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2005 年 8 月 2 日採択の改正中小企業振興法> <改正中小企業振興
平成 18 年 8 月 10 日 パリ産業情報センター 駐在員 社本 朗 一般調査報告書 フランス中小企業施策の最近の動向 フランスの中小企業大臣ルノー・デュトルイユは、昨年 8 月 2 日に採択された改正中 小企業振興法成立 1 周年を記念して、このほど(8 月 1 日)中小企業を支援し、商業関 係を一新するためにここ 1 年で行なった成果をまとめて、発表した。 <2005 年 8 月 2 日採択の改正中小企業振興法> 昨年 8 月 2 日に採択されたフランスの改正中小企業振興法は、数年前から政府が 行なってきた中小企業向け政策をさらに強化したものである。 法律の主な柱は、雇用の維持・強化、中小企業の発展、企業の譲渡の促進、1996 年にできたガラン法(商業関係の公正さとバランスに関する法律)の改正である。 ガラン法の改正は、近年フランスで問題となっている物価の上昇を抑えて、購買力 の増強を図ることが大きな目的の一つである。 <改正中小企業振興法の主な成果> ルノー・デュトルイユ大臣によると、改正中小企業振興法は 2 つの点で成功をおさめ ている。 一つめの点は、ガラン法の改正によって大手製造業者の販売価格がおさえられた ことで、24 億ユーロの購買力が 2006 年に消費者に還元されたということである。 ガラン法は、もともと 1996 年アラン・ジュペ内閣のもとで、フランス特有の慣習でもあ る製造業者に対する大手流通業者による値下げ圧力から、中小製造業者を保護し、 流通業者と製造者の関係を改善する目的で採択された法律である。 この措置以後、原価割れ販売となるような値下げによるしわ寄せが製造業者に及 ぶということはなくなったが、大手流通業者が「販売協力」として目立つ場所で販売をし たときなどに製造業者から多額のバックマージンを受け取り、製造業者はバックマージ ン分を卸売り価格に上乗せするという現象がみられた。 このことが小売価格の高止まり、上昇を招いているとの批判があった。 昨年 8 月 2 日の改正中小企業振興法は、製造業者が流通業者に支払うバックマー ジンを仕入れ原価の 20%に制限して卸売価格を抑えることで、全体として小売価格の 上昇を抑え、購買力の増強を図ることを目的としたものであった。 その結果、2003 年には大手製造業者の製品の販売価格は、毎年 4%値上がりして いたのが、2006 年 5 月には 0.2%に抑えられた。 この数値の差が、2006 年以降消費者の購買力にして 24 億ユーロに相当するとのこ とである。 二つめの点は、企業の設立に拍車がかかったこと、企業の合併・買収がやりやすく なったこと、その結果中小企業の雇用維持・強化に果たす役割が大きくなったことであ る。 2005 年の世界銀行の報告では、フランスは企業設立を促進している国として多くの 点で上位にランクされるようになった。 実際、企業の設立件数は、1990 年から 2002 年の間、毎年の企業の設立件数が 175,000 件であったのに対して、2005 年に新たに設立された企業数は 225,000 件以上 にのぼった。 この傾向は改正中小企業振興法が施行されてさらに進んで、2006 年の半ばには新 企業登録数が約 23 万件になった。 2005 年に設立された企業のなかでは、71%が新規創業で、13%は買収、16%が業 態などを改編する、という割合になっている。産業分野別では、不動産、建設業、企業 へのサービス業が顕著である。 地方別にみると、フランスの北の地方が南よりも結果が良く、2003 年以降、フランス の北と東の地域では国の平均をうわまわる伸びを見せている。例えばピカルディー地 方は 3.1%増、ノール・パ・ド・カレ地方は 2.9%増という数値を出している。 ピカルディー地方 ノール・パ・ド・カレ地方 雇用の面からは、2005 年に設立された企業 225,000 件のうち、35%は失業者によっ て設立された。これらの企業が新たに人を雇うとすると、雇用数は 2005 年に全体で 13 万人を超えることになると予想されており、企業設立数の増加によって生まれる雇用 の拡大に期待が集まっている。 <今後の取組み> 今年政府は、企業の合併・買収の促進がフランスの経済発展の優先課題であると の認識のもと、2006 年の補正予算で、企業譲渡の税制度の修正、相続又は贈与によ って行なわれる企業承継の税制度も修正した。 また長期の投資を促す目的で、合併・買収の際のキャピタルゲインに対して、株を 保有して 5 年経過した後は、毎年 1/3 の免税措置がうけられるという新たな免税措置 を導入した。 さらにルノー・デュトルイユ大臣は、活動的となった中小企業の活力をさらに加速さ せるため、9 月に新たなプログラムを発表する予定である。 その主な内容は、まずはすでに軌道にのっている取組みを着実に実行していくこと、 事務的な処理の簡素化、若者の地位向上のための活動、企業設立手続きの簡素化 などである。 また、「フランス中小企業投資」と名づけられた中小企業発展のための資金援助の プランでは 20 億ユーロが用意され、今年 10 月には、支援が開始される予定となって いる。 雇用対策としても、9 月には中小企業、商店、職人の間で、雇用拡大に関連する大 きな会議の開催も予定されている。