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ご参考資料 ピクテ・グローバル・マーケット・ウォッチ 2014年7月17日 グローバル Pictet Global Market Watch 2014年上期のヘルスケア市場動向 2014年4-6月期のヘルスケア・セクターの騰落率は、世界の株式市場とほぼ同等の水準に留まりました。 M&A 、 IPOともに活発でしたが、一部割高感も認められます。バイオ医薬品銘柄については銘柄厳選が、 特殊医薬品銘 柄については慎重な投資姿勢が必須です。マネージド・ケア銘柄は、医療保険制度の恩恵が期待されます。 2014年上期のヘルスケア市場 MSCI世界ヘルスケア株価指数(配当込み)の騰落率 は、2014年4-6月期が+4.7%、上期が+10.8%となりました。 1-3月期は、 MSCI世界ヘルスケア株価指数(配当込 み)がMSCI世界株価指数(配当込み)を明確に上回っ たものの、4-6月期は両指数がほぼ並びました。活発 なM&A(合併・買収)が、ヘルスケア・セクターの好調な パフォーマンスと市場の活況に貢献しました。 M&Aについては、成立・公表された案件、観測の域を 出ない案件、あるいは(失敗に終わったものを含む)そ の他の案件の多数が、節税効果を狙ったものとなりま した。外国法人が保有する手元資金を活用し、総合税 率を引き下げようとの目論見で、米国籍の複数の企業 が、非米国籍企業を対象としたM&Aを行いました。「税 の最適化」そのものは、戦略上の失敗とは言えないに しても、ビジョンを欠いた、情けない企てに思われます。 幸いなことに(心強いと言った方が適切かもしれません が)、ファイザー(米国)は、提示総額約1,000億ドルとさ れるアストラゼネカ(英国)の買収提案を撤回しました。 一方、より高い合併効果が見込まれる案件も散見され、 メドトロニック(米国)によるコヴィディエン(アイルラン ド)の買収(買収総額:約480億ドル)では、補完的な製 品群を持つ企業を買収することで、世界市場のリー ダーとなる企業が誕生することとなります。 買収案件の多くは、特殊医薬品企業を巡るものでした。 買収の動機は広範囲に及び、アボット・ラボラトリーズ (米国)によるCFRファーマシューティカルズ(チリ)の買 収は、事業の地域拡大を図ったもの、ヒクマ・ファーマ シューティカルズ(ヨルダン)によるベーリンガーインゲ ルハイム(ドイツ)からの、注射剤製造のベッドフォード・ ラボラトリーズ(米国)の買収や、マリンクロット(米国) によるクエストコア・ファーマシューティカルズ(米国)の 買収(買収総額:約60億ドル) は、事業ならびに医療技 術の補完を図ったものでした。 また、組織再編やコスト削減による効果を狙った案件 では、サン・ファーマシューティカル・インダストリーズ (インド)によるランバクシー・ラボラトリーズ(インド)の 買収ならびにバリアント・ファーマシューティカルズ・イ ンターナショナル(カナダ)によるアラガン(米国)への買 収提案があげられます。後者の買収提案は、特殊医 薬品企業の果たすべき役割についての論争を引き起 こしました。研究開発費を削減し、「マーケティング・マ シーン」として機能すること(バリアントのビジネス・モデ ル)のみに注力すべきなのか、あるいは、伝統的なビ ジネス・モデルを追求し、売上のかなりの割合に相当 する、おそらく売上の過度の割合を研究開発に充てる べきなのかとの論争です。一方、バイオ医薬品企業の 買収は、製品の買収を巡る、より直接的な案件で、メル ク(米国)によるアイデニクス・ファーマシューティカルズ (米国)の買収(買収総額:約36億ドル)や、規模はこれ を下回るフォレスト・ラボラトリーズ(米国)のフリエック ス・ファーマシューティカルズ(米国)の買収(買収総額: 約12億ドル)が挙げられます。現時点では成立には至 らず、未だ噂の段階にありながら、十分な根拠があると 考えられる案件では、シャイアー(アイルランド)による NPSファーマシューティカルズ(米国)の買収提案や、 アブビー(米国)によるシャイアーの買収提案が挙げら れます。M&A の他、企業再編やアセット・スワップも株 価を押し上げましたが、最も注目されたのは、ノバル ティス(スイス)とグラクソ・スミスクライン(英国)間の複 数の案件で、ノバルティスによるグラクソ・スミスクライ ンの抗がん剤事業部門の買収、ノバルティスのワクチ ン事業のグラクソ・スミスクラインへの売却、両社の店 頭薬事業の統合による合弁事業の設立が含まれます。 