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彼女の犬になりたい!∼僕の華麗な犬ライフが

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彼女の犬になりたい!∼僕の華麗な犬ライフが
彼女の犬になりたい!∼僕の華麗な犬ライフが始まるま
で∼
圭
タテ書き小説ネット Byヒナプロジェクト
http://pdfnovels.net/
注意事項
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テ書き小説ネット﹂のシステムが自動的にPDF化させたものです。
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︻小説タイトル︼
彼女の犬になりたい!∼僕の華麗な犬ライフが始まるまで∼
︻Nコード︼
N4318BS
︻作者名︼
圭
︻あらすじ︼
綺麗な彼女に恋してしまった僕。
でも、彼女はちょっと︵大分︶変わった恋愛観の持ち主で、﹃犬﹄
が欲しいんだそうだ。
それなら僕は、彼女の犬になりたい!
﹃僕﹄が﹃彼女の犬﹄になるまでの物語です。
1
彼女の犬になりたい!︵前書き︶
友達と話していて、その場の勢いとノリだけで作った作品です。
別の友人カップルをみていて、﹃本人達がよければ、どんな形の愛
でもいいよね。﹄という結論になり、おふざけも入ったこのような
話になりました。
お目汚しとは思いますが、読んでくださると嬉しいです。
2
彼女の犬になりたい!
綺麗⋮⋮。
僕が恋した女の子は月並みな言葉で言うと、大変な美人だ。
黒真珠のような瞳は、長い睫毛に縁取られていて、あの濡れた瞳で
見つめられたら、男は誰も理性を保てないと思う。
唇は何もしなくても紅く色づいていて、思わず吸い付きたくなる。
鼻はスーっと通り、眉は滑らかな曲線を描いている。
それらの整ったパーツが、真珠のような滑らかな肌に、絶妙な配置
で収まっている。
髪は絹糸のようなさらさらの黒髪で、身体は、小柄で華奢ながらも、
出るところは出ていて、男心を擽る。
容姿だけでなく、頭もよいが、男をたてることができる。
これだけの美人だと、女の子達からは弾かれそうだが、人当たりが
よく、友人を大切にする彼女は、友人も多い。
そんな絵に描いたような完璧な彼女だが、唯一といっていい欠点が
ある。
3
それは、﹃犬を飼いたがる﹄ことだ。
その﹃犬﹄が、﹃本物の犬﹄だったら何も問題はないのだが、彼女
が欲しいのは、﹃犬になった人間﹄なのだ。
⋮⋮それでも、その﹃犬﹄に名乗りを挙げる男は多い。
﹃彼女の言うことを何でも聞く﹄ことと、﹃彼女を最優先にする﹄
こと以外は、彼氏と一緒だからだ。
しかも、その二つの条件も、普通の女の子も出しそうな条件なので、
すぐに約束してしまうのだ。
だが、彼女は本気だ。
本気で、自分の言うことを聞かない犬は即座に棄てる。
でも、その頃には、その犬たちは、心底彼女に夢中になっていて、
棄てられたくなくて、泣きわめいたり彼女にすがったりする。
でも、彼女にとっては、一度棄てた犬はもう要らないらしく、二度
と拾うことはない。
そうやって、彼女に棄てられたのに彼女を諦めていない﹃元・犬﹄
達が、十人以上彼女のそばにいる。
でも、誰も彼女の犬に戻れた人はいない。
でもチャンスを掴もうと必死なんだろう。
まあ、その点では、僕も一緒だ。
彼女は、犬を二匹同時に飼うことはしない。
4
しかも、犬を飼っているときは、その犬に心底夢中になっている。
だから、チャンスは、犬が棄てられたときだけ。
そのときに申し込むしかないんだ。
だから、彼らも僕も、いつくるか分からないチャンスを逃さないよ
うにずっと待ってるんだ。
5
私の犬
私は、犬が大好きだ。
可愛らしいし、主人に忠実なところがいい。
今も、犬を一匹飼っている。
ふわふわの金の髪と、キラキラした瞳がゴールデンレトリバーを思
い起こさせる。
私の姿を見るだけで、眼には見えない尻尾を振っているのも可愛ら
しい。
何より、私の言葉や願いに、絶対服従のところが素敵だわ。
よく
﹁犬扱いするだなんて最低!彼は人間よ!﹂
だとか、
﹁思い通りに動くのがいいのなら、本物の犬にしておけばいいのに。
﹂
だとか言われる。
⋮⋮なぜ、人のことに口を出したりするのかしら?
私と犬の問題なんだから、私と犬がそれでいいのなら、問題はない
と思うのだけれど⋮⋮。
告白してきたときに、ちゃんと了承はとったわよ?
6
もし、犬が犬扱いを嫌がるのなら、ちゃんと犬扱いはやめるわよ?
