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豊山町第4次総合計画基本構想(PDF)
資料5 豊山町第4次総合計画基本構想 (検討資料) 平成21年5月 豊山町 総務部 総務課 豊山町第4次総合計画の構成(第3次総合計画との比較) 第3次総合計画 第1編 序説 第4次総合計画(案) はじめに 1 計画策定の趣旨 1 計画策定の趣旨 2 計画の構成と期間 2 計画の構成と期間 3 豊山町の現況と特性 3 豊山町の現況と特性 4 計画策定の背景 4 計画策定の背景 5 町づくりの課題と目標 5 まちづくりの主要課題 第2編 基本構想 第1編 基本構想 第1章 将来像と主要指標 1 まちづくりの基本理念と将来像 1 町づくりの基本理念と将来像 2 まちづくりの目標 2 将来人口の設定 3 まちづくりの指標 4 土地利用構想 5 基本構想の推進のために 第2章 施策の大綱 1 調和のとれた土地利用と生活基盤整備の推進 2 快適で住みやすい居住環境の整備 3 やさしさと思いやりのある健やかな暮らしづくり 第2編 4 活気とにぎわいを生み出す産業活力づくり 1 まちづくりの重点戦略 5 環境を重視した町づくり 2 分野別まちづくり計画 6 豊かな人間性を彩るいきいきとした人づくり 3 計画の推進のために 7 心ふれあう対話のある地域社会をつくる 第3編 基本計画 基本計画 参考 参考 1 豊山町総合計画審議会条例 1 策定体制 2 豊山町総合計画審議会運営要綱 2 策定の主な経緯 3 第3次総合計画案について〔諮問・答申〕 3 総合計画審議会(条例、経過、名簿等) 4 豊山町第3次総合計画審議会委員名簿 4 第4次総合計画案について〔諮問・答申〕 5 総合計画審議会専門部会名簿 5 総合計画策定会議等(要綱、経過、名簿等) 6 総合計画策定会議設置要綱 6 政策指標・施策指標一覧 7 個別計画等一覧 8 用語の解説 7 総合計画策定委員会設置要綱 8 総合計画策定会議委員名簿 9 総合計画策定委員会委員名簿 10 策定体制フロー図 11 豊山町第3次総合計画策定の主な経緯 はじめに 1 計画策定の趣旨 豊山町では、平成 13 年(2001 年)に策定した「第3次豊山町総合計画」に基づき、町の将 来像『住民とともに創造する活力ある都市』の実現に向けて、まちづくりを進めてきました。 しかしながら、近年は全国的には人口減少社会となり、少子高齢化がさらに進むとともに、 情報化や国際化のさらなる進展、環境問題の深刻化、安全や健康への意識の高まりなど、社会 情勢や住民意識が大きく変化してきました。また、地方分権が新たな段階を迎え、世界的な経 済不安や長引く景気低迷も懸念され、自治体にはこれまで以上に自己決定と自己責任による自 立した行政経営が強く求められています。 本町に目を向けても、平成 17 年(2005 年)に名古屋空港の空港機能が変更され、県営名古 屋空港として新たなスタートを切りましたが、空港機能変更後は、厳しい財政状況の中、住民 との『ぬくもり』と『対話』をキーワードとして、単に空港に依存するだけの行政からの脱却 を目指し、空港を活かした地域振興、土地利用の実現に向け、新たな取り組みを始めたところ です。 このような本町を取り巻くさまざまな変化を踏まえ、これまでの総合計画のまちづくりの成 果と反省に基づき、新しいスタートを切るという認識のもと、住民と行政との協働により、住 民の創意と知恵を結集し、豊山町の地域特性を活かした、持続可能で自立した社会を創生する ための本町の新しい“まちづくりの指針”として「豊山町第4次総合計画」を策定します。 豊山町第4次総合計画は、策定の過程はもとより策定後も将来にわたって住民と行政が共有 すべき“まちづくりの指針”となるものであり、次の6つの視点で策定されています。 住民との協働による計 情報の共有や対話を通して、住民と行政が一体となって計画づく 画づくり りを行い、町職員一人ひとりが主体的に参画し、全職員が一丸と なって作り上げる わかりやすい計画づく 戦略的・重点的に取り組むべき内容とプライオリティを明らかに り し、それに対する目標を具体的に掲げ、目標とその実現のための 手段と道筋を明らかにする 地域特性の反映 豊山の歴史、文化、自然等、地域特性を踏まえ、豊山らしさを発 揮・発掘する視点を重視する 実効性の確保 財政基盤の強化を図りながら、事業の選択と集中による実効性の ある計画とする 進行管理と評価システ 計画に基づいて実行した成果を定期的に点検し、評価し、必要に ムの構築 応じて見直しを図る 各種個別計画との関連 町の最上位計画として、町が策定する各分野の個別計画・施策に 方向性を与える 1 2 計画の構成と期間 豊山町第4次総合計画は、基本構想、基本計画、実施計画で構成し、それぞれの性格や計画 期間は次のとおりとします。 (1)基本構想 基本構想は、長期的な展望を踏まえ、将来像とまちづくりの理念を示すとともに、町政経営 の基本的な方針や政策の基本方向を定めます。 基本構想は、平成 22 年度(2010 年度)を初年度とし、目標年次を平成 31 年度(2019 年度) とする 10 年間の期間を設定します。 (2)基本計画 基本計画は、基本構想に描かれた将来像とまちづくりの理念を実現するために、施策の大綱 に基づき、必要な施策を体系的に定めます。施策内容については、町が推進する施策のみなら ず、各種団体・住民と協力し合う施策や、国や県などへの要望も位置づけます。 計画期間は、平成 22 年度(2010 年度)から平成 26 年度(2014 年度)の 5 年間とします。 なお、平成 27 年度(2015 年度)から平成 31 年度(2019 年度)の後期計画は、平成 25 年度 (2013 年度)から平成 26 年度(2014 年度)に前期計画を見直し、策定します。 (3)実施計画 実施計画は、毎年度の予算編成の指針として、基本計画に定めた施策について、財政的な裏 付けを持って向こう3年間で計画的に実施する具体的な事業の内容を定めます。 計画期間は 3 年間とし、ローリング方式で策定します。 第4次総合計画の構成と計画期間 22 基本構想 基本計画 23 24 25 26 27 28 29 30 31 平成 22∼31 年度(2010∼2019 年度) 平成 22∼26 年度 (2010∼2014 年度) 本書には、基本構想と基本 計画(前期計画)をまとめ ています。 後期基本計画 3 年間の計画期間で 毎年ローリング 実施計画 2 3 豊山町の現況と特性 豊山町の強みと弱みから現況と特性を整理します。 (1)立地・地勢 ◆ 本町は、名古屋市の中心部から 10km の近さにありながらも、農地などの緑も適度に残 り、都市と自然が共存した良好な環境を有しています。 ◆ 町域は海抜 7∼9m 程度のほぼ平坦地であり、北東から南西方向に一級河川大山川、並行 して準用河川久田良木川が流れています。 ◆ 町の面積は県内で最も小さく、その内の3分の1を県営名古屋空港が占めており、住宅 地や各種施設などがコンパクトにまとまった都市構造となっています。 ◆ しかし、その反面、県内で最も狭い限られた町域であることから、その限られた土地を 有効に活用していくことが強く求められています。 豊山町の強み 豊山町の弱み ○ 名古屋市に近接し都市と自然が適度に共存 ▽ 県内で最も狭い限られた町域 ○ 県内で最も小さいコンパクトにまとまった 町域 (2)都市基盤 ◆ 県営名古屋空港が立地し、国内各地と航路で結ばれている。平成 17 年(2005 年)には、 中部国際空港の開港に伴う機能変更により、コミューター航空やビジネス機を中心とす る都市型総合空港として新たな役割を発揮し始めています。 ◆ 名古屋市と東名・名神高速道路小牧インターチェンジをつなぐ名古屋高速道路、国道 41 号をはじめとして、広域的な幹線道路網が充実しています。 ◆ 町内に鉄道駅がないため、バス交通が公共交通網の中心となり、タウンバスや民間バス が町内外の主要アクセスとなっています。 ◆ 生活道路や公園、下水道など身近な生活基盤の整備が遅れており、街並みの魅力の不足 なども指摘されており、充実が望まれています。 豊山町の強み 豊山町の弱み ○ 県営名古屋空港の立地 ▽ 鉄道がない ○ 広域幹線道路網の充実 ▽ 生活道路の整備水準が低い ○ タウンバスなど町内外のアクセスとなるバ ス路線 ▽ 都市公園の不足・児童遊園の管理不足 ○ 各地区に児童遊園が立地 ▽ 町の中心核がない・街並みの魅力の不足 3 ▽ 下水道整備の遅れ (3)生活環境 ◆ 総合福祉センターや社会教育センター、保健センター、町民グランドなど、町民の福祉 や生涯学習活動、スポーツ活動を支える各種公共施設が充実しています。 ◆ 町内の全域が平坦地にあり、大きな工場の立地も少ないため、深刻な公害や災害への不 安は少なくなっていますが、広域幹線道路が横断し、県営名古屋空港や名古屋市中央卸 売市場北部市場、大規模商業施設など集客・交流の多い施設の立地もあり、通過交通等 による騒音、ごみの不法投棄、犯罪や交通事故などへの不安も生じています。 