ジョブカフェのイベントなどに積極的に協力した企業
には自動的に新規メンバーになってもらっており、メ
ンバー企業からはジョブカフェの活動に関する貴重な
アドバイスを得ている。今後は企業の採用に結びつく
チャレンジセミナーで受講者へアドバイスをするサポーターズ企業
E企業接点・人材育成
事 例 編
ジョブカフェあおもり応援隊
ジョブカフェあおもり
ジョブカフェを応援する企業の募集、登録
|実|施|内|容|
インターンシップの新規受入協力や職場実習等の受
入、企業情報の提供等、ジョブカフェあおもりが実施
する若年者就職支援事業に協力・賛同する企業をジョ
ブカフェあおもり応援隊として募集し、登録した。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
県内の各商工会議所等に配置した情報収集調査員が直
接企業を訪問し、若年者の人材育成や採用等に前向き
に取り組む企業の募集を行い、ジョブカフェから賛同
した企業に対して新人研修や従業員のスキルアップに
役立つ教材を提供するなどして、相互の連携・強化を
図った。募集は2005年11月から開始し、06年3月まで
に311企業が登録した。
「ジョブカフェあおもり応援隊」募集チラシ
168
E企業接点・人材育成
青年会議所との連携
(周南しごとフェスタ2006の共催)
事 例 編
ジョブカフェ山口
地域経済団体との連携を通じた効率的な企業との連携
|趣|旨|・|目|的|
若者の地元定住促進および地域や地元企業の発展・地
域貢献を目的に、社団法人周南青年会議所が開催する
就職面接会、講演会等を共催で実施。
|実|施|内|容|
社団法人周南青年会議所が就職面接会等を実施する
中で、ジョブカフェ山口は「ジョブカフェのPRブー
ス」と「カウンセリングブース(30歳未満の若者を対
象)
」を担当した。
周南しごとフェスタ2006でのカウンセリングブース
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
①一般求職者も対象としたイベントであるため、就職
面接会の会場と「PR・カウンセリング」の会場を
別にするなど事前の調整を行った。
②一般求職者も対象とした就職面接会であったため、
若年就職者が参加しやすい雰囲気づくりを行った。
|効|果|
①多くの若者が集まる中でジョブカフェのPRを行い、
今後の情報提供対象者や利用者の増加につなげるこ
とができた。
②カウンセリングを行う中で、6月から実施する「ふる
さと山口合同企業就職フェア」
(経済団体と共催)の
PRや面接に臨む学生等の就職活動支援ができた。
169
の
企業
声 フェ
ブカ
ジョ の期待
へ
採用ヒット率が高く、
地域に根ざしたジョブカフェを
尾崎商事株式会社 群馬営業所所長 深田正二氏
に伝えればいいのかを悩んで
いた。しかし、ジョブカフェ
はこのようなところまでアド
バイスをしてくれるので助か
る。こうしたきめ細かさは、
企業と若者をよく知っているジョブカフェ
人事部などがない中小企業に
当社は、スクール服のメーカーで、ジョブカフェを通
とっては嬉しいサポートで、
じて、男性1名、女性1名を採用した。男性は物流セ
採用にかける時間を短縮することにもつながる。
ンターで、女性は営業で元気にがんばっている。
地域に根づいた活動を期待
ジョブカフェは、私たち企業の社風や業務内容などを
ただ、企業は急いで採用する必要性に迫られることも
よく把握し、若者たちの志望動機や性格などを理解し
ある。ジョブカフェを通した採用にはやや期間がかか
た上で、企業を紹介している。しかも、事前にその企
るので、その場合は対応が難しいかもしれない。ジョ
業についてよく説明してくれているので、ジョブカフ
ブカフェは、「腰を据えて正社員を採用したい」とい
ェから紹介された若者たちは、当社が求める人材にマ
うときに求められているのだろう。
ッチすることが多い。このヒット率の高さは、私たち
ジョブカフェにはこれからも地域に根づいた活動を期
にとってジョブカフェを利用する最大のメリット。
待している。たとえば、異業種交流をセットしてもら
きめ細かなアドバイスが嬉しい
って、採用方法について情報交換する場をつくったり、
私は営業マン出身なので、採用業務を経験したことが
他の地域から異動してきた社員に対して、地域情報を
なく、募集するときに、どのように当社をPRすれば
発信したりするとおもしろいと思う。
若者に届くのか、自分たちが求める人物像をどのよう
ジョブカフェに行って損はなし!
ジョブカフェで働くことの意義を見出した彼
何の期待もせずに参加したイベントで優秀な人材を採
城東紙器株式会社 代表取締役 岩崎 隆氏
用できたことは大きな驚きだ。採用した彼に話を聞く
担当者の熱心なアプローチ
でイベントに参加
と、ジョブカフェのあるプログラムを受講して、もの
ジョブカフェを知ったのは、ダ
ログラムで見出したから、面接でも輝いていたんだろ
イレクトメールに返信したのが
う。仕事に対する自分自身の考えをきちんと持ってい
きっかけ。そうしたら、ジョブ
る人は魅力的だ。1人の人間がこれだけ変われるのだ
カフェの担当者が、わざわざ来
から、みんなジョブカフェに行って損はない。
すごく変わったのだという。働くことの意義をそのプ
社され熱心にイベントへの参加を誘ってくれたので、
本当のワンストップサービスを
出ることになった。
働くことにうまく適合できない若者たちの中にもいい
予想外の大盛況にビックリ。見事、採用成功!
素材がいる。そこをジョブカフェが、うまくすくい上
若い人を採るのに苦労していたので、人は採れなくて
げることは意味のあることだし、私たちも協力したい
も当社のブースに商品でも並べておけば宣伝くらいに
と思う。あえて、苦言を呈すれば、大阪では人材を直
はなるだろうという気持ちで参加した。それがふたを
接紹介できず、ハローワークを通さなければならない
開けてビックリ。若者が30∼40名もブースの前に並
こと。現状ではそれが不可能だとしても、いつまでも
んでいる! こんなに多くの若者が当社に興味を示し
「できない」と言うだけでは、ユーザーのことを考え
てくれたことに驚いた。結局、30名ほどの若者を面
ていない。法律や行政のシステムは変えられるはず。
接し、1名を営業職として採用できた。採用した彼は
もう一度、ジョブカフェの目的に立ち戻って、本当の
高卒だが、ほかの学卒者とはレベルが違った。話すと
意味でのワンストップサービスを実現してもらいた
すぐ、熱意があり前向きな姿勢がヒシヒシと伝わって
い。
きた。
170
企業
声
伝統工芸にふさわしい
若者をマッチング
株式会社森本錺金具製作所
代表取締役 森本大隆氏
り出してくれるところがいい。当社
でも2人を採用する予定が、ジョブ
の
ジョ
ブ
への カフェ
期待
カフェの担当者がいい人を送り込ん
でくれたこともあり、実際には4人の若者を採用した。
選考基準の第一は真面目さ
職場見学会で仕事内容を
しっかりと説明
採用の判断については、手先の器用さよりも「正直な
ジョブカフェは友人の紹介だが、担当してくれた人の
うものは、履歴書の書き方、面接時の会話の端々、そ
実家が神社ということもあり、伝統工芸という仕事へ
の表情などに自然と表れるものである。人々の信仰の
の理解が深かったので、その担当者に任せれば間違い
対象である神社・仏閣が主な納入先であるため、その
ないと、すぐに登録した。
作業において精神的・肉体的に健全であることが必要
まず、どういう仕事、どういう会社なのかを理解して
であり、言わば「仕事ではあるが信仰の延長でもある」
もらうため、面接の前に職場見学会を行い、会社の端
という理解と意識が、各人に求められる。そういう部
から端まで案内した。自分の思いどおりに自由につく
分では、自分と向き合うことが大事で、人によく見ら
るのではなく、形状・寸法等、指示に従って正確に表
れたいとか、ごまかそうという人には絶対につとまら
現・製作する必要があり、その技術を身につけるには、
ない。間違えたら、言い訳はせずに「ごめんなさい」
何十年もの修練が必要であるということを説明した。
と謝る真面目さ・素直さ、それから「ありがとう」と
絞り込まれた紹介が魅力のジョブカフェ京都
感謝できることが大事で、これはどんな仕事において
ジョブカフェは対象が若者で、職業紹介も行っていて、
も共通することだと思う。
人間である」という点を一番に考えた。真面目さとい
地域密着で採用側のニーズに合った人を絞り込んで送
前向きな若者と出会えるのが嬉しい
株式会社琉球補聴器 代表取締役 森山勝也氏
り場づくりをしてくれるから
だろう。積極的で意識が高く
感じられる。素直で向上心の
ある若者たちと、一緒に夢を
カフェという響きがリラックス空間をつくる
語りながら仕事をしていきた
沖縄県キャリアセンター(ジョブカフェ)主催のセミ
いが、そういう出会いは得が
ナー会場で、ライブカフェというイベントを案内して
たいもの。何をしたいのかわ
もらったが、若者とじっくり語り合える場ということ
からない、その場限りで先を
で興味を感じた。カフェというネーミングの響きがと
考えていない、そういった若者に会うとがっかりして
ても安心感を与えるのか、リラックスしていい雰囲気
しまう。
で話せた。こういうイベントは初めてだ。
もっともっと出会いの場を!
