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胃酸分泌抑制効果の比較検討 胃酸分泌抑制効果の比較検討

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胃酸分泌抑制効果の比較検討 胃酸分泌抑制効果の比較検討
ラベプラゾール Na 錠10mg「サワイ」と
パリエット ® 錠10mg の
胃内 pH モニタリングによる
胃酸分泌抑制効果の比較検討
福嶋 康之 1),清末 有宏 1),根岸 飛鳥 1),柳 理絵 1),服部 美弥 1),
志村 陽子 1),齋藤 壽仁 2)
1)東京駅センタービルクリニック,2)東京女子医科大学東医療センター内科
Key words :ラベプラゾール,胃内 pH モニタリング,高 pKa,
プロトンポンプ阻害剤,後発医薬品(ジェネリック医薬品)
より,その酵素活性を不可逆的に阻害する 5 )。プロト
はじめに
ンポンプ阻害剤は,胃酸分泌機構の最終プロセスであ
るプロトンポンプ自体を不可逆的に阻害するため,そ
+
プロトンポンプ(H ,K
+
- ATPase)は,胃底腺粘
の胃酸分泌抑制効果は強力である。そのため,胃潰
膜の壁細胞内細管小胞に存在し,胃酸分泌刺激に反応
瘍・十二指腸潰瘍・逆流性食道炎の治療薬として,汎
し細胞内分泌細管に移動して胃酸分泌に関与する
1 )。
用されている。また,ヘリコバクター・ピロリ除菌療
胃酸分泌刺激は,主に壁細胞のヒスタミン H 2 受容体
法にも抗生物質とともに使用されている。わが国では,
を介するものとムスカリン M3 受容体を介するものがあ
オメプラゾール,ランソプラゾール,ラベプラゾールが
る。前者は,ガストリンおよびアセチルコリン刺激に
上市されている。ラベプラゾールは,他 2 剤と比較し
より ECL 細胞から分泌されるヒスタミンによるもので
て①速効性があること 6 ),②主に非酵素的に代謝され
あり,後者は神経末端から分泌されるアセチルコリン
薬物代謝酵素 CYP2C19 の遺伝子多型の影響を受けに
によるものである。両者は,最終的に壁細胞内細管小
くいこと 7)8)が特徴である。
胞に存在するプロトンポンプを活性化させ胃腺管腔へ
の胃酸分泌をもたらす 2)− 4)。
沢井製薬株式会社で開発された後発医薬品(ジェネ
リック医薬品)であるラベプラゾール Na 錠 10mg「サワ
プロトンポンプは,酵素活性を有するαサブユニッ
イ」は,エーザイ株式会社から発売されているパリエッ
トと酵素活性の無いβサブユニットからなるヘテロダ
ト ® 錠 10mg と同一有効成分を同量(いずれも 1 錠にラ
イマーのダイマー[αβ]2 として存在する。αサブユ
ベプラゾール Na として 10 mg)含有する。ラベプラ
ニットは分子量 114kDa で 10 回膜貫通構造をとり,β
ゾール Na 錠 10mg「サワイ」は,
「後発医薬品の生物学
サブユニットは分子量 33 kDa で 1 回膜貫通構造をと
的同等性試験ガイドライン」9 )にもとづいた生物学的
る。プロトンポンプ阻害剤は,酸による活性化(proto-
同等性試験の結果,パリエット ® 錠 10 mg との生物学
nation)の後αサブユニットの胃腺管腔側に存在するシ
的同等性が既に証明されている 10 )。そのため両製剤を
ステイン残基に S - S 結合を介して共有結合することに
服用時の標的細胞である胃壁細胞近傍での薬物濃度が
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同等である結果,人における胃酸分泌抑制効果も同等
を改正する省令」およびその関連通知ならびに薬事法等
であると推測される。しかし,両製剤のヒトにおける
の関連法規に従い,東京駅センタービルクリニック治験
効果の比較の報告はない。本試験では,生理的条件下
審査委員会にて審議・承認を得た実施計画書を遵守し
における胃酸分泌状態を評価することが可能である胃
て,平成 22 年 6 月から平成 22 年 8 月の間に実施した。
