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平成 25 年度 第5回 静岡市環境影響評価専門家会議 会議録

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平成 25 年度 第5回 静岡市環境影響評価専門家会議 会議録
平成 25 年度
第5回
静岡市環境影響評価専門家会議
1 日 時
平成 26 年1月9日(木) 13 時 30 分~15 時 15 分
2 場 所
静岡市役所
3 出席者
(委員 10 名) ※敬称略
会議録
静岡庁舎 本館3階 第三委員会室
会 長 岩堀恵祐(宮城大学食産業学部教授)
副会長 佐藤博明(元静岡大学学長)
委 員 板井隆彦(静岡淡水魚研究会会長)、狩野謙一(静岡大学防災総合センタ
ー特任教授)、諏訪哲夫(静岡県自然史博ネットワーク理事)、平井一之
((一社)静岡県環境資源協会専務理事)、増沢武弘(静岡大学理学部特
任教授)、三宅隆(静岡県自然史博ネットワーク副理事長)、村上篤司(環
境科学研究所)
、横田勇(静岡県立大学名誉教授)
(事務局職員)
小林環境局長、劔持環境創造部長、
(環境総務課)松田課長、白鳥参事兼統括主幹
4 傍聴者
3人
5 次 第
(1)開 会
(司会:環境総務課
石川副主幹)
(2)挨 拶(静岡市環境局長)
(3)議 事
中央新幹線(東京都・名古屋市間)環境影響評価準備書【静岡県】について
・答申案について
(4)その他
今後のスケジュールについて
(5)閉 会
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6 挨 拶
【環境局長挨拶】
・ 9月に本専門家会議を立ち上げ、その後、中央新幹線環境影響評価準備書に対する御
意見を数々いただいてきた。
・ 今回で5回目の審議となる。本日答申案を作成し、来週中には市長に答申いただく予
定となっている。
・ 市では、答申を尊重して市長意見を作成し、1月 22 日までに県知事に提出する予定
となっている。
・ 市長意見を県知事に取り上げていただくために事務局としても務めていくので、引き
続き活発な審議をお願いしたい。
【岩堀会長挨拶】
・ 年末年始にかけて、委員の皆様にご協力いただき答申案を作成した。
・ 答申案は意見が簡潔にまとめられていると思うが、不足・修正等があれば本日の会議
で御意見をいただきたい。
・ 今日が最後の専門家会議となるので、よろしくお願いしたい。
7 議事
(1)答申案について
【意見交換】
○岩堀会長
・ 各委員からいただいた意見を取りまとめ、さらにそれぞれの専門分野でブラッシュア
ップしていただいているが、時間的な制約もあるため、積み残した事項や最終チェッ
クは、最終的に会長一任とさせていただくということでよろしいか。
・ 万が一手に余るようであれば、佐藤副会長に相談させていただきたい。
○委員一同
(異議なし)
●事務局より答申案について概要説明
○板井委員
・ 主に水環境と水生生物について検討した。
・ これまでの会議でも発言してきたが、準備書の内容は事業者の誠意が欠けているとい
う点について、十分とは言えないまでも、意向が反映されていると感じている。
・ アセスの枠組みでは、これ以上意見を述べることは難しいと考えているため、答申案
は、原案のとおりでよい。
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○狩野委員
・ 建設発生土の処理について検討してきたが、当初懸念を抱いていいた扇沢と燕沢につ
いては、審議を重ねるごとにその懸念が確信に変わってきた。
・ これまで事業者からは明確な回答がないので、この項目についての要望はぜひ強調し
ていただきたい。
・ ジオサイトのことについては、どの程度まで触れるか悩んだところであり、ジオパー
ク側の事務局と一度確認をする必要があるかと思う。
・ 重要な背景として、土石流や地震の危険性は年々高まっており、相当慎重に配慮しな
ければならないということを事業者に伝えていく必要がある。
・ もうひとつの背景として隆起速度の問題がある。根拠とする文献が事業者側と異なる
ため、見解が食い違っていることを指摘してきたが、事業者からの応答はなく、一方
的に同じ説明を繰り返しているだけである。
・ 隆起速度に関しては、事業全体としてはそれほど大きな影響ではないが、事業者が自
然をどの程度理解しているかという点では、その背景として隆起速度の問題に関して
も答申に盛り込んでいただきたかった。
・ 今後、別の機会でも意見を伝えることがあると思うので、静岡市の環境影響という点
では原案のとおりで問題ない。
○諏訪委員
・ 主に昆虫について検討してきたが、事業者の調査結果を主体に準備書が作られている
ことに対し、文献の重要性の再認識を強調してきたが、その点は反映していただいた。