ともに働きたい学生たちと出会えた
私は沖縄県中小企業家同友会の共同求人委員長をして
琉球大学にジョブカフェのサテライトがあると聞い
いるが、中小企業における人材確保はとても難しい。
て、見学に行ったが、会場は学生たちの熱気にあふれ
若者に働く場を提供し、働く意味を考え、仕事の喜び
ていた。ライブカフェに参加して感じたのは、学生の
を感じてもらうのは企業の使命だが、若者たちにそれ
積極性。こんなに前向きに質問してくれると、こちら
が伝わらなくなってきた。だからジョブカフェには大
も嬉しくなってしまう。こういう学生たちが当社に来
いに期待したいと思っている。工夫を凝らしたイベン
てくれれば、一緒に事業を拡大していけそうだと思っ
トなどせっかく効果的なことをやっているのだから、
た。後日談だが、実際にその中から当社に入社してく
もっと世の中の企業や社会の人に存在をアピールして
れる人も出てきた。
もらいたい。出会いの場に参加することは、若者にだ
ジョブカフェで会うと生き生きして見える
けでなく企業にとってもいい勉強になる。より多くの
学生たちも学内で会うのとジョブカフェで会うのとで
若者と企業が参加するような場をつくり続けてほし
は、印象が違って見える。スタッフの人たちがしっか
い。
171
⑥ジョブカフェの運営
解 説
ジョブカフェの運営
地域で自立したジョブカフェの完成に向けて
ジョブカフェは、各地域における若者の就職支援の
愛媛では、目標達成のための「夢チャレシート」を
ワンストップサービスを提供する役割を担っている。
運用している。センター長も自ら記入して全員に公開
ジョブカフェで働くスタッフの数は地域によって異な
している。シートの中で各人が目標設定を行い、管理
るが、若者がセンターに来所してから就職に至るまで
指標を設定して、グラフなどによる“見える化”を行
の一連のサービスをスムーズに進めるためには、スタ
っている。
ッフ間の高いチームワークが要求される。したがって、
組織としての管理・運営が重要である。
一方で、すべてのサービスをジョブカフェ内の資源
でまかなうことは無理であるし、また効果的、効率的
でもない。すでに各地域に存在しているさまざまな資
源を活用し、統合していく「ハブ(橋渡し)
」の機能を
ジョブカフェは果たす必要がある。そこに求められる
のは、外部関係組織、機関とうまく連携してやってい
ける調整能力である。
ジョブカフェのスタッフ
|ジ|ョ|ブ|カ|フ|ェ|運|営|の|
|成|功|ポ|イ|ン|ト|
ジョブカフェ運営が効果的に行われるための成功ポ
イントとしては、以下の点をあげることができる。
1. 組織のマネジメント
●組織づくりに際して、採用・動機づけ・育成研修な
ジョブカフェトレーナー研修会
ど、組織運営に関する設定をしっかりと行う。中でも、
スタッフ、カウンセラーの対応力、企画力は重要であ
●ジョブカフェも多くの人が働いているひとつの組織
り、研修だけでなく、評価やフィードバックの仕組み
体であり、組織を統括するセンター長のマネジメント
も必要である。
力やリーダーシップを高めることがジョブカフェの円
新潟では、スタッフ全員が「キャリアアップシート」
を記入することによって、自身の目標の明確化と勤務
意欲の喚起を図っている。
滑な運営のポイントになる。地域を越えた切磋琢磨も
センター長の運営力向上につながる。
各地のセンター長のマネジメント力アップのため、
大阪では、スタッフの評価制度、フィードバックの
ジョブカフェ・サポートセンターではモデル地域全体
ルールを確立し、スタッフのモチベーションアップを
でのセンター長の研修を実施した。各地から積極的に
図っている。
参加して、マネジメントトレーニングを中心に、活発
な議論や情報交換も併せて行われた。
172
⑥ジョブカフェの運営
解 説
東北・北海道地域では、経済産業局を中心にモデル
地域のセンター長や主要スタッフが集まる会議を定期
的に行って、互いの運営力をレベルアップしている。
地域を越えた切磋琢磨を実現するために、ジョブカ
フェ・サポートセンターでは「全国モデル地域連絡会
議」
「ブロック別会議」
「テーマ別会議」などを実施し
ている。
●内部、外部に対しての多面的な評価を行うことで、
ジョブカフェの現状を知ることができる。その内容を
検討することで現状の改善につなげることができる。
各地域では、それぞれジョブカフェ評議会などを設
置して、自主的な評価を行っている。全体としてもC
全国モデル地域連絡会議
S調査(利用者満足度調査)や評価委員会の運営によ
り、トータルの評価や改善点のアドバイスを、各地域
●たゆまぬ改善を奨励・促進することによって組織の
に行っている。
活性化を持続的に図る。
各地では、絶えずファシリティや企画内容の見直し
を行い、改善を重ねている。内部での意見交換のみな
2. 外部との連携
らず利用者のアンケートにもとづいてサービスの改善
を行っている。
ジョブカフェ・サポートセンターでは各地の改善を
促進するための情報源、刺激剤として、メールマガジ
ンの発行、メーリングリストやホームページの設置を
行っている。また、各地への訪問活動や東京での集合
会議を通じて、情報の収集と提供を行っている。
●ジョブカフェ内でのコミュニケーションを重視し、
活性化することで、必要な情報の共有が促進できるの
みならず、チームワークの醸成や働きやすい雰囲気づ
くりが行われる。情報を一部の者しか把握していない
状況では、満足な運営が行われない。
各地では、朝礼による全体状況の共有、定期会議に
よる企画内容の検討、組織横断的なプロジェクトの運
営、階層別のミーティングなどを実施している。愛媛
では図のような会議の体系を組んでいる。
岩手、愛媛では、グループウエアを活用して、個人間
のコミュニケーションを活性化している。石川では、業
務日報をセンター内のみならず県庁とも共有化している。
173
解 説
⑥ジョブカフェの運営
●地域の資源を最大限に活かすという視点で、ジョブ
全県のカウンセラー会議を行った。
カフェを中心に若者支援のネットワークをつくる発想
ジョブカフェ・サポートセンターでは全国カウンセ
が重要である。そのために組織化などの必要な手段を
ラー会議のほかに「全国企画担当者会議」
「企業連携
総合的に実行する必要がある。
担当者会議」などを実施し、活発な情報交換を行っ
岩手では、各サテライトの運営体制を強化するため
た。
に、地域のNPOや行政関連機関を巻き込んで運営体
制をつくり上げている。
愛媛では、地域における若者支援のネットワーク化
促進のために、関係者に広く参加してもらう「若年人
材育成推進機構」を立ち上げた。
石川では、雇用政策と産業振興政策の連携を地域的
に促進するために、県庁内に新たな融合組織「産業人
材政策室」を設置して、ジョブカフェをはじめとする
さまざまな施策に取り組む。
ジョブカフェシンポジウム
●センター長をはじめとして、外部機関とのインター
●ジョブカフェの運営に直接関わる関係者との調整は、
フェイスを行う役割を持つ担当者には、連携を促進す
センター長の重要な業務である。道府県庁をはじめ、
る高い調整能力が要求される。ハローワーク、市町村、
経済産業省、厚生労働省、産業局、労働局、ジョブカ
若者支援機関、経済団体、企業、NPOなど、連携す
フェ事業の受託団体、委託先の民間企業など・・・。登
べき組織、機関の幅は広い。
場者が多いのもジョブカフェ事業の特徴といえる。調
各地ではセンター長を中心に、県庁やジョブカフェ
整がうまく行かないと、意思決定の遅れ、利害関係者
受託団体などのメンバーが、関係各所との調整を行
の対立などにより、肝心のサービスへの集中力が阻害
い、ジョブカフェ活動を中心に地域としての若者支援
される。
のネットワークを広げる取り組みを行っている。各セ
ンター長などは関係各所とのリレーションを強めるた
めに、さまざまな会合や講演などの機会に顔を出して
いる。
岩手では、センター長が県内各地のリクエストに応
じて講演を行い、その内容を講演録としてまとめて、
県内に幅広く配布している。ジョブカフェへの理解を
促進し、さらにマスコミへの取材促進にも結びついて
いる。
●それぞれの地域だけでなく、別の地域と連携するこ
各地では、関係者が集まる会議を定期的に開催し
とでスタッフやカウンセラーの人材育成につなげてい
て、コミュニケーションの円滑化を図っている。セン
る。ジョブカフェで働く人がレベルアップすることに
ター長の属性は道庁県庁在籍者・OB、民間出身者、
より運営の質が高まってくる。その人材は地域の若者
受託団体在籍者などで、それぞれのバックグラウンド
支援人材として貴重な存在になる。
を活かして、関係機関の調整を行っている。センター
いくつかの地域では、他の地域を訪問して、共同で
カウンセラーやスタッフの勉強会を行っている。九州
地区ではモデル地域以外のジョブカフェも合わせて、
174
大臣・センター長昼食会
長以外のスタッフも関係各所から募っており、全体の
連携推進に寄与している。
⑥ジョブカフェの運営
全国モデル地域センター長研修
事 例 編
全体
ジョブカフェ運営のマネジメント力向上
|趣|旨|・|目|的|
ジョブカフェの中心となるセンター長が組織マネジメ
ントの全体プロセスを理解するとともに、必要な管理
知識・スキルを実践的に習得することによって、ジョ
ブカフェの運営がレベルアップされていくことを狙う。
いい刺激を受ける場にもなっている。
|実|施|内|容|
ジョブカフェの「使命・任務」と「業績」について具
体的に確認し、業務目標の設定を行って仕事を行うこ
との意義と基本プロセスを学習する。
メンバー個々の「仕事への動機づけ」を行うことの意
味と具体的方法論について学ぶ。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
既存のマネジメント研修の手法をベースに、そのフレ
ームを使ってジョブカフェならではのセンター長研修
とした。
汎用性のあるマネジメントスキルの取得に加えて、ジ
ョブカフェ運営に関する具体的な手法について、グル
ープワークなどを行うことでよりブラッシュアップで
きるような内容となっている。
同時に各地域のマネジメントの実態に触れることで、
自分自身の気づきを得ると同時に、情報交換の場とし
ての役割も持たせている。
|効|果|
終了後に各地においてモデル地域としての使命や目的
をメンバーと共有するミーティングを行うなどの効果
に結びついている。
今後の日常の業務の中で研修の成果が生かされていく
か、各地域のマネジメントの高度化にどうつなげるか
が課題。
東京で行われたセンター長研修
175
⑥ジョブカフェの運営
事 例 編
ジョブカフェ成功事例発表祭
全体
オープンな発表祭開催によるノウハウの移転
|趣|旨|・|目|的|
全国のジョブカフェモデル地域における成功事例を、
東京におけるイベントで大々的に発表する。活動の成
果をまとめる機会となるとともに、若者の支援を行う
関係機関などにノウハウを移転する。全国の優れた事
例を通じて、現場のメンバーの活動内容を広く社会に
伝えることができる。
|実|施|内|容|
ジョブカフェがスタートして初年度から年度末に実施
ジョブカフェホット!ミーティング会場
している。全国各地からピックアップした成功事例(ベ
ストプラクティス)を発表祭イベントで披露した。全
国各地ジョブカフェのスタッフをはじめ、教育関係、
公務関係、人材ビジネス関係、若者支援を行う個人な
どが多数参加した。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
数ある好事例の中から全国のベストプラクティスを選
択するために、インナーでの発表会と相互投票を行っ
た。それにより各地における優れた事例の言語化と全
国的な共有化が促進された。
パネルディスカッション
イベントは初年度には各地の発表主体の「ベストプラ
クティス発表祭」であったが、2年目は「ホット!ミー
ティング」としてゲストによるパネルディスカッショ
ンなど趣向を凝らした。発表内容はパンフレットとし
て配布して、参加できない人に対しての情報共有も行
っている。
|効|果|
モデル事業の1つのミッションである、日本における若
者支援のノウハウ高度化については、ベストプラクテ
ィスを広く社会的に共有することで促進される。この
イベントを通じてジョブカフェの活動やその背景にあ
る若者のニーズを、関係者に限らず広く社会に認知し
てもらうことが課題。
176
ジョブカフェホット!ミーティング
「ベストプラクティス集」
⑥ジョブカフェの運営
事 例 編
利用者満足度調査(CS調査)
全体
利用者の評価を把握することによるサービスのレベルアップ
|趣|旨|・|目|的|
ジョブカフェモデル事業推進にあたっては、若年者就
業支援の政策評価、効果的な施策実施を図る必要があ