内 pH モニタリング法を用いて,ラベプラゾール Na 錠
10 mg「サワイ」と先発医薬品パリエット ® 錠 10 mg の
胃酸分泌抑制効果を比較検討した。対象は,ヘリコバ
1. 被験者
クター・ピロリ陰性の健康成人男性とした。
日本人健康成人男性志願者を対象とした[20 ∼ 35
歳,Body mass index(BMI)18.5 ∼ 25.0kg/m2]
。事
Ⅰ. 試験薬剤
前健診の結果および被験者の選択・除外基準より試験
参加が適当と判断された被験者 8 例を選択した。ヘリ
使用した薬剤を表 1 に示した。
コバクター・ピロリ感染が存在して,胃体部胃粘膜の
萎縮をともなう萎縮性胃炎の場合は低胃酸になること,
前庭部のみに限局した胃炎の場合は高胃酸になること
Ⅱ. 方法
が報告されている 11 )。同菌感染の胃酸分泌への影響を
避けるため,同菌感染の既往がないヘリコバクター・ピ
本試験は,
「医薬品の臨床試験の実施の基準に関す
ロリ IgG 抗体陰性の被験者を選定した。被験者には,あ
る省令」
(平成 9 年厚生省令第 28 号)ならびに最新の
らかじめ試験の目的・試験方法,予想される危険性な
「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令の一部
どについて十分な説明を行い,文書による同意を得た。
表 1 試験薬剤
名称
ラベプラゾール Na 錠 10mg「サワイ」
パリエット ® 錠 10mg
成分・組成
1 錠中ラベプラゾール Na10mg 含有
1 錠中ラベプラゾール Na10mg 含有
製造
沢井製薬株式会社
エーザイ株式会社
製造番号
6270101
02A44M
図 1 試験デザイン
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臥位,夜間時以外の睡眠を禁止した。試験スケジュー
2. 試験デザイン
ル(表 2 )に従い,医師の診察,生理学的検査および臨
床検査を実施し,試験期間中の被験者の安全性確保を
試験デザインはクロスオーバー比較試験とした(図
。また,試験期間中に発現した自覚症
行った(表 3 )
1)
。被験者 8 名に対して,ラベプラゾール Na 錠 10mg
状・他覚所見については,随時,医師が確認した。薬
®
「サワイ」またはパリエット 錠 10 mg を 1 日 1 回 1 錠
剤投与後に自覚症状・他覚所見で異常が見られた場
4 日間連続投与し,投与 4 日目の服薬直後より 24 時間
合,または生理学的検査・臨床検査値において異常変
にわたり胃内 pH モニタリングを実施した。また,胃
動が認められる場合を有害事象とし,薬剤との関連性
内 pH の日内変動を確認するため,薬剤非投与時の 24
を評価した。
時間胃内 pH モニタリングも行った。
2)胃内 pH モニタリング
1)被験者の管理および観察検査項目
胃内 pH モニタリングは,有線微小ガラス電極(CM -
試験期間中は,試験薬以外の薬剤の使用,アルコー
181 ,ケミカル機器株式会社)を経鼻的に胃内へ挿入
ル類,カフェイン含有飲料,グレープフルーツ含有飲
し,先端部電極を胃体中部に固定留置した。位置の確
食物,セント・ジョーンズ・ワート(セイヨウオトギリ
認は X 線撮影で行った。pH 電極挿入の際には,鼻腔
ソウ)含有食品の摂取および喫煙を禁止とした。試験期
粘膜の表面麻酔を行った。比較電極としては AgCl 電
間中の食事時間については一定にするように指導し,
極(CM - 535 ,ケミカル機器株式会社)を用い,pH 記
測定中はすべての被験者が同一の食品を摂ることとし
録装置(PH - 101ZG,ケミカル機器株式会社)を用いて
た。また pH モニタリング実施中は夜間睡眠時以外の
記録した。また,pH 測定データは,解析ソフト(W-
表 2 試験スケジュール
試験日
時刻
1 日目
8:00
投薬
2 日目
9:00 13:00 19:00
○
3 日目
4 日目
9:00 13:00 19:00 9:00 13:00 19:00 8:00
○
○
9:00
5 日目
13:00 19:00
9:00
○