・ 生物の生息環境には微妙な違いがあるため、保全措置も一筋縄ではいかない。
・ 保全措置の検討に当たっては、専門家の意見をもっと聞いていただきたい。
・ 専門家への意見聴取は、生物に限らず全体を通して言える項目であるため、どの項目
に対しても、専門家の意見を聞く機会を作っていただきたい。これに関しては、もう
少し強い書き方にしてもよいのではないかという気持ちもある。
○平井委員
・ 騒音、振動では、発生源と予測地点との関係等について述べている。準備書 8-1-2-2
に示す根拠により調査地点を選定しているが、「妨げるものではない」とするのであ
れば、調査地点を増やすなどもっと丁寧な調査を行ってもよいのではないかというの
が私の考えである。
・ 現況環境騒音(暗騒音)の測定結果が 50dB を超える非常に高い値が出ているが、経
験上今回の様な地域では 35dB 程度が一般的なレベルである。
・ 事業者からは、河川の音が暗騒音に影響しているとの説明があったが、暗騒音が高い
ため開発行為を行っても騒音レベルに差が生じず、結果として影響がないと評価され
ている。
・ これは、ある意味で河川の音を理由に事業者が逃げているとも捉えられるため、河川
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の音の影響を受けない同類地での現況騒音把握は当然のことと考える。
・ 今回の予測評価においては、生活環境への影響という概念のもと、予測地点を 900m
離れたロッジに設定しているが、生活環境への影響のみならず生態系などへの影響も
考えられるため、ピンポイントの影響予測だけではなく、発生源からの距離減衰を明
確に示し、音が落ちていく状況を定量的に把握することが必要である。
・ 騒音苦情など、周辺地域への説明を必要とする不測の事態に備え、工事開始後も継続
的なモニタリングを行っていただきたい。
・ 騒音と振動はセットで考えているため、振動についても騒音と同等の対応を検討して
いただきたい。
・ 非常口を含めたトンネル出口から発生する微気圧波については、現在事務局と相談し
ているところだが、答申でも触れておいたほうがいいのではないかと考えている。
○増沢委員
・ 植物が直接的に影響を受けるのは、トンネル坑口周辺で取り去られたり埋められてし
まうことであり、完全に元通りにするのは難しいが、誠意をもって確実に修復を行う
ことが必要である。
・ 発生土置き場についても、土を置けば必ず植物はつぶされてしまう。指定されている
貴重な植物は、単に周辺に移植するのではなく、その生育を管理できる場所で丁寧に
移植していただくことを要望し、答申にも反映されている。
・ 動物と植物は一体であり、特定の種のみを保全することはできない。食草の問題もあ
るが、動物と植物はセットで考えて、どのようにその環境をオフセットしていくかが
重要である。その点についても、答申に盛り込んでいただいている。
・ ユネスコエコパーク登録が損なわれることはあってはならない。本会とは別に、ユネ
スコエコパーク登録検討委員会としても意見を提出し、22 ページにわたる回答をい
ただいている。
・ エコパークは静岡県のみならず、山梨県、長野県にも関係するため、3県すべてに影
響がないように、要望している。
・ 移行地域について、事業者は「経済活動をしてもよい地域」と認識しているようだが、
我々との認識が異なっている。ユネスコエコパークの移行地域とは、自然をよく理解
し、環境の復元や工事方法の配慮が求められる地域のことである。
・ 事業者には、自然を十分に理解・認識することが求められる。当然、下請けの業者を
含むすべての工事関係者が自然の重要性を理解・認識した上で工事を行うことが求め
られる。
・ これらの取組が行われて、はじめてユネスコエコパークの移行地域として成り立つも
のであり、これらの取組こそが「人と自然との共生」である。
・ 人と自然との共生が図られていなければ、ユネスコエコパークへの登録は難しい。
・ これらの趣旨を凝縮して答申にまとめていただいた。
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○三宅委員
・ 調査結果等の開示について指摘してきたが、未だに不十分な点もあるため、評価書で
はしっかりと示していただきたい。
・ 南アルプスでは、工事の実施による猛禽類への影響が最も大きくなると思われるが、
工事の影響で繁殖行動が中止したという例もあるため、事業者には事後調査も含めし
っかりと対応していただきたい。
・ 環境影響に対する対応が、
「できる限り」
「可能な限り」といった抽象的で曖昧な回答
に終始しているため、答申では具体的な対応方法を示すよう求める必要がある。
・ 例えば、排水の問題に関して言えば、
「高度処理設備を導入すること」だけではなく、
具体的にどのような設備をどのように導入していくかまで踏み込んで求めていくこ
