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東プレ株式会社 - SolidWorks
CAS E ST U DY 東プレ株式会社 設計・開発から製造までの3次元CAD統一を実現。次の課題は、より短期・低コストでより良いものを作るためのシミュレーション 高効率と低騒音を実現して、さまざまな空調機器に採用されて いるシロッコファンから、半導体工場などで用いられるクリーン ユニット、一般住宅用換気システムまで、東プレは独創技術を 進化させてより広範囲な市場を開拓してきた。 東プレ株式会社(以降、東プレ)の空調機器部は、設計・開発から製造までのCADをSolidWorksに チャレンジ: 一本化して、一貫したものづくりを加速している。次の課題は、より短期間かつ低コストでより良い製 設 計・開発 部門と製造部門が別の3次元CADを 用いていたが、2010年、SolidWorksに統一。設計 から製造まで、一貫して3次元データを用いて、効 率の良いものづくりのできる体 制ができた。次の チャレンジとして、SolidWorks Simulationの解析 機能を活用して、より良い製品を、より短期間、よ り低コストで作りたい。 品を生み出すための「シミュレーションの活用」である。 高度な加工技術ときめ細かな対応が強みの空調機器 独立系自動車プレス部品メーカーの東プレは、高度な加工技術というコアテクノロジーを、空調機 器、事務機器、冷凍機器、電子機器の領域へ拡大してきた。 東プレの空調機器は、高度な加工技術および生産技術革新により、堅牢で高品質な製品を軽量か つ低コストで作れるのが強みだ。 「シロッコファン(多翼ファン)からターボファン(後向きファン)まで大小100種類の製品を用意して、 カスタム要求にもきめ細かく対応しています。納入先でモーターなどに組み込んでからの使い勝手に ついても提案をしながら、お客様と一体になって開発に取り組んできました」と、空調機器部 技術 部 技術Gr 課長の高橋勝巳氏は語る。 用途は、製造装置の送風機や、半導体工場のクリーンユニットなど多彩だが、近年伸びているのが、 一般住宅用換気システムだ。 設計から製造までの統一CADとしてSolidWorksを選択 相模原事業所の空調技術部では、設計・開発から改善・モデルチェンジまでを行い、子会社である 東プレ岐阜株式会社が生産する。 空調技術部の設計部門では、15年前にミッドレンジクラスの3次元CADを導入して、設計3次元化 に踏み切った。 一方、東プレ岐阜の工場では、7 〜 8年前に、数十ライセンスのSolidWorksを導入した。 「タレットパンチプレスのNCデータ生成がやりやすいという理由でSolidWorksを選定したそうです が、使いやすいので利用が広がり、設計の微修正から、治具制作や強度確認などのシミュレーショ ン、協力会社での金型製作に至るまで、工場内で一貫してSolidWorksデータを活用する体制が確立 しています」と、空調機器部 技術部 開発Gr 主任研究員の川浪隆幸氏は説明する。 設計部門と製造部門が別CADを使っていると、データ連携に手間がかかって非効率な場合もあるた め、2010年、空調技術部と東プレ岐阜の3次元CADを統一することになり、全面的にSolidWorks へ移行した。 「設計ツールとしてのSolidWorksには満足しています。設計者も、比較的短期間で操作を習得でき、 スムーズに移行を果たせました」と高橋氏は語る。 ソリューション: 破壊強度解析を行って、ブレードなどの主な部品 の接合方法によって異なってくる変形の傾向を把 握でき、さらに、ブレード 表 面を補 強 することで 変形を改善できることも検証できた。試験設備を 使った破壊試験より前の段階で、さまざまなアイ デアを試してみることが可能になったのである。 さらに最適値解析をして、現行製品では3.2ミリあ る板厚を2.3ミリ程度まで薄くできるという見込み を得た。改善やモデルチェンジを効率よく行う道 も開けてきたのである。 結果: ● 覚えやすいSolidWorksによって、設 計・開 発か ら製造までの「CAD統一」をスムーズに実現。3 次元データで一貫した効率よいものづくり基盤 を確立できた ● SolidWorksで、精度の高い設計データが作れる ようになり、干渉チェックも確実にできるように なった ●シミュレーションと一体化したSolidWorksへの 移行により、 「設 計者自身による解 析」など、解 析のさらなる活用に道が開けた 成熟した技術領域だからこそシミュレーションが活きる SolidWorksのもうひとつの魅力は、CADとシミュレーションが一体化していることだ。 「これまで、流体解析はANSYSを使って私が担当してきましたが、設計ツールがSolidWorksに移行 したことで、もっと多種類の解析を容易にできるようになったのは大きなチャンスです。