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The Gallery 第46号

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The Gallery 第46号
市民の知る権利に応える
第 46 号
傍聴席
c ザ・ギャラリー
○
2010 (平成 22)年 10 月 17 日(日)
発行・相模原市議会をよくする会 (設立 1999 年)
9月定例会版
会派間の談合で「議員活動アンケート」回答への対応を決めるとは!
私たちは、日頃から市議会を傍聴している。議員の本会議や委員会での言動を間近で見聞きすることにより、議員
一人一人の能力や資質を知ることができるようになった。「相模原市議会をよくする会」として2003年から、全国に先
駈けて「議員の通信簿」を発行し、2007年に2回目を出したが、最近では他の自治体でも、議員評価を「議員の通信
簿」として公表するようになった。しかし、通信簿を出すたびに、「議員の全ての活動を見ないで作成しているので、公
平な評価とは言えない」という議員側からの声が上がっていた。
ところが、回収に回った9月13日、最大会派「新政クラ
議員の声に応えるためのアンケートだったが・・・?!
ブ」(16名)から、「他の会派との話し合いで回答しないこ
そこで、来年の統一地方選挙に備え、第3回目の通
とになっている。」との驚くべき説明を受けた。さらに他の
信簿を作成するために、議員の声に応える意味で、本
会派を順に回ったところ、それぞれの理由が明らかにな
会から『議員活動報告についてのアンケート』を52名の
った。
議員一人一人に宛てた用紙を会派を通して渡し、回答
下記の質問内容は、議会活動以外の活動を知るうえ
をお願いした。依頼したのが8月19日、回収したのが9月
で、当然必要と思われる項目だが、どうだろうか?
13日だった。(回答期間は25日間)
(次ページへ)
アンケート質問要旨
✰The Gallery 46 号✰
 議員の不可解なアンケート拒否
1.
P1
発行者は最新号を添付)
 ようやく行われた相模原市の事業仕分け P2
 傍聴報告9月定例会本会議/委員会
発行の有・ 無、創刊時期、紙名、発行頻
P6-13
 区民会議は何が目的か?
P13
 地方議員年金廃止へアクション(報告)
P14
 クォータ制実現への道(報告)
 全国市民オンブズマン富山大会
赤倉代表が議会改革でパネラーに
P15
P15
 実現するか行政委員報酬の日額制
P7
 溝渕議員はどこへ?
P8
 総合誌・月刊『テーミス』に本会活動の紹介
P10
 淡路島からのメール
P16
 編集後記
P16
広報紙について (個人後援会による発行も含む。
度、年間合計発行部数
2.
議会活動報告会について
開催の有・無、開催頻度、主な開催場所、
年間参加者概数
3.
ホーム・ページ(ブログを含む)について
開設の有・無、開設した時期、更新頻度
4.
2007年の当選以降、議員として果たした実績を
3項目記載
1
★本紙名の The Gallery は、欧米では議会などの傍聴席を意味します。
The Gallery No. 46
2010/10/17
市民の期待を裏切るあきれた拒否理由
質問内容は、「議会での活動以外の活動」を知るうえ
議員一人一人に宛てて依頼したものだが、驚いたことに、
で大事な項目であるとともに、議員にとっても自己PRに
会派単位で対応してきた。一人一人自立しているはず
絶好のチャンスと思われるもので、本会としては問題なく
の議員が、なぜ個性を捨てて、会派の指図に従ってしま
回答してもらえるものと考えていた。それだけに、回答拒
うのか、不思議なことである。下の表はアンケートへの各
否には唖然とさせられた。アンケート用紙は、意識的に
議員の対応を会派ごとで示したものである。
(敬称略)
会派名
回答者(15 人)
新政クラブ(16 人)
回答拒否者(37 人)
石川、寺田、小野沢、大神田、阿部、中村、須田、沼
倉、久保田隼、岸浪、稲垣、佐藤、折笠、久保田義、
山岸、溝渕
公明党(8 人)
栄、加藤、米山、関山、菅原、大上、山崎、小林一
民主クラブ(7 人)
落合、角尾
渡辺、山下、小林の、小池、大沢
無所属クラブ(6 人)
野元、栗原、西村、東條
池谷、長友
市民連合(5 人)
森、二木、江成、岩本、金子
共産党(4 人)
竹越、松永、藤井、菅野
創史会(4 人)
古内、大槻、河本
無所属(2 人)
小林正、吉田
八木
全員拒否した会派と、その理由/反応
■ 新政クラブ=他の2つの会派からの回答拒否への誘いに乗った。約束なので出せない。
■ 公明党=依頼者(つまり本会)への不信感がある。結果を公平に扱ってもらえないと思うから。
■ 市民連合=会派代表者の金子議員が再三の問い合わせに応じないので、拒否理由は不明。
★ なお、某議員から連絡があり、会派の縛りにより、アンケートには回答できないが、自分のブログに
アンケートに見合う内容が掲載されているので、見てほしいとのことだった。
「通信簿」作成上の参考情報に
が、アンケートの回収率は29%と少なく、統計的な扱い
アンケート回答者の8割が広報紙を発行、議会報告会
は困難となった。しかし、回答内容は、次の「議員の通信
簿」作成上の参考情報とすることとした。 End
を開催、HP開設済み、自己評価の実績も記入していた
ようやく行われた相模原市の事業仕分け
相模原市の事業仕分けが、2010 年 7 月 31 日と 8 月
こと。最低は横浜水道みちサイクリングツアー事業 10 万
1 日の土・日に市民会館にて行われ、市の発表によると、
3000 円で、最高が峰山霊園公園墓地整備事業 2 億
延べ傍聴者数 286 人(1日目 181 人、2日目 105 人)が
2840 万円。相模原市の一般会計予算額は 2340 億円
訪れた。対象は 40 事業。仕分け結果、各事業への本会
だから、40 事業総額にしても 8 億 511 万 2 千円、予算
のコメント、および10 月 6 日に発表された市の最終決定
額の 0.4%もない。仕分け人の福嶋浩彦前我孫子市長
は4ページの表を参照してください。特筆すべきは、対
(現・消費者庁長官)も、相模原市の今回の事業仕分け
象事業で、100 万円以下の事業が 40 のうち 10 もあった
は金額の小さいものが多かった。と総括で述べていた。
2
The Gallery No. 46
2010/10/17
これほどの少額事業ばかり、また、仕分け対象とする根
たのか、と疑いたくもなるが、まずは事業仕分け元年とし
拠が感じられない事業も多く、市は本当にやる気があっ
て少しは評価したい。
8月1日、第1班の仕分け風景
傍聴で見かけた市議会議員
仕分け結果
思ったより、傍聴に来た本市の議員は少なかった。これが相模原のレベルでもある。
不要 15 事業
7/31-東條(無ク)、藤井(共)、江成(連)、阿部(新)、大神田(新)、西村(無ク)、松永
(共)、中村(新)、吉田(無)、菅野(共)、大沢(民)、小林一(公)、竹越(共)、須田
(新)。 8/1-東條(無ク)、藤井(共)、松永(共)、岩本(連)。
民間 2 事業
国・県 0 事業
広域 0 事業
市(要改善) 22 事業
来なかった議員は、見逃せないはずの、この重要な市の事業仕分けをよそに、どこで
何をしていたのか?