とが必要であり、それを評価書に書かせるように求めていくことが必要ではないか。
・ 斜抗を掘るということ自体に多くの問題を抱えていると考えている。本当に静岡県内
に斜坑がないとトンネルは掘れないのか。斜坑の必要性も含めて、再度検討していた
だきたいと思っている。
○村上委員
・ 答申案では、これまでの発言をうまくまとめていただいたと感じている。
・ 長年拡散計算を行ってきた中で、その弱点も十分理解しているが、事業者の示す調査
結果を見る限りは十分な誠意が感じられないため、厳しい意見も出させていただいた。
・ 特に、フュミゲーションのような「最悪の状態」を想定したデータが全くないことに、
事業者の誠意を感じない。
・ 予測地点も3地点のみであるが、現在のコンピュータでは容易に計算することは可能
であり、疑問を持つ方に対して説得力のないデータとなっている。
・ 山岳地形でも影響がないということを丁寧に説明する姿勢があれば、濃度の分布図を
付けるだけで済むことである。
・ 工事開始後は、大気等の状態を観測するステーションを作り、継続的なモニタリング
と計測データを公表していくべきだと思っている。
・ 事業者が、地元住民や大井川流域の関係者の合意を得たいのであれば、当然の努力を
すべきであると考えている。
○横田委員
・ 発生土は、廃棄物の定義(汚物、不要物)から考えても廃棄物ではないと考える。
・ 今回の事業は通常とは異なり、静岡県の地下を通過するだけという特殊な事業である。
・ 通常の発生した土砂は、切土、盛土でプラスマイナスゼロになり、処理できない分は
オフサイトに持ち出すのが一般的だが、今回の事業ではすべてが事業区域内に残るこ
とが通常と異なる点である。
・ 発生する廃棄物としては、長期間の工事によって生活系の一般廃棄物も産業廃棄物も
相当な量が出るはずである。
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・ 今回の事業では、圧倒的に発生土による影響のウエイトが大きいために、発生土に関
する指摘に終始してしまったが、通常の廃棄物の扱いでは、具体的な処理方法まで示
す必要があり、現在の内容では書き足らないように感じる。
・ 廃棄物が嫌われる理由としては、廃棄物が出ることは致し方ないが、私の裏庭には持
ち込まないでほしい(Not In My Back Yard)、というのが大半である。
・ 南アルプスでは周辺に生活圏はないものの、日本国民の裏庭、世界遺産の1つと考え
ても過言ではない。日本の屋根と呼ばれる南アルプスであるため、万人の関心をもっ
て工事中、供用開始後の影響を考えていく必要がある。
・ 南アルプスでは様々な監視の目が入らず、事業者の良心に依るところが多々あるため、
環境アセスメントの段階でこれらの点をしっかりと認識していただいた上で事業に
臨んでいただく必要がある。
・ 表現の修正としては、8(2)の自然力の一番大きな力として「地震動」を加え、風
等の「等」を取り、発生土に影響を与える要因としては人工的な力もありうることか
ら、自然力のあとに「等」を加えていただきたい。
○佐藤副会長
・ 答申全体の感想として、専門家の視点では今回のアセスはデータが不十分な状態で予
測評価されたものであり、それぞれの分野において、不十分あるいは誠意がないとい
った指摘がされているという印象を受けた。
・ また、必要に応じて環境保全措置の見直しや計画自体の見直しについても指摘がなさ
れたという風に捉えている。
・ 流量減少について、先日関係市町村からの意見書が提出されたが、答申の中では流量
減少に関する問題をどのように取り上げていくか。流量の減少は、自然環境のみなら
ず下流域に住む人々の生活・経済活動への影響も懸念されるため、それらについても
触れるべきではないか。総論にも記述があるため、各論にも同様のことを盛り込んで
はどうか。
・ 特に関心を持ってユネスコエコパークに対する意見について確認をしたが、中央新幹
線建設事業がユネスコエコパーク登録の阻害要因とならないよう、事業者には我々の
懸念を払拭するための万全で実効的な措置を求めていきたい。
・ 増沢委員からも指摘があったが、移行地域だから工事をしても支障がないのではなく、
3つの地域が成り立ってユネスコエコパークを構成しているという認識を事業者に
持っていただくよう、今後対応していただきたい。
○岩堀会長
・ 工事によって必ず発生する工事排水(汚水)と、人が住むことによって発生する生活
排水(汚水)の影響はすぐに表れるため、より高度な処理を実施し、水環境への影響
がないよう適切に処理(浄化)していただきたい。
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○村上委員
・ 修正:フュミゲーションに相当する気象状態⇒フュミゲーションに相当する状態をも
たらす気象状態(※後ほど「状態」を「状況」に修正)
