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0 新しい時代の都市づくりに向けて
0 新しい時代の都市づくりに向けて 1.21 世紀新潟県都市政策ビジョン 今、私たちが直面し、対応に迫られている課題は、少子・超高齢社会の到来、地方分権の推進 や情報化の一層の進展、地球規模での環境問題の深刻化など、かつてないほど多様化し、大きく 変化しつつあります。 都市における変化のありさまをみると、都市生活の広域化と中心市街地の衰退、マイカーの急 速な普及とバスなどの公共交通機関利用者の大幅な減少、そして近年の人口減少などに起因する 都市の拡大速度の鈍化があげられます。このような都市問題の変化に対応するためには、人口や 産業が都市に集中し、かつ都市が拡大する従来の「都市化社会」から、成熟した都市を中心に産 業や文化活動が豊かに展開する「都市型社会」への転換を図ることが必要となります。 これからの都市づくり これまでの都市づくり 拡大傾向から転換 急速に変化する社会 情勢への即応 都市の膨張 ●1950 年代 戦後復興期の産業構造転換への対応 ●1960 年代 高度経済成長の人口・産業の都市への 集中の対応 ●1970 年代 安定成長期の都市化社会への対応 ●1980 年代 多様なニーズへの対応 ●1990 年代∼ 都市化社会から都市型社会への対応 ●人口減少、少子高齢化への対応 ●社会の成熟化や長期的な低成長経済へ の移行による公共投資縮小への対応 ●住民、NPO、民間企業などの主体的 な取り組みへの対応 ●自然環境の保全、都市型の環境問題へ の対応 ●価値観やライフスタイルの多様化への 対応 ●産業構造の転換への対応 ●中、長期的な地価動向への対応 この「都市型社会」への転換を確実に実行するためには、より長期的な都市づくりの視点から 今後の進むべき方向性を示し、実現のための新たな仕組みづくり提案する重層的な計画システム の構築が必要となってくるものと考えております。 「21 世紀新潟県都市政策ビジョン」は、このような考え方に基づき、従来の都市計画制度に 留まらず、またその対象範囲を県土全体に広げた上で、おおむね 21 世紀中頃までを展望して、 本県における都市づくりの考え方や方向性を明らかにしていこうとするものです。このビジョン では「コンパクトな都市」を共通目標像としていますが、その目指すところは、 「豊かに緑が広 がる中で、人々が生活しやすいように都市機能・施設が適切に配置されることにより、質の高い 生活空間及び濃密な都市空間が形成され、かつ持続可能であること」ということです。 新潟県では、都市計画制度についても「21 世紀新潟県都市政策ビジョン」に基づく考え方を 基本とし、持続的な発展が可能な都市の形成に努めていきます。 −1− ◆都市政策ビジョンの必要性 (重層的な計画システム) 《都市づくりの目標》 【基本理念】やさしさ/躍動/再生/ 新潟らしさ/パートナーシップ 【共通目標像】コンパクトな都市 【5つの観点∼9つの要件】 ①求心性 1多くの人が集まり、活力と賑わいが あること 2快適な交通サービスが提供されてい ること ②自律性 3居住者や地域のニーズにあった産業 が活発で、雇用の場が創出されてい ること 4地域コミュニティを形成し、住民が 主体的にまちづくりに取り組んでい ること ③持続性 5住民の多様なライフスタイルに応じ た住宅が供給されていること 6将来にわたり都市が適切に世代循環 し、持続的に発展していること ④文化・地域個性 7豊かな自然を取り込んだ市街地が形 成されていること 8住民が誇れる地域の個性が発揮され ていること ⑤安全・安心・防災性 9安全に安心して暮らせる生活環境が 整っていること ◆コンパクトな都市を実現するための 7 つの諸方策(案) Ⅰ.土地利用コントロール (1)緑が香り水がきらめく環境創出・保全 (2)大規模な遊休地等の利活用 (3)賑わい空間形成による街なかの核づくり Ⅱ.大規模都市施設 (1)大規模公共公益施設の立地ルール設定 (2)公共公益施設の計画誘導 (3)大規模商業施設等の立地要望に対する対策 (4)防災・防犯の都市施設整備の誘導 (5)既存施設の有効利用 (6)廃棄物処理施設の計画的誘導 Ⅲ.居住と住まい (1)多様性に対応した良質な住宅ストックの形成 (2)街なか居住の再構築 Ⅳ.交通 (1)人にも環境にも優しい交通への転換 (2)都市の活力を支える交通ネットワーク Ⅴ.空間文化資源 (1)歴史的・伝統的な建造物や街並みの伝承 (2)新しい街並みの形成 Ⅵ.交流資源 (1)交流施設を支援する都市環境整備 (2)中山間地域の自然環境等の活用 Ⅶ.パートナーシップ −2− ◆コンパクトな都市のイメージ 「21 世紀新潟県都市政策ビジョン」が目指す都市像 街なかの賑わい 空間づくり 隣接市街地 安全・安心な 隣接市街地 骨格となる道路 ネットワークの形成 生活環境の整備 公共交通の利用 促進 良好な景観の 保全・形成 街なか居住の 推進 市街地の無秩序 な拡大の抑制 都市公園の整備, 都市緑化の推進 交通ネットワーク 集約型の市街地 大規模都市施設 の立地誘導 自然環境の保全・ 活用 2.都市計画区域マスタープラン制度の創設 これまでの都市計画は、都市計画区域内の土地利用及び都市施設の配置を中心に策定されてき ましたが、今後 21 世紀の成熟社会における都市計画の将来像を明らかにすることに合わせて、 個々の地域で個性のある市街地形成への対応を図ることが重要となっています。 このため、都道府県はすべての都市計画区域において「都市計画区域の整備、開発及び保全の 方針」 (法 6 条の 2、以下「都市計画区域マスタープラン」という。)を定めることが、平成 12 年の都市計画法の改正によって義務付けられました。本県では 21 世紀新潟県都市政策ビジョン の考え方に基づき今後の都市計画を進めるため、都市計画区域マスタープランにおいて方向性を 示しております。 また、従来までのマスタープラン制度として、市町村が定める「市町村の都市計画に関する基 本的な方針」 (法第 18 条の 2、以下「市町村都市計画マスタープラン」という。)があります。 都市計画では、これらマスタープランにおいてあらかじめ長期的な視点に立った都市像を明確 にし、その実現に向けて筋道を明らかにしていくことが重要です。 ◆マスタープランの体系 マスタープランは、関係する上位計画 等を受け、策定されます。上位計画とは、 市町村都市計画マスタープランでは市 町村の総合計画等、都市計画区域マスタ ープランでは新潟県「夢おこし」政策プ ランや 21 世紀新潟県都市政策ビジョン 等となります。 これらマスタープランに基づき、土地 利用、都市施設、市街地開発事業に関す る具体の都市計画を定めていくことに なります。 新潟県 新潟県「夢おこし」政策プラン 長期総合計画 市町村の 総合計画等 6条 21世紀新潟県都 市政策ビジョン 都市計画 基礎調査 6条の2 18条の2 市町村都市計画 マスタープラン 都市計画区域 マスタープラン 土地利用、都市施設、市街地開発事業に 関する具体の都市計画の決定 −3−