3次元化は、 設計と解析の両輪がそろってこそ、大きな効果をあげることができます。また、比較的構造解析は難 易度が低く、取り組み易いので、設計者全員が『設計しながら解析する』体制にして、問題点の発見 と解決を前倒しにしていきたい」と川浪氏は将来構想を語る。 解析を活用する最大の目的は、設計・開発期間の短縮である。 「性能追求もありますが、全体の安全性が低下するようでは元も子もありません。したがって、開発 で一番時間をかけているのが、品質確認のプロセスです。現在は『作って壊して』を繰り返しています が、これをシミュレーションに置き換えることで、 『安全な設計』へとより短い時間で行き着きくこと 風を切る方向にブレードが回転する後向きファンの一 種であるプラグファン。高効率を発揮するため、コンパ クト化が可能。東プレは、オフィスビルの省エネに貢献 するエアハン用高効率プラグファンでも知られる。 ができれば、大きな強みとなるはず」と高橋氏は期待感を語る。 より多くのアイデアや形状を試せるシミュレーション 設計者もシミュレーションを活用したいと意欲的だ。そこで、前準備として、川浪氏がシミュレーショ ンの事例を作り、どのような場面でどのように使えば有効であるかを検証しているところである。 まず、破壊強度解析に取り組んだ。 東プレでは、試作品を使用回転数より数倍速く回転させて、ブレード (羽根)が遠心力でどのように 曲がるか、破断ポイントはどこかを把握する破壊強度試験を実施している。 川浪氏は、後向きファンの一種であるプラグファンを取り上げ、ブレードなどの各部をエッジ接続し た場合、面接合した場合、一部をエッジまたは面接合した場合について、破壊強度解析を行った。そ の結果、接合方法によって異なる変形の傾向を把握でき、さらに、ブレード表面を補強することで変 形を改善できることも検証できた。 破壊強度試験は、1カ月かけて作った試作を壊れるまで回転させる試験であり、さまざまな形状を試 験することはできない。ところがSolidWorks Simulationであれば、最短15分でシミュレーションが プラグファン設計データ。 干 渉箇 所をチェックし、SolidWorksのキャビティ機 能 でモデル修正を行ってからシミュレーションする。 完了するため、半日かければ多種の形状パターン、さまざまなアイデアを試すことができる。 さらに、破壊強度解析結果を用いて最適化解析をしたところ、最大変形を2.63ミリまで許容するな ら、現在の製品では3.2ミリある板厚を2.3ミリ程度まで薄くできるというシミュレーション結果を得 た。もし2.3ミリに薄くすれば、製品重量を1.4kg軽量化できるし、材料コストも下げられる。シミュ レーションを活用することで、改善やモデルチェンジを効率よく行うという道も見えてきた。 ファンの振動特性を求める固有値解析にもトライしているところだ。 固有値は、騒音や振動を抑え、製品寿命を長くするうえで重要な要素だ。現在は、実機を試験したう えで防振ゴムを挿入するなどの対策を講じているが、シミュレーションを使えば、より上流工程で設 空調機器部 技術部 技術Gr 課長 高橋 勝巳 氏 計変更などの根本的な対策をとることも可能になる。 「納入先でモーターなどへ取り付けたときの振動や騒音についても、固有値がわかっていれば、より 的確な提案ができるでしょう。空調機は成熟した技術であるからこそ、 『プラスアルファ』を求められ ます。東プレは納入後にもメーカーならではの経験とノウハウを提供できることをアピールして、顧客 との長い信頼関係を築いていきたい」と川浪氏は熱く語る。 より短期間かつ低コストでより良いものを作るために、また、顧客に対する 「プラスアルファ」のサー ビスを強化していくために、東プレは今後、シミュレーションを積極的に活用していこうとしている。 空調機器部 技術部 開発Gr 主任研究員 川浪 隆幸 氏 ソリッドワークス・ジャパン株式会社 東プレ株式会社 東プレ株式会社(東京都中央区日本橋3-12-2)は、東証1部上場の自動車プレス 部品メーカー。空調機器、冷凍機器、電子機器も製造。設立1935年。資本金56億 1,000万円。連結売上高806億8,900万円 (2011年3月末日現在) 。 http://www.topre.co.jp/ 〒108-0022 東京都港区海岸 3-18-1 ピアシティ芝浦ビル TEL: 03-5442-4001(代表) FAX: 03-5442-6256(代表) E-mail: [email protected] www.solidworks.co.jp SolidWorksは米国ソリッドワークス社の登録商標です。 また、それ以外に記載されている会社名及び商品名も各社の商標又は登録商標です。 SWJ-CSD-151-0512