○平井委員
・ 提案:廃棄物(建設発生土)⇒廃棄物・建設発生土
併記にしてはどうか。
○横田委員
・ 事務局の取りまとめ方に合わせていただければ問題ない。
●事務局
・ 準備書の表現では「廃棄物等」となっているため、廃棄物等(建設発生土)とする。
○平井委員
・ トンネル微気圧波について触れたほうがよいのではないか。
●事務局
・ 方法書では微気圧波に関する記述があったが、準備書には記載がされていない。
・ 答申に盛り込まれないようであれば、市長意見の段階で追加したいと考えている。
・ 斜抗の距離が長いということもあり、影響は小さいという事業者から説明があったが、
影響がないのであればその旨の記述を求めていく必要はあると考えている。
○平井委員
・ 市長意見を形成する中で、事務局として盛り込んでいただければ構わない。
○岩堀会長
・ 我々の答申は、専門の立場からの意見を市長に挙げるものである。答申の内容がその
まま市長意見になるということではないということを御理解いただきたい。
●事務局
・ 微気圧波については、斜坑は地上部に出る影響要因のひとつであり、その影響につい
ては事業者に指摘しておく必要があるため、答申の中に盛り込んでも良いのではない
かと考えているがいかがか。
○村上委員
・ 微気圧波が音になるためには、非常口の開口部が開いている必要があるが、供用開
始後の非常口は通常閉じている状態だとすれば、考慮する必要はないのではないか。
○平井委員
・ 閉じた状態での管理が理想的であるため、供用開始後の対策、管理の方法として微気
圧波の影響に対する対応を求めても良いのではないかと考えている。
○岩堀会長
・ 異論がなければ、追加するということでよろしいか。(異論なし)
○狩野委員
・ トンネル本体の安全性や地下水の問題に対する懸念を払拭するために、事業者にボ
7
ーリングコアの開示を要望したところ、写真で確認させていただいた。
・ 元々岩盤については心配していなかったが、地表の風化や大きな破砕帯などについ
て調査した結果、大きな懸念材料となるものはないことが確認できたため報告させ
ていただく。
・ 私の他にも、県審査会の和田会長も同席の上で確認した。
○佐藤副会長
・ 流量減少については、問題の性質からして、この答申内で下流域の生活・経済活動へ
の影響懸念を記述するべきかどうか。
○岩堀会長
・ 4(2)自然環境をはじめ様々な影響 ⇒
自然環境や、下流域の生活・経済活動な
ど様々な影響 に変更する。
・ 答申案修正のタイムリミットはいつか。
●事務局
・ 14 日に市長へ答申をいただく予定となっているため、その間に必要な修正を行う。
○岩堀会長
・ 追加意見があれば、明日の午前中までに事務局に提出していただき、それを元に私が
内容をチェックし、手に余るようであれば佐藤副会長に相談しながら作成していく。
○佐藤副会長
・ 人と自然との触れ合いの場の中で、5ページの2~3行目「事業活動が行われる区
域内すべてにおいて配慮すること」とあるが、目的語がなく何を配慮するのかわか
らないので、具体的に表現すべきではないか。
●事務局
・ この項目の趣旨としては、景観、人と自然との触れ合いの場(観察、散策活動)へ
の影響について述べているものである。
・ アセス制度の中では、主要な眺望点や触れ合いの場に限られているが、南アルプス
内では全域において人と自然が触れ合う活動に配慮していくべきであるというもの。
・ 表現については、分りやすいように文書を追加する。
(2)今後のスケジュールについて
【質疑応答】
○佐藤副会長
・ 今日の答申及び市長意見を、事業者がどう受け止めてどのように対応するか次第だ
が、様々な懸念を払拭するためにも、法令の手続が終了する前段階で、データと情
報の開示や意見交換、必要な場合は計画を見直すなどの協議が必要であるという委
員の指摘であるが、法手続以外での協議を、どのように担保していけるか。
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●事務局
・ 今回の答申はしっかりと市長意見に反映させ、その後の知事意見において市長意見
を反映させていただくよう努めていく。
・ 知事から事業者に意見を伝えていく中で、委員の皆様の御指摘である専門家との協
議等について評価書に記載させることにより、その取組を担保していく必要がある。
・ それ以上の対応については、事業者に誠意ある対応を市としても求めていきたいと
考えている。
○岩堀会長
・ 当初は答申書の内容がどのようになるのか不安もあったが、年末年始を通して各委
員が意見を確認・修正していただいたおかげで、立派な答申ができあがったことに
ついて、皆様に感謝申し上げたい。
以上、会議終了。
上記内容を確認しました。
静岡市環境影響評価専門家会議 会長
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