pHモニタリング
臨床検査
○
○
12 誘導心電図
○
○
自覚症状の確認
医師の診察
○
食事
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
表 3 検査項目
診察
問診,聴診,打診,視診,触診
生理学的検査
身長*,体重*,BMI *,脈拍数,体温,安静時 12 誘導心電図,血圧
血液学的検査
白血球数,赤血球数,血色素量,ヘマトクリット,血小板数,白血球分画
血液生化学的検査
総ビリルビン,直接ビリルビン,AST,ALT,ALP,LDH,γー GTP,CK,総蛋白,アルブミン,
クレアチニン,BUN,尿酸,LDL ー C,HDL ー C,トリグリセライド,Na,K,Cl,グルコース
尿検査
糖,蛋白,潜血,ケトン体,比重,pH
免疫学的検査*
HBs 抗原,HCV 抗体,梅毒血清検査(TPHA 法,ガラス板法)
,HIV 抗原・抗体,
ヘリコバクター・ピロリ IgG 抗体
事前健診でのみ実施した
*
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ICP version 2.2,ケミカル機器株式会社)により解析
動について,被験者 8 名の平均の pH トレンドグラフ
を行った。
をそれぞれ図 2,図 3 および図 4 に示した。
薬剤非投与時においては,食事による一過性の pH
3)胃内 pH モニタリングの評価 24 時間胃内 pH モニタリングにより得られた胃内 pH
については,下記項目で評価を行った。
上昇および睡眠誘発による夜間の pH 上昇を除いて,
pH 1 ∼ 2 を示した(図 2)
。
(図 3)およびパ
ラベプラゾール Na 錠 10mg「サワイ」
リエット ® 錠 10mg(図 4)投与時とも投与後 24 時間に
① 24 時間胃内 pH の変動
わたり胃内 pH は 3 以上を示した。日中においては pH
薬剤非投与時および薬剤(ラベプラゾール N a 錠
®
3.0 ∼ 6.5 と薬剤非投与時に比較して明らかな上昇を示
10mg「サワイ」1 錠,パリエット 錠 10mg 1 錠)投与
した。さらに夜間においては常に pH 3.5 以上を維持し
後 24 時間の胃内 pH 変動について,pH トレンドグラ
ており,夜間の胃酸分泌を強く抑制していた。
フを作成した。
2)pH 3 Holding Time および pH 4 Holding
② pH 3 Holding Time および pH 4 Holding Time
薬剤非投与時および薬剤(ラベプラゾール N a 錠
®
Time
薬剤非投与時および薬剤投与後 24 時間の pH 3
10mg「サワイ」1 錠,パリエット 錠 10mg 1 錠)投与
Holding Time および pH 4 Holding Time について,
後 24 時間における,pH 3 および pH 4 以上を維持す
被験者 8 名の平均値を表 4 に示した。また,薬剤非投
る時 間( 以 下 , pH 3 Holding Time および pH 4
与時および薬剤投与時について,Tukey - Kramer の
Holding Time)を求めた。
HSD 検定を行った結果を,図 5 および図 6 に示した。
pH 3 Holding Time は,ラベプラゾール Na 錠 10mg
③ 24 時間平均胃内 pH
「サワイ」投与時およびパリエット ® 錠 10 mg 投与時と
薬剤非投与時および薬剤(ラベプラゾール N a 錠
も薬剤非投与時と比較して,有意な延長が認められた
10 mg「サワイ」1 錠,パリエット ® 錠 10 mg 1 錠)投
。また,両製剤間においては,有意差は
(表 4 ,図 5 )
与後 24 時間における平均胃内 pH を求めた。
。pH 4 Holding Time
認められなかった(表 4,図 5)
は,ラベプラゾール Na 錠 10 mg「サワイ」投与時およ
びパリエット ® 錠 10 mg 投与時とも薬剤非投与時と比
3.統計解析
較して,有意な延長が認められた(表 4 ,図 6 )
。また,
