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IMO MSC95 審議結果

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IMO MSC95 審議結果
External Affairs Division
Vol. 18
(18 Jun 2015)
IMO MSC95 審議結果
2015 年 6 月 3 日~12 日にロンドンの国際海事機関(IMO)本部にて開催された、IMO 第 95 回海上
安全委員会(MSC95)の審議概要をお知らせします。
なお、本速報は、本会出席者からの非公式な情報及び議場で配付された Working Paper をもとに、
速報性を重視して作成しておりますことをご了承願います。
ード 17 章の新設及び同コードを強制化するため
の SOLAS 条約 II-2 章 18 規則の改正
1. 採択された強制要件
今回の会合で採択された主要な強制要件は以下の通
りです。
(2) 自動スプリンクラーの管内腐食や閉塞を防ぐため
に水質管理を実施する FSS コード 8 章の改正
(1) ガス又は低引火点燃料を使用する船舶の安全に
(3) 旅客船に 対 し避難解析の 実施を 強制化す る
SOLAS 条約 II-2 章 13 規則の改正
関するコード(IGF コード)
(概要) IGF コードの制定並びに同コードを強制化
するための SOLAS 条約 II-1 章及び II-2
章の改正(下記 3.参照)
(適用) 2017 年 1 月 1 日以降の建造契約船
2017 年 7 月 1 日以降の起工船(建造契約
がない場合)
2021 年 1 月 1 日以降の引渡し船
2017 年 1 月 1 日以降の改造船
3. ガス又は低引火点燃料を使用する船舶の安
全に関するコード(IGF コード)
IMO では、2009 年に発行した「天然ガス機関を使用
す る船舶の安全に関する暫定ガイドライン(決議
MSC.285(86))」をもとに、2010 年からガス又は低引
火点燃料を使用する船舶に適用する強制コード(IGF
コード)の策定作業が行われてきました。
(2) 貨物タンクの通気装置
(概要) 貨物タンクの通気装置の二次的手段とし
て各貨物タンクに P/V 弁の設置を要求す
る SOLAS 条約 II-2 章 4 規則及び 11 規
則の改正
なお、各貨物タンクに圧力センサーを設
置する代替措置は引き続き認められる。
(適用) 2017 年 1 月 1 日以降の起工船
今回の会合では、MSC94(2014 年 11 月開催)で原則
承認された IGF コード及び同コードを強制化する
SOLAS 条約 II-1 章及び II-2 章、IGF コードの義務化
に伴う STCW 条約及び STCW コードの改正が採択さ
れました。
IGF コードの構成及び概要については、表 1 をご参照
下さい。
(3) 雰囲気管理装置
適用については、2017 年 1 月 1 日以降の建造契約船
(建造契約がない場合は 2017 年 7 月 1 日以降の起工
船)並びに 2021 年 1 月 1 日以降の引渡し船、及び
2017 年 1 月 1 日以降にガス又は低引火点燃料を使用
するために改造を行う船舶に対し、IGF コードを適用
することとなりました。
(概要) 雰囲気管理装置を導入した場合における
RORO 区域等の換気回数を減らすことを
認める SOLAS 条約 II-2 章 20 規則の改
正
(適用) 2017 年 1 月 1 日以降
なお、今回採択された IGF コードは、天然ガスを燃料と
して使用する船舶に対する詳細要件が規定されていま
すが、今後、メタノール、エタノール及び低引火点燃料
油を燃料として使用する船舶に対する詳細要件を取り
入れるため、貨物運送小委員会(CCC)で審議が行わ
れる予定です。
2. 今回承認された主な強制要件
以下の改正案は、MSC96(2016 年 5 月開催予定)に
て採択される見込みです。
(1) ヘリコプター施設の泡消火装置に関する FSS コ
1/4
4. 大型コンテナ船の安全対策
6. 各種ガイドラインの承認等
2013 年 6 月 に 発 生 し た 大 型 コ ン テ ナ 船 「 MOL
COMFORT 号」の事故を契機に、日本政府は「コンテ
ナ運搬船安全対策検討委員会」を設置し、今後の安全
対策について検討を行ってきました。2015 年 3 月に同
検討委員会は、事故原因の推定と再発防止策を取り