(うち 1 事業は拡充)
市(現行どおり) 1 事業
<仕分け人一覧>
7月31日 第1班
コーディネータ
ー
小瀬村 寿美子
8月1日 第1班
厚木市協働安全部人権男女参
小瀬村 寿美
厚木市協働安全部人権男女参
画課課長
子
画課課長
内閣府行政刷新会議事務局企
小村雄大
仕分け人
南 学
市民仕分け人
戸川武彦
相模原市経営評価委員会委員
戸川 武彦
相模原市経営評価委員会委員
市民仕分け人
阿部真幸
市政モニター
小黒 芳男
市政モニター
市民仕分け人
湯佐一友
市政モニター
清水 宏行
市政モニター
画官
橫浜市立大学エクステンション
センター長
南 学
横浜市立大学 エクステンショ
仕分け人
福嶋浩彦
7月31日 第2班
ンセンター長
前我孫子市長/中央学院大学
社会システム研究所教授
8月1日 第2班
コーディネーター
熊谷 哲
京都府議会議員
熊谷 哲
仕分け人
中村 卓
仕分け人
川名雄児
武蔵野市議会議員
伊永 隆史
首都大学東京 大学院教授
市民仕分け人
西 秀秋
相模原市経営評価委員会委員
西 秀秋
相模原市経営評価委員会委員
市民仕分け人
太湖聡史
市政モニター
坂本 誠
市政モニター
市民仕分け人
長谷川久子
市政モニター
長野 まゆみ
市政モニター
構想日本 政策担当ディレクタ
ー
3
中村 卓
京都府議会議員
構想日本 政策担当ディレクタ
ー
The Gallery No. 46
2010/10/17
相模原市の事業仕分け
7月31日実施分
事業
番号
事業名
予算額
(千円)
仕分け結果
本会コメント
1-1
さがみはらネットワークシステム
(施設予約)運用管理事業
53,777
要改善
利用者の減少傾向の原因が分析されていな
いが、それなしには対策は見いだせない。
1-2
安全・安心まちづくり啓発推進事
業(安全・安心マップパソコン情
報提供業務)
1,512
不要
目的に照らし、手段としてはふさわしくない事
業で当然の評価。有効性に疑問。
1-3
「 相模湖ふるさとの森キャンプ
場」管理運営事業
2,300
民間
1日4人程度では民間でも請け負えない事業で
はないか。
1-4
ソレイユさがみ女性相談事業
7,160
要改善
相談員のスキルが必要なのに予算を3割減で仕
分けの対象としてはだめ。市職員の天下り先?
1-5
福祉機器展示室(ウェルネスさ
がみはら2階)運営委託業務
4,558
要改善
1-6
生きがい農園運営事業
3,190
要改善
1-7
陣馬山ハイキング事業
168
要改善
1-8
幼児養育費支給事業
1-9
介護家族支援事業
3,283
要改善
申請件数が少ないのはPR不足のせい、該当
者を積極的に探して、活用すべき。
1-10
スズメバチ駆除委託事業
7,530
要改善
改善案に条例化が提言された。
2-1
職員厚生会交付金
60,982
不要
地方公務員法42条は時代遅れ。
2-2
教職員互助会補助金
16,500
要改善
県費負担の職員に補助金はおかしい。
2-3
銀河連邦サガミハラ共和国事業
5,080
要改善
所管の渉外部自身が不要の視点を表明して
いる。相互理解親善は建前だけ。
2-4
魅力ある公共建築づくり推進事
業
360
要改善
再開発事業が無定見な都市には不要。
2-5
さがみはら都市みらい研究所ホ
ームページ運用管理業務
800
不要
研究所の実績向上が先。
2-6
市民意識調査事務
1,400
不要
市が真剣に扱うなら不要でない。
2-7
横浜水道みちサイクリングツア
ー事業
103
不要
そもそも仕分けするテーマでない。米軍住宅地
域の返還と関係ありで、改善に?
改善
2-8
津久井地区小学生宿泊体験事
業
394
不要
30人の児童に見合わない経費だ。
改善
2-9
住宅用太陽光発電システム設
置補助事業
48,000
2-10
青年(高校生)海外派遣事業
33,936
332
仕分け結果と異な
る市の最終決定
民間と競合できない以上、無理に市が抱える
必要は無いのではないか。
いち早く類似事業と統合すべきだ。
廃止:重複する
事業と統合
最終決定で、せっかく残した事業を廃止とは。
45年間もマンネリ化した事業で限界。
類似事業との重複で当然の結果。
不要
改善:1300万
円減額
今のうちに中止を決断しないと膨大な予算とな
り、持続不可能な補助事業だ。
要改善
派遣数が極端に少ない。当然不要。
不要
8月1日実施分
事業
番号
事業名
1-11
峰山霊園公園墓地整備事業
1-12
廃棄物処理施設等ダイオキシ
ン類等測定検査事業
予算額
(千円)
仕分け結果
228,400
要改善
6,181
要改善
本会コメント
市の方針がはっきりしない。有骨者と一般者
の公平性が問題。
仕分け人は、業者にペナルティを課すとか、考
えろと言っていたがもっともだ。
4
仕分け結果と異な
る市の最終決定
The Gallery No. 46
1-13
2010/10/17
11年間実行犯検挙の実績なし。不法投棄対
策を20もの課が扱っているとは、仕分け人も
驚いていた。縦割り行政の典型。
市自身、委託化を認めた。市民仕分け人の質
問は的外れ。不要4、改善1だった。
不法投棄対策夜間警備委託事
業
5,587
不要
1-14
ペットボトル・白色トレイ拠点回
収事業
7,974
不要
1-15
道路愛護啓発事業
7,424
不要
道路愛護の定義が出来なかった。
1-16
歩行空間カラー化事業
16,000
要改善
普及と周知のアンバランスが課題。
1-17
雨水浸透施設設置助成事業
(合流式→分流式切り替え)
1,100
要改善
実績少ない上に、予算も事業内容にふさわし
いとは言えない。
1-18
河川維持管理費(除草業務)
1-19
外国人英語指導助手活用事業
1-20
中学生職場体験支援事業
2-11
28,170
仕分けに出した理由が不明瞭だ。
現行どおり
165,970
要改善
有能な外国人の採用が必至。
785
要改善
(拡充)
無理に継続する意味は大きいのか。
まなびなおし塾(若者の自立・就
労支援事業)
3,222
要改善
利用者が5名でも継続価値があるか。
2-12
公共図書館におけるビジネス支
援事業
992
不要
週に3人程度では事業の意味が無い。
2-13
特産品開発支援事業
700
不要
観光協会の仕事だと一蹴された。
2-14
既存非木造共同住宅耐震化促
進事業
10,800
要改善
診断、改修工事実績たった1件!
