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プロジェクトの全体概要・LCA調査報告

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プロジェクトの全体概要・LCA調査報告
第1回「超低損失柱上トランス用材料の研究
開発」(事後評価)分科会
資料6-2
「即効的・
革新的エネルギー環境技術開発」
超低損失柱上トランス用材料の開発
開発期間 H10~H13(4年計画)
2002/10/21
NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)
省エネルギー技術開発室
1
報告内容
• プロジェクトの背景、目的、開発内容
• プロジェクトの概要、成果 (次世代金属・材料開発協会)
• LCA調査 (富士総研)
2
1
第1回「超低損失柱上トランス用材料の研究
開発」(事後評価)分科会
資料6-2
「即効的・革新的エネルギー環境技術開発」
温暖化ガスの着実な削減に向け、1997制定
1. 省エネルギー型金属ダスト回生技術の開発
2. 超低損失柱上トランス用材料の開発
3. 極低電力情報端末用LSIの研究開発
4. SF6等に代替するガスを利用した電子デバイス製造 クリーニングプロセスシステムの研究開発
5. 可燃ごみ再資源燃料化技術開発
6. 吸着剤を用いた新規な天然ガス貯蔵技術開発
7. 産業用コージェネレーション実用技術開発
8. 即効型高効率太陽電池技術開発
3
鉄損による電力損失
総販売電力量7,570億kWh(1995)の0.8%
→ 61億kWh (原油換算57万kl)の損失
→ 鉄損によりCO2 排出量 411万トン
4
2
第1回「超低損失柱上トランス用材料の研究
開発」(事後評価)分科会
資料6-2
トランス鉄心材料
珪素鋼板 柱上トランス用材料として主流
鉄基アモルファス合金
トランス用材料として一部で使用
珪素鋼板に比べ、鉄損は1/5、飽和磁束密度は3/4
↓
ナノ結晶軟磁性材料
近年開発される
低い鉄損、かつ高い飽和磁束密度
5
国の関与の必要性
柱上トランス鉄損削減の実用技術
現状:アモルファス合金の利用技術のみ
→米国企業1社による材料の独占供給状態
安定供給不安
国内の状況:ナノ結晶軟磁性材料の研究(東北大学)
→トランス鉄損1/10削減の期待
↓
新材料実用化のためには多くのブレークスルーが必要
民間のみでは2010年にある程度の普及、実用化は困難
→国の支援のもとで開発の加速が必要
6
3
第1回「超低損失柱上トランス用材料の研究
開発」(事後評価)分科会
資料6-2
開発の内容
・材料開発
低い鉄損:珪素鋼板の1/10以下
高い飽和磁束密度
:鉄基アモルファス合金以上
良好な加工性
・薄帯製造技術
幅広薄帯の大量生産
ガスフローによる雰囲気制御
・柱上トランスの試作・評価
鉄損:従来の1/10程度
7
研究開発体制
経済産業省
NEDO
東北大学 金属材料研究所
次世代金属・複合材料
研究開発協会(RIMCOF)
LCA
富士総研
高性能材料開発
幅広薄帯製造技術
柱上トランス
試作・評価
アルプス電気
大同特殊鋼
高岳製作所
8
4
第1回「超低損失柱上トランス用材料の研究
開発」(事後評価)分科会
資料6-2
超低損失柱上トランス用材料の開発
1.研究開発の目的
2.研究開発目標
3.研究開発体制
4.研究開発の成果
5.実用化と課題
9
研 究 開 発 の 目 的