る。そのため効果・成果等について、顧客満足度指標
を用いた客観的な利用者満足度調査を実施し、定性的
な評価を行うとともにサービスの向上につなげる。
|実|施|内|容|
①現在のジョブカフェのサービスを利用している者、
②ジョブカフェを利用して就職した者(フォローアッ
若者が気軽に立ち寄れる雰囲気づくり
プを兼ねて)
、③ジョブカフェの卒業者を雇用した企業
――の各調査対象者に対して第3者機関によるアンケ
ートを実施。結果を全体で共有した。
|工|夫|し|た|ポ|イ|ン|ト|・|反|響|
ジョブカフェにおいて定量的評価は利用者数、就職者
数などで毎月行っているが、定性的評価も必要である。
客観的・厳正な評価を行うために第3者機関に依頼し
て、各地の協力を得ながら2度にわたる調査を実施し
た。期間をあけて複数回実施することにより、時系列
でのチェックも可能となる。公共事業としての評価判
ボードいっぱいに貼られた就職内定者からのメッセージ
断にもなり、かつ各地においては結果数値から、ジョ
ブカフェ運営のレベルアップにつながる参考データと
して活用している。
|効|果|
やりっぱなしの公共事業に対する批判が多い中で、定
性的・定量的の両面から評価を行うことは意義があ
る。しかし企業向けのサービスはまだ浸透度が低く、
充分なサンプル数を確保できていない。企業への認知
度向上と調査データを今後の活動レベルアップにつな
げることが課題。
カウンセラーに親しみを感じてもら
みんなでつくる多様なツール
えるように工夫
177
成功事例総括
まとめ
成功事例総括
モデル地域として若者支援を成功させるために
●ジョブカフェ大賞
営に反映したり、他地域の優れた事例などを企画
2006年3月に開催された「ジョブカフェホット!ミ
にとり入れるといった、対応のスピードがとても
ーティング」において、経済産業省は優れた業績を残
速い。
したジョブカフェのモデル地域を表彰した。表彰地域
・就職という目標の達成に向けてのサービスの連携
は評価委員会での評価、CS調査の結果、各地域を集
同一フロアに位置するハローワークヤングプラザ
めた発表会での相互投票の結果の総合的な検討から導
との密な連携がとれている。独自に作成して利用
き出されたものである。
者に交付しているキャリアノート(就職活動のた
大賞に輝いたジョブカフェあおもりにおいては、C
めに必要なこと、やらなければならないこと、活
S調査における高い利用者の満足度と、就職率の高
動の進捗状況などをまとめるためのノート)を相
さ、日々の積極的な改善活動が決め手になっている。
互利用して、一体的な質の高いサービスを提供し
優れた運営のポイントとしては以下のようなことがあ
ている。
げられる。
・県内全域での学校との効果的な連携
・自律的でスピーディな管理運営体制
早くから県・労働局・教育庁との連携会議を設置
青森県は全国でも最も雇用情勢が厳しいので、若
し、県内全域の高校・大学への出張講座や、ジョ
年者支援を最重要課題と位置づけて、センター長
ブカフェへの見学会の受け入れを実施してきた。
のリーダーシップの下、民間のノウハウを導入し
その努力の結果としてジョブカフェの利用促進、
ながら自律的でスピーディな管理運営体制を確立
学卒未就職者の低減、若者の意欲喚起などの効果
している。アンケートなどによる利用者の声を運
に結びついている。
●優れた地域の特徴―2つのジョブカフェ―
ジョブカフェモデル地域の中で、優れた運営をして
いると思われる地域については、2つのタイプに分ける
ことができる。ひとつは新たな企画に積極的にチャレ
ンジし続ける「革新的タイプ」
、もうひとつは既存のノ
ウハウや他の地域の優れた事例をすばやくとり入れて、
バランスよく全体のパフォーマンスを上げていく「調
和的タイプ」である。もちろん完全に2つに分かれるわ
けではなく、どちらの要素も有していることが多いが、
傾向としてはこのどちらかに比重を置いた運営がなさ
ジョブカフェ大賞の表彰式
賞
178
内 容
地 域
ジョブカフェ大賞
若者に支持される高い満足度と就職につながる効果
ジョブカフェあおもり
企業接点・人材育成部門
地域の機関との協力による効果的なサービス提供
ジョブカフェ石川
企業接点・人材育成部門
地域企業の採用力向上と出会いの機会の提供
JOBカフェOSAKA
広報部門
若者の視点に立った広報活動で認知の向上
みやぎジョブカフェ
成功事例総括
まとめ
ても重要になる。
●成功事例が成功事例を呼ぶ
モデル地域のジョブカフェにおいて行われた多くの
成功事例を紹介してきた。それぞれが各地の英知を活
かしたもので、改めてそのボリューム感に圧倒される。
それぞれの事例は、各地でオリジナルに生み出したも
のや、民間にあるノウハウを転用したもの、さらに他
の地域で行われたものを参考にアレンジしたものなど、
さまざまである。
経済産業省守本参事官より表彰
れている。
全国のジョブカフェのモデル地域では、定期的にミ
ーティングを行ってきた。その主な狙いは「情報の共
革新的タイプの特徴としては、民間のノウハウを積
有と交換」
「活動による相互刺激」である。アイデアは
極的に活用するために、民間出身者やNPOの若者な
お互いにブラッシュアップすることで、さらに質が高
どを中心とするスタッフが企画を立案し、センターの
いものへと生まれ変わっていく。ジョブカフェ全体の
運営チームや自治体の担当部署は、内容については現
レベルを向上させるために、このような“知”の交流
場の判断に任せている。企画をつくって終わりではな
は必要不可欠なものである。ジョブカフェだけでなく
く、実行した上でさらによい方法はないかを検討し、
地域における若者支援の質を高めるためには、さらに
改善の努力を重ねて、若者に支持される効果の高い企
各地域の中でも関係各所と同様な交流は必要だろう。
画に昇華させている。新たな企画が最初からうまく行
今後もジョブカフェが続く限りは、そのような全国
くとは限らない。改善により優れた企画へと育ってい
的・地域的な交流を図るべきである。
くのである。
調和型タイプの特徴は、新たな企画を立案するより
もカウンセリング、セミナー、研修などのベーシック
なサービスを確実に実行することを重視している。セ
ンター長を中心に組織として一体的に、関係各所との
連携を図りながら一歩ずつ前進していく。全体の方針
の下に各個人は、任されたミッションを着実に実行し
ながら、利用者のアンケートなどをもとにした改善や、
各地の優れた事例を参考に新たな企画をすばやく立
案・実行する。常に細かな改善を重ねていく。
モデル地域としての役割は、自地域における若者支援
の体制を確立して、高い効果を上げることが第一であ
る。しかしそこにとどまらずに、新しい企画に挑戦し
て、その成果を世の中にフィードバックすることも求
められる。したがって新しい企画に挑戦する面と、既
存のリソースを活用して、バランスよく高い効果を上
げることの双方が求められるのである。その意味では
ジョブカフェ大賞の表彰状
2つのタイプのジョブカフェがそれぞれの強みを発揮
しながら完成度を高めていくことと、それを連結して
全体のレベルアップにつなげるような情報の流通がと
179
成
功
へ現
の場
鍵か
をら
学
ぶ
ジョブカフェホット!ミーティング
−ジョブカフェベストプラクティス祭−
2006年3月22日、東京商工会議所国際会議場にて「ジョブカフェホット!ミーティング」が
開催された。最前線で活躍するカウンセラーや県庁の担当者などが一堂に会し、現場での課
題や工夫などが熱く議論され、貴重な情報交換が行われた。
基調
講演
ジョブカフェ事業の成果と今後の展開
経済産業省 経済産業政策局
産業人材政策担当参事官 守本 憲弘 氏
利用者を伸ばす
ジョブカフェ事業
ことが、自立化の大きな要素だと思
思を持つに至り、就職するつもりがな
います。
かった人でも6割近くが就職に前向き
今後に向けての3つの視点を提示し
ジョブカフェ事業は、若者の就職
になっています。特に、就職すること
ます。1つ目は、若者サービス。カウ
支援のシステム構築を目指して2年前
に迷っていた人からは、カウンセリン
ンセラーが、カウンセリングの質を向
にスタートしました。現在、46都道府
グが役立ったという回答が多数あり
上させ、地域の産業・企業情報につ
県で事業を展開し、うち経済産業省
ました。
いて的確に把握することです。また、
のモデル事業が20地域あります。利
用者数を着実に増やし、モデル事業
で148万人、就職決定数も8万人と非
常に高くなっています。また、就職決
180
人の半分近くが就職したいという意
ジョブカフェ事業の自立に向
けて−3つの視点−
拠点配置や広報戦略も重要になりま
す。2つ目は、産業界との連携強化。
企業とネットワークを構築し、その中
2006年度は、若者就職支援モデル
で若者と企業に出会いの場を提供し
定率(就職決定者数/新規登録数)
形成の総仕上げの年です。期間限定
て企業の魅力を伝える工夫が必要で
は約5割弱です(2005年度)
。決定率
のモデル事業であるジョブカフェの自
す。そのため企業向けの採用支援や
第1位は青森県で、この背景には、カ
立化への移行の年です。ここで強調
若者定着支援などのサービスが重要
ウンセラーが実際に企業を訪問し、企
したいのは、地域のメリット、地域か
になるでしょう。3つ目は、関係機関
業ニーズを把握することで具体的な
らのサポートの重要性です。単なる就
との連携。大学など教育機関との連
カウンセリングを行っていることがあ
職支援機関にとどまらず、地域の人
携を深めること、ハローワークと連携
ると考えられます。
材育成、企業支援の中核となり、若
して相乗効果をあげることです。県域
また、ジョブカフェのサービスを通
者・企業・学校向けのサービスを一
を超えたジョブカフェ同士の連携も重
じて、若者の就職意志の改善も顕著
体化し、県・国レベルにおいて、雇
要です。
です。就職するかどうかで迷っていた
用・産業・教育行政を一体化させる
パネルディスカッション
第1部
若者のベストチョイスになるために
パネリスト:やの ひろみ(南海放送 パーソナリティ。ジョブカフェ愛
workのラジオ番組を担当)
波田野 匡章(ジョブカフェちば プロジェクト統括)
重松 政A(ジョブカフェ山口 チーフカウンセラー)
松山 泰浩(経済産業省 産業人材政策担当参事官補佐)
コーディネーター:原 正紀(ジョブカフェ・サポートセンター代表)
若者に支持される満足と効果の高いジョブカフェを実現するためには何が必要か。カウン
セラーや現場のリーダーたちが事例や体験談を語り、現場感覚の議論が行われました。
キーワードは
「チームマネジメント」
う意味では、大きなことだと思いま
時の言葉を見つけられたらすごく強い
す。キャリアカウンセラーが、若者と
と思います。ちなみに私の言葉は、
「動
ジョブカフェだけではなく、企業との
けば変わる」です。
原 1日に数人という利用者数からス
コンタクトや学校教育とのコンビネー
タートしたジョブカフェ事業が、多い
ションなどの面で潤滑油的なものにな
地域で日に300人が利用するまでにな
ればと期待しています。
りました。成功のポイントは、若者の
視点に立った戦略的な広報活動、細
取り組みを広げるために
松山
ジョブカフェ自身も変わるた
めに動かないといけない。
「なぜやる
かな対応を重視したカウンセリング、
原
セミナーなどサービスの改善、そして
重要なことは何でしょうか?
にすることがセンターマネジメントに
組織運営です。まず、山口の事例をお
重松
多少の摩擦を覚悟で、上に立
つながり、取り組みの拡大になると思
話いただきます。
つ人が何回も繰り返し趣旨を話して
います。地域に根ざした仕組みになる
重松 ポイントは、徹底したカウンセ
いかないと難しいと思います。そし
ために、目標設定をして動く。これ
ラー教育、チェーニング(鎖)を意識
て、その都度修正を加えながら、自分
が、キーワードです。
したチームマネジメント、そして目標
たちの形を作っていくことです。
やの 全国組織ならではのことができ
管理の3つです。今後の課題は、カウ
波田野
ていったら面白いと思います。また、
ンセラーが企業の現状を学ぶことと、
事だと思います。そして、やってみて
若年者就職支援センターでありなが
チーム運営の中心となるリーダー育成
修正していく。時間、手間、お金など
らも、企業や若者たちをつなぐ中で、
です。キャリアカウンセラーへの最大
がかかりますが、この繰り返しが必要
地域づくりの中心となりうるのではと
の影響者はクライアントなので、クラ
だと感じます。
いう期待もあります。
イアントを理解し、謙虚に接しながら
育てていくことが大切だと思います。
取り組みを横に伝えていく時に
ジョブカフェも変わる
∼より大きな活動にするために
実際に見て感じることが大
動けば変わる!