2-15
相模大野地区駐車場案内表示
機維持管理事業
10,020
不要
2-16
民間自動車駐車場整備促進事
業
288
不要
2-17
合併処理浄化槽設置補助事業
2-18
44,260
要改善
トイレ水洗化促進事業
3,319
要改善
2-19
津久井生涯学習センター管理
運営経費
7,948
民間
2-20
視聴覚ライブラリー施設運営事
業
4,607
要改善
改善
止めるに止められない国からの紐付補助金事
業。「不要」と言わせたかったか。
利用した建設者2年で2件!「お話を聴いたら、
止めたらいかが、という内容。」と仕分け人
職員は市場価格を全く把握しておらず、仕分
け人が教えていた。
サービスだけが行政の仕事ではない、執行機
関としての責任もあると再認識。
殆どが減免対象の団体の利用だから、収入は
微々たるもの。
改善
なぜ団体をスペシャルゲスト扱いにするのか、
と仕分け人。相模原市の特徴かも。
院教授が、何を訊いても、明確な答えができない職員に
対し、「これまでのやり取りをみると、ここは市長がよくな
い。職員は現場に立脚していない、市場を分かっていな
い。これは市長に責任がある。」と、断言していた。
2日目の第2班の午後1時半すぎ、民間自動車駐車場
整備促進事業のやり取りの間、睡魔に襲われていた時、
突然、コーディネーターの熊谷氏から、「そんな答弁で
は、あなたの質問に対する理解力と判断力を疑います
よ!」との内容の大声が発せられ、皆一様に驚きに包ま
れた。また、その次の合併処理浄化槽設置補助事業の
時は、仕分け人の伊永(これなが)首都大学東京・大学
プロの仕分け人の多くは、知識・経験とも豊富であり、
論理的展開で、質問・追及は鋭いものだった。表情から
窺い知るに、内心「ひどい」と思っていたに違いない。一
方、各班3人いた市民仕分け人は、知識不足から来る自
信のなさゆえか、発言は少なく、質問し追及するというよ
り、市行政に要望する形の発言が多かった。
他市では、事業仕分けが何度も行われている(甲府市は
3度目、すべて公募で選ばれた市民の仕分け人) 。相模原市もこ
れで終わりということはないだろう。市民も次回に備えて
知識を貯えよう。 End
←8月1日、第2班の様子。
5
The Gallery No. 46
2010/10/17
会派の略称:(新)=新政クラブ 16名、 (公)=公明党
8名、(民)=民主クラブ 7名、(無ク)=無所属クラブ
6名、(連)=あすの相模原を築く市民連合 5名、
◎ 多数の発言を載せたく、紙面の都合上、「議員」、「委員」
などの職称を略させて頂きます。ご理解のほど、よろしくお
願いします。
◎ 今定例会より、傍聴前に、住所・氏名を記入することが
なくなった。代わりに、傍聴者」と書いてあるカードを首から
下げることになったが、カードが大きすぎると不評だ。せめ
て、職員と同サイズにし、胸ポケットに入る大きさに改善し
てほしい。
(共)=日本共産党 4名、(創)=創史会 4名、
(無)=無所属 2名 〔議員定数52名〕
について、加山市長は加盟すると明言した。質問内容
はともかく、訥弁での朗読に、公明党席辺りから小林正、長友
議員にいたるまでヤジともとれる私語が多かった。
■ 栗原 大(無ク)出身地域に関する質問で、津久井城
の建設構想については、市は、県と一緒に検討すると
本会議 8 月 25 日、9 月 2, 3, 27, 28, 29,
30 日の 7 日間(感想と意見)
答えた。3年半にわたる市政運営について、この議員
の独自調査として津久井における加山市政の支持率
代表質問・個人質疑
は、60%→40%→80%の推移だとして、大いに持ち
■ 久保田義則(新) 市政における主要課題、平成21
年度歳入歳出決算などに多くの時間を割いたものの、
上げた。以前の政令市を進めた加山市長への厳しい
批判はどこへやら、という感じ。
最後の質問「市長の政治姿勢について」が主眼であ
9月3日
ることは、支援者と見られる傍聴者26名と、異常に多
■ 岩本香苗(連) 冒頭から、中核市としては最終年の
い報道関係記者とカメラの放列が物語っていた。久保
決算にあたるとして、市長の自己評価をたずねたが、
田は、市長としてこれだけのことをなし得る人は他に
当然ながら合併や政令指定都市移行などの成功とい
いないと絶賛、次期市長選に再出馬して欲しい、新
った自慢話を引き出すことになった。宙ぶらりんにな
政クラブ全員が応援すると約束した。市長は、市民の
っている美術館建設問題の進捗を訊いたが、どうも検
皆さんの支持があれば全身全霊で臨みたいと決意表
討委員会も進んでいないようだが、岩本は市民の声
明した。市政を審議する場で“選挙運動まがい”のやりとりを
をもっと聞けと注文した。 事業仕分け問題で、元我
するのは異様な気がする。
孫子市長の福島仕分け人のコメント「市民のニーズと市
■ 加藤明徳(公) 始めに、加山市長が示した「リーダー
がマッチしていない」が印象的だったと紹介していた。
シップと的確な判断力」を強調、久保田義に負けじと
基地問題では、キャンプ座間ゴルフ場に対し、ゴルフ
絶賛した。政令指定都市移行後のシティーセールス
税を課したらどうかとの問いに、市はその権利がない
議論について、イベントを行うだけでいいのかと訊い
と答弁した。 “市民の安全”との建前を繰り返すだけ
たが、市からの回答は曖昧。また、事業仕分けの再検
の笹野渉外部長の答弁はなっていなかった。
討を促していた。自殺者対策での市の答弁から、当
■ 松永千賀子(共) 市政一般についても多岐にわたっ
市の自殺者は平成21年度154人で、70%が40~60代
て訊いた。市が画策するリニア新幹線は2200億円も
の男性だという。
かかることが市民に知られているが、市長は、国家プ
■ 落合芳平(民) 平成21年度市税の減収理由につい
ロジェクトなので国が負担すべきだとの主張を述べ、
て質問。製造業が不況で前年度の2分の1に落ち込ん
だのと固定資産税評価額の低下が影響したとの答弁。
市の負担は無いかのような楽観的な姿勢だった。相
模総合補給廠の訓練支援センターの実情を訊いたが、
今回、当市も地方交付税の交付団体となった。市民
米側が問い合わせに回答をくれないと平然と答弁し
健康文化センター、城山文化施設等、市施設の大規
ていた。
模改修は20~30年経過したものから順番に行うとのこ
■ 大槻和弘(創) 証明書自動交付機を、橋本、相模大
と。県から移譲された橋梁については、157橋あり、現
野各駅に1台ずつとコンビニエンスストアに設置を求
在その改修計画を立案中。平和市長会議への加盟
6
The Gallery No. 46
2010/10/17
めた。来年度の財政見通しの質問に対し、市は、個
ようなやりとりを展開した。新しくできたアリオ橋本の影
人市民税は厳しいが法人市民税が回復基調にあり、
響で、三つの商店会が危惧を抱いていることの対策と
22年度を少し上回る、固定資産税も回復の予想と答
して駅北口のぺデストリアンデッキの再整備、例えば、
えた。市が担うことが相応しい県からのさらなる事務移
野外イベント広場、大型モニターの設置などを求めた。
譲についての質問に、市は、110件程度あるが、県か
質問内容が、市民連合というより商工系の新政クラブ
ら話がなければこちらからは持ちかけられない。話が
的。
くれば、市民サービスにつながるものを優先して進め
2.落合芳平(民) 緑地保全用地寄付について、緑地を
たいと回答。加山市長の市政運営について、大槻は
市に寄付した家族が、どのように活用されてるのか分
80%達成と見るが、最終評価にはマニフェストを見て
からないと言っていると述べた。市長の答弁後の再質
判断したいと述べた。12項目もの質問で、80分は長か
問で、「市長さんがご答弁してくださいましたように、活
った。
用されていると確認しました。」など、自席で訥々と読
個人質疑
み上げる落合を眺める他の議員は嘲笑気味。あやふ
■ 小林正明(無) 例のごとく、質問は1分。(株)さがみ
やな終わりかたに、岸浪議長が「3問目はないのです
はら産業創造センター(SICと略称)の経営状況につ
か?」と確認していた。
いて質問。平成11年4月以来黒字経営を続けてきた
3.大神田日本(新) 旧津久井4町は今後のまちづくりを
が、この不況で経営の困難化は必至なので、市外流
心配している、との視点から様々に質問。地域活性化
出防止のため土地の減額貸付を行ったと市は説明し
交付金を、地域の資源・特色をいかしたまちづくりに活
た。小林は、利益のための減額ではないのか、公益
用するとのこと。どの質問でもワンパターンのように「市
性はどこにあるのか、最初から市の支援を当てにして
の考え方」を訊くのはなぜか?再質問で、Only one、
いてはSICに反する。SICだから公益性があるとは言
都市間競争、都市ブランドなどの流行りの役所用語を
えないことを指摘しておく、と迫力に満ちていた。
並べたてた読みまくりの演説は白々しさ一杯。(自分の
言葉か?)大神田は津久井の他の交通空白地区にも
議案第85号教育委員の選任: 小林政美氏(再選)
実現するか行政委員報酬の「日額制」?