省エネルギー
CO2排出量削減
送 電 損 失 の 削 減
柱上トランスの無負荷損低減
超低損失柱上トランス用材料の開発
高性能材料
の開発
幅広薄帯製造
技術の開発
柱上トランス
の試作・評価10
5
第1回「超低損失柱上トランス用材料の研究
開発」(事後評価)分科会
資料6-2
研 究 開 発 の 目 標
高性能材料の開発
幅広薄帯製造技術の開発
基本計画 目標値
基本計画 目標値
鉄 損
珪素鋼板の
1/10以下
0.1 W/kg 以下
飽和磁
束密度
鉄基アモルファ
ス合金以上
1.56T以上
加工性
( 破壊歪)
良好な
曲げ性
ラップカット鉄心作
製可能
(鉄基アモルファス合金と同等 )
材 幅
幅広薄帯
量産技術
ガスフローによ ガスフローによ
る雰囲気制御 る雰囲気制御
100mm以上
加工性
柱上トランスの試作・評価
全損失
無負荷損 鉄損
誘電体損他
負荷損 銅損
漂遊負荷損
基本計画 目標値
無負荷損
従来の1/10程度
20kVAで6W程度
11
基本計画では「鉄損」と表現
鉄 心 材 料 に 求 め られ る 性 能
CL ∝ I
L× M
(
W) (W/kg) (kg)
低鉄損
珪素鋼板より桁違い
に低い鉄損
↓
送電損失の削減
↓
CO2 排出量削減
石油使用量削減
高飽和磁束密度
B× S ∝ V
(T) (㎡)
(V)
鉄基アモルファス合金 より高い飽和磁束密度
↓
トランスの小型化
超低損失柱上 トランス用材料
ラップカット
鉄心
広い材幅
W
W
2W
大型鉄心が作製可能 鉄基アモルファス合金 と同等の材幅
↓
工程・コスト低減
良好な加工性
ラップカット鉄心 加工が可能
巻線
↓
コスト低減
12
6
第1回「超低損失柱上トランス用材料の研究
開発」(事後評価)分科会
資料6-2
軟 磁 性 材 料 の 磁 気 特 性
(Fe-Nb・Zr-B )
飽和磁束密度が高く
、
透磁率の大
飽和磁束密度が高く
、
透磁率の大
きい鉄・遷移金属系ナノ結晶合金
きい鉄・遷移金属系ナノ結晶合金
が研究開発対象
が研究開発対象
Bs
μ=B/H
H
(Fe-Si-B)
13
鉄心材料の特性比較
飽 和 磁 束 密 度 ︵
2.0
1990年頃東北大学で 開発した国産技術
珪素鋼板
1.75
ナノ結晶
軟磁性合金
( Fe-Nb・Zr-B)
1.5
T
1.25
20世紀初頭 英国で開発
鉄基アモル
ファス合金
︶
1980年頃 米国で発売
0.01
0.1
1.0
鉄 損 (w/kg、50Hz、Bs×0.85)
14
7
第1回「超低損失柱上トランス用材料の研究
開発」(事後評価)分科会
資料6-2
鉄 損 と無 負 荷 損 の 目 標 値
飽 和 磁 束 密 度 (T)
(W )
無 負 荷 損
(電中研研究報告書 № 685016 等 )
JISC4304
珪素鋼板
100
目標
50
6W
目 標
150
2.0
10W
Fe-Si-B
1.56
1.5
1.0
試作目標
〔20kVA〕
0
10
20
0.2
0.1
30
鉄
損
0.3
(W/kg )
材料特性と無負荷損
トランス 容 量 (kVA )
15
幅広薄帯製造技術の開発目標
不活性ガス
ガスフローによる酸化防止技術を開
ガスフローによる酸化防止技術を開
発し、活性金属元素を多量に含有す
発し、活性金属元素を多量に含有す
るナノ結晶軟磁性合金幅広薄帯の
るナノ結晶軟磁性合金幅広薄帯の
量産化に目処をつける
量産化に目処をつける
薄帯
最大幅25㎜
厚 25μ m
溶湯(数kg)