ノバルティスは、この他、動物薬事業(アニマル・ヘルス 事業)をイーライ・リリー(米国)に売却しました。 新興国市場のヘルスケア銘柄も堅調で、MSCI新興国 ヘルスケア株価指数(配当込み)の2014年4-6月期の 騰落率は+8.1%となりました。同指数の上期の騰落率は +9.8%となったものの、MSCI世界医薬品株価指数(配当 込み)の騰落率を1%程度、下回りました。 <次ページに続きます> ピクテ投信投資顧問株式会社 巻末の「当資料をご利用にあたっての注意事項等」を必ずお読みください。 1 3 ご参考資料 Pictet Global Market Watch グローバル MSCI新興国ヘルスケア株価指数(配当込み)の騰落 率(8.1%)はMSCI新興国株価指数(配当込み)の騰落 率(+6.6% )を上回りました。もっとも、新興国指数の過 去1年の騰落率は、MSCI新興国ヘルスケア株価指数 (配当込み)が+17.4%と、MSCI世界ヘルスケア株価指 数(配当込み)の+28.7%を大きく下回り、両指数間の格 差は11%に達しました。したがって、4月15日発行のピク テ・グローバル・マーケット・ウォッチ「ヘルスケア市場: 1-3月期の振り返りと展望」に記載の通り、バリュエー ション(投資価値評価)格差は直近の最も縮小した水 準に留まっており、足元の堅調な推移にもかかわらず、 中・長期の投資家には、依然として好機が提供されて いることを示唆するものとなっています。 MSCI新興国 ヘルスケア株価指数のEV/EBITDA倍率(利息・税金・ 減価償却前利益に対する企業価値倍率)や利益成長 率の市場予想(12ヵ月先利益ベース)は、MSCI世界医 薬品株価指数を上回っていることから、足元の水準は 正当化されると考えます。 ヘルスケア・セクターの中ではバイオ医薬品銘柄が前 期に続いて最も好調で、MSCI世界バイオ医薬品株価 指数(配当込み)の4-6月期の騰落率は+7.8%となりまし た。3月下旬から4月初旬にかけての下げ相場に続く上 昇相場では、4月の底値から年初の高値水準まで回復 し、下げのほぼすべてを取り戻しました。上昇相場の 大半が良好な治験結果に起因するもので、特に注目さ れたのは、バーテックス・ファーマシューティカルズ(米 国)による嚢胞性線維症患者を対象とした治療薬カリ デコとルマカフトルの併用についてのフェーズIII治験、 アクテリオン・ファーマシューティカルズ(スイス)の肺高 血圧症治療薬候補セレキシパグのフェーズIII治験、シ ナゲバ・バイオファーマ(米国)によるリソソーム酸リ パーゼ欠損症患者に対する治療薬候補セベリパーゼ αのフェーズIII治験のいずれについても良好な結果が 得られたことです。フェーズI治験ならびにフェーズII治 験についても、幅広い分野で良好な結果が報告され、 テサロ(米国)は化学療法の副作用である悪心嘔吐の 治療薬(ロラピタント)について、アムジェン(米国)は乾 癬性関節炎の抗IL-17受容体抗体ブロダムマブ(AMG 827) について、ブルーバード・バイオ(米国)はβセラ サミアの遺伝子治療について、ポルトラ・ファーマ シューティカルズ(米国)は抗凝固活性を解消する解毒 剤であるアンデキサネット・アルファのエノキサパリン 抗凝固状態の拮抗について、カリョファーマ・セラ ピューティクス(米国)は多発性骨髄腫治療薬候補セリ ネクソールについて、アジオス・ファーマシューティカル ズ(米国)は、(進行血液がんを含む)各種血液がんに ついて、それぞれ良好な結果を発表しました。 図表1:売上高、一株利益、株価収益率、 対売上高企業価値、売上原価の伸び率の推移 (期間:2013年~2016年(予想)) 増収率 医薬品 後発医薬品 バイオ医薬品 医療テクノロジー 2-4% 10-15% 15-20% 10-15% 増益率 (1株利益) 4-6% 10-15% 20-25% 15-20% 株価 収益率注 17倍 18倍 24倍 22倍 対売上高 企業価値注 3.9倍 2.6倍 8.6倍 3.5倍 売上原価 伸び率 15-20% 25-55% 10-20% 20-40% 注 2016年利益予想に基づく ※伸び率は、2013年~2016年(予測含む)、年率 出所:セクトラル・アセット・マネジメントのデータを使用しピクテ投信 投資顧問作成 これに対し、バイオジェン・アイデック(米国)とアイシ ス・ファーマシューティカルズ(米国)は、脊髄性筋萎縮 症治療薬SMNRxについて良好な結果と残念な結果の 両方を、サイトカイネテックス(米国)は、筋萎縮性側索 硬化症(ALS)患者を対象とした治療薬の効果が後期 フェーズII治験で示せなかったことを発表しました。