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裁定審査会運営要領
裁定審査会運営要領 1.裁定の方針 裁定審査会委員は、保険業法第308条の5に定める指定生命保険業務紛争解決機 関及び指定外国生命保険業務紛争解決機関である一般社団法人生命保険協会(以下「協 会」という。)の紛争解決委員として、関係法令及び指定(外国)生命保険業務紛争解 決機関業務規程(以下「業務規程」という。 )に基づく紛争解決手続(裁定手続)を行 うにあたって、常に公正不偏な態度を保持するとともに保険契約者等の正当な利益を 損なうことのないよう心がけなければならない。 裁定審査会事務局(生命保険相談室)職員(裁定審査会委員を補佐する弁護士を含 む。)においても裁定審査会委員と同様、関係法令及び業務規程に基づく裁定審査会の 運営事務を行うにあたって、常に公正不偏な態度を保持し、保険契約者等の正当な利 益に留意するとともに裁定審査会委員に対して客観的な情報提供に努めるものとする。 2.裁定審査会の構成 ① 裁定審査会は、業務規程に定める基準に基づき委員として委嘱を受けた弁護士、 消費生活相談員、生命保険相談室職員の 3 者からなる委員で構成する。なお、裁定 審査会による裁定手続に際しては、必ず弁護士委員を含めるものとする。 ② 裁定審査会は、業務規程に定める実質的支配者等または協会から、委員に対し直 接または間接に命令や指示等が行われたと判断した場合には、その対応について審 議した上、業務規程に定める裁定諮問委員会にその内容を報告する。 ③ 裁定審査会は、全委員で構成する全体会と弁護士、消費生活相談員、生命保険相 談室職員の委員からなる部会で構成する。 ④ 裁定審査会は、互選により議長を選任する。議長に事故があるときは、あらかじ め議長が指名した委員がこれに代わる。 ⑤ 裁定審査会委員(以下「委員」という。)の任期は2年とし、重任を妨げない。 ⑥ 委員に欠員が生じたためその補欠として就任した委員の任期は、前任者の残任期 間とする。 3.裁定審査会の開催 ① 各部会はそれぞれ原則月1回開催する。部会では新規案件の受理・不受理の審査、 裁定開始の審理、事情聴取、裁定打切りの審理、和解案・裁定書案等の作成を行う。 なお、裁定書によらない和解案、受理、不受理、裁定開始、打切りは部会で協議、 決定するものとし、裁定書による和解案、裁定書案は全体会に諮るものとする。た だし、裁定審査会は、生命保険相談室職員の委員に新規案件の受理審査及び受理決 定を委任することができる。 ② 全体会は原則月1回開催する。全体会では、各部会での審理状況や裁定書による 和解案、裁定書案を協議、決定する。ただし、案件の内容等によっては、部会長の 判断により、上記①で部会で協議、決定する裁定結果等を全体会で協議、決定でき るものとする。 1 ③ ④ 裁定案件の状況等により、定例開催とは別に裁定審査会を開催することがある。 裁定審査会事務局(以下「事務局」という。)は各部会ならびに全体会に出席する。 4.申立権者と申立人の協力義務 ① 申立人となり得る者は、保険契約者、被保険者、保険金受取人のうち、その申立 てに関し生命保険契約上の権利を有する者及び生命保険契約以外の生命保険会社 (外国生命保険会社等を含む。以下「会社という)が取扱う(外国)生命保険業務 に係る契約上の権利を有する者または会社とする。 ② 申立て内容が団体信用生命保険契約にかかる場合は、被保険者が生存していると きは被保険者、既に死亡しているときは相談所が相当であると認めた者を生命保険 契約上の権利を有する申立人とみなす。 ※「相談所が相当であると認めた者」とは、被保険者の法定相続人で借入金返済 債務をすべて引き継ぐ者(全員)とする。 ③ 申立人の代理人には、法定代理人(※1)、弁護士、または代理人申請書記載の申 請理由(※2)により申立人本人が裁定手続を遂行することが困難であると裁定審 査会が認めたときには、配偶者または三親等内の親族で裁定審査会が相当であると 認めた者がなることができる。