不活性ガス
溶湯(100kg)
不活性ガス
真空容器
薄帯
真空ポンプ
ロール
真空中液体急冷法
(従 来 技 術 )
幅100㎜以上
厚 25μm
ロール
Fe-Si-B:大気雰囲気
材幅 140∼210㎜
厚 25μm ガスフロー中液体急冷法
(開 発 技 術 )
16
8
第1回「超低損失柱上トランス用材料の研究
開発」(事後評価)分科会
資料6-2
研究開発の年度別計画
研 究 開 発 項 目(再委託先)
平成10年度
高性能材料の開発(アルプス電気)
・組成最適化
平成12年度
平成13年度
(Fe- Nb・Zr-B+Mo, P, Sn・・・)
最
・組成探索
平成11年度
ナノ結晶軟磁性材
料で開発実績
終
・特性・構造評価
幅広薄帯製造技術の開発(大同特殊鋼)
・ガスフロー中製造技術検討
(材 幅 50 ㎜ )
評
・プロトタイプ機で技術研究
(材幅 15 ㎜ )
活性金属の液体
急冷法研究
(材幅 100 ㎜ )
・幅広薄帯製造技術開発
・小型トランス試作・評価
・柱上トランス試作・評価
予
価
柱上トランスの試作・評価(高岳製作所)
(トロ イダルコア)
鉄基アモルファス
( 500VA
,
20kVA
)
トランスの製造実績
算 (合計1,526百万円)
253
350
563
17 360
9
研 究 開 発 実 施 体 制
共同研究
(財)次世代金属・複合
材料研究開発協会
東北大学 金属材料研究所
再委託
連携・競合
アルプス電気株式会社
大同特殊鋼株式会社
株式会社 高岳製作所
年5回開催
技術委員会
委員長 :東北大学 井上明久教授
副委員長:信州大学 山沢清人教授
委 員:秋田県立大学牧野彰宏教授
:委 託 先 ,再 委 託 先 研 究 員
18
9
第1回「超低損失柱上トランス用材料の研究
開発」(事後評価)分科会
資料6-2
研 究 開 発 の 成 果
高性能材料の開発 幅広薄帯製造技術の開発 目 標 値 実 績 値
目 標 値 実 績 値
Fe-Nb-B-Sn
0.08W/kg
飽和磁
束密度
1.56T以上
加工性
ラップカット鉄心
作製可能
~
0.1W/kg以下
鉄 損
材 幅
0.10W/kg
1.56~1.62T
100㎜
100㎜以上
Fe-Nb-Bで0.10W/kg
Fe-Nb-B
ラップカット鉄心作製困難
⇒ノーカット鉄心に変更
ガスフロー
による雰囲
気制御
量産技術
(破壊歪) (鉄基アモルファス合金と同等)(鉄基アモルファス合金に及ばない)
減圧による
雰囲気制御
柱上トランスの試作・評価 目 標 値 実 績 値
無負荷損
(20kVA)
6 W 程 度
Fe-Nb-B
14W
⇒ Fe-Nb-B-Snで6W(
見込)
19
省 エ ネ ル ギ ー 達 成 率
30
150
目標達成率
電力損失削減量
無負荷損
100
20
10
50
2 0 kVAの 無 負 荷 損 (W)
電 力 損 失 削 減 量 (億 k W h)
目 標 達 成 率 (% )
電力削減目標に対する達成率は、試作で85%、最良設計で100%
電力削減目標に対する達成率は、試作で85%、最良設計で100%
0
0
目 標
試 作
設計(最良) 鉄基アモルファス合金20
(参考)
10
第1回「超低損失柱上トランス用材料の研究
開発」(事後評価)分科会
資料6-2
成 果 の 普 及 、広 報 実 績
1.
件
1.発表論文:
発表論文: 99件
2.
17件
2.口頭発表:
口頭発表:17件
3.
19件
3.特許出願:
特許出願:19件
4.