豊山町の強み 豊山町の弱み ○ 各種公共施設の充実 ▽ 空港・幹線道路による騒音等の不安がある ○ 公害や災害への不安が少ない ▽ 犯罪や交通事故の発生件数が比較的多い ▽ ごみ排出量やごみの不法投棄が多い (4)産業 ◆ 商業は、名古屋市中央卸売市場北部市場やその関連企業が多数立地し、事業所数、従業 者数、販売額などいずれの指標も高い水準になっています。加えて、平成 20 年(2008 年)には、名古屋空港旧国際線ターミナルビルに大規模商業施設が開設し、さらに活発 さを増しています。 ◆ 工業は、製造品出荷額の落ち込みが顕著になっていますが、空港周辺には航空関連企業 が立地しているほか、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の研究開発施設やMRJ生産開発拠 点の立地も計画されており、航空宇宙産業の集積による今後の発展が期待されています。 ◆ 通勤による流入人口が多く、就業の場としての位置づけも大きくなっています。 ◆ 農業は、農地面積の減少、農業者の高齢化や後継者不足などにより低迷を続けています。 ◆ メジャーリーグで活躍するイチローの出身地であることで対外的な知名度は向上してい ますが、そのほかに際立った観光施設や特産品がなく、観光は盛んではありません。 豊山町の強み 豊山町の弱み ○ 北部市場及び関連企業の立地 ▽ 地場の商工業が充実していない ○ 大規模商業施設の立地 ▽ 農業、観光が低調 ○ 航空産業の集積 ▽ 特産品が少ない ○ 流入人口が多い ○ イチローの出身地 4 (5)保健福祉 ◆ 町民の健康づくりに対する意識は高まっており、町の健康施策に対する町民の満足度も 高くなっています。 ◆ 少子高齢化の進行が比較的緩やかであることとあいまって、町民 1 人あたりの医療費も 県内では低い水準となっています。 ◆ 精神障害者や生活保護世帯などは増加傾向にあります。 ◆ 若い世代も比較的多いことから出生率は高くなっていますが、その一方で、保育施設の 不足や児童館が有効に活用されていないなど子育て支援施設に関する課題も顕在化して います。 豊山町の強み 豊山町の弱み ○ 健康づくりへの意識や満足度が高い ▽ 精神障害者数が増加 ○ 1 人あたりの医療費は県内では低い ▽ 生活保護世帯が増加 ○ 出生率が高く、少子高齢化の進行が緩やか ▽ 保育施設の不足、児童館の利用が少ない (6)教育文化 ◆ 町内の3小学校、1中学校については、校舎の耐震補強は完了していますが、校舎内部 設備等の耐震保全や改善が遅れています。 ◆ 学校教育では、ALTやスクールカウンセラー等の活用などきめ細かな教育の実践に向 けた取り組みや、地域と連携した学校づくりが進められていますが、新学習指導要領の 改訂に対応した教育環境の整備を進めていくことが求められています。 ◆ 社会的に食の安全に対する意識が高まっていますが、学校給食における食の安全確保に 向けた取り組みの遅れが指摘されています。 ◆ 町では「生涯学習のまちづくり基本構想」に基づく取り組みを積極的に進めており、町 民の学習や芸術文化に対する意識や活動が活発化しています。しかし、その一方で、生 涯学習や文化に関する指導者の不足も指摘されています。 豊山町の強み 豊山町の弱み ○ 校舎建物の耐震補強整備 ▽ 校舎内部の耐震保全・質的改善整備の遅れ ○ 地域全体での学校支援の取り組み ○ ALT・スクールカウンセラー等の活用 ▽ 新学習指導要領改訂に伴う教育環境整備の 遅れ ○ 生涯学習のまちづくり基本構想に基づく取 り組み ▽ 学校給食の食の安全確保に向けた取り組み の遅れ ○ 町民の文化芸術意識の高まり ▽ 生涯学習・文化に関する指導者の不足 5 (7)行政運営 ◆ 人口、面積ともに小規模な自治体であり、住民と行政の距離が近く、住民の顔が見える コンパクトな行政規模であることは豊山町の大きな強みとなっています。 ◆ 町職員の減員や高齢化などにより、行政の組織力の低下が懸念されています。 ◆ 地方税収入は平成 14 年度(2002 年度)以降減少し、財政規模は縮小していますが、財政 力指数は平成 18 年度(2006 年度)においても 1.36 と高く、比較的良好な財政水準となっ ています。 ◆ 全世帯がCATVに加入しており、町独自の「とよやまチャンネル」で議会中継や文字 放送などの情報提供が行われていますが、町民の視聴割合がそれほど高くなく、行政情 報の発信力の不足も指摘されています。 