のか」
、
「何を実現したいのか」を明確
松山
動けば変わる。動いて変わり
ましょう。
千葉でもチームマネジメン
波田野 千葉の「必勝倶楽部」は、欧
波田野 ジョブカフェは「共育」
、と
トに注力しています。カウンセラーは
米のジョブクラブをアレンジしたもの
もに育つ場です。そういう場にしてい
役割の担当性(個別相談担当、履歴
で、2週間での内定獲得を目標として
きたいと考えています。
書チェック担当など)で、サービス自
行います。基本は、毎日9時に集合し
重松
体を1つのチェーンのようにしていま
て面接練習などをグループワークで行
ーも方法論も変わっていく。トライ&
す。依存したいクライアントにとって
い、午後は応募活動をする。1月末現
エラーでいいと思います。
はつらい面もありますが、自立のため
在で参加総人数221名、内定決定率
原
にも行っています。
86%となっています。
な活動にするか、そのためにどれだけ
やの
やの 愛媛では「ぽじかんセミナー」
動くかということですね。
波田野
チームで特定の利用者の悩み
を共有するのはすごいと思いますが、
を行っています。これは、
「ポジティ
毎回違う人がカウンセリングを行うこ
ブに視点転換」の略で、最後は「自分
とは、利用者にとってやや不安かもし
の座右の銘まで作ってしまおう」とい
れません。ただ、依存からの脱却とい
うセミナーです。くじけそうになった
時代が変われば、カウンセラ
いかに輪を広げ、社会的に大き
181
パネルディスカッション
企業を変える・地域を変えるジョブカフェ
第2部
パネリスト:小野村 勉(ジョブカフェあおもり 所長)
植村 まゆみ(ジョブカフェ石川 センター長)
岩崎 隆(城東紙器(株)代表取締役)
守本 憲弘(経済産業省 産業人材政策担当参事官)
コーディネーター:原 正紀(ジョブカフェ・サポートセンター代表)
ジョブカフェが地域において支持される存在となるために必要なことは何か。地域企業や
関連団体との関係構築などの議論が、事例発表を交えて展開されました。
ができるのではと思います。
がりました。
岩崎 ジョブカフェが、なぜ求められ
原
ることになったのかを考える必要があ
価値あるものにしなければいけないと
原 コーディネーターとしてのジョブ
ると思います。中小企業は、採用の方
いうことですね。
カフェの機能について、石川の取り組
法や人材の育て方などが苦手なので、
岩崎
みからお話しいただきます。
これらをサポートすることに注力して
方向に向かってジョブカフェは活動し
植村
もいいのかなと思います。
てほしいと思います。
企業との連携を考える
−ジョブカフェの役割−
石川の基幹産業はものづくり
です。企業活動は好調で人材を求め
原
ているにもかかわらず、若者には縁の
人材確保ですね。ジョブカフェの役割
ない中小企業が多いため、ミスマッチ
が少し見えた気がします。
若者が元気な国にするという
連携を進めていくために
植村
現場で感じるのは、ジョブカ
が起きています。そこで、
「ガチンコ
来年度の大きなテーマである「企
フェの抱える問題は、大人にも共通
☆トークバトル」を始めとする出会う
業との連携」についてポイントを一言
した問題であるということ。大人にコ
場をつくる取り組みを行うなどした結
ずつお願いします。
ミュニケーション能力がないのかもし
果、ジョブカフェ石川では製造業へ
植村
れないと思っています。相手に向き合
の就職率が22.9%と高くなっています
をする「通訳」です。
えば絶対伝わるはずだと思います。ひ
岩崎 ジョブカフェの存在を広くPR
とりでも多くの若者を自立させるため
者の橋渡しをしていきたいと思ってい
することだと思います。
に、大人同士が向き合っていくこと
ます。
守本 現場の感覚を取り込むのと、フ
が必要です。
ットワークの軽さが決め手かと思いま
小野村
す。
一番難しいですが、いいものはとり入
(県全体では20.5%)
。今後も企業と若
岩崎
石川県七尾市に工場がありま
すが、ジョブカフェの存在を知りませ
んでした。どれだけの企業が知ってい
るのかが疑問です。
小野村
182
中小企業振興策という意味での
地域支援を若者や企業から見て
認知度向上の必要性を認識
少し遠い企業と若者の橋渡し
地域で連携していくために
小野村
関係機関との連携、マネジ
当たり前のことをやるのが
れ、実績を残し、誰が来てもやらざる
をえないようにしておくことが大事だ
と思います。
し、活動しています。県内中小企業か
メントが重要です。直接出向いてPR
岩崎
らは、情報発信も、面接や募集の仕
や協力をお願いし、責任者同士の信
支援の場所として頑張ってください。
方もわからないという声が聞こえま
頼感を構築することです。ノウハウや
守本
す。そこにジョブカフェをPRしてい
資産を残して引き継ぐこと、人財を
で、知ってほしいものを広げていきた
く。今後、中小企業のネットワーク、
育てるための調査、研修などを念頭
いと思います。
企業と若者の連携など様々なことを
にモデル事業を進めてきました。
原 中小企業の方に知ってもらい、そ
計画しています。
植村
ハローワークと一緒に毎月ミ
の上で、コミュニケーションの橋渡し
守本
子どもたちの目が地元の産業
ニ企業説明会を行っています。連携
をどうやっていくのか。そして、行動
に向いていないことが大きな問題で
までには心の壁や難点もありました
することで心の壁を打ち破らないとい
す。ジョブカフェが、就職段階での問
が、地道に対話を続けました。
「若者
題点を学校や地元工業界に伝えてい
を一人でも多く就職させたい」という
くことで、もっと地に足の着いた教育
目的共有と、役割分担が成功につな
引き続き、日本の若者の就職
ジョブカフェの取り組みの中
けないとも思います。
(※文中の実績数値は2006年2月末現在のもの)
「若者自立・挑戦プラン」
(2003年6月)
高い失業率、増加する無業者、フリーターなど、深
要があるとして、政府は教育・雇用・産業政策の連携
刻な状況にあり、中長期的な競争力・生産性の低下
を強化するとともに、政策資源の重点投入や官民一体
といった社会問題を惹起しかねない。わが国にとって
となって総合的な人材対策を強化する新たな枠組みと
人材こそ国家の基礎であり、若年者を中心とする「人
して「若者自立・挑戦プラン」を策定した。
材」に焦点を当てた根本的対策を早急に講じていく必
プランを効果的に推進するための取り組み
①産業界・教育界などとの連携の充実
②広く国民の理解と協力を求める広報の実施
③プラン全体及び各施策の的確な評価と必要に応じた見直し
Ⅰ.教育・人材育成・雇用・創業施策の充実・強化
1.教育段階から職場定着に至るキャリア形成及び就職支援
●職場体験、インターンシップなどを活用した児童生徒の勤労観、職業観を育てるためのキャリア教育を推進
する
●企業人を学校に派遣し、職業や産業の実態等に関して生徒に理解させ、自ら考えさせるキャリア探索プログ
ラムを高校のほか小中学校においても実施する
●日本版デュアルシステム(例えば、週3日は企業実習、週2日は教育訓練といった新たな仕組み)を導入する
●全国の公共職業安定所に、若年者に対してきめ細かな就職支援を実施する専門員(ジョブサポーター)を配
置する
●若年者向けの専門的なキャリア・コンサルタントの養成、若年者対策での活用
2.若年労働市場の整備
●若年者の常用雇用への移行を促進するため、短期間の試行雇用を実施する
●ニーズの高い職種における詳細な人材ニーズ調査を行うとともに、企業が若年者に求める能力・技術を集
約し、情報提供する
●若年者の実践的能力を評価する仕組みを整備する
●IT、技術経営等の専門分野の人材について、能力・技術の体系化と評価基準を策定するとともに、カリ
キュラムや教材を開発する
3.若年者の能力の向上
●専門学校等において社会人や企業のニーズを踏まえた実用的な職業能力を身に付けさせるため、短期教育
プログラムを開発する
●法科大学院、ビジネススクール等の専門職大学院の設置を促進する
●優れた大学教育改革への取組の支援を実施する
4.創業・起業による若年者の就業機会の創出
●創業塾における新たなコースの創設
●ベンチャー企業におけるインターンシップ制度の導入
●情報提供や専門家による相談等を行う「起ちあがれニッポン DREAMGATE」事業の充実
184
Ⅱ.地域における新たな枠組み:若年者のためのワンストップセンター(通称:Job Cafe)の整備
[各都道府県との連携による事業]
●以下の事業をワンストップサービスセンターに委託
・若年者への企業説明会の実施
・高校生の保護者の就職に関する意識の啓発
・進路指導担当者の産業・雇用にかかる知識等の向上等
●創業意欲の高い人向けの研修参加窓口等
[地域産業の活性化・高度化を担う若年人材の育成] <モデル地域(10ヵ所程度)>
●求人ニーズの掘り起こし
●カウンセリングからインターンシップ、研修等まで一貫したサービスの提供
[ハローワークの併設・若年者のキャリア形成の支援の重点的実施]
●都道府県の要請に応じ、ワンストップサービスセンターにハローワークを併設
●ワンストップサービスセンターとの連携・協力による若年者のキャリア形成支援
・日本版デュアルシステムの重点的な実施
・キャリア・コンサルティング(専門的な就職相談)の重点的な実施
「若者の自立・挑戦のための
(2004年12月)
アクションプラン」
政府では、依然として高い若年失業率、増加するフ
「若者自立・挑戦プラン」の強化の具体化のため、必
リーターや無業者といった問題の重要性に鑑み、2003
要な概算要求等を取りまとめている。さらに、同年12
年にとりまとめられた「若者自立・挑戦プラン」を強
月24日には、同プランの実効性・効率性を高めるた
化するため、04年6月に、内閣官房長官を新たに加え
め、
「若者の自立・挑戦のためのアクションプラン」を
た関係5閣僚が、
「若者自立・挑戦プランの強化の基本
策定、随時具体施策が実行に移されている。
的方向」をとりまとめた。そして、同年9月10日には、
1.学校段階からのキャリア教育を推進し、その効果的な実施のため地域レベルにおける連携を強化する
●小中高校において、以下のような事業を通じて学校段階からのキャリア教育を推進する
○中学校を中心に、5日間以上の職場体験等の実施などを通じ、キャリア教育の更なる強化を図る
○ハローワーク、産業界等が連携し、企業人等の学校への派遣、企業での就業体験等により職業意識の形成
を支援する
○ NPO、企業等の民間の経験やアイデアを活用し、ものづくり等の働くことの面白さを伝える教育をモ
デル地域(10カ所程度)において実施する
●これらの効果的な実施のため、学校、PTA、教育委員会、労働局、経済産業局、地域の経営者協会や商工
会議所等、地域レベルにおける関係者による協議の場を設置する。また、各省庁から関係機関に対し、具体
的な指示・協力依頼を行う
●専門高校等の生徒が、地域の伝統産業などの技術・技能を習得できるよう、各地域の産業界等と地域レベ
ルで連携を図る
185
2.働く意欲が不十分な若年者やニートと呼ばれる無業者などに対して、働く意欲や能力を高める総合的な対策を推進する
●働く自信を高め、意欲を喚起・向上するため、合宿形式による「若者自立塾(仮称)
」を創設する
●ボランティア活動など無償の労働体験等を通じて就職力を強化する事業(ジョブパスポート事業)を創設す
る
●工場、訓練施設の親子への開放、ものづくり技能競技大会の実施などにより、子どもから大人までものづく
りに親しむ社会を形成する(ものづくり立国の推進)
3.企業内人材育成の活性化を促進し、産業競争力の基盤である産業人材の育成・強化を図る
●人材投資の減少傾向を拡大に転じさせるとともに、企業における戦略的な人材育成への取組を強力に後押
しするため、人材投資促進税制を創設する
●製造現場の中核人材の育成を促進するため、ものづくりのベテランの有する技術やノウハウを若手人材に継
承するための拠点づくりを推進する
●コンテンツ・ヘルスケア・集客交流等の戦略サービス分野を支える人材や、IT人材、MOT(技術経営)
人材等を育成するため、教育プログラムの開発等を行う
4.ジョブカフェ、日本版デュアルシステム等を推進し、的確な評価にもとづき事業成果の向上を図る
●「若年者のためのワンストップサービスセンター(ジョブカフェ)
」のサービスを充実するとともに、第三者
による評価結果を踏まえ、事業成果の向上、成功事例の普及・拡大を図る
【実績】就職者数約1万人(15のモデル地域の就職者数:約5,600人)(2004年9月末現在)
●企業実習と教育・職業訓練を組み合わせて実施する「日本版デュアルシステム」を引き続き推進し、社会的
定着を図る
●若者が就職・仕事に役立つ知識・ビジネススキルを手軽に学べる機会を提供するため、
「草の根eラーニン
グ・システム」を整備する
5.若者問題について国民的な関心を喚起するとともに、国民各層が一体となった取組を推進するため、広報・啓発活動を積極的に実施する
●国民会議等若者の人間力を高めるための国民運動を推進するとともに、
「若者チャレンジキャラバン(仮称)
」
などのシンポジウムを開催する
●女性若年層のキャリア形成のためのキャンペーン等を実施する
「若者の自立・挑戦のための
アクションプラン」の改訂(2006年1月)
2004年度より実施に移された「若者の自立・挑戦
における関係機関の連携」
「施策の着実な情報提供・
のためのアクションプラン」は、05年8月、有識者会
普及」が挙げられた。これを受けて、政府は、同年10
合において、04年度実施状況の評価をとりまとめた。
月、06年度概算要求等を「アクションプランの強化」
同評価では、課題として「関係府省間の連携」
「地域
としてとりまとめた。
改訂のポイント
①フリーターの常用雇用化、ニートの自立化支援など、若者一人ひとりの状況に応じたきめ細かな対策の実施
②小学校から大学・大学院まで、地域や産業界との密接な連携による、体系的な人材育成の推進
③地域産業と若者、学校等のつながりの強化を通じた若者と仕事との橋渡しの推進
186
1.フリーター25万人常用雇用化プラン等の推進
25万人の常用雇用化を目標に、フリーターの増加傾向の転換を確かなものとする。
