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データ管理の基本 - SolidWorks

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データ管理の基本 - SolidWorks
データ管理の基本
レベル=中級
データは、企業の最も貴重な資産の 1 つです。エンジニアリングの分野では、これは CAD データの
みならず、プロジェクトの仕様、設計レビュー、FEA およびテストのデータ、設計変更データ、等も含
まれます。製品に関する様々な情報はこれらのデータから構成されています。
製品を開発するのに使用されるデータを簡単かつ効果的に管理する能力は設計プロセス成功の
鍵となる要素であり、これにより設計者、管理者、その他開発に関与する人たちは効果的な判断を下すことができます。こ
の記事では以下の項目について説明します。
・データ管理の基本要素と重要性
・データ管理の利点と、様々なデータ管理ツールの落とし穴
・データ管理、障害復旧、コラボレーション、ドキュメント管理、設計履歴の重要性
もう 1 つ検討すべき項目は、古いデータが重要かどうかということです。製品の古いリビジョン、リリース等を簡単に見つける必
要があるなら、データ管理ツールの利用は欠かせません。データ管理ツールなしでは、昔のデータを探し出すことは非常に難
しく、面倒な手作業が必要です。
SolidWorks®はマルチドキュメント システムで、他の外部ドキュメント(アセンブリ、図面等)にデータが依存しません。データ
管理ツールの使用はドキュメントの関係を管理するのに役立ち、他のユーザーとのコミュニケーションを容易にします。
手作業でデータ管理を行うとエラーが起こりやすく、時間もかかります。また、他のユーザーとの共同作業も手作業では困難
です。データ管理ツールが便利なのは、だれがどのアイテムを作業しているか、自分の持っているファイルのバージョンが変更さ
れているか、プロジェクトや構成部品、図面が完成しているかどうか等を知ることができるからです。
また、製品の開発工程では CAD 以外のドキュメントもかなりの量が発生します。データ管理ツールはこれらのデータの管理
にも使用できます。
用語
・チェックアウト:
ドキュメントをロックして他のユーザーが変更できないようにし、自分のワークスペースにドキュメントを持ってくること。
・チェックイン:
自分のワークスペースから作業中のバージョンをボルトへコピーすること。
・ロック:
ドキュメントに鍵を掛けて他のユーザーが編集できないようにすること。
・リリース(アンロック):
鍵を外して他のユーザーがドキュメントを編集できるようにすること。
・名前変更:
全ての外部参照を維持したまま、ドキュメントの名前だけを変更すること。
・置き換え:
全ての外部参照を維持したまま、参照されているドキュメントを新しいドキュメントで置き換えること。
・削除:
ボルトからドキュメントを削除すること(通常は obsolete 領域に移動すること)。
・リビジョン:
ドキュメントの主要なリビジョン。通常、ステータス レベルに関連付けられる。
・バージョン:
リビジョンの副次的なレベル。通常、作業中のデータに使用される。
・ステータス(ライフサイクル):
デザインのステージ(段階)を示す(例、プロトタイプ、作業中、リリース済み、もう使用しない、等)
・コンカレント設計:
同じアセンブリに対して他のユーザーと並行して作業し、共有データを効率的にやり取りする手法。
・メタデータ:
ユーザー定義プロパティ、属性と呼ばれることもある。通常はドキュメントを識別するのに使用される属性。
・ワークフロー:
データ管理システムによりサポートされる作業プロセス。例としては、設計変更の発生が様々な個人にルーティングされ、承
認を得るプロセスなど。
・ボルト:
ドキュメントが格納され PDM システムにより管理されるところ。ユーザーは Windows®エクスプローラを使ってこの領域に直接
アクセスすることはできない。
・ワークスペース:
ボルト外の領域で、ユーザーがデータに対して作業を行うところ。(ローカルディスクの場合も、共有ネットワーク上の場合もあ
る)
PDM の機能と要件
PDM システムを検討する際、以下の共通した特徴について考慮してください。
・標準機能:
最低限のセットアップ、カスタマイズ、構成設定で実行できるアプリケーションの機能。
・使いやすさ:
システムは使いやすく、トレーニングは最小限で済むものであること。
・履歴:
ドキュメントに対する全てのアクティビティ(チェックイン、チェックアウト等)と誰が変更を行ったかのログを記録できること。
管理機能
・サーバーのインストールと設定
・クライアントのインストールと設定
・ユーザーの作成
・グループとプロジェクトの作成
・カスタマイズ
・バックアップと復元
コラボレーション
同じプロジェクトで他のユーザーと作業を行う際、彼らがどのドキュメントで作業し、いつドキュメントを更新しているのかを知り、
自らが行う同様の情報もチームに伝えることが必要となります。
データの整合性とセキュリティ
データをコントロールし、過去のコピーを保持し、保護されたデータ領域(ボルト)を提供し、変更ファイルを管理する能力は、
会社のデータを保全する上で非常に重要です。
ボルトとローカル ワークスペース
ボルトはドキュメントを格納および保護するもので、ワークスペースは作業領域として使用できるエリアです。これらの領域をマ
シンに対してローカルなものとすることにより、パフォーマンスが向上します(ネットワーク トラフィックの低減)。
パフォーマンス
どのようなデータ管理システムにおいても、データを素早く見つけ出し、作業できる能力は主要な機能です。
SolidWorks 対応の
・コンフィギュレーション サポート(部品、アセンブリ、図面)