なお、裁定審査会は申立人の代理人申請の審査に際 し必要な協力を申立人及び代理人に求めることができる。 ※1 法定代理人については法定代理権の存在を証明する書類を提出する。 ※2 弁護士以外の者を代理人申請する場合は、『代理人申請書兼委任状(様式 1)』および関係書類を裁定審査会に提出する。弁護士への委任を含めて、 申立人本人に代理人への委任能力(意思能力)が存在することが必要である。 ④ 申立人は、円滑な審理に協力しなければならない。 5.裁定の対象とする事案 ① 裁定審査会の取扱う裁定事案は、会社が取扱う(外国)生命保険業務(以下「生 命保険契約等」という)に関するものとする。 ただし、申立ての内容が、次の各号のいずれかに該当するときは、受理・不受理 の審査に際し、裁定を行わないこととすることができる。 (1)生命保険契約等に関するものでないとき (2)申立人が生命保険契約等契約上の権利を有しないと認められるとき (3)確定判決または確定判決と同じ効力を有するものと同一の紛争であるとき (4)申立人が保険契約者等の場合、相手方と知識情報力または交渉能力の格差等が ないものと認められるとき (5)不当な目的でみだりに裁定の申立てをしたと認められるとき (6)当事者以外の第三者が重大な利害関係を有し、当該者の手続的保障(主張・立 証の機会)が不可欠であると認められるとき (7)過去に裁定審査会において判断が示された申立内容であるとき (8)他の指定紛争解決機関において審理継続中または審理が終了したものである とき (9)申立内容が、その性質上裁定を行うに適当でないと認められるとき 2 なお、上記(12)の「申立ての内容が、その性質上裁定を行うに適当でないと認 められるとき」とは、例えば、以下のものをいう。 (ア)事実認定が著しく困難な事項 (イ)剰余金の処分、会社の経営方針、経営管理、事務処理、金融監督上の事項や職 員個人に係る事項 (ウ)認定個人情報保護団体に係る対象事業者の個人情報の取扱いに関するものであ るとき ② 前項各号のいずれかに該当し裁定を行わず、裁定審査会が当該申立てを他の指定 紛争解決機関の紛争解決手続に相当する手続に付することが適当と認める場合は、 相談所は申立人の意向を確認の上、同機関に業務を委託することができる。 6.裁定の申立て ① 生命保険相談所(以下「相談所」という。)は生命保険契約等契約上の権利を有す る保険契約者等から会社の生命保険契約等に関する苦情解決の申立てを受けたと きは、相手方である会社(以下、相手方という。)に対し速やかに連絡するととも に、当事者間の意見の調整をはかるため、必要に応じて双方から事実の説明または 資料の提示を求め、更に双方に対して必要な助言あるいは和解のあっせんを行い、 解決の促進を図る。相談所のあっせんにもかかわらず、相談所が苦情解決の申立て を相手方に連絡した日から、原則として1ヵ月を経過しても、当事者間においてな お問題が解決しない場合で、保険契約者等または会社から紛争の裁定(以下「裁定」 という。)の申立てがあったときは、裁定審査会に付託して裁定の手続きを行う。 ② 保険契約者等から相手方に対し苦情の申出があってから、既に1ヵ月を経過して いる場合で、相談所のあっせんにもかかわらず、解決の見込みがない場合には、相 談所が苦情解決の申立てを相手方に連絡した日から、1 ヵ月を経過しなくても、保 険契約者等から裁定の申立てがあったときは、その旨を相手方に連絡の上、裁定審 査会に付託して裁定の手続を行う。 ③ 事務局は、裁定手続を開始するにあたっては、裁定の申立てを行った保険契約者 等(以下「申立人」という。)に裁定手続等について書面を交付して事前に説明等 を行い、同意を得たうえで、所定の『裁定申立書(様式2)』を交付する。 なお、交付後、申立人から事務局に対し事前に遅延の連絡がなく、1ヶ月経過し ても『裁定申立書(様式2)』の提出がなされない場合は、事務局は苦情解決手続 を終了したものと判断しその旨通知する。