●ジョブカフェ等、働く自信と意欲の向上のための専門サービス窓口の充実
●トライアル雇用、日本版デュアルシステム等、実践的な能力開発の実施
●ハローワークにフリーター向けの窓口を設け、常用雇用化のための一貫した支援の実施
●農業への就業意識の明確化、農業就業体験等による農業就業の支援
2.地域の相談体制充実等によるニート対策の強化
市町村、保健・福祉機関、教育機関等の密接な連携により、地域一体となってニート等の若者の職業的自立
を支援する。
●「地域若者サポートステーション(仮称)
」を設置し、専門的な相談を行うとともに、地域の若者支援機関
のネットワークを活用した支援の実施
●合宿形式による集団生活の中で、働く自信と意欲を付与する「若者自立塾」事業の推進
●ハローワーク等に専門的人材によるカウンセリング体制を整備
●専修学校等において、ニート等に対する「学び直し」の機会を提供
3.体系的なキャリア教育・職業教育等の一層の推進
各学校段階を通じ、関係府省が密接に連携して、キャリア教育等を強力に推進する。
●中学校を中心に、5日間以上の職場体験(
「キャリア・スタート・ウィーク」
)の推進
●民間の経験・アイデアを活用したものづくり体験等の小中高校段階からの職業教育
●ハローワークによる職業意識形成支援事業の充実
●大学における実践的かつ体系的なキャリア教育のための取組を支援
●就労、就学に次ぐ「第三の選択肢」としての「実践型人材養成システム」の普及・定着
4.産学連携を通じた高度・専門的な人材の育成
産学の密接な連携により、産業のニーズに応じた若手人材を育成する。
●専門職大学院における高度専門職業人養成の推進
●モノづくり分野等における地域産業と一体となった専門職大学院の設置促進等
●地域産業と高専等との連携により、中小企業の若手技術者を育成
●サービス、IT、MOT等の成長分野を支える専門人材について、産業界と大学院等との連携により、教育
プログラムの開発、人材育成拠点形成を推進
5.若者と地域産業とのネットワークの強化
若者の地域産業での活躍に向けて、地域一体となって、若者と中小企業や林業・漁業との橋渡しを強化する。
●中小企業の魅力発信や、インターンシップ等を通じた中小企業を体験する機会の拡大
●ドリームゲート事業を通じた起業意識の喚起などにより「チャレンジのすそ野」の拡大を図り、新事業を創
出・育成
●「緑の雇用」や漁業現場での長期研修により、林業・漁業の新規就業を促進
6.若者問題に対する国民意識の向上
国民各層の関心を喚起するため、関係者が一体となり取り組む国民会議の開催等
●国民運動の充実
●若者向けシンポジウム等による若年者問題に関する広報・意識啓発の実施
●女性若年層の就業促進のため、キャンペーンやセミナーの開催等による情報提供・普及啓発活動の実施
187
ジョブカフェモデル地域 実績データ
<ジョブカフェの運営成果を把握できる主要な実績データ>
利用者数
2004年度からのモデル地域の「累
計利用者数」は06年5月までで174万
人を超え、ほぼ一定の割合で増加し
続けてきた。各モデル地域とも、交通
の便のよいところに立地し、ファシリ
ティを若者向けに充実させ、若者の
[万人]
利用者数(2004年度からの累計)
200
180
160
140
120
100
来所促進のための広報活動に力を入
80
れた。その結果利用者が伸び、若者同
60
士のクチコミ効果も手伝って安定し
40
た集客が図れるようになっている。
20
0
2004年度
05年度
06年度
新規登録者数
[万人]
モデル地域のジョブカフェに来訪
新規登録者数(2004年度からの累計)
し、登録手続きを行った若者の「新規
30
登録者数」は、06年度5月時点で累計
27万人を突破。05年度は、04年度よ
25
り若干伸び率が低下しているが、お
20
おむね順調に推移してきていることが
わかる。
15
新規登録者数の伸びは、その母数
10
となる利用者数によるところが大きい
が、カウンセリングサービスを中心
5
に、若者視点で魅力を感じさせる充
0
2004年度
05年度
06年度
実したサービスを開発・提供してき
たことが、若者の登録意欲を喚起す
ることにつながった結果でもある。
188
ジョブカフェをきっかけに就職に成
就職決定者数
功した「就職決定者数」は、06年5月
までで累計約10万人である。各モデ
[万人]
ル地域では、カウンセリングから始ま
就職決定者数(2004年度からの累計)
12
って、履歴書の書き方、面接の仕方、
企業との出会いの場の提供、インタ
ーンシップなど、若者の就職を成功
10
8
に導く一連のサービスを精力的に展
開する一方、企業側の潜在求人ニー
ズの掘り起こしにも努めた。この成果
6
4
が、安定した就職決定者数の伸びに
表れている。
2
0
2004年度
05年度
新規登録者のうち就職決定者の割
就職決定率
合を示す「就職決定率」の推移をみ
ると、月毎の多少の変動を経験しな
就職決定率(=就職決定者数/新規登録者数)
[%]
100
06年度
がらも、04年度当初の約10%ライン
90
から、05年度後半は50%ラインまで
80
上昇している。各地域における成功
70
要因の抽出やその共有などを通じて、
60
継続的にサービスの質が向上してお
50
り、加えて効果の高い支援施策の開
40
発によって、若者一人ひとりの潜在
30
能力を引き出している。その上で彼
20
らの特性に合わせた、的確なカウンセ
10
リングができることが就職効果に結び
0
2004年度
05年度
06年度
ついた。
※出典:ジョブカフェ・サポートセンターにて集計
就職決定者率上位地域とその成功要因
成功要因についてみると、次の点があげられる。
・青森県:企業と若者を結びつけるカウンセリング機能の抜本的強化
(例)カウンセラーに対し、地元企業を訪問させる等により、業種別の企業情報や業界知識の習得のための人材育
成を重点的に実施。
・沖縄県:若者と地域企業の出会いの場の創造
(例)企業の若手社員と若者が気軽に意見交換することで、互いを知り合う出会いの場を設定。
・京都府:徹底的な求人開拓と無料職業紹介
(例)経営者協会の企業ネットワークを活用し、徹底的な求人開拓を行うとともに、無料職業紹介により、若者と
企業のニーズを直接マッチング。
・山口県:組織的なカウンセリングのレベルアップに向けた取り組み
(例)目標管理シートによるカウンセラーのモチベーションアップや、先輩カウンセラーによる指導など、組織的
なレベルアップの仕組みを構築。
・千葉県:能率的に就職に結びつけるサービス提供
(例)利用者の就職意欲を最初に見極め、サービスメニューの最適な組み合わせを選択し、提供するインテーク面
談の導入。
189
就職意欲の向上効果
ジョブカフェのサービスの利用を通じ
就職意欲の向上効果
4.2%
て、就職するかどうかに迷っていた人
就職(転職)
するつもり
の約5割が就職したいという意志を持
つに至っている。また、就職するつも
当
初
の
就
職
意
欲
りがなかった人の約6割近くが就職意
欲に関して前向きに改善している。
47.5%
迷っていた
就職するつもり
はなかった
0.5%
95.3%
50.3%
31.0%
25.9%
2.2%
43.1%
■就職(転職)
したい ■迷っている ■就職(転職)
するつもりはない
現在の就職意欲
就職後の定着性
ジョブカフェの紹介により就職した人
[%]
の74%が現職を続けたいとの意志を
80
持っており、ジョブカフェ以外からの
70
紹介により就職した場合よりも高く
60
就職後の定着性
74.0
■ジョブカフェ ■ジョブカフェ以外
62.0
なっている。
50
40
30
20
13.0
7.5
10
0
16.1
14.3
3.9
現職を続けたい
迷っている
転・退職したい
利用者満足度
ジョブカフェのサービスの提供方法等
利用者満足度
に関する満足度についてみると、メイ
立地・施設
80
職業紹介
74.0%
73.9%
職場体験
70
ンサービスであるカウンセリングは
的に満足度が高いとされる美容院78
75.1%
点、和菓子店77点、婦人服店、シテ
ィホテル76点等と肩を並べる満足度
60
68.1%
71.5%
72.6%
職業訓練
100点満点中80点となっており、一般
運営
74.8%
情報提供
が得られている。
79.9%
カウンセリング
セミナー
※出典:経済産業省「2005年度ジョブカフェ事業の効果検証に関する調査」より
190
9.1
既に転・退職した
若者の就職活動に関する調査
若者の就職活動支援に関する基礎情報とするために実施した、
「若者の就職活動に対する意識と現状」についての調査結果より
<調査概要>
調査時期:2006年2月
調査対象者:過去2年以内に就職活動を行った全国の18∼35歳の男女
調査件数:学生400名、学生以外400名
調査方法:インターネットの調査システムを利用したアンケート
調査主体:ジョブカフェ・サポートセンター
●「社会人基礎力」を非常に重要視しているのは、学生、次いで正規就業者
「社会人基礎力」の重要性につい
学生
て聞いた回答結果を見ると、
「非常に
アルバイト・パート就業者
重要である」と感じている者は、
「学
47.3
35.3
正規就業者
生」が最も多く(47.3%)
、就業者全
10
20
5.9
1.2
7.0
0.0
53.7
36.6
0
3.3 1.0
57.6
39.3
その他
般と比較して「社会人基礎力」に対
48.5
59.4
30
40
50
60
する学生の意識が高いことがうかがえ
4.0 0.0
70
80
90
100
(%)
非常に重要である
ある程度重要である
あまり重要であるとは思わない
全く重要であると思わない
る。
就業者では、正規就業者の方が、ア
ルバイト・パート就業者よりも「社会
人基礎力」に対する重要性を強く認
識している。
(正規就業者:39.3%
アルバイト・パート就業者:35.3%)
「社会人基礎力」とは、経済産業省が定義した、
“職場や地域社会の中で多様
な人々とともに仕事を行っていく上で必要な基礎的能力”のこと。
「前に踏み出
す力」
「考え抜く力」
「チームで働く力」の3つに大別される。
前に踏み出す力(アクション)
考え抜く力(シンキング)
∼一歩前に踏み出し、失敗しても粘り強く取り組む力∼
∼疑問を持ち、考え抜く力∼
チームで働く力(チームワーク)
∼多様な人とともに、目標に向けて協力する力∼
●職場で活躍していく上で、
「考え抜く力」が自分の「強み」と認識
全体的に「社会人基礎力」のうち、
(%)
100
学生
社会で活躍していく上で自信がある
80
もの(強み)としては、
「考え抜く力」
60
→「チームで働く力」→「前に踏み出
す力」の順番で高い。学生、正規就業
者、アルバイト・パート就業者のそれ
ぞれの回答においても、この傾向は同
アルバイト・パート就業者
63.0
63.5
57.5
46.3
40
37.3
30.6
56.4
正規就業者
59.8
その他
61.4
52.9
51.4
31.0
20
0
前に踏み出す力
考え抜く力
チームで働く力
じである。
191
●逆に、
「前に踏み出す力」が自分の最大の「弱み」と認識
一方、社会で活躍していく上で自
(%)
100
学生
分の「弱み」とする回答が最も多かっ
アルバイト・パート就業者
正規就業者
その他
80
65.3
63.5
たのは、学生、正規就業者、アルバイ
60
ト・パート就業者とも、
「前に踏み出
55.3
48.6
40
す力」である。特に、アルバイト・パ
27.3
28.2
32.2
33.7
36.5
39.3
29.5
25.7
20
ート就業者、およびその他の回答者
0
は、6割を越えており、行動力の弱さ
前に踏み出す力
考え抜く力
チームで働く力
がうかがえる。
●具体的な能力での強み・弱み
職場で活躍していく上で自分の強 「主体性」「働きかけ力」「発信力」と
全般において、
「ストレスコントロー
み・弱みとなる具体的な能力につい
いうプロアクティブ(能動的)な能力に
ての回答をみると、正規就業者はア
より自信を持っていることがわかる。 高く、
「打たれ弱い」若者の現状が示
ルバイト・パート就業者と比較して、
一方、
「弱み」については、就業者
強み
ル力」に自信がない者の割合が最も
されている。
主体性
35.3%
働きかけ力
37.0%
実行力
45.3%
課題発見力
56.0%
計画力
57.0%
創造力
44.3%
アルバイト・パート就業者
34.1%
24.7%
49.4%
51.8%
55.3%
56.5%
正規就業者
41.1%
30.8%
50.0%
52.3%
48.6%
42.5%
その他
35.6%
32.7%
35.6%
44.6%
56.4%
45.5%
発信力
35.8%
傾聴力
60.3%
柔軟性
57.8%
状況把握力
62.5%
規律性
56.3%
ストレスコントロール力
37.8%
アルバイト・パート就業者
29.4%
56.5%
63.5%
62.4%
62.4%
24.7%
正規就業者
33.2%
51.4%
51.4%
53.3%
54.7%
27.1%
その他
32.7%
64.4%
57.4%
62.4%
56.4%
24.8%
主体性
37.3%
働きかけ力
40.3%
実行力
31.8%
課題発見力
22.0%
計画力
20.8%
創造力
30.3%
アルバイト・パート就業者
44.7%
49.4%
32.9%
28.2%
16.5%
22.4%
正規就業者
35.0%
41.1%
25.7%
22.0%
26.6%
32.2%
学生
学生
弱み
学生
45.5%
39.6%
44.6%
23.8%
21.8%
31.7%
発信力
35.8%
傾聴力
13.3%
柔軟性
18.0%
状況把握力
11.8%
規律性
15.3%
ストレスコントロール力
36.5%
アルバイト・パート就業者
41.2%
16.5%
15.3%
12.9%
10.6%
54.1%
正規就業者
33.2%
20.6%
24.3%
21.0%
18.7%
49.1%
その他
33.7%
10.9%
17.8%
11.9%
18.8%
51.5%
その他
学生
●就職活動で回る会社数が多いほど、自信が増す!?