3件
4.広 広 報:
報:
3件
21
実 用 化 の シ ナ リオ
高性能材料の開発
最高性能のFe-Nb-B-Sn合金 を適用
幅広薄帯製造技術の開発
特性の安定した幅広薄帯 の量産技術を構築
更に、原料コスト低減を推進
(普及初期の国家的支援に期待)
柱 上 トランスの試作・評 価
試作トランスでフィールドテスト実施
更に、温室効果ガス国内排出量取引制度 (京都メカニズム)適用化等を研究
22
11
第1回「超低損失柱上トランス用材料の研究
開発」(事後評価)分科会
資料6-2
関連分野への展開
車載トランス、民生用小型トランス用鉄心材料
スイッチング電源用チョークコイル
特殊ろう材 (Ti-Zr-C u-N i合金薄帯)
耐 食 ア モ ル フ ァ ス 帯
23
15
高 性 能 材 料 の 開 発
Fe-Nb-B-Snで目標達成
Fe-Nb-B-Snで目標達成
鉄損:
0.08W/kg(
≦0.1W/kg)
鉄損:
0.08W/kg(
≦0.1W/kg)
飽和磁束密度:
1.56T(
≧1.56T)
飽和磁束密度:
1.56T(
≧1.56T)
アルプス電気
加工性は目標未達
加工性は目標未達
⇒鉄心の加工方案をラップカット方式から
⇒鉄心の加工方案をラップカット方式から
ノーカット方式に変更して対処
ノーカット方式に変更して対処
目標
鉄基アモル ファス合金
Fe-Zr-Nb-B
合金
測定方法
R
Fe-Nb-B-Sn
合金
破壊歪λf =d/(R-d)
Fe-Nb-B
合金
R:
曲げ直径 d:板厚
1
100
10
破 壊 歪(×
10 -3)
24
12
第1回「超低損失柱上トランス用材料の研究
開発」(事後評価)分科会
資料6-2
幅広薄帯製造技術の開発
大同特殊鋼
雰囲気制御方法は目標変更 ガスフローでは薄帯の表面性状安定せず、
磁気特性低い ⇒ 減圧雰囲気に変更
材幅 波目標達成 減圧雰囲気下で幅100㎜薄帯 の製造技術を開発
ガ ス フ ロ ー
0.19W/kg 0.1µ m
減 圧 雰 囲 気
試 作 条 件
材料 Fe-Nb -B合金
差圧 20kPa
雰囲気圧
出湯温度
0.10W/kg 0.1µ m
薄 帯 の 表 面 観 察
薄 帯
幅 :100mm
5kPa
1,480℃
鉄損:0.10W/kg
ロール周速 25m/s
ノズル 0.3 ×100 mm
25
ノズル/ロール間隙0.3mm
柱上トランスの試作・評価(20kVA)
高岳製作所
Fe-Nb-B合金薄帯での試作結果 :無負荷損 14Wで目標未達
⇒ Fe-Nb-B-Sn合金の設計値 :無負荷損 6.2Wで達成見込
材料
鉄損(W/g) 質量(kg) 無負荷損(W)
試作実績 Fe-Nb-B 0.134 77 14
設計値 Fe-Nb-B-Sn 0.08 70 6.2
安定量産技術開発
④⑤⑥
鉄心に銅塊を接触させ、発熱による加熱を防止
⑧
〔500VA〕
①②③
⑦
⑨
(1)ノーカット鉄心
鉄心 銅塊
(2)熱処理方案
フィールドテスト実施
(3)鉄心完成
26
(4)柱上トランス外観
13
第1回「超低損失柱上トランス用材料の研究
開発」(事後評価)分科会
資料6-2
開 発 課 題 の 展 開
開発課題
発表者
高性能材料
の開発
アルプス電気
小島 章伸
幅広薄帯製
造技術の開
発
技術アイテム
目 標
達 成 状 況
未達課題の代案
鉄損
0.1W/kg以下
0.08W/kg(Fe-Nb-B-Sn)
○
飽和磁束密度
1.56T以上
1.56T(Fe-Nb-B-Sn)
○
加工性
(破壊歪)
ラップカット鉄心作
製可能(鉄アモルファ
ス合金並)
ラップカット鉄心作製困
難(鉄アモルファス合金の1/2) △
信頼性
柱上トランスに使
用可能
経時変化は鉄アモルファス
合金より小
○
100㎜以上
幅100㎜薄帯製造
(減圧雰囲気)
○
ガスフロー雰囲気
減圧雰囲気
△
○
材幅
量産技術