豊山町の強み 豊山町の弱み ○ 住民の顔が見えるコンパクトな行政規模 ▽ 職員の減員と高齢化による組織力の低下 ○ 財政水準は比較的良好 ▽ 町民所得水準が低い ○ CATVへ全世帯加入、町独自チャンネル がある ▽ 行政情報の発信力の不足 (8)人・コミュニティ ◆ 人口は、一定の自然増加が継続しており、町全体では人口増加が続いています。若い世 代も比較的多く、他都市と比べても、出生率が高く、少子高齢化の進行も緩やかになっ ています。 ◆ 町民運動会やとよやま DE ナイトなど地域での行事や交流が活発で連帯意識が高いこと が強みとなっている反面、町外からの転入者も多く、地域によっては新旧住民の融和が 円滑に行われにくいなど、地域の排他性・閉鎖性が指摘されることもあります。 ◆ 多くの住民や企業がまちづくりへの住民参画や協働の必要性を認識し、町政へ関心を持 つ住民も多くなっており、ボランティアや住民活動は活発化しはじめていますが、まだ、 活動意欲が多くの住民には浸透していないことや住民活動などを中心的に担う人材の不 足なども指摘されています。 豊山町の強み 豊山町の弱み ○ 人口の増加 ▽ 地区別人口格差の拡大 ○ 出生率が高く、少子高齢化の進行が緩やか ▽ 地域により排他的・閉鎖的なところがある ○ 地域の交流や行事が活発で連帯意識が高い ▽ 住民団体活動・自治会活動を担う人材不足 ○ 住民や企業のまちづくり意識が高い ▽ NPOが少ない ○ 住民団体やボランティアの活動の拡大 ▽ 住民の行政依存傾向が強い 6 4 計画策定の背景 (1)少子高齢化と人口減少社会の到来 日本の人口は平成 18 年(2006 年)に減少に転じ、将来的にも減少することが予測されてい ます。あわせて、長寿化により高齢者が増加する一方、子どもの数は減少し、少子高齢化が一 層進行しています。今後も団塊の世代の加齢などにより、急激な高齢化の進行が予測されてい ます。少子高齢化の進行は、労働力人口の減少や社会保障費の負担と給付の増加など、社会経 済に大きな影響を及ぼすことが懸念されていますが、その一方で、意欲や能力のある高齢者も 増加し、こうした元気な高齢者が地域活動などで活躍し、新たな役割を発揮することも期待さ れています。 また、高齢単身世帯や高齢夫婦世帯、ひとり親世帯の増加など世帯構成にも大きな変化が見 られ、介護や子育てに関する問題などが今後生じてくることが予測されています。 (2)地方分権の進展と自治体財政 国・地方の財政のひっ迫化などに伴い、国の構造改革や三位一体改革 、地方の行財政改革な どが推進されてきました。そのような中、基礎自治体である市町村の役割は大きなものとなり、 自主性と自立性が一層重要になっています。加えて、全国的に市町村合併による自治体の再編 が進み、道州制を見据えた議論もされるなど、地方分権は新たな段階に差し掛かっています。 行政に対する住民のニーズが多様化・高度化してきており、住民に最も身近な市町村が、住 民ニーズに対応したきめ細かいサービスを提供することが一層求められており、多様化する行 政事務の効率化を図る上では、住民の生活圏の拡大に対応し、近隣市町村や県との広域的な連 携の必要性も増しています。 また、近年の世界的な経済の低迷により自治体財政は一層厳しさを増しており、地方分権化 とあいまって今まで以上に責任ある行政経営が求められています。そうしたなか、新地方公会 計制度の導入など、自治体財政を取り巻く新たな動向にも的確に対応していくことが求められ ます。 (3)価値観や生活様式の多様化 国際化や情報化の進展、就業形態の変化などに伴い、価値観や生活様式が多様化してきてお り、近年ではスローライフ、ロハスと呼ばれるものも注目を集めており、癒し、健康、余暇な ど、心の豊かさを重視する傾向が強くなってきています。また、男女共同参画やノーマライゼ ーション、多文化共生など、多様な価値観や個性を尊重し共生することの重要性が高まってい ます。 交通基盤や情報通信技術の進歩に伴い、広域的な交流や流動が拡大しており、経済や余暇活 動など生活の様々場面においてグローバル化、広域化が進んでます。 7 (4)住民参画・協働意識の高まり ボランティア意識の高まりとともに、住民活動が活発化しており、行政への住民参画や住民 と行政の協働の重要性が高まっています。また、 「官から民へ」の考え方が叫ばれ、民間活力の 一層の活用が求められています。 しかし、その一方で、核家族化による家族機能の低下、地域コミュニティの弱体化などが指 摘されることも多く、住民参画・協働のまちづくりの基盤となる家族や地域のあり方に対する 問題も生じています。 (5)安全・安心意識の高まり 東海地震や東南海地震の発生が懸念されていることに加え、局地的な集中豪雨による被害が 相次ぎ、防災に対する意識は高まりつつあります。ボランティア等を中心に、阪神・淡路大震 災や新潟県中越地震、中越沖地震など大規模災害の経験と教訓を活かした取組みが各地で展開 されています。 犯罪の凶悪化、低年齢化、高齢者や子どもを巻き込む犯罪や悪質な交通事故の増加などによ り、犯罪や事故への不安が増大しているなか、地域における主体的な防災や防犯、交通安全に 関する活動が広がっています。加えて、近年相次いだ偽装問題や薬物混入事件等により、「食」 に関する安全性の意識や健康志向も一層高まりを見せています。 (6)環境問題の深刻化 温室効果ガスの増加による地球温暖化など地球規模での環境問題が深刻化しています。わが 国では京都議定書の発効により省エネルギー対策や新エネルギー利用などの取組みが展開され ており、愛知県では、平成 17 年(2005 年)の愛・地球博の開催などを契機に住民の環境意識も 高まり、住民活動団体等による環境活動も活発化しています。 資源・エネルギーの大量消費に依存していた従来型の大量生産・大量消費社会から脱却し、 省エネルギーやごみの減量化・資源化など、環境に配慮した低炭素、資源循環型の社会の形成 に向け、国、自治体、住民がそれぞれの立場から責任ある行動をしていくことが求められてい ます。 (7)地域経済を取り巻く環境の変化 交通手段の発達や情報通信技術の進歩によりグローバル化が進み、経済活動の機会が拡大す る一方、国際間・地域間の競争は激しさを増しています。 また、労働環境は、非正規雇用や外国人労働力が増加するなど、雇用形態の多様化による賃 金格差の拡大が社会問題になっており、近年は特に、世界的な経済情勢の低迷の影響を受け、 これまで堅調が続いていた中部地方の経済環境も悪化に転じ、雇用・就労問題は一層大きな社 会問題となっています。 全国的に少子高齢化と人口減少が進み、団塊の世代の大量退職を迎えて労働力人口の減少が 8 予想されるなか、女性や高齢者の労働市場への参加に加え、外国人の雇用のあり方についても 議論を深め、労働環境の整備を進めることが求められます。 産業構造に関しては、農業従事者の減少や後継者不足等により農業の衰退が進むものの、健 康意識の高まりのなか「食」の重要性が顧られ、農業の重要性も高まっています。また、国に おいては観光庁が設置されるなど観光行政が強化され、愛知県においても産業観光などが推進 されています。 (8)情報化の進展 インターネットや携帯電話の普及など情報通信技術の発展により、情報環境の高度化・多様 化が進み、日常生活はより便利で快適なものとなり、働き方や余暇活動、消費行動など生活の 様々な面で大きな変化をもたらしています。 一方、個人情報保護の意識が高まるほか、情報流出等の問題の拡大など情報に関する様々な 犯罪が社会問題化しており、情報に関する住民意識は高まっています。また、いつでも、どこ でも、誰でも情報を容易に入手し、利用しやすくなってきた反面、情報機器に関する知識や操 作能力の差などによって情報授受に格差が生じることへの懸念も指摘されています。 (9)教育に対する関心の高まり 近年、子どもの学力や体力、規範意識の低下などが問題となっており、国においては、教育 基本法の改正や新教育指導要領の実施など、教育全体のあり方が見直されてきています。あわ せて、家庭や地域での教育力の低下が懸念され、給食費の滞納件数やいわゆるモンスターペア レントと呼ばれる、学校へ過剰な要求を行う保護者の増加など、保護者の意識も変化しており、 家庭・学校・地域が連携した地域が一体となった教育の重要性も増しています。 また、いじめや不登校問題なども様々な形で発生するようになり、依然としてその件数は少 なくならず、学校教育上の問題となっています。 9 5 まちづくりの主要課題 豊山町の現況・特性と計画策定の背景となる社会経済環境の動向から、これからの豊山町の まちづくりにおいて解決していくべき課題を「快適・ゆとり」、「地域力」、「活力・魅力」、 「安 全・安心」、 「行政経営」の5つのキーワードから整理します。 なお、課題の中で、豊山町の特性や魅力の一層の向上を目指す上で特に重要なもので、今後、 戦略的な取り組みが必要となる課題を「重点戦略課題」と位置づけます。 主要課題Ⅰ 快適・ゆとり ①コンパクトにまとまった魅力ある定住環境の創造 ..................... 