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基礎講座 ・Grewer炉による化学物質の熱危険性評価 金子崎良 TIIS紹介

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基礎講座 ・Grewer炉による化学物質の熱危険性評価 金子崎良 TIIS紹介
TIIS ニュース No.236
TIISニュース 2009年04月10日発行
【編集・発行】
社団法人産業安全技術協会
〒350-1328 埼玉県狭山市広瀬台2丁目16番26号
TEL.04-2955-9901 FAX.04-2955-9902
ホームページ http://www.ankyo.or.jp
【印刷】株式会社パイオニアメディアクリエイツ
CONTENTS
巻頭言 ............................................................................... 3
・これからの労働安全衛生研究の方向
高橋哲也
安全衛生フォーラム .......................................................... 4
・化学プロセスのリスク評価(その1)
基礎講座 ............................................................................ 7
・Grewer炉による化学物質の熱危険性評価
金子崎良
TIIS紹介 ............................................................................ 11
・粒子径・粒度分布測定装置
トピックス ........................................................................ 12
・JIS T 8157「電動ファン付呼吸用保護具」の規格改正について
海外だより ........................................................................ 14
・韓国における新しい検定制度について
Q&A .................................................................................. 18
・旧構造規格による型式検定合格品の更新検定と同一型式について
・耐圧防爆構造を適用した輸入品の電気機器とケーブルグランドに
表紙写真:可燃性ガスの火炎伝ぱ
写真は、ステンレス鋼製の円筒状爆発容
器(内径10.5cm長さ11cm)内の中心部で、
電気スパークによりイソブタン(7.8vol.%)
/空気混合ガスが着火したときの火炎伝ぱ
の様子をコマ撮り写真(5fps)で撮影したも
のである。
イソブタンの濃度が爆発上限界に近いた
めオレンジ系の火炎色を示している。火炎
は、上方向にしか伝ぱできず、容器上端まで
達した後、予熱により横方向へも広がって
(火炎が傘状に見える)消えようとするとき
に、中心部に対流で上昇してきた未燃ガス
に再着火し、傘の下で再び火炎を形成して
いる(危険性評価試験室撮影)。
ついて
会員の声 ............................................................................ 19
・胴ベルト型安全帯とハーネス型安全帯
室井良樹
協会からのお知らせ .......................................................... 20
・平成21年度第1回理事会及び通常総会のお知らせ
・平成20年度第2回理事会報告
・関西事務所だより
・TIISサイエンス・カフェ2008を開催
・安全見学会を実施
・平成20年度 TIIS関西事務所感謝祭を開催
・組織の改編
・人事異動のお知らせ
・新入会員
・関係機関からのお知らせ
ISO9001 認 証 取 得
JQA-QM3877検 定 部
2
TIIS ニュース No.236
巻頭言
これからの労働安全衛生研究の方向
独立行政法人 労働安全衛生総合研究所
理事 高橋 哲也
我が国の労働安全衛生分野では、急激な情報化社会の到来により産業構造、就業形態、労働力構
成、産業技術等が変化し、さらに科学技術が専門化、高度化した結果、自動機械システム等の産業技
術のリスク、過重労働やメンタルストレスに起因する諸問題、アスベスト、ナノ粒子の問題など多
くの新しい課題が生まれています。
また、死亡災害が減少傾向にあるものの、中小規模事業所における災害発生率が依然として高い
こと、一度に3人以上が死傷する重大災害が増加傾向にあることなど、労働災害を巡る課題は、未だ
に多く存在しています。
労働安全衛生総合研究所では、このような状況に対応して、平成12年に「21世紀の労働衛生研究
戦略協議会(厚生労働省)」の事務局を努め、21世紀初頭の10年間に我が国が推進すべき労働衛生に
係る研究戦略を取りまとめました。さらに、この研究戦略の実施を促進するために、研究所は「労働
衛生重点研究推進協議会」を設置し、6年間にわたり厚生労働省と協力して我が国における労働衛
生研究を推進してきたところです。
このような経緯を踏まえ、平成19年度からは、従来からの労働衛生分野に新たに産業安全分野を
加えて「労働安全衛生重点研究推進協議会」を設置し、今後おおむね10年間に我が国が推進すべき
労働安全衛生全般に係る研究戦略を取りまとめるとともに、研究の重点的な推進を図るための検
討を開始しました。
具体的には、新たに作成した「産業安全研究分野重点研究領域・優先課題(案)」について検討する
とともに、平成12年に策定した労働衛生研究分野3重点研究領域・18優先課題について、再検討を開
始したところです。
新たに作成した「産業安全研究分野重点研究領域・優先課題(案)」では、重点研究領域として、次
の4研究領域を挙げています。
・重点研究領域A 工学的要因に関する労働災害の防止に関する研究
・重点研究領域B 人的要因に関する労働災害の防止に関する研究
・重点研究領域C 職場のリスク評価(リスクアセスメント)に関する研究
・重点研究領域D 産業社会の変化と労働安全の新しい課題に関する研究
さらに、これらの重点領域ごとに、4分野で合計24の優先課題が、たたき台としてリストアップさ
れています。
今後、専門家の方々や、研究所のH Pで国民のみなさまの意見を聴いた上で、今年度中には、労働
安全衛生全般に係る研究分野の重点研究領域と優先課題を取りまとめていくこととしておりま
す。そして、この取りまとめ結果を広く我が国の関係者に情報提供し、今後10年間の我が国の研究
機関や研究者が行う労働安全衛生研究に反映させるとともに、労働安全衛生行政に資することを、
大いに期待しているところです。
3
TIIS ニュース No.236
安 全 衛 生 フォ
ォー
ーラム
◆化学プロセスのリスク評価(その1)
すなわち、事故の発生確率が小さくても被害が甚大
な場合はリスクが高く、また、しばしば事故は発生す
(はじめに)
るが被害が微少な場合は、リスクは比較的小さいとさ
化学プロセスの設計・製造・管理等におけるリスク
れる。
「安全」は事故が絶対発生しない状態を指すこ
評価は、爆発火災などの産業災害の防止だけでなく、
とが多いが、リスクの考え方から言えば、一般の産業
経済活動そして周辺地域への影響を考えると非常に
現場においては、常にいくばくかの潜在的なリスクが
重要な課題となっている。ここでは2回に分け「化学プ
存在し、危険ゼロといういわゆる絶対的な安全は存在
ロセスのリスク評価」について説明する。
しないということになる。
「その1」では「安全」と「リスク」の考え方、リスク評価
したがって、産業現場においては、許容できない危
及び化学プロセスでの特徴など基本的内容について示
険な作業については、取扱う設備・機器や操作の改善
す。
「その2」では化学プロセス操作時に焦点を当て、事
によりリスクを出来るだけ小さくし、この程度のリス
例を交えてリスクアセスメントの重要性を示す。
クであれば、合理的な理由のもとで「許容可能な領域
(A L A R P領域 注))」を作りだし、それをほぼ「許容され
1.