原価低減
合金鉄原料使用
幅広薄帯の鉄
損
0.1W/kg以下
0.10W/kg (減圧雰囲気)
○
(Fe-Nb-B)
柱上トランス
の試作・評価
無負荷損
(20kVA)
6W
14W 注 1
(Fe-Nb-B, ノーカット鉄心)
△
高岳製作所
森口 益巳
熱処理条件
最適化
抜熱+2段熱処理を開発
○
鉄心構造
ラップカット鉄心
ノーカット鉄心
△
大同特殊鋼
清水 孝純
無負荷損=α×鉄損×質量 (注1)14=1.4×0.134×77 実用化への課題
(Fe-Nb-B-Sn合金を
量産へ適用)
ノーカット鉄心に変更
減圧雰囲気に変更
(柱上トランスの項
による)
Fe-Nb-B-Sn合金で
鉄損0.08W/kgの幅
広薄帯(140-210㎜)
を安定量産可能な
製造条件の最適化
Fe-Nb-B-Sn薄帯最適
加工・熱処理適用で
6W 注2 達成
試作トランスのフィー
ルドテストによる評
価を実施
ノーカット鉄心に変更
鉄心の加工・熱処理
条件最適化
(注2) 6≒1.1×0.08×70
27
超低損失柱上トランス用材料の研究開発
ー LCA調査報告 ー
2002年10月21日
28
14
第1回「超低損失柱上トランス用材料の研究
開発」(事後評価)分科会
資料6-2
目次
1.ライフサイクルアセスメント(LCA)とは
2.LCA調査の目的等
3.評価条件の設定
4.評価のための計算方法
5.調査結果(インベントリ分析結果)
6.総括
29
1.ライフサイクルアセスメント(LCA)とは
製品の「ゆりかごから墓場まで」−原料の採掘、製造、輸送、使用、廃棄と
いった各製品のライフサイクル全体にわたってのトータルな環境負荷を評価
する手法
【製造】
【輸送】
【使用】
【廃棄】
製品A
製品B
30
15
第1回「超低損失柱上トランス用材料の研究
開発」(事後評価)分科会
資料6-2
2.LCA調査の目的等
• 超低損失柱上トランス用材料を鉄心とした柱上トランス(革新トラン
ス)
のライフサイクル全体に関わる環境負荷の定量的評価
? 評価条件の設定
⇒ 評価対象機器等の設定
⇒ 調査範囲の設定
⇒ 評価項目
? 既存技術及び革新技術のLCA評価
⇒ 比較対象となる既存トランスについてもLCA評価
⇒ インベントリ分析の実施(
ISO14041に準拠)
31
3.評価条件の設定
• 評価対象
⇒ 30kVAの柱上トランス
⇒ 比較対照(既存トランス)は30kVA珪素鋼板鉄心柱上トランス
• 調査範囲の設定
素材製造工程
トランス製造工程
トランス配送工程
トランス使用工程
トランス廃棄工程
• 評価項目
⇒ エネルギー消費量
⇒ 温室効果ガス(CH4, CO2)
GWP100年値によりCO2相当量に換算(
CH4=24)
32
16
第1回「超低損失柱上トランス用材料の研究
開発」(事後評価)分科会
資料6-2
4.評価のための計算方法
工程
計算方法
• LCA調査は以下のような計算方法により実施した。
省略した工程
・素材製造に関わる海外生産工程 ( 絶縁油を除く)
・設備製造に関わる全ての工程
・トランス設置工程、回収工程
素材製造工程
・トランスに占める重量割合が大きい「油、鉄心、銅線、鉄、ステンレス」について算定
・革新技術については、鉄心を除き既存技術と同素材で、重量は既存技術の 1.3 倍(ヒアリング)
と仮定
トランス製造工程
・既存技術については 1kVA 当たりの製造エネルギー( 実測値) より、比例計算
・革新技術については製造工程がまだ不明のため、既存技術と同じ値を使用
トランス輸送工程
・「トランス製造工場→電力会社資材センター→トランス設置工事会社」までの輸送距離と輸
送重量( ヒアリング調査)より試算
トランス使用工程
・既存技術のトランス(30kVA) の鉄損は 83.4[W]、革新的技術のトランスは既存技術の 10 分の
1(8.34[W]) と仮定