【重点戦略課題】 ②タウンバスを中心とした公共交通の充実 ............................. 【重点戦略課題】 ③環境にやさしい循環型社会の構築 ④既存施設の有効利用と維持管理 ⑤心のゆとりや生きがいづくり 主要課題Ⅱ 地域力 ①地域で活躍する人材の育成と活動支援 ............................... 【重点戦略課題】 ②地域の絆や交流のさらなる醸成 ③住民と行政の信頼関係と協働体制の確立 主要課題Ⅲ 活力・魅力 ①航空宇宙産業をはじめとした産業の強化・育成 ....................... 【重点戦略課題】 ②空港を活用した交流の促進 ......................................... 【重点戦略課題】 ③郷土への誇りや愛着の醸成 ④町の個性・イメージの強化 主要課題Ⅳ 安全・安心 ①子育てしやすい環境づくり ......................................... 【重点戦略課題】 ②日常生活の安全性の向上 ③高齢者等の自立と安心の確保 ④健康の維持増進と食の安全確保 主要課題Ⅴ 行政経営 ①庁内各部門の連携や広域連携の強化 ................................. 【重点戦略課題】 ②選択と集中による効率的な行政経営への転換 ③豊山チャンネルなど各種情報媒体の有効活用 10 ■豊山町の戦略的都市分析(SWOT 分析) ●SWOT分析とは 組織の内部環境を「S(強み)」、 「W(弱 み)」の観点から、組織の外部環境を「O (機会:プラス要因・追い風)」、 「T(脅 威:マイナス要因・逆風)」の観点から 整理し、組織の資源と課題を抽出・把握 するための分析手法の1つです。 外部環境(機会、脅威)と内部環境(強 み、弱み)の組み合わせから成る4つの 領域【成長戦略】、 【改善戦略】、 【回避戦 略】、 【改革戦略】について、戦略課題の 方向性を導き出します。 11 基本構想 1 まちづくりの基本理念と将来像 基本構想の目標年度である平成 31 年度(2019 年度)に向けて本町が目指す「まちの将来像」 と、まちの将来像の実現に向けて、本町がまちづくりに取り組む基本的な考え方を示す「まち づくりの理念」を次のように定めます。 ●まちの将来像 (案)悠悠自適 ∼都市と田園が共存する豊かなまち∼ 豊山町は、名古屋市に近接しながらも農地が残るのどかさも兼ね備えています。 “都市の便利 さ”と“田園のうるおい”の両面を享受できるアーバン・ビレッジとして、住民一人ひとりが それぞれの暮らしやニーズにあった落ち着いた楽しい生活を実現できる豊かなまちを目指しま す。 ●まちづくりの基本理念 (案)巣林一枝 ∼小さくてもキラッと輝くまちづくり∼ 豊山町は、県内で最も面積が小さい自治体です。このコンパクトにまとまっていることの利 点を活かします。住民と行政、住民と住民、それぞれが交流、協働することによって、誰にと っても住んでいることが心地よく感じられる、住民の一人ひとりが輝いている小さくてもキラ ッと輝く町を築き上げていくことをまちづくりの基本的な理念とします。 12 2 まちづくりの目標 本町が目指すまちの将来像の実現に向けて、各分野ごとに目指すべきまちづくりの目標を、 次のように7つの目標として定めます。 (1)快適で活気あふれるコンパクトなまち 小さな行政面積の中で、地域特性を活かしながら、日常生活を送る上で必要な都市の施設や 機能が集約され、農地や公園などとともに大都市にはないぬくもりのあるコミュニティ空間が 形成された、徒歩や自転車で移動可能な快適で活気あふれるコンパクトなまちを目指します。 【施策の体系】 ①土地利用 ②公園・緑地 ③道路 ④上下水道 (2)にぎわいを生み出す個性豊かなまち 空港やその周辺の企業・設備などを活かし、航空宇宙産業をはじめとする新産業の育成を図 るとともに、農地の活用、既存の商工業や観光の振興など、最先端テクノロジーと地場の伝統 的な魅力が複合した産業振興を図り、にぎわいを創出する個性豊かなまちを目指します。 【施策の体系】 ①商工業 ②農業 ③観光 ④雇用・勤労者福祉 (3)安全・安心で住みやすさを実感できるまち 住民とともに、災害や犯罪、交通事故のない安全な環境整備や交通網の充実、景観や美化に 配慮した美しいまちづくりなどを推進し、安全・安心、快適で便利な生活環境を実現し、住民 にとって住みやすく魅力あるまちを目指します。 