就職活動で回る訪問会社数が多く
なるほど、前向きになる人が増加して
いる。行動し、場数を踏むことで自己
分析が深まり、自分のやりたいことが
明確になり、自信もつくと考えられ
る。
192
自分を見直 発信力に自 強みを仕事 やりたい仕 よい人と知
に十分活か 事に就けた り合えた
訪問会社数 すことがで 信がある
きた
せる
1∼2社
47.6%
32.6%
9.7%
16.6%
10.7%
3∼5社
61.0%
32.3%
9.0%
11.7%
12.1%
6∼15社
69.2%
32.7%
12.6%
12.6%
14.5%
16社以上
65.7%
44.4%
19.2%
24.2%
19.2%
●学生は自分の能力に自信を持つ
ストレスコントロール力に不安
仕事に強みを活かせる
35.5
「仕事で自分の強みを活かせる
58.8%と減少。現実の厳しさが表れ
か?」との問いに対し、
「活かせる」と
ている。
「ストレスコントロール力」に
答えた学生は85.5%にも及ぶが、この
対する不安が高いほど、仕事に対し
数値は就業者では73.9%、無職では
悲観的である傾向が見られる。
学生
85.5
50.5
就業者
73.9
61.8
無職
58.8
0
20
40
60
80
100
(%)
●一旦就職した人は、仕事に夢を失いがち
まだ社会に出ていない学生と、社
つ」
「地位とお金を得る」
「生き
会に出て、実際に仕事を経験した就
がい」が仕事によって達成で
業者の間で明確な差が出たのは、い
きると考える割合が、現実を
ずれも仕事に対する「夢」に直結する
知る就業者よりも10ポイント
ような項目だ。学生は「人の役に立
以上高い。
仕事に対するイメージ
学生
就業者
「人の役に立つ」
50.5% 39.5%
「地位とお金を得る」
47.3% 34.8%
「生きがい」
46.3% 31.8%
●学生の仕事観に上昇志向が見られる
仕事に対するイメージとして「地位
52.9%の人が「生活するために仕方
多くの人が「地位とお金を得る」と回
とお金を得る」と回答した学生は、約
なく」と答える一方、41.2%と比較的
答している。
半数の47.3%にも及ぶ。就業者では
仕事に対するイメージ
学生
就業者
無職
34.8%にとどまっており、学生の間に
「地位とお金を得る」
47.3%
34.8%
41.2%
は強い上昇志向が存在しているよう
「生きがい」
46.3%
31.8%
32.4%
「生活するために仕方なく」
22.3%
37.5%
52.9%
だ。これは無職においても同様で、
●8割近くの学生が「苦労した」と回答。
76.3%の学生が就職活動で苦労し
(33.1%)であり、就職に関するアド
一番多い。
就業者との間に大きな開きが見ら
たと回答している。学生全体の29.8%
「自分のやりたいことがわ
は「非常に苦労した」と答えており、 れたのは、
バイスが行き届いていない現状が表れ
ている。
現実の厳しさを感じている学生は少
からない」
(48.5%)
、
「就職活動の方法
一方、無職では実に82.4%の人たち
なくない。苦労した内容としては、
「面
がわからない」
(37.0%)
、
「履歴書や職
が苦労したと答えており、
「非常に苦労
接の受け答えに困った」
(57.4%)が
務 経 歴 書 の書 き方 がわからない」 した」と答える人は35.3%にも及ぶ。
就職活動に苦労したか
非常に苦労した
苦労した
苦労しなかった
全く苦労しなかった
学生
29.8%
46.5%
17.3%
6.5%
就職者
22.7%
42.1%
26.1%
9.0%
無職
35.3%
47.1%
5.9%
11.8%
就職活動で苦 面接で受 将来に対 自分をア 自分のや
け答えに する不安 ピールで りたいこ
労したこと
に苦しん きる要素 とがわか
( 回 答 上 位 8 困った
がなかっ らなかっ
だ
項目まで)
た
た
入社した
い会社が
なかなか
見つから
なかった
入社した
い会社の
実情がわ
からなか
った
就職活動
の方法が
わからな
い
履歴書や
職務経歴
書の書き
方がわか
らなかっ
た
学生
57.4%
55.1%
49.8%
48.5%
43.9%
38.7%
37.0%
33.1%
就業者
51.0%
50.5%
42.8%
34.5%
60.3%
38.7%
14.4%
18.0%
193
●就職活動をして「よかったことがあった」人は92.4%。無職は就職活動に否定的
ほとんどの人が何らかの「よかった
と考える人は低率だった。無職の人
と考えているようだ。
一方、
「就職先の会社でよい人間に
で「よかったと思うことはない」と回
「同
「自分を見直すことができた」で57.9%、 知り合うことができた」は12.9%、
答した人は23.5%に上り、学生の
「いろいろな勉強ができて社会勉強に
じ就職活動中の仲間に知り合うこと
6.5%、就業者の6.7%と比較し、否定
なった」が54.8%。自分の成長と直結
ができた」は11.5%で、
「仲間」
「人間
的に捉える率が著しく高くなってい
することで、就職活動をしてよかった
関係」の醸成という面で「よかった」 る。
ことはあった」と回答。その内容は、
就職活動にお 自分を見 いろいろ 情報収集
いてよかった 直すこと な経験が した結果、
ができた できて社 いろいろ
と思う点
会勉強に な会社の
ことが わ
なった
かった
自分のキ
ャリアを
考える機
会になっ
た
やりたい
仕事に就
くことが
できた
就職先の
会社でよ
い人間に
知り合う
ことがで
きた
同じ就職 よかった
活動中の ことはな
仲間に知 い
り合うこ
とができ
た
全体
57.9%
54.8%
39.1%
35.1%
15.4%
12.9%
11.5%
7.6%
学生
66.8%
61.0%
48.5%
34.0%
14.5%
13.0%
16.0%
6.5%
40.5%
17.7%
13.4%
6.7%
6.7%
23.5%
2.9%
8.8%
5.8%
23.5%
就業者
48.8%
48.8%
29.8%
無職
47.1%
32.4%
35.3%
●学生の7割以上が友人に相談、6割以上が親に相談
「相談したことがある相手は」とい
人にしたと答えた学生は72.5%で一
う質問に対し、就職活動の相談を友
番多く、親と答えたのは60.8%でそれ
に続く。
一方で先生は36.3%、先輩は28.0%
と意外に低く、部活やサークル離れ
友人
親
先生
恋人
先輩
兄弟
相談しない
72.5%
60.8%
36.3%
28.5%
28.0%
11.5%
9.0%
等に見られる“縦社会の欠如”の一端
を垣間見ることができる。
●身の回り以外の相談相手が欲しいものの、なかなか行動に移せない
ぜひ必要だと思う
身の回り以外で就職活動の相談が
できる相手の必要性を聞いたところ、
0
10
20
30
必要だと思う
40
36.0
学生
50
あまり必要だと思わない
60
70
23.3
必要だと思わない
80
90
100(%)
33.8
7.0
35.1
6.4
36.0%の学生が「ぜひ必要だと思う」
と答えているのに対し、就業者は同
27.1%、無職は同11.8%であった。
27.1
就業者
無職
11.8
31.4
20.6
64.7
2.9
友人や親だけでは相談相手として
十分ではないという認識をはっきり持
っているようだ。
その一方で、
「就職支援機関を利用
したことがある」と答えた学生は
就職支援機関利用者
0
学生
就業者
10
20
30
40
55.8
就職支援機関非利用者
50
60
70
80
90
100
(%)
44.3
76.6
23.4
55.8%で他と比較しても群を抜いて
低い(就業者76.6%・無職82.4%)
。
無職
82.4
17.6
人生経験を差し引いたとしても、今
の学生が抱える“行動力の弱さ”が足
かせとなっているようである。
194
*就職支援機関:「ジョブカフェ」
「ハローワーク」
「ヤングジョブスポット」
「学生職業センター」
「学校の就職センター」
「民間の就職支援会社」
「その他」
センター長アンケート
ジョブカフェ事業のこれまでの成果と、各種サービスの重要度やセンター運営
状況などを把握するために実施したセンター長対象のアンケート調査結果より
<調査概要>
調査時期:2006年2月
調査対象:ジョブカフェを設置している46都道府県のジョブカフェのセンター長
調査件数:42名(回収率:91.3%)
調査方法:郵送、および電子メールによるアンケート票の配布・回収
調査主体:ジョブカフェ・サポートセンター
●効果的な就職支援サービスの開発、若年者支援人材の育成等で確実な事業成果
アンケートに回答した全てのジョブ
ても、約9割のジョブカフェが成果と
域の若年者支援人材が育ちつつある
カフェで、若者と企業担当者とのコ
ノウハウの蓄積があったと回答し、地
状況がみられる。
ミュニケーションの場を提供するマッ
チング機会の提供や進路選択を支援
成果があった
するキャリアカウンセリングなど、就
業に効果的な支援サービスの開発に
成果がみられ、支援サービスの開発
に関するノウハウの蓄積も進んでいる
ことが明らかになった。
「就業支援を
行うための専門人材の育成」につい
ノウハウが
蓄積された
若者の就業支援に効果的な支援サービスの開発 42件(100.0%) 42件(100.0%)
若者の就業のミスマッチの原因の解明
36件( 85.7%) 35件( 83.3%)
若者の早期離職を防ぐための必要な方策
33件( 78.6%) 29件( 69.0%)
若者の就業支援の専門人材の育成
38件( 90.5%) 38件( 90.5%)
●各地域において産学官連携による若年者就業支援が進展
ジョブカフェ事業を通じて、ジョブ
地域の産業界との連携も進んでい
ェも8割を越えている。ハローワーク
カフェと市町村、教育界、産業界、地
る。商工会議所や経営者協会など企
や(独)雇用・能力開発機構との連
域の関連機関との連携も進んでいる。
業団体と連携しながら、地域の中堅
携による就業支援や、地域の若年者
市町村との連携が進んだと回答し
中小企業と若者のコミュニケーショ
の自立を支援するNPO団体との連
た都道府県は28件(66.7%)に上っ
ンの場を創出する相互のミスマッチ解
携など、ジョブカフェ事業を通じた支
た。具体的には、市町村の委託を受
消の取り組みを始め、合同説明会開
援機関の連携が顕著になってきてい
けたサテライト施設の運営や、市町
催などの採用活動支援、インターン
る。複数機関が同一のフロアでサー
村の実施する就業支援事業にカウン
シップの推進など、若者、企業双方の
ビスを提供し、若者の就業支援に応
セラーを派遣するなどの連携があげら
ニーズを汲み取った取り組みが進めら
えていくワンストップサービスの提供
れた。
れている。
も、ジョブカフェ事業の有効な成果
教育界との連携では、地域の大学
事業成果に地域の他機関や地域雇
や高校、専門学校などの教育機関と
用施策との連携を挙げたジョブカフ
としてあげられる。
の連携に成果が見られた都道府県は
37件(88.1%)に上った。教育機関へ
成果があった
の出張セミナーやカウンセリングの実
施、教職員・保護者向けセミナーの
開催など、多岐にわたる。ジョブカフ
ェの専門人材が講師となって教育機
関の単位認定科目を担うなど、若者
就業支援の土壌が整いつつある。
ノウハウが
蓄積された
市町村との連携
28件(66.7%)
26件(61.9%)
教育界との連携
37件(88.1%)
38件(90.5%)
産業界との連携
34件(81.0%)
32件(76.2%)
他機関や地域雇用施策との連携
36件(85.7%)
36件(85.7%)
195