エン ドサイト(米国)は、卵巣癌治療薬候補であるビンタフォ リドのフェーズⅢ治験を中止しました。 規制面では、良好なニュースの大半が事前に予想され ていたものの、複数の予想外の材料がバイオ医薬品 銘柄の株価を押し上げました。最も注目されたのは、 欧州医薬品庁諮問委員会(CHMP)がPTCセラピュー ティクス(米国)のナンセンス変異を伴うデュシェンヌ型 筋ジストロフィー治療薬アタルレンの承認を推奨したこ とです。サレプタ・セラピューティクス(米国)ならびにプ ロセンサ(オランダ)は、両者の筋ジストロフィー治療薬 を、予定より早い時期に、米国食品医薬品局(FDA)に 承認申請することを発表しました。一方、インスメッド (米国)は、肺非結核性抗酸菌(NTM)による肺感染症 治療薬アリカイスが画期的治療薬の指定を受けました。 バイオ医薬品セクターの相次ぐ新規株式公開(IPO) も 市場の注目を集めました。IPO(株式公開)の件数は46月期の15件、2014年上期合計で40件(1-3月期は25 件)となっており、2013年を上回るペースです。 世界のヘルスケア関連株式の株価収益率(PER)が直 近2-3年を通じて拡大基調を示していること、また、 M&A観測が絶えず、IPOが相次ぐ状況では、銘柄を厳 選した、慎重な投資が求められます。 MSCI世界ヘル スケア株価指数のバリュエーションは、EV/EBITDA倍 率で12倍程度、PER(実績)で20倍程度と、MSCI世界 株価指数を上回っており、しかも、MSCI世界株価指数 のEV/EBITDA倍率は約10倍と、過去平均と比べ、高 水準です。 <次ページに続きます> ピクテ投信投資顧問株式会社 巻末の「当資料をご利用にあたっての注意事項等」を必ずお読みください。 2 3 ご参考資料 Pictet Global Market Watch グローバル 医薬品企業ならびにバイオ医薬品企業については、相 次ぐ医薬品の承認と有望新薬のパイプラインが、高水 準のバリュエーションを一部正当化することは確かで すが、特殊医薬品については慎重な投資姿勢を維持 し、バイオ医薬品については銘柄を厳選することが必 須だと考えます。これに対し、マネージド・ケア銘柄に ついては、より積極的な姿勢で臨んでよいと考えます。 米国医療保険改革法(ACA)の施行に基づく医療保険 制度への加入者数が予想を上回っており、その恩恵が 期待されるからです。新興国ヘルスケア銘柄について は、短期的には、新興国市場全体を覆う不透明感が懸 念されるものの、中長期的には、真の価値を持つもの とみています。 ※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内 容が変更される場合があります。 MSCI指数は、MSCIが開発した指数です。同指数に対する著作権、 知的所有権その他一切の権利はMSCIに帰属します。またMSCI は、同指数の内容を変更する権利および公表を停止する権利を 有しています。 当資料をご利用にあたっての注意事項等 ●当資料はピクテ投信投資顧問株式会社が作成した資料であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場 の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。●当資料に記載された過去の実績は、将 来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用 目的への適合性を保証するものではありません。●当資料中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。 ●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の対象 ではありません。●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりません。●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、 会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。 3 3