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BioÖkonomie in Deutschland ドイツにおけるバイオ経済

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BioÖkonomie in Deutschland ドイツにおけるバイオ経済
BioÖkonomie in Deutschland
ドイツにおけるバイオ経済
ーバイオを基礎とした持続的な将来のためのチャンスー
2014年5月
ドイツ連邦食料・農業省
ドイツ連邦教育・研究省
-1-
ー
目
次
ー
はじめに
バイオ経済
1
ー
序論
3
変革の中に世界経済
3
持続的な経済成長
5
バイオ経済里程標
7
バイオ経済 2030 国内研究戦略
9
ドイツにおけるバイオ経済の里程標
農村レベルでのバイオ経済
11
12
日常生活におけるバイオ経済ー石油からバイオを
18
基礎とした経済へ
自動車分野
21
材料のための再生可能な原料の基礎
22
プロジェクトの領域におけるバイオ結合原材料
23
建
25
築
木造建築の前進
26
木材が鋼板に代わって
28
内装の断熱材と上張り
29
バイオ廃棄物からコンクリート液体
31
焼き肉用油からのアスファルト
32
化
33
学
バイオを基礎とした基盤化学製品
38
バイオ潤滑剤
41
エネルギー
44
バイオガス:地域の発酵材料からのエネルギー
49
バイオ燃料ー麦わらからのガソリン
51
燃料のための熱化学上の経路
52
-2-
農業・林業
54
前進の途上にある精密農業
55
収量の向上、資源の持続的な利用
57
狙いを定める中でビートと大麦のゲノム
58
有機栽培:効果的な基礎づくり
61
品種改良による木材産物の活発化が目標
62
持続的な家畜飼育の強化
63
拡大のコースを進む養殖
65
アクアポニック(野菜と魚を同時に育てる)と都会農業
66
バイオ経済の原料
67
木材ーバイオ経済のための持続的な原料
69
牧場と畜舎からのバイオマス
70
循環経済への挑戦
72
2015・11
訳
青森中央学院大学
中川
-3-
一徹
はじめに
バイオ経済は、将来を指向した持続可能な政策において、
卓越した地位を有している。また、バイオ経済は再生可能
な天燃素材原料の効率的、持続的利用を首尾一貫して追及
している。同時にバイオ経済は、化石をベースとした経済
に対して、指標となるそして有望な選択肢を提供する。化
石原料は、緩やかにそして確実に消滅する。バイオ経済は、
農村地域と農ー林業のテーマ以外ないように、連邦政府の
政策的協議事項の重点と結びついている。
エネルギー転換の成果多い継続、我々の経済への原料供給の確保、気象ー自
然保護、そして特に増大する人口への十分かつ健全な食料を供給する責任、こ
の鍵となる課題の克服は、バイオを基礎とした経済無しに考えられない。その
際、バイオ経済は、新しい発明ではない。それは極めて古い。石油と天燃ガス
を用いる経済よりも古い。1000 年前に農林業が、再生可能な原料としてエネ
ルギーを、社会経済に供給してきた。
化石原料は、数百年前以上に生成された。これは、多彩かつ素晴らしい創造
物、また我々が常に今日言っているように、地球の遺産である。多くの有益性
をもったバイオの多様性は、少ない世代の中で創造されそして消費される。連
邦政府は、バイオ経済の必要性を認識し、そして指針となる2つの戦略でもっ
て、持続的なバイオ経済の方向に決定的な歩みを、踏み出した。連邦政府は、
「国内研究戦略 バイオ経済 2030」でもって、科学に基礎をおいたバイオ経済
のための礎石を設定した。
そして我々は、2013 年に決定した「国内政策戦略 バイオ経済」でもって、
食料の確保、限度ある資源と環境の保護のために、重要な貢献をする持続的で
競争力のあるバイオを基礎とした経済を、目指している。連邦教育・研究省と
連邦食料・農業省は、この戦略について密接な共同活動を行っている。私は、
このパンフレットに関しての共同で、継続できたことを喜んでいる。それは、
我々にわくわくする展望を、与えてくれる。バイオを基礎とした経済のルネサ
ンスは、今まさに始まったのである。
ドイツ連邦食料・農業大臣
クリスチン
-1-
-4-
連邦議会議員
シュミット
はじめに
少ない資源、増大する世界人口そして進展する気象
変動は、我々の工業ー社会を大きな挑戦の前に立たせ
ている。我々は、将来において我々の豊かさを確保し、
そして資源を責任ある重さをもって、扱うことのでき
る経済の新しい形を必要としている。そのため、以下
が中心的な課題の内容である。持続性と経済的発展と
の結びつきを、どのように成功させるか。
バイオ経済は、この問題に対する答えを見出すとともに、支援することがで
きる。これは、総合的な経済とエコロジーを互いに結びつける。バイオ資源の
利用によってバイオを基礎とした、そして持続的な成長を可能にする。連邦政
府は 2010 年末に 6 年間で、関連する各省の管轄領域を越えた「国内研究戦略
バイオ経済 2030」を公表し、そして工業と社会のバイオを基礎とした、変化
のための具体的な路線を定めた。研究と革新は、石油を基礎とした経済部門に
対して代替え策を見出し、その上成長と就業のための新しい道を指し示す。
このパンフレットは、バイオ経済の構築に際しての現状と、重要な経済部門
並びに、中心的なテクノロジー及び生産方法の展望とともに記述している。そ
の際、行動の必要性は明らかである。社会全体で可能な限り多くの人々が参画
するとき、持続可能な方向で工業的に広範な構造変革が、成果多く成功する。
バイオ経済は、エキスパートのための「隙間的なテーマ」ではない。それは、
我々すべてに係ることである。
ドイツ連邦教育・研究大臣
Prof .Dr. ヨハンナ
-2-
-5-
ヴァンカ
1 バイオ経済ー序論
21世紀の世界は、重要な挑戦の前に立っている:
世界経済が持続的にどのように成長できるのか?
経済とエコロジーがどのように結びつくのか?
統計上の指数でもってのみ、大きな工業国とみられているところは、将来に
おいても楽観視している。近代的な工業発展の恩恵を、受けてない人はいない。
世界に大きく広がる社会的な変動を、認めない人はいない。発明されたテク
ノロジーを、利用しない人はいない。過去 200 年間の工業発展は、大部分化石
原料の利用に基礎をおいている。石炭、石油そして天燃ガスは、ドイツと他の
工業国に歴史的に、未曾有な躍進をもたらしてきた。化石原料無しに、産業革
命は生じなかった。
今日もまた工業経済部門が、確固たる構成要素である。それは、絶え間ない
テクノロジーの進歩が基礎であったし、そしてドイツが世界の中で強い経済国
家に発展することに、貢献してきた。今日では、日常の必需品の石油を基礎と
した多くの産物が、存在している。科学工業とその買い手のための産物は、石
油を重要な原料エネルギー源としている。
変革の中に世界経済
今日の経済形態は、自らの限界に遭遇している。多くの原料を保有する国と、
それをもたない国々との間の経済的関連は、過去において明確に拡大し、常に
政治的緊張をもたらしてきた。さらに石油、石炭そして天燃ガスのような化石
原料の使用は、気象と環境のために著しい負担を生じている。現在の経済形態
と我々の消費モデルが、温室効果ガスー放出の大部分に関係し、グローバルな
気象問題に責任を有すことは、専門家の間で議論の余地がない。
来年中に著しい努力を傾注し、そして決定的な変化を望むとき、世界気象協
議会の当面の分析では、地球温暖化を回避できるチャンスが、なお与えられて
いる。このための行動の必要性は、ヨーロッパの中でもはっきりしている。ド
イツにおいて、1881 年の気象記録以来、平均約 1.2 ℃暖かくなっている。
-3-
-6-
しかし、気象状況のみならずもう 1 つの挑戦、それは著しく増大する世界人
口である。2013 年単独でドイツ全体の人口のように、総人口が増加している。
2050 年には、地球上で 90 億人以上の人間が見込まれる。まだ未解決の問題
:それは、90 億人の人口をどのように、扶養していくのか?自然に対してさ
らなる酷使無しに、これを達成できるのか?この間に多くの新興工業国におい
ても豊かさの拡大が、さらに産物に対する世界規模での需要とエネルギー、イ
ンフラ、そして健康上の対策を増加させている。
21 世紀の世界は、重要な挑戦の前に立っている。どのように経済とエコロジ
ーを、結びつけるのか? この問題解決のための本質的な貢献は、バイオ経済
が果たす。これは、賢明なやり方で経済とエコロジーを結びつける。バイオを
基礎とした、そして持続的な経済成長でもって可能となる。バイオ経済は、あ
らゆる経済分野の将来性ある経済システムの領域において、産物、手法そして
サービスするために、再生可能な原料を科学を基礎として、生産、利用する。
持続的な経済発展を達成するためにバイオ経済は、2つの基本的な原則を取
り上げている。それは、再生可能な原料の持続的な生産と、バイオを基礎とし
た革新である。既に産業革命以来、自然科学における革新は、人々の豊かさと
成長のために決定的な貢献を果たす。ドイツのように特に原料の少ない国々は、
再生可能な原料の今ある知識と、新しい産物に関する技術革新によって、もた
らされる経済成長を期待している。
-4-
-7-
バイオ経済は、科学を基礎とした再生可能な原料の生産と
利用である。あらゆる分野における生産物、手法そして実行
が、将来を指向した経済システムを準備する。
持続的な経済成長
持続性の方向の中での経済システムの必要な変更のためにも、革新ー投資力
を用いること、そして始めに記述された挑戦のための問題解決を、見出すこと
が重要である。過去 2 世紀の莫大な生産能力の獲得、並びに容易に利用できる
ことを基礎としたテクノロジー発展の大部分が、化石原料を簡単に利用できる
ことを、基礎としてきた。同じく大きな影響が、生活の科学の中おいて現在の
知識の進歩によって、期待されている。
最近 10 年間における新しい知識は、生物学的プロセスの理解のもとに、部
分的な革新をもたらし、そしてハイテク機器の発展をもたらした。そしてこの
中には、経済の持続的な発展と巨大な潜在力が、内包されている(バイオ経済
のハイテク機器を参照)。技術的に実行可能な、そして資源効率的なバイオを
基礎とした工業内の構造変革は、考えるだけでなく経済的にも実行可能である。
まさに、化石原料に対する代替えの視点でもって、しかし、工業的なプロセ
ス技術における再生可能な原料の利用に関して、バイオを基礎とした生産のた
めに、全く新しい道を切り開く。
バイオ経済は、社会全体の枠にバイオを基礎とし、その上に持続的な成長を
確保する。なぜならば、工業における必要な全社会的な構造変革は、世界食料、
環境ー気象そして動物保護のためのグローバルな、責任を担った経済成長と全
体的な展望を、与えるからである。そして化石原料から再生可能な原料への転
換だけで、良しとするわけにいかない。今あるプロセス技術における個々の革
新を通じて、バイオに関する知識を統合化することは、簡単ではない。
21 世紀における世界経済の挑戦を実現するために、全社会的な構造変革に
成功しなければならない。また、経済成長と生態系との調和は、環境ー気象ー
自然そして動物保護の観点を、配慮しなければならない。
-5-
-8-
生産といったような手法に対して、社会的要請の増大も考慮しなければなら
ない。このような広範な転換は、バイオ経済の枠内で可能である:それは、再
生可能な原料のバイオを基礎とした、微生物、細胞ないし個々の生物構成要素
まで、広範に着手することである。バイオ経済の規範とすべき原理は、循環経
済の構築である。これは、原料の効率性と持続性の意味において、最も良い利
用並びに原料と材料の流れの多数回使用を、可能にするものである。分野を越
えることも(バイオを基礎とした生産を参照)。
バイオ経済は現在のそして将来の挑戦を、発展させるための革新を促し、バ
イオを基礎とした問題解決の手がかりとチャンスを提供する。その上、バイオ
原料の広範な利用に基づいて、現代的なバイオ経済実践は、工業のみに限定さ
れない。これは、全ての国々に原則的に参画の機会を、提供している(今日の
豊かさとシステムの枠を越えて)。バイオ経済は、研究、工業そしてエネルギ
ー政策も、農ー林―漁業政策、気象ー環境政策並びに普及政策も包括した構想
である。
-6-
-9-
バイオ経済里程標
2007
2008
2009
2005:EU-研究特別委員 Janez Potocnik が
2009:ECD(経済開発機構)が挑
最初に「科学を基礎としたバイオ経済
戦文書「2030 年に向けてのバイ
構想を提案
オ経済政策」の策定
2007:ドイツの EU-理事会議長職のもとで、知識バイオ経済への道の会議でケルンー文書を公表。
これは目標と結びついたバイオ経済のとりまと
めたものである。
2009:バイオ経済理事会が設立。
専門家がバイオ経済構築に際し
て連邦政府に助言
2010
2011
2012
2010:省庁の管轄を越えた「国内研究戦
2012:バイオ経済理事会第 2 任期が、
略バイオ経済 2030」が、連邦政府から
部分的に新しい委員でスタート
公表
2010:ノルトライン・ヴェストファーレン州にバイオ経済科学センター
2012:専門家集団「バイオ経済」
(Bio-SC)が設立。これは、ドイツにおけるバイオ
が業務を開始
経済の研究課題に対応した施設。
2012:EU-委員会が持続可能な成長に向
けた革新・ヨーロッパのバイオ経済を
公表
2012:科学のキャンパス「植物-バイオ
経済」を公表
2012:Frauenhofer 化学技術プロセスセ
ンターの開館
-7-
- 10 -
2013
2014
2013:バーデンーヴュルテンベルグ州が「バイ
2014:連邦教育・研究省のバイオ経済前
オ経済の研究プログラムをスタート」
半期会議をベルリンで開催
2013:ノルトライーヴェストファーレン州がバイオ経
2014:バイオ経済会議ー連邦食料・農業
済ー戦略を決定
省の再生可能資源による持続的経済を
ベルリンで開催
2013:ドイツ連邦農業・食料省と連邦
教育・研究省の所管のもとに、連邦
政府が「国内政策戦略バイオ経済」
を決定
-8-
- 11 -
バイオ経済2030国内研究戦略
バイオ経済国内研究戦略は、連邦教育・研究省(BMBF)の所管のもと
に、6 人の大臣と共同で 2010 年に公表された。2016 年まで総額 24 億
ユーロ(約 3 360 億円)が、研究とその成果普及のために充当された。
この戦略の内容には、5つの中心分野が記述されている。
(1)世界規模での食料の確保
(2)健全で安全な食料の生産
(3)農業生産と持続性の具体化
(4)再生可能な原料を工業的に利用
(5)バイオマスをベースにエネルギー源の拡充
同時に指針となる重要な原則:例えば
食料の確保は、常にバイオマスの他の利用よりも、優位性を保っている。
価値創造チェーンの総合的な結びつきによって、様々なバイオマス利用
法の競争を和らげる。例えば、共同ー段階的利用など。
資源は、自然的そして気象に優しく、家畜の種に適した並びに倫理学
上の受入れ可能な生産は、バイオ経済に関しての評価基準である。
研究戦略の屋根のもとに参画している連邦省から最初の3年間の経過
の中で、多様な奨励手段が投入され、そして政策が組み合わされている。
連邦教育・研究省の本質的な努力は、特に農業分野におけるより多く
の持続性に関する研究への刺激を、与えることに向けている。例えば、
農業に関する重要な資源としての土壌の保護と保持のための、奨励イニ
シアチブを中心に据えること。さらに工業における再生可能な原料の利
用が、研究戦略の中で奨励の重点を形成している。
食料生産における持続的な戦略、並びに作物栽培における生産性向上