「安全」から「リスク」へ
る領域」として取扱うような考え方1)、2)がある。
最近の災害防止の分野においては、
「安全」という言
通常、リスクは、図1に示すように各設備や作業単位
葉に代わって「リスク」という言葉がよく使われるよ
ごとに「事故の起こりやすさ」と「被害の大きさ」を定
うになってきている。リスクは、
「現実的に危険に遭う
性的又は定量的に調べ、それぞれの大きさを縦軸と横
可能性や損害を蒙る可能性」と定義されているが、工
軸に表示することにより、リスクのレベルを判定する
学的には「事故の起こりやすさ」と「被害の大きさ」の
ことができる。すなわち、作業や設備において、許容で
相互関係で示されている。
きない領域、許容可能な領域、及び一般に許容できる
領域の大きく3つの領域に分けられ、これらの領域を
定めるプロセスをリスク評価(リスクアセスメント)
と呼んでいる。
注)ALARP領域:
そのリスク水準を受け入れることによる便益及び
更に軽減する費用の両面を考慮して、現実的な最低
限の水準まで軽減されているならば、許容される領
領域」にある場合には、設備や安全管理の改善により
「リスクが許容できる領域」にまでリスクを下げ、ま
た、リスクが十分低い場合には、合理的な理由のもと
域である3)。
で設備の検査や管理の周期を長くしても「リスクが許
な お、A L A R Pは「 (A s L o w A s R e a s o n a b l y
容される領域」とすることが可能となろう。
P r a c t i c a b l e) 」の略語。合理的に実施可能な範囲で
できるだけ低くの意味。
「(reasonably practicable)」
と は、職 場 に お け る 安 全 衛 生 上 の リ ス ク を 防 止 す
る 処 置 を 講 じ る た め の コ ス ト(経 済 的 な 費 用 だ け
で な く、時 間 と 手 間 も 含 む)が、当 該 リ ス ク の 低 減
の効果と「はなはだしく不釣り合いである(g r o s s l y
disproportionate)」場合を除いて、職場における安全
衛生上のリスクを防止する措置を講じる必要がある
ことを意味している2)。
4
リ ス ク 評 価 に お い て は、
「リ ス ク が 許 容 で き な い
TIIS ニュース No.236
2.厚生労働省のリスク評価
(リスクアセスメント)
た機械設備、化学物質、作業方法などに係る労働者の
最近、厚生労働省の安全行政において、労働者の負
安全・衛生対策として「危険性又は有害性等の調査等
傷・疾病の防止をリスクの低減といった観点から災害
に関する指針」
(平成18年3月)及びその詳細指針とし
防止を進めている。ここでいう「リスク」とは、特定さ
て「化学物質等による危険性又は有害性等の調査等に
れた危険生・有害性から生じる負傷・疾病の重篤度又
関する指針」
(平成18年3月)が公表されている。 は発生する可能性の度合をいっている。厚生労働省に
なお、これらの指針における「危険性又は有害性等
おいては、機械関係の安全対策について、
「機械の包括
の調査」とは、一般の「リスクアセスメント」と同意語
安全基準に関する指針」
(平成13年6月)が定められ、ま
であるとされている。
大
リスクを低減すべき
高リスク範囲
被
許容可能な
害
リスク範囲
の
(ALARP領域)
大
き
さ
合理的な理由のもとで
費用節減などが
可能な低リスク範囲
小
低
事故の起こりやすさ
高
図 1 リスクの許容範囲
「機械の包括安全基準」では、材料の加工、処理など
を目的とする機械の設計、製造、改造を行い又は輸入
類を特定する。
(2)リスクの見積もり
を行う者、及び機械を労働者に使用させる事業者を対
リスクは、「事故の起こりやすさ」×「被害の大
象として、機械による労働災害の防止を目的としたリ
きさ」で表せるので、それぞれの度合いを判定し、
スク評価を行うよう指導している。
リスクを見積もる。
一方、
「危険性又は有害性等の調査等に関する指針」
では、化学設備や機械設備の操作・作業などに関して、
「機械の包括安全基準」と同様、リスク評価の手法が提
出されており、次のような骨組みとなっている。
(3)リスク低減の優先度の設定及び低減措置の内容
の検討
リスク低減のための優先度を定め、その低減策
を検討する。
(4)優先度に対応した低減措置の実施
(1)危険性・有害性の特定
各工程別等単位作業における危険・有害性の種
法令遵守事項があればこれを遵守するととも
に、上記の低減措置を実施する。
5
TIIS ニュース No.236
また、
「化学物質等による危険性又は有害性等の調
て、取扱う化学物質の燃焼・爆発・中毒特性、危険・
査等に関する指針」では、
「危険性又は有害性等の調
有害物の放出量、燃焼などの被害面積などから判
査指針」と相まって、各業種で取り扱っている化学物
断する方が実際的であろう。
質の危険・有害性に関するリスク評価手法の指針が定
一方、化学プロセスの場合は、爆発・火災による
められている。しかし、これらの指針では広範囲な業
設備損傷及び設備休止にともなう直接・間接的な
種、作業に適用するための一般的な基準が定められて
経済的損失も被害の大きさを計る尺度になるも
いる。たとえば、化学プロセスや化学設備の具体的な
のと思われる。これら設備の損傷にともなう被害
リスク評価手法については、各製造設備の固有性を考
の大きさに関する定量的評価についても、アメリ
慮して、実施して行く必要があるものと思われる。
カ石油協会から基準が提案されている4)。
3. 化学プロセスでのリスク評価の特徴
(1)
「事故の起こりやすさ」の予測
4. まとめ
ここでは「安全」と「リスク」の考え方、厚生労働省
化学プロセスでの操作や工事の工程において、
のリスクアセスメントの概要を説明し、化学プロセス
作業中に発生する爆発、火災、中毒などの事故の
でのリスク評価の特徴について概説した。
特定については、化学物質の危険・有害特性から
化学プロセスでのリスク評価の基本となる「事故の
事前に予測することは可能であると思われるが、
起こりやすさ」及び「被害の大きさ」を判定すること
その事故の起こりやすさがどの程度であるかを
はそう簡単ではない。また、化学物質に対する燃焼や
予測することは、はなはだ困難である。しかし、過
毒性、反応・分解危険などに対する理解度もリスク評
去の同種の作業において企業内で発生した災害
価における大きな要因となろう。
事例のほかヒヤリハット事例などを収集したり、
次号では、化学プラントの操作時におけるリスク評
又は他の企業で発生した事例などを検討すれば、
価に焦点をあて、
「リスク評価の具体的な実施手順」お
事故の起こりやすさの低、中、大といった大まか
よび「操作時のリスク評価の例」について説明する。
な分類は可能になるものと思われる。
一方、化学プロセスにおいては、設備の損傷が原
因となって爆発、火災などが発生することが多く、
1)http://www.hse.gov.uk/risk/theory/alarp1.htm
発生する事故全体の比較的大きな割合を占めてい
2)http://www.jniosh.go.jp/icpro/jicosh-old/japanese/
る。設備損傷により爆発・火災などが発生する割合
country/uk/topics/reference/riskassessment/
は、機器・材料の摩滅・亀裂、化学的損傷などの故障
03.html#yougo05
データ、検査結果などから、ある程度の定量的な評
3)http://www2.matdb.jp/welding/glossary/325.pdf
価を行うことは可能である。この手法は、最近アメ
4)API Recommended Practice 581(Risk-Based
リカ石油協会(A P I)などから定量的評価手法とし
て公表されている3)。
(2)
「被害の大きさ」の予測
化学プロセスにおいて発生する爆発、火災など
による被害の大きさについては、人的被害のみな
らず、設備の被害状況について重点的に配慮する
必要がある。すなわち、設備やその周辺に大きな
被害があっても人的被害が小さい場合もある。し
た が っ て、化 学 プ ロ セ ス に お け る 被 害 の 大 き さ
は、狭 隘 場 所 で の 作 業 の よ う な 場 合 な ど を 除 い