賛成多数で可決。反対は西村(無ク)。
日本の各自治体で、非常勤行政委員の報酬を“月額制から
決算特別委員会 9月3日、16時15分から10分間
日額制にするよう求める住民監査請求”が頻繁に起きている。そ
仮議長(溝渕=決まりにより最長老議員)により、委員長
の請求根拠は、『地方自治法』の第 203 条第 3 項の「議員以外
選出の審議。久保田義則議員が選出され就任。久保田
のものに対する報酬は,その勤務日数に応じてこれを支給する」に
ある。現在ほとんどの自治体ではこの報酬を月額として規定、支
委員長の指名で、副委員長に関山由紀江議員が就任。
払っているのが現状。相模原市も例外ではない。
それぞれが挨拶の弁。型通りの全くのセレモニー。
なぜ、このようになっているかは、同じ条文の中に「但し、条例で
■一般質問■
別の定をした場合は,この限りでない。」とする文章があるからで、
9月27日
条例さえ作っておけば“どちらでもよい”ことになる。多くの法律は条
山下昌一朗議員は体調不良で欠席。
令を作ることで,都合のよい方に持って行ける仕組みである。条例
1.二木栄一(連) 二木と同世代のサラリーマン風の13、
で,法律の主旨が逆転している現状は問題である。
4人を含めた20人あまりの傍聴者がいた。危機管理に
ところで、相模原市は昨年、今年 10 月中を目標に、月額か
ついての質問で、市の桜木が寿命で腐朽が進み、最
日額かの結論を出すむね表明していた。それを検討する「相模原
近倒木事故が起こったことを取り上げ、ただ延命措置
市特別職報酬等審議会」の 10 月 4 日の会合ではまだ結論が出
をするだけでなく、しっかりとした計画を、と迫った。公
ず、もう一度 10 月中に行われる審議会で結論に持ち込むようだ。
共工事の発注については、ゼロ市債での前倒し発注
審議会長は市商工会議所の河本洋次会頭だが、どのような結
をし、市内業者の受注拡大に努めるとの双方に利する
論に導くかを注目したい。
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乗合タクシーを導入したいようだが、導入判断基準で
について、と、実施計画の策定にあたって、との2項目
は、「第一に、地域住民の取り組み」としている。つまり、
の質問であったが、前半はともかく、後半の質問は白
役所任せではダメだということらしい。確かに、そういう
書、事業、財政などを含めて漫然と広く、どこにポイント
時代ではない。
があるのか分からない。実施計画の策定が、職員の目
4.東條恵美子(無ク)災害対策、温暖化防止対策、中学
標となる市がめざす姿とかなんとか。答える部長の中
校給食について質問したが、市長の答弁は棒読み早
にも「ご趣旨がよくわからない」と言う人もいて、もっとも
口で、通りいっぺんの挨拶という感じ。自席から再質問
だと思った。最後に、前回同様、市長に発言を求めた
する東條の顔を見ず目を伏せたまま。一方で、部局長
が、今回の市長は不愉快気味に「職員が市民の幸せ
たちは、細かく丁寧な答弁。東條も、ハザードマップに
を願うのは当然、私心を捨てて市民のために働く職員
ゲリラ豪雨の記述がないと指摘したら、職員がすぐに
であってほしい」との内容を述べた。漠然とした質問よ
対応してくれたと評価していた。CO2 を吸収する対策
り、ピンポイントの質問をしてほしい。
をとの提言に、環境共生部長が森林吸収源保全対策
溝渕議員はどこへ?
を進めると言っていた。弁当持参との併用での中学校
―非難されて当然ー
給食が始まったが、その喫食率を上げる教育長の意
一般質問一日目(9/27)午後から、最後列一番左の席にいる
気込みを、と求められ、立ち上がった教育長は、しどろ
はずの新政クラブの溝渕誠之議員の姿が見えない。名札は立っ
もどろで、目標60%で学校に働きかけていくと語った。
たまま。それに気付いた一市民が休憩時に職員に「どこにいる
5.金子豊貴男(連) 2000年にできた介護保険制度の
のか?」と追及した。その職員は別の職員を呼んで対応したが、
10年を振り返り、山積する課題について質問した。
結局「わかりません」ということで、何の答もない。「わからないな
んて、その議員に万一のことがあったらどうするの?捜さないの
2006年の改正で、家族が同居していると生活援助サ
か?」と強い口調で言ったが、職員は本気で探すようには見えな
ービスが受けられなくなったことや、介護認定を実際よ
かった。
り軽度にし、サービスを受けにくくしたことなどは問題と
結局、名札を立てたまま、溝渕議員はその日帰って来なかっ
指摘。広報さがみはらについては、4世帯に1世帯は届
た。こんな無断早退、会社だったら制裁措置で、繰り返せば解雇
いていない現状への対策を求めた。恒例の基地対策
される。議員にはそれがない、つまり市民が選んだからだ。溝渕
議員に投票した市民は、いくら高齢とはいえ、この議員が頻繁に
では、相模総合補給廠の土壌汚染の件で、日米で作
離席し、私語を繰り返していることを知らないといけない。
成している「日本環境管理基準」は英文のみで、地方
自治体には配らないようだが、市はどうなのかと、現物
9月28日
を見せながら訊いていた。渉外部長は役人答弁に終
8.小林正明(無) 長々しい“演説”を排し、「質問通告一
始。基地監視による金子独自の情報収集を活用して
覧」に書かれた質問事項を1分ほどで読み、降壇した。
質すが、市はいつも国に訊くとばかりで、隔靴掻痒。
このところ耳にするようになった「貧困ビジネス」の実態
6.山崎順二(公) 朗読の仕方から、実にまじめそうとい
を、貧困を食い物にする業者の存在から見極めようと
う印象。釧路市で行われている生活保護自立支援を
していた。昨年の被害相談は5300件もあったらしい。
視察したことから、本市に対して、NPOなどによる中間
注目の質問は、市が提出準備しているという「自治基
的就労の支援で、生活保護者が社会参加できるよう求
本条例」について。中に当然取り上げるであろう「住民
めた。健康保険が適用されない子どもの矯正歯科治
投票条例」への質問では、投票の対象とする重要事項
療やインプラント治療を取り上げた。(国が決めることだ
に、昨年市民から議会に提出された“行政運営制度”
から、今回は問題提起だけとのこと)最後の要望で、若
(市長が、市民の意向を訊くことはなじまないとした重要問題)
者の社会的居場所づくりに期待したいと述べたが、議
などは入らないかを訊ねた。市長は、再び「なじまな
員は期待するだけでなく、自分でも案を出して動くべき
い」と明言し、相変わらず「市長の責任において議会と
立場だと思うが。
の連携をしていく」と述べた。市長は、市民の声は議会
7.野元好美(無ク) 高齢者の暮らしを支える福祉政策
だけだと認識しているようだ。
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9.古内 明(創) 廃棄物施策についての質問で、旧南
県が建物付きの売却を条件としており、市として取得
清掃工場の解体費用が10~11億円かかることが分か
は断念していると答えた。市民農園については、86カ
ったが、跡地についての構想は未定という。新工場が
所あり、応募者は2倍近い。今後、整備していくそうだ。
計画された時点で、明確な計画を用意していないこと
それまで傍聴者が50人近くいたが、ぞろぞろと退出、小野沢の時
に驚く。2年後をメドに4業者とヒヤリングをしているらし
には10人ほどに激減。
いが、要は財源確保の時期にもよるようだ。一事が万
13.小野沢耕一(新) 津久井地区の公園整備、公民館
事、この調子だ。教育行政に関する高校の入試選抜
の改修、狭あい道路の整備、観光振興計画の進捗状
について部活も評価点にするよう質したが、市は地域
況についてなどの質問に対し、市側からは、意見を聞
活動も加えるよう県に要望すると答えていた。
き、時期は早く決める、来年改修計画を作る、地域住
近頃市長が答弁の前後に大げさに低頭する姿が目立つ。答弁
内容のぶっきらぼうさとの落差が気になる。
民と協議しながら進める等で、具体的返事は皆無だっ
た。
10.栄 裕明(公)(ここから議長席に菅原副議長が着席した。岸
14.長友義樹(無ク) 政令市になってからの街づくり、職
浪議長にどんな「事故」があっての交代だったのか、議長の議事堂内
員の意識、教育長の方針についてなど質問。市の答
不在の原因を議会事務局はきちんと把握していなかった!法規・条
弁は、ハローワーク周辺の渋滞の対応について、平成
例を唯一の行動基準にする職員は地方自治法第 106 条を見よ。)
16年以来開催されていなかった合同庁舎懇談会を再
「ブランド戦略」についての質問で、“全国一”が大事だ