この場合、通知後、事務局に対し事前に 連絡のうえ、 『裁定申立書(様式2)』の提出があったときは、事務局による事前調 査及び裁定の手続を行う。 ④ 裁定審査会は、申立人から申立ての趣旨およびその要点を明らかにした『裁定申 立書(様式2)』2通の提出を求めるとともに、証拠書類があるときは、その原本 または謄本2通もあわせて提出を求める。併せて、運転免許証、パスポートなど本 人確認ができる証明書の写し、法人の場合はその代表者の資格を証明する登記事項 証明書の提出を求める。代理人についても同様とし、委任状等の提出を求める。 ⑤ 裁定審査会は、申立人から裁定の申立てがあった際に、契約関係者(契約者・被 保険者・受取人(これらの者の相続人、代理人を含む)、以下同じ)に対し申立人 3 および裁定申立のあった相手方(生命保険募集人等の関係者を含む、以下同じ)が 裁定手続のために、契約関係者に関する個人情報の裁定審査会への提供について同 意を求める。ただし、申立て内容が団体信用生命保険契約にかかる場合は、契約者 (金融機関等)が保有する契約関係者に関する個人情報を含むものとする。また、 裁定審査会の審理において必要な場合に、協会が当該事案に係る医療行為の確認・ 照会等を目的に業務委託した機関ならびに契約者・被保険者の受診した医療機関、 当該業務委託機関が同様の目的で確認・照会等を行う医師と医療機関に対し、契約 者・被保険者に関する資料を提出のうえ、確認・照会等を求めることについて同意 を求める。 ⑥ 裁定審査会は、申立人より提出された裁定申立書、証拠書類等を相手方に交付し、 相手方が答弁書の作成や事情聴取等のためにこれらを利用することについて同意 を求める。 ⑦ 裁定審査会は、申立人から裁定の申立てがあった際に、申立人に対しプライバシ ーに配慮したうえで裁定手続を実施した事案概要(申立取下げ事案等を除く)を公 表することについて同意を求める。 ⑧ 裁定審査会は、裁定審査会の裁定手続は非公開であることから、裁定書等の書面 や和解の内容を含め裁定手続に係る内容・書類について方法・手段の如何を問わず、 当事者以外への開示または公開はしないことについて申立人から同意を求める。 ⑨ 裁定審査会は、申立人から裁定の申立てがあった際に、申立人(代理人を含む) が裁定審査会の求める釈明や証拠等の提出または手続の遂行など審理に協力する こと、及び審理の進行を妨げる行為(委員及び事務局を威迫するまたは侮辱する等 により、裁定手続を妨害しまたは同手続に著しい支障を及ぼす行為を含む)を行わ ないことについて同意を求める。 ⑩ 会社から裁定申立てがあった場合は、第 5 項乃至第 9 項について申立て受理後、 相手方となる保険契約者等に同意を求める。 ⑪ 会社から裁定申立てがあった場合、事務局は会社から提出される書面で相手方と なる保険契約者等の申立ての同意を確認する。裁定審査会は申立てを受理したとき は、裁定審査会は相手方となる保険契約者等に裁定手続への参加意思について書面 等にて確認する。確認の結果、『裁定不参加届(様式3)』の提出があった場合は、 裁定不開始とし、申立てを行った会社に連絡する。また、 『答弁書(様式4)』の提 出があった場合は、参加意思があるものとみなし、相手方を当該保険契約者等に読 み替えて、以下の裁定手続を行う。ただし、この場合、相手方である保険契約者等 には、会社に求める参加義務及び裁定書による和解案の受諾勧告への受諾義務はな く、いつでも参加意思を撤回することができる。 ※裁定申立書(様式2)に次の文言を明記する。 「申立人は、『生命保険相談所「裁定審査会」ご利用の手引き』の内容を確認のうえ、 裁定の申立てを行うことに同意します。また、契約関係者(契約者・被保険者・受 取人(これらの者の相続人、代理人を含む)、以下同じ)は、申立てに際し、次の ことに同意します。 ① 申立人ならびに相手方・保険会社(生命保険募集人等の関係者を含む、以下同じ) が裁定手続のために、契約関係者に関する個人情報を裁定審査会に提供すること。 4 ただし、申立て内容が団体信用生命保険契約にかかる場合は、契約者(金融機関等) が保有する契約関係者に関する個人情報を含むものとする。 ② 裁定審査会の審理において必要な場合に、一般社団法人生命保険協会が当該事案 に係る医療行為の確認・照会等を目的に業務委託した機関ならびに契約者・被保険 者の受診した医療機関、当該業務委託機関が同様の目的で確認・照会等を行う医師 と医療機関に対し、契約者・被保険者に関する資料を提出のうえ、確認・照会等を 求めること。 ③ 裁定審査会が申立人より提出された裁定申立書、証拠書類等を相手方・保険会社 に交付し、相手方・保険会社が答弁書の作成や事情聴取等のためにこれらを利用す ること。 ④ 裁定審査会がプライバシーに配慮したうえで裁定手続を実施した事案概要(申立 取下げ事案等を除く)を公表すること。 ⑤ 裁定審査会の裁定手続が非公開であることを認識し、裁定書等の書面や和解の内 容を含め裁定手続に係る内容・書類について方法・手段の如何を問わず、当事者以 外への開示または公開はしないこと。 ⑥ 申立人(代理人を含む)が裁定審査会の求める釈明や証拠等の提出または手続の 遂行など審理に協力すること、及び審理の進行を妨げる行為(委員及び事務局を威 迫するまたは侮辱する等により、裁定手続を妨害しまたは同手続に著しい支障を及 ぼす行為を含む)を行わないこと。」 7.裁定開始の適格性 ① 申立人から裁定申立書等の提出があったときは、事務局において、当該事案が裁 定に適するか否かを裁定審査会が判断をするための事前調査を行い、各部会へ振り 分ける。各部会では、受理・不受理の適格性審査を行い、その結果を全体会に報告 する。なお、裁定審査会は、生命保険相談室職員の委員に受理審査及び受理決定を 委任することができる。この場合、必要に応じて担当部会の弁護士委員の助言等を 受けることができるものとする。 ② 前項の事務局による事前調査または手続説明時等において、次の各号のいずれか に該当するとき、裁定審査会は、裁定の申立てを受け付けないこととすることがで きるものとし、裁定開始の手続を終了する。その場合、理由を付して当事者双方に 『裁定不開始の通知(様式5)』を行う。 (1)申立人等から上記6. (裁定の申立て)に定める⑤から⑨の同意事項につ いて、正当な理由がなく、相当の期間内に同意が得られないとき (2)裁定申立書及び証拠書類に重大な不備があり、申立人に対し、その補正・ 補充のため釈明や書類等の提出を求めたにもかかわらず、正当な理由が なく、相当の期間内に提出されないとき (3)会社から裁定の申立てがあった場合において、申立てに先立ち、当該会 社による相手方の保険契約者等の申立ての同意取得が確認できないとき (4)裁定申立書及び証拠書類が日本語を用いたものでないとき ③ 裁定審査会は、裁定申立書を受理したとき、相手方に対し当該裁定申立書1通を 交付のうえ裁定手続に参加することを要請し、遅滞なく、その申立に対する答弁の 要旨を記載した『答弁書(様式4)』2通および証拠書類があるときは、その原本 5 または謄本2通を求めるものとする。 ④ 事務局は、当事者が提出する書類等に書証番号(申立人には甲○号証、相手方に は乙○号証)を付すよう求め、これを管理する。 ⑤ 裁定審査会は、相手方に対し答弁書の提出を求める際に、紛争解決の促進を図る ため、裁定審査会の業務に協力すること及び業務規程に定める事項に該当する場合 を除き裁定書による和解案を受諾することにつき同意を求める。 ※答弁書(様式4)に次の文言を明記する。 「『答弁書』の提出に際し、紛争解決の促進を図るため、手続実施基本契約に基づき裁 定審査会の業務に協力し、裁定書による和解案を受諾することに同意します。」 ⑥ 上記5.