●カウンセリングサービスの提供が若者の就業支援の最重要サービス
ジョブカフェの提供する就業支援
サービスについては、カウンセリング
サービスの提供が最重要と回答した
ジョブカフェが85.7%(36都道府県)
にのぼり、若者の就業支援に果たす
最重要
重 要
若者への就職情報提供
1件( 2.4%)
15件(35.7%)
適性診断や適職診断サービスの提供
1件( 2.4%)
6件(14.3%)
36件(85.7%)
4件( 9.5%)
カウンセリングサービスの提供
カウンリングの役割の大きさが明らか
若年支援に必要なイベントやセミナーの実施
0件( 0.0%)
20件(47.6%)
になった。
スキルトレーニングや研修トレーニングの実施
1件( 2.4%)
14件(33.3%)
インターンシップなどの職場体験機会の提供
1件( 2.4%)
11件(26.2%)
職業紹介サービスの提供
1件( 2.4%)
10件(23.8%)
入社後のフォロー
0件( 0.0%)
2件( 4.8%)
その他
0件( 0.0%)
2件( 4.8%)
ひとりひとりの若者を対面支援す
るカウンセリングサービスがジョブカ
フェの特徴的かつ中心的なサービス
コンテンツとなっていることがうかが
える。
●ジョブカフェ運営の重要課題は、産業界との連携
ジョブカフェ運営における重要事
項として、教育界との連携(45.2%)
、
産業界との連携(47.6%)
、ハローワ
ークとの連携(42.9%)が上位に位置
している。その中でも、今後の推進課
重要事項
運営主体者のリーダーシップ
12件(28.6%)
6件(14.3%)
民間企業の活用
7件(16.7%)
9件(21.4%)
市町村との連携
5件(11.9%)
11件(26.2%)
題として半数のジョブカフェが「産業
ハローワークとの連携
18件(42.9%)
7件(16.7%)
界との連携」
(50.0%)と回答し、今
教育界との連携
19件(45.2%)
11件(26.2%)
後特に力を入れたい施策として、具
産業界との連携
20件(47.6%)
21件(50.0%)
体的には「企業向けセミナー開催」や
他機関や地域雇用政策との連携
4件( 9.5%)
7件(16.7%)
15件(35.7%)
14件(33.3%)
1件( 2.4%)
4件( 9.5%)
集客・広報活動
10件(23.8%)
14件(33.3%)
サービスレベルの充実
13件(31.0%)
6件(14.3%)
1件( 2.4%)
2件( 4.8%)
「地元企業と若者のマッチング支援の
強化」などがあげられている。
支援する人材の育成確保
施設の立地、設計
その他
回答都道府県名(42都道府県)
北海道 青森県 秋田県 岩手県 宮城県 福島県 群馬県 栃木県 千葉県 埼玉県 東京都 神奈川県 長野県 山梨県 新潟県 石川県 富山県 福井県 愛知県 三重県 岐阜県
京都府 奈良県 和歌山県 大阪府 兵庫県
岡山県 広島県 山口県 鳥取県 島根県 愛媛県 徳島県 高知県
福岡県 佐賀県 長崎県 大分県 熊本県 宮崎県 鹿児島県 沖縄県
196
今後の推進課題
キャリアカウンセラー アンケート調査
ジョブカフェにおいて若者の就職支援に従事するキャリアカウンセラーが感じている、若者
たち、および若者を取り巻く環境の問題点を把握するために実施した調査結果より
<調査概要>
調査時期:2005年9月
調査対象:全国20ヵ所のジョブカフェモデル地域のジョブカフェに勤務するキャリアカウンセラー
調査件数:224名
調査方法:対象地域ジョブカフェを通じたアンケート票の配布・回収
調査主体:ジョブカフェ・サポートセンター
●キャリアカウンセラーが把握した、若者が働いていない最大の理由
キャリアカウンセラーが若者と日々
接する中で把握した、若者が働いて
自信がない
いない、働けない理由としては、
「自
行動力不足
信がない15.9%」
「行動力不足15.9%」
「コミュニケーション力不足10.5%」
「自己分析不足9.6%」などが上位にあ
がってきた。
実際、求人票をみても「この仕事は
自分にできるかどうかわからない」と、
10.5
自己分析不足
9.6
依頼心が強い(自立心不足)
8.2
志望求人が少ない
7.9
意欲が低い
7.0
決断力に欠ける
5.8
不安(トラウマ)
4.2
社会人基本スキル不足
職歴がネック
ャリアカウンセラーが「やってみない
アサーション(自己主張)力不足
れば動かないケースが非常に多い。
15.9
コミュニケーション力不足
最初から尻込みする若者が多く、キ
とわからないよ」と、背中を押さなけ
15.9
4.0
2.3
2.3
志望条件が高い
魅力的な企業が少ない
2.1
1.2
その他
(%)0.0
3.0
2.0
4.0
6.0
8.0
10.0
12.0
14.0
16.0
●キャリアカウンセラーが考える、就職するために最も大事な支援は?
若者が就職するために最も大事な
支援は何かについてキャリアカウンセ
ラ ー に 聞 い た 結 果 は 、「行 動 促 進
行動促進
不安の払拭
15.8%」
「不安払拭14.7%」などが上
マッチング
位にある。
決断の促進
7.0
5.8
はげまし
企業(業界)研究
アカウンセラーたちはしっかり話を聞
社会人基本スキル
いた上で「とにかく動いてみようよ」
面接トレーニング
てみよう」
「一緒に頑張ってみよう」
15.8
14.9
5.6
自己PR(アサーション研修)
不安を抱えている若者たちに、キャリ
「どうして就職したいのかをよく考え
16.7
自己分析
17.7%」
「動機づけ16.7%」
「自己分析
行動力、動機、自己分析が不足し、
17.7
動機づけ
志望先選定
その他
(%)0.0
5.1
3.0
3.0
1.9
1.6
1.9
2.0
4.0
6.0
8.0
10.0
12.0
14.0
16.0
18.0
などと、少しでも前向きになれ、行動
に移れるような言葉を投げかける。何
よりも、若者たちの背中を押してあげ
ることが一番効くようだ。
197
●キャリアカウンセラーが感じる、若者がジョブカフェに求めるもの
キャリアカウンセラーが感じる、若
者がジョブカフェに求めるものとして
カウンセリング
は、
「カウンセリング19.3%」
「アドバ
アドバイス
19.3
19.3
情報収集
イス19.3%」
「情報収集15.9%」と上
15.9
とにかくきっかけづくり
位に人的なサービスがきている。
9.4
意思決定促進
若者たちが“どうしたらいいのかわ
職業紹介(企業との出会い)
からない”自分に対する「アドバイ
自己理解
8.9
8.0
6.5
適性検査(適職発見)
ス」や「カウンセリング」などを求め
5.8
3.1
行き場所(場の提供)
ているようすがうかがえる。直接的な
仲間作り(コミュニティ)
職業紹介や情報の提供より、まずは
“
相手をしてくれること”を期待して
各種研修
その他
(%)0.0
1.9
1.4
0.5
2.0
4.0
6.0
8.0
10.0
12.0
14.0
16.0
18.0
20.0
いるといえるだろう。普段から、仕事
探しや自分の生き方などの『重い』テ
ーマでは、たとえ親しい友だちや家族
とであっても話さない、若者たちの希
薄なコミュニケーションの一端が浮か
び上がってくる。
●キャリアカウンセラーから学校への要望
キャリアカウンセラーが学校に求め
ることとしては、
「キャリア教育の導
入20.8%」
「先生の理解促進14.0%」
「キャリアガイダンスの導入9.4%」が
上位にきている。
キャリア教育の導入
8.7
生徒の自覚向上
始めたキャリア教育だが、学校による
保護者の理解促進
8.2
8.2
6.5
企業との連携
4.3
自己分析
4.1
己理解と、勤労観などの基礎だけで
民間活力導入
も学校でできることを望みたい。特に
キャリアセンターの設置
先生たちにはそのような現状への理解
就業マッチング向上
4.1
3.6
3.1
3.1
就職活動スキル向上
その他
(%)0.0
198
9.4
インターンシップの制度化
ようやく学校現場でも取り組まれ
を促したいと考えているようだ。
14.0
キャリアカウンセリング導入
進路指導見直し
差が激しいのも事実である。せめて自
20.8
先生の理解促進
1.7
5.0
10.0
15.0
20.0
25.0
●キャリアカウンセラーから家庭への要望
キャリアカウンセラーが家庭に求め
子どもとの会話
ることは、
「子どもとの会話16.4%」
16.4
子どもの理解
「子どもの理解15.6%」
「経済援助しす
15.6
経済援助しすぎない
ぎない1 3 . 8 % 」「干 渉 しすぎない
13.8
干渉しすぎない
10.4%」といった項目の回答が多く
10.4
就職活動を知る
9.1
マナーなどの教育
なっている。
7.6
自分の考えを語る
「家庭で親子の会話がほとんどさ
6.8
放任しすぎない
れていないこと」
「家庭で子どもが理
5.7
背中を押す
解されていないこと」をキャリアカウ
甘やかさない
ンセラーは感じている。もっと働くこ
企業を知る
とや生き方について家族で話す機会
はげまし
4.2
3.9
2.6
0.3
その他
を持つことが、自然に仕事観を形成
(%)0.0
3.6
2.0
4.0
6.0
8.0
10.0
12.0
14.0
16.0
18.0
し自立への意欲を高めることにつなが
る。親の経済援助や、よかれと思って
の干渉も、やりすぎると子どもの自立
心の消失、過度の依頼心を呼び起こ
すことになりかねない。
●キャリアカウンセラーから企業への要望
キャリアカウンセラーが企業に求め
ることとしては、
「未経験者の積極採
用20.7%」
「正社員雇用の増加17.3%」
「人材育成13.8%」が上位にきた。
未経験者の積極採用
人材育成
定着促進の取り組み
調整の結果、若者たちにしわよせが
若者の採用増加
いった面も大きいが、今後は雇用に
インターンシップ受け入れ
13.8
9.0
8.8
8.1
6.9
待遇改善
5.0
キャリアカウンセリング
長期的な視点で、若者たち、特に未
キャリアデザイン支援
経験者の積極的な採用と育成を望ん
動機づけの強化
でいる。
17.3
採用時の正確な情報提供
不況の影響によるギリギリの雇用
も光が差してくることを期待しつつ、
20.7
正社員雇用の増加
その他
(%)0.0
3.1
2.6
1.9
2.9
5.0
10.0
15.0
20.0
25.0
199
CS(顧客満足度)調査
ジョブカフェセンターに来場した若者を対象としたジョブカフェの立地・
施設、各種サービスについてのCS(顧客満足度)調査結果より
<調査概要>
調査時期:2005年下期
調査対象:全国20ヵ所のジョブカフェモデル地域のジョブカフェへの来場者
調査件数:5,171件
調査方法:対象地域ジョブカフェセンターにおけるアンケート票の配布・回収
調査主体:対象地域のジョブカフェ
●役に立ったサービス、満足度の高いサービス、効果を感じたサービス
センターで提供しているサービスの
験、職業紹介、セミナーと続く。実際
果をより強く感じる傾向がみてとれ
中で特に役に立ったサービスは、1
の就職により近いサービスに対して効
る。
位:カウンセリング、2位:職業訓
練、3位:情報提供と続く。一方、満
特に役立ったサービス
CS平均点数
効果平均点
足度(CS平均点)の高いサービス
は、やはりカウンセリングが1位、続
A カウンセリング (72.6%)
カウンセリング(79.9点)
職業体験
(74.0点)
いてセミナー、職業紹介である。役に
B 職業訓練
(44.5%)
セミナー
(74.8点)
職業紹介
(73.8点)
立ったサービスで3位につけていた
C 情報提供
(35.6%)
職業紹介
