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ロシア・ウクライナの鉄鋼需給の現状と今後の展望(図表)
ロシア・ウクライナの鉄鋼需給の現状と今後の展望 2006年11月21日 (社)日本鉄鋼連盟 輸出市場調査委員会 ロシア 1 経済概況 3 鉄鋼需要 (図表1)実質GDP成長率 12 (出所:ロシア経済発展貿易省) (%、前年比) (図表2)原油生産量、原油輸出高 500 (ドル/トン) 原油生産量 原油輸出量 原油輸出単価 (百万トン) 10 400 8 (出所:ロシア連邦統計局他) 250 200 300 2 150 200 258 0 ▲2 100 ▲4 ▲6 145 162 188 223 252 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 ・・・ 10 ・・・ 15 100 50 0 98 35,000 01 02 03 04 05 □ 98年の通貨切り下げ以降、毎年高水準の経済成長を続けており、05年もエネルギー価格の高騰を背景とした輸出の拡大によ り実質GDP成長率は6.4%を記録。 □ 06年以降もエネルギー価格の動向に左右される部分はあるが、輸出と国内投資主導で6%前後の堅実な経済成長が見込まれ る。 見掛消費 前年比 2 鋼材需要産業動向 2003 2004 (出所:ロシア統計サービス) 2005 前年比 49.3 住宅建設 43.4 54.8 11.2% 10.3 10.7 11.5 7.5% 非住宅建設 産業 2.6 2.5 2.5 0.0% 農業 0.8 0.8 0.8 0.0% 商業 2.3 2.9 3.5 20.7% 教育 1.4 1.3 1.3 0.0% ヘルスケア 1.0 1.1 1.0 ▲9.1% その他 2.2 2.1 2.4 14.3% 合計 53.7 60.0 66.3 10.5% □ モスクワ等の大都市を中心に新築マンションの建設ラッシュが 続いており、「不動産バブル」の状況を呈している。 ○自動車 (図表5)乗用車販売台数推移 2,000 1,500 中古車 輸入外国車 現地生産外国車 純国産車 (千台) 計:1,417 447 1,000 500 計:1,488 400 11 117 164 54 842 870 (出所:各種資料) 計:1,767 計:1,609 318 281 128 882 312 450 164 841 0 02 03 04 05 □ 外国車売が拡大の中心を占め、外国車販売台数トップの現 代を筆頭にトヨタ、Ford等各社とも好調に推移。 ○エネルギー (図表4)主なパイプライン(PL)プロジェクト PL網 可採埋蔵量 プロジェクト名 石油:3.25億トン 石油:370km サハリン1 天然ガス:4,850億㎥ 天然ガス:2千km以上 石油:1.5億トン 合計:1,570km サハリン2 天然ガス:6,420億㎥ 東シベリア・太平洋原油PL 石油:15億トン 4,130km コビクタ・ガス田開発プロジェクト 天然ガス:2.5兆㎥ 4,887km ― 2,800km ロシア・中国ガスPL 天然ガス:7,000億㎥ 2,106km 北欧ガスPL 天然ガス:5.8兆㎥ 2,500km ヤマル・欧州ガスPL Shtokmanプロジェクト 天然ガス:3.7兆㎥ 8,600km □ ロシア北部、東シベリア、極東地域で複数の大規模な プロジェクトが進行中であり、鋼管需要は拡大の見込み。 一方で、ロシアミルの設備増強により輸入の代替も進行。 □ (図表6)外資系自動車メーカーの進出状況 (出所:各種資料) 生産開始 外資系メーカー 生産地 生産台数 1997年5月 起亜 (韓) カリニングラード州 1.2万台 1999年7月 BMW (独) カリニングラード州 0.2万台 2001年6月 現代 (韓) ロスト州タガンログ 4.3万台 3.3万台 2002年7月 Ford (米) レーニングラード州 サマラ州 5.2万台 2002年9月 GM (米) 2002年11月 Renault (仏) モスクワ市 1万台 2004年3月 起亜 (韓) ウドムルト共和国 0.3万台 2007年12月 トヨタ (日) サンクトペテルブルグ 2万台 2007年後半 VW (独) 2万台 カルーガ 2008年9月 GM (米) サンクトペテルブルグ 2.5万台 2009年初め 日産 (日) サンクトペテルブルグ 2.5万台 □ 自動車部品の大多数は依然輸入に依存。 