【施策の体系】 ①住宅・宅地 ②交通機関 ③景観形成 ④環境衛生 ⑤消防・防災 ⑥防犯・交通安全 (4)地球にも人にもやさしい持続可能なまち 地球規模で求められている低炭素社会や循環型社会の実現に向けた取り組みをしっかりと受 け止め、騒音の低減や生物多様性の確保、豊かな緑の創出など、持続可能なまちづくりを推進 し、地球にも人にもやさしいまちを目指します。 【施策の体系】 ①自然環境 ②ごみ対策 ③資源・エネルギー 13 (5)助けあい、支えあう 健康であたたかなまち 住みなれた地域の中で、住民や団体などが助け合い、支えあいながら、行政との協働のもと で、みんなが健康で思いやりを持ち、笑顔があふれる暮らしを実現できる福祉文化が育ったあ たたかなまちを目指します。 【施策の体系】 ①健康づくり ②地域福祉 ③子育て支援 ④高齢者福祉 ⑤障害者福祉 ⑥社会保障 (6)いきいきとした豊かな心を持った人を育むまち 子どもからお年寄りまでがライフステージやそれぞれの能力・意欲に応じた学習活動や社会 活動に取り組むことができ、学校と家庭、地域の一層の連携のもとで教育の充実が図られた、 豊かな心をもち、いきいきと生きる力に満ちた人を育むまちを目指します。 【施策の体系】 ①生涯学習 ②家庭教育 ③学校教育 ④文化財 ⑤芸術・文化 (7)住民と行政がともに考え、ともにつくる信頼のまち 安定した行財政基盤の構築を進めるとともに、自助・共助・公助の理念を尊重し、情報の提 供と共有、様々な交流や連携で人材育成を進め、住民と行政がともに考え、決定、行動し、協 働と信頼のもとにともに支えあうまちを目指します。 【施策の体系】 ①住民協働 ②コミュニティ ③国際化 ④行政運営 14 ⑤財政運営 ⑥広域行政 3 まちづくりの指標 まちの将来像が実現された姿を示すものとして、①人口・世帯、②居住意向、③協働まちづ くりに関する指標を設定します。 (1)人口・世帯 人口は、住宅対策や子育て支援対策等を含めて町民の定住促進や町外住民の転入誘導を継続 的に推進することにより、増加率は緩やかになるものの今後もしばらくは増加を続け、平成 20 年(2008 年)の 14,200 人から、平成 31 年(2019 年)にはおおむね 14,800 人になると見込みます。 世帯数は、人口と同様に増加率は緩やかになるものの今後も増加を続け、平成 20 年(2008 年) の 5,500 世帯から、平成 31 年(2019 年)にはおおむね 6,200 世帯になると見込みます。 総人口 (人、世帯) 16,000 実績値 推計値 14,580 世帯数 平均世帯人員 (人/世帯) 14,982 4.5 14,983 14,867 14,786 13,564 14,000 4.0 3.5 12,000 2.64 10,000 3.0 2.46 2.38 2.33 6,215 6,393 8,000 5,934 6,000 2.27 2.21 2.5 6,610 6,765 5,144 2.0 1.5 4,000 1.0 2,000 0.5 0 0.0 12 17 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 第4次総合計画 年齢別の人口構成は、少子高齢化が一層進むことにより、平成 31年(2019 年)には、15 歳未 満人口の構成割合が 12.6%(平成 20 年 15.0%)まで減少し、65 歳以上人口の構成割合が 24.4% (平成 20 年 17.4%)まで増加することが見込まれます。 100% 85歳以上 80-84歳 85歳以上 17.4% 22.0% 80-84歳 24.4% 75-79歳 70-74歳 75-79歳 70-74歳 75% 65-69歳 60-64歳 55-59歳 65-69歳 60-64歳 55-59歳 50% 50-54歳 45-49歳 50-54歳 67.6% 64.0% 45-49歳 63.0% 40-44歳 35-39歳 40-44歳 35-39歳 30-34歳 25-29歳 20-24歳 20-24歳 平成31年 15-19歳 10-14歳 10-14歳 平成20年 30-34歳 25% 25-29歳 15.0% 15-19歳 14.0% 12.6% 0% 5-9歳 平成20年 15歳未満 平成26年 15歳以上65歳未満 平成31年 65歳以上 男 1,000 0-4歳 750 15 500 250 0 5-9歳 0-4歳 女 0 250 500 750 1,000 (2)居住意向 町民意識調査では、81.2%の住民が豊山町は住みやすいと評価し、55.0%の住民が今後も豊山 町に住み続けたいと回答しています。