6
参考文献
Inspection Technology, Second Edition, 2008.9)
(産業安全技術協会 顧問 森
繁)
TIIS ニュース No.236
基礎講座
◆Grewer炉による化学物質の熱危険性評価
1:予備加熱ガス排出口
2:熱流検出熱電対
株式会社パルメトリクス
金子 崎良
3:炉制御センサー
4:サンプル容器
1 . はじめに
熱流束型DSC Perkin-Elmer
化学物質の熱危険性評価にはミリグラムスケール、
(米)
“JADE-DSC”カタログより
抜粋
グラムスケール、キログラムスケール、実寸スケール
というカテゴリーがあります。これらの目的に使用さ
れる熱分析装置や熱量計の測定試料量を1m g∼10g
図 2 DSC内部構造
の範囲で切り分けると図1のようになります。T I I S
ニュースN o .225で紹介されているように、G r e w e r炉
は「熱気流中における粉体の発火温度」のために開発
された機器ですが、これ以外にもユニークな応用測定
ができることを、紹介したいと思います。
写真 2
図1 測定サンプル量と熱量計の種類
2 . ミリグラムスケールのDSC(示差走査熱量計)
熱分析装置のDSCは数mgの少量サンプルで短時間
写真 1
写真 3
写真1 Grewer炉体(口径20cm、高さ30cm)
写真2 炉体上面部(6個のサンプル容器と1個の炉制御熱電対の
挿入口)
写真3 メッシュサイズ250μmのステンレス網バスケット容器
に測定データが得られることから、熱危険性評価のス
クリーニングツールとして普及しています。
3 . グラムスケールのGrewer炉DTA
よく知られているD S Cによる熱危険性評価は消防
Grewer炉による粉体安全乾燥温度評価はミリグラ
法危険物第5類(自己反応性物質)に対する“熱分析試
ムスケールのDSC測定でもある程度は可能です。しか
験”です。この省令によれば、耐圧容器に測定サンプル
し、製造プロセスの乾燥雰囲気条件を反映させるため
を2mg程度採取し、それぞれ10K/minで昇温測定をそ
には、G r e w e r炉のように金網製バスケット内のグラ
れぞれ5回測定し、得られた発熱量を平均化します。こ
ムスケールの測定サンプルに雰囲気ガスを流通させ
れは測定サンプルが2m gと少量であるためのサンプ
ながら測定することが不可欠です(写真1 , 2 , 3参照)。
リング誤差や耐圧容器からの分解ガスが漏れによる
誤差があるためです。D S Cはスクリーニング評価に
適していますが、測定誤差の低減による評価精度の向
上が課題です(図2参照)。
7
TIIS ニュース No.236
4 . マルチサンプルによるハイスループット化
ような評価試験に要求されることは
G r e w e r炉はC80熱量計(S E T A R A仏)とほぼ同じ
① 耐圧性能に優れ、信頼性がある高圧密閉容器
サイズの円筒構造の電気炉を使い、雰囲気ガスを予備
② DSCやARCのように使い捨てが可能な高圧容器
加熱する機構があります。このため独立した6個の試
③ DTA曲線ではなくDSC曲線で発生熱量が求めら
料容器は温度差が少なく、昇温速度の制御性能が非常
に優れています。6個の試料容器の1個を基準サンプ
れること
が必須条件になります。
ル、残りの5個を測定サンプルとすることで、それぞ
れの測定サンプルと基準サンプルの温度差からD T A
(示差熱)信号が得られます。
6 . DTAからDSCへ
C80やSuperCRCなどの伝導型熱量計は測定サンプ
ル容器内部で発生した熱はすべて熱流媒体(サーモパ
イルやペルチェ素子)を経由して、外界温度のT0に等
しくなるまで移動します。そこで熱流媒体を通過する
熱流(温度差)を測定することにより系内で生じた熱
量を測定します。しかしG r e w e r炉で金網製バスケッ
トの測定サンプルに熱電対を挿入してサンプル温度
を測定する手法はD T Aであり、熱量を求めることは
できません(図4参照)。
図3 サンプル温度とDTA信号の関係
サンプル温度データファイルから基準サンプル温
度データファイルを差し引くことによりD T A信号
ファイルに変換します。Grewer炉の精密温度制御に
より一定昇温の温度データが得られます。一定勾配の
測定サンプル温度曲線をデータ処理ソフトウエアの
図 4 DTAと伝導型熱量計(DSC)の違い
“傾き調整”機能を使って温度曲線を水平化したのち
温度差を拡大して擬似的なD T A曲線を得ることがで
7 . ジュール熱ヒータによる熱量校正
きます。この場合は6個をすべて測定サンプルにする
G r e w e r炉で高圧容器を使用した場合、測定サンプ
ことができます。このようにG r e w e rは5個または6個
ルから発生した熱はすべて高圧容器の内壁から外壁
の測定サンプルを同時測定できる測定効率の高いシ
を経由して外界に逸散します。したがって高圧容器の
ステムです(図3参照)。
外壁温度を精密に測定すれば、吸・発熱反応時によっ
て生じる熱流(温度差)が求まります。C80熱量計や
5 . 機能拡張
S u p e r C R Cなど双子型伝熱型熱量計の熱量校正で行
Grewer炉のステンレス鋼メッシュバスケットを使
われているように測定容器の中に熱量校正ヒータを
用した場合、最高温度は測定サンプルの融点以下に限
セットし、投入したジュール熱と熱流(温度差)の関
定されます。有機過酸化物などの自己反応性物質を含
係から熱量校正曲線を求めます。測定サンプル容器温
めて、化学物質の熱危険性評価に使用するには融点を
度T sと基準サンプル容器温度T Rの温度差(T s−T R)
超えて熱分解プロセスまでを測定対象とします。この
を精密に測定すればm W表示にすることが可能にな
ります。
8
TIIS ニュース No.236
8 . 50MPa高圧容器
耐圧性能に優れ、高信頼性・高品質で使い捨てが可
能でしかも安価な高圧容器とはなんでしょうか?そ
れは圧力配管継手(Swagelok 米国)のユニオンとプラ
グを組み合わせ高圧容器です。このユニオンとプラグ
はSUS316やHastelloy C276、インコネルなどが選択可
能です。この圧力容器の容積(300μL)はDSC用高圧容
器のほぼ10倍となります。Swagelok社のカタログに
よれば使用最高圧力は69MPa(室温),温度400℃での
最高圧力は55MPaです。図1にある熱分析・熱量計の中
図5 Grewer/DSC 熱量校正曲線
で耐圧性能が最も優れ、リーズナブルなコストで使い
捨てが可能です。DSCで不可能な10MPa以上の圧力
A K T S社 のC a i s t o熱 分 析 ソ フ ト ウ エ ア を 使 っ て
と温度範囲をカバーし、グラムスケールの熱量計では
(s i g n a l1- s i g n a l2)の引算処理をすると図6のD T A曲
不可能なハイスループット測定が可能です。
線が得られます。得られたD T Aデータ(上段)に熱量
試作した高圧容器(写真4)の、室温∼400℃の8点の
校正曲線の関数計算処理によりD S Cデータ(下段)を
熱量校正ヒータによる測定データから、熱量校正曲線
変換処理し、併せて熱流信号の時定数補正により応答
(2次関数)を求めました(図5参照)。
を改善します。
高温水蒸気雰囲気におけるアルミニウムは
写 真 4の 破 線 部 分 は 外 径
3mm長さ30mmの熱量校正
ヒータです。
2Al+6H2O → 2Al(OH)3+3H2+15.5kJ/g(発熱)
さらに
2Al(OH)3 → Al2O3+H2O
高圧容器の重量は28gあり、
測定サンプル重量の約100
倍 で す。こ の 重 量 比 はDSC
高圧容器とほぼ同じです。
となります。
得 ら れ たD S Cの 発 熱 ピ ー ク か ら 発 熱 量 を 求 め る と
14.4kJ/gとなります。発熱量から推定するとアルミニ
ウムの93%以上が反応しています。
写真4 熱量校正ヒータと50MPa高圧容器
9. 応用測定例
測定例1 アルミニウム粉末の酸化
測定サンプル:アルミニウム粉末(和光純薬アルミニ
ウムパウダー)69mgに水106mgを充填し、昇温速度
1.8K / m i nで400℃まで昇温しました。得られる測定
s s i g n a l1)
