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CHCl3/ CH3OH 溶液から作成した PVIBE の結晶化度

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CHCl3/ CH3OH 溶液から作成した PVIBE の結晶化度
CHCl3/ CH3OH 溶液から作成した PVIBE の結晶化度
本科 50 期
応用化学科
江尻 敬祐
49069
1.緒言
1.緒言 高分子の物性は、構成する各残基の性質と高分子鎖の高次構造によって特徴づけられる。特
に結晶性ポリマーは、構造が規則正しく整列した結晶相と無秩序な非晶相からなるため、結晶相の大
きさや分布、存在量により物性は大きく左右される。非晶領域が多いと衝撃に強く、エラストマーで
あれば粘弾性が向上する。結晶領域が多いと硬くなるが衝撃にはもろくなる。このように結晶化度は
高分子の特性を知る上で重要な指標の一つである。本研究では、ポリビニルイソブチルエーテル
(PVIBE)を、良溶媒(CHCl3)と貧溶媒(CH3OH)からなる混合溶媒に溶解して、溶媒キャスト
して得られたフィルムの結晶化度が、貧溶媒の比率に依存していることに着目し、結晶化度に与える
貧溶媒の影響を DSC と NMR を用いて解析した。
2.実験
2.実験 PVIBE は Aldrich Chemical Company, Inc.から購入した。平均重量分子量は 60 万である。
PVIBE 500mg を CHCl3/CH3OH 混合溶媒 10ml に溶解し、溶媒キャスト法により PVIBE フィルム
を作成した。CHCl3/CH3OH 混合溶媒は体積混合比で 10/0, 9/1, 8/2, 7/3, 6/4, 5.5/4.5, 5/5 の 7 種を用
いた。それぞれの混合溶液から作成した PVIBE フィルムを PVIBE10/0, PVIBE9/1 などと略す。キ
ャストして得られたフィルムを 40℃で 24 時間真空乾燥して試料とした。DSC 測定は Perkin-Elmer
7series を用いて行った。乾燥後 1~2 日以内、1 ヵ月後、3 ヵ月後のキャストフィルムを、5℃/min
の昇温速度にて-40℃から 100℃まで測定した。固体高分解能
13C
NMR スペクトルは、Bruker
DMX500 分光計を用い、交差分極(CP)とマジック角回転(MAS)法を併用して測定した。乾燥後
1~2 週間と 3 ヵ月後のキャストフィルムを測定した。
3.結果・考察
3.結果・考察 図1に、作成してから 3 ヶ月経過した PVIBE5/5 の主鎖 CH 基と側鎖 CH2 基由来の
固体高分解能 13C NMR スペクトルを示した。結晶相(CR)と非晶相(NC)との間の回転系におけ
る 1H 核のスピン-格子緩和時間の違いを利用して、各々の相由来のスペクトルに分離した。分離した
スペクトルの面積強度比から結晶化度を求め、表 1 にまとめた。図2は、PVIBE5/5 のキャストして
から 24 時間後、1ヶ月後、3ヶ月後の DSC 曲線である。PVIBE の結晶融解ピーク(融点)は 45℃
顕著に出現しないが、1 ヶ月経過するとピークが明
endo
付近に観測された。キャストした直後は、融点は
PVIBE5/5
3 ヵ月後
確に観測された。ピーク面積より求めた融解エン
タルピー(ΔHm)は、時間の経過につれて増加し
た。結晶化度αは、α=(ΔHm/ΔHm*)×100(ΔHm*
は結晶化度 100%における融解エンタルピー)とし
て求められる。高分子のΔHm*は知ることができな
いため、3 ヵ月後の DSC のΔHm と NMR 法から
求めた結晶化度が等価であるとみなし、ΔHm*を求
めた。算出した結晶化度を表 1 に載せた。DSC か
ら求めた結晶化度と NMR 法より求めた値は、ほ
1 ヵ月後
CR
24 時間後
NC
100
図1. PVIBE 5/5の13C NMR
スペクトル
表1
月後のピークは 1 ヶ月後のピークに比べて若干ブ
ロードであった。これは、結晶相の規則正しさの
違いを反映しているものと考えられる。
図 2. PVIBE5/5 の DSC
曲線
PVIBE の結晶化度
ぼ一致していた。また、3ヶ月後と1ヵ月後の結
晶化度はほぼ同じ値であるにもかかわらず、3ヶ
30
45
60
Temperature(℃)
50
75
Chemical shift / ppm
10 日後
(NMR)
3 ヶ月後
(NMR)
3 ヵ月後
(DSC)
10/0
9/1
8/2
7/3
6/4
5.5/4.5
5/5
4%
5%
2%
2%
8%
9%
12%
9%
7%
10%
11%
12%
13%
13%
9%
9%
11%
13%
13%
13%
13%
研究指導教官
助教授
浅野敦志
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