・使用期間は法定耐用年数の 18 年として試算
・既存技術、革新技術ともに、送電端電力の 0.3%が日本全国の銅損量と仮定し、それを予想ト
ランス台数で除したものをトランス 1 台当たりの銅損として試算
・送電端電力は年 2.1%で増加すると仮定
トランス廃棄工程
・銅線をリサイクルする際、付着している浸油紙を焼却除去するために用いる A 重油量(ヒア
リング調査) から試算
33
5.調査結果①(インベントリ分析結果ー図)
•
ライフサイクル全体でのエネルギー消費量、温室効果ガス排出量比較
[ MJ ]
既存技術
素材製造
トランス製造
トランス配送
トランス使用(銅損)
トランス使用(鉄損)
トランス廃棄
革新技術
0
50,000
100,000
150,000
200,000
図 エネルギー消費量比較
[ kg-CO2換算 ]
既存技術
素材製造
トランス製造
トランス配送
トランス使用(銅損)
トランス使用(鉄損)
トランス廃棄
革新技術
0
1,000
2,000
3,000
4,000
5,000
6,000
7,000
8,000
9,000
図 GHG排出量比較
34
17
第1回「超低損失柱上トランス用材料の研究
開発」(事後評価)分科会
資料6-2
5.調査結果②(インベントリ分析結果ー表)
•
ライフサイクル全体でのエネルギー消費量、温室効果ガス排出量比較
エネルギー消費量
既存トランス
革新トランス
素材製造工程
MJ
2,352
トランス製造工程
トランス配送工程
1,918
0.9
1,918
2.1
45
204,336
0.0
97.8
62
75,604
0.1
81.3
鉄損
61,300
143,036
29.4
68.5
61,300
14,304
65.9
15.4
トランス廃棄工程
計
184
0.1
239
0.3
208,834
100.0
92,982
100.0
トランス使用工程
銅損
%
1.1
MJ
15,159
%
16.3
図 エネルギー消費量比較
GHG 排出量
素材製造工程
既存トランス
kgCO 2
182
トランス製造工程
トランス配送工程
トランス使用工程
銅損
鉄損
トランス廃棄工程
計
%
革新トランス
kgCO 2
2.2
746
%
19.4
107
1.3
107
2.8
4
8,032
0.0
96.3
5
2,972
0.1
77.2
2,410
5,623
28.9
67.4
2,410
562
62.6
14.6
15
0.2
19
0.5
8,339
100.0
3,849
100.0
図 GHG排出量比較
35
6.総 括①
• ライフサイクル全体でのエネルギー消費(既存トランス)
? 「トランス使用工程」が約98% を占め、そのうち鉄損の割合は約69%となっ
ている
⇒ 使用時におけるエネルギー損失(特に鉄損)の低減が重要
• ライフサイクル全体でのエネルギー消費(革新トランス)
? 「トランス使用工程」が約81% を占め、そのうち銅損の割合は約66%となっ
ている
⇒ 既存トランスと比較して鉄損が10分の1となることによって相対的に銅損
の割合が大きくなっている
⇒ 鉄損のみならず、同時に銅損への対策も重要
36
18
第1回「超低損失柱上トランス用材料の研究
開発」(事後評価)分科会
資料6-2
6.総 括②
– 革新トランスと既存トランスの比較
? 使用工程を除いた全ての工程で革新技術トランスのエネル
ギー消費量が同じか、大きい
⇒革新トランスは鉄心製造時のエネルギー消費量が大きい上、
鉄心体積が増加に起因し、他の材料の重量が増加
? しかしライフサイクル全体で比較すると、革新トランスの方
がエネルギー消費量が小さく、GHG排出量を約54%削減で
きる
⇒革新トランスによる鉄損削減効果が非常に大きい
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