データは図3に示した測定サンプル温度T (
と基準サンプル温度Tr(signal2)です。
図6 測定例1(水の亜超臨界におけるAlの水酸化)
9
TIIS ニュース No.236
一方、この反応はアルミニウム1モルから1.5モルの
専用G r e w e r炉が準備されています。ここで紹介する
水素が発生します。69mgのアルミニウムから標準状
のは電卓やP D Aの電源に使われるC R2032タイプの
態の水素が86mL発生します。水素ガス発生による高
マンガン・リチウム電池(国産P、S社、中国製C社)の
圧容器の圧力上昇は約29M P aとなります。水の超臨
“丸ごと測定”です。電池の丸ごと測定では電池メタ
界点(374℃)では超臨界点圧力の22.4M P aが加わり、
ルケースの陽極側に熱電対を直接スポット溶接しま
高圧容器の圧力は50M P aに達します。このように水
す。昇温速度1.8K / m i nで380℃までのD T A曲線を得
の超臨界点領域における化学物質の激しい反応挙動
ました(図8参照)。直径20m m厚さ3.2m mのC R2032コ
を測定することができます。
イン電池には1.5g程度の電極材料が有機溶媒系電解
測定例 2 硝酸アンモニウム(硝安)の熱分解
液を含めて充填されています。電解液は150℃付近か
測定サンプル:硝安151mg(1.89ミリモル)は
らシール性能が失われて漏れ出します。いずれのメー
2NH4NO3 → 2N2+4H2O+O2
カ製品もその電解液が漏れ出す前後から電池は発熱
の化学反応式のように爆発的に分解するとされてい
反応を開始します。170℃付近でシール材料が融解
ます。硝安2モルから7モルの分解ガスが発生します。
し、さらに発熱反応が加速されます。C社CR2032(100
151mgの硝安では標準状態で約150mLのガス発生し、
円ショップ商品)では360℃付近からさらに激しい発
このときの高圧容器の圧力は50MPa以上となります。
熱を開始し550℃まで到達する激しい自己発熱反応
測定前後の高圧容器の総重量は28.462gでガスの漏れ
を生じています。
がありません。高圧容器の蓋を緩めると分解ガスが放
出され重量が78m g減少して28.384gとなり、さらに容
器を100℃に加熱すると残存物の水が蒸発しほぼ元
の空容器の重量28.312gまで減少します。このように
測定後に高圧容器の蓋を安全かつ容易に取り外し、残
存物の回収や、重量測定による解析が可能なことがこ
の高圧容器の利点です。
図 8 測定例3(リチウム電池CR2032の熱安定性)
10 . 最後に
Grewer/DSC・DTAはミリグラムスケールとグラ
ムスケールの狭間にあり、粉体の安全乾燥温度評価だ
けでなく高エネルギー化学物質の熱分解プロセスの
熱危険性評価に適しています。得意な応用範囲は従来
図7 測定例2(硝酸アンモニウムの熱分解)
の耐圧10M P aの高圧容器では対応できない、火薬、推
進剤、ガス発生剤など自己発熱反応物質や水の超臨界
測定例 3 リチウムコイン電池の熱暴走反応
域における化学反応性,リチウム・イオン電池“まる
エネルギー密度の高い化学物質が充填されたリチ
ごと測定“のようなアプリケーションなど、熱危険性
ウム電池の熱安全性評価は“電池まるごと”加熱した
評価の強力なツールとして期待されます。
り、短絡させたりします。リチウムイオン電池の代表
的なサイズである18650タイプを評価できるように
10
TIIS ニュース No.236
TIIS紹介
◆粒子径・粒度分布測定装置
[どのようなデータが得られるか]
当協会ではこの度、新たに粉体の粒子径・粒度分布
一口に粒子径といっても、ほとんどの粒子の形状
測定装置を購入致しましたので、装置の概要を紹介さ
は、複雑かつ不規則な形状をしており、何をもって粒
せていただきます。
子径とするかは、粒子径の定義によって異なること
装置名は、レーザー回折・散乱式「粒子径・粒度分布
となります。レーザー回折・散乱法では、特定の粒子
測定装置」
(マイクロトラックMT3200Ⅱ,図1)です。測
形状(例:球)と特定の物理的な条件を仮定したとき
定レンジは0.2∼1400μmとなっています。
導かれる物理学的法則(例:M i e理論)を用いて測定量
を粒子径に算出する有効径が用いられています。 粒
子径が定義されると次にそれらがどのように分布し
ているかが重要であり、粒度分布には、積算分布と頻
度分布(体積基準分布と個数基準分布)があります。
我々の身近に存在するコピー機のトナーを試料とし
て粒度分布の測定を行った結果を図2及び表1に示し
ます。
図1 マイクロトラックMT3200Ⅱ
[使用目的]
危険性評価試験室で実施している化学物質の危険
性評価試験の中でも、粉じん爆発特性試験は依頼の多
くを占める主要な試験項目となっています。粉体の粒
図 2 トナーの粒度分布図
子径と粒度分布は、粉体の爆発危険特性を左右する重
要な物性値であることが知られています。
当協会の依頼試験項目にあります「粒径分布測定」
は、今後本装置を用いて実施されます。引き続き粉体
表1 トナーの粒径データ
要約データ
値
体積平均径(μm)
7.763
の粒度分布測定試験依頼者の方々のご要望にお応え
個数平均径(μm)
6.358
することができると考えております。
面積平均径(μm)
7.220
比表面積値(m2/cm3 )
0.831
標準偏差(μm)
1.913
[測定原理]
レーザー回折散乱法による粒度分布測定装置では、
レーザー光を試料へ照射し、ここから散乱される粒
これらの測定結果から、平均粒子径は何れの定義
子径情報(散乱角度依存)をある角度毎に検出、コン
においても6∼8μm程度の微粒子であり、粒径がほぼ
ピューターによる演算処理により粒度分布を求めて
揃っていることが分かります。また、比表面積値が標
います。
準物質の石松子(0.203)と比べても大きいことから粉
じん爆発性の高いことが伺われます。
11
TIIS ニュース No.236
トピック ス
◆JIS T 8157「電動ファン付き呼吸用保
護具」の規格改正について
(2)作業強度による区分は、重作業用及び通常作業
用とします。
(3)漏れ率による区分は漏れ率によって4等級に区
JIS T 8157「電動ファン付き呼吸用保護具(Powered
分します(表2参照)。
Air Purifying Respirators)」が平成21年3月に改正され
(4)フィルタの種類による区分は試験粒子の種類に
ました。本規格は,1982年に制定され,1991年に1回目の
よってタイプP L及びタイプP Sとし,その粒子捕
改正を経て,今回の改正は2回目となります。
集効率によって4等級に区分します。
電 動 フ ァ ン 付 き 呼 吸 用 保 護 具(以 下,P A P Rと い
改正のポイント
う。)が使用される諸状況は1991年と比べると格段に
・旧規格はガス用PAPRがありましたが、ガス用
変化し、増加しています。厚生労働省は、平成20年3月
PAPRは実績があまりないこと等から削除し、粉
1日から粉じん障害防止規則の中で、ずい道工事のコ
じん用PAPRのみに限定しています。
また、
新たに
ンクリート吹き付け作業その他、発じんの激しい作業
着用者の吸気の負荷を軽減するため、電動ファン
に対して、P A P Rの着用を義務づけました。このよう
によって面体内へ補助的に空気を送る呼吸補助
な状況のもとで、この規格は前回の改正から約17年
形PAPRを追加し、
PAPRの種類は従来のPAPRで
を経過していること、その間に技術の進歩によって新
ある標準形と呼吸補助形の2分類としています。
しい機能・付加価値をつけた多様な製品が見られるこ
・電動ファンから供給される送風量は、
作業強度によ
と、また、性能試験方法も国際的な流れとして進歩し
り通常作業用及び重作業用の2区分としています。
ていることを考慮し、実情に合わせて性能を評価する
ことを目的として,P A P Rの分類及びその性能基準並
2 . 性能
びに試験方法についての根本的な見直しがされまし
2-1漏れ率
た。今回、改正された内容と改正のポイントについて
説明いたします。
表 2 PAPRの漏れ率による等級
漏れ率による等級
S 級
1 . 種類
P A P Rの種類は、標準形及び呼吸補助形とし、使用
漏れ率(%)
0.1 以下