・前後関係のある参照
・参照あるいはミラーコピーされたベース部品およびアセンブリ
・Toolbox
・メタデータ
他のデータ タイプのサポート
PDM ソフトウェアは、設計に関連した他のタイプのドキュメントも管理できなくてはなりません。
1.レガシーデータ(2D AutoCAD®図面等)
2.他の CAD システムのデータ(ベンダー支給、顧客支給のデータ等)
3.Microsoft® Office ドキュメント
4.テスト用データおよびプロジェクト仕様
ドキュメントのステータス
ユーザーはローカル ドキュメントのステータスを視覚的に知ることが必要です。他のユーザーがドキュメントを更新した場合、
それを知り、また自分も更新できる必要があります。
メタデータ
これらはドキュメントに保存されているユーザー定義プロパティです。これらのプロパティは上流(MRP)および下流(図面のタイ
トルブロック等)で使用できます。
検索機能
ボルト内の任意のデータならびに関連ドキュメントを柔軟に検索できる機能は大変重要です。
PDM システムのタイプ
データ管理ツールには様々なタイプがあります。どのアプリケーションにも長所と短所があります。
データ管理ツールには3つの基本的レベルがあります。これらはファイルシステム ベースのもの、ワークグループ ベースのもの、
そしてエンタープライズ レベルのものに分けられます。
Windows エクスプローラ
Windows エクスプローラはおそらく最も広く使用されているデータ管理ツールですが、機能的には最も弱いものです。
Windows エクスプローラは手作業の管理が必要で、マルチドキュメント環境にはあまり適していません。
メリット:
・安価
・ユーザーは Windows エクスプローラのインタフェースに慣れている
デメリット:
・ファイルを簡単になくしたり、上書きしてしまったりする可能性がある
・情報の検索が難しい
・SolidWorks 対応ではない。外部ファイル参照(図面ドキュメント、アセンブリ構成部品、前後関係のある参照、コンフィギュ
レーション、その他の外部ファイル参照)の扱いが難しい。
・履歴がない
・手作業のプロセス(エラーが起こりやすい)
・一時作業領域がない
・リリースされたデータを保持しておくのに手作業でコピー(チェックアウト)する必要がある。
・他のチーム メンバーとの共同作業がむずかしい
・簡単にカスタマイズできない
・バージョン/リビジョン サポートに制限がある(手作業)
SolidWorks Explorer
SolidWorks Office Professional に含まれる SolidWorks Explorer は SolidWorks ドキュメントの相互関係の多くに対応し
ていますが、データの管理能力の点では制限があります。ファイルのロック、共同作業、バージョンのサポート、ドキュメントのア
ーカイブを行う機能にも限界があります。
メリット:
・SolidWorks Office Professional に含まれている
・ドキュメントのコピー、置き換え、名前変更が可能
・SolidWorks なしでも実行できる
・一定の「使用先」機能を持っている
・カスタム プロパティを表示、変更できる
デメリット:
・一時作業領域がない
・リリースされたデータを保持しておくのに手作業でコピー(チェックアウト)する必要がある。
・簡単にカスタマイズできない
・バージョン/リビジョン サポートに制限がある(手作業)
ワークグループ レベルの PDM
ワークグループ レベルのデータ管理と、その他のレベル(ファイルシステム ベースあるいはエンタープライズレベル)のシステムに
はいくつかの違いがあります。ワークグループ レベルのツールは実装しやすく、使いやすい(標準構成のままで)ものです。ワー
クグループ レベルのツールには一部のハイエンド機能(ワークフロー、エンタープライズ システムのサポート、カスタマイズ性等)
がありません。データ管理ツールを選択する際には、短期的要件と長期的要件の両方を理解しておくことが必要です。
PDMWorks™ はワークグループ レベルのシステムです。
メリット:
・SolidWorks Explorer のメリットとしてリストされている全項目
・インストールしやすい
・管理しやすい
・安価
・ボルトとワークエリアの概念をサポートしている
・トレーニングやサポートがあまり必要ない
デメリット:
・ワークフロー機能がない、あるいは機能に制約がある
・API(アプリケーションプログラミングインタフェース)に限界がある
・上流システム(MRP、ERP 等)のサポートも限られている
エンタープライズ レベルの PDM
エンタープライズ レベルのシステムは、これまでに説明してきたツールよりも高機能です。エンタープライズ レベルのシステムは
数多くの高度な機能を提供し、事前の計画と IS リソースを必要とします。SMARTEAM®はエンタープライズ レベルのシステ
ムの一例です。
メリット:
・より拡張性がある
・上流システム(MRP、ERP 等)との連携が優れている
・ワークフロー機能がある
・アプリケーションのカスタマイズが容易
・API のサポートが豊富
・高度なデータベース サポート(複製機能、マルチサイト等)
デメリット:
・設定、インストールが難しい
・より多くの IS 及びデータベース サポートが必要
・高価
・より詳細なトレーニング(エンドユーザー向けおよび管理者向け)が必要
まとめ
PDM システムのもう 1 つの利点は、ローカル ワークスペースです。大規模なアセンブリでは、ローカル ワークスペースは必須で
す。
データ管理は企業のデータ資産を保護する上で重要な機能です。データを使用し、参照し、伝達し、保全する能力はプロ
ジェクトと企業の成功の鍵を握る要素となります。
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