50 30% 計:31.2 10% 30 15,000 0% 20 10,000 -10% 5,000 -20% 0 -30% 96 97 98 計:45.0 99 00 01 02 03 04 その他 40 20,000 95 (出所:Severstal) (百万トン) 20% 機械製造 計:21.7 建設・SC 鋼管製造 10 自動車 0 00 05 06※ □ 05年の見掛消費の伸びは前年比4.3%増と緩やかな増加に 止まったが、06年は通年で8%程度の増加が見込まれ、今 後も8%以上の堅調な拡大が予想されている。 05 10 □ 建設、エネルギー、自動車、その他全般に渡って需要が伸 びる見込み。特に潜在需要が大きい建設と大型プロジェ クトが進展する鋼管関連の需要が中心となる。 4 鉄鋼生産、輸出入 (図表9)鉄鋼生産 ○建築 (図表3)建築床面積 (単位:百万㎡) (図表8)需要産業別鋼材消費動向 40% 25,000 0 00 (千トン) 30,000 6 4 (図表7)見掛消費量推移 (※)06年数値は通年見通し (出所:IISI) 70,000 (出所:ロシア連邦統計局) (年) 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 (千トン) 60,000 50,000 40,000 銑鉄 粗鋼 鋼材 鋼管 30,000 20,000 10,000 0 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 (図表10)鋼材輸出入 05 (千トン) 24,231 25,633 24,833 22,680 24,379 27,901 26,723 28,451 28,245 30,376 31,521 40,000 □ 05年の粗鋼生産は前年比0.9%の微増に止まるも、 各国内ミルは上工程から下工程までの合理化、高級 化を実施。今後も着実な拡大が続く見込み。 (出所:ロシア通関統計) 輸入 3,822 2,799 2,143 2,270 1,921 2,898 3,072 2,112 3,319 4,120 4,724 輸出 30,000 20,000 10,000 0 10,000 □ 鋼材輸入は高付加価値鋼板、鋼管類が中心。尚、鋼管に関し ては輸入代替も進行している。 □ 輸出比率は依然50%超。その内、鋼塊・半製品が半分を占め、 35%程度が鋼板類(主に熱延鋼板)。 5 国内流通の現状 (図表11)メーカー直売、問屋経由販売比率 全鋼材 鋼板類 問屋経由 31% 問屋経由 20% (940万t) 直売 69% (2,100万t) 直売 80% (出所:Novolipetsk社、Severstal Invest、(数量は試算)) 条鋼類 問屋経由販売の向先 □ 自動車等のユーザー は要求品質レベルが 高い為、鋼板類の メーカー直売が80%を 占める。 その他 15% 問屋経由 56% 直売 44% 機械 15% 建設 70% 6 原料自給率 (単位:千トン/年) (図表12)主要問屋と取扱数量 備考 企業名 取扱数量 Severstal-Invest 1,000 Severstal販売子会社 Magma-Trade 1,000 Magnitogorsk販売子会社 Evraz販売子会社 EvrazMetal 850 Komtech 850 Stalepromyshlennaya 800 Dipos 600 Metallservice 500 Inprom 450 □ 上位3社はメーカー系列の問屋。 (図表13)ロシア鉄鋼メーカーの原料自給率 100% 100% 100% 100% 86% 原料炭 鉄鉱石 75% 50% (出所:ATON Capital) 100% 100% 90% 50% 25% 0% 0% Evraz Severstal 0% Magnitogorsk Novolipetsk Mechel □ Magnitogorskを除き、各主要ミルは自前の鉄鉱山・炭坑を保有。 今後も完全自給に向けて積極投資を行う。 ウクライナ 1 経済概況 3 鉄鋼生産、輸出入 (図表1)GDP成長率 450 (%) (兆フリブナ) GDP(1兆フリブナ) GDP成長率 400 350 (図表2)主要経済指標 (前年比) (出所:国家統計委員会) 14 GDP成長率 GDP(1兆フリブナ) 鉱工業生産 農業生産 固定資本投資 商品小売販売高 消費者物価上昇率 失業率(ILOベース) 輸出(100万ドル) 輸入(〃) 貿易収支(〃) 12 10 300 250 8 200 6 150 4 100 50 2 0 0 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 (1-6月) 2000 2001 2002 5.9 9.2 5.2 170.0 204.2 225.8 12.4 14.2 7.0 9.8 10.2 1.2 14.4 