ローマのカラムカラム

LC/MS による農薬の一斉分析
（サーモクエスト、Universita’ di Roma）
○生澤英典・山岸陽子・窪田雅之・清波麗子・ Rao R.P ・ Di Corcia, Prof. A
LC/MS Analysis of Neutral, Acidic and Basic Pesticides
(ThermoQuest, Universita’ di Roma）
○Ikezawa H ・ Yamagishi Y ・ Kubota M ・ Kiyonami R ・ Rao R.P ・ Di Corcia, Prof. A.
＜はじめに＞
性質の異なる複数の農薬を一度の LC 分析
で分離し同定あるいは定量することは分析
の効率化の観点から非常に重要である。近
年 Unverstia’ Di Roma の研究グループに
より中性、塩基性、弱酸性の農薬の一斉分
析法の開発が行われた。UV や DAD を検
出器に用いた場合、一斉分析において構造
が類似した成分が隣接して溶離されるとそ
の同定が困難となる場合が多い。一方、質
量分析計を検出器として用いた場合には質
量を手がかりとしてより容易に同定するこ
とができる。また MS/MS あるいはソー
スフラグメンテーションを利用することに
より、一度の分析で分子量情報だけでなく
構造情報も得ることができる。本研究では
29 種類の農薬を HPLC と大気圧イオン化
法を用いたシングルステージの質量分析計
と組み合わせ、質量を手がかりに分離同定
を行った。特に類似した構造を持ち近接し
て溶離する成分についてはソースフラグメ
ンテーションを用いて同定を行った。また、
質量分析で最適化を行うために移動相の
pH と HPLC の分離および質量分析計での
感度との関係についても検討を行ったので
報告する。
＜方法＞
HPLC 分析における移動相は 1ｍＭギ酸
酸水溶液とメタノールを用いｐH は質量分
析計の感度と LC の分離条件から決定した。
カラムには Hypersil C18 250ｘ4.6ｍ
ｍ（ThermoQuest 社製）を用いメタノ
ール 20-100％でグラジエント分析を行
った。質量分析計には ThermoQuest 社
製 Finnigan AQA（シングルステージ四
重極型）を用い、測定は ESI ポジティブで
Scan（m/z=75-500）モードで分析を
行った。コーンボルテージは同時に 20V
あるいは、ソースフラグメントを誘発させ
るために 40 および 60V で測定した。ソ
ースフラグメントの解析には質量分析計の
シ ス テ ム ソ フ ト 上 で Mass Frontier
（HighChem）を用いた。
<結果>
Fig.1 にトータルイオンクロマトグラムを
示したが良好な分離が得られていることが
わかる。Fig.2 に 24 分から 28 分の拡大
図を示したが、スペクトルから Fig.3 に示
したような構造が類似した 3 成分が溶出
していることがわかった。このうち 29.61
分と 26.96 分の成分は質量が同じであっ
たため、フラグメントイオンの比較により
同定を行った。それぞれの成分のフラグメ
ントスペクトルは Fig.4、5 にそれぞれ示
したが Mass Frontier で構造を作成しフ
ラグメントの予測を行った結果（Fig.6）、
先に溶出した成分が Prometryn で後に溶
出する成分が Terbutryn と同定された。
このように質量分析を HPLC の分離と組
み合わせることにより一度の分析で非常に
容易に化合物の同定を行うことができる。
ポスターではさらにｐH と分離の最適化お
よび質量分析計の感度との関係についても
報告する。
Fig.1.Separation of 29 pestisides
Figure 3. Compound structures
Fig.2 Portion of the chromatographic mixture
separation known to containthree basic pesticides;
Ametryn, Prometryn and Terbutryn
Figure4. Mass spectrum of compound at RT 26.61 mins
Figure5. Mass spectrum of compound at RT 26.96 mins Figure 6. Mass Frontier fragmentation results for Prometryn