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第2節 環境行政の今後の展開

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第2節 環境行政の今後の展開
第2節 環境行政の今後の展開
本県の環境の状況は、全般的に改善されてきているが、生活排水による
水質汚濁、自動車交通による大気汚染や騒音、空き缶やごみの散乱などの
都市・生活型公害、さらには、地球の温暖化、酸性雨等の地球環境問題へ
の対応や環境分野における国際協力、快適な環境の形成や自然とのふれあ
いを求める県民のニーズへの対応等、今後、対処しなければならない課題
がある。このような状況を踏まえ、今日の広域多岐にわたる環境問題に適
切に対応するため、富山県環境基本条例を制定した。
今後の環境行政の推進にあたっては、基本条例に基づき環境の保全及び
創造に関する総合的かつ長期的な施策の大綱を定める環境基本計画を策定
していくとともに、県民、事業者、行政が一体となって環境にやさしい社
会づくりを目指して環境施策を展開していくことにしている。
1 環境基本計画の策定
今日の環境問題の解決には、環境を人の健康、生活環境、自然環境等
の分野別としてでなく、総合的にとらえて環境保全施策を講じていく必
要がある。
さらに、その施策が広範多岐にわたるため、施策相互の有機的連携を
図り、総合的・計画的に展開していくことが必要であり、そのため、環
境基本計画を策定することにしている。
この基本計画では、環境の保全及び創造に関する環境施策の基本的な
考え方、長期的な目標、施策の大綱などについて明らかにし、環境施策
の総合的かつ計画的な推進を図るものである。
なお、基本計画の分野別の個別計画に位置付けされることになるブル
ースカイ計画やクリーンウオーター計画などの推進により、環境基準の
達成を図るとともに、良好な環境の維持に努めることにしている。
2 環境汚染の未然防止
県民の健康と生活環境を守り、快適な環境づくりを進めるためには、
環境の汚染を未然に防止する必要がある。
工場や人口が集中している富山・高岡地域については、公害の防止に
係る施策を、総合的、計画的に進める必要があるため、49年度から、公
害防止計画を進めてきたが、なお、いくつかの課題が残されていること
から、6年度に新たに策定された5か年計画に基づき、今後も、引き続
き各種の公害防止対策を進めることにしている。
一方、環境に著しい影響を与えるおそれのある大規模な開発事業につ
いては、環境影響評価要綱に基づき、事業者に対し、環境への影響につ
いて事前に調査、予測等の実施や、地域住民への説明会の開催等を義務
づけているほか、公害防止条例や土地対策要綱においても事前審査制度
を設けており、これらの制度を適切かつ円滑に実施し、大規模な開発に
よる環境の汚染を未然に防止していくことにしている。
また、近年、化学物質等による新たな環境汚染が懸念されており、こ
れらの有害物質等についても環境濃度等の実態把握に努め、環境汚染の
未然防止に努めることにしている。
3 廃棄物対策の推進
家庭や事業所から排出される廃棄物は、生活様式の多様化や消費意識
の変化あるいはOA化の進展、産業構造の高度化や技術革新の進展等に
より、発生量の増加とともにその種類も多様化しており、廃棄物処理を
取り巻く環境は極めて厳しく、適正処理とともに減量化、再生利用の推
進が重要になってきている。
一般廃棄物については、市町村によるごみの計画的収集や処理施設の
計画的整備を進めるとともに、5年度に策定した「ごみ減量化・再生利
用推進指針」に基づいて、県民、事業者の理解の下に市町村やとやま環
境財団と連携し、ごみの発生の抑制に努め、社会全体でごみの減量化や
再生利用の推進を図っていくことにしている。
また、ごみの中の缶、びん、ペットボトル等の容器包装廃棄物につい
ては、消費者には分別排出、市町村には分別収集、事業者には再商品化
を義務づけた容器包装リサイクル法が新たに制定されたことから、県に
おいても、分別収集促進計画を策定し、容器包装廃棄物の減量化、資源
化の推進を図っていくことにしている。
産業廃棄物については、新たに策定した産業廃棄物処理計画に基づき、
排出抑制や減量化、再生利用の促進を図るほか、多量排出事業者に対す
る指導や特別管理産業廃棄物の適正処理を推進することにしている。
また、最終処分場等の処理施設の設置や県外産業廃棄物の県内搬入に
ついては、産業廃棄物適正処理指導要綱に基づき、事前協議を行い、処
理施設の円滑な設置や県外産業廃棄物の計画的な処理の推進を図ること
にしている。
4 自然環境の保全
生態系の多様性の確保、野生生物の種の保存その他の生物の多様性の
確保が図られるとともに、多様な自然環境が地域の特性に応じて体系的
に保全されなければならない。
また、人と自然との豊かなふれあいが保たれるとともに、身近な水や
緑、優れた景観等の保全及び創造を図らなければならない。
このため、5年度に策定した自然環境指針に基づき各種開発事業に際
しての自然環境保全上の指導・助言を行っていくことにしている。