(73.9点)
セミナー
(71.4点)
「情報提供」だが、満足度では、やや
D セミナー
(35.3%)
職業訓練
(72.6点)
職業訓練
(71.3点)
低い順位となる。また、効果があった
E 職業体験
(22.6%)
情報提供
(71.5点)
カウンセリング(70.0点)
と感じたサービスは、上位から職場体
F 職業紹介
(21.7%)
職業体験
(68.1点)
情報提供
(68.6点)
※「特に役立ったサービス」……そのサービスを利用した人の中でそのサービスが他に比べて特に役立つと回答した割合
●主なサービス別満足度のトップ5
カウンセリング、セミナー、情報提
供の3つのサービスについての満足度
上位5位までのモデル地域を示した。
カウンセリング、セミナーの1位は、
ともに青森県である。情報提供では、
北海道が1位。北海道はセミナーの満
足度でも2位につけている。
カウンセリング
セミナー
情報提供
1位:青森県 75.9点
2位:山口県 75.2点
3位:茨城県 74.7点
4位:群馬県 73.5点
5位:石川県 73.5点
1位:青森県 79.0点
2位:北海道 76.5点
3位:福岡県 76.1点
4位:長崎県 75.7点
5位:大分県 75.5点
1位:北海道 71.8点
2位:大分県 71.7点
3位:群馬県 71.7点
4位:石川県 71.6点
5位:茨城県 71.5点
「カウンセリング」で上位に位置し
た地域の取り組みをみると、具体的
には次のような点が指摘できる。
・企業訪問等により、地域の産業や企業について精通し、実際のカウンセリング
で、就職に結びつく情報を提供
・若者のニーズや特性に応じて、就職を常に意識させるサービスメニューを効果
的に提供
・民間企業によるスーパーバイジングや地域の指導的カウンセラーによる教育な
ど、レベルアップするシステムを組織的に構築
200
●就職意思の改善
ジョブカフェのサービスを通じて、
「就職するかどうか迷っていた人」の
約半数が就職したいという意思を持
つに至っている。
また、
「就職するつもりはなかった
①利用開始時の
就職意思
「就職するつ
もりがあった」
人
現在の就職意思
「 就 職し た
い」
48%
②利用開始時の
就職意思
「就職するつ
もりがあった」
人
現在の就職意思
「 就 職し た
い」
31%
人」については、約6割が就職意思に
関して前向きな方向へと改善してい
る。特に就職することに迷っていた人
「就職するか
どうかに迷っ
ていた」人
へは、カウンセリングが役立っている
ことがわかっている。
「就職するつ
もりはなかっ
た」人
「就職するか
どうかに迷っ
ている」
50%
「就職するつ
もりはない」
2%
「就職するか
どうかに迷っ
ていた」人
「就職するつ
もりはなかっ
た」人
「就職するか
どうかに迷っ
ている」
26%
「就職するつ
もりはない」
43%
●就職意思の改善上位地域
就職意思が前向きに改善した上位5
改善度合いは、
「千葉県」が唯一
位までのモデル地域は下記の通りで
60%を超えている。次いで、北海道、
ある。
福岡県と続く。
就職意志の改善上位地域
1位:千葉県 61.4%
2位:北海道 59.7%
3位:福岡県 55.4%
4位:京都府 53.8%
5位:宮城県 53.7%
する関心を高め、就労意欲を喚起す
ることに寄与したのであろう。
福岡では、地元自動車業界とのタ
1位の千葉県の場合、グループで参
イアップによる工場などでの実践的研
加する「必勝倶楽部」を通じて、お互
修が、京都では、ハローワークとの一
いに励ましあいながら2週間集中的に
体となった一貫的支援が、また宮城
就職活動を行う取り組みなどが、功
では、実践的研修と合同説明会を組
を奏したのではないかと考えられる。
み合わせた「トライアウト」のような
北海道では、
「ジョブルートマップ」
現場を体.験させる施策の効果が高か
によって、各産業界の詳細な情報提
ったと考えられる。
供を行ったことが、若者の仕事に対
201
全国のジョブカフェ(所在地・連絡先)
★モデル地域(20地域)
都道府県
202
ジョブカフェ・地方拠点 名称
〒
住 所
TEL
北海道
ジョブカフェ北海道(北海道若年者就職支援センター)
060-0004
札幌市中央区北4条西5 三井生命札幌共同ビル7階
011-209-4510
青森県
ジョブカフェあおもり
(青森県若年者就職支援センター)
030-0803
青森市安方1-1-40 青森県観光物産館アスパム3階
017-731-1311
岩手県
ジョブカフェいわて
020-0024
盛岡市菜園1-12-18 盛岡菜園センタービル1階・5階
019-621-1171
宮城県
みやぎジョブカフェ
(みやぎ若年者就職支援センター)
980-6123
仙台市青葉区中央1-3-1 アエル23階
022-264-4510
茨城県
ジョブカフェいばらき
(いばらき就職支援センター)
310-0011
水戸市三の丸1-7-41 いばらき就職支援センター1階
029-300-1715
群馬県
ジョブカフェぐんま
(群馬県若者就職支援センター)
370-0052
高崎市旭町34-5 高崎市駅西口旭町ビル3階
027-330-4510
千葉県
ジョブカフェちば(ちば若者キャリアセンター)
273-0005
船橋市本町1-3-1 フェイスビル9階
047-426-8471
新潟県
ジョブカフェ キャリア応援プラザ館
940-0062
長岡市大手通1-4-11 水野ビル1階
0258-38-6181
石川県
ジョブカフェ石川(石川県若者しごと情報館)
920-0962
金沢市広坂2-1-1 石川県広坂庁舎1号館1階
若者しごと情報館内
076-235-4513
岐阜県
ジンチャレ!岐阜(岐阜県人材チャレンジセンター)
500-8384
岐阜市薮田南5-14-12 岐阜県シンクタンク庁舎2階
0120-89-1149
福井県
ふくい Job Cafe
918-8580
福井市西木田2-8-1 福井商工会議所ビル1階
0776-32-4510
京都府
ジョブカフェ京都(京都府若年者就業支援センター)
601-8047
京都市南区東九条下殿田町70 京都テルサ西館3階
075-662-7686
大阪府
JOBカフェOSAKA
540-0031
大阪市中央区北浜東3-14 エル・おおさか2階
06-4794-9198
島根県
ジョブカフェしまね松江センター
690-0003
松江市朝日町498-6 松江駅前第一生命ビル3階
0852-28-0691
山口県
ジョブカフェ山口(山口県若者就職支援センター)
754-0014
山口市小郡高砂町1-20
083-976-1145
愛媛県
ジョブカフェ愛wo
r
k
(愛媛県若年者就職支援センター)
790-0012
松山市湊町3-4-6 松山銀天街GET! 4階
089-913-8686
福岡県
福岡県若年者しごとサポートセンター
810-0001
福岡市中央区天神1-4-2 エルガーラオフィス12階
092-720-8830
長崎県
フレッシュワーク長崎(長崎県若年就業支援センター)
850-0841
長崎市銅座町4-1 りそな長崎ビル4階
095-829-0491
大分県
ジョブカフェおおいた
870-0029
大分市高砂町2-50 OASISひろば21
097-533-8878
沖縄県
沖縄県キャリアセンター
900-0006
那覇市おもろまち1-3-25 沖縄職業総合庁舎3階
098-866-5465
★モデル地域以外のジョブカフェ(26地域)
都道府県
ジョブカフェ・地方拠点 名称
〒
住 所
TEL
秋田県
フレッシュワークAKITA
010-1413
秋田市御所野地蔵田3-1-1 秋田テルサ3階
018-826-1735
山形県
山形県若者就職支援センター
990-8580
山形市城南町1-16-1 霞城セントラル14階
県中小企業団体中央会内
023-647-0363
福島県
福島県就職サポートセンター
963-8002
郡山市駅前2-11-1 ビッグアイWEST1階
うつくしまジョブパーク内
024-927-4772
栃木県
ジョブカフェとちぎ
(とちぎ就職支援センター)
320-8501
宇都宮市塙田1-1-20 県庁南庁舎2号館1階
028-623-3226
埼玉県
ヤングキャリアセンター埼玉
330-0854
さいたま市大宮区桜木町1-9-4 エクセレント大宮ビル6階
048-650-0000
東京都
東京しごとセンター
102-0072
千代田区飯田橋3-10-3
03-5211-2851
かながわ若者就職支援センター
220-0004
横浜市西区北幸1-11-15 横浜STビル5階
045-410-3357
長野県
ジョブカフェ信州
390-0815
松本市深志1-4-25 松本フコク生命駅前ビル1・2階
0263-39-2250
山梨県
ジョブカフェやまなし
400-8501
甲府市丸の内8-5-1 県民情報プラザ
055-233-4510
静岡県
静岡ヤングジョブステーション
422-8067
静岡市駿河区南町14-1 水の森ビル3階
中部県民生活センター内
054-284-0027
愛知県
ヤング・ジョブ・あいち
460-0008
名古屋市中区栄4-1-1 中日ビル12階
052-264-0665
富山県
ヤングジョブとやま
(富山県若者就業支援センター)
930-0805
富山市湊入船町9-1 とやま自遊館2階
076-445-1996
三重県
おしごと広場みえ
514-0009
津市羽所町700 アスト津3階
059-222-3300
滋賀県
ヤングジョブセンター滋賀
520-0051
大津市梅林1-3-10 滋賀ビル5階
077-521-0600
兵庫県
若者しごと倶楽部(ジョブカフェひょうご)
650-0044
神戸市中央区東川崎町1-1-3 神戸クリスタルタワー12階
078-351-3371
奈良県
ならジョブカフェ
630-8325
奈良市西木辻町93-6 奈良しごとiセンター2階
0742-23-5730
ジョブカフェわかやま
(和歌山県若年者就職支援センター) 640-8331
和歌山市本町2-45
073-402-5757
岡山県
おかやま若者就職支援センター
700-0901
岡山市本町6-36 第一セントラルビル 7階
086-236-1515
広島県
ひろしま若者しごと館
730-0013
広島市中区八丁堀16-14 第二広電ビル5階および3階
082-224-1032
鳥取県
とっとり若者仕事ぷらざ
680-0846
鳥取市扇町7 鳥取フコク生命駅前ビル1階
0857-36-4510
徳島県
徳島県若年者就職サポートセンター
(ジョブカフェとくしま)
770-0831
徳島市寺島本町西1-7-1 日通朝日徳島ビル1階
088-602-1188
高知県
ジョブカフェこうち
(高知県就職支援相談センター)
780-0841
高知市帯屋町2-1-35 片岡ビル
088-802-2025
佐賀県
ジョブカフェSAGA
840-0826
佐賀市白山2-2-7 KITAJIMAビル2階
0952-27-1870
熊本県
ジョブカフェくまもと
862-0950
熊本市水前寺1-4-1 水前寺駅ビル2階
096-382-5451
宮崎県
ヤングJOBサポートみやざき
880-0805
宮崎市橘通東4-8-1 カリーノ宮崎8階 ガガエイト内
0985-23-7260
892-0842
鹿児島市東千石町1-38
鹿児島商工会議所(アイム)ビル3階
099-216-9001
神奈川県
和歌山県
鹿児島県
キャッチワークかごしま
(鹿児島県若者就職サポートセンター)
203
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