のための新しい気象に合った研究ー普及方法もまた追及されている。そ
の上グローバルな責任の観点がより強く求められ、そして発展途上国ー
新興工業国との共同研究の促進が、目的とされる。連邦経済共同活動と
発展省(BMZ)の活動とともに、長期的にこの地のノウハウに貢献し、
さらに国際的にも、持続的な農業を構築することにも貢献する。
-9-
- 12 -
国内研究戦略の中のさらに重要な礎石は、特に小ー中規模経営の経済
研究ー普及努力の支援である。その上、科学と経済との間の新しい共同
が、全体的な価値創造チェーンに沿って実施される。工業プロセスにお
いて、再生可能な原料並びに資源の効率性が、より強く配慮される。
ここでは、BMBF(連邦教育・研究省)の活動を、BMEL(連邦食料・
農業省)の奨励プログラムでもって、補完される。同じくバイオマスの
工業的利用のための、新しい方法のさらなる発展が、多くの奨励イニシ
アチブでもって支援される。その際、大抵の農業と家畜飼育の持続的な
さらなる発展に集中される。林業と漁業も。その上、全体的な価値創造
に沿って、食料と農業の分野における革新が、促進される。
有機農業、バイオ資源の保持の視点で作物ー家畜飼育の効率性向上並
びに農業バイオマスの多数回利用のための、新しいモデルに関しても。
バイオ経済のもとでの革新奨励のさらなる観点は、バイオエネルギー
戦略の強化である。エネルギー上のバイオマス利用のための研究プロジ
ェクトの奨励は、連邦経済・エネルギー省(BMMi)の前期選任期から
引き受けている。この活動は、バイオマスからの動力用燃料と電気熱の
生産のためのプロセスと方法の最適化を、目的に連邦農業省の奨励政策
によって補完される。
-10-
- 13 -
ドイツにおけるバイオ経済の里程標
ドイツは、バイオ経済について国際的にトップの地位を得ている。トップの
国としてドイツは、2010 年末に6年間で投資する各省の管轄を越えた”国内
研究戦略バイオ経済 2030”を公表し、同時に工業と社会のバイオを基礎とし
た、変革のためにこの国での最初の具体的な路線を定めた。この戦略は、連邦
教育・研究省(BMBF)の所管のもとに、全体として6つの省が策定し、2016
年までに総額 24 億ユーロ(約 3 360 億円)を、研究とその成果普及の財源と
して使用できる。
国内研究戦略の最初の3年間の政策支援でもって、以下のことに取り組む。
つまり、工業の資源効率性と持続性のための構想を促進させ、そしてバイオ
経済と結びついたチャンスを、社会的、経済的変革に活用する。連邦政府は、2013
年夏に連邦閣議で決定した”国内政策戦略バイオ経済”でもって、バイオに基
礎をおいた持続的な経済のためのさらなる里程標を置いた。連邦食料・農業省
の所管のもとに、各省の所管を越えた効果的な戦略が、密接に関連し合う政策
形成を可能とするための目標を設定した。
決定した政策活動は、2013 年以来の大枠において、政府内の「作業グルー
プバイオ経済」を調整し、そして促進させている。連邦政府は、国内研究戦略
並びに政策戦略の具体的な策定に際して、バイオ経済協議会によって審議され
る。2009 年に構成された専門委員会は、現在第2作業期間であり、種々の科
学と経済の専門領域からのエキスパートで、構成されている。これは、将来的
な研究重点のさらなる発展のために、答申を策定しそして全ての社会関係グル
ープとの対話を取り入れる(社会的対話におけるバイオ経済)。
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- 14 -
農村レベルでのバイオ経済
とりわけこの間、広範な連邦政策の支援のお陰で、各州において研究奨励テ
ーマとして、取り上げられている。
ノルトラインーヴェストファーレン州
2013 年 7 月に同州は、独自のバイオ経済ー戦略を決定した。この州は、この
際専門領域を越えたネットワーク化と、バイオ経済のための「良き水準」発展
のための精神ー社会科学の集中的な参画に、尽力している。同時に特に様々な
専門分野にわたる”バイオ経済科学センター(BioSC)”を、設立した(アッ
ヘン、ボン、デユッセルドルフの大学並びにユーリッヒ研究センターが参画)。
さらにノルトラインーヴェストファーレン州政府は、バイオ重合体のさらなる
発展を目指して、そしてバイオ精油並びにバイオ薬剤診断学と医療技術を、よ
り機能化させる。
バーデンービュルテンベルグ州
2013 年 7 月に”バイオ経済研究プログラムーバーデンービュルテンベルグ州
”を、スタートさせた。これは、2012 年に州科学・研究・文化省(MWK)か
ら招致された、バイオ経済の科学者からの答申を、基礎にしている。プログラ
ムの目的は立場を越えた全体的な、そして広範な共同を強化すること。地域に
おいて今ある潜在力を、より良くネットワーク化することである(ホーエンハ
イム、カールスルーエそしてシュトットガルトにある大学)。5 年の経過期間
について、バイオガス、リグノセルロースを含んだバイオマス、並びにミクロ
藻類の分野における重点投資が、実施される。
北部ドイツ
より強く農業を基盤とする北部各州において、州政府の詳しいバイオ経済戦
略は無い。それにも拘わらず、地域レベルでの重要なネットワークが、構築さ
れている。ヴェーザー エブムラントにおいて、戦略ーバイオ経済協議会/農
業システム技術が定着している。ドイツ食料技術研究所とオスナブリュック大
学が、応用バイオ経済センター(CAB)を設立した。
メクレンブルグーフォアポーメルン州政府は、革新的な養殖の構築に際して、
重点を計画した。
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- 15 -
中部ドイツ
歴史を有する化学立地レウナに”化学―バイオテクノロジープロセス”精油
所ー研究センター(CBP)が、定着している。ここは、2012 年 10 月に連邦首
相メルケルが、落成式を行った。バイオ精油所は、将来的に植物バイオマスか
ら、化学的な原料並びにエネルギーの多様性を入手できる(今日の石油ー精油
所と比較可能な)。大抵のバイオ精油所ー計画は、なお研究と普及の段階であ
る。CBP は、実験室ー試験基準研究を実践に移行することに、焦点をあてて
いる。
そのため、CBP は 2 000 ㎡の敷地に産業界と科学界からの共同パートナーが
利用できる、工業専門学校ーパイロット施設を、幾つか準備している。CBP 設
立のために、ザクセンーアンハルト州並びに3つの連邦研究省、農業省、環境
省が、合計 5 000 万ユーロ(約 70 億円)を準備した。2012 年以来、ドイツ連
邦教育・研究省(BMBF)のバイオ経済の先頭集団の奨励に関して、中部ドイ
ツ・バイオ経済立地強化のために、さらなる財源を得ている。その上、中部ド
イツバイオ経済―立地に関する理論的に重要な刺激が、”Hall 植物ベースのバ
イオ経済・科学キャンパス”で提供される。
現地のライプニッツー研究所並びに HALL 大学で、様々な学問分野にわたる
共同作業を実施する。この間にバイオ経済が、ザクセンーアンハルト州の市場
―導入戦略の中に、取り入れられた。
奨励の重点に小ー中規模経営
連邦政府は、可能な限り多くの工業分野にバイオ経済の手法を使用する
ために、目的を定めた研究ー普及努力を支援する。特別な重点は、革新的
な成長を遂げることに、期待されている小ー中規模経営(KMU)におか
れている。国内とヨーロッパレベルでの適切な奨励政策の援助でもって、
国内研究戦略の傘下のもとで、私的に著しく投資を促す有望なバイオ経済
ープロジェクトが、実施される。
その上、2011 年に経済界と科学界との間に、戦略的な同盟を全体的な価
値創造チェーンに沿って築くために、”革新イニシアチブの工業バイテク
ノロジー”を策定した。このことは、今公的な奨励でもって、再生可能な
原料並びに資源効率性の構想を、より強く様々な工業的生産プロセスの関
係において、価値を見出す活動を行う。今まで奨励を認可された5つの戦
略的同盟のうち、3つが調整されている。
-13-
- 16 -
バイオ経済のパイロット戦略
2013 年夏に連邦閣議は、バイオ経済国内戦略を決定した。その中には、持
続的な経済の領域において、価値創造ー就業の潜在性を用いるため、そし
てバイオを基礎とした経済への構造変革を支援するために、連邦政府の目
的、戦略的アプローチと政策を記述している。連邦食料・農業省の所管の
もとで、専門分野を越えた効果的な政策を設定した。
あらゆる政策分野に関して、国際競争力のある持続的なバイオ経済のため
に、重要な行動を策定した。その際、研究ー革新政策に関する対策を表現
するだけでなく、工業、エネルギー、農業政策に関して、気象、環境政策
並びに普及政策に関しても、詳述している。一致した政府行動は、2013 年
に設立された暫定的な作業グループ「バイオ経済」で、意見調整しそして
前進させる。
バイオ経済の政策戦略は、連邦政府の持続性戦略のもとに、組み立てられ
ている。これは、2010 年に策定した”国内研究戦略バイオ経済 2030”と、
密接にかみ合っている。
バイエルン州
バイエルン州においても、バイオ経済ー手法はバイエルン化学クラスターの
傘下に、より多く焦点が当てられている。この領域において国際市場における、
新しい生産ープロセスの革新を、バイエルン州政府が奨励している。これに加
えてクラスターマネジメントが、専門領域全体を結びつけて全体構成するだけ
でなく、枠外資本の募集を調整している。また、クラスターはプロジェクトを
前進させる任務を担い、プロジェクトに付随した普及サービスの役割も演じて
いる。バイオ経済の中心的な関係者は、特別化学コンツエルン Clariant が担っ
ている。これは Straubing の地に、麦わらからバイオ燃料への利用に関するデ
モンストレーション施設を設立した。
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- 17 -
ヘッセン州
ヘッセン州政府は、財政でもって微生物総合センター、フイリップス大学、
マックス プランク研究所との共同で、陸生微生物に関する研究を支援してい
る。さらに州政府のサイドから、バイオ技術と環境テクノロジーの研究に、奨
励の重点が当てられている。
広範に組み立てられている研究状況
州全体でさらに大きな研究組織が、活動している。つまり、フラウエンホー
フェンー協会、ホーレンホルツ共同体、マックス プランツ共同体そしてライ
プニッツ共同体である。”戦略プロセス バイオテクノロジー 2020 +”への参
加は、バイオを基礎とした経済の発展が、どのような位置価値を認めるかを、
示している。将来のバイオを基礎にしたビジョンを発展させるために、ドイツ
連邦教育・研究省(BMBF)との共同活動が、2010 年にスタートした。
この間に研究組織は、大規模な構造プロジェクトをスタートさせ、生活ー技
術科学分野からそれぞれの研究所が、参画している。これと他のネットワーク
は、バイオ経済においてとりわけ可能な限り多くの重要な経験を,傘下に収集
し、公表する。特に自然ー技術科学は、一緒に導入されるべきであるが、しか
し、経済学―社会科学もまた益々役割を発揮する。
世界の中でドイツからヨーロッパへ
バイオ経済の構築は、国内だけの重要事項ではない。2012 年に「持続可能
な発展のための戦略」が、決定された:ヨーロッパのバイオ経済と行動プラン
は、EU-同盟の原料の効率的、競争能力のあるバイオを基礎とした経済を支
援する。2013 年公的ー私的ーパートナーシップ(PPR)、名称「バイオをベー
スとした工業(BBI)」を実現させるために、EU ー委員会とヨーロッパの多く
の会社の代表者から、支えられている。
総額 37 億ユーロ(約 5 180 億円、その内 10 億ユーロ
約 1 400 億円が EU ー
委員会から)は、来たるべき 7 年のうちに、研究プロジェクトと普及デモンス
トレーション施設に、向けられる。全ヨーロッパから約 140 のパートナーが手
を挙げ、その内企業連合、小ー中規模経営並びにクラスター、ドイツの団体が
参画している。目的は、特に伝統的な方法からは餡れている価値創造チェーン
を、結びつけることである。
-15-
- 18 -
これには、例えばエネルギーと化学物質のために、木材、穀物、有機ゴミ並
びに、バイオマスの繰り返し使用に関する新しい利用計画が挙げられる。
日常におけるバイオ経済
これは、工業の観点から既に今日存在し、そして部分的に伝統的な方法で実
行でき、多様なバイオ経済の手法が示すところの対応の必要性が、もたらされ
る。なぜならば、工業への再生可能な原料の投入は、原則的に新しい考え方に
成りがちである。食料、衣服または健康のためにどうかであるが、多くの再生
可能な原料は、産物と経済的プロセスの中に受け入れられる。これらの方法の
かなりの部分は、既に数百年と古くから存在している(例えば、ビールまたは
チーズ製造の中で)。
他方、前世期の 80 年代に分子生物学の進歩の過程の中で発展した、新しい種
類のバクテリアによる癌の薬、または薬理工学における細胞のような。生物学
的な資源の価値は、工業の多くの分野において知られている。そしてさらに最
近において、有機合成物質の製造のための手法が発展している。様々な場合、
バイオを基礎とした経済は、工業分野にのみ限定されるものでない。生物的資
源の価値は、工業の多くの分野において知られている。あらゆる種類の手法、
そしてプロセスのバイオ化が増加し、この間日常生活においても、各個別プラ
ンが提起されてきた。
この背景の前にバイオ経済は、経済要因として将来的に重要性を得ることに
なる。勿論、バイオ経済の多くの取組は、経済的な実現の始まりである。一連
のパイロットーデモンストレーション施設は、バイオ資源並びに残さー廃棄物
の興味深い結合ー段階式利用が、可能なことを示している。この施設が広範に
将来の工業製品のための基礎として、バイオ精油所の原理を実践に移し、そし
て広範に工業上に利用することが、今有効である。
ここでは、どのような挑戦が存在するか、詳細に連邦教育・研究省(BMBF)
と連邦食料・農業省が 2012 年にロードマップ・バイオ精油所にまとめている。
それは、再生可能な原料の材料上の、そしてエネルギー上の利用の具体化の
ための方法と、重要なテクノロジーの概要である。
-16-
- 19 -
バイオ経済の世界
世界的にバイオ経済は、前進している。各国の多くは、この間にバイオ経
済ー戦略を決定した。これには、アメリカ、カナダとロシア並びにイギリ
ス、フインランドそしてスエーデンが、挙げられる。さらにブラジル、ア
ルゼンチンそして南アフリカも。ここでバイオ経済は、ドイツのように革
新技術を重要な柱として、そして経済の刷新のための将来性ある構想と、
みなしている。
それぞれの技術強化またはバイオ原料を使用可能にすることは、技術革新、
バイオエネルギーなどの分野における、様々な重点を設定することである。
ヨーロッパにおいて、今ある活動をより良くネットワーク化するために、
第8次EU-研究大枠プログラム「視線 2020」の分野において、バイオ経
済が優位性を認められている。
-17-
- 20 -
日常におけるバイオ経済 ー
石油からバイオを基礎とした経済へ
-18-
- 21 -
化石原料は工業化のモーターであり、そして今日なお重要な資源である。だ
がしかし、特に技術上の進歩のお陰で代わりの選択を見いだせる。あらゆる経
済分野に関して、持続的でバイオを基礎とした経済手段に関する戦略が、提起
されている。同時にバイオ経済は、我々の日常に徐々に入り始めている。どの
バイオ基礎としたどのような持続的な経済手法に、達するのか?どのような
挑戦があるのか?既に将来性のある兆しがあるのか?