20.8 8.9 8.1 13.7 15.0 28.2 12.0 0.8 11.6 10.9 9.6 162 16,265 17,957 14,573 13,956 15,775 16,977 617 490 980 (出所:国家統計委員会、IMF) 2003 2004 9.6 12.1 267.3 345.1 15.8 12.5 ▲ 11.0 19.1 31.3 28.0 20.5 21.9 5.2 9.0 9.1 8.6 23,067 32,666 23,020 28,997 47 3,669 2005 2.6 424.7 3.1 0.0 1.9 23.4 13.5 7.2 34,228 36,136 ▲1,908 2006 5.0 (1-6月) 224.8 (1-6月) 5.5 (1-9月) ▲ 2.8 (1-9月) 12.2 (1-6月) 25.0 (1-9月) 5.8 24,221 27,809 ▲3,588 (4-6月) (1-8月) (1-8月) (1-8月) (図表6)鋼材生産、輸出入の推移 40,000 (図表7)鋼材輸出および主要輸出国の輸出比率 (千t) 35,000 30,000 25,000 20,000 鋼材生産 15,000 輸出 10,000 輸入 5,000 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 (%) 67.9 (図表3)ウクライナの鋼材需給推移 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006* (単位:千トン、%) 鋼材消費 (前年比) 鋼材生産 (前年比) 3,430 26,850 4,170 21.6 28,430 5.9 4,910 17.7 30,980 9.0 6,810 38.7 32,560 5.1 7,540 10.7 33,400 2.6 8,200 8.8 33,466 0.2 8,800 7.3 16,820 6.0 輸入 (前年比) 450 550 22.2 674 22.5 827 22.7 822 ▲ 0.6 1,020 24.1 712 58.7 輸出 (前年比) 輸出比率 22,283 77.9 24,380 9.4 81.2 25,858 6.1 80.4 26,575 2.8 77.9 28,182 6.0 80.6 27,418 ▲ 2.7 78.0 15,154 11.4 出所:ウクライナ産業政策省 ウクライナ通関統計 注:06年の鋼材消費は 通年の見通し。生産、 輸出、輸入 は1-6月実績 77.9 80.0 (千t) 78.0 30,000 25,000 20,000 15,000 10,000 鋼材輸出(右目盛) 中国 5,000 0 01 02 03 04 97年 98年 99年 00年 01年 02年 03年 04年 05年 05 □ 鋼材輸出量はこの10年間で倍増し、2005年は日本、ロシアに次 ぐ世界第三位の鋼材輸出国。 (図表9)ウクライナの主要向先別輸出構成比 (図表8)ウクライナの品種別輸出構成比 鋼管・その他 100% 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% 29.6 100% 33.1 アフリカ 25.3 40.4 38.3 2002年 2003年 その他アジア 30.1 35.0 鋼板類 24.9 その他 80% 30.2 中国 60% 23.5 条鋼類 21.7 37.1 鋼塊・半製品 36.3 41.2 2005年 06年1−6月 中東 22.1 40% EU25 その他欧州 20% トルコ ロシア 0% 2004年 2003年 2004年 2005年 06年1-6月 出所:ウクライナ通関統計 □ 品種別輸出構成比では鋼塊・半製品が最大のシェアを占める。 □ 国内の鋼材消費は生産に対比すると依然規模が小さく、2005年の輸出比率も依然78%の高率を持続。07年上期は輸出が持ち直し、 生産も回復するも、外需への依存度は依然高い水準。国内需要の充実のため機械や建設などの需要産業の育成が課題。 80.4 日本 出所:ウクライナ通関統計 82.8 81.2 ※輸出比率は粗鋼ベース 出所:各国政府統計、通関統計など 00 出所:産業政策省(生産)、通関統計(輸出入) 2 鉄鋼需給の動向 75.8 77.9 ブラジル 96年 0 72.7 78.5 ロシア □ 主力の金属分野を中心に輸出が減少し、輸入依存度の高いエネルギー価格の上昇と政治的な混乱もあり、実質GDP成長率は2004年 の12.1%から2005年は2.6%に急落 □ 小売販売高等の個人消費は堅調を保ち、2006年に入り経済指標には持ち直しの徴候もみられることから、景気は緩やかながら回復に 向かっている ウクライナ □ 中国を含むアジア向けのシェアの低下が顕著。