(裁定の対象とする事案)により、裁定に適さないと判断したときは、裁 定申立書を受理しないものとし、申立人に対してその理由を明かにして、『裁定申 立不受理の通知(様式6)』を行うとともに、当該相手方に対し、報告を行う。 8.裁定申立書の受理 ① 裁定申立書を裁定審査会が裁定開始の適格性審査において受理・不受理を決定し たときは、事務局において、受付番号(元号○○年度(裁)第○○号)及び申立内 容を端的に表す表題を付して受付簿に登録し、年度単位で管理する。 ② 裁定申立書を裁定審査会が受理したときは、当事者双方に申立てを受理した日、 受付番号および委員の氏名を通知する。 9.裁定の開始・不開始の決定 ① 裁定審査会は、相手方から答弁書等の提出があったとき、遅滞なく裁定の開始・ 不開始の決定を行う。 ただし、裁定審査会が、受理・不受理の適格性審査に際し、申立人に対し、申立 書に関する釈明や証拠等の提出、及び申立人の代理人申請の審査に際し必要な協力 を求めたにもかかわらず、正当な理由がなく、相当の期間内に提出または遂行され ないときは、答弁書の提出を求めず、裁定不開始とする。その場合、理由を付して 当事者双方に『裁定不開始の通知(様式5)』を行う。 ② 裁定審査会は、当事者に正当な理由がある場合には、裁定の開始・不開始の決定 を一時的に留保することができる。 ③ 裁定審査会が、裁定開始を決定したときは、答弁書1通を申立人に交付する。 10.裁定事案の争点の事前整理、意見聴取 ① 事務局は、申立書及び答弁書に基づき当該裁定事案の争点の事前整理を行い、そ の結果を裁定審査会の参考に供する。 ② 事務局および裁定審査会は、整理作業を含め裁定に必要な事項について、申立人 のプライバシーに配慮しつつ第三者である医師等の専門家の意見を求めることが できるものとする。 11.審理の方法 ① 事情聴取は、裁定申立書及び答弁書に基づいて行うほか、必要に応じて、反証等 6 の機会として当事者または関係者に対して報告・説明または資料の提出を求めて行 う。 ② 当事者または関係者から提出された報告または資料は、事務局においてその他関 ③ ④ ⑤ ⑥ 係書類として管理する。 事情聴取は、原則として申立人と相手方に分け行うものとするが、特に必要があ ると認めたときは当事者双方出席のうえ行う。 事情聴取においては録音による記録を行う。なお、同記録は裁定審査会における 審理のために利用するものとし、裁定手続の非公開および評議の秘密の観点から、 事情聴取を行った当事者または関係者を含め開示しないものとする。 裁定審査会は、審理に当たり、必要に応じて申立人または相手方の出席を求め、 意見を聴取することができる。 裁定審査会は、会社から業務規程に定める裁定手続中の案件に係る訴訟関係の内 容等について報告を受けた場合、必要に応じ審理の参考に供する。 12.事情聴取の案内・代理人の届出 ① 当事者または関係者(裁定審査会の指定する者。以下同じ。)からの事情聴取は、 予め出席すべき日時・場所を指定した『事情聴取案内の通知(様式8)』により、 当事者または関係者に通知したうえで行う。② 事情聴取に際し、当事 者または関係者から正式に委任を受けた代理人または補佐人の出席を求められた ときは、予め『代理人等の出席承諾願(様式9)』を徴求し、裁定審査会の承諾を 得て『代理人等の出席承諾の通知(様式 10)』を当事者または関係者に交付する。 また、裁定審査会の承諾が得られないときはその理由を明らかにして『代理人等の 出席不承諾の通知(様式 11)』により、当事者または関係者に通知する。 ③ 代理人には、原則として当事者または関係者から正式に委任を受けた弁護士及び 親族がなることができる。この場合、「4.申立権者と申立人の協力義務」の第 3 項に準ずるものとする。 ④ 補佐人とは、当事者または関係者の身体介護のための付添人等をいう。 ⑤ 事情聴取に出席する当事者等は、事情聴取に際し、録音または撮影することはで きない。 13.