この章において、ドイツの現場に関する重要部門で、現在使用可能な企業数、
従事者数そして販売額について、表示する。その上バイオ経済ー精油所に関し
ては、データと事例を添えて発展を説明する(今手元にある限りにおいて)。
バイオを基礎とした産物と手法について、様々な事例に基づいて明らかにする
:バイオ経済は、既に我々の日常に受け入れられている
部
門
企業数
従事者数
販売額
人
自
動
車
17
756 000
ユーロ
3 620 億
(49 兆 5940
億円)
バイオ経済の事例
・自然繊維で強化した車体部分
・ バイオ合成物質ーバイオを
基礎とした内装内張り
・タンポポからの天然ゴムを基
礎としたタイヤ
・木造建築
建
築
317 300
1 900 000
1 720 億 ・自然繊維で強化された結合原
(23 兆 5640
億円)
料材・断熱材
・バイオ固定用だぼ(ジベル)
・バイオを基礎としたコンクリ
ート添加物
化
学
2 121
434 312
1 860 億
・バイオ合成物質
(25 兆 4820 ・バイオを基礎とした基盤化学
億円)
物質
・暖房用木材ペレット
エネルギー
923
220 157
4 660 億
・バイオガス・バイオ軽油
(63 兆 8420 ・バイオエタノール
億円)
-19-
- 22 -
・合成燃料
・精密農業
農業/林業
285 000
1.000.000
320 億
・作物栽培ー家畜飼育
(4 兆 3840 ・短期伐採プランテーション
億円)
・養殖
・バイオ反応装置
機械製作
6 227
978 000
2 070 億 ・バイオプロセス技術機械
(28 兆 3590 ・農業設備
億円)
・農業機械
・酵素
食品企業
6 000
555 000
1 700 億 ・香料とアミノ酸
(23 兆 2900 ・自然的な食品添加物
億円)
・ルピナス蛋白質からの食品
・バイオ基礎の海面活性剤
薬
品
923
135 773
414 億
(27 兆 8110
億円)
・化粧品のためのバイオ活性の
内容物
・酵素を基礎としたクリーニン
グ添加物
繊維製品/衣類
1 300
111 313
1 13 億
・合成繊維のための自然原料
3 000 万 ・絹織物からのハイテクー繊維
(15 兆 5221 ・植物性の皮なめし剤
億円)
-20-
- 23 -
自動車
データと実態
企
業
17
従事者数
756万人
販 売 額
3,620億ユーロ
(47兆600億円)
バイオ経済の事例:自然繊維で強化された車体、バイオ素材からの内装
m
- 24 -
自動車分野
車無しには、今日の社会生活を全く想像できない。気象変動への視点でもっ
て、増大する持続的な社会生活の構想が、求められている。自動車経済は、バ
イオ合成物質の最も大きな使用者である。そしてまた、増々バイオを基礎とし
た産物のために、開かれている。自動車は平均的ドイツ人の生活から、もはや
無視できない。今日、1 人のドイツ人が毎年平均して 11.7 km の道のりを進ん
でいる。この全距離の 55%について、車を利用している。
全世帯の 78%が、最低 1 台以上の自動車を所有している。そして成年人口の
80%が、自動車免許証を取得している。このことは、自動車経済の統計的な指
数においても、反映されている。自動車工業連盟(VDA)の報告によると、
この国の経済の最も重要な軸足の部門に属している。3 260 億ユーロ(約 49 兆
5 940 億円)の販売額でもって、ドイツの国民総生産額の 3.9%を占めている。
ドイツにおける研究ー発展潜在力の 1/3 強が、直接的または間接的に自動車
部門に流れ込んでいる。これはドイツの研究―集中的分野である。2013 年に 180
億ユーロ(2 兆 4 660 億円)が、この分野に投資された。全体で 840 000 人が、
製造業と下請け業に従事している。
持続可能性への挑戦
社会生活の裏は、数字で測定できる:温室効果ガスの全排出量の 20%は、自
動車に起因している。道路建設によって塞がれた土地は、全ドイツ国土の 2%
を覆っている。騒音、微細な埃による環境汚染、細分化された景観、そしてイ
ンフラ構造の維持と解体のための経費 10 億ユーロ(約 1 370 億円)が重要で
ある。その上、世界規模の石油の半分以上が、交通分野に使用される。ここで
石油は、ガソリン、軽油または潤滑油のみ用いられるのでなく、多くの自動車
部品の原料としても用いられている。
自動車のラッカからインテリア、電気的なパーツの広範な部分からデイスプ
レイまでに至っている。我々の車の中で、石油からのプラステイック、化学繊
維そして発泡プラスチックの割合は、20 世紀の 1950 年代以来増大している。
私的な乗用車として、大量生産されるに至った。今日、ドイツの自動車工業
において、毎年約 10%の再生可能な合成物質が生産されている。特にこの材
料は、軽くそして柔軟性があり、優れた保湿―防音性を示す。
-21-
- 25 -
金属と合成物質で構成される、ハイブリットの部分にも使われている。それ
どころか幾つかの合成物質は、金属の代わりとして用いられ丈夫である。
材料のための再生可能な原料の基礎
持続性のテーマは、自動車工業においても重要性を増している。消費者は、
立法機関が CO
2
ー放出の削減を必要とするガソリンを、節約するモデルを求
めている。この要請は、特に革新的な材料が製造者の焦点に、押し出されてい
る。自動車ー軽量化に際して、プラステイックの使用増大の追い風の中で、自
然繊維で強化された合成材料のような、バイオを基礎とした材料、つまりバイ
オハイブリット材料が、常に良好に市場投入され得る。
それは現在、約 90,000 tの木材プラスチック合成材が、ヨーロッパの自動車
分野に役立っている。バイオを基礎とした材料への需要増加から、特色ある小
さな企業もまた、熱可塑性の材料をベースとした、セルロース生産からの材を
利用するための手法を、発展させている。厳密に言うならば、バイオ材料の投
入について、全く新しい傾向でなない。既にヘンリーフォードは、1915 年に
伝説的なモデルに、小麦蛋白質のグルテンからのアスベスト繊維で強化した、
スターターボックスを用いている。
1020 年代に、大豆粉と麻繊維からのボデイ部分を有する車の原型を、開発し
ている。原材料は、ヘンリーフォードがトランクのフタを,斧で打っても破壊
されることなく、頑丈であった。発展の頂点は、結局再生可能な原料から完全
にできる、原型であった。2008 年以来バイオを基礎とした材料が、フォード
ムスタングに少ない生産量であったが、投入されている。まさにムスタングの
重量割合 1/5 が、バイオ素材に該当する。
それは、大豆から 40%由来する大豆発泡フォーム(発泡剤)である。トヨタ、
現代(ヒユンダイ)のような自動車製造メーカーは、同じくバイオプラステイ
ックを投入している。ダイムラーベンツは、A -クラスのシリーズ生産に、植
物性原料で出来ている、モーターカバーを採用している。自動車製造における
バイオプラステックの投入に際しての挑戦は、この素材の加工性にある。この
問題において、バイオを基礎とした自動車部品製造のために、今あるダイカス
ト(訳注・噴入鋳造法)を適用されるように、多くの研究ー普及活動が、適切
に実施されている。
-22-
- 26 -
これは特に、バイオプラステックとバイオ結合原材料研究所(IfBB)、全ての
大自動車製造メーカーと会社が、価値創造チエーンに沿って共に活動するハノ
ーバー大学に適応される。バイオを基礎とした材料並びにそれの工業製品への
応用方法を、準備するために。ドイツ連邦農業省に属している IfBB もいわゆ
るバイオコンセプトカーを普及させている:ロイトリンゲンのレーシングカー
チーム(バーデンビュルテンブルグ州の都市名)のレーシングカーを、有限会
社フォアーモータースが取り扱っている。
プロジェクトの領域におけるバイオ結合原材料
再生可能原料の割合を 30%から 70%に高めるために、ボデイー内装材として
のバイオプラステックを製造し、組み立て、普及させている。
タンポポからタイヤを
車体と車内内装のみならず、増大するバイオを基礎とした自動車タイヤのゴ
ム製造もまた、代わりの手法について探求されている。このため、これまで亜
熱帯のゴムの木の樹液が、輸入されている。同時にロシアで栽培されている利
ロシアタンポポも供されている。この花の根からのゴム樹液―生産は、明らか
に天候に左右されないことが可能で、そして農業上内容の無かったことに基づ
いて、全く新しい潜在力(特に休耕農地で)を切り開く。この領域において、
ドイツ連邦研究省(BMBF)によって奨励されているプロジェクトは、ミュン
スター大学で研究されている。
つまりこの野生植物の特性が、大量栽培の要請に適応できるかどうか。応用生
態学と分子生物学に関するフラウエンホーファー研究所とともに、現在ミュン
スターにおいてタンポポ―ゴム樹液が、工業―規準で生産できるためのパイロ
ット施設を建設した。研究者は、既にこの数年においてこのタンポポで生産さ
れた自動車タイヤを、道路上で走らせたいとしている。そして今、フラウエン
ホーファーの研究者の検査が、示されている。新しいゴムの品質が、これまで
の素材と一致している。
-23-
- 27 -
自動車工業における内装ー部分の天燃繊維の概要
植
種子繊維
綿花
植物内皮繊維
亜
麻
物
繊
維
硬質繊維
リュウゼツラン ヤシ繊維
麻
・サイザル繊維
ジュート
・Yucca
ケナフ
・Mauritius
ジャワジュート パイナップル
Ramie
果物繊維
Abaca/マニラ麻
-24-
- 28 -
木材繊維
トウヒ
マツ
建
築
データと実態
企
業
317,300
従事者数
190万人
販 売 額
1,720億ユーロ
(24兆800億円)
バイオ経済の事例:木造建築
天燃繊維で強化された結合原材料
植物ジベル(だぼ
-25-
- 29 -
木材同士をつなぐ木の棒)
断熱又は内装のための建築材料と原材料としてどうか。
再生可能な原料は、優れた素材特性でもって評価を高め、環境を改善しそし
てしばしば人間の健康に適している。このことを背景に、自然建築材料は新築
のみならず、再建でも関心が増大している。建築部門の従来からの産物(コン
クリート又はアスファルトのような)もまた、この間にバイオを基礎とした研
究戦略によって、より多くの持続性を得ている。バイオ経済のために、根本的
な貢献をしている。
人類が住居を建てて以来、木材またはワラのような再生可能な原料を、建築
ー材料として使用してきた。建築部門においても、常により多くの持続性とエ
ネルギー効率が重要であるので、バイオを基礎とした材料の受入れが、再び高
まってきた。木材は、家屋建設の設計でその投入がより強まっている。なお試
験においてバイオを基礎とした接合剤が見出されている。その上、国内の農業
ー林業の価値創造を高めるために。
建築材料の自然的な原料の多様さを、拡大することが研究されている。地上
ー地表工事においても、新しい方法が出てきている。コンクリートの製造に際
して、建築化学の石油を基礎とした方法で、気象に優しく具体化している。同
時にドイツにおいて、約30万の企業と約190万人の従事者を伴なった建築
部門は、バイオ経済強化のために大きな意義をもっている。
木造建築の前進
連邦統計局の報告によると、2011 年に木材からの建築材料は、約 140 億ユー
ロ(約 1 兆 9,600 億円)の生産価値に達している。伐採されカンナをかけられ
た、いわゆる挽き材としての木材の価値は、約 40 億ユーロ(約 5,600 億円)
となっている。挽き材について、その優れた木材の特性に基づく針葉樹材が、
2011 年に 2,160 万㎥ の大きな量になっている。木材原料の生産に関して、相互
に接着させた経木(へき板)と乾板の形でプレス(加圧)されている。
木材原料工場の重要な産物である圧縮材は、2011 年に15億ユーロ(約 2,100
億円)の生産額、約 570 万㎥生産されている。同時に木材は、再生可能な建築
ー原材料である。このことは、木材の物理学上の特性にある:これは柔軟で軽
く、そして加工しやすいことだけでなく、負荷能力がありそして圧力抵抗力が
あり、加工しやすい形態で最終的に曲げやすい。
-26-
- 30 -
これに持続性の観点が加わる:木材は、炭素を蓄積する。建築のための木材
資材の製造は、これまでの建築産品として、解体する際に後に残すような有害
物質無しで、そして少ないエネルギーでもって済ませられる。接合剤または接
着剤として木材工業において、まだ主に石油をベースに得られる価額物質が使
用されている。その際、すでにバイオを基礎とした代替品があり、現在それの
実践上の適正が確かめられている。小麦のタンパク質、バレイショの澱粉、リ
グニンまたはタンニンを基礎とした物質の接合剤の研究ー普及計画は、新しい
奨励重点の中心に据えられている。 この計画は、連邦食料・農業省が 2014 年
に公表した。
連邦コンクール
木材建築プラス
連邦政府は、建築と住居の分野に木材の投入を、持続的に増加させている。
木材建築の分野で提示されているプロジェクトは、連邦農業省が開催して
いる連邦コンクール「木材建築プラスー持続的原料」でもって、優秀な建
設について 2013 年に表彰した。このコンクールには、151 のプロジェクト
が応募した。2014 年にもこのコンクールが、実施されている。私的、営業
的、公共的建築主が、新築ー改築プロジェクトでもって、応募できる。重
要な建物部分は、木材から成り立っていることが、応募できる条件である。
新築に際して投入される原料に、目を向けるべきである:持続性、エネルギ
ー効率は、建築分野の主要テーマである。自然素材の投入は、既に今日ドイツ
において新築で 15%が木材家屋である。より頻繁に木材は、建築家から主要
な構想の中に用いられている。連邦食料・農業省は、賞金を提供するコンクー
ル「木材建築プラス」でもって、この建築方法の特別な傑作を表彰している。
例えば、ベルリンにおいて 5 階以上ー 7 階までの住宅用建物が、全く木材に
よって建てられている。
現代的な木材テクノロジーの可能性を通じて、専門家の視点から自然的な材
料が、なお多く活用されている:例えば、100 m以上高い風力車のタワー建設
のために、広葉樹材で特別な製材会社、チューリンゲン州ポールマイヤーマス
イバウ(Pollmeier Massivbau)が、ブナの建材投入でもって製作を計画した。
この新しい建材についてブナの幹からの木材が、樹皮を剥がされそして長期間
重ねて接着剤で張り合わせる。そのようにして木材建築のために、投入される。
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- 31 -
ハイテクー材料が生れる
ポールマイヤー(Pollmeier)は、中部ドイツにあるクラスターバイオエコノ
ミーのパートナーである。これは、ドイツ連邦教育ー研究省(BNBF)から、
トップレベルのクラスターコンクールで表彰された。このネットワークは、最
大の価値創造に集中される。そしてブナ材の完全なる利用を可能とする。
木材が鋼鉄に代わって
現代的な木材建築材料は、潜在力のみならず実践的に極めて高いレベルに達
している。ケムニッツ(Chemnitz)工業大学の研究者は、ドイツ連邦農業省の
奨励するプロジェクトの中で、試験している。いわゆる垂直的な奨励技術に、
木材建築材料が鋼鉄またはアルミニウム柱を、投入できるように。技術上の施
設は、工業生産システムの基本的な部分であり、そして貯蔵ー材料の流れのシ
ステムに際しても、重要な役割を演じている。
奨励物件の状態に従って、様々な奨励システムが投入される。垂直システム
は、特に複合的な生産システムを取り扱うために、様々なレベル間で一定の材
を対象とする。原料資源としての木材について、繊維質と結びついた材料の製
造者もまた増大している。過去においてこの市場は魅力ある発展をし、部分的
に2桁の成長率を示している。自然繊維と結びついた最も大きな投入分野は、
自動車である。しかし、建設分野への前向きな萌芽もまた、みられている。
その上階数の多い木造建築の持続性に関して、いわゆる木材ー無水石膏―結
合システムが配慮される。これは、ワイマールのバウハウス大学(総合造形大
学)で開発された。この無水石膏は、自然の中に存在する石膏に似た物質ーカ
ルシューム硫酸塩である。コンクリートと比較して、大きなエネルギー支出無
しに得ることができ、加工され得る。ワイマールの技術者たちは、無水石膏か
らのペースト状混合物を、直接木材の上に塗る。
これで作られたつなぎー建築部分は、堅固で高度な負荷能力によってのみ魅
力あるのでなく、心地よくそして健康な空間を創り出す。連邦食料・農業省か
ら奨励されているプロジェクトにおいて、研究者は現地の小ー中規模経営と有
限会社 Maxit 建設材料工場と共同活動を行っている。この工場は、チューリン
ゲン州でミネラルを採掘している。同時に地域での価値創造についても配慮し
ている。
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- 32 -
内装の断熱材と上張り
エネルギー効率の良い建設と改築の時代における自然的な断熱材は、同じく
重要性を得ている。これの製造に少ないエネルギーを必要とし、居住環境での
健康に関して、積極的な影響をもたらす。自然素材が夏には、熱を遮断する。
これはさらに、多くの量の湿気を吸収し、そして多くのアレルギー体質者に優
しい。既に今日、再生可能な原料からの断熱材の市場割合が、70%になってい
る。繊維の特性に基づいて、木材繊維断熱材の原料を、効率的に投入すること
を、目的にしている。繊維に分解された古紙からのセルロースもまた、断熱材
のための原料として役立つ。これに麻、亜麻、牧草そして麦わら、羊毛が加わ
る。
トウゴマ油からのバイオだぼ(木材に開けた穴に差し込んで、木材同士を
接合する丸棒)
建築専門分野において、バイオ基礎とした合成物質はもはや無視できず。
2011 年の建築資材の分野において、再生可能原料をベースにした合成物質
に対する量が、約 38 ,400 tと見込まれている。適切な事例は、合成樹脂の