開して検討するとのこと。職員の意識について、長友
との観点から、JAXA の宇宙探査と東海大相模高の準
は選挙の期日前投票の投票日が場所によって異なっ
優勝を挙げ、これを今後も引き続きしっかりやって欲し
ていたことを取り上げ、「ご注意下さい」と書いてすませ
いと強調した。(これらは市の実績でもない。行政の立派な施策
るのではなく、もっと分かりやすくするようにと要求した。
や市長の名声で、相模原の知名度を上げていくのが本来のあり方
優秀な教員を本市に集める方策を質したところ、教育
ではないか)「消防団の充実」では、栄は施設の老朽化へ
長は多様な試験をするようにしたいという訳の分からな
の対応や効果的な団員の勧誘を求めたが、市は募集
い答だった。久しぶりに、議員に市行政が追及され、その弱
を農協に頼んだり、消防車にステッカー、施設シャッタ
体ぶりが露呈したのを見た気がした。
ーに募集ポスター等の策を挙げたが、本当は団員へ
15.寺田弘子(新) 県の高校の状況について質問。入
の待遇改善が必要ではないのか。
学者は減少しいるが問題児は増加している。対策とし
11.折笠峰夫(新) 魅力ある公園づくりについて質問。
てテストなしで学べるクリエイティブスクールの発足、単
本市には現在 576 公園あり、今後大公園の整備に力
位制高校、4年間で修了する多部制定時制高校、他に
点をおき、拡大するとのこと。基地対策の質疑で判明
通信制高校を設けているが、それでも今年、特別教育
した、南区の米軍住宅地域に新たに 218 戸建てられて
を受ける生徒が2000人増加しているそうだ。市長の見
いることはあまり知られていない。15kmある横浜水道
解を聴きたいとの要請に応じて、市長は、市としてもで
みちを市民の散歩コースとして返還交渉を国と米軍に
きる限りの支援をしていくと答えた。成年後見制度につ
対し求めていくと市は回答した。
いては、分かりにくいので、講座を開くなどPRを計画し
「横浜水道みちサイクリングツアー事業」は、事業仕分けで「不
ているが家裁にまず相談することを奨めるとのこと。中
要」となったが、市が「改善」に変更したのは、この関連か。
高生の居場所づくりとして、こどもセンターの夜間利用
12.河本文雄(創) 登壇して開口一番、傍聴席に向かっ
を可能にするため、常勤の職員配置など諸条件の整
て、「足場の悪いなか多勢の傍聴ありがとうございます」
備に努めるとの市からの前向きな答弁を引き出した。
と挨拶した。(ここは後援会の集まりじゃないですよ) 子供と
焦点を絞った具体的で実のある質問内容だった。
若者への施策についての質問に、市は児童相談所、
9月29日
更生相談所は3年以内に市独自のものをめざして努力
16.小池義和(民) この人の早口にはメモもついて行け
していると回答。高等職業技術高校跡地については、
ない。人を説得しようと言うより、用意した原稿を早く読
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んでしまおうというつもりか。「省エネ対策による公費節
いての質問に、市は、全署に特別救助隊を配置すると
減」を訴えるために、統計調査を披瀝した後、京都市
答えた。前々回の定例会で質問した地元の課題(キャ
の学校が取り組んでいる方策やドイツでの例まで挙げ
ンプ座間のゴルフボール飛び出し)が未だ解決してい
ていた。ESCOという聞き慣れない略語を紹介、省エネ
ないことを取り上げたが、市は、ここまでやったので後
の本丸とばかりに導入を市に訴えた。ちなみにESCOと
は基地を提供している国がやるべき事という理屈を述
はEnergy Service Company、要は企画/設計/施
べていた。質問に覇気が感じられなかった。
工を提案した先の企業がその結果改善したエネルギ
21.大沢洋子(民) 市の友好都市との交流について質
ー効率から得られる利益の一部を稼ぐ会社のこと。
問。現在中学生中心の交流を行っているが、今年は
17.竹腰早苗(共) 自力でゴミを出せない高齢者の支援
無錫市、来年はトロント市と交流 20 周年を迎えるので、
について、横浜市では「ふれあい収集」の名の下にす
特産品の交流を考えたいとのこと。アンケート調査では
でに始めていると紹介、相模原も努力すべきと提言し
30%が文化交流を支持しており、市民が主体の交流と
ていたが、答は「検討中」とのお座なりの答弁。住んで
の提案に前向きの姿勢を示した。
よかったと言われるまちにいつなるのか。今年の猛暑
22.小林一郎(公) フォトシティ拠点施設について質問。
に絡み、普通教室への冷房設備の整備を求めたが、
この 10 年間で 2300 点が集積され、専門収蔵庫、写真
410教室が騒音や臭気対策ですでに実施済みだが、
教室を開くなど、今後検討すると市は返事。子育て支
全体の20%でしかないと明かされた。
援については、児童虐待防止には、米国での防止方
18.阿部善博(新) 今回は得意分野のITには触れず、
法(CSP)が有効とのことで、市は、今後検討するそうだ。
身近な生活環境面からの質問を行い、市民向けキャン
福岡市で小中学生の理科教育に効果を上げている教
ペーンの実施の一例として、市長が浴衣姿で打ち水を
育用ロボットキットを平成 24 年より採用するとのこと。
するところを見たかったなどと、なにやら市長を喜ばせ
総合誌・月刊『テーミス』に本会活動の紹介
るのが目的のような話。冒頭、相模原には先進的な事
業や市民主体の事業が行われていると、世評とはまる
“正義と公平と感動”を編集のモットーとする直販式定期購読
で違った感想を述べているのも気になった。他に民生
制(店頭では販売していない)の『テーミス』9月号の連載「地方
委員や消防団員の“なり手不足”をあげ、対策を求め
自治改革の実態⑦」に本会の活動が紹介された。記事の見出し
ていたが、こちらの方こそもっと議論すべきだ。市長礼
は「地方議会の怠慢と税金の無駄遣いを暴く」で、取り上げてい
賛は時節柄、自粛してほしい。
るのは本会の「議員の通信簿」発行と議会定例会毎に発行する
19.菅野通子(共) (毎度同様の質問内容だが)弱者へ
広報紙 The Gallery(傍聴席)」。 議会ウォッチングを始める
の視点を忘れないこの議員らしく、国民健康保険制度
市民グループが増えているが、その“先駈け”が本会であること、広
の改善として、保険証に替わる「資格証」の交付に異議
報紙での報告のためには市議会の本会議や常任委員会を傍聴
を唱えていた。また、生活保護制度の申請手続き、わ
していることが紹介されている。
かりやすい支給明細書、医療証などの発行のほか、不
記事ではまた、全国の地方自治体議会で問題続出の「政務
合理な葬祭扶助、夏期加算など、受給者の立場をもっ
調査費」の不適切/破廉恥な公費支出についても触れており、
と考慮するよう注文した上で、役所はいわゆる「行政用
都内に拠点を置く「開かれた議会をめざす会」の代表・奥山たえこ
語」を止めて、市民にわかりやすい制度の説明をすべ
杉並区議会議員が語る実態報告なども載っている。ちなみに本
きだと質問を結んだ。
会の赤倉代表と渡辺副代表もこの「めざす会」のメンバーとして活
20.稲垣 稔(新) 質問のほとんどを地元の課題で埋め
動している。多額の報酬を受け取っている地方議会議員が、議
ていた。平成 24 年の完成を予定されている圏央道のイ
会の本旨に沿わず、自治体行政の予算作成や実施事業の的
ンターチェンジに寄せる期待は大きいらしく、「当麻地
確なチェックを怠っているとしたら、市民の厳しい視線はますます厳
区整備事務所」を市が強力に支援していることを“喜ば
しくなっていくだろう。
しい”と市長を持ち上げていた。消防力整備計画につ
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23.佐藤賢司(新) 市内企業の景況について質問。市
昨年280件、今年は現状320件受付済み、これを扱う業
長は、この円高とデフレで厳しく、特に建設はさらに悪
者の半分が市内で雇用増にも役立つので、より高い目
化する、今まで緊急経済対策を 6 回行ってきたが、今
標を設定したいと、市は答弁した。
後は低金利融資を特に建設へ向け、若者の就業支援
◆さがみはらフェスタ(相模原補給廠にて2日間開催)に
に力点を置きたいと答えた。市内業者へは委託業務
は30万人を集め、展示会等いろいろなイベントを計画、
補助金、業務の市内切り替えを、横浜市を誉めながら
予算1500万円を計上し、実行委員会の形式で警備費、
要請した。市長再選のため、建設業者に加山支援を促す目
設備費がかかると市は説明した。
◆陳情第16号(市営峰山霊園の公募について)は、これ
的でした質問か?