A 級
1
以下
B 級
5
以下
C 級
10 以下
できる面体等の種類、作業強度及びフィルタの種類に
より次のように区分されました。
(1)使用できる面体等の種類を表1に示します。
改正のポイント
・漏れ率の等級はS級(0.1%以下)、1級(1%以下)、
2級(5% 以 下)の3区 分 か ら、表2に 示 す と お り、
10%以下の区分が追加され4区分としています。
表1 使用できる面体等の種類
PAPRの種類
面体等の種類
全面形面体
標準形
呼吸補助形
12
半面形面体
フード
しかし、漏れ率の試験方法が改正されているた
め、同じ漏れ率であっても単純に新旧の規格を
比較することができません。また、漏れ率試験の
ための呼吸模擬装置の稼動条件は作業強度によ
フェイスシールド
り、通常作業用と重作業用の条件で評価するこ
全面形面体
とになります。
半面形面体
・漏れ率の試験方法はより着用時に近い状態で評
TIIS ニュース No.236
価できるように見直されました。試験粒子は旧
30L及び重作業用の場合は毎分40Lで吸引した
規格で用いていた石英粉じんからフィルタの粒
時に、面体内が陽圧であることを要求していま
子捕集効率の試験と同じN a C l粒子を用います。
す。したがって、実際の使用時には面体内が陰圧
フード・フェイスシールド形P A P Rを装着させ
になることが想定されます。呼吸補助形P A P R
る人体模型は,静止の人体模型から遥動形人体
は着用者の吸気量を全て供給するものではな
模型に変更し、頭部の前後、頭部の左右回転及び
く、あくまでも吸気を楽にするための機能を備
上腕部の上下運動時の動作を加味した漏れ率を
えた防じんマスクと言えます。
測定する厳しい評価になっています。
呼吸補助形P A P Rは標準形P A P Rに求めている性
2-2フィルタの粒子捕集効率
能とは大きく異なっています。
2-4フード又はフェイスシールドをもつP A P Rの
表3 フィルタの粒子捕集効率による等級別記号
最低必要風量
粒子捕集効率による等級別記号
PLタイプ
PSタイプ
(NaCl)
[フタル酸ジオクチル [塩化ナトリウム
(DOP)粒子による試験] 粒子による試験]
粒子捕集効率
(%)
表 4 PAPRの最低必要風量
PAPRの種類 面体等の種類
PL 100
PS 100
99.97以上
PL 99
PS 99
99
以上
PL 95
PS 95
95
以上
PL 90
PS 90
90
以上
フード
標準形
フェイス
シールド
作業強度に
よる区分
最低必要風量
L/min
重作業用
138
通常作業用
104
重作業用
138
通常作業用
104
改正のポイント
・試験粒子は旧規格で用いていたN a C l粒子及び
改正のポイント
溶接ヒュームから,NaCl粒子及びDOP粒子に変
・フード又はフェイスシールドをもつP A P Rは,
更しています。これはJ I S T 8151「防じんマス
ルーズフィット形であるため,その内部が陽圧
ク」の試験粒子に整合させ,防じんマスクの性能
に保たれることを明確に確認することが困難で
との整合化を図っています。
あります。そのため、電動ファンから供給される
2-3面体内圧
(1)面体をもつ標準形PAPR
0<PF<400
ここで、PF:面体内圧(Pa)
(2)呼吸補助形PAPR
0≦PF
改正のポイント
最低必要風量を規定することによって防護性能
を確保しています。
・最低必要風量は漏れ率試験における通常作業用
及び重作業用に規定されている呼吸条件のピー
ク値の1.1倍の吸引流量として定められました。
2-5面体をもつP A P Rの電動ファンの電源が切れ
た状態における性能
・標 準 形P A P Rは、作 業 強 度 に よ り 通 常 作 業 用
試験項目として吸気抵抗試験、二酸化炭素濃度上昇
(1.5L /回、20回/分)及 び 重 作 業 用(1.6L /回、25
値試験並びにしめひも及びしめひも取付部の強度試
回/分)の呼吸条件において面体内は常に陽圧
験を追加規定しました。
であることを要求し、着用者の吸気量を全て供
改正のポイント
給することを想定しています。したがって、着
・面体形P A P Rは本来電動ファンが正常に作動し
用者の面体内圧は常に陽圧になることで防護
ている状態で使用しますが、電動ファンが停止
性能を高く保つことができます。また、防じん
した時を想定し、防じんマスクとしても使用で
マスクとしての機能も有しています。
きるように防じんマスクの性能を確保するため
・呼吸補助形P A P Rは、通常作業用の場合は毎分
の試験を規定しています。
13
TIIS ニュース No.236
海 外 だ より
◆韓国における新しい検定制度について
全認証の為の申請をすることができる。この場合
韓国では、平成21年1月1日より新しい検定制度が
労働部長官は安全認証基準に基づいて安全認証
スタートしました。以下にその概要を示します。
をすることができる。
第5項 労働部長官は第2項および第4項に基づいて安
1 韓国の産業安全保健法の改正(検定関連の主
たる事項)
基準を守っている事を確認しなければならない。
第34条(検定)
この場合、確認周期は3年以内の範囲とし労働部
第1項 労働部長官は、有害もしくは危険な機械・器
令で定める。
具・設備および保護装置・保護具(以下“検定対象
第34条の3(検定の取消等)
機器類”という)の安全性を評価するためにその
第1項 労働部長官は検定を受けた者が次の各号のい
安全に関する性能と製造者の技術能力および生
ずれかに該当する場合、検定合格証を取り消すか
産体系等に関する検定基準(以下“単に検定基準”
若しくは、6か月以内の期間を定め検定合格標章
という)を定め、告示することができる。
の使用を禁止するか又は、改善命令を出すことが
この場合、検定基準は検定対象となる機器類の
できる。但し、次の場合には検定合格証を取り消
種類、申請の方式(型式・ロット)、審査の種類別に
さなければならない。
定める。
1. 偽りやその他の不正な方法で検定合格証を受
第2項 勤労者の安全・保健に必要であると認められ
大 統 領 令 で 定 め ら れ た“強 制 的 な 検 定 対 象 機 器
類”を製造する者(外国で製造され大韓民国に輸入
する場合および設置もしくは主要構造部分を変
更する場合を含む。以下この条から第34条の4ま
けた場合
2. 検定合格証を得た機器類の安全に関する性能
等が検定基準に適合しない場合
3. 正当な理由なく第34条第5項による確認の拒
否、妨害等の行為をする場合
で同様である。)は、それらの機器類を安全基準に
第2項 労働部長官は本条により検定合格証を取り消
合致させると共に労働部長官が実施する検定試
す場合には労働部令に定めるところによりその
験を受けなければならない。但し、中古品の強制
事実を公告しなければならない。
的な検定対象機器類を外国から輸入する場合は
第3項 本条により検定合格証を取り消された者は検
輸入する者が検定試験を受けることができる。
定合格証が取り消された日より1年以内には同じ
第3項 次の各号のいずれかに該当する場合、労働部
規格及び検定の対象機器類の検定申請をするこ
令で定めるところにより第2項による検定の全部
または一部を免除することができる。
1. 研究・開発を目的に製造・輸入する場合
2. 労働部長官が定め、告示する外国の検定機関で
認証を受けている場合
3. 他の法令で安全性に関する検査もしくは認証
を受けた場合
第4項 強制的な検定対象機器類ではないが安全認証
の対象となる機器類の安全に関する性能等の評
価を希望する場合には、製造者は労働部長官に安
14
全に関する評価を受けた製造者が継続的に安全
とができない。
第34条の4(強制的な検定対象機器類の製造・輸入等
の禁止等)
第1項 次の各号のいずれかに該当する検定対象機器
類は製造・輸入・譲渡貸出・ 使用するか又は譲渡・
貸出の目的で陳列してはならない。
1. 検定を受けていない場合(第34条第3項により
検定が全部免除される場合を除く)
2. 第34条の3第1項により検定合格証が取り消さ
れるか合格標章の使用禁止命令を受けた場合
TIIS ニュース No.236
3. 第34条第1項により労働部長官が定め告示する
検定基準に適合しない場合
2. 労働部長官が定め告示する数量以下で、上記第