「だぼ」が壁の補強をもたらす、革命的な発明である。この間にヴァルトア
ハトに本拠をおく会社が、建設市場でバイオを基礎とした「だぼ」を、提供
している。
バイオだぼは、バイオを基礎とした合成物質ポリアミドから生成されてい
る。これは、トウゴマ油から 50%以上の構成要素でもってつくられる。最終
合成物質材料は、ポロアミド PA6.10 は、生産において経費が幾分高いが、
しかし、これまでの製造者の報告によれば、顧客は良好に受け入れていると
いう。バイオだぼの基礎は、先行モデルを提供している。これは、フイッシ
ャー会社が、化学コンツエル BASF と共同で、連邦農業省の奨励している関
連プロジェクト「バイオ―工業 2021」イニシアチブで、普及に移されてい
る。微生物は、ここでプログラミングし直される。
バイオ反応装置において化学的建築用材を、製造することができる。さら
なる歩みの中でポリアミド合成材に加工される。試験の中で同じく従来のナ
イロンだぼのような、負荷能力をもった材料からのだぼが証明されている。
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- 33 -
この間にドイツにおいて自然繊維断熱材の投入が、促進されている。全体で 17
000 の家または住居所有者が、2002 年から 2008 年の間に奨励を受けている。
連邦政府から自然色使用のための知識もまた、奨励されている。それの市場割
合は、現在 3%である。その際、多くの長所が証明されている。自然油で覆わ
れている木材表面が、さらに吸収することができる。カゼイン(訳注:牛乳中
の蛋白質)ー自然樹脂一色でもっての壁は、塗料の面で部屋の環境を改善する。
自然樹脂―ラテックス(訳注:ゴムの原料となる樹液)ー接着剤は、有毒なガ
スを発生させない。他方、アクリル二アルキド産物、反応性ラッカー、ニトロ
またはポリウレタンラッカーのような、従来の化学産物は、自然ミネラル的な
そして再生可能な植物資源からの自然色素を創り出し、そして少ない溶剤でも
って実行できる。100 以上の自然色素ー産物の中で、壁の塗料、木材の仕上げ
ラッカー、樹脂ラッカー、油そしてワックスが最も重要である。
床材について再生可能な原料が、大きな商業的役割を演ずる。寄木張りの床、
床板または薄板、そしてコルクーサイザル繊維床のような、木材床板のための
基礎を提供する。リノリウム(樹脂からつくられセメントに混和)は、主に亜
麻仁油、コルクー木粉、石灰石粉そしてピクメント並びにジュート(黄麻繊維)
布地からつくられる。この分野における当面の努力は、地元の木材の利用を向
上させることである。有限会社 Timura 木材マニュフェクチュアは、木材クラ
スター(注・中部ドイツのトップクラスターバイオエコノミーの原料供給者)
から、例えば熱手法を発展させ、地元産木材を精製し、熱帯材と類似の特性を
示す。特別なホットプ
バイオを基礎とした主要な壁の建築部材
ポーリーメール(重合体)泡は、通常断熱に用いられる。だがしかし、サン
ドイッチのように、頑丈な外部層と組み合わせたとき、建物に適合する。
連邦食料・農業省から奨励されている連合プロジェクト
Ligno(木質)ーサンドウイッチにおいて、ザクセン州とザクセンーアンハ
ルト州の7パートナーが、ブナ材の成分からそのような部材を発展させた。サ
ンドウイッチー構造の重層は、フェノールの樹脂、つまりポリマー(重合体)
からできている(大部分が天然素材リグニンから成り立っている)。
木材繊維のシステムは、非常に丈夫な天然素材ー組み合わせ原料でもって、よ
り強化される。
-30-
- 34 -
バイオ廃棄物からコンクリート液体
持続性の少ない現在の建築分野は、建設化学の中に示されている(例えば、
現代的な地上建築物ー地下建造物のために、最も重要な基礎であるセメントの
製造)。製造に際して必ず粘着力のある原料(セメント)は、多くの資源、特
に水を必要とする。なお、ここには新しい手法がある。連邦食料・農業省の支
援でもって、ジュッセルドルフバイオテクノロジー企業の所管のもとに、この
目的のために連合を設立した。その目的は、バイオを基礎としたコンクリート
液剤を普及させること。これまでの産物よりも、水の使用をなお一層節約する。
既に今日生産されている液剤は、セメント加工に際して水の消費を 15%減ら
している。これは、長く柔らかさを保ち、そして硬化の後特別な荷重に耐えら
れる。これまでこの高性能な溶液性は、勿論まだ石油からつくられている。バ
イオを基礎とした多くの変形製造のために、新しい種類の酵素を用いる。これ
は、セルロース工場からの廃棄物を利用できる産物に、変換できる。現在、紙
製造において、世界規模で木材原料リグニン(木質素)が、年間 5 000 万t使
用されている。
特別な酵素の助けでもって、リグニンを興味あるコンクリート添加物に、変
化させる。共同事業体のパートナーと一緒にバイオテクノロジーは、既に酵素
ー候補を探し出している。これは、自然原料から頑丈なそして革新的な工業産
物を、製造することができる。コンクリート添加物として適している他のバイ
オ重合体は、植物の澱粉である。ここでは、炭水化物(例えば、吹きつけコン
クリートに供される)は、トンネル工事に用いられる。
吹き付けコンクリートは、壁により広く付着しそしてトンネル壁の内装に際
して、材料―エネルギー経費を、削減できる。ある企業グループの研究者は、
さらに連邦奨励プロジェクトにおいて、なお付加的に化学的な物質を投入する
ために、澱粉分子での実験を行っている。ルーバー大学の試験台では、吹き付
けセメントの素早く乾く、トーモロコシ澱粉付加物を試験している。それは、
トンネル工事において、非常に強く求められる特性である。
-31-
- 35 -
焼き肉用油からのアスファルト
道路工事に関して研究者は、さらにバイオを基礎としたアスファルトを、研
究している。レストランでのフライト焼肉から生じた生ゴミ(例えば料理用油)
を、接着剤としてネバネバした瀝青が得られる(天然アスファルト)。火力発
電所からの廃棄物、燃料中の不燃燃焼物(灰)と一緒に、アスファルトを製造
する。すでに最初の試験で興味ある特性が、確認されている。
しかし、バイオアスファルトが実際的に頑丈で長持ちし、道路舗装面として
持ちこたえ得るかは、まず第一に示されねばならない。
最高度の負担に耐えられそして室内空間のためにも良い:ワイマールにあるバウハウス大
学の建築技師が木材ー無水石膏ー結合システムのために、木材の上に直接石膏に類似した
無水石膏を塗る。
-32-
- 36 -
化
学
データと現状
企
業
従事者数
販売額
2 121
434 312人
1 860億ユーロ
(24兆1 800億円)
バイオ経済の事例:バイオ合成物質
バイオを基礎とした基盤化学物質
バイオ潤滑剤
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- 37 -
化学工業はまだ、多くが化石原料の石油で成り立っている。完全に組み入れ
られている生産方法は、これまで広範な構造改革の障害になってきた。それに
も拘わらず持続性のテーマは、いつの重要であった(より多くのイニシチブが
緑の化学を、示してきたように)。バイオを基礎とした手法は、企業によって
取り入れられ、コスト節減または産物の品質が改善される場合、利用される。
約 2 100 の企業が属する化学工業は、ドイツ経済の重要な軸になっている。
この分野には、40 万人以上の従事者が属し、国際的に活動するベーアエスエ
フ社 BASF(訳注・ドイツの総合化学製造会社)等のような、大規模コンツエ
ルがドイツに本拠をおいている。これらは、国内の年間売上の大半を手にして
いる(2012 年には、1 860 億ユーロ
約 24 兆 9,240 億円)。
化学工業の生産基盤の多くは、巨大である。30 000 以上の異なる産物が、販
売されている。これらの約 40%が、最も大きな顧客としての自動車製造に係
っている。現在、石油と天然ガスが群を抜いて、化学工業の重要な原料になっ
ている。2011 年に化石原料の 1 850 万tが、この分野から原料的に利用されて
いる。この原料は、最も大きな精油所 Crachern に貯蔵されている。プラステ
イック、接着剤、ラッカーそして多くの産物製造のための基礎原料として、石
油とガスの様々な構成成分が役立っている。
化学分野における企業の最上位の目的は、効率性である。研究と成果普及に
比較的多くの資金を伴なうことから、34 億ユーロ(約 4,420 億円)投資されて
いるにも拘わらず、なぜ化学工業における原料基盤の根本的変化が、緩やかに
のみ進行しているのか?その理由を専門家は、生産の高度な統合割合にあると
みている。そのため、バイオを基礎とした手法は、「大海の中での一滴ー問題
解決」のごとく、今ある施設の中に組み入れられるときに、最も早いチャンス
となる。
持続的な資源からの原料は、その持続性が従来のそして石油を基礎とした、
基盤的な化学物質と同一であることが条件である。バイオを基礎とした基盤的
物質もまた、新しい特性でもって関心を引き起こす。これは、新しい利用の可
能性を切り開く。なぜならば、全く異なった生産段階と利用領域に投入される
からである。しかし、それは環境とのバランスとの観点でも、プロセスー方法
技術における新しい機械の普及によって、もたらされる。
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バイオを基礎とした手法の長所:酵素のような微生物または触媒は、高い産
出量を伴なった多くの反応ープロセスが、室温と正常圧力のもとで処理され得
る。化学的手法では、通常しばしば高い圧力と温度のもとで実行されるかわり
に。ドイツにおいて主に約 60 の小ー中規模企業が、この活動領域を専門とし
ており、そして微生物をベースとしたバイオテクノロジー的な生産プロセス、
または酵素技術の発展のもとで活動している。
原料の基礎と生産の多様性
1 870 万tの化石原料が、2011 年にドイツの化学工業に投入された。同時
に石油と天然ガスは、この分野において依然として重要な原料である。再生
可能な原料資源からは、毎年 270 万t由来している。販売額に対して 27%の
割合でもって、上質ー特別化学物質製品が、最も重要な産物に挙げられる。
次いで重合体(20%)、薬品の基礎原料(20%)、洗剤ー身体衛生剤(8%)
並びに無機基礎化学品(8%)。ドイツの化学分野の主たる顧客は、自動車産
業である。
合成物質製造のためのドイツ化学工業の原料源(2011 年)
原料として投入
全体
内訳
%
万t
270
12,6
炭
40
1,8
天然ガス
320
14,9
1,530
70,7
再生可能原料
石
石油ナフサと他の石油誘導体
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工業的バイオテクノロジーのこの会社は、過去において販売額の増大を示し
ている。この化学分野は、食料ー薬品工業と並んで、重要な顧客に挙げられて
いる。このバイオ技術会社のハイテク―機械は、効率良くそして新たな方法で
で、生産対策を策定することに尽力している。今日すでに化学工業に投入され
ている再生可能な原料の大部分は、ヤシの実、ナタネ、大豆から生産される植
物油、または動物性油脂である。この油と油脂は、水の表面張力を引き下げる
バイオを基礎とした物質に、加工される。洗浄ー洗剤工業に、または化粧品製
造にも投入される。
製造者(メーカー)の焦点にあるバイオ合成物質のもつところの、バイオを
基礎とした産物の大きな市場は、合成物質の製造である。これは、化学工業で
2番目に大きな生産量である。それは、石油を基礎としたものよりも多い。そ
して多方面な使用に向けられる(特に自動車工業に)。バイオを基礎とした手
法の割合は、恒常的に成長している。その際、バイオ合成物質は決して新しい
発明ではない。全く逆に:最初に工業的に生産されたプラステックは、そもそ
も 1869 年から成案されており、そしてバイオ分子であった(セルロイド)。
1920 年代初めに石油をベースとした、最初の合成物質が発明された。1956
年から今日まで最終的に大規模生産方式で、市場をコントロールする合成物質
ポリエチレンとポリプロピレンが、導入された。それ以来、様々な投入分野の
ために、プラスチックに対する多様さが拡大された。過去の世紀、1980 年代
初めから、結局のところバイオ合成物質が、再び工業の視野に入ってきた。バ
イオ合成物質について語られるとき、これの2つの異なる種が挙げられる。
一方では、やむをえず再生可能な原料から作られていないものでは、生物的
に分解される合成物質であり、石油を基礎に生物的に分解される合成物質も存
在する。他方、再生可能な原料からのバイオ合成物質がある(無条件に生物的
に分解される)。特に澱粉とセルロースは、今日ではバイオ合成物質の産物の
ための、重要な原料である。まず第一にトーモロコシやバレイショのような澱
粉を含んだ産物が、原料源として用いられる。これまでの間、食料生産と競合
しないよう、再生可能な資源を開発するため、集中的な研究が実施されてきた。
このことを通じてキチン(訳注・節足動物の殻に含まれる物質)、キトサン(訳
注・キチンを加熱した生成物)、そしてリグニンのような物質に、焦点があて
られている。
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これらは他の経済分野において副産物として生じ、これまで全く使用されて
なかった。これには、流通できない牛乳からのカゼイン(訳注・牛乳中のリン
タンパク質)、ナタネ加工からのプロテインまたは動物と殺体廃棄物からの油
脂といったのような、食品業界からの副産物も挙げられる。特殊化学コンツエ
ルンエボニックもまた、合成産物生産のための持続的な原料に尽力している。
この企業は、2013 年にスロバキアにおいて、新しい生産施設をオープンさせ
た。
ここでは、バイオを基礎としたガンマーアミノラウリン酸(訳注・パーム油
中にある)が生産され、石油を基礎としたラウリンラクタムの代替えとして使
用される。この両方の化学製品は、特定のポリアミド種の生産のための、第一
次産物として用いられる。ポリアミド(合成繊維として用いられる)は、それ
の優れた堅さと粘性のため、構造物材料としてしばしば用いられる。特に合成
物質は、自動車分野、家庭用器具またはスポーツ用品に、投入されている。
スロベニアのループカにおけるパイロット施設は、大規模工業の規準に関す
るプロセス発展を促進させるために、活用されるべきである。Evonik 社(化
学製品メーカー)は、原料として現在もなおパーム油を用いている。後期の進
展段階において、生物的残さの原料が投入される。連邦食料・農業省から奨励
されている研究連合の1つは、特に合成物質製造のため、地元産油脂植物のナ
タネを用いることを、目標に設定している。
17のプロジェクトパートナーは、広範な共同事業体、有限会社 Phytowelt
グリーンテクノロジーのシステムバイオテクノロジー再生可能な原料生産を、
調整している。これには、価値創造チェーンの関係者が参画している。これは、
いくつかのプロジェクトパートナーが、産物のために必要な最終原料を供給す
る作物について、栽培上改良するために集中している。他に作物油の商業的な
取り出しに取組み、さらにまた価値多い化学製品において、原料の転換を促進
させることに、責任を負う。共同事業体の加盟者には、研究施設、小ー中規模
企業体並びに大コンツエルンが、挙げられる。
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バイオを基礎とした基盤化学製品
さらに微生物がバイオ合成物質の生産者として、視野に入れられるべきであ
る。生物学的なミニ工場において、多様な自然的原料を源として活用するため
に。このことは、琥珀酸からの製造に関する事例として有効である。化学製品
は、ポリブチレンサクシネート(PBS)またはポリウレタンのようなプラステ
イックからの生産に際して、重要な事前産物である。羊の毛皮と繊維からの生
産もまた、スポーツウエア―、家具そして建設業に興味深く活用される。
この背景には、BASF(ドイツの世界最大の総合化学メーカー)とオランダの
企業は、既に 2009 年以来、バイオを基礎とした琥珀酸の研究がある。有限会
社 Succinity の 名 の もと に 、 ジ ュッ セ ル ドル フに 本 拠 地を おく ジ ョ イン ト
Venture が設立された。これは、バイオを基礎とした琥珀酸の生産と販売を促
進させる。特有の微生物を共同で培養している:バスフイア(Basfia)微生物
は、様々な原料源の柔軟利用が可能である。
その上、閉鎖した循環可能な生産システムのお蔭で、大きなゴミの流れを回
避する。2014 年以来、スペインにおける施設で、毎年 100,000 tバイオを基礎
とした琥珀酸を、生産している。これは、さらに広範な計画の中にある。バイ
オを基礎としたアクリル酸について、BAF はまだ到達してない。この産物は、
衛生用品や赤ん坊のおむつのような、特に吸収力のある合成物質の産物に関す
る原料である。コンツエルンは、2013 年に1つの方法を提案している。バイ
オを基礎としたアクリル酸(3-HP,3-ヒドロキシプロビオン酸)の生産のため
の重要な中間生成物が、パイロット規準の中での生産に成功した。
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バイオ合成物質(プラステイック)の生産潜在力
(2012年)
項
目
全
体
生
産
量
140 万t
割
合
100 %
生物分解性
バイオポリエステル
13,7
ポリ乳酸(PLA)
13,4
澱粉―混合物
11,4
リヒドキシアルカン酸(PHA)
2,4
セルロース
2,0
その他の生物分解性物質
0,5
生物非分解性
バイオポリエステル(PET30)
38,8
バイオポリオレフイン(PE)
14,3
ピリジアルアミノ(PA)
2,4
その他
1,1
バイオを基礎とした琥珀酸は、鋼鉄ー生産者についても、ドイツの鋼鉄会社