☆ 紙面の都合により、本会議最終日(9 月 30 日)の委員
まで公開抽選で決めていたが、この陳情では、ポイント
長報告および採決に関する傍聴報告を割愛しました。
制にして、応募回数に応じてポイントの高い人が当選す
る方法の提案だが、市は5年以上の書類保管は困難と
■委員会■(感想と意見)
いうことで、本陳情は不採択。
総務委員会 9 月 7 日
 決算特別委員会 環境経済分科会
◆市民の高負担が懸念されている来年5月期限の「火災
始めの37分間は行政の予算説明。◆商業実態調査事
報知器」設置については、阿部(新)の質問から、7月
業として、買物行動調査の結果、1番に価格、ブランドは
現在の普及率は 46%に留まっていることがわかった。
減少、衣料はデパートで減少、町田へ行く人が減り、市
小林一(公)の、高齢者は自分で設置できないのではと
内が増加、西門広場では公募型運営に活性化が見られ
の意見に、市は今年中なら、市の防災協会が手伝うと
たと報告。◆ゴミ問題については、ゴミの出し方のパンフ
の回答だった。
を31.5万冊配布したが、コールセンターに月6000回の
◆麻溝台にある健康文化センターの改修工事の件(空
調設備込み、契約金額は計 7.79 億円)では改修後に、
屋内の広間が部屋割りされるなどの変更で、意見や質
問合せが入っている。 美化指導員、現在6名、不法投
棄防止パトロール、ゴミの回収、路上喫煙を禁止(条例の
強化で実施)橋本、相模大野で今まで5000人以上を指
問が出された。各スペースの料金、工事中の代替施設
導。◆農業担い手事業として、手伝い3年間コースを平成
への輸送の有無、環境への配慮、屋上の利用問題、
7年から始め、460人が修了し、1500人以上が応援、好評
等々の質問に,的確な回答が出来ない市に対して、古
内(創)からは、「内容が充分に検討されていないのに,
議案の審議を求めるのには違和感がある」とのもっとも
な苦言が出された。しかし、市は「契約は市長の権限で、
を得ている。◆その他、商業街にぎわいづくり、チャレンジ
ショップ支援、フィルム・コミッションについて現状報告が
あった。
9月9日
3億円以上の案件だから提出した。工事内容や使用料
民生委員会
などは,この契約が OK されたところで、条例を提出す
◆9 時半の開始時間から陳情提出グループの 8 人が入
室していた。通常「陳情」の審査は最後に回されるため、
るのがルールだ」と説明していたが、納得し難い。
陳情者はじっと待つことになる。審査が始まったのは午
環境経済委員会 9 月 8 日
前 10 時半、12 時 2 分、陳情第 14 号(平成 23 年度に
◆(株)さがみはら産業創造センター(SIC)の件の質疑
おける障害児者・透析者を含む移動困難者に対する通
で、市は、公益法人より株式会社方式が適当、平成17
院支援について)は“不採択”で終わった。審査を見守
年以降売上は伸びているが、利益が減っている。現在
っていた関係者には疲れが滲んでいた。審議では,賛
コンサルタント等で収入があるが従業員の給料は年俸
成派は野元(無ク)、金子(連)、竹越(共)が討論、反対
制で他と比較して低い。年1回の経営状況を把握してい
は沼倉(新)、栄(公)、河本(創)、渡辺(民)が発言した。
るが市の税金を使っているので法制当局と相談して総
この審議の最中、議案の取り扱いに関する相談のため
会資料を議会に提出する、と答えた。賛成多数で可決。
の“休憩”の際、ハプニングがあった。
◆太陽光発電については、平成13年に130件だったのが
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休憩時には、マイクを通さずコソコソ話が慣習だが、野元委員は、
が訪れるということで、菅野(共)は、博物館を文化の象
「マイクを外して」と言う事務局員の“お節介なアドバイス”を遮り、
徴、市の誇りとして活かしてほしいと述べた。八木(創)
「自分の考えを傍聴者にも聞いてもらいたい」と言って、勇敢にもマ
は、小学校用英語教材用ソフト開発の経緯を問い、市
イクを使って発言、私たちは驚きと感動で「あっ」と言った。その間,
は、文部科学省の公募に応募したと答弁。その補助金
大上委員長は制止することもなかったので、野元委員の意見に
活用が今後にどう活かせるのか、応募はよく考えてしな
耳を澄ますことが出来た。このような委員の存在を誇りに思う。
いと!と批判的。(紐付き要注意ということ?)佐藤(新)、機
◆第 79 号議案(神奈川県後期高齢者医療広域連合規
器類の導入より、使いこなせるように先生の研修が先の
約の変更に関する協議について)は、こぞって負担金
はず。大型テレビと台で196,000円、電子黒板など全校
増額を聞いたが、年間 410 万円も。その上、相模原市
に入れる必要はないと批判的。先の2人に比べ、後に発
は同連合スタッフ 48 名のうち 3 人を派遣している。
言したの加藤(公)、須田(新)、溝渕(新)の3人は市の
2008 年から始まった広域連合だが、組織運営自体に
方針を評価し、好意的な意見を述べた。
もじわじわと負担増が見えて来た。特別会計について
◆陳情第9号(義務教育費国庫負担制度存続と教職員
は、栄(公)の発言「何度聞いてもわかりにくい」と言うこ
定数改善計画早期策定を求めることについて)は前回、訳
ともあって、討論は勿論、特記すべき審議は聴けなか
のわからない議論のあげく継続になった陳情だが、今
った。
回は総員賛成で採択。あれは一体何だったのかと思う。
建設委員会
9月10日
決算特別委員会 文教分科会
6議案の審議が行われたが、条例の改正は第7号(自
転車駐車場条例)の一つだけ。あとは工事請負契約2件、
教育予算の不用額が一般会計へ7億円も戻される。計
市道の廃止・認定と平成22年度一般会計補正予算で,
上した分は有効に使うべきだとの西村(無ク)の指摘に、
計1時間51分かかった。
教育委員会は、仕組みを検討中と答えた。菅野(共)は
◆工事請負契約の一つは「緑区若柳/内郷の市営住宅」
公民館について、予算減で館報が手刷りになった。活動
だが、7カ所に分散している市営住宅を,新たに1カ所
推進員の雇用は5年間、再契約できても10年まで。若者
に集合させるものだが、質問は学校のそばの遊休地や
の働く場としてはどうなのか?と追及した。加藤(公)が図
傾斜地、7カ所からの移住は大丈夫か、民間と比べて施
書館費、未返却について(加藤は毎年この質問をする)ルール
設がよすぎないか、他の候補地は無いのか、など当然