事情聴取に出席しないときの措置 ① 当事者または関係者及びその代理人が指定した事情聴取に出席できないときは、 当該指定日の原則5営業日前までに、理由を明らかにして、その旨を記した『事情 聴取欠席願(様式 12)』を裁定審査会あて通知させる。 ② 裁定審査会は、前項の通知を受けたときは、改めて、事情聴取の日時を指定して、 当事者または関係者に通知する。 14.裁定の打切り 裁定審査会は、裁定中の紛争が次の各号のいずれかに該当するときは、その裁定を 打ち切ることができるものとし、その理由を明らかにして、 『裁定打切りの通知(様式 13)』により、当事者双方に通知する。 7 (1)申立ての内容に虚偽の事実が認められたとき (2)申立人が正当な理由なく、事情聴取に出席しないとき (3)審理の途中で、上記「5.裁定の対象とする事案」各号記載の裁定を行わない 場合に該当すると認められたとき (4)申立人が裁定審査会の求める釈明や証拠等の提出または手続を正当な理由がな く、相当の期間内に提出または遂行しないなど審理に協力せず、もしくは審理 の進行を妨げる行為(委員及び事務局を威迫するまたは侮辱する等により、裁 定手続を妨害しまたは同手続に著しい支障を及ぼす行為を含む)を行うことに より審理を継続することが困難、もしくは適当でないと認められたとき (5)その他裁定を行うに適当でない事情が認められたとき 15.裁定申立ての取下げ 申立人は、裁定申立て後、その申立てを随時取り下げることができる。この場合、 裁定審査会は申立人から『裁定申立取下書(様式 14)』の提出を求め、その旨相手方 に通知する。 16.裁定書の決定 ① 裁定審査会の裁定は、裁定書により行う。 ② 裁定審査会は、必要に応じて当事者双方の事情聴取等の審理を終了した後、遅滞 なく裁定審査会の議決を経て、裁定書の決定により和解案の受諾勧告等を行う。 ③ 裁定審査会は、裁定書を当事者に交付した後において、裁定審査会が必要と認め た場合には、裁定の結論を変更しない限度で、補正書の交付等の方法により裁定書 の補正を行うことができる。 17.裁定審査会の議決等 ① 裁定審査会は、委員の過半数の出席によって開催し、その議決は出席委員の過半 数をもってこれを行う。可否同数の場合は議長がこれを決する。なお、議長は、裁 定審査会を招集せず、委員の意見を書面等で求めることにより、議決に代えること ができる。 ② 申立人または相手方(この項において「当事者」という。)と特別の利害関係にあ る委員は議決等に加わらない。特別の利害関係とは、委員の次の場合をいう。 (1)当事者本人、当事者の配偶者又は配偶者であった者 (2)当事者の四親等内の血族、三親等内の姻族若しくは同居の親族又はこれらで あった者 (3)当事者の後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人 (4)当該裁定申立てに係る事案について当事者の代理人若しくは補佐人又はこ れらであった者 (5)役務の提供により当事者から収入を得ている者又は得ないこととなった日 から3年を経過しない者 ③ 裁定審査会は、委員及び当事者の申告に基づき、または必要に応じて自ら調査の 上、当該事案に対する特別の利害関係の有無について審議し、議決等への参加・不 8 参加を決定する。 18.裁定審査会の非公開等 ① 裁定審査会の裁定手続は公開しない。ただし、裁定審査会が適当であると認めた 者を出席させ、必要に応じ意見を求めることができる。また、当事者以外の第三者 は、当事者の同意を得て裁定審査会が相当と認める者を傍聴させることができる。 ② 裁定審査会の評議は、秘密とする。 19.裁定手続途中での和解 裁定審査会は、裁定書によらずに和解を成立させて裁定手続を終了することが相当 であると判断した場合には、当事者から提示のあった和解案を含め和解案および和解 契約書等を作成し、当事者の同意を得て裁定手続を終了することができる。 20.