28条の検定対象機器を輸入する場合。
第2項 労働部長官は第1項に違反し強制的な検定対
3. 上記第28条第1項1に該当する検定対象機器類
象機器等を製造・輸入・譲渡・貸出する者に労働部
及び設備を、書面審査とロット製品審査を受
令で定めるところによりその検定対象機器類を
けて輸入する場合。
回収するか破棄命令を出すことができる。
4 検定の免除
2 検定の対象となる機器
第58条の2(安全認証の免除)
第28条(強制的な検定対象機器類)
第1項 法第34条第1項による強制的な検定対象機器
第1項 第34条第2項で“示される強制的な検定対象
類で次の各号のいずれかに該当する場合、第34条
機器類”とは次のとおりである。
第2項による安全認証を全部免除する。
1. 次の各目に該当する機械・器具および設備
1. 研究・開発の目的で製造・輸入する場合
イ. プレス
ロ. 裁断機
ハ. クレーン
ニ. リフト
2.「高圧ガス安全管理法」第17条第1項による検査
を受けた場合
3.「エネルギー利用合理化法」第39条第1項および
第2項による検査を受けた場合
ホ. 圧力容器
4.「電気事業法」第63条による検査を受けた場合
ヘ. ロール機
5.「港湾法」第28条第1項第1号および第2号による
ト. 射出成型機
チ. 高所作業台
2. 次の各目に該当する保護装置
イ. プレスおよび裁断機保護装置
検査を受けた場合
6. 「鉱山保安法」第9条による検査のうち、鉱業施
設の設置工事もしくは変更工事完了時検査を
受けた場合
ロ. クレーン用過負荷防止装置
7.「建設機械管理法」第13条第1項第1号・第2号・第
ハ. ボイラの圧力放出用安全弁
3号による検査を受けた場合もしくは同法第
ニ. 圧力容器の圧力放出用安全弁
18条による形式承認を受けたか同条による形
ホ. 圧力容器の圧力放出用破裂板
式申告をした場合
ヘ. 絶縁用保護具および防具
8.「船舶安全法」第7条による検査を受けた場合
ト. 防爆構造の電気機械器具及びコンポーネント
第2項 検定対象機器類が次の各号のいずれかに該当
チ. 墜落・落下および崩壊等の危険保護に必要な
する検定・試験もしくはその一部項目が第34条第
仮設器材で労働部長官が定め告示したもの
第2項 上記の第1項による検定対象機器類の詳細な
1項前段による検定基準と同等以上であると認め
られた場合には、第34条第2項による検定試験を
種類もしくは規格および審査の方法は労働部長
免除することが出来る。
官が定め告示する。
1. 労働部長官が定め告示する外国の安全認証機
関で認証を受けた場合
3 輸入者の安全認証の義務
第58条(輸入者の安全認証の義務)
2. 「品質経営および工業製品安全管理法」第14条
による安全認証を受けた場合
次に該当する場合、輸入者が、安全認証を受けるこ
3.「産業標準化法」第15条による認証を受けた場合
とができる。
4.「国家標準基本法」による試験・検査機関で実施
1. 上記第28条の第1項1に該当する機械・器具及び
設備を中古品として輸入する場合。
する試験を受けた場合
5. 国際電気標準会議(IEC)の相互認証制度(IEC
15
TIIS ニュース No.236
Ex Scheme)により認証を受けた場合
第3項 検定が免除される強制的な検定対象機器類を
品審査を同時に希望する場合、並行して審
査することができる)
製造するか輸入する者は該当工業製品の出庫も
個数を決めて申請することが求められる。
しくは通関前に検定免除申請書に次の書類を添
この方式で申請する場合には工場審査は必
付して検定機関に提出しなければならない。
要ない。
1. 製品および用途説明書
2. 研究・開発を目的として使用されるのを証明す
る書類(第1項第1号のみ該当する)
3. 外国の安全認証機関の認証証書および試験成
績書(第2項第1号のみ該当する)
ロ. 型式審査
書面審査と技術能力および生産体系の審査
(工場審査)に適合した場合に行う審査。こ
の審査では、型式別に供試品を抽出して行
う。
(申請者が書面審査、技術能力および生
4. 他の法令による認証もしくは検査を受けたこ
産体系審査と型式別製品審査を同時に希望
とを証明する書類および試験成績書(第1項第
する場合並行して審査することができる)
2号より第8号までおよび第2項第2号より第5
表1に各審査に必要な書面等をしめす。
号までのみ該当する)
5. 検定機関は第3項による検定免除申請を受ける
表1 審査種類と必要書類
とそれを確認し検定免除確認書を発行しなけ
ればならない
5 検定の審査の種類及び提出書類
(1)予備審査
提出された機械・器具および保護装置・保護
具類が強制的な検定対象機器類であるかを
確認する審査.
(2)書面審査
設計図面,製品及び関連文書等が検定基準に
適合しているか否かの審査
(3)技術能力および生産体系審査(工場審査)
検定対象機器類の安全性能を持続的に維持・
保証するために事業所で必要な技術能力お
よび生産体系が検定基準に適合するかを確
認する審査。
(4)製品審査
検定対象機器類の安全に関する性能が検定
16
基準に適合するかに関する審査(次の各項目
6 検定の処理期間
の審査は検定対象機器類別に労働部長官が
検定の処理期間は概ね、次のとおりである。但し、
定め、告示する基準によりいずれか一つだけ
製品審査の処理過程において、審査を終了出来ないや
受ける事ができる)
むを得ない事由があるときには15日を限度とし、審
イ. ロット製品審査
査期間を延長することができる。
書面審査結果が検定基準に適合した場合
1. 予備審査。7日
に行う審査(申請者が書面審査とロット製
2. 書面審査。15日(外国で製造した場合は30日)
TIIS ニュース No.236
3. 技術能力および生産体系審査。30日(外国で製造
した場合は45日)
4. 製品審査
(3)表示は対象機器類、もしくはこれを入れる容
器の適当なところに貼るか印刷もしくは彫る
等の方法で表示しなければならない。
イ. ロット審査。15日
ロ. 型式審査。30日(令第28条第1項第2号トの保護装
置と同じ条第3号イよりチまでの保護具は60日)
(4)国家統合認証マークの基本模型の色は、
“KC
Dark Blue”にし、別の色で印刷する場合には
PANTONE 288C色を使用し、4原色で印刷す
る 場 合 に はC:100%、M:80%、Y:0%、K:30%で
7 確認審査の方式
印刷すること。
(1)検定機関は、合格証を受けた製造者について
(5)特殊な効果を得るために金色と銀色を使用す
次の各号の事項を確認しなければならない。
ることもできる。色を使用できない場合には
1. 合格証に書かれた製造事業所で該当機器
黒色で記載しても良い。他の色で印刷する場
類を生産していること。
合には色別PANTONE色を使用できる。
2. 合格証を受けた対象機器類が検定基準に
適合していること。
3. 製造者が合格証を受けた当時の技術能力・
生産体系を持続的に維持していること
(品質システムの確認)。
図書案内
4. 検定対象機器類が書面審査内容と同水準以
上の材料および部品を使用していること。
(2)検定機関は、合格証を受けた製造者が検定基準
を守っているか毎年確認しなければならない。
(3)検定機関は、検証した後に安全認証確認通知
書を製造者に発行しなければならない。
「静電気Q&A」
・B6判・211頁(1992)
・編集・監修/静電気学会編集委員会
・制作・発行/株式会社 明広社
・販売価格 1,500円(消費税込)
静電気に関するQ / Aを、非常に要領よく、わか
りやすくまとめてある。出版されたのは、1992年
8 表示
(1)表示の大きさは対象機械・器具等の大きさに
であるから、かなり前になるが、今読んでみても
より調整できるが認証マークの縦(高さ)は
古さを感じさせない。見開きでQとAが配置され
5mm未満にすることはできない(図1参照)。
ており、内容の理解を助ける漫画が各Qごとに挿
入されていて、読み物としても面白い。
通常、よくある質問から、かなり高度な内容ま
で 約100の 質 問 が 掲 載 さ れ て お り、一 般 の 方 か
ら、専門の方まで役立ち、辞書的に使える。 回答
者は分野ごとの一流の学者、研究者である。
質問の例には次のようなものがある。
①砂漠の砂は帯電するのですか?
図1 承認マークの形状
②滝も帯電しますか?