クルップ(Thyssen-Krupp)の検討課題である。この会社の設備建設の営業分
野では、2013 年に Leuna の伝統的な精油所―所在地に、バイオプラステイッ
クの生産設備が定着している。そして 2 億ユーロ(約 260 億円)が、ヨーロッ
パ域内でバイオを基礎とした化学物質の持続的な生産のために、最初の多目的
ー発酵施設の改造に供された。
製品組み合わせに琥珀酸のみならず、乳酸も含まれている(この物質は、合
成物質ポリ乳酸をベースに形成される)。1年間に 1,000 t以上の琥珀酸と乳
酸が、ここ Leuna で生産されている。そしてそれは、実験室の中で発展された
発酵ー選別方法が、工業的な規準でテストされた。他方、この結果は世界規模
の顧客に利用されている。アメリカにおいて、Thyssenkrupp US-企業 Myriant
と共同で、施設を現在の年間 13,400 tのバイオを基礎とした琥珀酸を生産し
ている。
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同時に中部ドイツにおいて、この間に国内で高く評価されている、バイオ精
油所ー研究センターも定着している。ドイツ・ロイナは、2012 年初めにドイ
ツ連邦研究省から選定された、トップクラスター(集合体)「バイオエコノミ
ー」の中核を形成した。ザクセンーアンハルト州とザクセン州の科学、経済界
から 60 以上のパートナーが、バイオ精油所構想を促進するために組織された。
この間にフランスの企業グローバル・バイオエネルギーが、現地でいわゆる
簡単なオレフイレから、製造のための新しい方法を研究した。ここでは基礎と
なる化学物質を、取り扱っている。これはつまり、多くの更なる産物生産のた
めの原料である。このため必要な合成酵素に関する遺伝情報に、E.Coil(エシ
ュリヒア・コリ細菌)を潜入させる。気体で形成された新しい発酵方法は、蒸
留を必要とせず、そしてそのため適切な環境バランスを通じて使用される。
Leuna におけるパイロット施設の創設は、連邦研究省が約 5,700 万ユーロ(約
74 億 1,000 万円)で推進した。これは、2基の 5,000L -発酵漕並びに完全洗
浄システムを含んでおり、同時に工業用施設の全ての観点を、組み入れている。
Leuna における年間 100 tまでのイソブテン(Isobuten)の生産能力が、可能
である。
Leuna(訳注・ロイナ ザクセン アンハルト州の工業都市)におけるイソブテ
ン(訳注・これをバイオ燃料と混合して EIBE-ガソリン代替燃料にする)の年
間 100 tまでの生産潜在力が、可能である。この元素(原料)を自らのテスト
目的に供することに、工業関係者が関心をもっている。このイソブテンは、例
えば合成物質、弾力性プラステイック、動力用燃料製造のために、使用される。
さらにバクテリアの飼料として、砂糖が投入されると、将来的に農業残さ工
場物質を伴った施設で活用される。付随した広範な研究プログラムは、次の3
か年においてプロセスの効率化を支援する。
-40-
- 44 -
木材廃棄物からのナイロン
ナイロンは、合成繊維で製造された世界で最も古い化学繊維である。これ
は、石油をベースとしたアジピン酸(訳注・ポリエステル樹脂等の合成原
料として大きな用途をもつ)とヘキサメチレンジアミン(訳注・ナイロン
の合成原料)から得られた原料を、あわせることによって、生じたもので
ある。だがしかし、将来的にポリアミド繊維が少なくとも、部分的にバイ
オテクノロジーの手法で製造される。ザールラント大学の研究者は、バク
テリアの助けでもって、ナイロンの基礎原料(Adipin Säure)の生産に取り
組んでいる。
Pseudomonas Pulida 種の微生物が、将来的に木材屑の必要とする結合物の
Adipin Säure の生合成のために、取り出される。Adipin Säure からバイオテ
クノロジーでの製造は、これまで必要であったエネルギーを多く用い、そ
して気象ガスを生産する石油化学合成原料のために、素晴らしい代替えで
ある。最初の研究において、石油化学上の様々な産物に対しての、製造プ
ロセス上のエネルギー需要は、約 25%から 50%まで引き下げることができ
る。このため、世界的に 20 から 25 の製造者が、大きな関心を抱いている。
だがしかし、実験室規模での発展プロセスを、工業的に適した技術にする
ことが必要である。そのため、必要な作業は連邦食料・農業省が、「科学研
究の革新的潜在力の重要性確認」のプログラム領域において、約 140 万ユ
ーロ(約 1 億 8,200 万円)で支援している。
バイオ潤滑剤
化学工業は、潤滑剤に対する広範な製品の基礎となるオイルと油脂を提供し
ている。潤滑剤のドイツ国内販売は、ここ数年来コンスタントに 100 万t以上
になっている。商業的にバイオを基礎とした手法は、これまで副次的な役割を
演じてきた。それの市場割合は、約 3%に留まっていた(特にそれの高い価格、
そしてそれの取り扱いを知らないことから)。当面、最も大きな使用は、油圧
装置、チェンソウーオイルにみられる。
-41-
- 45 -
だがしかし、バイオ潤滑剤は持続性の観点のみならず、一連の長所をもつ:
これはしばしば、生物的に分解されること。多くの場合、無毒でありそして大
部分が石油をベースとした産物に対して、高度な潤滑能力を示している。Danico
社は、例えばバイオー高性能潤滑剤のための基礎として、ひまわり油を用いる
方法を、発展させている。他の会社は、バイオ潤滑剤の使用可能な領域の拡大
を目指している。
連邦食料・農業省からの奨励は、マンハイムの有限会社 Fuchs ヨーロッパの
主導で、風力エネルギー施設への投入のための、バイオをベースとした潤滑剤
の適用を始めた。この会社は、さらに連合”テクノ機能蛋白質”に対して、有
限会社 Animox の責任のもとに、900 万ユーロ(約 117 億円)を連合内の 14 パ
ートナーに投資する。この額の半分は、連邦研究省が拠出する。ここでは、バ
イオ潤滑剤の新しい資源のみならず、接合剤、ラッカ(ニス)そして染料も対
象にしている。
搾油所で毎年約 1,5 tの量が生ずるところの、もはや家畜に飼料として供さ
れないナタネの搾りカスを、この連合のための原料として提供する。Animox
・Fraunhofer 手法技術・包装研究所(IVV)は、蛋白質からつくり出す研究を
行っている。なぜならば、タンパク質は多面的に投入できる特性を示している
が、長い間化学工業の視野からはずれていた。
この連合は、これまで利用してきた炭水化物、脂肪、油と並んで、蛋白質を
さらなる再生可能な原料として、化学工業で加工することを目標に設定してい
る。酵素と hydrothermalen 法の助けでもって蛋白分子が、潤滑剤、接合剤、ラ
ッカ、染料の原料または添加物の製造者に、利用されるために変化させる。連
合には、Landshuter ラッカ工場とクリーニングエキスパート Vermop も挙げら
れる。
ー42-
- 46 -
再生可能原料の化学工業での利用(単位:t)
区
分
2008
2011
1,100,000
1,000,000
動物性油脂
350,000
210,000
化学用澱粉 ※
272,000
187,000
植物油/油脂(植物性)
澱粉同等物
87,000
化学エタノール※
136,000
化学用砂糖 ※
砂糖同等物
化学エタノール
44,000
※
化学セルロース
蛋
白
その他
再生可能原料
60,000
合計
※ 2008 年に異なるデータベース
-43-
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300,000
401,000
24,000
139,000
525,000
591,000
2,707,000
2,719,000
エネルギー
データと実態
企
業
923
従事者
220 157
販売額
4 660億ユーロ
(約60兆5 800億円)
バイオ経済の事例:
木材ペレット暖房
バイオガス
バイオエタノール
合成バイオ燃料
バイオデイーゼル
-44-
- 48 -
薪、動力用燃料、またはバイオガスの形態としてあるかどうか!
バイオマスからエネルギー源として、大きな多様性が得られる。バイオ
エネルギーは、再生可能なエネルギーとして、将来のエネルギー組み
合わせにおいて、重要な柱である。食料生産との競合を避けるためにも、
植物原料の効率的な利用に,焦点があてられる。持続的に栽培されるエ
ネルギー植物の潜在力を開拓し、そして革新的なプロセステクノロジー
を促進させる。これは、バイオエネルギー分野における重要な歩みである。
再生可能なエネルギー源としてバイオマス。つまり植物的、動物的残さと廃
棄物が、何でもできる万能者として有効である。なぜならば、これらが熱、電
気そして燃料生産のために、投入されるからである。固体のバイオエネルギー
源のタイプは、木材燃料である(例えば、木材細片または木材ペレットのよう
な)。液体のバイオエネルギー源には、バイオ動力燃料が挙げられる(植物油、
バイオ軽油またはバイオエタノールのような)。バイオガスとバイオメタンは、
ガス状のエネルギー源となる。
大きな多様性と柔軟性と並んで、さらなるプラスとして以下が有効である:
つまり、バイオマスは蓄積可能であり、そしてバイオエネルギー施設は柔軟に
調整可能である。それは、電気生産に際して、他の再生可能なエネルギー源(風
力と太陽光エネルギーのような)の不安定な利用を、調整できる可能性を内包
している。この国での最終エネルギー需要の 12,3%は 2013 年に再生可能なエ
ネルギーに関して、「再生可能エネルギー統計作業グループ」の提起した数字
である。
再生可能性のもとでバイオエネルギーは、62%という最も高い割合である。
最終エネルギー需要の 7,7%がバイオエネルギーでカバーされた。バイオエ
ネルギーは、当面特に熱を得ることに投入されている。ドイツで用いられてお
いるバイオエネルギーの 36,7%は、熱を発生させている。熱生産のために約 88%
の割合を有するバイオマスは、群を抜いて重要な再生可能なエネルギー源であ
る。電気の分野において、8%の電気生産割合を有するバイオマスは、風力に
次いで2番目に重要な再生可能なエネルギー源である。
-45-
- 49 -
エネルギー転換でもって連邦政府は、再生可能なエネルギーの割合を、明確
に上昇させたい。そのため、電気は 2035 年までに 55%から 60%まで、そして
2050 年までに 80%を、再生可能エネルギー源から生産する。風力、水力そし
て太陽光と並んで、バイオエネルギーもまた、この道でのエネルギー組み合わ
せの重要な基礎を形成する。再生可能な原料からのエネルギーは、気象保護を
助ける:バイオマスを燃焼させ、それから持続的に生産される植物のように、
自らの成長の過程で多くの二酸化炭素を吸収する。
バイオマスが燃焼すると、持続的に生産される植物が、自らの成長の間に吸
収した二酸化炭素を放出する。再生可能なバイオマスは、物質循環の中で放出
する CO
2量を再び吸収する。経済的にバイオエネルギーは、地域の価値創造
のために貢献する。そして農村地域における就業の場を創り出す。これは、常
に数多くのバイオエネルギー村ー地域において、連邦レベルでの事例を示して
いる。
バイオエネルギーの飛躍
特に再生可能エネルギー法(EEG)は、過去 14 年間においてバイオエネルギ
ーの著しい成長をもたらした(これは、再生可能な資源から電気生産の奨励を、
調整している)。しかし、ブームの過程で問題となる側面も生じている。それ
は、食料ー飼料の生産または農地の利用で競合する、基本的な危険を生じてい
る。これは自然保護の観点から、関心をもたれている。1つの重要な目的は、
「ガソリンタンクと皿/飼料おけ」との利用競合を和らげることである。例え
ば、有機物の残さー廃棄物からの、バイオ燃料の新しい世代によって、そして
もはや穀類から得ることのないように。
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ヨーロッパとドイツにおいて、バイオエネルギー利用の道は、現在新しく評
価され、そして利用拡大に向けた大枠条件への適合が、なされている。2014
年に EEG(再生可能なエネルギー法)が、4回目の改正がされた。連邦政府の
定めたエネルギー利用の目的は、将来的にバイオマスのエネルギー利用に際し
て、主に残さー廃棄物に集中させることである。さらなる構想とテクノロジー
のお蔭で、持続的なバイオエネルギーの革新的な利用を、可能にしている。
木材:重要な供給
木材原料は、燃料として最も重要である。ドイツにおいて年間約 6,000 万t
の木材が、一般家庭のストーブとボイラーで、薪材として燃やされている。市
場刺激プログラムからの財政支援でもって、自動的に燃料を入れ、汚染物質の
放出が少ないペレットー木材細片利用の暖房機の数が、増加している。このた
め、ドイツにおいて年間 230 万tのペレットと、600 万tの木材細片が、地域
で使用できるバイオ燃料として、持続的に生産されている。バイオマスを基本
に、再生可能な熱の 90%が生産される。その内木材から 70%以上が、由来して
いる。
化石エネルギー源の上昇する価格に直面して、熱生産のための森林ー残材の
未開発な可能性が、提供される。木材は、特に伝統的に熱供給者として役だっ
てきた。個人ー多家族住居は、木材ペレットー暖房機でもって、清潔で効率的
に暖められる。近代的でそして完全自動のペレット暖房機のテクノロジーは、
細かい埃と二酸化炭素のような大気汚染物質の排出を、明らかに減少させるこ
とを可能にした。主に古い木材並びに森林残材を活用した、大規模な木材熱供
給発電所(コジェネレーション)において、発電ー熱―供給によって同時に団
地と市区のために、電気と暖房熱を生産する。
昨年、木材気化器ー BHKW ー施設のテクノロジーが、市場―大量生産の段階
に達した後、ペレットと木材細片の小規模施設もまた、熱と電気を生産できる。
古い木材市場、森林と並んでエネルギー木材供給者として、いわゆる短期伐
採プランテーションもまた、視野に入れられる:畑ですぐに成長するポプラの
ような、樹木が栽培される。一度植栽しそして 4 年間で樹木を収穫する。その
後、新しい作物が栽培される。そのような農業樹木栽培は、ぶどう栽培のよう
な、永年栽培と似ている。
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そしてこの樹木栽培は、気象保護に関してもそして生態系上の調和において
も、他のエネルギー植物に対して優位性を持っている。連邦農業省は、多彩な
研究―普及プロジェクトでもって、この分野を奨励している。
麦ワラからガソリン:バイオ精油所がセルロースーエタノールを生産
バイエルン州のシュタウプリングにおいて、化学企業、Clariant ドイツが、
次世代のバイオ燃料の生物工学上の生産のための、大規模デモンストレー
ション施設を建設した。この施設は、2,800 万ユーロ(約 36 億 4,000 万円)
の高価な施設集合体で、2012 年以来、麦ワラと他の圃場廃棄物減量から、
エタノール燃料を生産する(この施設は、連邦農業省とバイエルン州政府
から奨励されている)。
発酵技術法について微生物の助けでもって、植物繊維の中に入れ込んだ
リグノセルロースを、小さな糖分子に分解する。それから酵母は、その後
の経過の中でバイオガソリンに発酵させる。この方法は、殆ど気象に左右
されずに進行される。このシュタウプリングの町で、毎年約約 4,500 tの
麦ワラで 1,000 tのセルロースーエタノールに、転換されている。
自動車製造会社メルツーデスーベンツと石油企業ハルターマンとの共同
の分野において、既に最初の走行テストをスタートさせた。その際、再生
可能原料から 20%のバイオエタノールと大量生産される自動車に、日常的
に投入しているハイオクガソリン 80%の混合燃料が使用され、調査された。
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- 52 -
バイオガス:地域の発酵材料からのエネルギー
バイオガス施設において、エネルギー植物、糞尿のような動物性廃棄物そし
て他の残さ原料が使用されている。密閉されたタンクの気密性の中で、微生物
が発酵によってバイオマスから、主にメタンと炭酸ガスから成る混合ガスを発
生させる。バイオガスは、いわゆる地域熱電併給発電所(コジェネレーション)
において、電気ー熱発酵のあとに残った有機素材は、肥料として畑に散布でき
る。このことによって、地域の資源循環を果たしている。
幾つかの施設でバイオガスは、バイオメタンを発生させる。これに加えて天
然ガスの中に送り込むころができるように、メタン量とバイオガスの品質を向
上させる。エネルギー供給法(EEG)の領域における助成刺激によって、バイ
オ分野は過去 10 年において、魅力的に成長している。農業者は、補完的に益
々”エネルギー主人”となる。ドイツでは、2013 年にバイオガス専門連盟の
数字によれば、240 億 KW 時生産する約 7,700 の施設が存在している。
バイエルン州とニーダーザクセン州では、多くのバイオガス施設が群を抜い
て多く存在している。専門連盟は、施設の建設、経営そしてメンテナンス並び
にエネルギー作物栽培への従事者が、40,000 人の数字を挙げている。その販売
額は、2013 年に約 660 億ユーロ(約 8 兆 5,800 億円)に達している。ドイツは、
バイオガステクノロジーの分野において、世界において先駆的立場にいる。中
規模企業によって特徴づけられたこの専門分野は、2012 年に販売額の約 40%
が、外国取引きの中で生じている。
-49-
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手法ープロセステクニックの改善のために、多くの可能性をまだ残している。
特に個々の方策の噛みあわせである。酵素の発酵に際して、主たる関係酵素(バ
クテリアと微生物の生活共同体)は、まだ十分特徴づけられてない。連邦研究