裁定書による和解案の提示及び受諾勧告 裁定審査会は、当事者間に和解が成立するように努めても容易に解決しない場合等 でなお裁定を行うことが相当であると認めたときは、公正妥当な立場から裁定書によ る和解案を作成し、理由を付してこれを当事者双方に提示して、その受諾を勧告する。 なお、受諾勧告は1回限りとする。 21.裁定書による和解案の受諾勧告の受諾義務 ① 裁定審査会の裁定書による和解案の提示・受諾勧告を受けた場合、業務規程に定 める事項に該当する場合を除き、会社はこれを受諾しなければならない。 ② 相手方が上記①の裁定書の受諾義務に違反する行為があったと裁定審査会が判断 した場合、裁定審査会は、会社にその行為を行った理由の説明・意見を求めること ができる。 ③ 裁定審査会は、上記②の説明・意見が正当でないと認めたときは、正当でない理 由を付して、協会に報告しなければならない。 22.和解契約書の徴求 裁定審査会は、裁定手続中に当事者間に和解が成立したとき、または当事者双方が 裁定審査会の裁定書による和解案を受諾したときは、遅滞なく和解契約書を作成のう え当事者に提示し、当事者連署および議長署名による『和解契約書(様式 15)』1通 を徴求する。併せて、申立人から印鑑登録証明書(証明日付から3ヵ月以内のもの) の提出を求める。 また、相談所は、保険契約者等から申出がある場合、会社に対し和解契約締結後の 和解内容に関する事務処理等の手続について報告を求めることができるものとし、必 要に応じ手続の履行を勧告することができる。 23.申立内容を認めるまでの理由がない場合の裁定手続の終了 裁定審査会は、審理の結果、申立人の申立内容を認めるまでの理由がないと判断し たときは、裁定書をもってその理由を明らかにし、裁定手続を終了する。この場合、 9 裁定書を当事者双方に交付する。 24.裁定手続の終了 ① 裁定審査会の裁定は、上記23の他、裁定不開始の通知をしたとき、裁定打切り の通知をしたとき、申立人から裁定申立取下書が提出されその旨を相手方に通知を したとき、当事者双方が裁定書による和解案を受諾したときおよび裁定審査会に和 解契約書の提出があったときをもって終了する。 ② 業務規程に定める事項に該当する理由により当事者が裁定書を受諾しなかったと きは、裁定不調によりその裁定は終了したものとみなし、当事者双方に対し『裁定 終了通知(様式 16)』を行う。 25.裁定書および一件書類の保存 ① 裁定審査会に付託された事案については、裁定申立不受理事案を含め、裁定書及 び一件書類、手続記録を保存する。保存期間は少なくとも 10 年とする。 ② 裁定書及び一件書類は非公開とする。ただし、法令上の根拠があり、かつ裁定審 査会が正当と認めた場合にはこの限りではない。 ③ 当事者が提出した書類は、特別な事情がある場合を除き、返還しないものとする。 ただし、当事者から返還の請求があったときは、写しを作成し、以後その写しを提 出された書類等とみなして保管し、提出書類等を返還する。 26.裁定件数等の報告 裁定件数の他に、前条にかかわらず、保険契約者等のプライバシーに配慮して、裁 定手続を実施した全ての事案概要(申立取下げ事案等を除く)を公表する。 27.金融庁長官への報告 裁定審査会の処理状況については、定期的に金融庁長官に報告する。 28.裁定審査会委員および事務局職員の守秘義務 裁定審査会の委員もしくは委員であった者、事務局職員もしくは職員であった者は、 その職務に関して知り得た秘密を漏らし、または自己の利益のために使用してはなら ない。また、その義務の遵守を目的に協会に対し誓約書を提出する。 29.特則 ① 本要領の改廃および本要領に定めなき事項は、裁定審査会の決定によるものとす る。 ② 裁定審査会は業務規程に定める苦情処理委員会から裁定手続に係る苦情申出につ いて、事情の調査等が求められた場合は、協力する。 10 制定 施行 改正 平成22年9月15日 平成22年10月1日 平成23年5月31日 平成26年1月29日(平成26年4月1日施行) 平成28年1月29日 11