まとめた最終報告書を作成しました。
今回の会合において承認された統一解釈、ガイドライ
ンのうち主要なものは、以下のとおりです。以下で参照
されている IACS 統一解釈(UI)については、本会のホ
ームページ(http://www.classnk.or.jp/)又は IACS ホ
ームページ(http://www.iacs.org.uk/)に公開していま
す。
今回の会合では、同最終報告書と併せて、日本及び
バハマより IACS 及び各船級に対して事故調査結果か
ら得られた知見を踏まえ、以下の事項を求める文書が
提出されました。
(1) 点検設備に関する解釈
タンクへアクセスする垂直梯子の要件を定めた決
議 MSC.158(78)の 3.14 項における「甲板」とは、
タンク頂部が暴露甲板とはならない区画において
は「暴露甲板」を指すことを明確にする解釈。
(IACS UI SC191(rev.6)を基に作成)
① 大型コンテナ船の構造強度に関する規則改正
の検討
② 検討結果の MSC への報告
(2) 連続したハッチの構造に関する解釈
満載喫水線条約36規則における「連続した倉口」
の解釈。倉口が 1 つの場合、当該倉口は「連続し
た倉口」とみなされ、また、倉口が 2 つ以上の場
合は、倉口間が風雨密性の鋼製構造物により接
続されている場合に限り、「連続した倉口」とみな
される旨を明確にする解釈。(IACS UI LL79 を基
に作成)
審議の結果、IACS に対し、統一規則への再発防止策
の反映の検討及び検討結果の MSC への報告が要請
されました。
5. 水密区画の試験方法
MSC86(2009 年 5 月)において、IACS 及びマーシャ
ル諸島等の提案に基づき、SOLAS 条約 II-1 章 11 規
則の改正等の検討を設計設備小委員会(DE)で行うこ
とが合意され、DE56(2012 年 2 月)より技術的検討が
開始されました。
(3) タンカーの船首部アクセスに関する解釈
船首部アクセスの歩路に使用される FRP グレー
チングの火災試験の要件を明確にする解釈。
IACS UI SC253 を基に作成され、同 UI の火災構
造 保全性 と し て 参照 さ れ る 基準 が 、 「 USCG
Marine Safety Manual Vol. II, Para 5.C.6 Level 3」から「ASTM F3059-14」に変更。
SDC2(2015 年 2 月)では、SOLAS 条約改正案、水密
区画の試験方法に関するガイドライン案及び造船所の
品質システム確認に関するガイダンス案について審議
が行われました。しかし、大勢が SOLAS 条約改正の
必要性を認めないと主張したことから、SDC での審議
を打ち切り、その旨を MSC95 に報告するとともに、水
密区画の試験方法に関するガイドライン案の取扱いを
含めた今後の方針の決定を MSC に委ねることとなり
ました。
(4) 船内騒音コードに関する解釈
船内騒音コードで要求される騒音計測方法、各区
画に適用される騒音レベル及び居住区域に設置
される隔壁の空気音遮断性能に対する評価方法
等を明確にする解釈。
(5) A-60 防熱の下部施工に関する解釈
SOLAS 条約 II-2 章、FSS コード及び FTP コード
に関する統一解釈(MSC.1/Circ.1120)においてド
レンによる防熱施工の下端部 100 mm カットを示
す図 3 の改正。図 3 に示されている鋼製のコーミ
ング/ガッタバー及び内張りは、居住区域のみに
適用される旨明確化するもの。なお、甲板及び隔
壁が鋼構造の場合のみ適用される。(アルミニウ
ム構造の場合は適用不可)
今回の会合で、IACS は、個船毎に代替措置を適用す
る際の、主管庁、RO、造船所及び船主の負担軽減を
目的に、主管庁が現行 SOLAS 条約の下水密区画の
試験方法に関するガイドライン案を考慮できる旨を明
記した MSC サーキュラーの発行を提案しました。
審議の結果、MSC サーキュラーの作成は不要と判断
されましたが、同ガイドライン案の内容は IACS の統一
規則と同一であることから、主管庁の判断によりこれ
を利用できる旨、議事録に明記されました。
(6) 機関区域からの脱出設備に関する解釈
エスケープトランク内のクリア寸法、A 類機関区
域内の脱出経路のはしご及び階段の傾斜角及び
2/4
幅、A 類機関区域の下部からの脱出先である外
部の安全な位置等を明確にする解釈。
8. 係船設備の配置改善の検討