③気体はどうして帯電するのですか?等々。
(2)表示の表象を明確にするために必要であれば
なお、①の回答は、y e s、②の回答も滝のしぶき
表示の周りに表示事項を国・英文等の文字を
とすれば、yes。 書き加えることができる。
その他、詳しくは、本をご覧ください。
17
TIIS ニュース No.236
Q&A
◆旧構造規格による型式検定合格品の更
新検定と同一型式について
有害物質の全面禁止に伴う代替化により、法令の要求
電気機械器具防爆構造規格(以下「構造規格」とい
で認めること。
う。)が改正され、平成20年10月1日より施行されまし
なお、以上の内容は検定の方法として旧構造規格を
たが、旧構造規格による型式検定合格品の更新検定に
適用した合格品に対する事項で、国際規格に整合した
おいて、同一型式の追加ができないといわれましたが
技術的基準による検定合格品には適用されません。
(技
何故でしょうか?
術的基準による合格品は更新時の変更が認められる。)
による旧規格合格品の材料変更を更新時の一部変更
◆A
においては、当該機械等の主要部分の形状及びその他
◆耐圧防爆構造を適用した輸入品の電気
機器とケーブルグランドについて
安全性能に関係する部分の仕様が同一のもの(以下、
耐圧防爆構造を適用した輸入品の電気機器におい
型式検定対象機械等である防爆構造電気機械器具
「同一型式」という。)であれば、更新検定において追
18
て、本邦で検定申請するにあたり、ケーブルグランド
加することを認めておりました。
は海外で認証を取得したものより、本邦の検定合格の
換言すれば、
追加する同一型式について、
試験を実施す
実績のあるものと交換するよう勧められましたが、何
ることなく技術常識的に見て同等以上の防爆性能がある
故でしょうか?
と容易に判断できる対象に限り、
認めておりました。
◆A
また、平成20年10月1日の改正された電気機械器具
海外の検査機関では、コンポーネント(部品)を単
防爆構造規格適用日において、平成20年3月13日の改
位とした認証も実施されており、耐圧防爆構造を適用
正告示第88号の附則第2号に示されているとおり、改
した電気機器においては、電気機器本体とケーブルグ
正告示の適用日以後も旧構造規格により型式検定に
ランド(部品)が、それぞれ個別に認証されているも
合格しているものは、譲渡等の制限等にあたっては旧
のも少なくないと考えられます。
規格に基づき更新検定を行うこととなっております。
本邦においては、これらを一体にしたものを単位の
一方、更新検定における基準は、変更のあった製造検
電気機器とし検定の対象としているため、輸入品につ
査設備等、型式の範囲内において変更しようとする構
いては、電気機器本体にケーブルグランドを取り付け
造に対し、規格が改正された場合は、当該部分に係る構
たものを申請の単位としてもらっております。
造等について検定を行うことになりますが、改正後の
海外の検査機関で認証されたパッキン式ケーブル
規格において試験方法等が変更若しくは新設されたと
グランドは、使用するケーブルの種類に対する条件を
きは、新規検定を実施することとされております。
加味して認証されたものもあり、本邦での施工時に使
今 般 の 規 格 改 正 は、旧 規 格 の 用 途 に つ い て「屋 内
用するケーブルによっては、適用する規格の差などに
用」、
「屋 外 用」と し て い た も の を、容 器 の 保 護 等 級
より、圧縮した状態でのパッキンの軸方向の長さが規
(I P)という形で、また、沿面距離・絶縁空間距離に係
定値を満たさない、あるいは衝撃試験で不具合を生ず
る規定と規格適合要件の削除など試験方法の変更・新
るなど、本邦の規準に適合しないこともあります。
設があり、同一型式の追加等変更のある場合は新たな
従って、以上の点に留意し、本邦の検定合格実績の
試験を実施する必要性が生じ、よって更新検定におい
あるケーブルグランドの使用を勧めております。
ては一部の例外 ※1を除き同一型式の追加が認められ
なお、本邦での施工条件を踏まえて調達したケーブ
なくなりました。
ルグランドであれば、不具合が生ずることはないと考
※1 改正政令(平成18年政令第257号)による石綿等
えられますので念のため。
TIIS ニュース No.236
会員の声
◆胴ベルト型安全帯とハーネス型安全帯
合性や、ハーネス型安全帯との安全性の比較を考える
サンコー株式会社 代表取締役社長
室井良樹
と、将来墜落阻止を目的として胴ベルト型安全帯が残
全産業での災害型別で最も多いのは墜落・転落災害
来はハーネス型安全帯に1本化されることは必然と思
です。この墜落災害を防ぐ、あるいは減らすために、安
われます。
全帯を使うことは有効な手段のひとつです。
では、国内ではどのようなハーネス型安全帯が求め
現在国内の安全帯はベルトの形式によって、胴ベル
られるのか?
ト型安全帯とハーネス型安全帯の2種類に分類されま
墜落災害のある調査では、安全帯を使っていなかっ
す。ご存知のように欧米では墜落阻止用としてはハー
たことが最も多い発生原因であるという結果があり
ネス型安全帯だけが認められていますが、国内の規格
ます。もともと、作業効率が落ちる等の理由から、ユー
では平成14年の厚生労働省の「安全帯の規格」で初め
ザーは積極的に安全帯を使うことを避ける傾向にあ
て定められました。
る中、ユーザーが敬遠するようなハーネス型安全帯で
ハーネス型安全帯は落下傘のベルトのように、墜落
は、安全帯の不使用という状況が益々増えるという懸
阻止時の衝撃を身体の複数個所で受け止めるため、胴
念があります。
ベルト型安全帯に比べ苦痛の度合いは格段に低くな
また、最近の事例では誤った安全帯の使い方によっ
るという最大の特長があります。実際に両方の安全帯
て生じた災害が目立ちます。国内の安全帯の使い方は
を装着して、自分の体重を安全帯に掛けた場合、どの
「1本つり」と「U字つり」の2種類に分類できますが、こ
程度の時間、その苦痛に耐えられるか測定したことが
の事例は禁止されているのにもかかわらず1本つり
ありますが、胴ベルト型安全帯の場合、ベルトの締め
専用の安全帯でU字つり作業をしたために発生した
る位置やD環の位置等によっては、一瞬間も耐えられ
ものです。実際の作業現場ではいろいろな作業環境が
ない被験者があったのに対し、ハーネス型安全帯の場
あって、限られた安全帯の使い方では、墜落の危険を
合は、耐えうる時間があまりにも長すぎて測定を中止
回避できない状況があり、やむを得ずに誤った使い方
するほどでした。
をする可能性もあります。ハーネス型安全帯は現在の
このようにハーネス型安全帯は、身体への負担を極
ところ1本つり専用の安全帯のため、U字つり作業が
力少なくして墜落を防ぐという本来の観点から、現在
できず、この発生原因を排斥できません。
最も優れた構造の安全帯であると誰もが認めるもの
このような背景から、メーカーとしてハーネス型安
の、現在でも安全帯の主流は利便性のある胴ベルト型
全帯を普及させるためには、ユーザーが使用を避ける
安全帯で、その比率は95%を超えています。
原因である構造の複雑性からくる装着の煩わしさや、
その理由として、胴ベルト型安全帯も、これまで墜
使用中の圧迫感などを軽減すること、また胴ベルト型
落災害の防止に少なからず寄与してきたことと、多く
安全帯のように工具を吊り下げる部分を設けること
のユーザーが安全帯に墜落災害を防ぐという用途と
など安全帯外の機能についての要求事項にも改善し、
共に、工具等を吊り下げることができる丈夫な作業用
使いやすい、あるいは多機能なハーネス型安全帯を作
のベルトとして重宝されていたのが実情で、現在もそ
りあげていくことなど、課題が山積しています。
ることは、よほどの合理的理由が無い限り難しく、将
の傾向が強く残っているようです。
これら国内の現状を考えますと、すぐに胴ベルト型
安全帯が規格から除外されることはないと思います
が、今後の課題となる安全帯に関する国際規格との整
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TIIS ニュース No.236
協 会 から の お 知ら せ
◆平成21年度第1回理事会及び通常総会
のお知らせ
○第4回運営委員会の開催
定款第20条により、平成21年度の第1回理事会及び
場 所 大阪産業安全技術館 6階講堂
通常総会を下記により開催致します。