犬は、了承してから、本当に犬らしく過ごした。
私の姿が見えると、嬉々として駆け寄り、
私の言うことには従順で。
よい仔だったときは、ちゃんとご褒美もあげたわ。
躾の基本ですものね。
ちゃんとよい仔に育っていたはずなのに⋮⋮
﹁みいちゃん、俺、みいちゃんが嫌なのは分かってるんだけど、ど
うしても行かなきゃいけない飲み会があるんだ!一時間だけだから
!﹂
犬が、私以外の人間の命令で動くというのが非常に気に食わない。
ましてや、飲み会となったら、私の犬に他の人間がベタベタ触るの
で、不愉快になる。
私の犬が言うことを聞くのも、触らせるのも、飼い主である私だけ
でいいのだ。
7
たとえ、この犬が、センパイに誘われたんだとしても、ゼミの飲み
会でも、私との約束より優先させるなんて。
私が嫌がるだろうと知っていて、それでもしようとするのが許せな
かった。
⋮⋮約束したのに。
⋮⋮大事にしたのに。
⋮⋮可愛がったのに。
⋮⋮キスや、それ以上も許したのに。
それもこれも、彼が、私の可愛い犬だったからだ。
でも、ああ⋮⋮⋮⋮残念ね。
﹁⋮⋮ふうん。⋮⋮いいんじゃない?﹂
﹁本当!?﹂
﹁好きにするといいんじゃない?⋮⋮別に私に許可をとる必要はな
8
いわ?﹂
﹁え?﹂
﹁バイバイ。﹂
にっこり、綺麗な作った笑みを見せつける。
これで、やっと気付いたようだ。
でももう遅い。
私は、自分でも驚くぐらい、切り替えが早い。
一瞬前まで大切だったはずのものも、あっという間にどうでもいい
ものに変わってしまったりするのだ。
私の言うことを聞かない生き物は、犬じゃあないわよね?
犬扱いが嫌ということ?
じゃあ、犬扱いはやめましょうか。
可愛い犬だったのに、可愛さの欠片もない、人間にみえてきてしま
った。
あんなに好きだったはずなのに、スーっと感情が冷えていく。
⋮⋮可愛い犬との思い出も、さらさら砂のように消えていく。
私が欲しいのは犬。
9
犬じゃないあなたは要らない。
さようなら、私の可愛い犬だった人。
そう思った瞬間、大切だったはずの犬が、どうでもいいものに変わ
ってしまった。
さっ!ペットショップへ行って、可愛い、新しい犬がいない探しに
いかなくっちゃあ。
10
僕のご主人様
今まで、彼女の犬だった彼が、棄てられたのに、彼女に必死ですが
りついている。
﹁みいちゃん!みいちゃんごめん!!ごめんなさい!!もう飲み会
なんて行かないから!!!﹂
みいちゃんに棄てられてなるものかと、みいちゃんにすがり付く。
みっともなくても構わない。
なんとかみいちゃんに赦してもらわなくては!!!
﹁ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!!﹂
みいちゃんの脚にすがり付き、懇願するが、みいちゃんは何の反応
も示さない。
⋮⋮この反応は知っている。
⋮⋮どうでもいいものに対するものだ。
﹃どうでもいいもの﹄は、みいちゃんに声が届かない。みいちゃん
に姿が見えない。みいちゃんから反応してもらえない。
でもここで諦めたら終わりだ。
11
﹁みいちゃん、俺は、みいちゃんだけの犬だよ。ご主人様に棄てら
れたら生きていけないよ!﹂
う∼ん⋮⋮必死だねえ。
端から見ると、彼女がヒドイんだろう。
でも彼女に恋している僕としては、このチャンスを逃すわけにはい
かないから、この﹃元・犬さん﹄が邪魔なんだよねえ。
早く退いてほしいなあ。
待ってられないし、声かけちゃおっと。
﹁美夜さん。今飼っておられる犬がいないのなら、僕を飼ってもら
えませんか?﹂
﹁なっ!ふざけるな!!みいちゃんの犬は俺だけだ!!!﹂
﹁⋮⋮可愛い。チワワみたい。﹂
﹁みいちゃんっっっ!!!﹂
12
﹃元・犬さん﹄が喚くけど、彼女は僕だけを見つめてくれる。
嬉しいなあ⋮⋮。
﹁私は、自分の犬が、私の言うこと聞かないのって大嫌いなの。そ
れでもいい?それに、私以外の人間になつくのも赦せないわ。もし、
破ったら、即座に棄てることになるけど、本当にそれでいい?﹂
﹁もちろん、お約束しますよ。﹂
﹁じゃあ、私の犬になって。﹂
﹁喜んで。﹂
ああ、幸せだ。
やっと彼女の犬になれた。
犬ライフは始まりました。
棄てられないよう、可愛い犬になるから、美夜さんも犬は僕でおわ
りにしてねっ!
⋮⋮ここから、僕の幸せで華麗な
13
PDF小説ネット発足にあたって
http://ncode.syosetu.com/n4318bs/
彼女の犬になりたい!∼僕の華麗な犬ライフが始まるま
で∼
2016年7月23日05時49分発行
ット発の縦書き小説を思う存分、堪能してください。
たんのう
公開できるようにしたのがこのPDF小説ネットです。インターネ
うとしています。そんな中、誰もが簡単にPDF形式の小説を作成、
など一部を除きインターネット関連=横書きという考えが定着しよ
行し、最近では横書きの書籍も誕生しており、既存書籍の電子出版
小説家になろうの子サイトとして誕生しました。ケータイ小説が流
ビ対応の縦書き小説をインターネット上で配布するという目的の基、
PDF小説ネット︵現、タテ書き小説ネット︶は2007年、ル
この小説の詳細については以下のURLをご覧ください。
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