今回の会合において、デンマーク等より、各国で係船
索の破断による事故が多発していることから、船上の
係船設備の配置に対し、事故発生の危険性を評価し、
最適な設計を要求する SOLAS 条約 II-1 章の改正の
検討を要請する新規作業計画案が提案されました。ま
た、日本より、港湾側においても係船索の保守不良に
起因する事故が発生していることから、係船索の保守
に関するガイドラインの策定が提案されました。
(7) 貨物船の居住区域、制御場所、業務区域からの
脱出設備に関する解釈
居住区域、制御場所、業務区域における脱出に
関する「最下層の開放甲板」を明確にする解釈。
(8) 機関制御室及び主作業室からの 2 系統の脱出設
備に関する解釈
機関制御室及び主作業室からの脱出設備として
連続防火シェルタを要求する規定について、「機
関制御室」、「主作業室」及び「連続した防火シェ
ルタ」を明確にする解釈。
審議の結果、係船設備の配置改善に関する SOLAS
条約 II-1 章の改正、及び係船索の保守に関するガイド
ラインの策定を検討する新規作業計画が承認されまし
た。
(9) RORO/車両積載区域間の A-30 防熱施工に関す
る解釈
RORO/車両積載区域間に A-30 級及び RORO/
車両積載区域と開放甲板間に A-0 級の防熱保全
性を要求する規定について、A-30 級が要求され
る境界、ハッチ・アクセスドア・可動式ランプ・通風
ダクト・通風装置の保全防熱性を明確にする解
釈。
なお、本作業計画は、2016 年の船舶設計・建造小委
員会(SDC)から作業を開始し、2017 年末までに作業
を完了する予定となっています。
***
(10) RORO 区域からの脱出設備に関する解釈
RORO 区域おける 2 系統の脱出設備、脱出経路
を設ける「前後端」の位置、脱出経路の標示を明
確にする解釈。
7. GBS(目標指向型基準)
油タンカー及びばら積貨物船を対象とする「新造船の
構造に関する GBS(ゴールベースの新造船構造基準)」
は 2004 年の MSC78 から検討され、2010 年 5 月の
MSC87 において GBS 及び GBS を導入するための
SOLAS 条約の改正案等が採択されました。
適用対象は、2016 年 7 月 1 日以降の建造契約の船舶
ですが、具体的な技術要件として、IMO GBS に適合し
ていると IMO が判断した船級協会等の規則に従う必
要があります。
2014 年 3 月より、IACS メンバー等の船級協会等の規
則が GBS に適合していることの検証(監査作業)が開
始されています。
今回の会合では、監査作業の進捗状況について報告
がありました。
最終報告書は、次回 MSC96(2016 年 5 月開催予定)
に提出される見込みとなっています。
3/4
表 1 IGF コードの構成及び概要
章
1
Part A
2
3
4
項
目
概
要
序文
コード制定の背景
総則
目標及び機能要件
一般要件
適用、定義、代替設計に関する規定
油燃料船と同等の安全性及び信頼性を保つこと等を規定
爆発影響の最小化に関するリスク評価を規定
Part A-1: 天然ガスを燃料として使用する船舶を対象とした構造要件
5
船体構造
燃料タンク及び機関室の配置等の要件
6
燃料格納システム
燃料タンクの詳細な設計要件
7
材料及び一般配管設計
燃料タンク、燃料配管に使用する材料や厚さ等の要件
8
燃料の補給
燃料補給システムの配置等の要件
9
機器への燃料供給
燃料供給システムの要件
10
推進及びその他の発電機
天然ガスを使用する機関、ボイラ及びタービンの設計要件
燃料タンク等から他の区画への隔離距離、水噴霧装置、消
11
防火
火装置、火災探知装置の要件
12
防爆
危険区域の分類を規定
13
通風
通風装置の構造、配置及び換気回数等を規定
14
電気設備
防爆型の電気機器の要求等
15
制御、監視、安全装置
燃料タンクの液位監視及びガス検知器の設置要件等
Part B-1
16
製造、施工及び試験
Part C-1
17
操練及び非難訓練
18
運用要件
Part D-1
19
訓練
燃料タンクに用いる材料の試験方法
船上における定期的な操練の実施を規定
保守及び燃料補給等の要件
乗組員への訓練の徹底
以 上
日本海事協会 国際室は、国際動向等に関する情報を、皆様に迅速にお伝えしていきます。
本件に関してご不明な点は、国際室までお問い合わせください。
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