省は、バイオエネルギー・プロセス適応研究と革新奨励イニシアチブ(Bio pro
Fi)の中で支援している。発酵プロセス究明のためのセンサーの発達、並びに
バイオガス浄化のための触媒は、ドイツのバイオガス研究者が粘り強く取り組
むところの、さらなる観点である。
ドイツ連邦食料・農業省も既に数年来、バイオプロセスの効率性を向上させ
るための奨励政策を、重点に据えている。バイオガスブームは、勿論農業の形
態もまた幾つかの地域で、明確に変化している。エネルギー作物の中で、収穫
量の多いトウモロコシの栽培が、著しく拡大した。このことは、畑での生態系
の多様性を制限するのみならず、土壌と環境にも一面的な管理による悪影響を
もたらす。そのため、エネルギー作物の持続的な栽培計画は、研究奨励の中心
目的である。
連邦食糧・農業省は、エネルギー作物畑での種の多様性を拡大するために、
そして栽培方法を最適化するために、数多くのプロジェクトを奨励している。
その結果、毎年作物の変更または混作における輪作がもたらされた。ドイツ
の多くの地域で特定の地に適したエネルギー作物が研究され、そしてその情報
が伝達されている。例えば、ソルガムーヒエ、ヒマワリ、ツキヌキオグルマ(訳
注・北米原産のキク科の多年草)、そしてさらなる野生植物をを、エネルギー
植物として利用できる。
ロイナ(ザクセン・アンハルト州の都市名):細胞工場からの Isobuten(イ
ゾブテン
炭化水素)
グローバルバイオエネルギーのフランス企業は、バクテリアによってガス
の形での炭化水素を、つくり出す方法を開発した。生産生物としてのバク
テリアは、さらに新しい種類の物質代謝方法を生み出し、そして細胞状の
ガス製造工場の機能をもつ。バクテリアには、再生可能原料からの砂糖分
子を、栄養分として与える。グローバルバイオエネルギー社は、工場に適
した方法を確立するために、現在ロイナの工場公園に移転した。
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連邦研究省は、新しいパイロット施設の建設を、570 万ユーロ(約 7 億 4,100
万円)でもって支援している。この施設は、年間 100 tのイソブテンを生
産する。自動車コンツエルン・アウデイは、日常状態での自動車における
バイオを基礎とした燃料を、共同の分野でテストしている。
バイオ燃料ー麦ワラからのガソリン
バイオ燃料は、乗用車、トラック、船または飛行機の内燃機関駆動のために
投入できる。バイオ燃料は、将来のエネルギー効率の良い交通構造のための、
重要な再生可能な代替え物質である。2012 年にバイオ燃料は、ドイツの燃料
消費の 5,7%をカバーしている。2013 年に 120 万tのバイオエタノールが販売
されているのに対して、バイオデイーゼル燃料の年間消費量 220 万tで、ドイ
ツのバイオ燃料市場で、大きな部分を占めている。
バイオメタンは、天然ガス自動車に燃料として無制限に投入できる。ナタネ
油からのバイオデイーゼルは、トラックに使用され、30 以上の生産所が設置
されている。化学的な変換に際して、工場の副産物としてグリセリンが生ずる。
ハイオクガソリンを混合したバイオを基礎としたオットー燃料は、バイオエタ
ノールでもって製造される。
2013 年にバイオエタノール専門連盟は、ドイツで新しい施設において 9%以
上の生産上昇を報告している。それは、672,000
t のエタ ノール が、 大
抵ビートまたは穀物から得られている。新しい世代のためのバイオ燃料への道
で、製造者は将来的にこれまでよりも強く、バイオマスの完全利用を目標とし
ている。
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理想を実現することは、投入するバイオマスを食料生産との競合を、生じな
いことである。このため、可能な限り穀類を用いるのでなく、麦ワラまたは木
材細片を用いることである。いわゆるバイオ精油所において、再生可能な原料
を原材料に転換される(大抵バイオテクニックプロセスの助けでもって)。こ
のハイテクニックー多機能施設において、バイオマスの材料的、エネルギー的
利用が、可能な限り密接に、相互に組み合わされる。
連邦食糧・農業省は、バイオ精油所ー研究とその普及についての路線を定め
るために、連邦研究省と共に専門家による様々な構想の潜在力を、調査してい
る。”バイオ精油所ーロードマップ”は、2012 年に提起された。バイオ燃料製
造のためのバイオ精油所ーデモンストレーション施設は、既に Straubing の町
に建設されている。ガス状のバイオ燃料(イソブテン)のバイオテクノロジー
での生産は、ロイナの現地で企業が努力している。
燃料のための熱化学上の経路
熱化学上の利用構想は、いわゆる”バイオマスを液体に(BtL)ー燃料”につ
いて、追及している:ここでは、バイオマスの複合体分子が、高温で合成ガス
(一酸化炭素と水素の混合)に変換される。それから、この合成ガスは液体の
炭化水素(燃料に)に転換される。同じくバイオマスの中に含まれる要素(窒
素または硫黄のような)は、分離される。この合成燃料は不純物が取り除かれ、
そのため、従来のデイーゼル油よりも燃料特性が優れている。
合成燃料のさらなる長所:植物全体の潜在力を利用できる。この技術の商業
的利用は、今日まだ実現していない。だがしかし、バイオ液体ー燃料(BtL)
について、集中的に研究している。カールスルーエテクノロジー研究所(KIT)
では、”biolig”の名のもとに合成燃料製造のための方法を、開発している。工
業パートナーとの共同は、ワラのような残さバイオマスを、バイオ燃料に4段
階の手法で転換する。
特に特徴的なのは、ここで最初の段階、乾燥した残さバイオマスを高いエネ
ルギー密度から急速熱分解によって、原油物質に変換する。この物質は、経営
的に長い距離を輸送され、そして主に更なる加工がなされる。KIT のパイロッ
ト施設において、完全なプロセスチェーンを共同活動の中でテストし、工業的
に大規模な適用のために、最も効率化することが、今の課題である。
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全体的にこれまで連邦食料・農業省から、2,700 万ユーロ(約 35 億 1,000 万
円)投資されている。
海藻:緑の油井からのガソリン
バイオ燃料ー生産のために、増大する微細藻類とシアノバクテリア(藍色細
菌)が、視野に入ってきている。この微生物の長所:これは光合成を営み、そ
して二酸化炭素のエネルギー豊富な糖分子から製造するため、太陽光のエネル
ギーを直接利用できる。種とそして栽培によって、有機体が様々なに高い濃度
で、脂質、炭水化物そして蛋白質を蓄積する。バイオ精油所の意味において、
工業的な基準で用いられるまで、重要な技術的問題を明らかにする。
上昇気流に:航空機のための藻類油
グローバル社会と機能的な世界経済は、可動性無しには考えられない。
まさに航空のために、石油を基礎とした航空燃料を、気象に優しいバイオ
燃料での代替え策を提供できる。航空機ーガソリンに関する緑の源:単細胞
の藻類。これは、エネルギー源として直接太陽光を用い、急速に増殖しそし
て農用地以外で培養できる。幾つかの種は、高い割合の脂質油を含んでいる。
これは、バイオを基礎としたガソリン生産の為に、特別の関心が寄せられ
る。
藻類を基礎としたガソリンによるテストフライトは、既に実施済みである。
だがしかし、藻類の培養とバイオ燃料製造は、まだ明らかに効率化されね
ばならない。ユーリッヒ研究センターで科学者は、12のパートナーとの「上
昇気流」共同プロジェクトの中で、研究している。それはガソリン製造のた
めの基礎として、微細藻類のバイオマスがどの程度まで適しているか、であ
る。その際、中心的な課題は製造プロセスの経済的、生態系上の転換の可能
性である。
連邦食糧・農業省は、この計画を 575 万ユーロ(約 7 億 4,750 万円)で支援
している。さらにユーリッヒ研究所において自らの”藻類科学センター”が
設立された。エアーバス(航空機)ーグループとともに、ヨーロッパもまた
もっとも大きな飛行機製造者である。
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農業・林業
データと実態
経 営 数
28,5000
従事者数
1,000,000人
販 売 額
320億ユーロ
4兆1,600億円
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農業ー林業は、バイオ経済の主要な柱である。草地、畑そして森林で生産さ
れる植物性のバイオマスは、バイオを基礎とした経済のための土台である。他
方、家畜は食料の供給のための重要な資源である。最も新しい研究方法とテク
ノロジーの助けでもって、農ー林業のさらに持続的な発展が、絶え間なく促進
される。
植物と動物は、バイオ経済の重要な基礎である。その上、農ー林業は重要な
経済要因である。ドイツにおいて 300,000 以上の経営が、農林業を営んでいる。
農村地域における価値生産のための農ー林業の重要性は大きい。農ー林業は、
ドイツの国土面積の 3/4 以上を管理し、手入れしている。第二次大戦後、1人
の農業者が国民 10 人を養っていた。今日では、14 人の人々を満腹にしている。
多くの農業者は、過去において自らの補完的な労働の場を広げてきた。農業者
は、工業のためのバイオを基礎とした原料と、再生可能なエネルギーのための
バイオマスを生産している。
これはナタネ、トウモロコシ並びに糞尿、ワラのような副産物が含まれる。
発酵槽の中でバイオを基礎とした合成産物、または他の持続的な化学物質の
ための農業バイオマスからの産物が生まれる。それは、バイオガス施設または
地域暖房発電所において、熱、電気そして燃料である。その上農業者の約半分
が、森林所有者である。木材原料は、何回も再利用される:細片木材、合板、
木材原材料、紙、厚紙、バイオエネルギーペレット、ブリケット(訳注・練炭
の一種)
前進の途上にある精密農業
継続的そして資源効率的な管理の意味における農業の継続的発展は、特にこ
の 10 年間の計り知れないテクノロジー的進歩のお蔭である。精密農業は、畑
作のために常に重要である。既に今日”聡明な”トラクターと収穫機が、実現
している。センサー技術、ボードコンピューターそしてサテライトナビゲーシ
ョン(人工衛星によるナビゲーション)は、圃場走行する車、トラクター、作
業機械に装備し、作物の状況を把握する。つまり、プログラミングされた作物
の肥料、収穫量を調整し、地形データを組み合わせ、そして同時に特定地点の
土壌、作物に必要な栄養量に合わせて施肥する。
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精密農業は農地面積を必要に応じて、環境に優しくそしてエネルギーを節約
した管理すること、温室効果ガスの放出並びに燃料の消費、農薬、肥料を減少
させることに貢献する。農業技術上の革新は、家畜の飼育と健康もまた決定的
に改善する。近代的な畜舎は、この間に様々なハイテクセンサーでもって、装
備された。つまり、飲料水―飼料供給を必要に応じて抑制すること並びに自動
的に搾乳を行う。
ドイツ農業研究連合(DAFA)
ドイツ農業研究連合は、農業研究の共同プロジェクトである。これは、戦
略的なネットワークを計画している。公的研究機関の農業科学者は、共同で
効率性、透明性そしてドイツ農業研究の国際的な明確さの改善を、目的に追
及している。研究上の挑戦の確認は、DAFA ー活動の重点である。DAFA の
傘下のもとに独自の専門分野が、有用動物、マメ科植物、草地、養殖、有機
栽培システムの将来といったテーマに、取り組んでいる。連邦食糧・農業省
は、2010 年以来 DAFA の強化推進を、財政でもって支援している。
そのようなテクノロジーの発展は、将来的に農業における資源消費を減少さ
せ、そして持続的な農業の意味における経営管理を、さらに促進させることに
貢献する。バイオ経済の分野において、農業の個々の領域に関する多様な知識
を、これまで以上に相互的により強くネットで結び、そして農業の前後の分野
を、より強く組み入れる。
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収量の向上
資源の持続的利用
このことは、特にグローバルな需要発展の視点で有効である。これは、その
土地の農業においても、多面的な挑戦の前に立っている。増大する世界人口の
もとに、バイオマスに対する需要が絶え間なく高まっている。これは、植物の
栽培強化でも、簡単に対処できない。なぜならば、世界的に1人当たりの利用
可能な畑地面積が、減少しているからである。その土地は、拡大する居住団地
用の面積、土壌侵食、気象変動の影響そして非ー持続的利用である。
そのため、栽培している有用植物の専門家の視点による改善、そして革新的
並びに環境に優しい栽培方法を通じて、バイオマスに対して増大する需要を、
カバーすることができる。ここでは農業研究と植物の育種が、決定的な刺激を
与えることができる。ドイツは植物研究に際して、国際的な比較を良く行って
いる。ドイツにおいて、約30の大学と並んで25の連邦の大きな研究組織と、
管轄分野の研究所が運営されている(様々な地域での植物に関連した研究を行
っている。例えば、ユリウス キューン研究所 Julius Kühn-Institut ヨハン ハイ
ンリッヒ
フォン チュウネン-研究所
Johann Heinrich von Thünen-Institut)。
将来の栽培のために有用植物が良好に導入されるために
収量の多い穀物、丈夫なビートまたは早く成長するポプラ:将来的に要請
が高まる有用植物の普及は、革新的な研究手法を必要とする。Plamt2030 の
傘下に応用植物研究のために、連邦教育・研究省から奨励されている研究活
動が結集されている。現在これには、奨励イニシアチブ”将来のための植物
ーバイオテクノロジーと国内を越えたプログラムの領域における奨励プロジ
ェクト(PLANT-KBBE)”が含まれている。この際、公的研究機関と植物育
種とバイオエコノミーの活用分野の企業が、共同している。
その際、民間パートナーは自ら担う部分的プロジェクト経費の一部を、自
ら負担する。民間企業は、植物の革新経済同盟(WPI)に組織されている。
応用植物研究プロジェクトは、特に過去におけるゲノム研究の知見を提供
する。ここで収集された知見は、農業全体の関心事である。ドイツの植物研
究者は、世界レベルで注目すべき貢献を果たしている(つまりビートゲノム
の解析)。これまで穀物の詳しい遺伝子カタログの作成に際しても、ドイツ
の研究者は国際共同事業に参画し、そして複雑なゲノムの完全な配列に関す
る方向づけを行った。この成果は、今新しい品種へのさらなる発展並びに栽
培方法の最適化へと進んでいく。
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最近これらの研究は、連邦教育・研究省(BMBF)と連邦食料・農業省(BMEL)
の財源によって、支えられている。しかし、農業分野において多くの中規模農
業経営並びに科学共同体 ゴットフリート
ヴイルヘルム
ライプニッツ研究
所を含む各州の施設で、研究されている。その際、バイオを基礎とした経済の
意味における植物の利用研究は、幾つかの目的に迫られている:逞しくより良
く様々な環境条件に適応させた植物を通じて、有用植物の収穫量増加に努力し
ている。
現代的な植物の品種改良は種の多様性を拡大し、そして植物から生産される
内容物の多彩さを高めることに、貢献すべきである。求められているのは、干
ばつ、栄養素不足そして塩過剰のようなストレス要因に対して、耐性のある新
しい種である。同時に今ある自然資源(土壌、水、栄養分のような)を、可能
な限り効率的にそして持続的に活用すること、並びに生物の多様性に目を向け
ることが重要である。植物育種上の改革の長ー短所は、例えば連邦教育・研究
省ー研究イニシアチブ”栽培システムにおける、革新的植物育種(IPAS)”の
合同プロジェクトにおいて研究されっている。ここでは、全体システムの中で
の植物を考察するため、そして農業の中で当面の発展が社会的に役立つこと。
つまり、生態系上そして経済的な効果を研究している。
狙いを定める中でビートと大麦のゲノム
作物の品種改良の中で重要な礎石は、植物ゲノム研究におかれている:植物
が環境条件にどのように適応するのか?どのような特性が伝統的な品種におい
て遺伝的に固定されていても、もしかすると、現代的な品種改良の中で失われ
るのではないか? 1999 年と 2014 年の間に、連邦教育・研究省(BMBF)が科
学界と経済界の研究者を、約 16,000 ユーロ(約 208 億円)でもって、このよ
うな問題を解明するために、奨励政策”生態系システムの植物のゲノム分析
(GABI)”を、奨励している。さらにイニシアチブ PLANT2030 において、研
究活動が継続されている。
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連邦食料・農業省の革新奨励
作物の品種改良:連邦食料・農業省の研究奨励の中で作物の品種改良は、
必然的に重要な位置を占めている。連邦食料・農業省の革新奨励プログラム
において、例えば栽培作物の適応能力と高品質を、他の地域ー気象条件でも
発揮することに、貢献することである。このことは、世界の食料確保のため
にも重要な貢献である。現在の研究政策は、”高能率な小麦品種改良を狙い
とsている。小麦は、世界的に 2 億 1,500 万 ha 以上の栽培面積でもって、重
要な栽培作物の1つになっている。”現代の品種改良の手法投入と活用は、
食料ー飼料として小麦、そして際立った気象変動のもとでも、原料として供
給を確保することに貢献する。
作物保護:効率的そして環境に適応した作物保護は、作物生産の十分な量
とそれに結びついた高品質性を確保するために、決定的な要因となっている。
連邦食料・農業省の革新プログラムの中において、総合的な作物保護の方