今後は、まちの将来像の実現に向けて様々な施策に取り 組むことで、多くの住民が住みよさを実感でき、ずっと住み続けたいと思われるようなまちづ くりを目指し、平成 31 年(2019 年)には、住みやすいと評価する住民が 90%、今後も住み続け たいと回答する住民が 75%になると見込みます。 (3)協働まちづくり 町民意識調査では、67.6%の住民が町政に関心をもち、46.0%の住民がまちづくり活動など に参加意向をもっています。今後は、まちづくりの基本理念にもとづく様々な施策に取り組む ことで、協働まちづくりのさらなる浸透を目指し、平成 31 年(2019 年)には、町政に関心があ る住民が 75%、まちづくり活動などへの参加意向をもつ住民が 67%になると見込みます。 16 4 土地利用構想 (1)土地利用の基本方針 土地は、住民生活や経済活動の基盤となるものであり、地域の個性や魅力を生み出す源泉に もなる将来へ引き継ぐべき限られた貴重な資源です。まちの将来像を実現するために、これま での土地利用を基本としながら、次の視点に留意し適正な土地利用を進めます ①3層構造の土地利用を基本とした限られた土地の有効活用 本町の土地利用は、国道 41 号の沿道及び西側の産業用地、町中央部の住宅市街地、東側の空 港及び空港関連産業用地の3層構造を形作っています。今後もこの土地利用構造を基本として、 限られた土地の有効活用を図り、安定した土地利用を目指します。 ②空港の立地や機能を最大限に生かした土地利用 本町の土地の3分の1を県営名古屋空港が占めており、その立地や機能がもたらす効果を他 の町内土地にも波及させ、まちの活力や魅力の向上、住民生活の質の向上に有効に生かしてい くことが重要であり、そのような観点から、空港及び空港周辺の計画的な土地利用を目指しま す。 ③都市と自然の調和・共存 農地や水面などの自然的な土地利用は、まちに潤いをもたらし、人に癒しを与える大切なも のであり、将来の子孫に継承すべき貴重な財産であることを深く認識し、今後は農地や水面の 保全を原則として居住環境や産業環境との調和を図り、都市と自然が共存した土地利用を進め ていきます。 (2)拠点・軸の方針 ○空港周辺や北部市場周辺への「(仮)産業交流拠点」、○役場周辺への「(仮)中心交流拠点」 ○空港から神明公園につながる「(仮)○○軸」 などの位置づけを検討 (都市計画マスタープラント要調整) 17 5 基本構想の推進のために (1)「人権尊重」、「平和」、「環境」のまちの推進 豊山町は、平成 2 年(1990 年)に差別のない明るく住み良いまちを推進するために「人権尊重 の町」を宣言し、平成 7 年(1995 年)に非核三原則を堅持し安全で明るく住みよいまちの実現を 目指して「豊山町平和都市宣言」を宣言しました。また、平成 10 年(1998 年)には、すべての 生きものが共に平和に生きられる文化を創り出し、青い地球を未来の子供たちへ引き継ぐため に「青い地球を未来へ―豊山町環境宣言―」を宣言しました。まちづくり構想を推進するため に、これらの宣言を堅持し、それぞれの目指すまちの実現に向けて着実に推進していきます。 (2)住民と行政の“対話”と“協働”によるまちづくりの推進 まちづくり構想の推進に向けては、住民や企業、住民活動団体などと行政がまちづくりの目 標を共有し、信頼関係を築き上げることが重要であり、そのために、十分な対話を通して、情 報を共有し、お互いの考えや想いを意見交換し、理解し合うことに努めます。そして、そのよ うな共通理解の上で、それぞれの役割と責任を認識し、協働によりまちの将来像の実現に向け た様々な取り組みを推進していきます。 町職員は、“住民本位”の意識を一層強く持ち、これまで以上に住民の声をしっかりと聞き、 住民とともに汗をかきながら、住民の目線でまちづくりの推進にあたります。 (3)達成すべき目標値の設定と進行管理の実施 町が目指す将来像や目標の実現に向けて、 “選択と集中”にもとづき、限られた人材や財源な どの町が有する資源の有効活用に留意するとともに、政策・施策についてもその達成水準を示 す成果指標を具体的な数値目標として設定し、行政評価を活用した定期的な成果の検証・評価 により計画の進行管理に努めます。 成果の検証・評価など進行管理のプロセスにおいても住民の参画と協働の機会の創出に努め、 実施プロセスの透明性の確保に留意します。また、成果の評価・検証の方法についても適宜改 善や改革を進め、進行管理の実効性の確保・向上に留意します。 18