両製剤間においては,有意差は認められなかった(表
薬剤非投与時および薬剤投与後 24 時間における pH
4,図 6)
。
3 Holding Time,pH 4 Holding Time および平均胃内
pH について,Tukey - Kramer の HSD 検定を行い,有
意水準は 5 %とし,5 %未満の場合に有意差ありとした。
3)平均胃内 pH
薬剤非投与時および薬剤投与後 24 時間平均胃内 pH
について,被験者 8 名の平均値を表 5 に示した。また,
薬剤非投与時および薬剤投与時について,Tukey -
Ⅲ. 試験結果
Kramer の HSD 検定を行った結果を図 7 に示した。平
均胃内 pH は,ラベプラゾール Na 錠 10mg「サワイ」投
与時およびパリエット ® 錠 10 mg 投与時とも薬剤非投
与時と比較して,有意な上昇が認められた(表 5 ,図
1.
胃内 pH モニタリング
7)
。また,両製剤間においては,有意差は認められな
かった(表 5,図 7)
。
1)24 時間胃内 pH の変動
薬剤非投与時および薬剤投与後 24 時間の胃内 pH 変
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食事
食事
7
6
5
pH
4
3
2
1
9 : 00
13 : 00
17 : 00
21 : 00
1 : 00
5 : 00
9 : 00
1 : 00
5 : 00
9 : 00
図 2 薬剤非投与時の pH トレンドグラフ(被験者 8 例の平均値)
食事
食事
7
6
5
pH
4
3
2
1
9 : 00
13 : 00
17 : 00
21 : 00
図 3 ラベプラゾール Na 錠 10mg「サワイ」投与時の pH トレンドグラフ(被験者 8 例の平均値)
食事
食事
7
6
5
pH
4
3
2
1
9 : 00
13 : 00
17 : 00
21 : 00
1 : 00
5 : 00
9 : 00
図 4 パリエット ® 錠 10mg 投与時の pH トレンドグラフ(被験者 8 例の平均値)
表 4 pH 3 Holding Time および pH 4 Holding Time(時間)
pH 3 Holding Time
薬剤非投与時
pH 4 Holding Time
3.64 ± 1.40
2.06 ± 1.63
ラベプラゾール Na 錠 10mg「サワイ」投与時
18.36 ± 4.09
15.11 ± 5.16
パリエット ® 錠 10mg 投与時
16.78 ± 6.20
14.22 ± 6.32
(n = 8,Mean ± SD)
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*: p < 0.05
ns :有意差なし
表 5 平均胃内 pH
平均胃内 pH
薬剤非投与時
2.34 ± 0.35
ラベプラゾール Na 錠 10mg
「サワイ」投与時
4.82 ± 1.11
パリエット ® 錠 10mg 投与時
4.68 ± 1.32
(n = 8,Mean ± SD)
*: p < 0.05
ns :有意差なし
Tukey - Kramer HSD 検定
n = 8,Mean ± SD
図 5 pH 3 Holding Time
*: p < 0.05
ns :有意差なし
Tukey - Kramer HSD 検定
n = 8,Mean ± SD
図 7 平均胃内 pH
に影響する 12 )−14 )。一方,プロトンポンプ阻害剤はい
かに多くのプロトンポンプに効率よく結合するかが重
要である。プロトンポンプ阻害剤は,酸による活性化
Tukey - Kramer HSD 検定
n = 8,Mean ± SD
図 6 pH 4 Holding Time
を経てプロトンポンプ分子に共有結合する 5 )。プロト
ンポンプ阻害剤は,第 1 段階として pyridine 基が,第
2 段階として benzimidazole 基が活性化される。前者
は細胞内分泌細管への集積に,後者はプロトンポンプ
への結合に必要である。後者の pKa はラベプラゾール,
2.