法の最適化は、病害虫の診断学からコンピュータでの地理情報支援まで奨励
する。
農業技術:栽培作物からの原料供給を確保するためさらに重要な要素は、効
率的な農業技術である。ここでも連邦食料・農業省の革新プログラムによる
継続的な最適化が奨励される。その際、規則、運営、監視そして導入した機
械の自動化のための、情報ーコミニュケーション技術が、前面に出てくる。
研究者は、モデルプランに関する研究と並んで、重要な有用植物を企業とと
もに入念に探索している。
1つの例:大麦は、小麦についで2番目に重要な穀物として、この国にとっ
て重要である。大麦の遺伝素質の解析は、これの複雑性と大きさにも拘わらず、
今日まで殆ど解析された。科学者の指導のもとにある国際共同事業体は、大麦
ゲノムの基本的な調査を計画し、そして広範な遺伝子カタログを作成した。
この分子遺伝学上のカルテは、植物研究者と植物品種改良者のために、世界
的に極めて価値多い資源である:これは大麦のゲノムを完全に読み取るため
に、必要な前提条件を創り出す。このことから、新しい種の組み立てが発展す
る。類似した成果多い遺伝子解析ープロジェクトは、他の有用植物(ビート)
にも有効である。
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環境研究のためのヘルミ ホルツセンターの研究者は、近代的な灌水施設で
作物の成長と収量に、様々な気象条件がどのように影響するか、研究している。
ここでもドイツの研究者は、ゲノム分析と解読に対して重要な参画をしている。
その際、植物学者は多様な手段に、支援を求めている(ハイテク手段)。 これ
は興味ある特徴を探索し、そしてバイオテクノロジー手法の投入のもとに、全
体的な育種プロセスを促進する。これに近代的なテクニックの支援でもって、
温室での様々な気象シナリオを実験でき、そしてそれに基づく成長と収量に対
する影響を、算出できる研究の手がかりが加わる。
このような活動は、特にバートラウフシュテート(Bad Lauchstät)にある、
ヘルムホルツセンター(Helmholz-Zentrum)で実施されている。というのは、
気象変動のグローバルな、そして長期的な影響を集中的に研究しているのに対
して、地域的に強い変化の極端な天候状況に関して、耐えられる研究結果がこ
れまでみられてない。
これに関して根拠づける情報を入手するために、連邦食料・農業省はさらに
研究プロジェクト”農業に重要な極値天候状況とリスクマネジメントシステム
の可能性”を、支援している。連邦食料・農業省の資源研究所との連携プロジ
ェクトとして、チューネン(Thünen-Institut)研究所とユリウス キューン(Julius
Kühn Institut)研究所が、ドイツ天候サービス(DWD)並びに様々な極値研究
施設との共同活動を行っている。
最初の成果は、雹、遅霜、干ばつそして停滞水が、野菜、果実、ぶどうそし
てホップ栽培経営のために、最も大きな挑戦の実現を容易にしたことである。
また暴風、極端な乾燥と暑さは、林業に関して特に重要である。2015 年の春
に専門家が、最終報告書を提出した。さらに作物の変化する外面上の特徴に、
視点を置くことの重要性が増してきてる。植物の特定の遺伝子変化の影響をチ
ェックし、そして理解するために作物の環境との相互作用が、配慮されねばな
らない。
外部的に複雑な特徴または特性について探索し、そして正確に測定すること
(その際損傷または破損することなく)、国内での生産能力を強化するために、
連邦政府は 2013 年始めから、”ドイツ作物―表現型(注・遺伝子型に対する語)
ーネットワーク(DPPN)”を支援している。
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これは、作物調査のための高水準スループット(注・一定期間内に処理する量)
施設で作成された。ミュンヘンのヘルムホルツセンター(Helmholz-Zentrum)
との共同において、そしてガータースレーベン(Gatersleben)における研究者と
の共同で、品種改良に投入される情報収集されている。
有機栽培:効果的な基礎づくり
持続的そしてバイオを基礎とした経済は、以前からずっと有機ー農業者の活
動の中心に属していた。また、有機ー農業者は特に資源を節約し、環境に優し
く管理するため、そして自然への侵害を可能な限り少なくするために、経営内
循環に価値をおき、そして主に自らの経営内で家畜の飼料を栽培している。ま
た、可溶性の無機肥料と化学農薬を放棄している。彼らは土壌の肥沃性を保つ
ために、堆肥、糞尿またはソラマメ,エンドウ、クローバーのような、自ら栽
培している産物でもって、土壌の肥沃性を改善している。
2012 年ドイツで有機農法規則によって営んでいる、約 23,000 戸の経営(全
経営の 7,7%)が存在している。これらの経営は、農用地の約 6%、約 100 万 ha
強を管理している。慣行栽培とも類似しているように、有機栽培もまた収量の
テーマが、重要な問題になっている。社会的にもバイオ産物に対する大きな需
要に、特に目を向けるべきである。
畑での窒素肥料収集者:マメ科作物による肥沃な土壌
有機農法は、自然と調和した経済を目指している。特に化学農薬と無機質
肥料の放棄、最終的に有機栽培における農薬を、非常に制限された量で認
可される。その代わりに農業者は、厩肥、栄養素供給者としてバイオガス
施設に投入された糞尿または大麦を、畑に施している。さらにマメ科作物
が、利用される。マメ科作物は、窒素供給者そして家畜飼育の際の蛋白源
として用いられる。
エンドウ、ソラマメ、ルピナスの栽培は、不可欠である。だがしかし、経
営的に他の緑肥も、しばしば利用される。数年間の作物栽培後は、土壌疲
れの前兆が現れてくる。土壌肥沃性のための様々な学問領域に跨る連携プ
ロジェクトにおいて、連邦プログラム”有機農法(BÖLN)”が、連邦食料
・農業省から奨励された。これでは、2008 年から 2012 年の間に、32 経営
においてマメ科作物の栽培が、適切に実施された戦略を検証した。
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樹木細断片での補完的な土壌施肥のための対策、または緑肥堆肥によって、
雑草抑制ープロジェクト成果を通じて、実践のための新しい方法を、様々
に示している。2012 年に連邦食料・農業省から提起された蛋白作物戦略の
領域において、連邦全体でさらに一連の研究ーネットワーク計画がスター
トした。これには、マメ科作物の栽培と利用を、全体価値創造チェーンに
沿って、改善することを目的としている。
決定的に大きいのは、新しい研究知見に対する関心事、つまり土地利用と土
壌肥沃性、持続的に収量を向上させるための戦略である。その際、マメ科作物
の潜在力は、長期間使い尽くせない。マメ科作物は、バクテリアのお蔭で空気
中の窒素を、自らの根に固定する。そのため、この作物は土壌のために、重要
な肥料源である。加えてこれらは、タンパク質が豊富で同時に価値多いタンパ
ク供給作物である。バイオ経済の領域において、連邦政府はタンパク作物戦略
との関連で、タンパクを含有するルピナス、ダイズ、ソラマメそしてエンドウ
の品種改良と栽培が、国内で再び発展することを支援する。
品種改良による木材産物の活発化が目標
森林は、重要な自然資源である。なぜならば、木材は様々な工業分野につい
て、価値多い原料である。この背景を前に連邦政府は、2011 年に”森林戦略 2020
”を公表した。これは、森林に対して社会的要請が競合し、さらにこれが高ま
っている間に、調和のとれたそして受入れ可能なバランスを、見出すことであ
る。そして森林の持続的な効率性を、見出すことである。この戦略において、
ドイツの森林からの木材生産のための、戦略的な目標設定も文書化している。
しかし、樹木についての品種改良は特に費用を多く要し、そして困難である。
それにも拘わらず、多くの費用をかけてその継続を保証するために、連邦と各
州が責任をもつ施設が、森林植林のためにチューネン研究所の所轄のもとに、
林業遺伝子に関して「育種戦略」を策定した。ここ 15 年間の投資は、6 樹種
に向けられている。この戦略は、連邦食料・農業省ー連邦環境省によって支援
されている、森林気象基金を通じて最初の連携プロジェクト(Fit Forclims)の
基礎である。気象ーそしてその土地に適した将来の森林のために、森林遺伝子
に関するチューネン研究所が、各州の林業研究施設と共同で、効率性が良くそ
して高価値な樹種、ベイマツ、カエデ、カラマツ、カシワの林業増殖資源につ
いて研究している。
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この研究では利用ゾーンを明らかにし、選択肢を選び出しそして育種群を育
成する。この際、植物テクノロジーと林業遺伝子の知見は、早急に新しい増殖
資源の発展を支援する。このことは、経済的に重要なクリスマス用樹木の市場
のためにも、有効である:毎年ドイツにおいて人々は、7 億ユーロ(約 910 億
円)を、クリスマス用樹木のために支出している。約 2,900 万本が販売されて
いる。オーバードーラ(Oberdorla)にある苗床において、連邦食料・農業省―
奨励イニシアチブ KMV-革新の分野で、頑丈なベイマツ、モミを育成し、そし
てガラス容器内での方法でもって、クローンコピーが育成されている。
1つの目標:一定の品質を有してプランテーションで良く成長するクリスマス
用樹種
連邦食料・農業省の連携プロジェクト”早く成長する樹種”に、8 パートナ
ーが参画し、現代的な植物育種によってポプラ、ヤナギそしてニセアカシアの
栽培を促進している。そして前提条件は、短期伐採プランテーションで大面積
で、確実に経済的な栽培を改善することである。育種と並んで使用されてない
潜在力の活用が、課題である。
過去 10 年間における異常な暴風襲来の結果、多くの州でシラカバ、ハンノキ、
ヤナギのような、初期に植生する早期成長する樹種で構成される初期森林の面
積が、多くなっている。そのような林地の取り扱いの新しい手掛かりは、例え
ば連邦食料・農業省の奨励プロジェクト”パイロット森林”で試行されている。
これは、フライブルグ大学の森林研究所が、調整している。
持続的な家畜飼育の強化
作物と並んで家畜は、高価値な食料を人間に供給するために、不可欠な資源
である。特に増大する世界人口の食料基盤の核の視点でもって、畜産に由来す
る高価値な食料に需要が高まっている。これは専門家の分析によれば、2050
年までに世界規模で倍化する。これに加えて気象変動、減少しつつある資源そ
して消費者の変化する要請が、生じてくる。
その際、資源を節約しそして種に適した家畜の飼育は、バイオ経済の領域に
おいて高い価値位置を有し、そして大学の種々の研究計画、大学外の研究施設
並びに資源研究所が、重要な役割を演ずる。専門家が地域を越えてより良くネ
ットワーク化するために、連邦教育・研究省は 2010 年以来、農業ー食料研究
における専門知識ネットワークを、奨励している。
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その際、農業の科学的ノウハウでもって、社会的な問題解決を支援する。例
えば、牛乳研究については、キール大学がコーデイネートするネットワークに、
取り組んでいる。牛乳生産のための給餌は、消費者の健康のために科学者が、
牛乳の全体的な価値創造チェーンを、入念に調査している。その際、研究者は
牛乳ー飼料工業の企業とも、連携している。
農業科学者は、ロストックにある所管のネットワークで、牛と豚についての
育種上の特徴に集中している。それには、ゲノム分析と生物情報科学が含まれ
ている。なぜならば、逞しくそして病気抵抗性をもった家畜を作出するために、
革新的な方法が、益々求められているからである。ミュンヘン大学がコーデイ
ネイトした連邦教育・研究省(BMBF)のクラスター総合育種において、家畜
育種家が遺伝モデルによってフレック牛種の遺伝素質を、探求している。
これは、家畜の健康に積極的な影響をもたらす。例えば、目の周囲の褐色の
毛がメガネのように生えているのは、牧場の牛にとって望ましい特徴である。
なぜならば、過度な太陽光線を遮断させ、そして眼の病気を防止するからであ
る。連邦食料・農業省は、同じく家畜飼育の数多くのプロジェクトを、自らの
革新奨励の分野において奨励している。家畜の健康と家畜の幸福の観点でもっ
て、国内を越えたプロジェクトが、ヨーロッパの ERA ーネット「動物の健康
と福祉」に取り組んでいる。
これは、連邦食料・農業省と連邦教育・研究省が共同で奨励している。その
際、持ち込まれた病原体について早急に同定し、そして罹病した家畜の隔離並
びに新しい診断方法とワクチンの開発が、必要である。さらに家畜飼育におけ
る抗生物質の取り扱いの新しい方法、並びに構成物質投入の代替方法を研究す
る。家畜研究において重要なテーマは、環境汚染物質放出を減少させること、
そして過剰施肥を回避することである。
牛、豚は、メタンのような気象的に重要なガスを放出し、尿、糞は燐と窒素
を含んでいる。バイオ経済において目的とする構想は、これらを減少ないし集
中的な循環の中で、野菜など他の産物のための原料として用いることも追及す
る。
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庭園のための寒さに強いランー革新的な増殖技術でもって華麗な花を
ランは、観賞用植物の中の王様である。種子での増殖は、喪失の多い冒険
であり、そして不安定な品質をもった植物となりやすい。試験管の中での営
業栽培は、クローンの大量増殖でもって、観賞用植物としての熱帯ランを購
入しやすくしている。ドイツの植物研究者は、実験技術の支援によるこの増
殖技術でもって、園芸用ランを品種改良した。
ベルリンのフンボルト大学とネックスプラント社の研究テーマは、連邦教
育・研究省ー奨励政策 KMV ー革新の領域において、この手法をとっている。
バイオテクノロジーが発展し、そして露地でランの生産、販売が、専門化さ
れている。5月と6月に白ー深い赤の花が、一目をひく。露地のランは、寒
さに強くそして園芸の愛好家が華やかさに引かれて、くりかえし訪れる。
拡大のコースを進む養殖
有用動物飼育の特別な形態は、養殖である。これには、水棲生物の管理され
た飼育、繁殖が含まれる。その中には、魚だけでなく二枚貝または藻類のよう
な、淡水ー海水生物が含まれる。世界的に養殖は、年に 5%から 8%の成長率
を伴なった、大きく増大する食料生産分野として挙げられる。動物蛋白の持続
的な生産のために特別な関心が寄せられる養殖は、良好な生態系バランスをも
っている。
ドイツにおいて自然に密着したそして広範に営まれている池施設から、閉鎖式
淡水循環施設まで存在している。国内での養殖経営は、家族の手によるものが
優勢である。2012 年に連邦統計局の報告によれば、約 200,000 tの調理用魚が
生産されている。だがしかし、ドイツは国際的な比較において遅れをとってい
る。そのため、科学ー経済界からの養殖―エキスパートは、EU ー規定養殖国
内戦略(NASTAQ)を策定した。その中には、ドイツにおける養殖での持続的
生産拡大を、達成するための政策も提言している。
生産拡大のためには、革新的な手法が不可欠である:ドイツの30以上の研
究施設の科学者が、持続的な養殖の課題解決に取組むこと。特に将来性のある
のは、多段式人工滝を利用する方法である。浄化した水の再利用並びにバイオ
ガス施設の余熱利用のお蔭で、養殖ー循環施設が水から地上に移行され、そし
て最終的に魅力的なものとなる。
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内陸での最初の海水魚ー養殖ファームは、ザールラント州のフェルリンゲン
に、市内企業によって建設された。そこには、ペルカ(訳注:ヨーロピアンシ
ーバス)シイラ、チョウザメが生産される。2014 年から最初の魚が、地域の
スーパーマーケットで購入できる。メクレン・フォアポーメルン州並びにシュ
レースヴィック・ホルシュタイン州でも、類似の施設が稼働している。
アクアポニックと都会農業
アクアポニックは、水耕栽培と魚の養殖を同時に行うシステムである。これ
は、作物栽培と有用生物の飼育を、循環システムで結びつけるという、全く新
しい方法の追求である。この種のアクアポニックーシステムは、栄養素、物質
代謝産物、二酸化炭素、水を再利用する、殆ど完全な閉鎖式の施設である。連
邦教育・研究省の支援でもって、水エコロジーと内水面漁業ライプニッツ研究
所(IGB)で、例えば汚染物質を放出しない施設を開発している。これは、シ
クリッド(カワスズメ・スズキ目)とトマトが、同時に育てられている。
他の革新的な構想は、都会の生活空間に作物の栽培を組入れることである(屋
根の下または建物のファサードー正面部分)。いわゆる都市農業は、地域産物
に対する需要への対応並びに現地で発生する残さー廃棄物または余熱を、目的
に応じて活用するための、将来ビジョンである。フラウエンホーファー環境ー
安全そしてエネルギー技術研究所(UMSICHT)では、新しい構想での温室テ
クノロジー、革新的なプロセステクノロジー(工程技術)そして物質研究と結
びつけることを、研究している。そして都市の建物を組み入れた農業の特別な
要請に、対処するため技術的、経済的そして生態系的に有利なように実行に移
す。
オオヒラメにとって味の良い餌
オオヒラメは、養殖において通常魚粉のペレットを給餌される。今、植物
原料が、代替え蛋白源として与えられている。これは、栄養生理学上でも勿
論適切であり、そして魚にとっても美味しい。養殖協会の研究者は、例えば
ナタネ蛋白―ペレットでオオヒラメの食欲を、明らかに増進させる。さらに
ムール貝から脂質蛋白を摂っている。捕獲したムール貝の中での不良貝が、
ゴミとして積まれるのを回避している。ムール貝の蛋白は、植物性の餌に海
の味を加えている。連邦食料・農業省は、革新奨励の領域において、代替飼
料、新しい種類のそして養殖の持続的な生産システムの合同プロジェクトへ