特に中国向 2005年までは継続的にウェイトが減少するも2006年上期にはウェ イトが上昇。 けは03年から05年にかけて実に300万トン弱の減少。中国が 鋼材純輸出国となったことが背景。 ◆ 鋼材輸出の見通し (図表4)ウクライナの鉄鋼生産 45,000 (図表5)ミルの設備投資 メーカー名 (千t) Mittal Steel Kryviy Rih 40,000 Ilyich 35,000 30,000 Azovstal 25,000 銑鉄 粗鋼 鋼材 鋼管 20,000 15,000 10,000 Zaporizhstal Dniprovsky (Dzerzhinsky) Makeevka 5,000 0 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 … … 11 出所:IISI(銑鉄、粗鋼)、ウクライナ政府(鋼材、鋼管) 注:2011年は国家鉄鋼発展計画(2005‐2011年)の目標。 Alchevsk (出所:各種資料) 設備名 年産能力 コークス炉など 06年稼動予定 ビレット連鋳・熱延ミルなど 08・09年稼動予定 No.2高炉改修 +10万t 05年稼動済 スラブ連鋳 100万t 06∼07年稼動予定 No.2高炉再稼動 110万t 06年7月再稼動済 スラブ連鋳 250万t 06∼07年稼動予定 転炉∼スラブ工場 200万t 08年稼動予定 酸洗設備 140万t 08年稼動予定 110万t 05年稼動済 3 No.10高炉(1,500m )再稼動 No.1高炉再稼動 06年稼動予定 条鋼圧延ミル 70万t 07年稼動予定 スラブ連鋳 250万t 05年8月稼動済 3 06年再稼動予定 No.1高炉(3,000m )再稼動 300t転炉2基 Yenakievo 稼動/閉鎖月日 06年末/07年末稼動 3 No.5高炉(1,583m )置換え 110万t 06年冬稼動予定 □ 2005年の粗鋼生産は輸出市況の低迷や原料調達難などか □ 高炉の改修や平炉から転炉への転換などの上工程の合理化や省エ ら減産し、前年比0.3%の減少。2006年に入ってからは輸出 の好転もあって1−9月で前年比7.9%増へ回復。 ネ分野に重点。設備改修による漸進的な能力増が中心。 輸出余力は十分あり、今後も輸出に注力か ○ 国内需要は増加基調にあるも規模は極わずか ○ 大手ミルの設備投資・合理化計画の進展 ○ アジア向けは減少し(中国の存在)、 一方で欧州や中東などの比率が高まる。 4 鋼材需要産業動向 ◆建築業 住宅建設は、04年は前年比2.7%増。小型アパートが主で、 質の高い住宅に対する潜在的な需要は高いが、家計収入の 増加と個人信用市場の成熟が必要。 非住宅建設は、04年は同6.2%増。パイプライン等エネル ギー輸送やインフラが好調で04年は9.6%と急伸。 ◆自動車市場 乗用車の2005年生産台数は21.6万台と2000年の3.1万台か ら急伸。市場の拡大の背景には、ロシアと同様、経済の好調 による富裕層の増加が指摘され、最近では、急拡大が予想さ れるウクライナ市場での販売拠点の確保に向けて日本の自 動車各社の現地での販売会社の設置の動きが相次いでい る。 輸出に影響を与えると思われる要因 ◆ プラス面 ・ 世界的に増加する鋼材需要 ・ 大手ミルの設備投資に伴う品質やプロダクツミックス改善 ◆ マイナス面 ・ 中国の純輸出国への転換 (中国向け鋼材輸出の減少・中国との各輸出市場での競争激化) 5 原料自給率 (図表10)ウクライナ鉄鋼メーカーの原料自給率 企業名 05年粗鋼 生産量 Mittal Steel Kryviy Rih 700万t Ilyich 700万t Azovstal 590万t Yenakievo Alchevsk Dniprovsky Zaporizhstal 230万t 370万t 320万t 440万t その他関連企業 原料調達動向 鉄鉱石はほぼ自給、原料炭については国 Novokrivorovsky(鉄鉱石) 内、カザフスタン、ロシアから外部調達。今後投資 により原料炭の自給を達成を目指す。 Komsomolsky(石灰) 鉄鉱石は現在外部調達に依存、現在鉱山開 発投資推進中。コークスは自給率30%。 Krasnodonugol(石炭) 鉄鉱石、原料炭、コークスは100%自給。 Avdeevskiy(コークス) Northern Mining(鉄鉱石) Alchevsky(石炭、コークス) 原料炭、コークスは100%自給。 鉄鉱石は外部調達。 27% in Zaporizky(鉄鉱石) 原料の大多数は外部調達。