安全性
ランソプラゾール,オメプラゾールで同等であるが,
前者のラベプラゾールの pKa が 4.53 であり,ランソプ
本試験では,有害事象は認められなかった。
ラゾールの 3.83 ,オメプラゾールの 4.06 と比較して高
い 15 )。このことはラベプラゾールが効率よくプロトン
ポンプ分子に結合可能なことを示し,効果の即効性を
Ⅳ. 考察
もたらす 6 )。また,胃酸分泌の低い夜間でも新規に生
成されるプロトンポンプ分子に効率よく結合できるの
プロトンポンプ阻害剤とヒスタミン H2 受容体拮抗剤
で,夜間の酸分泌抑制にもより有効であると予想され
は,ともに代表的な胃酸分泌抑制剤である。プロトン
る。これらの特性に加えて,ラベプラゾールは薬物代謝
ポンプが酵素であること,ヒスタミン H2 受容体がシグ
酵素 CYP2 C19 の遺伝子多型の影響を受けにくく 7 )8 ),
ナルのスイッチである受容体であることにより,その作
確実な胃酸分泌抑制効果を期待できる。
用機序は大きく異なる。ヒスタミン H2 受容体拮抗剤の
沢井製薬株式会社で開発されたラベプラゾール Na
場合は,受容体に対する親和性や結合の持続性が薬効
錠 10 mg「サワイ」は,エーザイ株式会社から発売され
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ているパリエット ® 錠 10mg と同一有効成分を同量(い
ずれも 1 錠中ラベプラゾール Na として 10 mg)含有す
る後発医薬品である。本剤は,
「後発医薬品の生物学
的同等性試験ガイドライン」9 )にもとづいた生物学的
同等性試験の結果,パリエット ® 錠 10 mg との生物学
的同等性が証明されている 10 )。本試験ではさらにヒト
での胃酸分泌抑制効果を確認するために,24 時間胃内
pH モニタリングを行った。
本試験に参加した被験者は,ヘリコバクター・ピロ
リ陰性であるために,同菌による胃酸分泌に対する影
響を排除することができる。また,本試験ではプロト
ンポンプ阻害剤による胃酸分泌機構のアップレギュ
レーションの影響を除くために,薬剤非投与時の 24 時
間 pH モニタリング測定の後,4 日間パリエット ® 錠
10 mg 1 錠が投与された(前観察期)16 )−19 )。10 日間の
休薬期間の後,両製剤を 4 日間連続投与し,4 日目の
投与後 24 時間の胃内 pH モニタリングを行った(投与
期ⅠおよびⅡ)
。
,パ
その結果,ラベプラゾール Na 錠 10mg「サワイ」
リエット
®
錠 10 mg と も , 平 均 胃 内 pH, pH 3
Holding Time および pH 4 Holding Time の指標のす
べてにおいて,薬剤非投与時と比較して有意に胃酸分
泌を抑制効果することが示された。また,両薬剤の胃
酸分泌抑制能には有意な差がないことが示された。
また,全試験期間を通じて有害事象は認められず,
安全性に問題はなかった。
以上より,ラベプラゾール Na 錠 10 mg「サワイ」は
パリエット ® 錠 10 mg と同等の胃酸分泌抑制効果を有
し,臨床的に有用な薬剤であることが示された。
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