また、ライチョウをはじめとする貴重な野生生物の生息調査を実施し、
適切な保護対策を進めることにしている。
さらに、生き物の生態特性に配慮した環境をつくるためのマニュアル
を作成し、各種開発行為等を行う際の指針、手引きとして、啓発、指導・
助言を行っていくことにしている。
一方、県民が自然にふれ、親しみ、自然への関心を高めることができ
るよう、国立公園、国定公園、県立自然公園等において、登山道、野営
場、ビジターセンター、休憩所等、地域の特性をふまえた公園利用施設
の整備や美化事業の充実を図るとともに、ナチュラリスト、自然保護指
導員、鳥獣保護員、バードマスター等の制度の積極的な活用により、自
然保護思想の普及を一層図っていくことにしている。
5 快適な環境づくりの推進
生活水準の向上や余暇の増大に伴って、県民の環境に対するニーズは、
清らかな水辺や豊かな緑などの自然とのふれあい、ゆとりある空間の配
置や美しい景観の確保、歴史的なたたずまいといった心にうるおいとや
すらぎを与える快適な環境へと向けられてきている。
これらのニーズに応え、快適な環境づくりを進めるためには、本県の
豊かな水や緑などの恵まれた環境資源を十分に生かしながら、県民の幅
広い理解と協力を得て、個性にあふれた魅力あるまちづくりを積極的に
展開していく必要がある。
このため、県民総ぐるみの県土美化運動の輪をさらに広げるとともに、
「海岸アメニティ・マスタープラン」や「グリーンプラン」、「ふるさと
環境総合整備ガイドライン」、「全県域公園化推進プラン」等の計画や、
河川環境整備事業、公共施設の文化性導入推進事業、魅力ある都市景観
づくりモデル事業、さらに8年度創設のふるさと環境整備事業等に基づ
き、今後とも、快適な環境づくりに積極的に取組んでいくことにしてい
る。
また、トイレ環境の改善とトイレ文化の創造に寄与することを目的に、
「とやま国際トイレシンポジウム'96」を開催するとともに、きれいで利
用しやすい快適な公共トイレの整備を推進するため、市町村が実施する
事業を支援していくことにしている。
6 地球環境問題への取組み
地球の温暖化、オゾン層の破壊、酸性雨などのいわゆる地球環境問題
は、人類に共通する極めて重要な課題となっている。
これらの問題を解決するには、各国が国際的に協調して取組む必要が
あるが、地域住民の日常生活や企業の事業活動が資源やエネルギーの消
費等を通じて地球環境と深くかかわっており、地域での環境保全の積み
重ねがひいては地球環境の保全につながることから、行政、事業者、さ
らには住民一人ひとりができることから積極的に取組んでいく必要があ
る。
現在、世界中の国や地域では、4年6月に「地球サミット」で合意さ
れた「リオ宣言」や「アジェンダ21」等のフォローアップに向けた取組
みがなされている。
また、わが国においては、5年12月に、「アジェンダ21行動計画」が策
定され、地球環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築に向
けた取組みが進められている。
県においても、地球環境をも視野に入れた快適で恵み豊かな環境を保
全し創造するため、7年12月に環境基本条例を制定したところであり、
この条例に基づき、国の各種施策を踏まえ、県民に対する講演会やリー
フレット等による普及啓発をはじめ、低公害車の導入や市町村における
低公害車及びフロン回収設備の整備に対し助成を行うほか、日本海の対
岸地域との環境協力事業などを引き続き行う。
さらに、県民、事業者及び行政が、地球環境問題を身近かな問題とし
てとらえ、地球環境保全に積極的に取組むための地球環境保全行動計画
を策定することにしている。
7 環境保全活動等の推進
今日の環境問題の多くは、都市・生活型公害や地球環境問題にみられ
るように、被害者が同時に加害者になるなど複雑化し、行政による規制
中心の施策だけでは十分な対応ができない面がある。
環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会を構築するためには、
県民一人ひとりが環境問題とその背後にある社会経済システムについて
理解し、身近なところから具体的な行動を起こす必要がある。
このため、環境教育基本方針に基づき、学校における環境教育をさら
に充実させるとともに環境保全活動実践モデル校を指定しその活動を支
援する。
また、県民へのパンフレット配布や講演会の開催等による啓発、環境
保全活動への情報提供や環境保全相談室の運営、環境保全活動推進員間
のネットワーク化等の施策を進めることにしている。
とやま環境財団においても、環境情報の収集・提供、環境保全団体の
育成・支援、住民や企業が行うリサイクルへの取組みの支援等の事業を
さらに推進することにしている。
なお、県としても、県の事業者・消費者としての立場から、率先して
環境への負荷の低減に努めるための行動計画を策定し、自らの環境保全
活動を推進することにしている。
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