議 題 (1)事業報告
日 時 平成21年5月29日(金)16:00∼
場 所 KKRホテル東京 丹頂の間(11階)
東京都千代田区大手町1-4-1
日 時 平成21年2月17日(火) 13:30∼16:00
(サイエンス・カフェ、安全帯調査研究
委員会等)
(2)安全見学会の実施計画
(3)TIIS関西事務所感謝祭の実施計画
◆平成20年度第2回理事会報告
(4)平成21年度の実施計画及び新規事業の検討
平成20年度第2回理事会は平成21年1月23日(金)、
(5)その他
東京都千代田区大手町のK K Rホテル東京で開催され
○安全帯調査研究委員会作業会の開催
ました。田畠会長の挨拶の後、次の議案が審議され、い
日 時 平成21年2月23日(月) 13:30∼16:00
ずれも異議なく承認されました。議事終了後、来賓の
場 所 産業安全技術協会 関西事務所
厚労省労働基準局平野良雄安全課長より、ご挨拶をい
議 題 (1)海外製安全帯の性能・構造検査の報告
ただきました。
第1号議案:事業経過報告について
書に関する最終調整
(2)その他
第2号議案:消費税の納税について
○安全見学会の実施
第3号議案:入会申込の承認について 日 時 平成21年3月3日(火) 8:45∼17:30
その他
場 所 花王(株)和歌山工場、
和歌山マリーナシティー他
○平成20年度TIIS関西事務所感謝祭の開催
日 時 平成21年3月24日(火) 15:00∼19:00
場 所 KKRホテル大阪、白鳥の間、星華の間
議 題 第1部 (1)関西事務所活動報告
(2)海外製安全帯の調査研究報告
第2部 講演「21世紀を歩むステアリング」
平野良雄厚生労働省安全課長からのご挨拶
◆関西事務所だより
◆TIISサイエンス・カフェ2008を開催
○第4回安全帯調査研究委員会の開催
平成20年12月19日、日本ペイント(株)のご協力の
日 時 平成21年1月27日(火) 13:30∼16:00
もと、大阪工場・静電気実習室にて、
「T I I Sサイエン
場 所 産業安全技術協会 関西事務所
ス・カフェ2008」が開催されました。
議 題 (1)海外製安全帯の外観・構造検査の
今回のサイエンス・カフェでは、空気の乾燥するこ
まとめの検討
(2)中国規格翻訳の検討
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第3部 懇親会
の時期に話題になる静電気をテーマに、”身近な安全
「見て・ふれて」楽しむ実験教室、
『静電気』火災・爆発
(3)日本製安全帯の性能試験結果の報告
防止模擬体験学習”と題して、一般市民の皆様をはじ
(4)海外製安全帯の性能試験結果のまとめ
め、静電気に関心のある多くの皆様方に参加していた
TIIS ニュース No.236
だきました。
今回 の 企 画 で は、
「 た め し て・楽 し む」参 加 型 の 実
験教室をスローガンに、ご来場の皆様全員に実際に
工作に参加していただき、静電気を体感していただ
きました。
花王(株)和歌山工場で説明を受ける参加者
◆平成20年度TIIS関西事務所感謝祭を開催
3月24日(火)、KKRホテル大阪の白鳥の間において、
平成20年度TIIS関西事務所感謝祭が開催されました。
これは関西事務所における今年度の活動報告を兼ね
て、当協会関西地区会員への安全及び労働衛生情報の
「ためして・楽しむ」静電気実験に取組中の参加者
発信と会員相互の親睦を目的に実施されたものです。
第1部では、田畠会長及び徳山関西事務所運営委員
◆安全見学会を実施
長の挨拶の後、今年度の活動報告として海外製安全
平成21年3月3日(火)、花王(株)和歌山工場(和歌山
帯の構造及び性能に関する調査研究の成果が報告さ
県和歌山市湊1334)を見学する安全見学会が実施さ
れました。また、第2部では、田畠会長による特別講演
れました。
「21世紀を歩むステアリング−これからどこへ向か
花王和歌山工場は1944年の操業で、和歌山下津港
うのか?−」が行われました。その後、会場を同ホテ
に隣接し、総生産量の4割を占める花王(株)の主力工
ル星華の間に移し懇親会を開催しました。ここでは古
場であり、原材料の購入から販売までを一つの流れと
川副会長及び松井常務の挨拶、島浦大阪労働局労働基
して生産・在庫の管理を行うなど、効率的な運営がな
準部長の祝辞をいただきました。
されています。また、家庭用製品を扱うメーカーとし
て、安全性の確認を最重要課題として、モノづくりの
あらゆる段階で品質、安全、環境への配慮がされてい
ます。
和歌山工場のユニークな取り組みとして、各工場か
ら選抜された人が6ヶ月間研修を受けるシステムが組
まれ、研修の中で人脈形成と、その後の工場間の情報
の共有に役立てています。
工場に到着後、まず見学者用の案内室で説明員より
感謝祭の第1部における会長の挨拶
花王(株)の企業概況の説明を受け、その後、容器、洗
剤の供給から洗剤が自動充填され、最終工程で包装さ
◆組織の改編
れ完成品となるまでの一貫した生産システムを見学
当協会では業務を円滑に進めるため、組織を改編し
しました。見学を通して、品質、安全、環境への徹底し
ました。その主なものは次の通りです。
た取組みが実感できました。
・防爆電気試験部と機械器具試験部を統合し、検定
試験部を創設。
・安全性能試験室を危険性評価試験室に改称。
・業務部を廃止し、東京事務所、関西事務所を本部
の所掌に変更。
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TIIS ニュース No.236
◆人事異動のお知らせ
(平成20年4月1日付) 参与
市川健二(前理事・業務部長)
検定試験部長(防爆電気担当部長兼任)
永石治喜(前防爆電気試験部長) 検定試験部・機械器具担当部長
会社名:進興電気工業(株)
所在地:〒535-0031
大阪府大阪市旭区高殿2-5-5
TEL 06-6922-3881 代表者:代表取締役 小泉二朗
営業品目:電熱機器の製造と販売
澤田 望(前機械器具試験部長)
関西事務所長(検定試験部検定員兼任)
岡橋賢治(前関西事務所検定員)
認証部主任検定員(検定試験部主任検定員兼任)
長束正彦(前認証部副主任検定員・防爆電気
試験部副主任検定員)
◆関連機関からのお知らせ
平成21年度科学技術週間
「(独)労働安全衛生総合研究所一般公開」
のお知らせ
認証部主任検定員
吉原俊輔(前認証部副主任検定員)
労働安全衛生総合研究所では、研究施設の一
検定試験部主任検定員
般公開を次のとおり行います。
後藤 隆(前防爆電気試験部副主任検定員)
<働く人の安全に関する研究施設公開>
検定試験部事務主査
・日時:平成21年4月15日(水)13:30∼16:30
中山眞木子(前防爆電気試験部)
(受付終了16:00;この時間内で随時参加が可能です。)
(新規採用)
・場所:東京都清瀬市梅園1-4-6
検定試験部試験員
労働安全衛生総合研究所(清瀬研究施設)
渡辺充博
・申込み先:E-mail [email protected]
佐藤英徳
または FAX 042-491-7846
危険性評価試験室試験員
・問合せ先:TEL 042-491-4512
青木宗一
<働く人の健康に関する研究施設公開>
関西事務所事務員
・日時:平成21年4月12日(日)
緒方三枝
午前の部 10:00∼12:30(受付開始9:30)
午後の部 14:00∼16:30(受付開始13:30)
◆新入会員
○入会申込(平成20年12月31日現在)
注)午前の部と午後の部は同じコース
となります。
原則として、午前の部は10:00、午後の
会社名:シバタ工業(株)
部は14:00までに受付をお願いします。
所在地:〒674-0082
・場所:神奈川県川崎市多摩区長尾6-21-1
兵庫県明石市魚住町中尾1058
労働安全衛生総合研究所(登戸研究施設)
TEL 078-946-1515 ・申込み先:E-mail [email protected]
代表者:代表取締役社長 柴田充喜
または FAX 044-865-6124 営業品目:フレキシブルコンテナ、フロアマット、
・問合せ先:TEL 044-865-6111
安全靴
■詳細は、ホームページ
(http://www.jniosh.go.jp/announce/2009/open09/)
をご覧下さい。
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