が改正された成果を問うたところ、21年度は500冊分72万
市側が検討済みの事項の質問が多かった。
円が減ったが、まだ2368冊の未返却があるほか、除籍な
知人の建設業者の話では、工期の長短が利益の多寡を決める
というが、その視点からの発言は何もなかった。相模原市の工
事契約は大丈夫か。
どによる損害額は約4,000万円になると判明。(他、直接
決算と関係ない質問は割愛)
◆もう一つの工事契約は「鳥屋/川尻間の吊り橋(三井そ
決算特別委員会
よかぜ橋)の改良工事」。耐震基準が昭和55年のもの
平成21年度の一般会計歳入歳出決算を中心に、10
か、平成14年のものかでやりとりがあったが、答弁には
の特別会計の歳入歳出について総務、民生、環境経済、
っきりしたものがなかった。関山(公)は、橋が揺れやす
建設、文教の5委員会の委員長がそれぞれの分科会で
いが、欄干の高さは大丈夫か、など業者が当然クリアー
なされた質疑や議論の結果を報告した。大神田(総務)、
しているような質疑に終始した。
大上(民生)、角尾(環境経済)、石川(建設)、二木(文教)
このあと、「決算特別委員会建設分科会審査」が,引き続き行われ
たが、委員長が、各会派委員は1時間ぐらいの目処でまとめるよう要
請していた。傍聴に堪えられない内容と見て、退散した。
文教委員会
9 月 24 日
がそれぞれの所管部分について報告した。最長 20 分
(総務)、最短 8 分で、平均 12 分の報告のあと、報告への
質疑や討論を決算委員長から促されたが、唯一、栗原
9 月 13 日
(無ク)が、「質疑ではないが意見を言いたい」と立った。
◆議案第82号(平成22年度一般会計補正予算(所管部
会場から、「質疑じゃないとだめだ」との声。そこで、委員
分))賛成総員で可決。 博物館には毎年10万人以上
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長が「質疑としてならよい」との許可が出て栗原が発言し
阿部委員長から、「来年の選挙で委員もかわる。今日の
た。栗原は、委員長報告の中には委員が出した質問は
意見を残す形で、結論は来年4月以降にまかせ、ここで
報告されても市側の回答が無いので正しい報告とは言え
終了させたい」と提案、全員が賛成して終わった。
ない、と述べていた。委員長は「後日議会運営委員会で
「その他」議事として、野元(無ク)から、同僚議員(栗原)
協議する」としてその場を処理した。
が、決算特別委員会で不適切な発言をしたので、謝罪し
ところで、この決算委員会報告は果たして実施する意味があるの
たいとの発言があった。つまり、栗原が、久保田義委員長
だろうか。通常の常任委員会の本会議での報告との違いがはっきり
(新)が「質疑」を求めたときに「意見」を言いたいとして議
しない。また、この決算委員会報告の結果を認定した場合、議会
事を混乱させたことを謝罪するというもの。しかし、栗原の
最終日の採決の前に質疑が出るはずがない。また、予算の実施が
発言内容は、前述のとおり、真っ当なものだった。むしろ、
どうだったかを精査、反省している雰囲気が感じられないのである。
そのためか、最後部に着席していた長老組が私語を繰り返していた
決算委員長が「議運委で検討する」と明言していたのだ
り、居眠りする議員が居たのが、傍聴者には大いに気になった次第
から、少しは議論すべきでは無かったのか。結局、うやむ
である。
やで終わった。
もう一つの議事は、須田(新)から「決算委員会で携帯
議会運営委員会 9 月 24 日
電話が鳴った」と苦言、小林の(民)の名前は出なかった
午前 11 時 03 分から開催されたこの会の議案は「『市
が、角尾(民)から謝罪、今後は厳重にルールを守るよう
議会だより』のカラー化について」だった。これは年間5回発
徹底すると約束した。市民の傍聴ルールに厳しい議員たちな
行される『市議会だより』を,現在の2色刷りをオールカラ
のだから、自分たちに対してもしっかりしてほしい。 End
ーにして、市民の議会への関心を高めようとするのが目
的だという。そのための印刷費が年間 190 万円の増額に
なることで、賛否が分かれて、かなり意見が出たが、突然、
区民会議は何が目的か?
市内3区で 7 月 30 日から一斉に始まった「区民会議」。
議は,地方自治法第 138 条4の第3項に規定する市の
この日行われた会議では、3区で会長と副会長を 25 名
付属機関との位置づけで、具体的には諮問・調査のた
の委員から互選した。そこでは、各区長から会長に対し
めのもので、会議の役割としては、「調査審議」と「建議」
て、“区のまちづくりの方向性などを定める”「区ビジョン」
(何と古い言葉!もともと明治憲法時代、議員が政府に
の策定についての諮問書が手渡された。
意見や希望を述べること)となっている。
当日委員に配布された資料は次のようなものが含まれ
地方自治法による市の付属機関だが
ていた。
その後9月に入って、各地で第2回目の区民会議が開
1.
今後 10~20 年の社会/経済の動向予測(4P)
催された。そこで何が行われたか。中央区で開催された
2.
国の施策の動向(4P)
会議では、平成 24 年の6月を目標にした「中央区ビジョ
3.
相模原市中央区を取り巻く動向(社会基盤の変化)
ンの策定」完成までの行事予定が知らされた。主な行事
(18P)
やはり、お膳立て会議か?
としては、①区内の視察 ②市長との懇談会 ③先進市視
察 ④区民からの意
この中には、相模総合補給廠の返還、小田急多摩線
見 収 集 ⑤市 長 へ
の延伸、さがみ縦貫道(圏央道)のインターチェンジ開通、
の答申 ⑥市長との
リニア中央新幹線のルート確定/着工、キャンプ淵野辺
懇談、であった。
留保地の整備、など、すでに市民に公知の事業が説明
そもそも区民会
されている。言わば、区のビジョンを固定するような計画
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がすでに盛られている。これらの推進策を審議するのか、
区(市)がすべてお膳立てして、区民会議という名の“追
それともこれらの計画の諾否を審議するのか、また何か
認機関”を設け、市長の言う「住民主体の行政」を証明す
真新しいアイデアを加えることを期待しているのかはっき
るつもりだと断定せざるを得ない。たまたま会長に就任し
りしない。
た各地区の大学教授たちが,どう市民側に立って会議
区民会議の庶務(事務局)は区役所が担当する以上、
を導いていくかを注視したい。 End
地方議員年金の廃止へアクション!