の取り組みを、支援している。
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バイオ経済の原料
植物、動物並びに微生物は、バイオ経済のための多面的な資料源である。
その際、バイオマスのみならず、農林業、漁業における微生物の生産が新
たに生じている。さらに有機物残さーそして廃棄物のまた資源的そしてエ
ネルギー的利用のための、価値多い資源として焦点の中心に据えられる。
バイオ経済の特別なことは、持続的な原料が基礎である:生物学的な資源ー
同時に植物、動物並びに微生物のような動植物は、成長しそして繁栄し、自ら
の新陳代謝を通じて、有機物質の多くの多様性を生み出す。植物的または動物
的由来のそのような持続的資源のもとにおいて、適切な上位概念はバイオマス
である。バイオ経済において、バイオマスは食料としてまたは飼料として、優
先的に多面的に利用されている。
しかし、工業原料ーエネルギー供給者としての利用が、増加している。持続
的に生産される持続的な原料は、化石資源の節約に貢献し、そして気象を損な
うガスの生産を減少させる。同時に、農村地域おける就業の場と価値生産を創
造する。
畑と草地からのバイオマス
植物は、大地からの重要なバイオマスー産物である。これらは光合成を営み、
大気からの CO
2を太陽光で酸素に転換し、そして有機的な結びつきに変化
させる。バイオマスは、炭水化物、脂肪、油そして蛋白質のような、複合的な
原料混合物が含まれている。緑の植物は、地球上の農地の第一義的なバイオマ
ス生産の主要な量を、提供している。植物は、農業の価値創造チェーンの始ま
りにあり、そして同時にバイオ経済に関して基本的に重要である。
ドイツにおける作物生産は、広範に多面的に取り組まれている。これは、畑
ー作物栽培から森林、さらに園芸ー果樹栽培、そしてワイン用ぶどう、ホップ
のような工芸作物までに達している。農業者は、ドイツ国土の半分弱を農地と
して営んでいる。作物は、主に食料ないし飼料としての利用のために、栽培さ
れている。 人間が食することのために、農業は生産する。畜産物と並んで特
にパン用麦、バレイショ、ビート、果物、野菜など。
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今日、穀物はドイツ農業の重要な生産物である。農用地の1/3強で穀物を
生産し、そのうち過半数が家畜の飼料桶に入る。小麦は、ドイツにおいて群を
抜いて最も多く栽培されている穀物である。第 2 位で続くのが大麦で特に家畜
向けに、そして醸造用麦としてビールに使用される。伝統的にパン国であるド
イツは、ライ麦もまた大きな意義を有している。他方、ビートは澱粉と家庭用
砂糖、サッカロース(蔗糖)に関する重要な工業用産物である。
さらに重要な澱粉作物は、バレイショ、小麦、トーモロコシである。ナタネ
から得られる植物油―脂肪は、この国において特に頻繁に多くの食品工業に利
用されている。大豆、小麦またはナタネのような有用作物は、さらに重要な蛋
白供給源である。最近は、ルピナス、ソラマメそしてエンドウにも、強く焦点
があてられている。適切な研究活動は、国際輸入への依存を低下させるために、
これらの国産蛋白供給源の効率性の改善に、目標をおいている。
バイオ経済の中で作物の栽培利用と、資源効率的そして持続的に具体化する
方法が、追及されている。慣行農業と有機農業並びに食料ー飼料そして食品工
業以外の再生可能な原料として、作物の新たな可能性配慮のもとでの、可能な
限り最善の共存の意味において。穀物、ナタネ、ビートそして他の作物は、再
生可能なエネルギー生産のために、そして化学工業の原料としても、重要な役
割を演じている。
ドイツの農業用地の概要
ドイツ全土の 46,8%が、農業のために用いられている。その内 6%が有機農
業に供されている。全農地面積の 2/3 が飼料生産のために、そして 27,5%が
食料生産に用いられている。12,6%には、エネルギー作物が栽培されている。
2,4%は休閑地、休耕地になっている。
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バイオマス生産作物として、農地で中心に栽培されている間に、水生領域にお
ける藻類がこの課題を担ってきた。藻類は、大量の糖分子または油を生産し、
それでもって工業上関心ある内容物の生産に利用される。ヨーロッパにおいて
藻類が乳化剤、濃縮剤または食品補完材料として、投入されている。藻類は、
肥沃でない場所での、開放または閉鎖システムで栽培可能である。同時にこの
産物が食料ー飼料生産のために、直接的な競合はない。
有用作物との比較において、藻類は十中八九高度なバイオマス生産のための
要因であり、勿論太陽光の高度利用でフォトバイオリアクターの領域において、
栽培される。この資源はドイツのためにも、より良く開発されるうえで、化粧
ー食品工業に利用できるよう、微細藻類を研究している。化粧または食品工業
において利用できるように。
木材ーバイオ経済のための持続的な原料
ドイツにおいて重要な再生可能な原料は、森林である。約 340 億㎥がこの国
に存在している。それは、ヨーロッパ一の値である。これは、価値多い生態系
システム、炭素蓄積者、保養空間と、その上重要な原料供給者である。木材は、
細胞壁をもった細胞からの植物性の組織である。それは、長い鎖状の砂糖分子
のセルロースと半セルロースから、組み立てられている。木質化する間に、細
胞壁にセメント効果のように、補充されたリグニンが貯蔵される。
生成された化学的骨組みは、リグノセルロースと呼ばれる。再生可能な原料、
建設材料、木工原料そしてエネルギー源としての、木材の位置価値、需要そし
て利用は、優れた材料特性に基づいて、そして優れたエコバランスをさらに増
加させる。木材原料の国内諸費は、過去 20 年間に継続的に増加している。林
業における森林木材と並んだオガクズ、樹皮そして森林残材のようなその他の
木材原料もまた、ドイツにおいて同じく木材を基礎とした価値の創造と、就業
を具現している。
連邦政府は、2011 年に「2020 森林戦略」を決定した。それは、自然ー経済
圏の森林を長期的に確保し、そして森林に対して増大する社会的要請と、森の
持続的な効率性との間の受容可能なバランスを、示すためでもある。関心事の
焦点は環境に優しく、再生可能な原料木材の多段式利用を探すことに、おかれ
ている。
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品種改良の分野において、多くの研究努力がされている。これは、建築に
おいて早期に成長する樹種、特に原料として焦点を据えている。最近のテクノ
ロジーの助けでもって、工業における原料的な利用のために、第一次原料とし
ての木材のための、可能性が研究されている。
再生可能な原料に焦点を
連邦食料・農業省は、「再生可能な原料」奨励プログラムでもって、次の
目標を追求している。つまり、工業部門において、農ー林業原料の投入を
促進することである。これは、原料的にもエネルギー的方法も含み、より
多くの重点が内容として含まれる(例えば、バイオ合成樹脂、バイオ動力
用燃料、エネルギー作物)。計画は、再生可能原料エージェント(FNR)
によって支援される。今日的に単独で約 650 の研究ー普及プロジェクトが
実施されている。毎年,約 6,000 億ユーロ(約 78 億円)が、この計画に注
ぎ込まれている。
牧場と畜舎からのバイオマス
バイオ経済の重要な基礎は家畜である。ドイツの農業は、畜産物がトップの
座を占めている。ヨーロッパにおいてドイツほど、より多くの牛乳と豚肉を生
産しているところはない。ドイツはフランスに次いで、家禽肉並びに牛肉ー仔
牛肉の二番目の大きな生産国である。全体で 1,700 万の家畜が、飼育されてい
る。この飼育数に対して、年間 8,000 万tの飼料が消費されている。ドイツで
は、植物的なバイオマスの利用者として、家畜が重要な役割を演じている。そ
のため、畜産と農耕は密接に結びついている。
飼料作は、家畜の栄養の大部分である、牧草ートウモロコシのような必要と
する基礎飼料を、畑地での飼料栽培と草地利用から得ている。
砂糖工場、野菜残さ、食品経済の乳製品工場または穀物製粉所の副産物が加
わる。そしてそれらはさらに飼料に加工される。蛋白含有の飼料の確保は、大
部分補完的な輸入でもって、保証されている。ヨーロッパ域内では、蛋白含有
作物の生産が不十分であるためである。同じく牧草地と牧場は、このシステム
において重要な要因を形成している。これは牛に飼料を供給し、酪農の重要な
柱になっている。
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この牧草地の生態系の多様性でもって、環境保護にも貢献している。バイオ
経済の領域において、特に家畜の飼育、食料の生産並びに持続性と環境保護が、
互いに調和している。肉眼でもって全くできないことは、さらに中心的な生態
系上の資源である。バクテリア、酵母、菌類のような微生物。これらは、全体
的な生態系システムの中で、多様な形態で存在している。例えば、既に千年来
ビールまたはチーズのような、食料の製造に際して小さな酵母として投入され
る。
原料供給源としての森林
現在ドイツには、1,100 万 ha の森林が存在している。これは、国土の 31%
に相当し、木材の蓄積を不断に増加させている。森林面積は、この 40 年間
に約 100 万 ha 増加している。年間、総計 13,500 万㎥の木材原料が使用され
ている。建築ー原材料並びにエネルギー源として。
微生物は汚泥産物またはバイオガス施設において、有機物質も分解する。
この間、化学そして薬学工業における微生物は、重要な働き手の生物である。
微生物が伝統的な埋蔵原料(銅または無機質資源)の加工と生産との関連で、
将来性のある展望を切り開く。金属産出におけるバクテリアが、既に長年利用
されてきた。
有機農業のための研究
連邦プログラム「有機農業と持続的農業の他の形態(BÖLN)」は、ドイツ
における有機農業ー食料学に関する大枠条件を改善し、そして需要と供給
のバランスのとれた成長を得ることに、目的をおいている。このプログラ
ムは、連邦食料・農業省が財源を出し、そしてボンの連邦食料・農業局に
おいて調整されている。この間に 750 以上の研究ー普及プロジェクトが実
行され、毎年 900 万ユーロ(約 11 億 7,000 万円)がこの計画に支出されて
いる。
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循環経済への挑戦
バイオ経済は農ー林業的生産のみならず、収穫しそして第一次加工したバイ
オマス部分の利用で、際立っている。これまで広く利用されてない収穫残さ、
または残存物(例えばムギワラ、森林での残木または糞尿のような)に、今や
焦点があてられている。これには、工業的な生産やさらなる加工での残さ物が
加わる。さらに、ナタネ圧縮粕、海草残さ、バイオマス発酵残さ、乳清または
果実の皮といったような、古典的な廃棄物が挙げられる。
バイオ経済の構想は、特に閉鎖式物質循環を定着させること。そして今ある
資源を多段式な意味において、可能な限り効率的に投入することである。その
際、中心的な目的はバイオマスの多数回活用である。まず第一にバイオを基礎
とした産物において、結びついている炭素二酸化物の材料的な利用段階が、エ
ネルギー的利用に際して、再び放出される。木材についてこの原則が既に実行
されている:セルローズからは紙、使用済みの紙はさらに加工され、そして使
い古されたとき、エネルギー獲得のための暖房材料として使われる。多段式使
用は、麦ワラの利用についても、同じように考えられる。
ドイツにおける麦ワラは、2010 年約約 350 万t使用されている。エネルギ
ー的、そして原料的な利用のために、麦ワラの 20~40%が使用されている。し
かし、まだ十分でない。それに反して家畜の残さ原料について、既に今ある原
料循環に密接に、そして互いに組み合っている。勿論さらになお、高価値な利
用または数回の原料的な利用に視点をあてると、広範な潜在力がもたらされる。
2030 バイオ経済国内戦略は、将来的なバイオを基礎とした工業における、
自然の炭素ー循環を描いている。これは次のことを、意味している:再生可能
な原料を通じた化石原料に、代替えすることは決して簡単でない。むしろ有効
である:バイオマスの中に組み込まれている潜在力を、基本的に効率的に利用
し尽くすこと。そして生ずる物質の流れを、様々な工業目的のために、資源効
率的にそして持続的に開発することである。ここでは、様々な分野において既
に、将来性ある手法が生まれている。手法のレベルで試験の中で、バイオ精製
工場の構想が存在している。
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同時にバイオ資源は、全体的な視点で評価されねばならない。なぜならば、
理想的な循環経済は全ての参画者にとって、大きな挑戦であるから:それは、
バイオマスの原料的、エネルギー的利用は、食料ー飼料分野における利用とも
に、需要に対応できる量と高品質性が求められる。さらにバイオマスの原料は、
エネルギー的な利用との比較で、そこにある他の様々な利用方法に関して、重
要な尺度がもたらされる。
重要な観点は、土地の利用である。なぜならば、バイオマスは基本的に再生
可能であるが、限度ある栽培農地に限られるからである。そのため、求められ
るのは、バイオマスの賢い扱いである。バイオ経済は、バイオテクニックー機
械とバイオを基礎とした生産方法をもとに、経済の中で持続性と資源効率性の
観点を重視している。そのことによってのみ、再生可能な資源の様々な利用の
道の競争、エコ農業と慣行農ー林業との共存を、保証することに成功する。
同時にバイオマスは、ドイツの現地で生産価値の創造を向上させ、農村地域の
ためにも持続的にさらなる発展を可能にするチャンスをもたらす。
生産ープロセス技術は、それぞれの経済分野において重要である。原料の加工
を通じて、様々な種類の産物が生まれている。バイオを基礎とした経済の中で、
持続的そして資源効率的な生産技術は、大きな意義をもたらす。気象を損なう
二酸化炭素を削減し、そして工業的プロセスの環境適合性を向上させるために、
これらのことは基本的な礎石である。バイオ経済でもって到達すべき重要な目
的の1つは、工業における石炭、石油そして天然ガスのような、化石原料の消
費を減らすことである。
バイオを基礎とした生産システムの多様性は多い。畑、草地そして森林は、
同じくバクテリア、菌類または生態系上のミニー工場に属する。これには、公
園緑地などが加わる。この中で生物学と技術者の技法が協力し合う。これは、
バイオガス施設を越えて、養殖施設からバイオ精製装置までに達している。閉
鎖式循環系を達成するためのバイオ経済のさらなる目的は、自然原料そして廃
棄残留物の中に、加工のみならず理想的なケースの中において、何回も利用し
さらに加工されることである。
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持続的な土壌管理
バイオ経済における価値創造チェーンの全く初めに、必要とするバイオマス
の生産が存在する。食料、飼料または工業的に利用する原料の生産かどうかは、
同じである:そのために必要な植物の持続的な栽培は、肥沃な土壌のもとでの
み成功する。ドイツにおいて全面積の約 50%が、農業に利用されている。こ
れにさらに 30%の森林面積が加わる。同時に 2,780 万 ha の面積が、農ー林業
の重要な生産要因の土壌である。
土壌は、いわゆる生態系活動を完遂させる、繊細な生態系システムである。
これに例えば、気象変動に直接影響する水または炭素の蓄積が加わる。この
生態系システムが正確に進行できるよう、現在初めてドイツ全域の「土壌状況
調査・農業」において分析を行っている。連邦食料・農業省の財源は、最初に
ドイツ全土に農業用土壌を抽出し、100 cm四方の広さで炭素蓄積調査を導入
した。今年中(2014 年)に責任実行機関であるチューネン研究所の研究者が、
最初の結果を抽出したいとしている。
それからドイツにおいて農業用土壌が、気象保護のためにどのような役割を
演じているか、明らかにできる。それに加えて農業―林業において、土壌でも
って活動する者は、強い忍耐を必要とする。長く栽培を継続したプロセスを形
成し、そのため短期間に更新または取り換えることができない。この背景の前
に、農業に利用されている土壌の能率を永続的に保持し、そして改善できるよ
うに。 科学は常により多くの問題に向かうことは、全く驚くことではない。
ドイツ連邦教育・研究省が目的とする奨励重点「バイオ経済のために持続的
な資源としての土壌」でもって、そのような計画を支援する。さらに連邦食料
・農業省の「連邦プログラム・有機農業と他の持続的農業の形態」が、適切な
活動を行っている。さらにこの問題の研究者は、根を通じて植物の栄養効率の
改善を、追及している。約 95%の農作物は、必要とする菌類(いわゆる菌根)
による無機の栄養素の大部分を、吸収している。
自由に使える潜在的な飲料水の約 70%が、農業のために用いられている。
そして窒素ーリン酸肥料の経費が、近い将来より多く上昇するだろう。この
ことを背景にして、効率的な菌類の使用がその役割を増大させるだろう。
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なぜならば、このことが良く機能するならば、害虫、乾燥ー塩害ストレスに
対して、作物の抵抗性が高まること、並びに作物における重金属の蓄積を低下
させる。他方、先験的で聡明な土壌管理は、連邦食料・農業省の重点におかれ
ている。 それは、省のイニシアチブで「自然資源土壌の保護のための基盤(出
発点)に対して、団体代表者と地方自治体並びに連盟、科学そして投資家の代
表者を参加させる。
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