8月21日(土)、名古屋駅近くの「ウインクあいち」にて、
地方議員年金廃止の集会が行われた。
第一部の基調講演は、河村たかし名古屋市長が話を
した。常日頃TVニュースで見ている顔と声で、市長が選
挙で公約したこと(減税)を実現しようとしても、議会がそ
れを阻む現状を憤っていた。地方議員年金に関しては、
日本は議員で飯が食える唯一の国、つまり政治を職業
にしているが、政治をやる人はボランティアでやるべき、
議員は国民と同じ暮らしをすべきであり、別枠で年金制
左より、岩崎 四日市大学教授、三谷 三重県議会議長、出口憲
度を設けていることが間違っていると言っていた。
二郎 小松島市議会前議長、奥山たえこ 杉並区議会議員
第二部は、岩崎恭典四日市大学教授をコーディネー
とが、参加していた大和市選出の神奈川県議から報告さ
ターに、3人のパネラー:三谷哲央氏(三重県議会議長、
れた。議員であっても自分の年金制度について知らない
三重県議会は議会改革を進め、定例会をなくし通年議
者が多いというのは、こういう理由にもよるようだが、それ
会としている)、出口憲二郎(徳島県小松島市議会前議
は大きな問題だ。会場も含めていろいろな人が発言して
長、全会一致で廃止の意見を提出し、一時期、定数19
いたが、特に、小松島市の出口氏が、「市議会議長会が
のうち7人が掛金の支払いを拒否した)、奥山たえこ氏
足りない分はすべて公費(税金)で賄うように」との結論
(東京都杉並区議会議員、議員年金を廃止する市民と
を出したことに対して、「政治家としてあるまじきこと、議
議員の会世話人)、が壇上にて話をした。また、廃止の
会の自殺行為だ」と言っていたのが印象深い。
意見書を提出した6議会からの報告もあった。ちなみに、
総じて、良い話し合いができたが、コーディネーター
相模原市から岩本香苗議員が参加し、神奈川ネットによ
の岩崎氏が、地方議員年金について熟知していなかっ
る廃止の取り組みを報告
たことが災いし(前号で紹介した渡部記安氏の『中央議
した。
会(国会)・地方議会議員年金制度-国際比較からの考
来年度には積立金が
察』を読んだくらい)、集会の方向性が曖昧となってしま
枯渇する地方議員年金
った。そのせいか、主催者が地方議員年金廃止に向け
の問題に対する総務省
ての決議文を読み上げたものの、参加者からの拍手が
の案に関し、議長会から
得られなかったことは、盛り上りに欠ける残念な終わりか
各議会あてにアンケート
たとなった。その後の懇親会では、主催者と参加者一部
が渡されたものの、各議
が残り、反省と今後の活動について熱く語り合った。
員へ伝えられなかったこ
地方議員年金を分かりやすく説明したパンフレット。
希望者にはメール添付にてお送りします。
報告:渡辺登志子 本会副代表
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クオータ制実現への道
議会改革の決め手はクオータ制
うだるような猛暑の 8 月 29 日、埼玉県嵐山町にあ
る NWEC(国立女性教育会館)で開催された「進め
よう!クオータ制」と題する会議に参加した。主催
は、全国フェミニスト議員連盟で、2 時間におよぶプ
ログラムは熱気あふれる元気な女性たちの議論が続
いた。70 人ほどの参加者のうち男性は私を入れて 6
名、少々居づらい雰囲気ではあったが、参加してよ
かった。この会議に出席したキッカケは、山口県岩
右から2人目の垂れ幕を持っているのが勝又さん、一人おいて、
国市に住む、何年も本紙 The Gallery の読者とし
白いTシャツが三井さん、ただ1人の男性が赤倉代表
て、激励やアドバイスを送ってくれている勝又みず
イのように、男女一方の議員の数が40%を下がらな
えさん(全国フェミニスト議員連盟)からの紹介に
いという制度で、すでに1980年代から制度化されて
よる。日頃、彼女が訴え続けている「クオータ制」
いる。ちなみに日本では、市区町村全体においては、
の勉強をしてみたいと思った。
1754議会中、417議会(約24%)が女性議員ゼロだと
会議のプログラムは、まず勝又さんの基調報告「日
言う。また、衆議院議員での女性は11.3%で、世界
本の政党のクオータ制について」から始まり、続い
186カ国中121位という実態だ。相模原市議会は19%
て関東学院大学法学部教授・糠塚康江さんの「フラ
で、全国都道府県内の全市町村議員平均値10.9%よ
ンスのパリテについて」
、そして女性政策研究家・三
りはマシ。ただし東京都は最高で23.1%、2位は神
井マリ子さん(元都議)の「北欧そして世界のクオ
奈川県の20.1%。こうした数字を見ると、いま男女
ータ制について」
。
共同参画社会を唱える国も地方議会も、議会改革に
目標に程遠い日本の現状
は何をすべきか分かると思う。
クオータ制とは、簡単に言えば、例えばノルウェ
報告:赤倉昭男 本会代表
全国市民オンブズマン富山大会報告
赤倉代表が議会改革でパネラーに
毎年恒例の「全国市民オンブズマン全国大会」が 9 月
ラー故障のうえに熱い議論でいやが上にも室温は上がる
4 日と 5 日、富山市の富山県民共生センター「サンフォル
一方、70 人近い参加者の中には、たまりかねて他の分科
テ」で開催され、本会の赤倉代表が 4 日に行われた分科
会に移った参加者もいた。
会「議会改革シンポジウム」のパネラーとなった。他のパ
具体的には政務調査費問題、陳情・請願の扱い、議
ネラーは、東京財団研究員・元北海道栗山町議会事務
会報告会、二元代表制なども、参加者の意見も交えなが
局長の中尾修氏と、議会ウォッチャー・仙台世話人で弁
ら議論された。
護士の小野寺信一氏で、3 人はそれぞれの立場(中尾氏
改革の壁と打開策の提言
は議会内部から、赤倉、小野寺両氏は議会外部から)で
赤倉代表は、“議会に自主改革は出来ない”とする持論
「議会改革」の“実効的方策と次の一手”を語った。コー
の理由に次の事項を挙げた。
ディネーターは小野寺氏と同じ活動仲間の弁護士・千葉
① 前例主義と慣習重視の風潮
晃平氏。猛暑の最中なのに特設会場は前日からのクー
② 既得権への執着
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③ 発揮できない議長のリーダーシップ(順送り就任)
④ 特権意識と権威主義
⑤ 市民軽視と閉鎖性
⑥ 市民の監視不足
さらに、抜本的打開策としては、将来の課題でもあると
して、次の方策を挙げた。
① 政務調査費全廃と議会特別政務調査部の設置。
② 地方議員選挙出馬資格検定試験制度の創設。
③ 議員報酬の当該自治体職員平均給与との同一化。
④ 議会議員のクオータ制(男女いずれかの性が 40%以下
にならない制度)。
パネリストの3人、左から元北海道栗山町議会事務局長の中尾修
氏、本会の赤倉代表、議会ウォッチャー仙台・世話人で弁護士の
小野寺信一氏
⑤ 議員定数の半数を選挙で、残余の半数をボランティア
議員で構成。
企画部らと並列の「議会部」とでも呼称したら分かりよい
のではないだろうか。つまり、各部門が作る「予算案」を、
“脱官僚”は地方議会にも必要
市長の配下としての議会部がまとめて「実施案」とする仕
議会改革と言えば、首長の反問権、一般質問での一
事と位置づけてもよい。議会という議決機関が独立せず
問一答、議会報告会の開催、議員間の自由討論、陳情
行政機構の一つになっているのである。国の政府が“脱
者の意見陳述実現、等々、すべて当たり前のことばかり
官僚”というなら、地方議会こそ脱官僚であるべきだ。
が話題になるが、もう聞き飽きる。要するに“当たり前のこ
と”をやろうとしないばかりか、議会の運営まで、議会事務
局のサポートなしにはなにも出来ないのが今の議会であ
る。もっと言えば、地方議会は市長部局の一部門に成り
下がっていると言うことである。例えば、市民部、経済部、
しかし、そうした事態を招いてきたのは、市民の責任だ。
市民としての知る権利を自覚せず、長く議会に対し何も
発言してこなかった罪は重い。今回、北陸/富山大会に
参加、議論して、議会が「典型的な閉鎖社会」であること
を、改めて認識してきた。
報告:赤倉昭男 本会代表
【本会に寄せられたメール】
はじめまして、私は南あわじ市(淡路島)に住む者です。ネット
内で、「相模原市議会をよくする会」の活動を知り、皆様方の勇
気に感動しております。私たちは市議会と執行部には呆れて、
今回新庁舎建設問題から、住民投票条例の請求のための署
名活動を行いました。これからの運動を続けていくために、「相模
原市議会をよくする会」の活動を参考にさせていただきます。
活動資金など少ないのですが、住民に訴える折込チラシなど
も発行しております。貴会の広報紙『The Gallery(傍聴席)』
を、大いに参考にさせていただきます。
波戸賢一
「新庁舎は住民投票で」市民の会 会員
編集後記:左記は淡路島からのメール。突然、遠くから来る便り
が本会の活動と本紙The Gallery を讃えてくれるのは嬉し
い。だが、自治体政治を嘆き憤る姿は私たちと少しも変わらな
い。◆市民参加と言うのは、市当局にとっては、団体市民のこと
で、個人市民ではないということが、事業仕分けの時、仕分け人
が、「なんで団体をスペシャルゲスト扱いにするのか?」と言ったと
きにようやくわかった。厚遇されている団体市民と、しがらみなく各
自の意志と責任において行動する市民では、考え方が大きく異
なってしまうようだ。仕分け人に気付いてもらえたのは良かった。
個人市民なら事業仕分けもできそうだ。
□入会申込書□
私は会の趣旨に賛同し入会します。
<入会金不要>
(A、Bどちらかに○をつけてください。)
氏名
A. 会員(傍聴など活動する)として
住所
B. 賛助会員(購読、支援する)として
電話・FAX
(渡辺)
○年会費(会員2000円、賛助会員1口1000円から)
★郵便振込口座番号:00280-6-48430 相模原市議会をよくする会
★申込み先:相模原市議会をよくする会・事務局(代表/赤倉昭男)
〒252-0314 相模原市南区南台5-13-8 電話・FAX 042-749-9140
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http://yokusurukai.main.jp
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